説明

合羽

【課題】 履物や足が濡れることを防止できる合羽を提供する。
【解決手段】 合羽のズボン10の前身頃の裾12に円弧上の切欠部14を形成することにより(図1、2)、裾12で靴54の側面部分54aを覆うことができる。また、切欠部14に靴54のつま先部分54bを覆う靴カバー16を取り付けることにより、靴54全体を覆うことができる。靴カバー16および合羽のズボン10により履物54全体を覆うことができるため、履物54および足52を濡らさないようにすることができる。
また、切欠部14に靴カバー取付部を取り付ける。これにより、靴54が露出する部分はつま先部分54bのみとなり、靴カバー16の取付が容易となり、靴カバー16を簡単に装着できる。また靴54が露出する面積も狭くできることから、靴カバー16の大きさを小さく形成できるため、歩行時又は自転車運転時に風を受け難くなり、風によって靴カバー16が靴54から外れることも防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合羽のズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
雨や雪が降ったときに身にまとう合羽は、安価であり軽くて持ち運びに便利なことから、旅行等の際の必需品として広く使用されている。
【0003】
しかし、合羽を着て歩行し又は自転車などを運転するとき、膝を曲げる際、合羽のズボンの裾が上がり、履物(又は足の部分)が合羽のズボンから露出する。そのため、合羽を着ているにもかかわらず、履物や足が濡れてしまうという問題があった。
【0004】
また、雨具ズボンがつり上がる分だけ雨具ズボンの丈を長くしてすることにより、靴の露出を防止できる。しかし、図8に示すように、雨具ズボン50の丈を長くすると、膝を伸ばしたとき足52の甲が接する靴54の部分の上に雨具ズボン50の裾56が止まり、靴54の側面部分54aおよびつま先部分54bが露出した状態になる。従って、雨具ズボンの丈を長くしたとしても、履物や足の濡れを防止できなかった。
そのため、合羽を着て歩行し又は自転車などを運転する際に、履物や足が濡れることを防止する雨具ズボンが提供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−78317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の雨具ズボンは、雨具ズボンに当該ズボン裾内側で縫い止める後ろ裾下がり止めベルトと、前裾の前の靴の上に設ける雨よけと、裾横に設けるホックボタン止めと、靴底よりまわしてホックボタン止めに止める面ファスナー付きの回転自在ベルトとを設けるものである。これにより、膝を曲げた際の雨具ズボンのつり上がり防止できズボンの裾と靴の間から雨水が入ることを防ぐことができる。
しかし、特許文献1の雨具ズボンは、その裾をホックボタン止めと面ファスナー付きの回転自在ベルトを用いて固定し、雨具ズボンのつり上がり防止するものであり、雨具ズボンで覆われない部分、すなわち履物のつま先部分(図8の靴54のつま先部分54b)が雨で濡れてしまうという欠点があった。
【0007】
本発明は、履物や足が濡れることを防止できる合羽を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の合羽は、そのズボンの前身頃の裾に靴の露出した部分を覆う靴カバーを取り付ける切欠部を形成するようにしたものである。
【0009】
また、本発明の合羽は、前記切欠部に前記靴カバーを取り付ける靴カバー取付部を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合羽は、合羽のズボンの前身頃の裾に円弧上の切欠部を形成するものである。これにより、切欠部に取り付ける靴カバーおよび合羽のズボンにより履物全体を覆うことができ、履物および足に雨があたらないようにすることができる。
また、切欠部に靴カバー取付部を取り付けることにより、靴カバーの装着が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の合羽の使用状態を示す図である。
【図2】図1の切欠部を表わす図である。
【図3】切欠部に靴カバーを取り付けた状態を表わす断面図である。
【図4】靴カバーを表わす図である。
【図5】靴カバーの固定部材の斜視図である。
【図6】図1の靴カバーを靴に固定した状態を表わす図である。
【図7】本発明の合羽のズボンの他の実施例を表わす図である。
【図8】合羽のズボンの裾を長くした場合の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、合羽を着用したとき履物を露出させないことを実現するものである。
【実施例】
【0013】
本発明の合羽を図に基づいて説明する。図1は、本発明の合羽の使用状態図である。図2は、図1の切欠部を表わす図である。図3は、切欠部に靴カバーを取り付けた状態を表わす断面図である。図4は靴カバーを表わす図であり、同図(a)は靴カバーの斜視図、同図(b)は靴カバーの底面図である。図5は、靴カバーの固定部材の斜視図である。図6は、図1の靴カバーを靴に固定した状態を表わす図である。
本発明の合羽は、その合羽のズボン10の前身頃の裾12に円弧上の切欠部14を形成するものである(図1、2)。切欠部14に靴54の露出部分54a、54bを覆う靴カバー16を取り付けることにより、靴カバー16および合羽のズボン10で靴54全体を覆うことができる。
【0014】
切欠部14のない雨具ズボン50では、足52の甲が接する靴54の上に雨具ズボン50の前身頃の裾56が止まることから、止まる裾56に靴54の側面部分54aに位置する裾56aが引っ張られ、裾56aで靴54の側面部分54aを覆うことはできない(図8)。これに対し、本発明の合羽のズボン10は、その前身頃の裾12に円弧状の切欠部14を設けて、足52の甲が接する靴54の部分の上に合羽のズボン10の前身頃の裾12が止まらないようにしている。これにより、靴54の側面部分54aに位置する裾12aでその側面部分54aを覆うことができる(図1、2)。すなわち、合羽のズボン10および靴カバー16によって靴54の靴底54cの位置まで裾12を下ろすことができる。靴54は合羽のズボン10および靴カバー16によりすっぽり覆うことができることから、靴54および足52に雨が当たることを防止でき、靴54および足52が濡れないようすることができる。
【0015】
靴カバー16は、切欠部14に留め具18を介して取り付けられている(図3)。留め具18は、面ファスナー、バッグの開閉部に使用されているマグネットボタン(磁石)などを使用することができる。
図3において、靴カバー16は、合羽のズボン10の表面に設けた留め具18を介して切欠部14に取り付けられているが、留め具18は合羽のズボン10の裏面に設けてもよい。
【0016】
靴カバー16は、靴54のつま先部分54bを覆うことができるような形状に形成する(図4)。靴カバー16の材質は、合羽のズボン1と同一の素材からなるものであってもよく、また防水性のある他の素材(例えば、合成樹脂等)からなるものであってもよい。
【0017】
靴カバー16を靴54に取り付ける手段としては、靴カバー16に伸縮自在の輪状のゴム紐20を設ける(図4(a)、(b))。靴54のつま先部分54bに靴カバー16を取り付けた後、ゴム紐20を靴54の踵54dに掛けることにより(図6)、靴54に靴カバー16を固定できる。なお、靴54に靴カバー16を確実に固定するために、靴54のつま先に引っ掛ける留め金具22(例えば、フック)を靴カバー16の先端部分に設けても良い(図4(b))。
他の靴カバー16の取付手段として、靴54のつま先に嵌着可能な靴カバー固定部材24を用いる(図5、図6)。なお、靴カバー固定部材11は、例えば板ばね、ゴム片などの弾性体により形成する。
【0018】
つぎに、本発明の合羽の他の実施例を図7に基づいて説明する。
本発明の合羽のズボン10の切欠部14に面ファスナー等の留め具を用いて略帯状の靴カバー取付部26を取り付ける。図7に示す靴カバー取付部26は、足52の甲が接する靴54の表面を覆うものである。靴54のつま先側の靴カバー取付部26の縁には面ファスナー等の留め具28が備えられており、その留め具28を介して靴カバー取付部26に靴カバー16が取り付けられるようになっている。
なお、靴カバー取付部26の幅は、足52の甲が接する靴54の表面を覆う程度の幅が好ましいが、これに限るものではない。
また、靴カバー16には、靴カバー取付部26の留め具28に係止する留め具(例えば、面ファスナー)が設けられているものとする。
【0019】
合羽のズボン10の切欠部14に靴カバー取付部26を設けることにより、靴54が露出する部分はつま先部分54bのみとなる。つま先部分54bの表面はほぼ平坦であることから、靴カバー16の取付が容易となり、靴カバー16を簡単に装着できる。また靴54が露出する面積も狭くできることから、靴カバー16の大きさを小さく形成できるため、歩行時又は自転車運転時に風を受け難くなり、風によって靴カバー16が靴54から外れることも防止できる。
【0020】
なお、靴カバー取付部26は、合羽のズボン10と一体に形成してもよい。また、靴カバー取付部26は、合羽のズボン1と同一の素材からなるものであってもよく、防水性のある他の素材(例えば、合成樹脂等)からなるものであってもよい。
【0021】
本発明の合羽のズボン10の丈は着用者の股下より長めに形成する。好ましくは、合羽のズボン10の着用者が膝を曲げたときに合羽のズボン10の裾12が靴54の靴底54cの位置と同じ位置になるように形成する。これにより、着用者が膝を曲げたときに靴54が合羽のズボン10から露出することを防止できる。
合羽のズボン10の丈を長くすると、着用者が膝を伸ばしたとき、裾12が地面に垂れる。これを防止するため、着用者が膝を曲げた状態で、踝の辺りで合羽のズボン10を結束する。着用者が膝を曲げると、合羽のズボン10の裾12は約10cmから15cm上がる。合羽のズボン10の丈を約10cmから15cm長くした場合、合羽のズボン10の長くした分だけ結束部分から下方に垂れるが、この垂れる長さは長くした分の半分の長さ(約5cmから7cm程度)であるため、裾12が地面に触れることはなく、裾12が地面に垂れることを防止できる。
【符号の説明】
【0022】
10 合羽のズボン
12 裾
14 切欠部
16 靴カバー
26 靴カバー取付部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合羽のズボンの前身頃の裾に靴の露出した部分を覆う靴カバーを取り付ける切欠部を形成することを特徴とする合羽。
【請求項2】
前記切欠部に前記靴カバーを取り付ける靴カバー取付部を設けることを特徴とする請求項1記載の合羽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−209508(P2010−209508A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31874(P2010−31874)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(509045586)
【Fターム(参考)】