説明

同位体標識カンプトテシン誘導体

本発明は、イリノテカンとSN-38を含めた安定な同位体標識カンプトテシン類縁体、前記類縁体の製造方法、および前記類縁体の分析法における内部標準としての使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収、分布、代謝、および排泄(ADME)、薬物動力学並びに薬力学的研究に対して有用な同位体標識化合物の分野に関する。本発明は特に、市販の安定な標識前駆体からスタートして、安定な標識カンプトテシン類縁体を高度の同位体濃縮にて製造することに関する。
【0002】
(発明の背景)
カンプトテシンは、中国の木であるカンレンボク(Camptotheca acuminate)から得られるアルカロイドである。カンプトテシンとその誘導体は、開裂可能な複合体(cleavable complex)と呼ばれる、最終的には腫瘍細胞の死滅を引きこす共有結合反応中間体を安定化させることによってDNAトポイソメラーゼを阻害する能力を有する、という点でユニークである。トポイソメラーゼは、染色体を構成する超らせんDNAの巻き上がり(winding)/巻き戻り(unwinding)の原因となる。染色体を巻き戻すことができないと、DNAメッセージの転写を行うことができず、したがってタンパク質を合成することができず、最終的には細胞の死滅が引き起こされる。カンプトテシンは、重大な副作用を起こすことおよび水溶性が低いことから、臨床における使用が限定されている。現在、一部のカンプトテシン類縁体(カンプトテシンをベースとする半合成薬又は合成薬のいずれも)が癌治療に使用されている(たとえば、トポテカンやイリノテカン)。
【0003】
1996年に米国で承認されて以来、塩酸イリノテカン三水和物〔CPT-11、CAMPTOSAR(登録商標)、注射用、ニュージャージー州ピーパックのファルマシア社〕が広範囲にわたる臨床評価を受けている。ここ5年間において、開発の中心は、難病環境(refractory disease settings)における単剤活性の評価から、イリノテカンをベースとする最先端の組み合わせ化学療法処方計画の評価、および組み合わせ薬剤使用の処方計画へのイリノテカンの組み込みの評価まで発展している。結腸直腸癌や他の消化管癌、小細胞肺癌や非小細胞肺癌、および他の種々の悪性腫瘍の処置の際のイリノテカンの役割を明らかにするための重要な研究が行われている。
【0004】
CPT-11は、種々のタイプの腫瘍(特に、難治性の結腸直腸腫瘍)に対して活性を示しており、種々の形態の癌の処置に使用されている。その主要な用途は、結腸癌、特に進行した結晶癌の処置である。CPT-11は他の癌の処置に対しても重要であるが、ここでは肺癌、胃癌、および膵臓癌に関して説明する。
【0005】
CPT-11の抗腫瘍活性は、活性代謝産物である7-エチル-10-ヒドロキシ20(S)カンプトテシン(SN-38)によるものであり、本物質は、肝臓、小腸、および血漿中のカルボキシルエステラーゼによる酵素開裂後に産生される。
【0006】
カンプトテシン類縁体とそれらの代謝産物(たとえば、イリノテカンとその代謝産物SN-38)の正確で、高感度で、且つ特異的な測定を行うことにより、生体サンプル(たとえば、動物やヒトの血漿、尿、胆汁、組織、およびインビトロの細胞培地)中でのこうした産生物質に対する高精度の薬物動力学的・薬力学的な分析が可能になる。
【0007】
たとえば、日常ルーチン分析のための最も簡便な方法の1つは、自動化されたサンプルハンドリング手順を使用し、次いで液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析法(MS)による検出を使用することによって得られた。信頼性のある有効な分析法であることの一つの重要なポイントは、適切な内部標準物質の入手のしやすさである。既知量の内部標準物質を未知サンプルに加えることは、サンプルの精製処理時における当該化合物の損失を補正することができる、よく知られていて広く使用されている方法である。この方法によれば、当該化合物の損失量を、相当する割合の内部標準物質の損失量によって決定することができる。この方法の精度と正確さは、当該化合物と内部標準物質との間の構造的類似性に強く依存する。したがって一般には、ある化合物と同じ分子構造を有する安定な同位体標識類縁体が、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)アッセイのための最良の内部標準物質である、と考えられている。さらに、内部標準物質は、当該未標識化合物より少なくとも3質量単位高い分子量を有するのが好ましい。
【0008】
したがって、生体サンプル中の未標識親ドラッグまたはそれらの代謝産物を測定するための分析法の精度、感度、および特異性を改善するために、安定な同位体標識カンプトテシン類縁体(特に、イリノテカンとその活性代謝産物SN-38)が求められている。本発明は、イリノテカンとSN-38を含む安定な標識カンプトテシン誘導体を提供することによって、このようなニーズを満たす。
【0009】
(発明の詳細な説明)
したがって本発明の目的は、安定な標識カンプトテシン類縁体、および、高度に同位体濃縮された安定な市販標識前駆体とよく知られている方法にしたがって合成することができる未標識中間体とからスタートする前記類縁体の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明は特に、式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9は、互いに独立的に13CまたはCであり;Yは15NまたはNであり;そしてR1は、ヒドロキシル基または式(i)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28は、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20は、互いに独立的に13CまたはCであり;Y1とY2は、互いに独立的に15NまたはNである)で示される基であり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている〕で示される安定な標識カンプトテシン類縁体、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0015】
式(I)の化合物の医薬的に許容される塩は、たとえば無機酸または有機酸との塩である。一般には、無機酸と有機酸は生理学的に許容されうるものであり、たとえば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、1-アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から選択される。式(I)の化合物の医薬として許容されうる好ましい塩は塩酸塩である。
【0016】
第1の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物は、上記条件に従った場合、R1がヒドロキシル基である、上記に定義したような式(I)の化合物である。
第2の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物は、上記条件に従った場合、R1が前記式(i)の基である、上記に定義したような式(I)の化合物である。
【0017】
第3の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物は、上記条件に従った場合、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が全てHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が全てCであり;YがNであり;そしてR1が前記式(i)の基である;上記に定義したような式(I)の化合物である。
【0018】
第4の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物は、上記条件に従った場合、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;Yが15NまたはNであり;R1がヒドロキシル基または式(i)(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が全てHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が全てCであり;そしてY1とY2がNである)の基である;上記に定義したような式(I)の化合物である。
【0019】
本発明による好ましい化合物は、構造(I’)と(I”)
【0020】
【化3】

【0021】
〔式中、X、Y、W、J、Z、Q、およびB1は、それぞれ、化合物1〜13に対しては構造(I’)に関して、そして化合物14〜54に対しては構造(I”)に関して下記の表1と表2において定義されているとおりである〕を有する式(I)の化合物である。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2−1】

【0024】
【表2−2】

【0025】
本明細書においては、大文字“D”は重水素(2H)を意味する。
本発明はさらに、
R1がヒドロキシル基であり;R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてYが15NまたはNであり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されている;という場合の、式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体の製造方法であって、
(a) 式(II)
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてYが15NまたはNである)の化合物と式(III)
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、R2、R3、R4、R5、およびR6が、互いに独立的に2HまたはHであり;そしてX1、X2、およびX3が、互いに独立的に13CまたはCである)の化合物とを反応させて、式(IV)
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYが、それぞれ前記したとおりであり、したがってR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されている)の化合物を得る工程;
(b) 式(IV)の化合物を開裂させて式(V)
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYは、化合物(IV)に関して前記したとおりである)の化合物を得る工程;および
(c) 式(V)の化合物と式(VI)
【0034】
【化8】

【0035】
の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得る工程;
を含む前記製造方法を提供する。
さらなる態様においては、本発明は、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;Yが15NまたはNであり;そしてR1が式(i)
【0036】
【化9】

【0037】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNである)で示される基であり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されており、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている;という場合の式(I)の化合物の製造方法であって、
(d) 前記工程(c)において得られる式(I)の化合物と式(VII)
【0038】
【化10】

【0039】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNであり;但し、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている)で示される化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得る工程;
を含む前記製造方法を提供する。
【0040】
さらに他の態様においては、本発明は、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が全てHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が全てCであり;YがNであり;そしてR1が式(i)
【0041】
【化11】

【0042】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNであり;但し、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている)で示される基である;という場合の式(I)の化合物の製造方法であって、
(e) 式
【0043】
【化12】

【0044】
の化合物と前記式(VII)の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得、そして必要に応じて、前記化合物をその医薬的に許容される塩に転化させる工程;
を含む前記製造方法を提供する。
【0045】
さらに他の態様においては、本発明は、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYが、それぞれ前記したとおりであり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されており;そしてR1が式(i)(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が全てHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が全てCであり;Y1とY2がNである)の基である;という場合の式(I)の化合物の製造方法であって、
(f) 前記工程(c)において得られる式(I)の化合物と式
【0046】
【化13】

【0047】
の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得、そして必要に応じて、前記化合物をその医薬的に許容される塩に転化させる工程;
を含む前記製造方法を提供する。
【0048】
式(VII)の中間体化合物は、
(g) 式(VIII)
【0049】
【化14】

【0050】
(式中、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR29が、互いに独立的に2HまたはHであり;X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY215NまたはNである)で示される化合物と式(IX)
【0051】
【化15】

【0052】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、およびX14が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY115NまたはNである)で示される化合物とを反応させて、式(X)
【0053】
【化16】

【0054】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2は、化合物(VIII)と(IX)に関して前記したとおりであり;したがって、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、X10、X11、X12、X13、X14、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている)で示される化合物を得る工程;
(h) 式(X)の化合物を開裂させて、式(XI)
【0055】
【化17】

【0056】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、X10、X11、X12、X13、X14、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2は、化合物(X)に関して前記したとおりである)で示される化合物を得る工程;
(i) 式(XI)の化合物と式(XIII)
【0057】
【化18】

【0058】
(式中、X1513CまたはCである)で示される適切なハロアシル化剤とを反応させて、式(VII)
【0059】
【化19】

【0060】
(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、X10、X11、X12、X13、X14、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2は、化合物(X)に関して前記したとおりである)で示される塩酸塩としての化合物を得、そして式(VII)の化合物を、同じ式(VII)
【0061】
【化20】

【0062】
を有する対応した遊離塩基に転化させる工程;
を含む方法によって製造することができる。
上記の方法は、同位体標識された式(I)の種々の化合物を選択的に製造することを可能にするので特に有利である。さらに、上記方法により、所望する誘導体を高収率および高度の同位体濃縮にて製造することが可能となる。
【0063】
上記方法の工程(a)によれば、式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、不活性な雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)において、不活性な溶媒(たとえば、ジクロロメタン、トルエン、およびジクロロエタンの混合物)中にて、これら2種の化合物の混合物をBCl3およびルイス酸(たとえばAlCl3)と共に、好ましくは90℃で加熱することによって行なわれる。式(II)の化合物とBCl3とを、1:1.1の好ましいモル比にて低温(たとえば4℃)で予備混合するのが好ましい。式(III)の化合物とルイス酸とを、1:2〜20(好ましくは1:3)のモル比にて低温(たとえば10℃未満)で予備混合するのが好ましい。式(II)の化合物と式(III)の化合物とのモル比は1:4であるのが好ましい。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、式(II)の化合物の消失は、一般には約4時間以内に完了する。次いで、式(IV)の化合物の形成を可能にするために、反応混合物に水を加えて加熱(たとえば80℃)する。反応のこの段階の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約30分以内で完了する。この二相混合物を、好ましくは室温(たとえば25℃)で冷却する。有機相を酸性水溶液(たとえば1N塩酸)で抽出する。水性相を全て合わせ、塩基(たとえば、NaOHの35%水溶液)を加えて塩基性のpH(たとえば8〜9)にする。本混合物を水不混和性の溶媒(たとえばジクロロメタン)で抽出し、有機抽出物を全て合わせる。本溶液を無機塩(たとえば硫酸ナトリウム)で乾燥し、たとえばロータリーエバポレーターを使用して溶媒を蒸発除去する。このようにして得られる、式(IV)の化合物を含有する粗製物質は、当業界によく知られている手法を使用することによって精製するのが好ましい。たとえば、シリカゲルを適切な溶離液(たとえば、有機溶媒の混合物)と共に使用する分取カラムクロマトグラフィーを用いて、式(IV)の化合物のその後の開裂が旨く行われるよう、所望の化合物を効果的に精製することができる。
【0064】
上記方法の工程(b)によれば、式(IV)の化合物を、アルキル-アリールエーテル結合を開裂することができる試剤〔たとえば、ブロミドリック・アシッド(bromidric acid)の溶液〕を使用して高温(たとえば110℃)で処理する。ブロミドリック・アシッドの濃度は48%であるのが好ましい。ブロミドリック・アシッド溶液中への式(IV)の化合物の濃度は0.4Mであるのが好ましい。この反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約5時間以内に完了する。反応混合物を冷却し(好ましくは5℃で)、沈殿した式(V)の化合物を濾過し、冷水(たとえば5℃)で洗浄する。この湿潤物質を水中に懸濁させ、約10のpH値を得るために本混合物に塩基(たとえば32%NaOH水溶液)を加える。この混合物を好ましくは5℃で冷却し、沈殿した式(V)の化合物を、たとえばガラス漏斗を使用して濾過し、たとえば5℃の冷水で洗浄し、そしてたとえば減圧下にて乾燥する。
【0065】
上記方法の工程(c)によれば、式(V)の化合物と式(VI)の化合物との反応は、酸性物質(たとえば、p-トルエンスルホン酸や酢酸等の有機酸)の存在下において、不活性の有機溶媒(たとえばトルエン)中にてたとえば約100℃で加熱することによって行われる。この反応中に生成する水は、たとえば窒素気流と共に連続的に除去する。式(V)の化合物と式(VI)の化合物とのモル比は1:1であるのが好ましい。触媒量のp-トルエンスルホン酸は、式(V)の化合物1ミリモル当たり6mgであるのが好ましい。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約7時間以内に完了する。次いで反応混合物を好ましくは25℃に冷却し、攪拌しながら相当時間(たとえば18時間)放置して式(I)の化合物の沈殿物を得、次いでこれを濾過し、そしてたとえば減圧にて乾燥する。このようにして得られる、式(I)の化合物を含有する粗製物質は、当業界によく知られている手法を使用することによって精製するのが好ましい。たとえば、式(I)の所望生成物よりむしろ不純物を溶解することができる有機溶媒(たとえば無水エタノール)中にスラリー状にし、次いで、たとえばガラス漏斗を使用して濾過し、そしてたとえば減圧にて乾燥する。
【0066】
上記方法の工程(d)によれば、工程(c)において得られる式(I)の化合物と、工程(i)において得られる、遊離塩基としての式(VII)の化合物との反応は、塩基と溶媒の存在下にて室温(たとえば25℃)で行われる。この塩基は溶媒であってもよい(たとえば、ピリジンを使用する場合)。式(I)の化合物と式(VII)の化合物とのモル比は1:1〜2(好ましくは1:1.5)である。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約1時間以内に完了する。揮発性の生成物を、よく知られている方法(たとえば蒸留)によって除去する。このようにして得られる、塩酸塩としての式(I)の化合物を、それが溶解しない不活性有機溶媒(たとえばn-ヘキサン)を加えることによって沈殿させ、次いでたとえばガラス漏斗を使用して濾過し、そして減圧にて乾燥する。このようにして得られる、式(I)の化合物を含有する粗製物質は、当業界によく知られている手法を使用することによって(たとえば、リン酸水素二カリウム等の塩基性無機化合物を加えることで塩酸塩水溶液のpH値を7に調節して、対応する純粋な遊離塩基を沈殿させることによって)精製するのが好ましい。たとえばガラス漏斗を使用して濾過し、そしてたとえば減圧にて乾燥した後、遊離塩基としての式(I)の純粋な化合物が得られる。式(I)の化合物の塩酸塩は、遊離塩基を塩酸溶液(たとえば1NのHCl水溶液)中に溶解し、溶媒を、たとえば減圧にて、好ましくは凍結乾燥によって蒸発除去することによって得ることができる。遊離塩基としての式(I)の化合物と酸とのモル比は1:1.3であるのが好ましい。
【0067】
上記方法の工程(e)によれば、工程(i)において得られる遊離塩基としての式(VII)の化合物とSN-38との反応は、式(I)の化合物を得る上記工程(d)に関して記載したのと同じ仕方で行われる。
【0068】
上記方法の工程(f)によれば、工程(c)において得られる式(I)の化合物と式
【0069】
【化21】

【0070】
の市販化合物との反応は、式(I)の化合物を得る上記工程(d)に関して記載したのと同じ仕方で行われる。
上記方法の工程(g)によれば、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物との反応は、有機溶媒(たとえばエタノール)中で不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて、ルイス酸触媒(たとえばチタン(IV)イソプロポキシド)の存在下で、還元剤(たとえばNaBH3CN)を使用して室温にて(たとえば25℃にて)行われる。式(VIII)および(IX)の化合物とルイス酸触媒とを溶媒なしで予備混合してから還元剤を加えるのが好ましい。式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物とルイス酸触媒とのモル比は、1:1:1.25であるのが好ましい。式(VIII)の化合物と還元剤との当量比は1:2であるのが好ましい。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約20時間以内に完了する。反応が終了したら、反応混合物に水を加え、室温(たとえば25℃)で数時間(たとえば4時間)攪拌し、次いでたとえばガラス漏斗を通して濾過して、式(X)の化合物を含有する有機溶液を回収する。溶媒をたとえば減圧にて除去することによって、式(X)の化合物を含有する粗製物質を回収する。このようにして得られる粗製物質を、当業界によく知られている手法を使用することによって精製するのが好ましい。たとえば、シリカゲルを適切な溶離液(たとえば有機溶媒の混合物)と共に使用する分取カラムクロマトグラフィーを使用して、式(X)の化合物のその後の開裂が旨く行われるよう、所望の化合物を効果的に精製することができる。
【0071】
式(VII)と式(IX)の化合物は市販されている化合物であるか、又は当業界によく知られている手順を応用することによって得ることができる。
上記方法の工程(h)によれば、式(X)の標識化合物を、不活性有機溶媒(たとえばジクロロエタン)中にて酸性試剤(たとえばトリフルオロ酢酸)によって開裂させる。この反応は、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて室温(たとえば25℃)で行われる。反応混合物中への酸性試剤の濃度は約30〜70重量%であり、好ましくは45重量%である。式(X)の化合物と酸性試剤とのモル比は約1:4〜10であり、好ましくは1:6.5である。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約2時間以内に完了する。反応が終了したら、反応混合物を、反応溶媒と混和しない溶媒中に塩基を溶解して得られる塩基溶液(たとえば32%NaOH水溶液)で、水性層が塩基性状態(たとえばpH12〜13)になるまで希釈するのが好ましい。この水性層を、式(XI)の化合物を溶解することができる水不混和性の溶媒(たとえばジクロロメタン等の有機溶媒)で抽出する。式(XI)の化合物を含有する溶液を、たとえば無機塩(たとえば硫酸ナトリウム)を使用して乾燥し、そしてたとえばガラス漏斗を通して濾過するのが好ましい。たとえば減圧にて溶媒を除去して乾燥することにより、式(XI)の化合物を含有する粗製物質を回収する。
【0072】
上記方法の工程(i)によれば、式(XI)の標識化合物を、ハロアシル化剤〔たとえば式(XIII)のトリホスゲン〕によって式(VII)の対応する塩化カルバモイル塩酸塩に転化させる。この反応は、不活性溶媒(たとえばトルエン)中において、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて、低温で(たとえば10℃未満、好ましくは約4℃にて)行う。式(XI)の化合物とハロアシル化剤との当量比は1:1〜5であり、好ましくは1:1.8である。反応の進行は、たとえば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または質量分析法等の分析法によってチェックし、一般には約30分以内に完了する。反応が終了したら、反応混合物を、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて、たとえばガラス漏斗を通して濾過して式(VII)の化合物を含有する粗製物質を得、そしてこの粗製物質を、たとえば減圧にて溶媒を蒸発除去して乾燥して固体として回収する。式(VII)の化合物を含有する粗製物質は、その後の工程(e)または(f)に付す前に、当業界によく知られている手法を使用することによって精製するのが好ましい。たとえば、式(VII)の化合物を、粗製物質中に存在する不純物を溶解しない溶媒(たとえばジクロロメタン)中に溶解させることによって精製する。生じる懸濁液を、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて、たとえばガラス漏斗を通して濾過し、捕集した溶液を、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)で、たとえば減圧にて濃縮する。式(VII)の化合物を含有する濃縮溶液を、不活性雰囲気下にて(たとえば窒素雰囲気下にて)、式(VII)の化合物をあまり溶解しない溶媒(たとえばメチルシクロペンタン)中に滴下する。沈殿が終了したら、不活性雰囲気下(たとえば窒素雰囲気下)にて、たとえばガラス漏斗を通して混合物を濾過し、これにより式(VII)の化合物を含有する物質を塩酸塩として得、たとえば減圧にて乾燥するまで溶媒を蒸発除去して固体として回収する。遊離塩基を溶解することができる不活性有機溶媒(たとえばジクロロメタン)中に、塩酸塩としての式(VII)の化合物を混合して得られる溶液を、塩基水溶液(たとえば無機塩基の水溶液、好ましくは1Mの炭酸カリウム)で低温(たとえば0℃)にて処理することによって、塩酸塩としての式(VII)の化合物を対応する式(II)の遊離塩基に転化させることができる。溶媒をたとえば減圧にて蒸発除去することによって、有機層から式(VII)の遊離塩基が回収される。
【0073】
SN-38は、市販されているか、あるいは当業界によく知られている方法によって(たとえば、“K.E.Henegar et al.,J.Org.Chem.62(1997),6588-97”の手順にしたがって)得ることができる。
【0074】
式(I)の化合物を必要に応じて塩化すること(salification)は従来の方法によって行うことができる。
本発明のさらに他の目的は、式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体をADMEの研究に使用することである。
【0075】
本発明のさらに他の目的は、式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体を、生体サンプル中における対応する未標識カンプトテシン誘導体を定量的に検出するための分析法における内部標準として使用することである。生体サンプルは生体液(たとえば、動物とヒトの血漿、尿、胆汁、組織、およびインビトロの細胞培地)であるのが好ましい。
【0076】
特定の態様においては、本発明は、前記の表1と表2において定義されている構造(I’)と(II”)を有する安定な標識カンプトテシン類縁体、またはその医薬的に許容される塩を、生体サンプル中における対応する未標識カンプトテシン誘導体を定量的に検出するための分析法における内部標準として使用することを提供する。
【0077】
以下に記載の実施例1〜17は、下記の合成スキーム1にしたがって、本発明の表1の化合物(1)〜(13)を製造することを説明している。
【0078】
【化22】

【実施例1】
【0079】
粗製の標識1-(2-アミノ-5-メトキシ-フェニル)-プロパン-1-オン〔X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(IV’)の化合物〕
窒素雰囲気下で調製した、乾燥ジクロロメタン中に三塩化ホウ素を混合して得られる冷却攪拌溶液(4℃) (0.92M,15ml)に、式(II’) (式中、X=CH、Y=C)の化合物(1.5719g)のトルエン(15ml)溶液を徐々に加えた。本混合物〔リアクティブ(reactive)Aと呼ぶ〕を、使用する前に窒素雰囲気下にて攪拌しながら4℃に保持した。
【0080】
窒素雰囲気下で調製した、ジクロロメタン(10ml)中に式(III’)(式中、W=C、J=CH2、Z=CD3)(3.1g)の標識化合物を混合して得られる冷却攪拌溶液(10℃)に、三塩化アルミニウム(2.0720g)を徐々に加えた。本混合物を75℃に徐々に加熱し、リアクティブAの全量を速やかに加えながらこの条件下で保持した。反応器に穏やかな窒素気流を通し、外部温度を110℃に上昇させた。ジクロロメタンと酸性蒸気の蒸留が終わると、反応温度が90℃で安定するようになった。約4時間後に、(i)254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLC、厚さ0.25mmのプレート、ジクロロメタン-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液;ならびに(ii)水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラムによるHPLC、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm;によって反応の終了を確認し、加熱を停止した。反応混合物を約10℃に冷却し、攪拌しながら水(30ml)を10分かけて加えた。透明な二相褐色混合物を85℃で30分加熱し、次いで室温に冷却した。相が分離した後、暗褐色の有機相をさらに1NのHClで抽出し(25ml×5分)、有機相を廃棄した。酸性の黄色水性相を全て合わせ、これに35%NaOHをpHが11になるまで徐々に加えた。透明な塩基性水溶液を、無色の有機抽出相が得られるまでジクロロメタンで抽出した(15ml×9回)。有機抽出物を合わせ、Na2SO4で乾燥し、減圧にて溶媒を蒸発除去して、式(IV’)(式中、X=CH、Y=W=C、J=CH2、Z=CD3)の化合物を含有する黄橙色の油状残留物を得た。HPLC(水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラム、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm)によって純度が約65%であることがわかり、保持時間(Rt=5.50分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。
【実施例2】
【0081】
標識1-(2-アミノ-5-メトキシ-フェニル)-プロパン-1-オン〔X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(IV’)の化合物〕を含有する粗製物質の精製
X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(IV’)の化合物を含有する粗製物質(実施例1に記載のように製造)をジクロロメタン(15ml)で希釈し、SiO2カラム(130×内径6.5mm)を使用して、ジクロロメタン-酢酸エチルの混合物(980:20容量比、全溶離液量2.2リットル)で溶離してフラッシュクロマトグラフィー処理した。約100mlのフラクションを採取し、(i)254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLC、厚さ0.25mmのプレート、ジクロロメタン-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液;ならびに(ii)水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラムによるHPLC、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm;によってチェックした。純粋な当該化合物を含有する全てのフラクション(3〜7)を合わせ、減圧にて乾燥するまで溶媒を蒸発除去した。X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(IV’)の化合物(0.9816g)を鮮黄色の固体(化学的な純度は90%を超える)として得た。純度は、HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラム、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm〕によって測定し、保持時間(Rt=5.50分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 183原子質量単位(amu)にプロトン化分子イオンを示した。
【実施例3】
【0082】
標識1-(2-アミノ-5-ヒドロキシ-フェニル)-プロパン-1-オン〔X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(V’)の化合物〕
式中、X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(IV’)の化合物(0.9816g)(実施例1に記載のように製造し、たとえば実施例2に記載のように精製した)を、窒素雰囲気下にて48%ブロミドリック・アシッド(bromidric acid)(15ml)の低温(4℃)溶液中に懸濁させた。約5時間還流した後、〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラムによるHPLC、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm〕によって反応の終了を確認した。反応混合物を約5℃に冷却し、1時間攪拌し、そして濾過して淡褐色固体を得た。この固体を母液と低温(4℃)の水(2×0.75ml)で洗浄した。湿潤ケークを水(4.7ml)中に懸濁させ、32%NaOHを中性になるまで徐々に加え、次いで1NのNaOHをpHが約10になるまで徐々に加えた。懸濁液を4℃に冷却し、30分攪拌し、次いで濾過し、得られた固体を母液と低温(4℃)の水(2×1.5ml)で洗浄した。固体生成物を減圧にて室温で18時間乾燥して、X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(V’)の化合物をベージュ色の固体(0.8g)として得た。この固体は、HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.1〜10:90:0.1容量比)の混合物を溶離液として使用するC-8逆相カラム、13分の直線状勾配による溶離と8分の定組成溶離、検出波長=225nm〕によって純度が99%を超えることが判明し、保持時間(Rt=2.30分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 169にてプロトン化分子イオンを示した。CDCl3中にて400MHzで記録したNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される下記のようなシグナルを示した。
【0083】
【化23】

【実施例4】
【0084】
X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I’)の化合物、粗製の標識SN-38(1)
X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(V’)の化合物(0.560g)(実施例3に記載のように製造)、式(VI)の化合物(0.868g)、p-トルエンスルホン酸一水和物(20mg)、氷酢酸(3.5ml)、ならびにトルエン(14.0ml)の混合物を、穏やかな窒素気流下にて101℃で攪拌して、生成する水を除去した。7時間後、反応が終了したことを[HPLC(水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸の混合物を70:30:0.2容量比の一定比にて溶離液として使用するC-18逆相カラムによるHPLC)によって]確認した。本混合物をトルエン(9.4ml)で希釈し、次いで室温に冷却し、そして一晩攪拌して結晶化を完了させた。沈殿物を濾過し、トルエンで洗浄し、減圧にて45℃で乾燥して、X=CH、Y=W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I’)の化合物を含有する固体を得る。この固体は、HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(70:30:0.2容量比)の混合物を溶離液として使用するC-18逆相カラム、30分の定組成溶離、検出波長=260nm〕によって純度が約90%であることが判明し、保持時間(Rt=6.7分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 396原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。
【実施例5】
【0085】
標識SN-38(1)を含有する粗製物質の精製
(1)を含有する乾燥粗製物質(実施例4に記載のように製造)を無水エタノール中に懸濁させ、充分に攪拌した。1時間後、懸濁液を濾過し、得られた固体を減圧にて室温で18時間乾燥して、化合物(1)を白っぽい粉末(1.13g)として得た。純度は、HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(70:30:0.2容量比)の混合物を溶離液として使用するC-18逆相カラム、30分の定組成溶離、検出波長=260nm〕によって、約99%を超えることが判明し、保持時間(Rt=6.7分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 396原子質量単位にてプロトン化分子イオン([M+H]+)を示した。DMSO-d5中にて500MHzで記録されたNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される下記のようなシグナルを示した。
【0086】
【化24】

【実施例6】
【0087】
Z=CD3、J=CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(2)
Z=CD3、J=CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CD3、J=CH2、W=C、X=13CH、Y=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(2)を得ることができる。
【実施例7】
【0088】
Z=CD3、J=CD2、W=C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(3)
Z=CD3、J=CD2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=CHおよびY=Cである場合の式(II’)の化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CD3、J=CD2、W=C、X=CH、Y=Cである場合の式(I’)の標識化合物(3)を得ることができる。
【実施例8】
【0089】
Z=CD3、J=CD2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(4)
Z=CD3、J=CD2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CD3、J=CD2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(4)を得ることができる。
【実施例9】
【0090】
Z=13CH3、J=13CH2、W=13C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(5)
Z=13CH3、J=13CH2、およびW=13Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=13CH3、J=13CH2、W=13C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(5)を得ることができる。
【実施例10】
【0091】
Z=13CH3、J=13CH2、W=13C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(6)
Z=13CH3、J=13CH2、およびW=13Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=CHおよびY=Cである場合の式(II’)の化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=13CH3、J=13CH2、W=13C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の標識化合物(6)を得ることができる。
【実施例11】
【0092】
Z=CH3、J=CH2、W=C、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(7)
Z=CH3、J=CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CH3、J=CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(7)を得ることができる。
【実施例12】
【0093】
Z=CH3、J=13CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(8)
Z=CH3、J=13CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CH3、J=13CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(8)を得ることができる。
【実施例13】
【0094】
Z=13CH3、J=CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(9)
Z=13CH3、J=CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=13CH3、J=CH2、W=C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(9)を得ることができる。
【実施例14】
【0095】
Z=CH3、J=CH2、W=13C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(10)
Z=CH3、J=CH2、およびW=13Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=13CHおよびY=13Cである場合の式(II’)の標識化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CH3、J=CH2、W=13C、X=13CH、およびY=13Cである場合の式(I’)の標識化合物(10)を得ることができる。
【実施例15】
【0096】
Z=CH3、J=CH2、W=13C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(11)
Z=CH3、J=CH2、およびW=13Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=CHおよびY=Cである場合の式(II’)の化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CH3、J=CH2、W=13C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の標識化合物(11)を得ることができる。
【実施例16】
【0097】
Z=CH3、J=13CH2、W=C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(12)
Z=CH3、J=13CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=CHおよびY=Cである場合の式(II’)の化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=CH3、J=13CH2、W=C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の標識化合物(12)を得ることができる。
【実施例17】
【0098】
Z=13CH3、J=CH2、W=C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の化合物、標識SN-38(13)
Z=13CH3、J=CH2、およびW=Cである場合の式(III’)の標識化合物と、X=CHおよびY=Cである場合の式(II’)の化合物からスタートし、実施例1〜5に記載の手順にしたがって、Z=13CH3、J=CH2、W=C、X=CH、およびY=Cである場合の式(I’)の標識化合物(13)を得ることができる。
【0099】
以下の実施例18〜70は、下記の合成スキーム2にしたがった本発明の表2の化合物(14)〜(54)の製造について説明している。
【0100】
【化25】

【実施例18】
【0101】
粗製の標識[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボン酸tert-ブチルエステル、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物
Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VIII’)の標識化合物(2ml)、式(IX)の化合物(4.01g)、およびTi(OiPr)4(7.44ml)を窒素雰囲気下にて室温で1時間攪拌した。本混合物を無水エタノール(10ml)で希釈し、NaBH3CN(0.085g)をさらなる無水エタノール(10ml)と共に加え、窒素雰囲気下にて室温で攪拌した。19時間後、懸濁液を水(4ml)で希釈し、室温で攪拌した。4.5時間後、混合物を濾過し、白色沈殿物をエタノール(4×15ml)で洗浄し、濾液を全て採集した。エタノール相を合わせ、減圧にて溶媒を蒸発除去し、残留物をジクロロメタン(30ml)中に溶解した。この有機溶液を1NのNaOH(3×30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧にて乾燥するまで溶媒を蒸発除去して、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物を含有するオレンジ色の油状残留物(5.1g)を得た(254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLCによって確認、厚さ0.25mmのプレート、メタノール-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液)。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して上記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 279原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。
【実施例19】
【0102】
粗製の標識[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボン酸tert-ブチルエステル、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物
式(IX)の化合物(3.99g)のジクロロエタン(60ml)溶液に、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VIII’)の化合物(2ml)を、攪拌しながら窒素雰囲気下にて室温で加えた。10分後、混合物にNaB(OAc)3(6.1792g)と氷酢酸(1.15ml)を加えて懸濁液を得、この懸濁液を窒素雰囲気下にて室温で攪拌した。48時間後、混合物をジクロロメタン(30ml)で希釈し、1NのNaOH(60ml)を加えた。10分攪拌した後、有機層を分離し、1NのNaOH(3×30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液の体積を減圧下で30mlに減少させ、さらに1NのNaOH(3×50ml)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥するまで溶媒を蒸発除去した後、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物を含有する黄橙色の油状残留物(5.0g)を得た(254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLCによって確認、厚さ0.25mmのプレート、メタノール-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液)。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して上記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 279原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。
【実施例20】
【0103】
標識[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボン酸tert-ブチルエステル〔Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物〕を含有する粗製物質の精製
Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物を含有する粗製物質(5g)(実施例18または実施例19に記載のように製造)を酢酸エチル-メタノールの混合物(95:5容積比、20ml)で希釈し、SiO2予備充填カラム(70×内径40mm)を使用して酢酸エチル-メタノールの混合物(95:5容積比、全溶離体積は約2.2リットル)で溶離させることでフラッシュクロマトグラフィー処理を行った。約50mlのフラクションを採取し、TLCによって確認した(254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLC、厚さ0.25mmのプレート、メタノール-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液)。当該化合物を含有する全てのフラクション(3〜39)を合わせ、減圧にて溶媒を蒸発除去した。得られた黄色油状残留物(4.40g)を2つに均等に分け、酢酸エチル-メタノールの混合物(95:5容積比、7ml)で希釈した。Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物を含有する2つの溶液を、SiO2予備充填カラム(140×内径40mm)を使用して酢酸エチル-メタノールの混合物(95:5容積比、全溶離体積は約2.5リットル)で溶離させることでフラッシュクロマトグラフィー処理を行った。約50mlのフラクションを採取し、TLCによって確認した(254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLC、厚さ0.25mmのプレート、メタノール-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液)。純粋な当該化合物を含有する全てのフラクション(2つのカラムともに12〜45)を合わせ、減圧にて溶媒を蒸発除去して、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の純粋な化合物(2.73g)を無色油状物として得た。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して上記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 279原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。
【実施例21】
【0104】
標識[1,4’]ビピペリジニル、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XI’)の化合物
Q=CD2およびB1=Nである場合の式(X’)の化合物(2.73g)(実施例18または実施例19に記載のように製造し、最終的には実施例20に記載のように精製)をジクロロメタン(10ml)中に混合して得た低温(4℃)溶液に、攪拌しながらトリフルオロ酢酸(7.5ml)を窒素雰囲気下にて徐々に加えた。次いで反応混合物を25℃で攪拌した。2時間後、反応の終了をTLCによって確認し(254nmでの蛍光指示薬を含んだシリカゲル60によるTLC、厚さ0.25mmのプレート、ジクロロメタン-酢酸エチル混合物(98:2容量比)で溶離、展開剤=254nmと336nmでの紫外光、および過マンガン酸塩水溶液)、混合物を4℃に冷却し、激しく攪拌しながら32%NaOHを、水性相のpHが12〜13になるまで徐々に加えた。混合物をジクロロメタン(20ml)と水(50ml)で希釈し、有機相を分離して採取した。水性相をジクロロメタン(4×30ml)でさらに抽出した。全ての有機抽出物を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下にて室温で18時間乾燥するまで蒸発除去した後、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XI’)の化合物を白色固体(1.15g)として回収した。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して上記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 179原子質量単位にてプロトン化分子イオン([M+H]+)を示した。DMSO-d5中にて500MHzで記録したNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される以下のようなシグナルを示した。
【0105】
【化26】

【実施例22】
【0106】
粗製の標識塩化[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボニル塩酸塩、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物
トリホスゲン(0.5878g)のトルエン(32.5ml)中低温(4℃)溶液に、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XI’)の化合物(0.6503g)(実施例21に記載のように製造)の乾燥トルエン(3.7ml)溶液を、窒素雰囲気下にて激しく攪拌しながら徐々に加えた。窒素雰囲気下にて4℃で30分攪拌した後、反応混合物は、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XI’)の出発物質の存在を示さなかった〔水(3.4g/lのKH2PO4、5.0g/lのKCl、およびpHが2.2になるまでのH3PO4を含有)とアセトニトリルとの、30:70の一定容積比の混合物を溶離液として使用するアミノ相カラムによるHPLCによって確認〕。懸濁液を窒素雰囲気下で濾過し、白色沈殿物をトルエン(2×2ml)とヘキサン(2×5ml)で窒素雰囲気下で洗浄した。減圧にて室温で3時間乾燥後、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物を含有する粗製物質(0.90g)が白色固体として得られた。HPLC〔水(3.4g/lのKH2PO4、5.0g/lのKCl、およびpHが2.2になるまでのH3PO4を含有)とアセトニトリルとの、30:70の一定容積比の混合物を溶離液として使用するアミノ相カラムによるHPLC〕によって純度が約70%であることが判明し、保持時間(Rt=4.3分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して上記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 241原子質量単位にてプロトン化分子イオン([M+H]+)を示した。
【実施例23】
【0107】
標識塩化[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボニル塩酸塩(Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物)を含有する粗製物質の精製
Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物を含有する粗製物質(実施例22に記載のように製造) (約0.90g)に窒素雰囲気下にてジクロロメタン(10ml)を加え、得られた懸濁液を室温で15分攪拌した。濾過助剤(0.3g)を加え、さらに10分攪拌した後、懸濁液を窒素雰囲気下にて濾過して濾液を採取した。固体をジクロロメタン(2×3ml)で洗浄して洗浄液を採取した。透明なジクロロメタン相を全て合わせ、窒素気流下にて減圧で、全容積が4mlになるまで濃縮した。本溶液を、窒素雰囲気下にて室温で、メチルシクロヘキサン(25ml)中に激しく攪拌しながら滴下した。白色懸濁液を、窒素雰囲気下にて室温で20分攪拌し、次いで窒素雰囲気下にて濾過した。固体をメチルシクロヘキサン(3×10ml)で洗浄し、減圧にて室温で13時間乾燥した。Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物(約0.67g)が白色固体として得られた。HPLC〔水(3.4g/lのKH2PO4、5.0g/lのKCl、およびpHが2.2になるまでのH3PO4を含有)とアセトニトリルとの、30:70の一定容積比の混合物を溶離液として使用するアミノ相カラムによるHPLC〕によって純度が約90%であることが判明し、保持時間(Rt=4.30)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 241原子質量単位にてプロトン化分子イオン([M+H]+)を示し、そしてさらにm/z 205原子質量単位にて他の特徴的イオン([M−Cl]+)を示した。DMSO-d5中にて500MHzで記録したNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される以下のようなシグナルを示した。
【0108】
【化27】

【実施例24】
【0109】
標識塩化[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボニル、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物
Q=CD2およびB1=Nである場合の式(XII’)の化合物(約180mg)(実施例22に記載のように製造し、実施例23に記載のように精製)のジクロロメタン溶液を冷却し(0℃〜−5℃)、この溶液に過剰の1M炭酸カリウム水溶液を加えた。Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物を含有する有機層を分離し、減圧にて1.5mlになるまで溶媒を一部蒸発除去した。Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物の濃縮溶液が得られた。
【実施例25】
【0110】
標識塩化[1,4’]ビピペリジニル-1’-カルボニル、Q=CH2およびB1=15NHである場合の式(VII’)の化合物
Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VIII’)の化合物からスタートし、実施例18〜24に記載の手順にしたがって、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物を得ることができる。
【実施例26】
【0111】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(II’)の化合物、粗製の標識CPT-11(14)
Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I’)の化合物(176mg)のピリジン(2.6ml)中の攪拌混合物に、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’) の化合物(156mg) (実施例24に記載のように製造)のジクロロメタン溶液を、室温にて約1時間かけて滴下した。反応混合物を室温で約30分攪拌し、減圧にて40℃で溶媒を蒸発除去した。残留物にトルエン(7.0ml)を加え、残留ピリジンを除去するために混合物を蒸留した。残留物にn-ヘキサン(10ml)を加え、形成された懸濁液を、均一なスラリーが得られるまで攪拌した。濾過によって固体を単離し、n-ヘキサン(15ml)で洗浄し、そして乾燥して、Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物を含有する粗製物質を、茶色がかった粉末の塩酸塩として得た。
【実施例27】
【0112】
遊離塩基としての標識CPT-11(14)の沈殿
式(14)の化合物を塩酸塩として含有する粗製物質(実施例26に記載のように製造)を水(3.0ml)中に溶解し、リン酸水素二カリウムを加えることによってpH値を7.0に調節した。沈殿した該化合物の遊離塩基を濾過によって単離し、水(10ml)で洗浄した。
【実施例28】
【0113】
塩酸塩としての標識CPT-11(14)の沈殿
実施例27に記載のように製造した粗製遊離塩基の水(9.0ml)中の水溶液に、1Nの塩酸(0.47ml,約1.3当量)を加えた。酸性溶液を濾過し、濾液から減圧にて40℃で溶媒を蒸発除去して、より少ない体積(約1.2ml)にした。凍結乾燥することによって、水溶液から生成物を単離した。標識CPT-11(14)を白色固体(256mg)として得た。HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(71:29:0.2の一定容量比)の混合物を溶離液として使用するC-18逆相カラムによるHPLC〕によって純度が約98.8%を超えることが判明し、保持時間(Rt=7.60分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 597原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。DMSO-d5中にて500MHzで記録したNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される以下のようなシグナルを示した。
【0114】
【化28】

【実施例29】
【0115】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、粗製標識CPT-11(16)
標識SN-38(1)(実施例4に記載のように製造し、実施例5に記載のように精製)のピリジン(7.4ml)中の攪拌混合物に、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物(421mg)のジクロロメタン溶液を室温にて約1時間かけて滴下した。反応混合物を室温で約30分攪拌し、減圧にて40℃で溶媒を蒸発除去した。残留物にトルエン(30.0ml)を加え、残留しているピリジンを除去するために混合物を蒸留した。得られた残留物にn-ヘキサン(30ml)を加え、生成した懸濁液を、均一なスラリーが得られるまで攪拌した。濾過によって固体を単離し、n-ヘキサン(30ml)で洗浄し、そして乾燥して、Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物(16)を塩酸塩として含有する粗製物質を茶色がかった粉末として得た。
【実施例30】
【0116】
遊離塩基としての標識CPT-11(16)の沈殿
標識CPT-11(16)の化合物を塩酸塩として含有する粗製物質(実施例29に記載のように製造)を水(9.0ml)中に溶解し、リン酸水素二カリウムを加えることによってpH値を7.0に調節した。沈殿した標識CPT-11(16)の遊離塩基を濾過によって単離し、水(20ml)で洗浄した。
【実施例31】
【0117】
標識CPT-11(16)の塩酸塩としての沈殿
標識CPT-11化合物の粗製遊離塩基(実施例30に記載のように製造)の水(25.0ml)中の水溶液に、1Nの塩酸(1.31ml,約1.3当量)を加えた。酸性溶液を濾過し、濾液から減圧にて40℃で溶媒を蒸発除去して、より少ない体積(約2.8ml)にした。凍結乾燥することによって、水溶液から標識CPT-11(16)を塩酸塩として単離した。標識CPT-11(16)を白色固体(256mg)として得た。HPLC〔水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(71:29:0.2の一定容量比)の混合物を溶離液として1〜0.7ml/分の流量で使用するC-18逆相カラムによるHPLC〕によって純度が約98.8%を超えることが判明し、保持時間(Rt=7.40分)は、未標識の基準サンプルの保持時間と同じであった。陽イオン検出によるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用して表記化合物の質量スペクトルを記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 600原子質量単位にてプロトン化分子イオンを示した。DMSO-d5中にて500MHzで記録したNMRスペクトルは、化学シフト(ppm)として表示される以下のようなシグナルを示した。
【0118】
【化29】

【実施例32】
【0119】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(18)
式(1’)の標識SN-38(実施例4に記載のように製造し、実施例5に記載のように精製)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例33】
【0120】
Q=CH2、B1=15NH、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(17)
式(1’)の標識SN-38(実施例4に記載のように製造し、実施例5に記載のように精製)と、Q=CH2およびB1=15NHである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例34】
【0121】
Q=CD2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(19)
式(2’)の標識SN-38(実施例6に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例35】
【0122】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(21)
式(2)の標識SN-38(実施例6に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例36】
【0123】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(20)
式(2)の標識SN-38(たとえば実施例6に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例37】
【0124】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(22)
式(3)の標識SN-38(実施例7に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例38】
【0125】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(24)
式(3)の標識SN-38(実施例7に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例39】
【0126】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(23)
式(3)の標識SN-38(実施例7に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、たとえば実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例40】
【0127】
Q=CD2、B1=N、Q2=CH2、B2=NH、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(25)
式(4)の標識SN-38(実施例8に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例41】
【0128】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(27)
式(4)の標識SN-38(実施例8に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例42】
【0129】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CD2、およびZ=CD3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(26)
式(4)の標識SN-38(実施例8に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例43】
【0130】
Q=CD2、B1=N、Q2=CH2、B2=NH、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(28)
式(5)の標識SN-38(実施例9に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例44】
【0131】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(30)
式(5)の標識SN-38(実施例9に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例45】
【0132】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(29)
式(5)の標識SN-38(実施例9に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例46】
【0133】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(31)
式(6)の標識SN-38(実施例10に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例47】
【0134】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(33)
式(6)の標識SN-38(実施例10に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例48】
【0135】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=1H、W=13C、J=13CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(32)
式(6)の標識SN-38(実施例10に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例49】
【0136】
Q=CD2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(34)
式(7)の標識SN-38(実施例11に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例50】
【0137】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(36)
式(7)の標識SN-38(実施例11に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例51】
【0138】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(35)
式(7)の標識SN-38(実施例11に記載のように製造)と、Q=CH2、B1=15N、Q2=CH2、およびB2=NHである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例52】
【0139】
Q=CD2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(37)
式(8)の標識SN-38(実施例12に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例53】
【0140】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(39)
式(8)の標識SN-38(実施例12に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例54】
【0141】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(38)
式(8)の標識SN-38(実施例12に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例55】
【0142】
Q=CD2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(40)
式(9)の標識SN-38(実施例13に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例56】
【0143】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(42)
式(9)の標識SN-38(実施例13に記載のように製造)と、Q=CH2、B1=N、Q2=CH2、およびB2=NHである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例57】
【0144】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(41)
式(9)の標識SN-38(実施例13に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例58】
【0145】
Q=CD2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(43)
式(10)の標識SN-38(実施例14に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例59】
【0146】
Q=CH2、B1=N、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(45)
式(10)の標識SN-38(実施例14に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例60】
【0147】
Q=CH2、B1=15N、Y=13C、X=13CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(44)
式(10)の標識SN-38(実施例14に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例61】
【0148】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の標識CPT-11(46)
Z=CH3、J=CH2、W=13C、X=CH、およびY=Cである場合の式(11)の標識SN-38(実施例15に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(たとえば実施例24に記載のように製造)からスタートし、たとえば実施例29〜30に記載の手順にしたがって、Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(46)の標識CPT-11を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、たとえば実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例62】
【0149】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(48)
式(11)の標識SN-38(実施例15に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例63】
【0150】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=CH、W=13C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(47)
式(11)の標識SN-38(実施例15に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例64】
【0151】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(49)
式(12)の標識SN-38(実施例16に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例65】
【0152】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(51)
式(12)の標識SN-38(実施例16に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例66】
【0153】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=CH、W=C、J=13CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(50)
式(12)の標識SN-38(実施例16に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例67】
【0154】
Q=CD2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(52)
式(13)の標識SN-38(実施例17に記載のように製造)と、Q=CD2およびB1=Nである場合の式(VII’)の標識化合物(実施例24に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例68】
【0155】
Q=CH2、B1=N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(54)
式(13)の標識SN-38(実施例17に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=Nである場合の式(VII’)の化合物からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例69】
【0156】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=13CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(53)
式(13)の標識SN-38(実施例17に記載のように製造)と、Q=CH2およびB1=15Nである場合の式(VII’)の化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。
【実施例70】
【0157】
Q=CH2、B1=15N、Y=C、X=CH、W=C、J=CH2、およびZ=CH3である場合の式(I”)の化合物、標識CPT-11(15)
化合物SN-38と、式(VII’)の標識化合物(実施例25に記載のように製造)からスタートし、実施例29〜30に記載の手順にしたがって、表記化合物を遊離塩基として得ることができる。対応する塩酸塩は、実施例31に記載の手順にしたがうことによって得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9は、互いに独立的に13CまたはCであり;Yは15NまたはNであり;そしてR1は、ヒドロキシル基または式(i)
【化2】

(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28は、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20は、互いに独立的に13CまたはCであり;Y1とY2は、互いに独立的に15NまたはNである)で示される基であり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている〕で示される安定な標識カンプトテシン類縁体、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
R1がヒドロキシル基である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
R1が請求項1記載の式(i)の基である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が全てHであり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が全てCであり、YがNであり、そしてR1が請求項1記載の基(i)である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;Yが15NまたはNであり;R1が、ヒドロキシル基または式(i)(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が全てHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が全てCであり;Y1とY2がNである)で示される基である;請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
表1において定義されている式(I’)
【化3】

の化合物。
【請求項7】
表2において定義されている、必要に応じて医薬的に許容される塩の形態の、式(I”)
【化4】

の化合物。
【請求項8】
R1がヒドロキシル基であり;R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてYが15NまたはNであり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されている;という場合の、請求項1記載の式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体の製造方法であって、
(a) 式(II)
【化5】

(式中、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてYが15NまたはNである)の化合物と式(III)
【化6】

(式中、R2、R3、R4、R5、およびR6が、互いに独立的に2HまたはHであり;そしてX1、X2、およびX3が、互いに独立的に13CまたはCである)の化合物とを反応させて、式(IV)
【化7】

(式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYが、それぞれ前記したとおりであり、したがってR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されている)の化合物を得る工程;
(b) 式(IV)の化合物を開裂させて式(V)
【化8】

(式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYは、化合物(IV)に関して前記したとおりである)の化合物を得る工程;および
(c) 式(V)の化合物と式(VI)
【化9】

の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得る工程;
を含む前記製造方法。
【請求項9】
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、互いに独立的に2HまたはHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が、互いに独立的に13CまたはCであり;Yが15NまたはNであり;そしてR1が式(i)
【化10】

(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNである)で示される基であり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されており、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている;という場合の、請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
(d) 前記工程(c)において得られる式(I)の化合物と式(VII)
【化11】

(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNであり;但し、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている)で示される化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得る工程;
を含む前記製造方法。
【請求項10】
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が全てHであり;X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9が全てCであり;YがNであり;そしてR1が式(i)
【化12】

(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が、互いに独立的に2HまたはHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が、互いに独立的に13CまたはCであり;そしてY1とY2が、互いに独立的に15NまたはNであり;但し、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、Y1、およびY2の少なくとも1つが同位体標識されている)で示される基である;という場合の請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
(e) 式
【化13】

の化合物と前記式(VII)の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得、そして必要に応じて、前記化合物を前記化合物の医薬的に許容される塩に転化させる工程;
を含む前記製造方法。
【請求項11】
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYが、それぞれ前記したとおりであり;但し、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、およびYの少なくとも1つが同位体標識されており;そしてR1が式(i)(式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28が全てHであり;X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、およびX20が全てCであり;Y1とY2がNである)の基である;という場合の請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
(f) 前記工程(c)において得られる式(I)の化合物と式
【化14】

の化合物とを反応させて、所望する式(I)の化合物を得、そして必要に応じて、前記化合物を前記化合物の医薬的に許容される塩に転化させる工程;
を含む前記製造方法。
【請求項12】
請求項1記載の式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体の、ADME研究のための使用。
【請求項13】
請求項1記載の式(I)の安定な標識カンプトテシン類縁体の、生体サンプル中の対応する未標識カンプトテシン類縁体を定量的に検出するための分析法における内部標準物質としての使用。
【請求項14】
請求項6記載の式(I’)および請求項7記載の式(I”)の安定な標識カンプトテシン類縁体、あるいは前記類縁体の医薬的に許容される塩の、生体サンプル中の対応する未標識カンプトテシン類縁体を定量的に検出するための分析法における内部標準物質としての使用。

【公表番号】特表2006−510700(P2006−510700A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561428(P2004−561428)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014801
【国際公開番号】WO2004/056398
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(503080729)ファルマシア・イタリア・ソシエタ・ペル・アツィオーニ (5)
【Fターム(参考)】