【課題】従来のＬ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁は、底版が一体的構造からなるため、製品重量及び寸法制約により運搬可能範囲が限定されていた。これを分割、軽量化を図り経済性に優れた擁壁構造とする。
【解決手段】Ｌ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁における竪壁付け根から底版中央までの底版を設けない構造で、連結竪梁５と連結横梁２とからなる複数の梁構造部分と、前記複数の梁構造部分と連結される自在分離底版７と、分離竪版６とから構成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、従来のＬ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁の底版のうち、竪壁付け根から底版中央部までの底版を設けない構造とすることで、転倒条件に寄与する力の効率的効果の発現を実現し、部材の節減を行い、軽量化・経済性に優れる擁壁構造を提供する。
【背景技術】
【０００２】
従来のＬ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁では、底版は竪壁に接合した版構造であった。この従来の構造では、製品重量及び寸法の制約により運搬可能範囲が限定されていた。背景として、軽量化・運搬時の分割化・経済性が要求されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
従来の構造には次のような問題点があった。
（イ）従来のＬ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁では、底版は竪壁に接合した版構造であった。この従来の底版構造では、底版中央から竪壁の区間の底版重量及び土砂重量は、底版中心線に対して土圧力と同じ方向の転倒モーメントを発生させることとなっていた。
（ロ）竪壁と底版が一体化されているため、運搬可能な製品寸法に制限があった。
（ハ）より安価な価格が要求されていた。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
Ｌ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁において、竪壁付け根から底版中央までの底版を設けない構造とすることで、底版中央から竪壁の区間の底版重量及び土砂重量による底版中心線に対して土圧力と同じ方向の転倒モーメントを発生させない構造とすることで、部材量の合理的削減を図り、軽量化・経済性を実現することができる。
【発明の効果】
【０００５】
（イ）底版の約１／２が不要となるので、軽量化・経済性を実現できる。
（ロ）竪壁・底版をそれぞれ分離した構造とすることが可能となり、製品の分割運搬が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
（イ）竪壁（１）及び連結横梁（２）及び底版（３）の一体構造を構築する。
（ロ）竪壁（１）及び連結横梁（２）の一体構造を構築し、分離底版（４）を結合する。
（ハ）連結横梁（２）及び連結竪梁（５）及び底版（３）の一体構造を構築し、分離竪壁（６）を結合する。
（ニ）連結横梁（２）と連結竪梁（５）の一体構造を構築し、分離底版（４）及び分離竪壁（６）を結合する。
（ホ）鋼製（Ｈ型鋼等）の竪柱材（８）と横梁材（９）及び補強斜材（１０）を結合構築し、分離竪壁（１１）及び分離底版（１２）を結合する。分離底版には間詰め材（１３）を施工し分離底版（１２）と横梁材（９）を一体化する。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】 一体型構造の背面立体図
【図２】 底版分離構造の背面立体図
【図３】 竪壁分離構造の背面立体図
【図４】 竪壁及び底版分離構造の背面立体図
【図５】 鋼構造による側面図
【図６】 鋼構造による平面図
【符合の説明】
【０００８】
１ 竪壁
２ 連結横梁
３ 底版
４ 分離底版
５ 連結竪梁
６ 分離竪壁
７ 自在分離底版
８ 竪柱材
９ 横梁材
１０ 補強斜材
１１ 分離竪壁
１２ 分離底版
１３ 間詰め材

【特許請求の範囲】
【請求項１】
竪壁及び底版よりなるＬ型擁壁又は逆Ｔ型擁壁において、竪壁付け根から底版中央までの底版を設けない構造で、竪壁と、底版山側端部から底版中央部までの底版部と、竪壁と底版山側端部から底版中央部までの底版部を連結する１辺または複数辺の梁又は版で構成される擁壁構造。
【請求項２】
請求項１における擁壁構造において、鋼又は鉄筋コンクリートによる現場打ち工法により築造する方法。
【請求項３】
請求項１における擁壁構造みおいて、鋼製及びコンクリートブロックとして制作し、現地にて据付する方法。

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【公開番号】特開２０１０−４８０６９（Ｐ２０１０−４８０６９Ａ）
【公開日】平成２２年３月４日（２０１０．３．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２３５６６３（Ｐ２００８−２３５６６３）
【出願日】平成２０年８月１９日（２００８．８．１９）
【出願人】（５０３３１００４０）
【Ｆターム（参考）】