合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法
【課題】拡大観察状態となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始することが可能な合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法等を提供すること。
【解決手段】合焦制御装置は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、その撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、そのフォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、その判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部360と、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部365と、を含む。
【解決手段】合焦制御装置は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、その撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、そのフォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、その判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部360と、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部365と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡診断において体腔内の病変検出精度を向上させたいという要求があり、病変部と正常部の組織上の違いを顕微鏡相当の倍率で近接拡大観察することで検出精度向上を達成する拡大光学系を備えた内視鏡(以下では適宜、拡大内視鏡と呼ぶ)が一般的に知られている。
【0003】
このような拡大内視鏡には数十倍から数百倍の倍率を有したものがあり、染色散布や、狭帯域照明光による血管強調画像(NBI画像とも呼ぶ)との併用により、粘膜表層の微細な構造や血管走行のパターンを観察することができる。病変部と正常部ではこれらのパターンに違いが表れることが知られており、病変診断の1つの判定基準になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−304413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような拡大内視鏡により近接拡大観察を行なう場合、合焦を維持することが困難であるという課題がある。即ち、近接拡大観察では、高倍率になるに従って被写界深度は通常観察時に比べて極端に狭くなる。そうすると、内視鏡挿入部(以下では適宜、スコープ、又は撮像部と呼ぶ)の先端位置を、被写体に対して合焦範囲内に保持させ続けることは難しく、常に合焦した状態の画像を観察し続けるにはかなりの熟練を要するのが現状である。
【0006】
例えば、特許文献1には、内視鏡にオートフォーカス制御を組み込み、内視鏡操作部のスイッチによりユーザーがオートフォーカスの開始、終了を制御する手法が開示されている。しかしながら、この手法では、ユーザーがオートフォーカス制御の為に更に開始、終了を選択するためのスイッチ操作を行う必要がある為、使い勝手が良くないという課題がある。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、拡大観察状態となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始又は終了することが可能な合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部と、前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部と、を含む合焦制御装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、フォーカス評価値に基づいて算出された判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定が行われる。そして、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了が行われる。これにより、例えば拡大観察状態等となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始することが可能になる。
【0010】
また本発明の他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行う判定部と、前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えるフォーカス制御部と、を含む合焦制御装置に関係する。
【0011】
本発明の他の態様によれば、フォーカス評価値に基づいて算出された判定情報に基づいて、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替えるか否かの判定が行われる。そして、その判定の結果に基づいて、固定焦点制御とオートフォーカス制御が切り替えられる。これにより、例えば拡大観察状態等となった場合に固定焦点制御からオートフォーカス制御に自動的に切り替え、オートフォーカス制御を開始することが可能になる。
【0012】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系と、上記のいずれかに記載の合焦制御装置と、を含む内視鏡装置に関係する。
【0013】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得し、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行う合焦制御方法に関係する。
【0014】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得し、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行い、前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替える合焦制御方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における内視鏡装置の構成例。
【図2】ズームレバーの構成例。
【図3】ズームレバーの操作に対する撮像光学系の被写界深度の変化についての説明図。
【図4】図4(A)は、近接拡大観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例。図4(B)は、スクリーニング観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例。
【図5】コントラスト変動量と相対距離の対応関係の例。
【図6】図6(A)は、近接拡大観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例。図6(B)は、スクリーニング観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例。
【図7】一群駆動の場合における撮像光学系の詳細な構成例。
【図8】焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図9】第2の実施形態における内視鏡装置の構成例。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、内視鏡による観察状態の例。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、各観察状態における撮像画像の輝度分布の例。図11(D)は、領域分割の例。
【図12】第2の実施形態における焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図13】第2の実施形態の変形例における焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図14】図14(A)、図14(B)は、オートフォーカス制御の時系列的な制御手法についての説明図。
【図15】図15(A)、図15(B)は、オートフォーカス制御を終了する制御の手法についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0017】
1.本実施形態の概要
まず、本実施形態の概要について説明する。上述のように、拡大内視鏡により近接拡大観察を行なう場合、常に合焦した状態の画像を観察し続けるにはかなりの熟練を要する。そのため、合焦を維持するためにスコープ位置合わせの作業時間が増加し、全体の診断時間が長時間に及んでしまう。その結果、ドクターの疲労と共に患者の負担も大きくなるという課題がある。
【0018】
特許文献1には、上述のように、ユーザーがスイッチでオートフォーカスのオン・オフを制御する手法が開示されている。内視鏡においてスクリーニング観察を行う場合には、視野全域で合焦状態となる撮像系を設計するので、オートフォーカス制御を行う必要はない。一方、近接拡大観察時にのみユーザー操作によりオートフォーカス制御の有無を選択させることは有効である。
【0019】
即ち、従来の近接拡大観察における操作では、スコープの操作部にあるズームレバーを拡大状態となるように回す操作と共に、スコープの出し入れ及びスコープ先端のアングル調整によりスコープ先端と被写体との相対位置を調整する操作が必要である。相対位置の調整では、非常に狭い被写界深度内に被写体とスコープの相対距離を手動で合わせ続けながら、フレーミングも行う必要がある。このような操作はかなり難しいため、近接拡大観察においてオートフォーカス制御が加わると効果は大きい。
【0020】
しかしながら、特許文献1の手法では、オートフォーカス制御の開始や終了を選択する操作を、ユーザーがスイッチ操作により行う必要があるため、使い勝手が良くないという課題がある。
【0021】
そこで本実施形態では、オートフォーカスの開始や終了の選択をユーザー操作に依らずに、近接拡大観察状態と判定した場合に自動でオートフォーカス制御を開始する。即ち、図4(A)に示すように、近接拡大観察において画像のコントラスト変動が大きくなることを利用して、図5に示すように、コントラスト変動量が閾値よりも大きくなった場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0022】
2.第1の実施形態
2.1.内視鏡装置
次に、本実施形態の詳細について説明する。図1に、第1の実施形態における内視鏡装置の構成例を示す。内視鏡装置は、光源部100、撮像部200、制御装置300(プロセッサ部)、表示部400、外部I/F部500を含む。
【0023】
光源部100は、白色光源101と、光量制御部102と、白色光源101からの照明光をライトガイドファイバー201の入射端面に集光させる集光レンズ104とを、含む。
【0024】
撮像部200は、例えば体腔への挿入を可能にするため細長くかつ湾曲可能に形成されている。撮像部200は、光源部100で集光された光を導くためのライトガイドファイバー201と、ライトガイドファイバー201により先端まで導かれた光を拡散させて観察対象に照射する照明レンズ202とを、含む。また、撮像部200は、観察対象から戻る反射光を集光する対物レンズ203と、ズームレンズ駆動部206と、対物レンズ203を構成するズーム倍率調整用のズームレンズ207とを、含む。また、撮像部200は、集光した結像光を検出するための撮像素子209と、撮像素子209からの光電変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部210とを、含む。なお、撮像素子209は、原色や補色の色フィルターが所定の配列(例えばベイヤー配列)で各画素に配置された単板撮像素子であり、例えばCCDやCMOS等が利用できる。
【0025】
制御装置300は、画像処理部301と、制御部302と、焦点位置制御部303とを、含む。
【0026】
画像処理部301は、例えばホワイトバランス処理や階調変換処理等の画像処理を行う。制御部302は、内視鏡装置の各部の制御を行う。焦点位置制御部303は、固定焦点制御やオートフォーカス制御、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替える制御を行う。焦点位置制御部303の詳細については後述する。
【0027】
表示部400は、例えばCRTや液晶モニター等の動画表示可能な表示装置である。
【0028】
外部I/F部500は、この内視鏡装置に対するユーザーからの入力等を行うためのインターフェースである。外部I/F部500は、例えば電源のオン/オフを行うための電源スイッチや、撮影モードやその他各種のモードを切り換えるためのモード切換ノブ等を含んで構成されている。この外部I/F部500は、入力された情報を制御部302へ出力する。
【0029】
2.2.切り替え制御の手法
次に、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替える制御について詳細に説明する。まず、2つの観察モードについて説明する。
【0030】
図2に、モード切換ノブの一例としてズームレバーの構成例を示す。図2に示すように、ズームレバー501をTELE端側に回すと、図7で後述するようにズームレンズが高倍率側に移動する。例えば1群駆動の光学系では、ズームレンズが高倍率側に移動するのに伴って、スコープ先端が被写体により近接した位置で合焦するようになる。一方、ズームレバー501をWIDE端に回すとズームレンズが低倍率側に移動し、スコープ先端が被写体からより離れた位置で合焦するようになる。
【0031】
さて、本実施形態の内視鏡装置では、観察倍率が異なる2つの観察状態(観察モード)で観察を行う。通常観察状態では、主にスクリーニング観察を行い、パンフォーカスの広視野画像で観察を行う。もう1つの近接拡大観察状態では、スクリーニング観察で見つかった病変部に近接し、その病変部の粘膜構造や血管走行状態等を拡大観察することで病変部が悪性であるか否かを精査観察する。
【0032】
このような2つの観察状態は、上述のように図2のズームレバー501をユーザーが操作することで自動的に切り替わる。ズームレバー501は、スクリーニング観察時はWIDE端の位置にあり、近接拡大観察を行う場合にTELE端に回すことで段階的にズーム倍率を切り替えることができるようになっている。
【0033】
図3を用いて、ズームレバー501の操作に対する撮像光学系の被写界深度の変化について説明する。撮像光学系とは、例えば図1の対物レンズ203、ズームレンズ207、撮像素子209により構成される光学系である。
【0034】
図3に示すように、WIDE端において被写界深度が一番広く、スクリーニング観察時に想定される被写体とスコープの間の相対距離が被写界深度内に入るように、撮像光学系が設計されている。一方、TELE端側へは段階的(例えば5段階等)に移動させることで被写界深度は狭くなるが、より被写体に近接して観察ができる状態となり、高倍率の近接拡大観察が可能となる。TELE端まで行くと被写界深度は非常に狭くなり、被写体である生体の拍動等の動きにより簡単に合焦状態が外れてしまう。
【0035】
このようなズームレバー操作に応じた被写界深度の違いを積極的に利用すると、近接拡大観察を行っているのか、或いはスクリーニング観察を行っているのかを画像からある程度判定できる。この点について、詳細に説明する。
【0036】
図4(A)に、近接拡大観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例を、模式的に示す。近接拡大観察では、合焦状態を維持する為にユーザーがスコープを操作することが想定されるが、スコープ先端と被写体(生体)との間の相対距離が、例えば生体の拍動等により被写界深度幅を超えて変化する確率が増える。そのため、合焦状態と非合焦状態とが時間的に繰り返す撮像画像が得られる。即ち、撮像画像は、コントラスト変動が大きい状態として検出されることになる。
【0037】
図4(B)に、スクリーニング観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例を、模式的に示す。スクリーニング観察では、被写界深度が広いので、生体の拍動やスコープ操作に対しても合焦状態が維持される確率が高い。高速にスコープを移動させた場合には、画像がボケる可能性があるが、この場合は合焦状態と非合焦状態の時間的な変動は継続しない。また、被写体内のどの場所を撮像しているかに依存する局所的なコントラスト変化により、画像がボケる可能性も考えられる。即ち、被写体である生体のヒダの有無や、管腔奥の暗部と手前の明部により局所的なコントラスト変化が発生し、スコープに移動に伴いコントラスト変化として観察される。これらのような例外的な状態を除けば、スクリーニング観察では、撮像画像のコントラスト変動が小さい状態として検出されることになる。上記の例外的な状態は、後述する別のパラメーターを利用することで切り分けることができる。
【0038】
図5に、コントラスト変動量と相対距離の対応関係の例を示す。図5では、図4(A)、図4(B)で説明したコントラスト変動量と、スコープ先端と被写体との間の相対距離との対応関係を、モデル化している。
【0039】
本実施形態では、このモデル化した対応関係を利用してオートフォーカス制御の開始、終了の選択を行う。具体的には、コントラスト変動量に対する閾値Th1を設け、画像から求めたコントラスト変動量が閾値Th1より大きい場合には、合焦状態を維持するのは難しいと判定してオートフォーカス制御を行う。一方、画像から求めたコントラスト変動量が閾値Th1以下の場合には、合焦状態の維持は容易であると判定して固定焦点による焦点制御、或いはズームレバー操作による手動焦点制御を行う。
【0040】
さて、上述のようにスクリーニング観察においても一時的にコントラスト変動が生じ、スクリーニング観察であるにも関わらず近接拡大観察であると判定される可能性がある。このようなコントラスト変動は、図5で説明したモデルに対して例外的なコントラスト変動である。本実施形態では、このような例外的なコントラスト変動を、コントラスト変動量とは別のパラメーターを用いて除外し、画像から近接拡大観察を判定する精度を向上させる。
【0041】
具体的には、図6(A)に、近接拡大観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例を模式的に示す。平均輝度値は、撮像画像の所定領域における平均輝度値である。所定領域は、撮像画像の一部(例えば撮像画像の中央部)であってもよいし、撮像画像の全部であってもよい。近接拡大観察では、スコープ先端と被写体とがほぼ正対した状態である。また、近接拡大状態では、光源部100の光量制御部102による調光制御は、スコープ先端と被写体との間の相対距離の時間変動に対して十分追従できるので、平均輝度値の時間変動は小さい。
【0042】
図6(B)に、スクリーニング観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例を模式的に示す。スクリーニング観察では、スコープ先端と被写体とは殆ど正対しておらず、また相対距離の時間変動は近接拡大観察時に比べて大きい。そのため、光源部100の光量制御部102による調光制御が完全には追従できないので、平均輝度値の時間変動は大きく振れる。即ち、単位時間あたりの平均輝度変動量に対する閾値Th2を設け、平均輝度変動量が閾値Th2より小さいことを判定条件とすることで、近接拡大観察であることをある程度は判定できる。
【0043】
以上の特性を利用して、本実施形態では、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、平均輝度変動量が閾値Th2よりも小さい場合にオートフォーカス制御を開始する。これにより、それぞれ単独で閾値判定を行う場合よりも、相互に補完しあって精度良くオートフォーカス制御が必要な近接拡大時を判定することができる。
【0044】
2.3.撮像光学系
図7に、一群駆動の場合における撮像光学系の詳細な構成例を示す。一群駆動では、ズームレンズのみがレンズ系内で移動可能な構成となっている。WIDE端では、レンズ系の先端からズームレンズまでの距離が離れた位置にズームレンズがあり、TELE端では、レンズ系の先端からズームレンズまでの距離が近い位置にズームレンズがある。
【0045】
ズームレンズ位置の駆動は、図1のズームレンズ駆動部206が行う。ズームレンズ位置は、図2のズームレバー501の操作量に応じて設定される。或いは、AF制御部370によるオートフォーカス制御量に対応して設定される。
【0046】
なお、上記ではズームレンズが駆動されることによりフォーカスも変化する一群駆動を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態の撮像光学系では、ズームレンズとフォーカスレンズが別個に駆動されてもよい。この場合、フォーカスはフォーカスレンズが駆動されることでフォーカスが調整される。フォーカスレンズの位置は、例えば図示しないフォーカスレバーの操作量に応じて設定され、或いは、AF制御部370によるオートフォーカス制御量に対応して設定される。
【0047】
2.4.焦点位置制御部
図8に、上述の閾値判定によりオートフォーカス制御と固定焦点制御の切り替えを行う焦点位置制御部の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、画像取得部315、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、平均輝度変動量算出部350、判定部360、フォーカス制御部365を含む。
【0048】
続いて、各構成要素間のデータの流れや、各構成要素が行う処理について説明する。単板撮像素子である撮像素子209で光電変換されたアナログ撮像信号は、A/D変換部210によりデジタル撮像信号に変換され、変換後の信号が画像処理部301に入力される。
【0049】
画像処理部301には、更に制御部302が接続されている。画像処理部301には、制御部302に予め保存されている処理パラメーター(OBクランプ値、WB係数、撮像素子209の色フィルター配列、色補正係数、階調変換テーブル、輪郭強調レベル等)が入力される。画像処理部301は、それらの処理パラメーターに基づいて、入力されたデジタル撮像信号に対して画像処理を行い、処理後の画像を撮像画像(又は、表示装置にて観察可能な表示画像)として出力する。画像処理部301は、その撮像画像を、領域抽出部320、及び平均輝度変動量算出部350、表示部400に出力する。
【0050】
画像取得部315は、画像処理部301からの撮像画像を取得し、取得した撮像画像を領域抽出部320に対して出力する。例えば画像処理部301が、画像処理後の撮像画像を図示しないメモリーに一時的に記憶し、画像取得部315が、そのメモリーに記憶された撮像画像を読み出すことにより、画像を取得する。
【0051】
領域抽出部320には、オートフォーカス制御に用いるコントラスト値を算出するための領域(コントラスト算出領域)を表す情報が、制御部302から入力される。領域抽出部320は、そのコントラスト算出領域情報に基づいて、画像処理部301の撮像画像からコントラスト算出領域の画像を抽出し、その抽出画像をコントラスト算出部330へ出力する。コントラスト算出領域は、例えば、撮像画像の中央部のN×M画素領域である。
【0052】
コントラスト算出部330は、領域抽出部320から出力される抽出画像のカラー信号を輝度信号に変換し、その輝度信号に対して、所定の周波数特性をもつハイパスフィルター(或はバンドパスフィルター)処理を行う。コントラスト算出部330は、ハイパスフィルター処理の結果を抽出画像内で積算し、その積算値をコントラスト値として算出し、算出したコントラスト値を、コントラスト変動量算出部340とAF制御部370へ出力する。
【0053】
コントラスト変動量算出部340は、コントラスト算出部330から出力されるコントラスト値に基づいてコントラスト変動量を算出する。具体的には、コントラスト変動量算出部340は、コントラスト値を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。コントラスト変動量算出部340は、メモリーに記憶された所定期間よりも古いコントラスト値を、新しく算出されたコントラスト値によって上書きする。コントラスト変動量算出部340は、メモリーに記録されている複数のコントラスト値に対して、所定周波数特性のハイパスフィルター(又はバンドパスフィルター)を作用させ、そのフィルター処理結果の積算値をコントラスト変動量として算出する。コントラスト変動量算出部340は、算出したコントラスト変動量を判定部360へ出力する。
【0054】
平均輝度変動量算出部350には、平均輝度を算出するための領域(平均輝度算出領域)を表す情報が、制御部302から入力され、撮像画像が画像処理部301から入力される。平均輝度変動量算出部350は、その平均輝度算出領域情報に基づいて撮像画像に対して平均輝度算出領域を設定し、その平均輝度算出領域の各画素の輝度値を算出し、平均輝度算出領域内における輝度値の総和を平均輝度値として算出する。平均輝度変動量算出部350は、その平均輝度値を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。平均輝度変動量算出部350は、メモリーに記憶された所定期間よりも古い平均輝度値を、新しく算出された平均輝度値によって上書きする。平均輝度変動量算出部350は、メモリーに記録されている複数の平均輝度値に対して、所定周波数特性のハイパスフィルター(又はバンドパスフィルター)を作用させ、そのフィルター処理結果の積算値を平均輝度変動量として算出する。平均輝度変動量算出部350は、算出した平均輝度変動量を判定部360へ出力する。
【0055】
判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、平均輝度変動量算出部350から出力される平均輝度変動量と、制御部302から出力される閾値Th1、Th2と、が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、平均輝度変動量に対して閾値Th2により閾値判定を行う。判定部360が行う判定は、オートフォーカス制御を行うか否かの判定であり、その判定条件は以下の通りである。
【0056】
即ち、判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ平均輝度変動量が閾値Th2より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0057】
フォーカス制御部365は、オートフォーカス制御を行うと判定部360により判定された場合にはオートフォーカス制御を行い、固定焦点制御を行うと判定部360により判定された場合には固定焦点制御を行う。具体的には、フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。
【0058】
AF制御部370には、コントラスト算出部330から出力されるコントラスト値と、ズームレンズ駆動部206から出力されるレンズ位置情報と、が入力される。レンズ位置情報は、可動のズームレンズ207がどの位置に存在するかを表す情報であり、レンズ位置は、例えば撮像光学系の光軸上において基準点(例えば対物レンズ先端)からズームレンズ207までの距離である。AF制御部370は、入力されたコントラスト値とレンズ位置情報を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。AF制御部370は、メモリーに記憶された所定期間よりも古いコントラスト値とレンズ位置情報を、新しく算出されたコントラスト値とレンズ位置情報によって上書きする。
【0059】
AF制御部370は、このメモリーに記録されている複数のコントラスト値に対して極大値の探索を行う。極大値が検出された場合、AF制御部370は、その極大値周辺の複数のレンズ位置情報を補間することにより、被写体に合焦するズームレンズ207の位置情報を駆動位置情報として算出する。駆動位置情報は、ズームレンズ207を現在の位置から駆動制御するときに、駆動先の位置を表す情報である。この補間では、極大値周辺のレンズ位置に対して、そのレンズ位置に対応するコントラスト値により重み付けを行うことで、ズームレンズ207の駆動位置情報を高精度に算出する。
【0060】
一方、極大値が検出されなかった場合、AF制御部370は、第1のコントラスト値と第2のコントラスト値の差分である第1差分値と、第2のコントラスト値と第3のコントラスト値の差分である第2差分値と、第1差分値又は第2差分値に基づく一次微分値と、第1差分値と第2差分値の差分である二次微分値と、を求める。第1のコントラスト値は、最も新しくメモリーに保存されたコントラスト値であり、第2のコントラスト値は、時間的に1つ前にメモリーに保存されたコントラスト値であり、第3のコントラスト値は、時間的に更に1つ前にメモリーに保存されたコントラスト値である。一次微分値は、例えば第1差分値である。
【0061】
算出したコントラスト二次微分値が負である場合は、AF制御部370は、コントラスト一時微分値と二次微分値を用いて極大値を外挿予測(例えば、2次式による外挿予測等)し、予測した極大値に対応するズームレンズ207の位置情報を、合焦位置情報として算出する。
【0062】
一方、算出したコントラスト二次微分値がゼロ以上である場合は、AF制御部370は、所定数Wとコントラスト1次差分の符号とを第1差分値に対して乗算し、その乗算値を、最も新しく保存されたズームレンズ207のレンズ位置情報に加算する。その加算値は、次のズームレンズ207の駆動位置情報として算出される。ここで、所定数Wは、コントラスト一次微分値の絶対値が所定閾値よりも小さい場合には、1より大きな所定値とする。一方、コントラスト一次微分値の絶対値が所定閾値以上の場合には、所定数Wは1とする。AF制御部370は、算出した駆動位置情報を、焦点制御選択部390へ出力する。
【0063】
固定焦点制御部380には、ズームレンズ駆動部206から出力されるズームレンズ207のレンズ位置情報と、制御部302から出力される予め定められた複数の固定レンズ位置情報と、が入力される。固定焦点制御部380は、複数の固定レンズ位置情報(複数の固定焦点位置情報)の中から、ズームレンズ207のレンズ位置との差が最も小さい1つの固定レンズ位置情報を選択し、選択した固定レンズ位置情報を駆動位置情報として焦点制御選択部390へ出力する。ここで、制御部302が出力する複数の固定レンズ位置情報は、図2のズームレバー501の離散的(例えば5段階)な制御量に対応した離散的なレンズ位置を、表す情報である。
【0064】
焦点制御選択部390は、判定部360から出力されるオートフォーカス制御開始終了判定情報に基づいて、AF制御部370から出力される駆動位置情報か、固定焦点制御部380から出力される駆動位置情報かのどちらかを選択する。焦点制御選択部390は、選択した駆動位置情報をズームレンズ駆動部206へ出力する。
【0065】
ズームレンズ駆動部206は、ズームレンズ駆動部206からの駆動位置情報に基づいて、その駆動位置情報が表すレンズ位置へズームレンズ207を移動させる。
【0066】
以上の実施形態によれば、図8に示すように、合焦制御装置は、画像取得部315と評価値算出部と判定情報算出部と判定部360とフォーカス制御部365を含む。画像取得部は、撮像光学系により撮像された画像を取得する。評価値算出部は、その撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する。判定情報算出部は、そのフォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する。判定部360は、その判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了を行う。
【0067】
このようにすれば、拡大観察状態となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始することが可能になる。即ち、近接拡大観察時において必要となるオートフォーカス制御を、手動切り替えではなく自動的に開始・終了の判定を行うことができる。そのため、ユーザーは切り替え操作に煩わされることなく診察に集中することができ、診察時間の短縮を図ることができる。
【0068】
例えば本実施形態では、合焦制御装置は焦点位置制御部303に対応する。撮像光学系は、対物レンズ203、ズームレンズ207、撮像素子209に対応する。評価値算出部はコントラスト算出部330に対応する。判定情報算出部はコントラスト変動量算出部340に対応する。なお、上記の実施形態ではフォーカス評価値がコントラスト値であり、判定情報がコントラスト変動量である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、フォーカス評価値は被写体像の合焦状態を評価する値であればよく、判定情報は、その値の時間的な変動を表す情報であればよい。
【0069】
ここで、オートフォーカス制御の開始とは、オートフォーカス動作によりフォーカス調整を行う制御状態を開始することであり、他のフォーカス制御からオートフォーカス制御に移ることである。例えば本実施形態では、固定焦点制御からオートフォーカス制御に移ることである。オートフォーカス制御の開始から終了までの期間には、図14(A)等で後述するように、オートフォーカス制御の一時停止から再開までの期間を含む。一時停止から再開までの期間では、一時停止前のオートフォーカス動作により設定されたレンズ位置にズームレンズ(又はフォーカスレンズ)が設定されており、オートフォーカス動作によりフォーカス調整された状態である。
【0070】
また本実施形態では、評価値算出部は、撮像画像の所定領域におけるコントラスト値をフォーカス評価値として算出する。判定情報算出部は、コントラスト値の時間変動を表すコントラスト変動量を判定情報として算出する。フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。図15(A)等で後述するように、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が終了条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を終了する。
【0071】
このようにすれば、コントラスト値の時間変動に基づいてオートフォーカス制御の開始又は終了の判定を行うことができる。即ち、図4(A)等で説明したように、近接拡大観察においてスクリーニング観察時よりもコントラスト値の変動が大きくなることを利用して、近接拡大観察においてオートフォーカス制御を行うことができる。
【0072】
なお、上記の実施形態では、コントラスト変動量がコントラスト値のハイパスフィルター処理結果である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されず、コントラスト変動量はコントラスト値の時間的な変動を表す情報であればよい。
【0073】
また本実施形態では、合焦制御装置は、撮像画像の輝度情報に基づいて第2の判定情報を算出する第2の判定情報算出部を含む。判定部360は、コントラスト変動量及び第2の判定情報が、開始条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0074】
具体的には、第2の判定情報算出部は、撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量(平均輝度変動量)を第2の判定情報として算出する。より具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、輝度変動量が第2の閾値Th2よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0075】
このようにすれば、コントラスト変動量と平均輝度の変動量に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、図6(B)等で説明したように、スクリーニング観察において近接拡大観察時よりも平均輝度の時間的な変動が大きいことを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0076】
例えば本実施形態では、第2の判定情報算出部は図8の平均輝度変動量算出部350に対応する。あるいは、第2の判定情報算出部は、図12で後述する輝度分布算出部351に対応する。なお、上記の実施形態では、輝度情報が平均輝度値であり、第2の判定情報が平均輝度値の時間的な変動量である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、輝度情報は撮像画像の輝度値に基づく情報であればよく、第2の判定情報は、スクリーニング観察状態を近接拡大観察状態から区別するための情報であればよい。
【0077】
3.第2の実施形態
3.1.内視鏡装置
図9に、第2の実施形態における内視鏡装置の構成例を示す。内視鏡装置は、光源部100、撮像部200、制御装置300(プロセッサ部)、表示部400、外部I/F部500を含む。上述した第1の実施形態と基本構成は同様である。なお以下では、第1の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0078】
第2の実施形態では、撮像光学系が二群駆動である点と、焦点位置制御部303が、コントラスト変動量と画像の輝度分布を用いてオートフォーカス制御と固定焦点制御を切り替える点が、第1の実施形態と異なる。
【0079】
まず、撮像光学系が二群駆動である点について説明する。撮像部200は、ライトガイドファイバー201と、照明レンズ202と、対物レンズ203と、ズームレンズ駆動部206と、ズームレンズ207と、フォーカスレンズ208と、撮像素子209と、A/D変換部210と、フォーカスレンズ駆動部211を含む。
【0080】
二群駆動では、図7で説明したレンズ系において、ズームレンズだけでなくフォーカスレンズも駆動される。このレンズ系では、オートフォーカス制御を、第1の実施形態のようなズームレンズの駆動ではなくフォーカスレンズの駆動により行う。このような2群駆動では、オートフォーカス制御を行う場合に倍率変動が殆ど無く、被写体のコントラスト値が安定して算出できる。また、オートフォーカス制御中でも倍率変動の無い見やすい表示画像を得ることができる。
【0081】
図9の内視鏡装置では、ズームレンズ207は、図2のズームレバー501の操作に連動してズームレンズ駆動部206により駆動され、オートフォーカス制御からは独立している。オートフォーカス制御や固定焦点制御では、フォーカスレンズ208がフォーカスレンズ駆動部211により駆動される。
【0082】
なお、二群駆動ではオートフォーカス制御をフォーカスレンズ208で行うため、表示倍率の変動がほとんど発生しない。そのため、二群駆動は、撮像光学系を被写体に合焦させる動作を継続的に行うコンティニュアスオートフォーカスに向いている。
【0083】
3.2.切り替え制御の手法
次に、オートフォーカス制御と固定焦点制御の切り替え制御について説明する。第2の実施形態では、撮像シーンの推定を第1の実施形態とは異なる手法で行うことでオートフォーカス制御の開始、終了を判定している。
【0084】
具体的には、図10(A)〜図10(C)に示すように、内視鏡による観察状態(観察シーン)は大まかに3つに分類される。図10(A)は、管腔に沿ってスクリーニングを行っている状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(A)に示すような輝度分布となる。図10(B)は、生体に接近して観察を行う状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(B)に示すような輝度分布となる。図10(C)は、近接拡大観察を行う状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(C)に示すような輝度分布となる。
【0085】
本実施形態では、この3つの状態のうちの少なくとも図10(A)の状態(即ち図11(A)の輝度分布)を、オートフォーカス制御を行わない状態であると判定する。これにより、コントラスト変動量の判定精度を向上することができる。具体的には、図11(D)に示すように、表示画像を中央部の領域1と周辺部の領域2〜9の複数領域に分割し、各領域の平均輝度の分布を判定することで観察状態を判定する。
【0086】
また本実施形態では、図10(C)の近接拡大観察と判定した場合にオートフォーカス制御を行う。そのため図10(B)の観察状態と判別する必要があるが、この判別には、第1の実施形態で利用したコントラスト変動量を用いる。例えば、ズームレンズ位置がWIDE端であり、スコープ先端が被写体に近接していない状態であれば、図3で説明したように十分広い被写界深度が得られるので、コントラスト変動量は大きくない。一方、ズームレンズ位置がTELE端であり、スコープ先端が被写体に近接している状態であれば、図3で説明したように狭い被写界深度しか得られないので、被写体の拍動などの動きにより被写界深度を外れる頻度が多くなり、コントラスト変動として検出できる。
【0087】
3.3.焦点位置制御部
図12に、第2の実施形態における焦点位置制御部303の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、輝度分布算出部351、判定部360、フォーカス制御部365を含む。フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。
【0088】
以下では、第1の実施形態と異なる輝度分布算出部351と判定部360、固定焦点制御部380について詳細に説明する。
【0089】
輝度分布算出部351には、撮像画像が画像処理部301から入力され、撮像画像における輝度分布を算出するための分割領域情報が制御部302から入力される。輝度分布算出部351は、分割領域情報に基づいて撮像画像を複数の分割領域に分割し、その分割領域の各画素について輝度値を算出し、その輝度値を分割領域毎に総和し、その各分割領域における総和値を画素数で除算した値を、分割領域平均輝度値とする。例えば、複数の分割領域は、図11(D)で説明した9分割の領域であり、それぞれの領域について平均輝度値が算出され、その平均輝度値が分割領域平均輝度値として判定部360へ出力される。
【0090】
判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、輝度分布算出部351から出力される分割領域平均輝度値と、制御部302から出力される閾値Th1、Th3が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、分割領域平均輝度値に対して閾値Th3により閾値判定を行う。オートフォーカス制御を行うか否かの判定条件は以下の通りである。
【0091】
即ち、判定部360は、図11(D)に示す領域2〜領域9(周辺領域)の中で、領域1よりも分割領域平均輝度値が大きい領域の数を求める。判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ求めた領域数が閾値Th3より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0092】
ここで、閾値Th3による閾値判定について、図11(D)に示す領域1〜9を例に詳細に説明する。表示画像の中央部に位置する領域1の平均輝度よりも大きいという条件を、表示画像の周辺部に位置する領域2〜9の平均輝度のうち、例えば過半数(5領域)が満たすとする。この場合、本実施形態では、図11(A)の状態、即ち図10(A)で説明したように管腔に沿ってスクリーニング観察している状態であると判定する。
【0093】
コントラスト変動量に対する閾値判定では、スクリーニング観察において、撮像部200の出し入れ操作やアングル操作によってコントラスト変動量が閾値Th1以上であると判定されてしまう場合がある。例えば、画像中央部のコントラスト算出用の抽出領域内に管腔奥の暗部が入るとコントラスト値が低くなり、抽出領域内に管腔側壁が入るとコントラスト値が高くなる。このような状態がスコープ先端の動きにより頻繁に繰り返されると、図4(A)に示す近接拡大時のコントラスト変動に近似してくるので、誤判定の確率が大きくなる。そこで本実施形態では、この誤判定の確率を下げるために、分割領域平均輝度によるシーン判定を行い、管腔方向に沿ってスクリーニング観察を行う状態をオートフォーカス動作の開始判定から除外する。
【0094】
固定焦点制御部380は、ズームレンズ207ではなくフォーカスレンズ208の位置制御を行う。固定焦点制御部380には、ホームポジション情報が制御部302から入力され、ズームレンズ207の現在の位置情報がズームレンズ駆動部206から入力される。ここで、ズームレンズ207は複数の離散的な位置に設定可能であり、その離散的な各位置に対応してフォーカスレンズ208のホームポジションが設定され、そのホームポジションを表す情報がホームポジション情報である。固定焦点制御部380は、ズームレンズ207の現在の位置情報に対応するホームポジション情報を選択し、選択したホームポジション情報を駆動位置情報として焦点制御選択部390へ出力する。焦点制御選択部390により、この駆動位置情報が選択された場合、ホームポジション情報に基づいて、フォーカスレンズ208の位置をホームポジションに戻す制御が行われる。
【0095】
AF制御部370は、フォーカスレンズ駆動部211から出力されるフォーカスレンズ208の位置情報をレンズ位置情報として、第1の実施形態と同様の処理を行う。即ち、AF制御部370は、図示しないリングバッファーに所定期間におけるフォーカスレンズ208のレンズ位置情報とコントラスト値とを記憶し、このレンズ位置情報とコントラスト値に基づいて、フォーカスレンズ208を次に駆動させる位置の情報(駆動位置情報)を算出する。AF制御部370は、算出した駆動位置情報を焦点制御選択部390へ出力する。
【0096】
焦点制御選択部390は、オートフォーカス制御開始終了判定情報に基づいて、AF制御部370から出力される駆動位置情報か、固定焦点制御部380から出力される駆動位置情報かのどちらかを選択する。ズームレンズ駆動部206は、選択された駆動位置情報に基づいて、その駆動位置情報が表すレンズ位置へズームレンズ207を移動させる。
【0097】
なお、上記の実施形態では、撮像光学系が二群駆動である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、一群駆動の場合に輝度分布を用いたオートフォーカス動作の開始判定を行ってもよい。
【0098】
以上の実施形態によれば、第2の判定情報算出部(図12の輝度分布算出部351)は、撮像画像の輝度分布を表す情報を第2の判定情報として算出する。
【0099】
具体的には、図11(D)で説明したように、判定情報算出部は、撮像画像の中央部である第1の領域と、撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域(例えば第2〜第9の領域)を設定する。判定情報算出部は、第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、輝度分布を表す情報として算出する。フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、上記領域の数が第3の閾値Th3よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を開始する。
【0100】
このようにすれば、コントラスト変動量と、平均輝度が第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数と、に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、図10(A)〜図11(D)で説明したように、スクリーニング観察において撮像画像の中央部が周辺部よりも暗くなることを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0101】
4.第2の実施形態の変形例
以上の実施形態では、撮像画像の平均輝度値又は輝度分布を判定条件に用いたが、本実施形態はこれに限定されず、例えば調光制御値を判定条件に用いてもよい。第2の実施形態の変形例として、この調光制御値を判定条件に用いる場合について説明する。
【0102】
図13に、第2の実施形態の変形例における焦点位置制御部303の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、判定部360、フォーカス制御部365を含む。フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。なお以下では、第1、第2の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0103】
この変形例では第2の実施形態と比べて、輝度分布算出部が削除される点と、光量制御部102からの調光制御値が直接、判定部360に入力される点と、が異なる。
【0104】
具体的には、判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、光量制御部102から出力される調光制御値と、制御部302から出力される閾値Th1、Th4が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、調光制御値に対して閾値Th4により閾値判定を行う。
【0105】
ここで、調光制御値とは、被写体に照射される照明光の光量を表す制御値であり、光量制御部102が調光制御により調整した制御値である。例えば、図示しない絞りにより光量を制御する場合、調光制御値は、その絞りの開口を表す制御値である。あるいは、駆動電流により光量が制御されるLEDを光源とする場合、その駆動電流を表す制御値である。なお、以下では、照明光の光量が大きいほど調光制御値が大きい場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0106】
オートフォーカス制御を行うか否かの判定条件は以下の通りである。即ち、判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ調光制御値が閾値Th4より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0107】
ここで、閾値Th4による閾値判定について詳細に説明する。光源部100は、撮像部200の先端にある照明レンズ202から照射される照明光量を制御し、撮像素子209に結像する被写体像を適正露光に調整する。この調光制御は、光量制御部102が白色光源101の光量を制御することにより行う。照明レンズ202からの照明光は拡散光であるので、被写体(生体)と対物レンズ203との相対距離が小さいほど、少ない光量でも適正露光を得られることになる。即ち、調光制御が行われることにより、近接拡大観察ではスクリーニング観察の場合よりも照明光の光量が小さくなる。そのため、光量制御部102の調光制御値を監視することで、近接拡大観察状態であるか否かをある程度の精度で判定できる。
【0108】
以上の実施形態によれば、合焦制御装置は、被写体を照明する照明光の光量を、撮像画像が適正露光となるように調整する制御を行う調光制御部(図13の光量制御部102)を含む。調光制御部は、照明光の光量を表す調光制御値を出力する。判定部360は、コントラスト変動量及び調光制御値が、開始条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0109】
具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、調光制御値が第4の閾値Th4よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を開始する。
【0110】
このようにすれば、コントラスト変動量と調光制御値に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、上述のように近接拡大観察では被写体がスコープ先端に近いため照明光の光量が調光により小さくなることを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0111】
5.時系列的な制御手法
次に、オートフォーカス制御を開始、一時停止、再開、終了する時系列的な制御手法について説明する。なお以下では、シングルオートフォーカスを想定して説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0112】
ここで、以下では説明を簡単にするために、第1の実施形態で説明した平均輝度変動量、あるいは第2の実施形態で説明した輝度分布や調光制御値は、判定条件を満足しているものとする。
【0113】
図14(A)に示すように、オートフォーカス制御の状態は、コントラスト値の変動に対してオートフォーカス制御がON状態である場合(A2、A4に示すON状態)と、オートフォーカス制御がOFF状態である場合(A1、A3に示すOFF状態)に区分される。上述のように、オートフォーカス制御は、コントラスト変動量に対する閾値判定により開始される。開始前と終了後においてはオートフォーカス制御はOFF状態であり、開始後から終了までの間は、ON状態とOFF状態を繰り返す。
【0114】
具体的には、コントラスト値が、図14(A)のB1に示すような時間変動をしたとする。コントラスト変動量算出部340で算出されるコントラスト変動量は、現時点から所定期間過去までのコントラスト値をハイパスフィルター処理した結果となる。そのため、図14(B)に示すように、コントラスト変動量には、所定期間に対応する遅延が生じる。図14(B)のC1に示すように、コントラスト変動量が閾値Th1を超えた時点でオートフォーカス制御が機能を開始する。
【0115】
次に、図14(A)のB2に示すように、被写体に合焦したとAF制御部370により判定されるとオートフォーカス制御を一時停止(中断)する。AF制御部370は、被写体に合焦したと判定したとき、オートフォーカス制御中断情報を制御部302へ出力する。このオートフォーカス制御中断情報は、制御部302を経由して判定部360に出力される。判定部360は、オートフォーカス制御中断情報が入力された場合には、コントラスト変動量の閾値判定結果を考慮せず、もう1つの閾値判定(平均輝度変動量、又は輝度分布、又は調光制御値)のみでオートフォーカス制御の終了判定を継続する。
【0116】
次に、図14(B)のC2に示すように、オートフォーカス制御の中断中においてコントラスト変動量が閾値Th1を超えた時点でオートフォーカス制御を再開する。この開始中断処理シーケンスは、開始判定がシングルAFのトリガーとなり、シングルAFの合焦判定が中断判定となる。この処理シーケンスは、第1、第2の実施形態において同様に適用できる。
【0117】
次に、オートフォーカス制御を終了する制御について説明する。この制御は、シングルAF、コンティニュアスAFのいずれにも適用できる。判定部360は、図15(A)のD1に示すようにコントラスト変動量が閾値Th1e以下であり、且つ図15(B)のE1に示すように平均輝度変動量が閾値Th2e以上(又は輝度分布が閾値Th3e以上、又は調光制御値が閾値Th4e以上)であるという判定条件を満たす場合、オートフォーカス制御を終了し、固定焦点制御に切換える。即ち、F1に示すオートフォーカス制御のON状態から、F2に示すオートフォーカス制御のOFF状態に移行する。
【0118】
この終了制御は、第1、第2の実施形態で実施できる。第1の実施形態では、オートフォーカス制御をズームレンズの駆動で行うため、表示画像が合焦動作中に変倍する。この点については、変倍率を検出して電子ズームで表示画像の倍率を揃えることで対応可能である。
【0119】
以上の実施形態によれば、フォーカス制御部365は、オートフォーカス制御を開始した後に、被写体像が合焦状態であると判定された場合、オートフォーカス制御を一時停止する。また本実施形態では、フォーカス制御部365は、一時停止中において開始条件を満たすと判定された場合、オートフォーカス制御を再開する。
【0120】
具体的には、オートフォーカス制御は、撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御である。この場合に、図14(A)等で説明したように、フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定されるとシングルオートフォーカス動作を行う。そして、フォーカス制御部365は、シングルオートフォーカス動作において合焦状態に至ったと判定された場合、次に開始条件を満たすと判定されるまでの間はシングルオートフォーカス動作を停止する。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定されると再びシングルオートフォーカス動作を行う。
【0121】
このようにすれば、オートフォーカス制御の開始後においてオートフォーカス制御の一時停止や再開を行うことができる。例えば図7で説明した一群駆動では、オートフォーカス動作に伴ってズーム倍率も変化する。そのため、合焦に至った場合にオートフォーカス制御を一時停止することによりズーム倍率の変化を止め、視認性を向上することができる。
【0122】
また本実施形態では、判定部360は、コントラスト変動量及び第2の判定情報が、終了条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス動作を終了する制御を行う。
【0123】
具体的には、第2の判定情報算出部(図8の平均輝度変動量算出部350、又は図12の輝度分布算出部351)は、撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量(又は撮像画像の輝度分布を表す情報)を、第2の判定情報として算出する。より具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が、第1の閾値Th1以下の第5の閾値Th1eよりも小さく、輝度変動量が、第2の閾値Th2以上の第6の閾値Th2e(又は第3の閾値Th3以上の第7の閾値Th3e)よりも大きいという終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了する。
【0124】
このようにすれば、コントラスト変動と、輝度情報に基づく第2の判定情報と、に基づいてオートフォーカス制御を終了するか否かの判定を行うことができる。即ち、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態でなくなった場合に、オートフォーカス制御を終了することが可能になる。
【0125】
また本実施形態では、判定部360は、コントラスト変動量及び調光制御値が終了条件を満たすか否かの判定を行い、フォーカス制御部365は、終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了してもよい。
【0126】
具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が、第1の閾値Th1以下の第5の閾値Th1eよりも小さく、調光制御値が、第4の閾値Th4以上の第8の閾値Th4eよりも大きいという終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了してもよい。
【0127】
このようにすれば、コントラスト変動と調光制御値に基づいてオートフォーカス制御を終了するか否かの判定を行うことができる。即ち、近接拡大観察よりもスクリーニング観察において照明光の光量が調光制御により大きくなることを利用して、近接拡大観察状態でなくなった場合にオートフォーカス制御を終了することが可能になる。
【0128】
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0129】
また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0130】
100 光源部、101 白色光源、102 光量制御部、
104 集光レンズ、200 撮像部、201 ライトガイドファイバー、
202 照明レンズ、203 対物レンズ、206 ズームレンズ駆動部、
207 ズームレンズ、208 フォーカスレンズ、209 撮像素子、
210 A/D変換部、211 フォーカスレンズ駆動部、
300 制御装置、301 画像処理部、302 制御部、
303 焦点位置制御部、315 画像取得部、
320 領域抽出部、330 コントラスト算出部、
340 コントラスト変動量算出部、350 平均輝度変動量算出部、
351 輝度分布算出部、360 判定部、365 フォーカス制御部、
370 AF制御部、380 固定焦点制御部、390 焦点制御選択部、
400 表示部、500 外部I/F部、501 ズームレバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡診断において体腔内の病変検出精度を向上させたいという要求があり、病変部と正常部の組織上の違いを顕微鏡相当の倍率で近接拡大観察することで検出精度向上を達成する拡大光学系を備えた内視鏡(以下では適宜、拡大内視鏡と呼ぶ)が一般的に知られている。
【0003】
このような拡大内視鏡には数十倍から数百倍の倍率を有したものがあり、染色散布や、狭帯域照明光による血管強調画像(NBI画像とも呼ぶ)との併用により、粘膜表層の微細な構造や血管走行のパターンを観察することができる。病変部と正常部ではこれらのパターンに違いが表れることが知られており、病変診断の1つの判定基準になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−304413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような拡大内視鏡により近接拡大観察を行なう場合、合焦を維持することが困難であるという課題がある。即ち、近接拡大観察では、高倍率になるに従って被写界深度は通常観察時に比べて極端に狭くなる。そうすると、内視鏡挿入部(以下では適宜、スコープ、又は撮像部と呼ぶ)の先端位置を、被写体に対して合焦範囲内に保持させ続けることは難しく、常に合焦した状態の画像を観察し続けるにはかなりの熟練を要するのが現状である。
【0006】
例えば、特許文献1には、内視鏡にオートフォーカス制御を組み込み、内視鏡操作部のスイッチによりユーザーがオートフォーカスの開始、終了を制御する手法が開示されている。しかしながら、この手法では、ユーザーがオートフォーカス制御の為に更に開始、終了を選択するためのスイッチ操作を行う必要がある為、使い勝手が良くないという課題がある。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、拡大観察状態となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始又は終了することが可能な合焦制御装置、内視鏡装置及び合焦制御方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部と、前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部と、を含む合焦制御装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、フォーカス評価値に基づいて算出された判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定が行われる。そして、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了が行われる。これにより、例えば拡大観察状態等となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始することが可能になる。
【0010】
また本発明の他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行う判定部と、前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えるフォーカス制御部と、を含む合焦制御装置に関係する。
【0011】
本発明の他の態様によれば、フォーカス評価値に基づいて算出された判定情報に基づいて、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替えるか否かの判定が行われる。そして、その判定の結果に基づいて、固定焦点制御とオートフォーカス制御が切り替えられる。これにより、例えば拡大観察状態等となった場合に固定焦点制御からオートフォーカス制御に自動的に切り替え、オートフォーカス制御を開始することが可能になる。
【0012】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系と、上記のいずれかに記載の合焦制御装置と、を含む内視鏡装置に関係する。
【0013】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得し、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行う合焦制御方法に関係する。
【0014】
また本発明の更に他の態様は、撮像光学系により撮像された画像を取得し、前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行い、前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替える合焦制御方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における内視鏡装置の構成例。
【図2】ズームレバーの構成例。
【図3】ズームレバーの操作に対する撮像光学系の被写界深度の変化についての説明図。
【図4】図4(A)は、近接拡大観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例。図4(B)は、スクリーニング観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例。
【図5】コントラスト変動量と相対距離の対応関係の例。
【図6】図6(A)は、近接拡大観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例。図6(B)は、スクリーニング観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例。
【図7】一群駆動の場合における撮像光学系の詳細な構成例。
【図8】焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図9】第2の実施形態における内視鏡装置の構成例。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、内視鏡による観察状態の例。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、各観察状態における撮像画像の輝度分布の例。図11(D)は、領域分割の例。
【図12】第2の実施形態における焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図13】第2の実施形態の変形例における焦点位置制御部の詳細な構成例。
【図14】図14(A)、図14(B)は、オートフォーカス制御の時系列的な制御手法についての説明図。
【図15】図15(A)、図15(B)は、オートフォーカス制御を終了する制御の手法についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0017】
1.本実施形態の概要
まず、本実施形態の概要について説明する。上述のように、拡大内視鏡により近接拡大観察を行なう場合、常に合焦した状態の画像を観察し続けるにはかなりの熟練を要する。そのため、合焦を維持するためにスコープ位置合わせの作業時間が増加し、全体の診断時間が長時間に及んでしまう。その結果、ドクターの疲労と共に患者の負担も大きくなるという課題がある。
【0018】
特許文献1には、上述のように、ユーザーがスイッチでオートフォーカスのオン・オフを制御する手法が開示されている。内視鏡においてスクリーニング観察を行う場合には、視野全域で合焦状態となる撮像系を設計するので、オートフォーカス制御を行う必要はない。一方、近接拡大観察時にのみユーザー操作によりオートフォーカス制御の有無を選択させることは有効である。
【0019】
即ち、従来の近接拡大観察における操作では、スコープの操作部にあるズームレバーを拡大状態となるように回す操作と共に、スコープの出し入れ及びスコープ先端のアングル調整によりスコープ先端と被写体との相対位置を調整する操作が必要である。相対位置の調整では、非常に狭い被写界深度内に被写体とスコープの相対距離を手動で合わせ続けながら、フレーミングも行う必要がある。このような操作はかなり難しいため、近接拡大観察においてオートフォーカス制御が加わると効果は大きい。
【0020】
しかしながら、特許文献1の手法では、オートフォーカス制御の開始や終了を選択する操作を、ユーザーがスイッチ操作により行う必要があるため、使い勝手が良くないという課題がある。
【0021】
そこで本実施形態では、オートフォーカスの開始や終了の選択をユーザー操作に依らずに、近接拡大観察状態と判定した場合に自動でオートフォーカス制御を開始する。即ち、図4(A)に示すように、近接拡大観察において画像のコントラスト変動が大きくなることを利用して、図5に示すように、コントラスト変動量が閾値よりも大きくなった場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0022】
2.第1の実施形態
2.1.内視鏡装置
次に、本実施形態の詳細について説明する。図1に、第1の実施形態における内視鏡装置の構成例を示す。内視鏡装置は、光源部100、撮像部200、制御装置300(プロセッサ部)、表示部400、外部I/F部500を含む。
【0023】
光源部100は、白色光源101と、光量制御部102と、白色光源101からの照明光をライトガイドファイバー201の入射端面に集光させる集光レンズ104とを、含む。
【0024】
撮像部200は、例えば体腔への挿入を可能にするため細長くかつ湾曲可能に形成されている。撮像部200は、光源部100で集光された光を導くためのライトガイドファイバー201と、ライトガイドファイバー201により先端まで導かれた光を拡散させて観察対象に照射する照明レンズ202とを、含む。また、撮像部200は、観察対象から戻る反射光を集光する対物レンズ203と、ズームレンズ駆動部206と、対物レンズ203を構成するズーム倍率調整用のズームレンズ207とを、含む。また、撮像部200は、集光した結像光を検出するための撮像素子209と、撮像素子209からの光電変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部210とを、含む。なお、撮像素子209は、原色や補色の色フィルターが所定の配列(例えばベイヤー配列)で各画素に配置された単板撮像素子であり、例えばCCDやCMOS等が利用できる。
【0025】
制御装置300は、画像処理部301と、制御部302と、焦点位置制御部303とを、含む。
【0026】
画像処理部301は、例えばホワイトバランス処理や階調変換処理等の画像処理を行う。制御部302は、内視鏡装置の各部の制御を行う。焦点位置制御部303は、固定焦点制御やオートフォーカス制御、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替える制御を行う。焦点位置制御部303の詳細については後述する。
【0027】
表示部400は、例えばCRTや液晶モニター等の動画表示可能な表示装置である。
【0028】
外部I/F部500は、この内視鏡装置に対するユーザーからの入力等を行うためのインターフェースである。外部I/F部500は、例えば電源のオン/オフを行うための電源スイッチや、撮影モードやその他各種のモードを切り換えるためのモード切換ノブ等を含んで構成されている。この外部I/F部500は、入力された情報を制御部302へ出力する。
【0029】
2.2.切り替え制御の手法
次に、固定焦点制御とオートフォーカス制御を切り替える制御について詳細に説明する。まず、2つの観察モードについて説明する。
【0030】
図2に、モード切換ノブの一例としてズームレバーの構成例を示す。図2に示すように、ズームレバー501をTELE端側に回すと、図7で後述するようにズームレンズが高倍率側に移動する。例えば1群駆動の光学系では、ズームレンズが高倍率側に移動するのに伴って、スコープ先端が被写体により近接した位置で合焦するようになる。一方、ズームレバー501をWIDE端に回すとズームレンズが低倍率側に移動し、スコープ先端が被写体からより離れた位置で合焦するようになる。
【0031】
さて、本実施形態の内視鏡装置では、観察倍率が異なる2つの観察状態(観察モード)で観察を行う。通常観察状態では、主にスクリーニング観察を行い、パンフォーカスの広視野画像で観察を行う。もう1つの近接拡大観察状態では、スクリーニング観察で見つかった病変部に近接し、その病変部の粘膜構造や血管走行状態等を拡大観察することで病変部が悪性であるか否かを精査観察する。
【0032】
このような2つの観察状態は、上述のように図2のズームレバー501をユーザーが操作することで自動的に切り替わる。ズームレバー501は、スクリーニング観察時はWIDE端の位置にあり、近接拡大観察を行う場合にTELE端に回すことで段階的にズーム倍率を切り替えることができるようになっている。
【0033】
図3を用いて、ズームレバー501の操作に対する撮像光学系の被写界深度の変化について説明する。撮像光学系とは、例えば図1の対物レンズ203、ズームレンズ207、撮像素子209により構成される光学系である。
【0034】
図3に示すように、WIDE端において被写界深度が一番広く、スクリーニング観察時に想定される被写体とスコープの間の相対距離が被写界深度内に入るように、撮像光学系が設計されている。一方、TELE端側へは段階的(例えば5段階等)に移動させることで被写界深度は狭くなるが、より被写体に近接して観察ができる状態となり、高倍率の近接拡大観察が可能となる。TELE端まで行くと被写界深度は非常に狭くなり、被写体である生体の拍動等の動きにより簡単に合焦状態が外れてしまう。
【0035】
このようなズームレバー操作に応じた被写界深度の違いを積極的に利用すると、近接拡大観察を行っているのか、或いはスクリーニング観察を行っているのかを画像からある程度判定できる。この点について、詳細に説明する。
【0036】
図4(A)に、近接拡大観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例を、模式的に示す。近接拡大観察では、合焦状態を維持する為にユーザーがスコープを操作することが想定されるが、スコープ先端と被写体(生体)との間の相対距離が、例えば生体の拍動等により被写界深度幅を超えて変化する確率が増える。そのため、合焦状態と非合焦状態とが時間的に繰り返す撮像画像が得られる。即ち、撮像画像は、コントラスト変動が大きい状態として検出されることになる。
【0037】
図4(B)に、スクリーニング観察における撮像画像のコントラスト値の時間的な変動特性例を、模式的に示す。スクリーニング観察では、被写界深度が広いので、生体の拍動やスコープ操作に対しても合焦状態が維持される確率が高い。高速にスコープを移動させた場合には、画像がボケる可能性があるが、この場合は合焦状態と非合焦状態の時間的な変動は継続しない。また、被写体内のどの場所を撮像しているかに依存する局所的なコントラスト変化により、画像がボケる可能性も考えられる。即ち、被写体である生体のヒダの有無や、管腔奥の暗部と手前の明部により局所的なコントラスト変化が発生し、スコープに移動に伴いコントラスト変化として観察される。これらのような例外的な状態を除けば、スクリーニング観察では、撮像画像のコントラスト変動が小さい状態として検出されることになる。上記の例外的な状態は、後述する別のパラメーターを利用することで切り分けることができる。
【0038】
図5に、コントラスト変動量と相対距離の対応関係の例を示す。図5では、図4(A)、図4(B)で説明したコントラスト変動量と、スコープ先端と被写体との間の相対距離との対応関係を、モデル化している。
【0039】
本実施形態では、このモデル化した対応関係を利用してオートフォーカス制御の開始、終了の選択を行う。具体的には、コントラスト変動量に対する閾値Th1を設け、画像から求めたコントラスト変動量が閾値Th1より大きい場合には、合焦状態を維持するのは難しいと判定してオートフォーカス制御を行う。一方、画像から求めたコントラスト変動量が閾値Th1以下の場合には、合焦状態の維持は容易であると判定して固定焦点による焦点制御、或いはズームレバー操作による手動焦点制御を行う。
【0040】
さて、上述のようにスクリーニング観察においても一時的にコントラスト変動が生じ、スクリーニング観察であるにも関わらず近接拡大観察であると判定される可能性がある。このようなコントラスト変動は、図5で説明したモデルに対して例外的なコントラスト変動である。本実施形態では、このような例外的なコントラスト変動を、コントラスト変動量とは別のパラメーターを用いて除外し、画像から近接拡大観察を判定する精度を向上させる。
【0041】
具体的には、図6(A)に、近接拡大観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例を模式的に示す。平均輝度値は、撮像画像の所定領域における平均輝度値である。所定領域は、撮像画像の一部(例えば撮像画像の中央部)であってもよいし、撮像画像の全部であってもよい。近接拡大観察では、スコープ先端と被写体とがほぼ正対した状態である。また、近接拡大状態では、光源部100の光量制御部102による調光制御は、スコープ先端と被写体との間の相対距離の時間変動に対して十分追従できるので、平均輝度値の時間変動は小さい。
【0042】
図6(B)に、スクリーニング観察における撮像画像の平均輝度値の時間的な変動特性例を模式的に示す。スクリーニング観察では、スコープ先端と被写体とは殆ど正対しておらず、また相対距離の時間変動は近接拡大観察時に比べて大きい。そのため、光源部100の光量制御部102による調光制御が完全には追従できないので、平均輝度値の時間変動は大きく振れる。即ち、単位時間あたりの平均輝度変動量に対する閾値Th2を設け、平均輝度変動量が閾値Th2より小さいことを判定条件とすることで、近接拡大観察であることをある程度は判定できる。
【0043】
以上の特性を利用して、本実施形態では、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、平均輝度変動量が閾値Th2よりも小さい場合にオートフォーカス制御を開始する。これにより、それぞれ単独で閾値判定を行う場合よりも、相互に補完しあって精度良くオートフォーカス制御が必要な近接拡大時を判定することができる。
【0044】
2.3.撮像光学系
図7に、一群駆動の場合における撮像光学系の詳細な構成例を示す。一群駆動では、ズームレンズのみがレンズ系内で移動可能な構成となっている。WIDE端では、レンズ系の先端からズームレンズまでの距離が離れた位置にズームレンズがあり、TELE端では、レンズ系の先端からズームレンズまでの距離が近い位置にズームレンズがある。
【0045】
ズームレンズ位置の駆動は、図1のズームレンズ駆動部206が行う。ズームレンズ位置は、図2のズームレバー501の操作量に応じて設定される。或いは、AF制御部370によるオートフォーカス制御量に対応して設定される。
【0046】
なお、上記ではズームレンズが駆動されることによりフォーカスも変化する一群駆動を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態の撮像光学系では、ズームレンズとフォーカスレンズが別個に駆動されてもよい。この場合、フォーカスはフォーカスレンズが駆動されることでフォーカスが調整される。フォーカスレンズの位置は、例えば図示しないフォーカスレバーの操作量に応じて設定され、或いは、AF制御部370によるオートフォーカス制御量に対応して設定される。
【0047】
2.4.焦点位置制御部
図8に、上述の閾値判定によりオートフォーカス制御と固定焦点制御の切り替えを行う焦点位置制御部の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、画像取得部315、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、平均輝度変動量算出部350、判定部360、フォーカス制御部365を含む。
【0048】
続いて、各構成要素間のデータの流れや、各構成要素が行う処理について説明する。単板撮像素子である撮像素子209で光電変換されたアナログ撮像信号は、A/D変換部210によりデジタル撮像信号に変換され、変換後の信号が画像処理部301に入力される。
【0049】
画像処理部301には、更に制御部302が接続されている。画像処理部301には、制御部302に予め保存されている処理パラメーター(OBクランプ値、WB係数、撮像素子209の色フィルター配列、色補正係数、階調変換テーブル、輪郭強調レベル等)が入力される。画像処理部301は、それらの処理パラメーターに基づいて、入力されたデジタル撮像信号に対して画像処理を行い、処理後の画像を撮像画像(又は、表示装置にて観察可能な表示画像)として出力する。画像処理部301は、その撮像画像を、領域抽出部320、及び平均輝度変動量算出部350、表示部400に出力する。
【0050】
画像取得部315は、画像処理部301からの撮像画像を取得し、取得した撮像画像を領域抽出部320に対して出力する。例えば画像処理部301が、画像処理後の撮像画像を図示しないメモリーに一時的に記憶し、画像取得部315が、そのメモリーに記憶された撮像画像を読み出すことにより、画像を取得する。
【0051】
領域抽出部320には、オートフォーカス制御に用いるコントラスト値を算出するための領域(コントラスト算出領域)を表す情報が、制御部302から入力される。領域抽出部320は、そのコントラスト算出領域情報に基づいて、画像処理部301の撮像画像からコントラスト算出領域の画像を抽出し、その抽出画像をコントラスト算出部330へ出力する。コントラスト算出領域は、例えば、撮像画像の中央部のN×M画素領域である。
【0052】
コントラスト算出部330は、領域抽出部320から出力される抽出画像のカラー信号を輝度信号に変換し、その輝度信号に対して、所定の周波数特性をもつハイパスフィルター(或はバンドパスフィルター)処理を行う。コントラスト算出部330は、ハイパスフィルター処理の結果を抽出画像内で積算し、その積算値をコントラスト値として算出し、算出したコントラスト値を、コントラスト変動量算出部340とAF制御部370へ出力する。
【0053】
コントラスト変動量算出部340は、コントラスト算出部330から出力されるコントラスト値に基づいてコントラスト変動量を算出する。具体的には、コントラスト変動量算出部340は、コントラスト値を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。コントラスト変動量算出部340は、メモリーに記憶された所定期間よりも古いコントラスト値を、新しく算出されたコントラスト値によって上書きする。コントラスト変動量算出部340は、メモリーに記録されている複数のコントラスト値に対して、所定周波数特性のハイパスフィルター(又はバンドパスフィルター)を作用させ、そのフィルター処理結果の積算値をコントラスト変動量として算出する。コントラスト変動量算出部340は、算出したコントラスト変動量を判定部360へ出力する。
【0054】
平均輝度変動量算出部350には、平均輝度を算出するための領域(平均輝度算出領域)を表す情報が、制御部302から入力され、撮像画像が画像処理部301から入力される。平均輝度変動量算出部350は、その平均輝度算出領域情報に基づいて撮像画像に対して平均輝度算出領域を設定し、その平均輝度算出領域の各画素の輝度値を算出し、平均輝度算出領域内における輝度値の総和を平均輝度値として算出する。平均輝度変動量算出部350は、その平均輝度値を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。平均輝度変動量算出部350は、メモリーに記憶された所定期間よりも古い平均輝度値を、新しく算出された平均輝度値によって上書きする。平均輝度変動量算出部350は、メモリーに記録されている複数の平均輝度値に対して、所定周波数特性のハイパスフィルター(又はバンドパスフィルター)を作用させ、そのフィルター処理結果の積算値を平均輝度変動量として算出する。平均輝度変動量算出部350は、算出した平均輝度変動量を判定部360へ出力する。
【0055】
判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、平均輝度変動量算出部350から出力される平均輝度変動量と、制御部302から出力される閾値Th1、Th2と、が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、平均輝度変動量に対して閾値Th2により閾値判定を行う。判定部360が行う判定は、オートフォーカス制御を行うか否かの判定であり、その判定条件は以下の通りである。
【0056】
即ち、判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ平均輝度変動量が閾値Th2より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0057】
フォーカス制御部365は、オートフォーカス制御を行うと判定部360により判定された場合にはオートフォーカス制御を行い、固定焦点制御を行うと判定部360により判定された場合には固定焦点制御を行う。具体的には、フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。
【0058】
AF制御部370には、コントラスト算出部330から出力されるコントラスト値と、ズームレンズ駆動部206から出力されるレンズ位置情報と、が入力される。レンズ位置情報は、可動のズームレンズ207がどの位置に存在するかを表す情報であり、レンズ位置は、例えば撮像光学系の光軸上において基準点(例えば対物レンズ先端)からズームレンズ207までの距離である。AF制御部370は、入力されたコントラスト値とレンズ位置情報を所定期間、一時的に保存するメモリー(図示しないメモリー)を有する。このメモリーはリングバッファーにより構成される。AF制御部370は、メモリーに記憶された所定期間よりも古いコントラスト値とレンズ位置情報を、新しく算出されたコントラスト値とレンズ位置情報によって上書きする。
【0059】
AF制御部370は、このメモリーに記録されている複数のコントラスト値に対して極大値の探索を行う。極大値が検出された場合、AF制御部370は、その極大値周辺の複数のレンズ位置情報を補間することにより、被写体に合焦するズームレンズ207の位置情報を駆動位置情報として算出する。駆動位置情報は、ズームレンズ207を現在の位置から駆動制御するときに、駆動先の位置を表す情報である。この補間では、極大値周辺のレンズ位置に対して、そのレンズ位置に対応するコントラスト値により重み付けを行うことで、ズームレンズ207の駆動位置情報を高精度に算出する。
【0060】
一方、極大値が検出されなかった場合、AF制御部370は、第1のコントラスト値と第2のコントラスト値の差分である第1差分値と、第2のコントラスト値と第3のコントラスト値の差分である第2差分値と、第1差分値又は第2差分値に基づく一次微分値と、第1差分値と第2差分値の差分である二次微分値と、を求める。第1のコントラスト値は、最も新しくメモリーに保存されたコントラスト値であり、第2のコントラスト値は、時間的に1つ前にメモリーに保存されたコントラスト値であり、第3のコントラスト値は、時間的に更に1つ前にメモリーに保存されたコントラスト値である。一次微分値は、例えば第1差分値である。
【0061】
算出したコントラスト二次微分値が負である場合は、AF制御部370は、コントラスト一時微分値と二次微分値を用いて極大値を外挿予測(例えば、2次式による外挿予測等)し、予測した極大値に対応するズームレンズ207の位置情報を、合焦位置情報として算出する。
【0062】
一方、算出したコントラスト二次微分値がゼロ以上である場合は、AF制御部370は、所定数Wとコントラスト1次差分の符号とを第1差分値に対して乗算し、その乗算値を、最も新しく保存されたズームレンズ207のレンズ位置情報に加算する。その加算値は、次のズームレンズ207の駆動位置情報として算出される。ここで、所定数Wは、コントラスト一次微分値の絶対値が所定閾値よりも小さい場合には、1より大きな所定値とする。一方、コントラスト一次微分値の絶対値が所定閾値以上の場合には、所定数Wは1とする。AF制御部370は、算出した駆動位置情報を、焦点制御選択部390へ出力する。
【0063】
固定焦点制御部380には、ズームレンズ駆動部206から出力されるズームレンズ207のレンズ位置情報と、制御部302から出力される予め定められた複数の固定レンズ位置情報と、が入力される。固定焦点制御部380は、複数の固定レンズ位置情報(複数の固定焦点位置情報)の中から、ズームレンズ207のレンズ位置との差が最も小さい1つの固定レンズ位置情報を選択し、選択した固定レンズ位置情報を駆動位置情報として焦点制御選択部390へ出力する。ここで、制御部302が出力する複数の固定レンズ位置情報は、図2のズームレバー501の離散的(例えば5段階)な制御量に対応した離散的なレンズ位置を、表す情報である。
【0064】
焦点制御選択部390は、判定部360から出力されるオートフォーカス制御開始終了判定情報に基づいて、AF制御部370から出力される駆動位置情報か、固定焦点制御部380から出力される駆動位置情報かのどちらかを選択する。焦点制御選択部390は、選択した駆動位置情報をズームレンズ駆動部206へ出力する。
【0065】
ズームレンズ駆動部206は、ズームレンズ駆動部206からの駆動位置情報に基づいて、その駆動位置情報が表すレンズ位置へズームレンズ207を移動させる。
【0066】
以上の実施形態によれば、図8に示すように、合焦制御装置は、画像取得部315と評価値算出部と判定情報算出部と判定部360とフォーカス制御部365を含む。画像取得部は、撮像光学系により撮像された画像を取得する。評価値算出部は、その撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する。判定情報算出部は、そのフォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する。判定部360は、その判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、その判定の結果に基づいて、オートフォーカス制御の開始又は終了を行う。
【0067】
このようにすれば、拡大観察状態となった場合にオートフォーカス制御を自動的に開始することが可能になる。即ち、近接拡大観察時において必要となるオートフォーカス制御を、手動切り替えではなく自動的に開始・終了の判定を行うことができる。そのため、ユーザーは切り替え操作に煩わされることなく診察に集中することができ、診察時間の短縮を図ることができる。
【0068】
例えば本実施形態では、合焦制御装置は焦点位置制御部303に対応する。撮像光学系は、対物レンズ203、ズームレンズ207、撮像素子209に対応する。評価値算出部はコントラスト算出部330に対応する。判定情報算出部はコントラスト変動量算出部340に対応する。なお、上記の実施形態ではフォーカス評価値がコントラスト値であり、判定情報がコントラスト変動量である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、フォーカス評価値は被写体像の合焦状態を評価する値であればよく、判定情報は、その値の時間的な変動を表す情報であればよい。
【0069】
ここで、オートフォーカス制御の開始とは、オートフォーカス動作によりフォーカス調整を行う制御状態を開始することであり、他のフォーカス制御からオートフォーカス制御に移ることである。例えば本実施形態では、固定焦点制御からオートフォーカス制御に移ることである。オートフォーカス制御の開始から終了までの期間には、図14(A)等で後述するように、オートフォーカス制御の一時停止から再開までの期間を含む。一時停止から再開までの期間では、一時停止前のオートフォーカス動作により設定されたレンズ位置にズームレンズ(又はフォーカスレンズ)が設定されており、オートフォーカス動作によりフォーカス調整された状態である。
【0070】
また本実施形態では、評価値算出部は、撮像画像の所定領域におけるコントラスト値をフォーカス評価値として算出する。判定情報算出部は、コントラスト値の時間変動を表すコントラスト変動量を判定情報として算出する。フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。図15(A)等で後述するように、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が終了条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を終了する。
【0071】
このようにすれば、コントラスト値の時間変動に基づいてオートフォーカス制御の開始又は終了の判定を行うことができる。即ち、図4(A)等で説明したように、近接拡大観察においてスクリーニング観察時よりもコントラスト値の変動が大きくなることを利用して、近接拡大観察においてオートフォーカス制御を行うことができる。
【0072】
なお、上記の実施形態では、コントラスト変動量がコントラスト値のハイパスフィルター処理結果である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されず、コントラスト変動量はコントラスト値の時間的な変動を表す情報であればよい。
【0073】
また本実施形態では、合焦制御装置は、撮像画像の輝度情報に基づいて第2の判定情報を算出する第2の判定情報算出部を含む。判定部360は、コントラスト変動量及び第2の判定情報が、開始条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0074】
具体的には、第2の判定情報算出部は、撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量(平均輝度変動量)を第2の判定情報として算出する。より具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、輝度変動量が第2の閾値Th2よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0075】
このようにすれば、コントラスト変動量と平均輝度の変動量に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、図6(B)等で説明したように、スクリーニング観察において近接拡大観察時よりも平均輝度の時間的な変動が大きいことを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0076】
例えば本実施形態では、第2の判定情報算出部は図8の平均輝度変動量算出部350に対応する。あるいは、第2の判定情報算出部は、図12で後述する輝度分布算出部351に対応する。なお、上記の実施形態では、輝度情報が平均輝度値であり、第2の判定情報が平均輝度値の時間的な変動量である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、輝度情報は撮像画像の輝度値に基づく情報であればよく、第2の判定情報は、スクリーニング観察状態を近接拡大観察状態から区別するための情報であればよい。
【0077】
3.第2の実施形態
3.1.内視鏡装置
図9に、第2の実施形態における内視鏡装置の構成例を示す。内視鏡装置は、光源部100、撮像部200、制御装置300(プロセッサ部)、表示部400、外部I/F部500を含む。上述した第1の実施形態と基本構成は同様である。なお以下では、第1の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0078】
第2の実施形態では、撮像光学系が二群駆動である点と、焦点位置制御部303が、コントラスト変動量と画像の輝度分布を用いてオートフォーカス制御と固定焦点制御を切り替える点が、第1の実施形態と異なる。
【0079】
まず、撮像光学系が二群駆動である点について説明する。撮像部200は、ライトガイドファイバー201と、照明レンズ202と、対物レンズ203と、ズームレンズ駆動部206と、ズームレンズ207と、フォーカスレンズ208と、撮像素子209と、A/D変換部210と、フォーカスレンズ駆動部211を含む。
【0080】
二群駆動では、図7で説明したレンズ系において、ズームレンズだけでなくフォーカスレンズも駆動される。このレンズ系では、オートフォーカス制御を、第1の実施形態のようなズームレンズの駆動ではなくフォーカスレンズの駆動により行う。このような2群駆動では、オートフォーカス制御を行う場合に倍率変動が殆ど無く、被写体のコントラスト値が安定して算出できる。また、オートフォーカス制御中でも倍率変動の無い見やすい表示画像を得ることができる。
【0081】
図9の内視鏡装置では、ズームレンズ207は、図2のズームレバー501の操作に連動してズームレンズ駆動部206により駆動され、オートフォーカス制御からは独立している。オートフォーカス制御や固定焦点制御では、フォーカスレンズ208がフォーカスレンズ駆動部211により駆動される。
【0082】
なお、二群駆動ではオートフォーカス制御をフォーカスレンズ208で行うため、表示倍率の変動がほとんど発生しない。そのため、二群駆動は、撮像光学系を被写体に合焦させる動作を継続的に行うコンティニュアスオートフォーカスに向いている。
【0083】
3.2.切り替え制御の手法
次に、オートフォーカス制御と固定焦点制御の切り替え制御について説明する。第2の実施形態では、撮像シーンの推定を第1の実施形態とは異なる手法で行うことでオートフォーカス制御の開始、終了を判定している。
【0084】
具体的には、図10(A)〜図10(C)に示すように、内視鏡による観察状態(観察シーン)は大まかに3つに分類される。図10(A)は、管腔に沿ってスクリーニングを行っている状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(A)に示すような輝度分布となる。図10(B)は、生体に接近して観察を行う状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(B)に示すような輝度分布となる。図10(C)は、近接拡大観察を行う状態を表しており、この状態での表示画像は、平均的には図11(C)に示すような輝度分布となる。
【0085】
本実施形態では、この3つの状態のうちの少なくとも図10(A)の状態(即ち図11(A)の輝度分布)を、オートフォーカス制御を行わない状態であると判定する。これにより、コントラスト変動量の判定精度を向上することができる。具体的には、図11(D)に示すように、表示画像を中央部の領域1と周辺部の領域2〜9の複数領域に分割し、各領域の平均輝度の分布を判定することで観察状態を判定する。
【0086】
また本実施形態では、図10(C)の近接拡大観察と判定した場合にオートフォーカス制御を行う。そのため図10(B)の観察状態と判別する必要があるが、この判別には、第1の実施形態で利用したコントラスト変動量を用いる。例えば、ズームレンズ位置がWIDE端であり、スコープ先端が被写体に近接していない状態であれば、図3で説明したように十分広い被写界深度が得られるので、コントラスト変動量は大きくない。一方、ズームレンズ位置がTELE端であり、スコープ先端が被写体に近接している状態であれば、図3で説明したように狭い被写界深度しか得られないので、被写体の拍動などの動きにより被写界深度を外れる頻度が多くなり、コントラスト変動として検出できる。
【0087】
3.3.焦点位置制御部
図12に、第2の実施形態における焦点位置制御部303の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、輝度分布算出部351、判定部360、フォーカス制御部365を含む。フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。
【0088】
以下では、第1の実施形態と異なる輝度分布算出部351と判定部360、固定焦点制御部380について詳細に説明する。
【0089】
輝度分布算出部351には、撮像画像が画像処理部301から入力され、撮像画像における輝度分布を算出するための分割領域情報が制御部302から入力される。輝度分布算出部351は、分割領域情報に基づいて撮像画像を複数の分割領域に分割し、その分割領域の各画素について輝度値を算出し、その輝度値を分割領域毎に総和し、その各分割領域における総和値を画素数で除算した値を、分割領域平均輝度値とする。例えば、複数の分割領域は、図11(D)で説明した9分割の領域であり、それぞれの領域について平均輝度値が算出され、その平均輝度値が分割領域平均輝度値として判定部360へ出力される。
【0090】
判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、輝度分布算出部351から出力される分割領域平均輝度値と、制御部302から出力される閾値Th1、Th3が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、分割領域平均輝度値に対して閾値Th3により閾値判定を行う。オートフォーカス制御を行うか否かの判定条件は以下の通りである。
【0091】
即ち、判定部360は、図11(D)に示す領域2〜領域9(周辺領域)の中で、領域1よりも分割領域平均輝度値が大きい領域の数を求める。判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ求めた領域数が閾値Th3より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0092】
ここで、閾値Th3による閾値判定について、図11(D)に示す領域1〜9を例に詳細に説明する。表示画像の中央部に位置する領域1の平均輝度よりも大きいという条件を、表示画像の周辺部に位置する領域2〜9の平均輝度のうち、例えば過半数(5領域)が満たすとする。この場合、本実施形態では、図11(A)の状態、即ち図10(A)で説明したように管腔に沿ってスクリーニング観察している状態であると判定する。
【0093】
コントラスト変動量に対する閾値判定では、スクリーニング観察において、撮像部200の出し入れ操作やアングル操作によってコントラスト変動量が閾値Th1以上であると判定されてしまう場合がある。例えば、画像中央部のコントラスト算出用の抽出領域内に管腔奥の暗部が入るとコントラスト値が低くなり、抽出領域内に管腔側壁が入るとコントラスト値が高くなる。このような状態がスコープ先端の動きにより頻繁に繰り返されると、図4(A)に示す近接拡大時のコントラスト変動に近似してくるので、誤判定の確率が大きくなる。そこで本実施形態では、この誤判定の確率を下げるために、分割領域平均輝度によるシーン判定を行い、管腔方向に沿ってスクリーニング観察を行う状態をオートフォーカス動作の開始判定から除外する。
【0094】
固定焦点制御部380は、ズームレンズ207ではなくフォーカスレンズ208の位置制御を行う。固定焦点制御部380には、ホームポジション情報が制御部302から入力され、ズームレンズ207の現在の位置情報がズームレンズ駆動部206から入力される。ここで、ズームレンズ207は複数の離散的な位置に設定可能であり、その離散的な各位置に対応してフォーカスレンズ208のホームポジションが設定され、そのホームポジションを表す情報がホームポジション情報である。固定焦点制御部380は、ズームレンズ207の現在の位置情報に対応するホームポジション情報を選択し、選択したホームポジション情報を駆動位置情報として焦点制御選択部390へ出力する。焦点制御選択部390により、この駆動位置情報が選択された場合、ホームポジション情報に基づいて、フォーカスレンズ208の位置をホームポジションに戻す制御が行われる。
【0095】
AF制御部370は、フォーカスレンズ駆動部211から出力されるフォーカスレンズ208の位置情報をレンズ位置情報として、第1の実施形態と同様の処理を行う。即ち、AF制御部370は、図示しないリングバッファーに所定期間におけるフォーカスレンズ208のレンズ位置情報とコントラスト値とを記憶し、このレンズ位置情報とコントラスト値に基づいて、フォーカスレンズ208を次に駆動させる位置の情報(駆動位置情報)を算出する。AF制御部370は、算出した駆動位置情報を焦点制御選択部390へ出力する。
【0096】
焦点制御選択部390は、オートフォーカス制御開始終了判定情報に基づいて、AF制御部370から出力される駆動位置情報か、固定焦点制御部380から出力される駆動位置情報かのどちらかを選択する。ズームレンズ駆動部206は、選択された駆動位置情報に基づいて、その駆動位置情報が表すレンズ位置へズームレンズ207を移動させる。
【0097】
なお、上記の実施形態では、撮像光学系が二群駆動である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、一群駆動の場合に輝度分布を用いたオートフォーカス動作の開始判定を行ってもよい。
【0098】
以上の実施形態によれば、第2の判定情報算出部(図12の輝度分布算出部351)は、撮像画像の輝度分布を表す情報を第2の判定情報として算出する。
【0099】
具体的には、図11(D)で説明したように、判定情報算出部は、撮像画像の中央部である第1の領域と、撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域(例えば第2〜第9の領域)を設定する。判定情報算出部は、第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、輝度分布を表す情報として算出する。フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、上記領域の数が第3の閾値Th3よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を開始する。
【0100】
このようにすれば、コントラスト変動量と、平均輝度が第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数と、に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、図10(A)〜図11(D)で説明したように、スクリーニング観察において撮像画像の中央部が周辺部よりも暗くなることを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0101】
4.第2の実施形態の変形例
以上の実施形態では、撮像画像の平均輝度値又は輝度分布を判定条件に用いたが、本実施形態はこれに限定されず、例えば調光制御値を判定条件に用いてもよい。第2の実施形態の変形例として、この調光制御値を判定条件に用いる場合について説明する。
【0102】
図13に、第2の実施形態の変形例における焦点位置制御部303の詳細な構成例を示す。焦点位置制御部303は、領域抽出部320、コントラスト算出部330、コントラスト変動量算出部340、判定部360、フォーカス制御部365を含む。フォーカス制御部365は、AF制御部370、固定焦点制御部380、焦点制御選択部390を含む。なお以下では、第1、第2の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0103】
この変形例では第2の実施形態と比べて、輝度分布算出部が削除される点と、光量制御部102からの調光制御値が直接、判定部360に入力される点と、が異なる。
【0104】
具体的には、判定部360には、コントラスト変動量算出部340から出力されるコントラスト変動量と、光量制御部102から出力される調光制御値と、制御部302から出力される閾値Th1、Th4が入力される。判定部360は、コントラスト変動量に対して閾値Th1により閾値判定を行い、調光制御値に対して閾値Th4により閾値判定を行う。
【0105】
ここで、調光制御値とは、被写体に照射される照明光の光量を表す制御値であり、光量制御部102が調光制御により調整した制御値である。例えば、図示しない絞りにより光量を制御する場合、調光制御値は、その絞りの開口を表す制御値である。あるいは、駆動電流により光量が制御されるLEDを光源とする場合、その駆動電流を表す制御値である。なお、以下では、照明光の光量が大きいほど調光制御値が大きい場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0106】
オートフォーカス制御を行うか否かの判定条件は以下の通りである。即ち、判定部360は、コントラスト変動量が閾値Th1より大きく、且つ調光制御値が閾値Th4より小さいという判定条件を満たす場合に、オートフォーカス制御を行うと判定する。判定部360は、判定条件を満たさない場合には、固定焦点制御を行うと判定する。判定部360は、判定結果をオートフォーカス制御開始終了判定情報として焦点制御選択部390へ出力する。
【0107】
ここで、閾値Th4による閾値判定について詳細に説明する。光源部100は、撮像部200の先端にある照明レンズ202から照射される照明光量を制御し、撮像素子209に結像する被写体像を適正露光に調整する。この調光制御は、光量制御部102が白色光源101の光量を制御することにより行う。照明レンズ202からの照明光は拡散光であるので、被写体(生体)と対物レンズ203との相対距離が小さいほど、少ない光量でも適正露光を得られることになる。即ち、調光制御が行われることにより、近接拡大観察ではスクリーニング観察の場合よりも照明光の光量が小さくなる。そのため、光量制御部102の調光制御値を監視することで、近接拡大観察状態であるか否かをある程度の精度で判定できる。
【0108】
以上の実施形態によれば、合焦制御装置は、被写体を照明する照明光の光量を、撮像画像が適正露光となるように調整する制御を行う調光制御部(図13の光量制御部102)を含む。調光制御部は、照明光の光量を表す調光制御値を出力する。判定部360は、コントラスト変動量及び調光制御値が、開始条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定された場合にオートフォーカス制御を開始する。
【0109】
具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が第1の閾値Th1よりも大きく、調光制御値が第4の閾値Th4よりも小さいという開始条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を開始する。
【0110】
このようにすれば、コントラスト変動量と調光制御値に基づいてオートフォーカス制御を開始するか否かの判定を行うことができる。即ち、上述のように近接拡大観察では被写体がスコープ先端に近いため照明光の光量が調光により小さくなることを利用して、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態であるか否かをより高精度に判定可能になる。
【0111】
5.時系列的な制御手法
次に、オートフォーカス制御を開始、一時停止、再開、終了する時系列的な制御手法について説明する。なお以下では、シングルオートフォーカスを想定して説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0112】
ここで、以下では説明を簡単にするために、第1の実施形態で説明した平均輝度変動量、あるいは第2の実施形態で説明した輝度分布や調光制御値は、判定条件を満足しているものとする。
【0113】
図14(A)に示すように、オートフォーカス制御の状態は、コントラスト値の変動に対してオートフォーカス制御がON状態である場合(A2、A4に示すON状態)と、オートフォーカス制御がOFF状態である場合(A1、A3に示すOFF状態)に区分される。上述のように、オートフォーカス制御は、コントラスト変動量に対する閾値判定により開始される。開始前と終了後においてはオートフォーカス制御はOFF状態であり、開始後から終了までの間は、ON状態とOFF状態を繰り返す。
【0114】
具体的には、コントラスト値が、図14(A)のB1に示すような時間変動をしたとする。コントラスト変動量算出部340で算出されるコントラスト変動量は、現時点から所定期間過去までのコントラスト値をハイパスフィルター処理した結果となる。そのため、図14(B)に示すように、コントラスト変動量には、所定期間に対応する遅延が生じる。図14(B)のC1に示すように、コントラスト変動量が閾値Th1を超えた時点でオートフォーカス制御が機能を開始する。
【0115】
次に、図14(A)のB2に示すように、被写体に合焦したとAF制御部370により判定されるとオートフォーカス制御を一時停止(中断)する。AF制御部370は、被写体に合焦したと判定したとき、オートフォーカス制御中断情報を制御部302へ出力する。このオートフォーカス制御中断情報は、制御部302を経由して判定部360に出力される。判定部360は、オートフォーカス制御中断情報が入力された場合には、コントラスト変動量の閾値判定結果を考慮せず、もう1つの閾値判定(平均輝度変動量、又は輝度分布、又は調光制御値)のみでオートフォーカス制御の終了判定を継続する。
【0116】
次に、図14(B)のC2に示すように、オートフォーカス制御の中断中においてコントラスト変動量が閾値Th1を超えた時点でオートフォーカス制御を再開する。この開始中断処理シーケンスは、開始判定がシングルAFのトリガーとなり、シングルAFの合焦判定が中断判定となる。この処理シーケンスは、第1、第2の実施形態において同様に適用できる。
【0117】
次に、オートフォーカス制御を終了する制御について説明する。この制御は、シングルAF、コンティニュアスAFのいずれにも適用できる。判定部360は、図15(A)のD1に示すようにコントラスト変動量が閾値Th1e以下であり、且つ図15(B)のE1に示すように平均輝度変動量が閾値Th2e以上(又は輝度分布が閾値Th3e以上、又は調光制御値が閾値Th4e以上)であるという判定条件を満たす場合、オートフォーカス制御を終了し、固定焦点制御に切換える。即ち、F1に示すオートフォーカス制御のON状態から、F2に示すオートフォーカス制御のOFF状態に移行する。
【0118】
この終了制御は、第1、第2の実施形態で実施できる。第1の実施形態では、オートフォーカス制御をズームレンズの駆動で行うため、表示画像が合焦動作中に変倍する。この点については、変倍率を検出して電子ズームで表示画像の倍率を揃えることで対応可能である。
【0119】
以上の実施形態によれば、フォーカス制御部365は、オートフォーカス制御を開始した後に、被写体像が合焦状態であると判定された場合、オートフォーカス制御を一時停止する。また本実施形態では、フォーカス制御部365は、一時停止中において開始条件を満たすと判定された場合、オートフォーカス制御を再開する。
【0120】
具体的には、オートフォーカス制御は、撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御である。この場合に、図14(A)等で説明したように、フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定されるとシングルオートフォーカス動作を行う。そして、フォーカス制御部365は、シングルオートフォーカス動作において合焦状態に至ったと判定された場合、次に開始条件を満たすと判定されるまでの間はシングルオートフォーカス動作を停止する。フォーカス制御部365は、開始条件を満たすと判定されると再びシングルオートフォーカス動作を行う。
【0121】
このようにすれば、オートフォーカス制御の開始後においてオートフォーカス制御の一時停止や再開を行うことができる。例えば図7で説明した一群駆動では、オートフォーカス動作に伴ってズーム倍率も変化する。そのため、合焦に至った場合にオートフォーカス制御を一時停止することによりズーム倍率の変化を止め、視認性を向上することができる。
【0122】
また本実施形態では、判定部360は、コントラスト変動量及び第2の判定情報が、終了条件を満たすか否かの判定を行う。フォーカス制御部365は、終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス動作を終了する制御を行う。
【0123】
具体的には、第2の判定情報算出部(図8の平均輝度変動量算出部350、又は図12の輝度分布算出部351)は、撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量(又は撮像画像の輝度分布を表す情報)を、第2の判定情報として算出する。より具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が、第1の閾値Th1以下の第5の閾値Th1eよりも小さく、輝度変動量が、第2の閾値Th2以上の第6の閾値Th2e(又は第3の閾値Th3以上の第7の閾値Th3e)よりも大きいという終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了する。
【0124】
このようにすれば、コントラスト変動と、輝度情報に基づく第2の判定情報と、に基づいてオートフォーカス制御を終了するか否かの判定を行うことができる。即ち、オートフォーカス制御が必要な近接拡大観察状態でなくなった場合に、オートフォーカス制御を終了することが可能になる。
【0125】
また本実施形態では、判定部360は、コントラスト変動量及び調光制御値が終了条件を満たすか否かの判定を行い、フォーカス制御部365は、終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了してもよい。
【0126】
具体的には、フォーカス制御部365は、コントラスト変動量が、第1の閾値Th1以下の第5の閾値Th1eよりも小さく、調光制御値が、第4の閾値Th4以上の第8の閾値Th4eよりも大きいという終了条件を満たすと判定された場合に、オートフォーカス制御を終了してもよい。
【0127】
このようにすれば、コントラスト変動と調光制御値に基づいてオートフォーカス制御を終了するか否かの判定を行うことができる。即ち、近接拡大観察よりもスクリーニング観察において照明光の光量が調光制御により大きくなることを利用して、近接拡大観察状態でなくなった場合にオートフォーカス制御を終了することが可能になる。
【0128】
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0129】
また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0130】
100 光源部、101 白色光源、102 光量制御部、
104 集光レンズ、200 撮像部、201 ライトガイドファイバー、
202 照明レンズ、203 対物レンズ、206 ズームレンズ駆動部、
207 ズームレンズ、208 フォーカスレンズ、209 撮像素子、
210 A/D変換部、211 フォーカスレンズ駆動部、
300 制御装置、301 画像処理部、302 制御部、
303 焦点位置制御部、315 画像取得部、
320 領域抽出部、330 コントラスト算出部、
340 コントラスト変動量算出部、350 平均輝度変動量算出部、
351 輝度分布算出部、360 判定部、365 フォーカス制御部、
370 AF制御部、380 固定焦点制御部、390 焦点制御選択部、
400 表示部、500 外部I/F部、501 ズームレバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、
前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部と、
を含むことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記評価値算出部は、
前記撮像画像の所定領域におけるコントラスト値を、前記フォーカス評価値として算出し、
前記判定情報算出部は、
前記コントラスト値の時間変動を表すコントラスト変動量を、前記判定情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が開始条件を満たすと判定された場合に前記オートフォーカス制御を開始し、前記コントラスト変動量が終了条件を満たすと判定された場合に前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記撮像画像の輝度情報に基づいて、第2の判定情報を算出する第2の判定情報算出部を含み、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記第2の判定情報が、開始条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記輝度変動量が第2の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の輝度分布を表す情報を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の中央部である第1の領域と、前記撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域を設定し、
前記第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が前記第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、前記輝度分布を表す情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記領域の数が第3の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記被写体を照明する照明光の光量を、前記撮像画像が適正露光となるように調整する制御を行う調光制御部を含み、
前記調光制御部は、
前記照明光の光量を表す調光制御値を出力し、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記調光制御値が、開始条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記調光制御値が第4の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項10】
請求項2において、
前記フォーカス制御部は、
前記オートフォーカス制御を開始した後に、前記被写体像が合焦状態であると判定された場合、前記オートフォーカス制御を一時停止することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記フォーカス制御部は、
前記一時停止中において、前記開始条件を満たすと判定された場合、前記オートフォーカス制御を再開することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記オートフォーカス制御は、前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御であり、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定されると前記シングルオートフォーカス動作を行い、
前記シングルオートフォーカス動作において前記合焦状態に至ったと判定された場合、次に前記開始条件を満たすと判定されるまでの間は前記シングルオートフォーカス動作を停止し、
前記開始条件を満たすと判定されると再び前記シングルオートフォーカス動作を行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項13】
請求項3において、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記第2の判定情報が、終了条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス動作を終了する制御を行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記輝度変動量が第2の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記輝度変動量が、前記第2の閾値以上の第6の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項16】
請求項13において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の輝度分布を表す情報を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記判定情報算出部は、
前記撮像画像の中央部である第1の領域と、前記撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域とを設定し、
前記第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が前記第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、前記輝度分布を表す情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記領域の数が第3の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記領域の数が、前記第3の閾値以上の第7の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項18】
請求項8において、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記調光制御値が、終了条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記調光制御値が第4の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記調光制御値が、前記第4の閾値以上の第8の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記フォーカス制御部は、
前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御を、前記オートフォーカス制御として行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項21】
請求項1において、
前記フォーカス制御部は、
前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を継続的に行うコンティニュアスオートフォーカス動作の制御を、前記オートフォーカス制御として行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項22】
撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、
前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行う判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えるフォーカス制御部と、
を含むことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項23】
撮像光学系と、
請求項1に記載の合焦制御装置と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項24】
撮像光学系と、
請求項22に記載の合焦制御装置と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項25】
撮像光学系により撮像された画像を取得し、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、
前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行い、
前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うことを特徴とする合焦制御方法。
【請求項26】
撮像光学系により撮像された画像を取得し、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、
前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行い、
前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えることを特徴とする合焦制御方法。
【請求項1】
撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、
前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行う判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うフォーカス制御部と、
を含むことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記評価値算出部は、
前記撮像画像の所定領域におけるコントラスト値を、前記フォーカス評価値として算出し、
前記判定情報算出部は、
前記コントラスト値の時間変動を表すコントラスト変動量を、前記判定情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が開始条件を満たすと判定された場合に前記オートフォーカス制御を開始し、前記コントラスト変動量が終了条件を満たすと判定された場合に前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記撮像画像の輝度情報に基づいて、第2の判定情報を算出する第2の判定情報算出部を含み、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記第2の判定情報が、開始条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記輝度変動量が第2の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の輝度分布を表す情報を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の中央部である第1の領域と、前記撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域を設定し、
前記第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が前記第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、前記輝度分布を表す情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記領域の数が第3の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記被写体を照明する照明光の光量を、前記撮像画像が適正露光となるように調整する制御を行う調光制御部を含み、
前記調光制御部は、
前記照明光の光量を表す調光制御値を出力し、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記調光制御値が、開始条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記調光制御値が第4の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項10】
請求項2において、
前記フォーカス制御部は、
前記オートフォーカス制御を開始した後に、前記被写体像が合焦状態であると判定された場合、前記オートフォーカス制御を一時停止することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記フォーカス制御部は、
前記一時停止中において、前記開始条件を満たすと判定された場合、前記オートフォーカス制御を再開することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記オートフォーカス制御は、前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御であり、
前記フォーカス制御部は、
前記開始条件を満たすと判定されると前記シングルオートフォーカス動作を行い、
前記シングルオートフォーカス動作において前記合焦状態に至ったと判定された場合、次に前記開始条件を満たすと判定されるまでの間は前記シングルオートフォーカス動作を停止し、
前記開始条件を満たすと判定されると再び前記シングルオートフォーカス動作を行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項13】
請求項3において、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記第2の判定情報が、終了条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス動作を終了する制御を行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の所定領域における平均輝度の時間変動である輝度変動量を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記輝度変動量が第2の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記輝度変動量が、前記第2の閾値以上の第6の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項16】
請求項13において、
前記第2の判定情報算出部は、
前記撮像画像の輝度分布を表す情報を、前記第2の判定情報として算出することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記判定情報算出部は、
前記撮像画像の中央部である第1の領域と、前記撮像画像の周辺部を分割した第2〜第nの領域とを設定し、
前記第2〜第nの領域のうちの、平均輝度が前記第1の領域の平均輝度よりも大きい領域の数を表す情報を、前記輝度分布を表す情報として算出し、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記領域の数が第3の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記領域の数が、前記第3の閾値以上の第7の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項18】
請求項8において、
前記判定部は、
前記コントラスト変動量及び前記調光制御値が、終了条件を満たすか否かの判定を行い、
前記フォーカス制御部は、
前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記フォーカス制御部は、
前記コントラスト変動量が第1の閾値よりも大きく、前記調光制御値が第4の閾値よりも小さいという前記開始条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を開始し、
前記コントラスト変動量が、前記第1の閾値以下の第5の閾値よりも小さく、前記調光制御値が、前記第4の閾値以上の第8の閾値よりも大きいという前記終了条件を満たすと判定された場合に、前記オートフォーカス制御を終了することを特徴とする合焦制御装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記フォーカス制御部は、
前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を1回行うシングルオートフォーカス動作の制御を、前記オートフォーカス制御として行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項21】
請求項1において、
前記フォーカス制御部は、
前記撮像光学系を被写体に合焦させる動作を継続的に行うコンティニュアスオートフォーカス動作の制御を、前記オートフォーカス制御として行うことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項22】
撮像光学系により撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出する評価値算出部と、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出する判定情報算出部と、
前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行う判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えるフォーカス制御部と、
を含むことを特徴とする合焦制御装置。
【請求項23】
撮像光学系と、
請求項1に記載の合焦制御装置と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項24】
撮像光学系と、
請求項22に記載の合焦制御装置と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項25】
撮像光学系により撮像された画像を取得し、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、
前記判定情報に基づいて、オートフォーカス制御を開始又は終了するか否かの判定を行い、
前記判定の結果に基づいて、前記オートフォーカス制御の開始又は終了を行うことを特徴とする合焦制御方法。
【請求項26】
撮像光学系により撮像された画像を取得し、
前記撮像画像に基づいて、被写体像の合焦状態を評価するためのフォーカス評価値を算出し、
前記フォーカス評価値に基づいて判定情報を算出し、
前記撮像光学系の焦点位置を予め設定された焦点位置に設定する固定焦点制御と、オートフォーカス制御とを切り替えるか否かの判定を、前記判定情報に基づいて行い、
前記判定の結果に基づいて、前記固定焦点制御と前記オートフォーカス制御を切り替えることを特徴とする合焦制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図11】
【公開番号】特開2013−80108(P2013−80108A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220092(P2011−220092)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]