説明

吊線切断用の把持具

【課題】架空ケーブルから完全に分離した状態で、架空ケーブルを吊り下げるための吊線を切断するに際して、切断された端部が跳ね上がらないようにした吊線切断用の把持具を提供する。
【解決手段】この吊線切断用の把持具は、吊線1を配置する空間部11及び吊線1を前記空間部11内に出し入れするための開口部12とを設けた一対のカバー部10,10と、該各カバー部10の空間部11内に配置され、前記開口部12側で広い間隔、奥側で狭い間隔をもって対峙する一対の可撓性のクランパ20,20と、一対のクランパ20,20の奥側の間隔を変更させる開閉手段30と、前記一対のカバー部10を連結する連結部材40とが備えられている。前記開閉手段30は、一方に右ネジの雄ネジ32aを形成し、他方に左ネジの雄ネジ32bと形成したスクリュー32と、クランパ20,20に形成された右ねじの雌ネジ31aと左ねじの雌ネジ31bとによって設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルその他の架空ケーブルを電柱間に架設するためのメッセンジャワイヤなどの吊線を切断するに際して、吊線を把持する吊線切断用の把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルのような架空ケーブルは、電柱間に架設されたメッセンジャワイヤなどの吊線に一体又は別体で吊り下げられる。吊線は、例えば7本の素線を束ねた撚り線であり、端部が電柱に引き留められ、あるいは、図6に示すように中継途中が電柱に引き留められる。
【0003】
図示した吊線1と架空ケーブル2とは、断面形状が8の字形に一体化されている。ただし、電柱3に引き留められる部分において、吊線1と架空ケーブル2とは分離している。この分離した部分の吊線1には一対の巻付グリップ4,4が反対向きに巻き付けられている。すなわち、巻付グリップ4は、U字状に二つ折りとされ、折り返された中間部において環状のシンブル5を半周し、先端側が電柱3から離れる方向に向けられている。
【0004】
一方、電柱3には、アーム6を保持するバンド7が巻き付けられている。アーム6は、電柱3から突出し、先端に一対のストラップ8,8が取り付けられている。このストラップ8,8の先端に前記シンブル5,5が取り付けられることにより、吊線1が張力を掛けた状態に電柱3に引き留められる。また、架空ケーブル2は、テンションが掛けられない状態で電柱3に架設される。吊線1及び架空ケーブル2は、図示したように電柱3を境に、架設方向が変更される場合と、真っ直ぐに架設される場合とがある。
【0005】
なお、光ファイバケーブルの心材となるスロットロッドを切断する場合に用いられる「光ファイバケーブルのスロットロッド切断用把持工具」が特許文献1に記載されている。この切断用把持工具は、光心線が螺旋状に巻き付いているスロットドットを切断するためのものであり、2つの把持部からなる把持手段と光心線を防護して支持する防護手段とが連結され、拡開許容手段が組み込まれていることを特徴としている。
【0006】
前記把持部は、スロットロッドを着脱自在に把持する。また、防護手段は、スロットロッドの切断箇所から離れた箇所で光心線を防護して支持する。また、拡開許容手段は、2つの把持部の間でスロットロッドを切断した時に、スロットロッドの張力作用方向に把持部を拡開拡動可能とするものである。
【0007】
この切断用把持工具によれば、防護手段がスロットロッドの切断箇所から離され、2つの把持部がスロットロッドを確実に支持したうえで、両把持部の間にあるスロットロッドの切断部分を切断する。したがって、この切断用把持工具は、スロットロッドを切断した直後に、スロットロッドに跳ね返ろうとする力が発生しても、この力が把持部の拡開拡動により吸収され、光心線が損傷しないようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−177252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6に示した吊線1は、シンブル5とシンブル5との間にも架け渡されている。しかし、例えば、シンブル5とシンブル5との間に高低差があったり、吊線1の架設方向が変更されたりすることによって、吊線1の長さが不足することから、さらに、シンブル5とシンブル5との間に架け渡された吊線1に作業者の足や工具などが引っ掛からないようにするため、シンブル5とシンブル5との間の部分の吊線1がボルトクリッパーのような所定の工具によって切断され、巻付グリップ4に巻回される。また、図示しない吊線1の端部を電柱3に引き留める場合も、吊線1の端部は切断された上で巻付グリップ4に巻回される。
【0010】
ただし、吊線1は撚り線であることから、吊線1を切断する前に、切断箇所にビニルテープが巻かれ、撚りがほどけないようにされている。しかし、吊線1は、ドラムなどに巻回された状態で保管されていることから、巻き癖が付いており、所定の工具を使用して切断されると、切断端部が跳ね上がり、作業者に怪我を負わせたり、吊線1付近に架設されている電話線、工作物、あるいは機器類などに接触し、損傷させたりすることがある。
【0011】
一方、特許文献1に記載された切断用工具は、光心線が螺旋状に巻き付いているスロットドットを切断するためのものであり、スロットドットを切断した際に生じる跳ね返り作用力が光心線に及ばないように拡開許容手段が備えられている。したがって、架空ケーブル2から完全に分離した吊線1を切断するために、特許文献1に記載された切断用工具を使用しても、拡開許容手段や防護手段が無駄なものとなる。換言すれば、特許文献1に記載された切断用工具は、架空ケーブル2から完全に分離した吊線1を切断するものとして適していない。
【0012】
そこで、本発明は、架空ケーブルから完全に分離した状態で、架空ケーブルを吊り下げるための吊線を切断するに際して、切断された端部が跳ね上がらないようにした吊線切断用の把持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る吊線切断用の把持具は、吊線を配置する空間部及び吊線を前記空間部内に出し入れするための開口部を設けた一対のカバー部と、該各カバー部の空間部内に配置され、前記開口部側で広い間隔、奥側で狭い間隔をもって対峙する一対の可撓性のクランパと、該一対のクランパの奥側の間隔を変更させる開閉手段と、前記一対のカバー部を連結する連結部材とが備えられていることを特徴としている。
【0014】
この吊線切断用の把持具によれば、開閉手段によって一対のクランパの奥側の間隔が離間した状態とし、この一対のクランパの奥側に吊線を配置した後、開閉手段によって一対のクランパの奥側の間隔を狭くすることにより、吊線が一対のクランパに把持された状態とすることができる。
【0015】
一対のクランパはカバー部の空間部内に配置され、カバー部は一対備えられていることから、吊線は2か所でクランパに把持された状態となる。そして、吊線は、各クランパに把持された間で切断されるが、切断端部付近がクランパに保持されていることから、切断端部は跳ね上がることがない。
【0016】
また、前記本発明に係る吊線切断用の把持具において、前記開閉手段は、一方に右ネジの雄ネジを形成し、他方に左ネジの雄ネジを形成したスクリューと、前記右ネジの雄ネジに螺合するように前記一方のクランパに形成された雌ネジと、前記左ネジの雄ネジに螺合するように前記他方のクランパに形成された雌ネジとからなることが好ましい。
【0017】
この吊線切断用の把持具によれば、スクリューに形成された右ネジの雄ネジと左ネジの雄ネジとが各クランパに形成された雌ネジに螺合することにより、スクリューを一方に回すことによって一対のクランパの奥側の間隔を狭くし、スクリューを他方に回すことによって一対のクランパの奥側の間隔を広くすることができる。
【0018】
また、前記本発明に係る吊線切断用の把持具において、一対のクランパ間に位置している吊線が前記スクリューに衝突しないようにするためのストッパがスクリュー付近の両方のクランパもしくは一方のクランパ又はカバー部に設けられていることが好ましい。
【0019】
この吊線切断用の把持具によれば、ストッパによって吊線がスクリューに衝突しないようにすることができるため、スクリューに形成された右ネジの雄ネジと左ネジの雄ネジとは、吊線が衝突して損傷することがない。
【0020】
また、前記本発明に係る吊線切断用の把持具において、前記一対のクランパの対向面には、吊線を係止する溝が形成されていることが好ましい。
【0021】
この吊線切断用の把持具によれば、吊線が一対のクランパの対向面に形成された溝に係止されることにより、吊線は位置ずれすることなく把持される。
【0022】
また、前記本発明に係る吊線切断用の把持具において、前記カバーの開口部には、奥側に傾倒する姿勢と開口部を塞ぐ状態の姿勢とに揺動するフラップが備えられていることが好ましい。
【0023】
この吊線切断用の把持具によれば、吊線をカバー部の開口部から一対のクランパ間に位置させるときは、フラップが傾倒し、吊線が一対のクランパ間に位置したときは、フラップが開口部を塞ぐ状態となるため、吊線が切断された後、切断端部が開口部側に彎曲した形状に変形しても、フラップによって開口部から飛び出すことがない。なお、フラップが開口部を塞ぐ状態とは、フラップが開口部を完全に塞ぐ状態とほぼ塞ぐ状態との両方を含む。
【0024】
また、前記本発明に係る吊線切断用の把持具において、前記クランパは、板状体を側面がノ字状に撓曲した形状に成形したものであり、一対のクランパが八字状に対峙していることが好ましい。
【0025】
この吊線切断用の把持具によれば、クランパの側面がノ字状に撓曲した形状の板状体からなり、一対のクランパが八字状に対峙していることにより、クランパが吊線を把持する状態と把持しない状態とに変形しやすいものとされ、さらに、吊線を把持する部分のクランパが平行に対峙することにより、吊線は両側面から強い力でクランパに把持される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、吊線を把持する一対のクランパを備えた吊線切断用の把持具が提供されることにより、吊線を切断したときの切断端部が跳ね上がらず、作業者が怪我を負ったり、電話線や機器類などを損傷させたりしないようにすることができる。また、本願発明に係る吊線切断用の把持具は、構造が簡単であるため、大量生産することができ、したがって安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る吊線切断用の把持具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る吊線切断用の把持具の一実施形態であって、吊線を把持していない状態を示す要部拡大側面図である。
【図3】本発明に係る吊線切断用の把持具の一実施形態であって、吊線を把持している状態を示す要部拡大側面図である。
【図4】本発明に係る吊線切断用の把持具の実施形態であって、ストッパの変形例を示す要部拡大側面図である。
【図5】本発明に係る吊線切断用の把持具の実施形態であって、カバー部の変形例を示す斜視図である。
【図6】吊線を電柱に架設した状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る吊線切断用の把持具の一実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。この吊線切断用の把持具は、吊線1を配置する一対の可撓性のカバー部10,10と、各カバー部10内に配置される一対のクランパ20,20と、この一対のクランパ20,20の間隔を変更させる開閉手段30と、前記一対のカバー部10,10を連結する連結部材40とを備えている。
【0029】
カバー部10は、側面形状が図示したような下向きコ字形に、又は図示しない下向きU字形などに形成され、内側が吊線1を配置する空間部11とされ、下側に吊線1を出し入れするための開口部12が設けられている。
【0030】
このカバー部10の開口部12側の一端部と連結部材40の先端部とが一体化されている。連結部材40は、馬蹄形ないしU字形に形成され、両先端部にカバー部10が設けられることにより、一対のカバー部10,10が一定の間隔をもって配置される。また、連結部材40の下端部には、作業者が握るためのグリップ41が設けられている。
【0031】
そして、クランパ20は、板状体を側面がノ字状に撓曲した形状に成形したものであり、一対のクランパ20,20が八字状に対峙することにより、カバー部10の開口部12側で広い間隔、奥側で狭い間隔となるようにカバー部10の空間部11内に配置されている。クランパ20の下端部は、カバー部10の開口部12の内面に固定される。
【0032】
そのため、クランパ20の下端部には、例えば図2ないし図4に示すように、カバー部10の内面に当接する鍔状部20aが設けられ、この鍔状部20aとカバー部10とに貫通孔が形成され、両貫通孔にボルト21が挿通され、ナット22が締結されることによってクランパ20がカバー部10に固定されている。ただし、クランパ20とカバー部10とは、溶接などで固定してもよく、固定方法を限定するものでない。
【0033】
そして、一方のクランパ20の上部には、右ネジの雌ネジ31aが形成され、他方のクランパ20の上部には、左ネジの雌ネジ31bが形成されている。この両雌ネジ31a,31bに螺合する雄ネジ32a,32bを形成したスクリュー32がカバー部10の上部に架け渡されている。したがって、スクリュー32の一方に前記一方のクランパ20の右ネジの雌ネジ31aと螺合する右ネジの雄ネジ32aが形成され、他方に前記クランパ20の左ネジの雌ネジ31bと螺合する左ネジの雄ネジ32bが形成されている。このクランパ20の雌ネジ31a,31bとスクリュー32の雄ネジ32a,32bとによって一対のクランパ20,20の開閉手段30が設けられている。
【0034】
そして、スクリュー32の一端部は、図示したようにカバー部10内に埋め込まれ、又は図示しないがカバー部10から突出し、スクリュー32の他端部はカバー部10から突出し摘み33が取り付けられている。この摘み33を回すことにより、右ネジの雄ネジ32aと左ネジの雄ネジ32bとが反対方向に回転し、カバー部10の奥側に配置されている一対のクランパ20,20の上部側の間隔が近接し、あるいは離間する、すなわち間隔を変更することができるようにされている。
【0035】
そして、一対のクランパ20,20の対向面で、間隔が狭くなっている奥側寄りの部分には、吊線1を係止する溝23が形成されている。
【0036】
また、この溝23と前記雌ネジ31a,31bとの間のクランパ20,20の対向面には、図2及び図3に示すように、吊線1がスクリュー32に衝突しないようにするためのストッパ13,13が設けられている。このストッパ13,13は、図示したように、一対のクランパ20,20の対向面に内向きに突設され、一対のクランパ20,20が離間している状態において、ストッパ13,13の先端の間隔が吊線1の直径よりも狭くなるようにされている。したがって、ストッパ13,13の間隔が近接した状態において、両ストッパ13,13の先端が衝突しないように、各ストッパ13,13を突設する位置が上下方向にわずかにずらされている。
【0037】
ただし、ストッパ13は、一対のクランパ20,20が離間している状態において、吊線1がスクリュー32の方へ移動せず、かつ、一対のクランパ20,20が近接することができるように、一方のクランパ20にのみ突設してもよい。
【0038】
また、ストッパ13は、図4に示すように、一対のクランパ20,20が配置されていない部位(図4において、紙面の表面側及び/又は裏面側)において、カバー部10に架け渡されるバー状のものとしてもよい。そして、カバー部10にバー状のストッパ13を挿通する縦方向の長穴を(図示せず)形成し、この長穴内にストッパ13を下方向に付勢するバネなどの付勢部材(図示せず)をセットすることにより、外径の異なる種々の吊線1もストッパ13に当接し、吊線1がクランパ20に形成された溝23内に係止されるように位置決めするようにしてもよい。
【0039】
そして、カバー部10の開口部12には、奥側に傾倒する姿勢と開口部12を塞ぐ状態の姿勢とに揺動するフラップ14が備えられている。開口部12を塞ぐ状態の姿勢とは、フラップ14が開口部12を完全に塞ぐ状態と、図示したようなほぼ塞ぐ状態との両方を含む。
【0040】
この吊線1切断用の把持具は、以上のように構成され、次に、使用方法について説明する。まず、スクリュー32を回すことにより、図2に示すように、一対のクランパ20,20の奥側を離間させ、その間隔を広くしておく。また、吊線1の切断予定部位にビニルテープ(図示せず)を巻いておき、吊線1の撚りがほどけないようにしておく。
【0041】
そして、作業者がグリップ41を掴み、安定した状態で、両カバー部10,10を吊線1に沿わせる。次に、吊線1をカバー部10の開口部12から一対のクランパ20,20の間に入れ込む。このとき、フラップ14が図2の仮想線に示すように、奥側に傾倒することにより、吊線1を一対のクランパ20,20の間に入れ込むことができる。また、吊線1が入りすぎても、ストッパ13,13によって吊線1がスクリュー32に衝突することがなく、スクリュー32に形成された雄ネジ32a,32bが損傷しないようにされている。
【0042】
そして、吊線1が所定の位置まで入れられると、スクリュー32を回すことにより、カバー部10の空間部11奥側の一対のクランパ20,20を近接させ、その間隔を狭くすることにより、図3に示すように、吊線1がクランパ20の溝23内に係止され、クランパ20が吊線1を把持する状態とする。
【0043】
一対のクランパ20,20が八字状に対峙していることにより、クランパ20が吊線1を把持する状態と把持しない状態とに変形しやすいものとされ、さらに、クランパ20が板状体を成形したものであって幅があること、及び吊線1を把持する部分のクランパ20が平行に対峙することにより、吊線1は両側面から強い力でクランパ20に把持される。
【0044】
一対のクランパ20,20が吊線1を把持した後、一対のカバー部10,10間で、吊線1を切断する。連結部材40が馬蹄形ないしU字形に形成されていることから、所定の工具を一対のカバー部10,10間にセットし、吊線1を容易に切断することができる。そして、切断された吊線1の切断端部は、クランパ20によって把持されているため、跳ね上がることがない。また、切断端部が開口部12側に彎曲した形状に変形しても、フラップ14によって開口部12から飛び出すことがない。
【0045】
そして、スクリュー32を前記と反対方向に回すことにより、一対のクランパ20,20の間隔を広げ、切断された吊線1が一対のクランパ20,20に把持されない状態とする。フラップ14が開口部12を塞いだ状態としていても、吊線1は切断されることにより、カバー部10の空間部11から抜くことができる。そして、切断された吊線1の切断端部は、巻付グリップに巻き付けられ、電柱に引き留められる。
【0046】
なお、本発明は、前記の実施の形態に限定することなく、種々変更することができる。例えば、一対のカバー部10,10は、図5に示すように、一方の開口部12を下向きに、他方の開口部12を上向きにすることにより、吊線1が下向きに彎曲した形状に跳ね上がろうとしたときに、カバー部10によって衝止するようにすることができる。
【0047】
また、クランパ20に形成される溝23は、1本ではなく、鋸歯形状に多数本形成してもよいし、逆に、クランパ20を摩擦係数の大きなもので成形することにより、溝23を形成していないものとしてもよい。
【0048】
また、開閉手段30は、スクリュー32に形成した雄ネジ32a,32bと一対のクランパ20,20に形成した雌ネジ31a,31bによって構成するのでなく、一対のクランパ20,20の間隔が狭くなるように付勢するバネなどの弾性部材と、一対のクランパ20,20の間隔を広げるレバーなどによって構成してもよい。また、開口部12を狭窄する突出部がカバー部10に設けられることにより、フラップ14を備えないようにすることができる。
【0049】
さらに、前記の背景技術では、吊線が光ファイバケーブルを吊り下げる場合について説明したが、本願発明に係る吊線切断用把持具は、各種のケーブルなどを吊り下げる吊線を切断するために使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1………吊線
10……カバー部
11……空間部
12……開口部
13……ストッパ
14……フラップ
20……クランパ
23……溝
30……開閉手段
31a…雌ネジ
31b…雌ネジ
32……スクリュー
32a…雄ネジ
32b…雄ネジ
40……連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊線を配置する空間部及び吊線を前記空間部内に出し入れするための開口部を設けた一対のカバー部と、
該各カバー部の空間部内に配置され、前記開口部側で広い間隔、奥側で狭い間隔をもって対峙する一対の可撓性のクランパと、
該一対のクランパの奥側の間隔を変更させる開閉手段と、
前記一対のカバー部を連結する連結部材とが備えられていることを特徴とする吊線切断用の把持具。
【請求項2】
前記開閉手段は、一方に右ネジの雄ネジを形成し、他方に左ネジの雄ネジを形成したスクリューと、前記右ネジの雄ネジに螺合するように前記一方のクランパに形成された雌ネジと、前記左ネジの雄ネジに螺合するように前記他方のクランパに形成された雌ネジとからなることを特徴とする請求項1に記載の吊線切断用の把持具。
【請求項3】
一対のクランパ間に位置している吊線が前記スクリューに衝突しないようにするためのストッパがスクリュー付近の両方のクランパもしくは一方のクランパ又はカバー部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の吊線切断用の把持具。
【請求項4】
前記一対のクランパの対向面には、吊線を係止する溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吊線切断用の把持具。
【請求項5】
前記カバーの開口部には、奥側に傾倒する姿勢と開口部を塞ぐ状態の姿勢とに揺動するフラップが備えられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吊線切断用の把持具。
【請求項6】
前記クランパは、板状体を側面がノ字状に撓曲した形状に成形したものであり、一対のクランパが八字状に対峙していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吊線切断用の把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−200496(P2010−200496A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42790(P2009−42790)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)