説明

吊下げおもちゃ

【課題】人の歩行動作等に伴って点滅ライトが緩慢な揺れや定常的な揺れを起す場合においても、点滅ライトに内蔵された振動スイッチの振動子、固定接点が同じ振幅、振動数で同期振動するのを防止し、点滅ライトの点滅がタイムリーに行われる吊下げおもちゃの提供を課題とする。
【解決手段】人や人の持ち物、その他の物に取り付けて用いる吊下げおもちゃであって、内蔵した振動スイッチのオンにより一定時間点滅するようにした点滅ライト10と、該点滅ライト10に衝突することで、振動スイッチの可動電気接点を備えた振動子と該振動子に対向する固定電気接点を備えた固定子との間に相対的振動を付加する衝突振動付加体30とを、一対で備え、且つ点滅ライト10と衝突振動付加体30とを、それぞれ振り子の錘として、両者共通の取付基部50に吊下げ紐20、40を介して一緒に取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供等の人や人の持ち物、その他の物に吊り下げて用いる吊下げおもちゃに関し、より詳しくは、吊り下げた状態で振動が加わると、ランプが点滅するようにされた吊下げおもちゃに関する。
【背景技術】
【0002】
ランプが振動で点滅する吊下げおもちゃは、子供等のカバンや衣服、携帯具に取り付けることで、夜間等に点滅信号として、車等を運転する者やその他の者の注意を喚起する効果がある。係るおもちゃには電池が必要となるため、電池寿命を長くすることが一方で課題となるが、他方では肝心なときに点滅動作が効果的に行われることが課題となる。
特開平5−325601号公報(特許文献1)には、点滅式ライト装置が開示されている。この装置は、太陽電池(1)、蓄電器(4)、明暗検出器(7)、振動検出器(8)等を備え、吊り下げる等して用いることで、夜間等、暗闇で且つ振動がなされると点滅するように構成されており、電池消費を節約するようにしている。
実開平7−44896号公報(特許文献2)には、鈴つきライト、魚当たり告知器が開示されている。この鈴つきライトは、鈴(1)とライト(3)とクリップ(4)とを一体にした取付具を釣竿に取り付けて用い、振動によってライト(3)が点滅し、鈴(1)が鳴るようにして、光と音による告知効果を奏するようにしている。
特開平9−218082号公報(特許文献3)には、振動検出駆動回路と、これを利用したキーホルダーが開示されている。このキーホルダーは、振動検出センサー(100)、ワンショット回路部(200)、発振回路部(300)等を備え、振動検出センサー(100)が振動を検出すると、連続検出であっても、一定時間の間だけ発光ダイオード(520)を点滅させるようにして、電池消費の節約をするようにしている。
特開平10−5107号公報(特許文献4)には、警告灯を備えたキーホルダーが開示されている。このキーホルダーは、ばね(3)が揺れることで可動接点(4)が固定接点(5)に当接すると、スイッチが入るようにした振動センサー(2)が備えられ、歩行中の振動により点灯するようにして、歩行者等の存在確認の効果を奏するようにしている。
実用新案登録第3060719号公報(特許文献5)には、点滅する携帯具が開示されている。この携帯具は電源電池(2)と開始スイッチ(6)とボール(23)をドーム状固定接点(22)内に移動自在に保持した点滅スイッチ(20)と、光センサ(3)とを有し、開始スイッチ(6)で使用するときだけ電源電池(2)をオンし、光センサ(3)で暗くなったときだけ働くようにし、点滅スイッチ(20)で振動が生じたときだけ発光手段(1)が点滅するようにしており、電池消耗を防止しながら所持者の安全を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−325601号公報
【特許文献2】実開平7−44896号公報
【特許文献3】特開平9−218082号公報
【特許文献4】特開平10−5107号公報
【特許文献5】実用新案登録第3060719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献群に開示される点滅ライトの機構は、例えば特許文献5に示される開始スイッチ(6)、光センサ(3)、特許文献1示される明暗検出器(7)を装備することで、点滅ライトが必要とされる時期を予め限定することができようにした点で省電力化を促進するものである。また特許文献3に示されるワンショット回路部(200)を装備することで、振動検出センサー(100)の連続検出による連続駆動状態を防止するようにした点で、点滅ライトの省電力化に寄与している。
しかしながら上記特許文献1〜5に開示される点滅ライトの機構においては、振動を検出する振動検出器(8)、振動検出センサー(100)、振動センサー(2)、点滅スイッチ(20)で示される、いわゆる振動スイッチそのもの関しては、何ら特別な考慮がなされていない。
キーホルダー等の携帯具に吊り下げられて用いられる点滅ライトは、おもちゃ的であり、簡易な機構によるものが一般的である。簡易機構の点滅ライトでは、振動を検出する手段としては、振動の周波数や振幅を検出するような振動センサーではなく、特許文献3、4に示されるように、可動接点を有する振動子が揺れて固定接点に接触するとオンになる構造の振動スイッチが用いられている。
ところが、前記可動接点を有する振動子と固定接点を備えた振動スイッチを内蔵させた点滅ライトを吊り下げて用いる場合には、点滅ライトが揺れても、なかなかライトが点滅を行わないという問題が生じていた。
その原因は、可動接点を有する振動子と固定接点とは、相互に近接した位置に配置されるものの、両者が共に同じ点滅ライトのケース内に正に同舟状態となって存在することによるものであるに他ならない。
即ち、振動子と固定接点とが同舟状態にあると、例え吊り下げられた点滅ライトが揺れても、その揺れが比較的ゆっくりした揺れや定常的な往復運動である場合等には、振動子と固定接点の両者が同期して且つ同じ振幅、振動数で同様な慣性運動、加速度運動を行う結果となり、相互間の相対距離が変化し難い状況を形成するのである。
このような理由により、点滅ライトが揺れても、振動子と固定接点は非接触状態を継続し、或いはまた一旦接触状態になった状態を継続する傾向となり、結果として、歩行等による定常的な揺れによっては、光源の点滅がなかなか起こらない状況が生じるのである。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、人の歩行動作等、比較的緩慢な動作や定常的な動作に伴って点滅ライトが緩慢な揺れや定常的な揺れを起す場合においても、点滅ライトに内蔵された振動スイッチの振動子、固定接点が同じ振幅、振動数で同期振動するのを防止し、両者の接触と離脱とによる振動スイッチの動作が前記歩行等による緩慢な動作や定常的動作に対しても応答よく行われ、よって点滅ライトの点滅がタイムリーに行われる吊下げおもちゃの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吊下げおもちゃは、人や人の持ち物、その他の物に取り付けて用いる吊下げおもちゃであって、内蔵した振動スイッチのオンにより一定時間点滅するようにした点滅ライトと、該点滅ライトに衝突することで、前記振動スイッチの可動電気接点を備えた振動子と該振動子に対向する固定電気接点を備えた固定子との間に相対的振動を付加する衝突振動付加体とを、一対で備え、且つ前記点滅ライトと衝突振動付加体とを、それぞれ振り子の錘として、両者共通の取付基部に、吊下げ紐を介して一緒に取り付けてあることを第1の特徴としている。
また本発明の吊下げおもちゃは、上記第1の特徴に加えて、衝突振動付加体の吊下げ紐を点滅ライトの吊下げ紐よりも長くすると共にその吊下げ紐の先端部に衝突振動付加体を揺動自在に取り付け、吊下げ紐の先端部で独自に揺動する衝突振動付加体が点滅ライトに衝突するように構成してあることを第2の特徴としている。
また本発明の吊下げおもちゃは、上記第1又は第2の特徴に加えて、点滅ライトの振動スイッチは、点滅ライトのケースの一部に片持ち支持されたコイルバネからなる筒状の振動子と、点滅ライトのケースの一部に固定され、前記筒状の振動子の筒芯に常時非接触で配置される固定子とを有し、筒状の振動子のコイルバネが筒芯にある固定子に対して直角方向に相対振動することで前記固定子との接触がなるように構成したことを第3の特徴としている。
また本発明の吊下げおもちゃは、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、衝突振動付加体は、吊下げ紐に取り付けられた鈴であることを第4の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の吊下げおもちゃによれば、人の持ち物等に取り付けられた吊下げおもちゃは、歩行等の揺動原因により、その点滅ライトが振り子の錘として揺れ動く。このとき、点滅ライトと共通の取付基部に取り付けられた衝突振動付加体も振り子の錘として、揺れ動く。両者は一対の振り子として一緒に吊り下げた状態にあるので、吊下げおもちゃ全体に加わる比較的小さな揺れや緩慢な揺れ或いは定常的往復揺動に対しても、相互に錘同士の小さな衝突をくりかえす。衝撃振動付加体の衝突によって受ける点滅ライトの衝撃は、点滅ライト内の振動子と固定子とにとっては決して小さくなく、それらの間にかなり大きな相対的な振動変化を与える。即ち、固定子は点滅ライトの動きの変化(加速度変化)に一致するのに対して、振動子には慣性の法則が働く。このため振動子は衝突時に固定子に対して相対的に大きく振動して変位し、両者の接触がなされる。よって可動電気接点と固定電気接点との非接触と接触との状態変化を前記緩慢な揺動や定常的な往復揺動に対しても効果的に生じさせることができる。
以上より請求項1に記載の吊下げおもちゃによれば、吊り下げられた点滅ライトが揺れ動いた際に、内蔵された振動スイッチの振動子と固定接点とが同じ振幅、振動数で同期振動するのを防止し、両者の接触と離脱を前記揺動動作に対応して速やかに行うことができ、LED等の光源の点滅を歩行等の揺動原因に対してタイムリーに行うことができる。これによって、歩行者等の動きに応じた点滅ライトの点滅を第三者に確実に知らしめることもできる。
【0008】
請求項2に記載の吊下げおもちゃによれば、上記請求項1の構成による作用効果に加えて、衝突振動付加体の吊下げ紐を点滅ライトの吊下げ紐よりも長くすることで、歩行等による同じ揺動原因であっても、衝突振動付加体の揺れ方と点滅ライトの揺れ方に差が生じ易くなる。しかも衝撃振動付加体は、その吊下げ紐の先端において揺動自在に取り付け、吊下げ紐の先端部で独自に揺動する衝撃振動付加体が点滅ライトに衝突するように構成しているので、長くされた吊下げ紐の先端で容易に且つ独自に揺れ動いた衝撃振動付加体が点滅ライトに容易に衝突し、前記振動子と固定子との相対振動変化を一層容易に生じせしめることができる。これにより、歩行者等の動きによる緩慢な或いは定常的な点滅ライトの揺れに対しても、効果的に点滅ライトの点滅を生じさせることができる。
【0009】
請求項3に記載の吊下げおもちゃによれば、上記請求項1又は2の構成による作用効果に加えて、点滅ライトの振動スイッチは、点滅ライトのケースの一部に片持ち支持されたコイルバネからなる筒状の振動子と、点滅ライトのケースの一部に固定され、前記筒状の振動子の筒芯に常時非接触で配置される固定子とを有し、筒状の振動子のコイルバネが筒芯にある固定子に対して直角方向に相対振動することで前記固定子との接触がなるように構成したので、コイルバネからなる筒状の振動子と固定子とを用いた簡単な構成で点滅ライトの振動スイッチを構成することができる。この振動子とその固定子との組み合わせでは、点滅ライトが緩慢に揺動した場合や定常的な往復揺動する場合は、ケースの一部に片持ち支持された振動子とケースに固定された固定子とが同じ振幅、同振動数で同期して揺れるだけで、なかなかスイッチオンにはならない。しかし衝突振動付加体を組み合わせることで、点滅ライトに衝突を加えることができ、この衝突により前記振動子をそのコイルバネの筒芯に直角な方向へスライド振動させて、固定子との接触を容易に達成させることができる。
【0010】
請求項4に記載の吊下げおもちゃによれば、上記請求項1〜3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、衝突振動付加体は、吊下げ紐に取り付けられた鈴であることにより、鈴が持つ硬い材質によって点滅ライトに確実な衝突、振動を与えることができると共に、鈴自身も衝突による振動で音を鳴らす。従って本発明の吊下げおもちゃは、揺動によって点滅光に加えて鈴音を同時的に周囲に放つことができる。これにより周囲への存在をより効率よく知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る吊り下げおもちゃの全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る吊り下げおもちゃの点滅ライトの概略縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る吊り下げおもちゃの点滅ライトの点滅制御回路図である。
【図4】本発明の実施形態に係る吊り下げおもちゃの点滅ライトの振動スイッチの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の図面を参照して、本発明に吊り下げおもちゃを説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0013】
先ず図1を参照して、本発明の吊下げおもちゃは、点滅ライト10と衝突振動付加体30とを、一対で備えている。
前記点滅ライト10と衝突振動付加体30とは、それぞれ吊下げ紐20、40により、共通の取付基部50に一緒に取り付けてある。
【0014】
前記点滅ライト10は、振り子の錘として、吊下げ紐20の先端に取り付けられている。
吊下げ紐20の先端での点滅ライト10の取り付けは、点滅ライト10の基端部に設けた小リング11と、吊下げ紐20の先端部に設けた1乃至複数の小リング21、22とを相互に嵌め合せて繋ぐことで、点滅ライト10が吊下げ紐20の先端部で、吊下げ紐20に対して揺動自在となるように取り付けている。
吊下げ紐20は柔軟に屈曲することができる金属製の紐や、その他の紐とすることができる。吊下げ紐20の基端部には小リング23が設けられ、これを取付基部50の小リング51に相互に嵌め合せて、揺動自在に繋いでいる。
【0015】
前記衝突振動付加体30は、振り子の錘として、金属やセラミックス、その他の硬い材料で構成することができるが、吊下げ紐40の先端に取り付けられている。この衝突振動付加体30は、本実施形態では鈴として構成している。
吊下げ紐40の先端での衝突振動付加体30の取り付けは、上記点滅ライト10の場合と同様に、衝突振動付加体30の基端部に設けた小リング31と、吊下げ紐40の先端部に設けた1乃至複数の小リング41、42とを相互に嵌め合せて繋ぐことで、衝突振動付加体30が吊下げ紐40の先端部で、吊下げ紐40に対して揺動自在となるように取り付けている。
吊下げ紐40の基端部には小リング43が設けられ、これを点滅ライト10の場合と共通の取付基部50の小リング51に相互に嵌め合せて、揺動自在に繋いでいる。
本実施形態では、吊下げ紐40は、2つの吊下げ紐40a、40bを用い、相互に小リング44、45、46を介して揺動自在に繋いでいる。勿論、吊下げ紐40は1本としてもよい。2本を組み合わせることで、点滅ライト10側とはより異なる揺動がなされ易くなる。
【0016】
吊下げ紐40の長さは、点滅ライト10の吊下げ紐20よりも長くしている。長くする程度は、第1の条件として、吊下げ紐40の先端に取り付けられた錘としての衝突振動付加体30が、点滅ライト10に対して当初から隣り合って接することにより独自の揺動が制限されるのではなく、点滅ランプ10の動きとは別に独自に揺動することが可能な位置まで長くされていることである。第2の条件として、吊下げ紐40の先端で揺動する衝突振動付加体30が、同じく吊下げ紐20の先端で揺動する点滅ライト10と容易に衝突ができる至近距離の位置にあることである。この衝突は、衝突振動付加体30の基端側の肩部が点滅ランプ10の先端側の頭部に当たることで行われる。
以上のように、吊下げ紐40を長くして、上記第1、第2の条件を満たすような位置関係に点滅ライト10と衝突振動付加体30とを置くことによって、両者が頻繁に衝突を行い、その都度、点滅ライト10に大きな加速度変化をもたらす結果となる。
【0017】
前記取付基部50は、前記吊下げ紐20、40を取り付ける小リング51を備えている。取付基部50の本体である大リングの一部を開閉させることで、種々の物、例えば子供のランドセル等に取り付けることができる。
【0018】
前記点滅ライト10は、その概略構成を図2に示すように、本体ケース12aの先端部に透明の光源ケース12bが嵌合され、その光源ケース12b内にLEDからなる光源13が配置された構成となっている。
前記本体ケース12aと光源ケース12bとで、点滅ライト10のケース12を構成している。
前記光源ケース12bの基部には、振動スイッチ14、制御回路15が配置されている。またバネ状のリード線16が設けられている。光源ケース12bは本体ケース12aに対して着脱自在に螺合される。
本体ケース12a内には電池ボックス17が設けられ、ボタン状の電池18をセットできるようになされている。
【0019】
図3を参照して、前記電池18によって供給される電力は、前記バネ状のリード線16を含むリード線によって、振動スイッチ14、制御回路15、光源13に供給される。
前記制御回路15には、ワンショット回路15a、発振回路15b、駆動トランジスター15cが少なくとも設けられている。
前記制御回路15のワンショット回路15aは、振動スイッチ14がオンすることで、予め定めた一定期間だけ駆動信号を発振回路15bに送る。と同時に、ワンショット回路15aは、前記一定期間中での前記振動スイッチ14のオンには反応しない構成とされている。即ちワンショット回路15aは、前記一定期間が一旦終了した後における振動スイッチ14のオンに対してのみ、一定期間の駆動信号を発振回路15bに送る。
発振回路15bは、前記ワンショット回路15aからの駆動信号により、ハイとローからなるパルス信号を駆動トランジスター15cに送る。駆動トランジスター15cは、そのベース電圧がローとなったときだけ前記光源13に電流を流し、光源13を点滅させる。
なお、前記電池18によって供給される電力に対して、図示しない手動の電源スイッチを設けてもよい。
【0020】
図4を参照して、前記振動スイッチ14は、前記光源ケース12bの基部に制御回路15と共に固定状態に設けられている。よってこの固定状態において、振動移動スイッチ14も制御回路15も点滅ライト10のケース12(12a、12b)の一部として、点滅ライト10の揺動に対して一体となって従うことになる。
【0021】
前記振動スイッチ14は、振動子14aと、固定子14bとを有する。
前記振動子14aは、コイルバネからなる筒状の振動子で、本実施形態ではこれ自体が可動電気接点となっている。
振動子14aは、その基端部だけがスイッチケース14cの収容空間の内壁に固定され、先端側はフリーの状態、即ちカンチレバーとなっている。より広い意味で言えば、振動子14aは、前記点滅ライト10のケース12(12b)に片持ち支持されたカンチレバーとして構成されている。
前記振動子14aを構成するコイルバネは、何らかの衝撃を受けることで、その筒芯に直角な方向への振動変位が容易に行われるようにバネ特性を調整している。
振動子14aの基端部からは剛性のリード線14dが引き出されている。
【0022】
一方、前記固定子14bも、本実施形態ではそれ自体が固定電気接点となっている。従って振動子14aのどこが固定子14bに接触しても、振動スイッチ14がオンとなる。
固定子14bは、リード線14eの部分も含め、固定子14bの全体が剛性体として構成されている。そして剛性体からなる固定子14bは、そのリード線14e部分で制御回路15側のケースの一部から不動状態に立設されて、途中で折れ曲がってスイッチケース14cの収容空間内に侵入した状態に構成されている。
固定子14bの先端部分は、前記振動子14aのコイルバネの筒芯に侵入し、常時非接触に配置されている。ここで、常時非接触というのは、振動子14aの筒状のコイルバネが筒芯方向に真っ直ぐの状態にある状態では、振動子14aと固定子14bとは非接触を維持するという意味とする。
以上のように固定子14bが配置されることで、固定子14bは点滅ライト10のケース12(12a、12b)の一部として、点滅ライト10の揺動に対して一体となって従うことになる。
【0023】
今、点滅ライト10が緩慢に揺れている場合や、定常的な往復運動や円運動の揺れがなされている場合には、点滅ライト10内に共に収容された振動子14aと固定子14bとは同様な慣性運動的状態にあって、振動子14aに対してもそれを大きく振動させる力が働かない。
一方、点滅ライト10が例え定常的な運動をしている場合であっても、これに衝突振動付加体30の錘が衝突すると、走行中の電車やバスに急ブレーキがかかる(急激な加速度変化が生じる)のと同じで、点滅ライト10(固定子14b)に急激な加速度変化が生じ、一方、内部の乗客(振動子14a)には慣性の法則が働き、両者間で急激な相対的位置変化が生じる。即ち、衝突によって振動子14aが固定子14bに対して大きく相対振動を起し、コイルバネの筒芯に対して直角方向に振動して固定子14bに接触する。この振動子14aと固定子14bとの接触によって、振動スイッチ14がオンし、ワンショット回路15aが一定期間の駆動信号を発振回路15bに送る。これによって、発振回路15b、駆動トランジスター15cを介して、光源13が一定期間の点滅を繰り返す。
以上のようにして、点滅ライト10が単独の場合には、歩行等によって生じる点滅ライト10の緩慢な揺れや定常的な揺れでは点滅が効果的に行われないのに対して、点滅ライト10に衝突振動付加体30を組み合わせた構成とすることで、前記点滅ライト10の緩慢な揺れや定常的な往復運動に対して、衝撃的な加速度変化を効果的に生じせしめることができ、点滅ライトの点滅を歩行動作等の緩慢、定常的な動作に対しても効果的に行わせることができる。
【0024】
既述したように、前記衝突振動付加体30は本実施形態では鈴として構成している。鈴の材質としては金属製、セラミック製とすることができる。鈴とすることで、内部を転がる転動子による衝突力に増加が期待される。
他方、衝突振動付加体30を鈴とすることで、衝撃振動付加体30が点滅ライト10に衝突した際には、鈴音も発生される。これによって、点滅ライト10の点滅光と鈴音とによる光と音の複合を周囲に放つことができる。よって、おもちゃ自体の娯楽効果を上げることができると共に、特に歩行者等の存在を周囲へより効率的に知らしめることができる。
前記衝突振動付加体30には、燐光等の夜光材料を付与しておくことができる。これによって、夜間において、前記点滅光や鈴音に加えて、或いは点滅光が光っていない時においても、歩行者等の存在を周囲に知らしめることを一層効果的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は点滅することによって、おもちゃとしての娯楽効果を上げることができる他、人や人の持ち物等に吊り下げることによって、周囲にその存在を知らせることができるものとして、産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0026】
10 点滅ライト
11 小リング
12 ケース
12a 本体ケース
12b 光源ケース
13 光源
14 振動スイッチ
14a 振動子
14b 固定子
14c スイッチケース
14d リード線
14e リード線
15 制御回路
15a ワンショット回路
15b 発振回路
15c 駆動トランジスター
16 リード線
17 電池ボックス
18 電池
20 吊下げ紐
21 小リング
22 小リング
23 小リング
30 衝突振動付加体
31 小リング
40 吊下げ紐
40a 吊下げ紐
40b 吊下げ紐
41 小リング
42 小リング
43 小リング
50 取付基部
51 小リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人や人の持ち物、その他の物に取り付けて用いる吊下げおもちゃであって、内蔵した振動スイッチのオンにより一定時間点滅するようにした点滅ライトと、該点滅ライトに衝突することで、前記振動スイッチの可動電気接点を備えた振動子と該振動子に対向する固定電気接点を備えた固定子との間に相対的振動を付加する衝突振動付加体とを、一対で備え、且つ前記点滅ライトと衝突振動付加体とを、それぞれ振り子の錘として、両者共通の取付基部に、吊下げ紐を介して一緒に取り付けてあることを特徴とする吊下げおもちゃ。
【請求項2】
衝突振動付加体の吊下げ紐を点滅ライトの吊下げ紐よりも長くすると共にその吊下げ紐の先端部に衝突振動付加体を揺動自在に取り付け、吊下げ紐の先端部で独自に揺動する衝突振動付加体が点滅ライトに衝突するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の吊下げおもちゃ。
【請求項3】
点滅ライトの振動スイッチは、点滅ライトのケースの一部に片持ち支持されたコイルバネからなる筒状の振動子と、点滅ライトのケースの一部に固定され、前記筒状の振動子の筒芯に常時非接触で配置される固定子とを有し、筒状の振動子のコイルバネが筒芯にある固定子に対して直角方向に相対振動することで前記固定子との接触がなるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊下げおもちゃ。
【請求項4】
衝突振動付加体は、吊下げ紐に取り付けられた鈴であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の吊下げおもちゃ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−170617(P2012−170617A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35466(P2011−35466)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【特許番号】特許第4734483号(P4734483)
【特許公報発行日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(511046966)
【Fターム(参考)】