説明

同一の毒素に対する抗体の巨大結合断片と小結合断片とを含む組成物

(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、を含む薬学的組成物。該組成物は、例えば、ボツリヌス毒素などの毒素への曝露後の、毒素中毒の治療に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な症状の治療において、特に、毒素によって引き起こされる症状の治療において有用な、抗体断片の組み合わせを含有する医薬組成物に関する。これらの組成物を用いた治療の方法は、本発明のさらなる側面を構成する。
【背景技術】
【0002】
動物又はヒト由来のポリクローナル抗体及び解毒剤又は毒素に対する抗血清を使用するという概念は、十分に確立されている。英国薬局方は、微生物並びにヘビ及びサソリなどの有毒動物によって産生される多数の毒液及び毒素に対する抗血清を収載している。
【0003】
抗血清は、目的の毒素に対して免疫されたウマ又はその他の哺乳動物の血清の分画によって取得される。一般に、抗血清の活性成分は完全な抗体(例えば、IgG、IgT)からなるが、近年では、F(ab)及びF(ab’)などの特異性除去抗体断片を使用する方向に移行している。
【0004】
これらの断片には、患者に対する副作用が少ないため、安全性が向上するという利点がある。
【0005】
しかしながら、ある種の毒素中毒の犠牲者を処置する場合には、何らかの医学的措置が有効である時期は極めて短い。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明の組成物は、迅速且つ持続的な抗毒素活性を与えることが見出された。これは、持続的な抗毒素能力を与えるために、第一及び第二の特異的結合因子の相互に補完的な特性を使用する効果を、本発明の組成物が生じ得るという事実によるものであろう。
【0008】
毒素中毒の治療の時期に影響を与える一つの要素は、抗毒素が身体を巡って毒素の作用部位に分配される速度である。第一の特異的結合因子の分子は、第二の特異的結合因子の分子ほど、血管外空間中に広く分配されないようである。第二の特異的結合因子は、血管外空間中に迅速に浸透する抗毒素能を与えて、迅速な保護を提供するようである。
【0009】
IgGなどの抗体及び断片の毒素への結合は可逆的であり、それ故、少なくとも幾らかの機能的抗体又は抗体断片が血漿中に残存して、放出された毒素を結合しなければ、放出される毒素によって生じる「リバウンド」効果のリスクが存在する。より小さな第二の特異的結合因子の分子が急速に排除されるということは、放出された毒素を「拭い去る」ために、血漿中で第二の特異的結合因子が使用される度合いが少ないということを意味し得る。しかしながら、第一の特異的結合因子の排除速度はより遅く、残存血漿レベルもより高いために、前記第一の特異的結合因子は放出された何れかの毒素を結合することによって、リバウンド効果を最小化し得る。さらに、第一の特異的結合因子は、排除速度がより遅いために、長時間の保護を与える。
【0010】
前記第一及び第二の結合因子は、抗原が同一の毒素に付随するものであれば、同一又は異別の抗原を結合し得る。
【0011】
適切には、それらは、毒素に対する不活化効果を有し、毒素が細胞に入ることを防ぐ。
【0012】
本明細書において使用される「毒素」という用語には、細菌、植物、ヘビ又は昆虫(サソリなど)の生物によって産生される、毒及び毒液が含まれる。「毒素」には、合成毒も含まれる。
【0013】
前記第一の特異的結合因子は、免疫グロブリン(IgG、IgM、IgE、IgA、IgD又はそれらの任意のサブクラスであり得る。)などの抗体を含むことができるが、特に、IgG又はIgTである。本発明の組成物において必要とされる第一の特異的結合因子の用量は、従来必要とされる用量より少なく、従って、アナフィラキシーショックの可能性など、有害な副作用又は反応が低減され、又は最小化され得る。しかしながら、所望であれば、前記抗体は、慣用法を用いて、「ヒト化」することができ、又はキメラ抗体を含むことができる。
【0014】
しかしながら、特に、前記第一の特異的結合因子は、抗体の巨大結合断片を含む。
【0015】
本明細書において使用される「巨大結合断片」という表現は、当該断片が由来する抗体のかなりの割合を含む抗体断片を表す。例えば、巨大結合断片は、全可変ドメイン及び定常領域(Fc)の一部を含むであろう。特に、巨大結合断片は、F(ab’)又はF(ab)断片を含むが、抗体配列の欠失変異体を含むこともできる。
【0016】
特に、前記第一の特異的結合因子は、F(ab’)又はF(ab)断片から選択される巨大結合断片を含む。本明細書で使用される頭字語は、本分野において慣用されているものであり、当業者であれば自明である。
【0017】
「小結合断片」という表現は、当該断片が由来する抗体の重要要素を欠如している抗体断片を表し、例えば、小結合断片は、毒素を結合する能力を保持している限り、Fc鎖のかなりの割合を欠如することができる。特に、小抗原結合断片には、Fab又はFab’断片、及び一本鎖(sc)抗体、FV、VH又はVK断片が含まれる。
【0018】
特に、前記第二の特異的結合因子は、Fab又はFab’断片から選択される小結合断片を含む。
【0019】
好ましくは、前記第一又は第二の特異的結合因子のうち少なくとも一つは、抗体のFc領域部分に相当する区画を含むであろう。
【0020】
本発明の組成物に使用される抗体、又は前記巨大結合断片及び小結合断片が由来する抗体は、慣用法を用いて作製し得るポリクローナル又はモノクローナルとすることができる。
【0021】
例えば、ポリクローナル抗体は、毒素又はその免疫原性サブユニット若しくは断片で、動物(ウサギ、ラット、ヤギ、ウマ、ヒツジなど)を免疫化し、そこから抗体を精製することができる抗血清を生じさせることによって、作製することができる。
【0022】
モノクローナル抗体は、免疫化された動物から得られる脾臓細胞をハイブリドーマ細胞などと融合させ、適切な抗体を分泌する細胞を選択することによって、取得することができる。
【0023】
前記組成物に使用するための抗体結合断片は、巨大結合断片であると、小結合断片であるとを問わず、適切には、パパイン又はペプシンなどの酵素(それぞれ、Fab及びF(ab’)断片を与える。)による酵素消化のような慣用法を用いて、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体から得られる。あるいは、それらは、慣用の組換えDNA技術を用いて、作製することができる。
【0024】
本発明の組成物において使用される小抗原結合断片及び巨大抗原結合断片は、同一又は異別の、抗体セット又は抗体源に由来し得る。それらは、同一又は異別の抗原(但し、抗原は同一の毒素に付随するものである。)に対して特異的であり得る。
【0025】
特に、前記抗原は、患者中で不活化される必要がある毒素に付随する。前記毒素は、毒素への曝露の結果として、存在し得る。例えば、ボツリヌス毒素、炭疽毒素、又はリシン毒素などの植物由来毒素のような毒素は、生物戦争の状況において、若しくは実験室の事故において吸入され、又はそれらを含有する食物から摂取され得る。後者は、典型的には食中毒に伴う、ブドウ球菌のエンテロトキシンにも該当する。あるいは、毒素は、生物への感染の結果として、産生され得る。毒素を産生することが知られている具体的な生物には、創傷ボツリヌス症又は乳児ボツリヌス症に見られるような、ボツリヌス菌(C. botulinum)、クロストリジウム種一般、例えば、C.ペルフリンジェンス(C. perfringens)、C.バイフェルメンタンス(C. bifermentans)、C.ディフィシーユ(C. difficile)又はC.テタニ(C. tetani)、ブドウ球菌種、及び炭疽毒素を産生するバチラス・アンスラシス(Bacillus anthracis)が含まれる。
【0026】
特に、前記抗原は、ボツリヌス毒素(A、B、C、D、E、F又はGのうち何れのタイプでもあり得る。)に伴う。
【0027】
本発明の組成物は、2個以上の毒素分子、例えば、同一の微生物又は動物によって産生される多様な毒素を結合する、第一及び第二の特異的抗原因子を含み得る。このように、前記特異的結合因子は、性質上多価とすることができる。すなわち、2個以上の毒素に共通する抗原に対して特異的であり得る。あるいは、前記組成物は、各セットが異なる毒素分子に対して特異的である、第一及び第二の特異的結合因子の「セット」を二以上含むことができる。
【0028】
特定の実施形態において、本発明の組成物は第一及び第二の特異的結合因子の2つの「セット」を含み、各セットは異なるボツリヌス毒素A、B、C、D、E又はFを結合する。第一及び第二の特異的結合因子のセットが少なくとも3つ存在することが好ましく、毒素AからFの全てに対して特異的である、特異的結合因子のセットが含まれることが最も好ましい。
【0029】
適切には、それぞれのケースにおいて、前記第二の特異的結合因子に対する前記第一の特異的因子の比は、90:10から10:90のw/w比であり、より適切には、70:30から30:70までのw/w比、又は、好ましくは60:40から40:60までのw/w比である。
【0030】
本発明の組成物は、本分野において周知の、薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含むことができる。それらは、所期の投与様式に応じて、固体又は液体担体とすることができる。
【0031】
任意の所望の投与様式を使用することができ、これは、治療されている毒素の性質及び患者の性質のような要素に依存するであろう。特に、本発明の組成物は、経口、非経口(特に、静脈内)若しくは鼻内投与、又は吸入若しくは通気による投与が予定されるであろう。
【0032】
経口組成物は、錠剤、トローチ剤、硬もしくは軟カプセル、水性若しくは油性懸濁液、エマルジョン、分散性粉末若しくは顆粒、シロップ又はエリキシルの形態とすることができる。非経口投与用組成物は、適切には、静脈内、皮下又は筋肉内投薬用の無菌水性又は油性溶液の形態であろう。
【0033】
鼻内投与用の組成物又は吸入若しくは通気による投与用の組成物は、適切には、細かく砕かれた粉末を含み、吸入可能な組成物は、液状エアロゾルの形態とすることもできるであろう。
【0034】
本発明の組成物は、組成物の性質に応じて、防腐剤、不活性希釈剤、造粒剤及び崩壊剤、結合剤、潤滑剤、抗酸化剤、並びに着色剤、甘味剤又は着香剤などのその他の成分を含むことができる。
【0035】
吸入による投与のための組成物は、細かく砕かれた固体又は液滴を含有する何れかのエアロゾルとして、活性成分を投薬するように準備された慣用の加圧エアロゾルの形態とすることができる。揮発性フッ化炭化水素又は炭化水素などの慣用のエアロゾル噴射剤を使用することができ、エアロゾル装置は、定量の活性成分を投薬するように都合よく準備される。
【0036】
製剤中の第一及び第二の結合因子に対する薬学的に許容される担体の相対量は、投与の具体的な経路などの要素に応じて、変動するであろう。しかしながら、一般的には、組成物は、約1から約98重量パーセントの薬学的に許容される担体、好ましくは、5から90重量パーセントの薬学的に許容される担体を含むであろう。
【0037】
治療を目的とする、本発明の組成物の薬のサイズは、当然、周知の医学の原理に従って、症状の性質及び重篤度、動物又は患者の年齢及び性別、投与経路に従って変動するであろう。しかしながら、一般的に、患者には、0.5mgから75mg/kg体重の第一及び第二の結合因子が与えられる。
【0038】
本発明の組成物は、適切には、毒素に曝露された後に、できるだけ早く、これを必要とする患者に投与される。ヘビ又はサソリの咬傷などの、毒物事故の場合には、事故が起こった後、できるだけ早くこれが実施され得る。患者に感染した微生物によって産生される毒素の場合には、及び曝露が知られていない場合、組成物は、適切には、症候が認められたら可能限り早く投与される。
【0039】
第二の結合因子が含有されているために、毒素分子が迅速に不活化され、毒素が細胞に進入して不可逆的に損傷を引き起こすのを防ぎ得るので、本発明の組成物の早期投与は特に効果的である。投与できる時期は、曝露された具体的な患者又は動物、及び毒素の用量に応じて変動するであろう。
【0040】
さらなる側面において、本発明は、毒素の効果の治療に使用するための、(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する、抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、の組み合わせを提供する。
【0041】
このように、さらに別の側面において、本発明は、毒素の効果を治療するための医薬の調製における、(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する、抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、の組み合わせの使用を提供する。
【0042】
本発明は、毒素の効果を予防することを必要とするヒトなどの哺乳動物に、上記組成物を投与することを含む、哺乳動物に対する毒素の効果を予防する方法をさらに含む。
【0043】
前記組成物は、毒物事故の結果、又は毒素を産生する微生物による感染の結果、哺乳動物の身体に毒素が侵入した後、できるだけ早く投与されるのが適切である。標準的な臨床慣行による投与方法及び投薬を用いた反復投与が、必要であり得る。
【0044】
ここで、添付の図面を参照しながら、実施例によって本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0045】
ボツリヌス毒素(タイプAからE)のトキソイドに対して惹起されたヤギ由来ポリクローナル抗血清の有効性を調査するための研究を行った。慣用法を用いて、完全なIgG及びその断片F(ab’)、Fab’及びFabとなるまで、抗血清を精製した。
【0046】
Balb/cマウス(6匹/グループ)に、タイプAボツリヌス毒素(100MLD50)を腹腔内から与えた。30分後、抗体、又は断片若しくは組み合わせからなる抗毒素処置を静脈内から施した。
【0047】
処置群は、
1. IgG(2mg)
2. F(ab’) (1.6mg)
3. IgG(1mg)+Fab(0.8mg)
4. IgG(1mg)+F(ab’)(0.8mg)
5. F(ab’)(0.8mg)+F(ab)(0.8mg)
6. F(ab’)(0.8mg)+F(ab’)(0.8mg)
7. F(ab’)(1.6mg)
8. Fab(1.6mg)
からなった。
【0048】
このように、組み合わせとして与えられる場合には、等モル用量の抗原認識部位を維持するように、それぞれの用量を減らした。各断片及び組み合わせがマウスを死亡から保護する能力及び中毒の症候を軽減する能力もモニターした。症候スコアは、以下のように計算した。
【0049】
1=呼吸数の増加
2=1+腹部の軽度のピンチング
3=1+腹部の中度のピンチング
4=1+腹部の中度のピンチング+立毛
投与から6、24、48及び72時間後に測定された、様々な時点での症候スコア(グループごとの平均)が図1に示されている。Fab断片単独では、死亡を防ぐことはできなかった。
【0050】
個別の断片として投与すると、IgG、F(ab’)及びFab’は、死亡を防ぐ上で等しく有効であることが明らかとなった。しかしながら、断片の組み合わせは、症候の発生に対して、より優れた保護を与えた。
【0051】
図1のグラフは、F(ab’)をFab又はF(ab’)の何れかと組み合わせると、他の組み合わせ又は断片単独と比較して、次の数日の間、様々な時点で観察される症候の重さが軽減したことを示している。全ての動物が、完全な回復に向かった。
【実施例2】
【0052】
組み合わせの組成物における変動
毒素投与後におけるマウスの中毒症状の発生の予防に対する、F(ab’)及びFab’の比率を変化させる効果を決定するために、100MLD50のタイプAボツリヌス毒素の腹腔内投与から20分後に、常に1.6mgの総用量となるように、F(ab’)及びFab’を様々な割合で静脈内に投与した。同様に、症候スコアルートを用いて、様々な時点で症候を記録した。
【0053】
1=呼吸数の増加
2=1+腹部の軽度のピンチング
図2には、グループ平均が示されている。
【0054】
組み合わせは、個別断片単独と比べて、全て優れていることが明らかである。さらに、初期の時期(すなわち、曝露の20分以内)に投与されたF(ab’)とFab’の組合せを用いると、症候の完全な抑制が可能であり、断片を単独で使用した場合に生じた中度の症候と比べて、いかなる症候の発生も抑制する。これは、6:4混合物から4:6混合物の範囲にある断片の相対割合を使用した場合に達成された。
【実施例3】
【0055】
治療時期の調査
本発明の組合せは、一般に、治療時期を延長しないことが見出されたが(結果は示さず。)、早期に投与すれば、本発明の組み合わせは症候の軽減をもたらすことが見出された。
【0056】
10MLD50のタイプAボツリヌス毒素を腹腔内投与した後、様々な時点(60、75、90又は240分)に、以下の治療計画のうち一つを用いて、6匹のbalb/cマウスのグループに静脈内から投薬した。
【0057】
1. F(ab’) (1.6mg)
2. F(ab’)(0.8mg)+Fab’(0.8mg)
3. Fab’(1.6mg)
上記実施例1に記載されているスコアリングのスケールを用いて、各マウスの症候を24時間後にスコア付けした。時点ごとのグループ当たり平均スコアが、図3Aに示されている。
【0058】
この実験を繰り返したが、この実験では、100MLD50のタイプAボツリヌス毒素をマウスに与え、20、30又は60分後の何れかに、抗毒素を与えた。上記実施例1に記載されているスコアリングのスケールを用いて、各マウスの症候を24時間後にスコア付けした。時点ごとのグループ当たり平均スコアが、図3Bに示されている。
【0059】
曝露から一定の時点を越えると、毒素が細胞内に侵入して、不可逆的な損傷を引き起こし、いかなる治療もこれらの効果を首尾よく回復させることができないことを、これらの結果は示唆している。十分早期に与えられれば、前記断片は、中毒の何らかの症候の発生を抑えることができるが、組み合わせの効果のほうが優れている。
【0060】
しかしながら、動物は通常完全に回復するが、中間の時点では、中毒の症候が現れる。早期及び中間の時点では、抗毒素断片の組み合わせの使用が、単独で投与された断片又はIgGに比べて、生じる症候の重さを軽減する上で明らかに優れていた。症候が穏やかになるほど、疾病が損傷を与える度合いが低いので、これは重要な知見である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、タイプAボツリヌス毒素(100MLD50)に曝露してから30分後に治療が施されたマウスで観察された症候に対する、本発明の治療を含む多様な治療の結果の要約を示している。
【図2】図2は、タイプAボツリヌス毒素(100MLD50)に曝露してから20分後に、本発明の組成物の成分の可変量を含む組成物をマウスに投与した後に生じた平均症候スコアを示している。
【図3】図3は、個別の抗毒素断片又は組み合わせによる曝露後治療を経た、生存マウスのボツリヌス中毒の症候の比較を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する、抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、を含む医薬組成物。
【請求項2】
第一の特異的結合因子が抗体の巨大結合断片を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗体の巨大結合断片がF(ab’)又はF(ab)断片である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第一の特異的結合因子が、IgG又はIgTである抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
抗体がヒト化されている、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
第二の特異的結合因子が、Fab、Fab’、一本鎖(sc)抗体又はFV、VH若しくはVK断片を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
第二の特異的結合因子がFab又はFab’断片を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
第一及び/又は第二の結合因子がポリクローナル抗体に由来する、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
第一及び/又は第二の結合因子がモノクローナル抗体に由来する、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
第一又は第二の特異的結合因子の少なくとも一つが、抗体のFc領域の部分に対応する区画を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
毒素がボツリヌス毒素である、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
第一及び第二の特異的結合因子が、タイプA、B、C、D、E、F又はGボツリヌス毒素のうち少なくとも一つを結合する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が第一及び第二の特異的結合因子のセットを含み、特異的結合因子のそれぞれのセットがボツリヌス毒素A、B、C、D、E、F又はGのうち異なる一つを結合する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
第二の特異的結合因子に対する第一の特異的結合因子のw/w比が、90:10から10:90の範囲にある、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
第二の特異的結合因子に対する第一の特異的結合因子のw/w比が、70:30から30:70の範囲にある、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
第二の特異的結合因子に対する第一の特異的結合因子のw/w比が、60:40から40:60の範囲にある、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項1から16の何れか一項に記載の組成物。
【請求項18】
経口、非経口若しくは鼻内投与に適している、又は吸入若しくは通気による投与に適している、請求項1から17の何れか一項に記載の組成物。
【請求項19】
毒素の効果の治療に使用するための、(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する、抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子と、の組み合わせ。
【請求項20】
毒素の効果を治療するための医薬の調製における、(i)抗体、又は標的毒素を特異的に結合する、抗体の巨大結合断片、から選択される第一の特異的結合因子と、(ii)前記毒素を結合する、抗体の小結合断片を含む第二の特異的結合因子との組み合わせの使用。
【請求項21】
毒素の効果を抑えることを必要とする哺乳動物に、請求項1から18の何れか一項に記載の組成物を投与することを含む、ヒトなどの哺乳動物に対する毒素の効果を抑える方法。
【請求項22】
本明細書に実質的に記載されている組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−527372(P2007−527372A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508389(P2006−508389)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002351
【国際公開番号】WO2004/106376
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】