説明

同所性人工膀胱装具

袋状体または袋またはバルーンと、縫合することなく尿管および尿道を人工膀胱膀胱に強制的に連結する中空部材(200、300)と、を備えた、同所性人工膀胱装具を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は同所性人工膀胱装具に関する。
【0002】
患者の膀胱が膀胱に固有の機能を損なう重篤な難病を患った際には、その膀胱を人工膀胱装具と置き換えることが望ましいことが知られている。
【0003】
このような問題を解決するために開発された各種解決方法の1つが、本来の膀胱を、国際特許出願公開第2007/039159号明細書に記載された、加圧に耐え、下腹部を加圧するだけで空になる、柔軟な多層シリコーン製の膀胱に置き換えることである。このタイプの装具は、尿管および尿道と人工膀胱との間を縫合によって連結する。しかしながら、縫合で固定することは、例えば尿管および/または尿道が先天的または病理学的な理由で衰弱および/または薄化している場合のように、常に可能なわけではない。さらに、縫合を行うには熟練度の高い技能が要求され、その上、置換手術に時間がかかる。
【0004】
本発明の目的は、本来の膀胱を置換し、患者の生活の質の大幅な向上を可能にする同所性人工膀胱装具を提供することによって、先行技術のこれらの短所を解消することにある。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、縫合を行わなくても尿管および/または尿道を人工膀胱に固定でき、したがって組織が壊死する危険性を回避できる、同所性人工膀胱装具を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、製造が容易な同所性人工膀胱装具を提供することにある。
【0007】
これらの目的は、添付の独立請求項1に列挙する特性を備えた本発明によって達成される。
【0008】
本発明の好適な実施形態は従属請求項から明らかである。
【0009】
本発明に係る同所性人工膀胱装具は、内層は尿で劣化することがなく、外層は周囲の組織への融着を防止するのに適している、柔軟性および弾性を有する合成素材の多層膜で形成された、袋状体または袋またはバルーンを備えている。本同所性装具は、尿管を装具に連結するための少なくとも2つの穴と、同数の中空部材とをさらに備えている。中空部材は、幅広の円形の平坦な基底部と、穴を通過する管状部とを有する。該管状部は、接着剤を使用しなくても締まり嵌めを確立して尿管を管状部の内側に固定できるように、尿管の外径と実質的に同じ内径を有している。このようにして、尿管の管腔を実質的に狭小化することなく、尿管は中空部材の管状部の内側に強制的に挿入される。
【0010】
本発明の他の特性は、単に例示的であって、したがって非限定的な本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明によって、明らかになる。なお、実施形態では以下の添付図面を参照する。
【0011】
図1は同所性人工膀胱装具の斜視図であり、本発明にしたがって尿管が当該装具に中空部材によって連結され、一方で、先行技術にしたがって別の尿管および尿道が該装具に縫合によって連結された様子を示している。
【0012】
図2は、図1のセクションII−II部に沿った、人工膀胱の一部の拡大断面図である。
【0013】
図3は、中空部材と尿管との間の組立て(assembly)を分解して図示する破断斜視図である。
【0014】
図4は中程度の長さにおける拡大断面図であって、上記人工装具に取り付けられた中空部材内で尿管が組み立てられた様子を示している。
【0015】
図5aおよび図5bは、中空部材の第2の実施形態の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。
【0016】
図6は中程度の長さにおける拡大断面図であって、図5aの中空部材が人工装具に取り付けられて、その中に尿管が挿入された様子を示している。
【0017】
図6aは、図5aの中空部材と尿管との間の組立てを分解して図示する破断斜視図である。
【0018】
図7aは、図5aおよび図5bに示す中空部材に接続される第2の実施形態の同所性人工膀胱装具の先行体の正面図である。
【0019】
図7bは、図7aの線B−Bに沿った断面図である。
【0020】
図7c、図7d、および図7eは、図7b中にそれぞれC、D、およびEで示した細部の断面図である。
【0021】
図8aおよび図8bは、図5aおよび図5bの中空部材に接続される袖部の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。
【0022】
図1には、袋状体または袋または萎ませることのできるバルーンの形態の膀胱装具(全体を参照番号1で表わす。)を図示する。すなわち、装具1を満たし、また空にするための仕組みは、装具の内側の空気と内側にある液体(尿)と(両方とも装具1の内側にある。)の間の圧力の差の効果によって機能する。装具1の容量は100cm〜900cmである。
【0023】
図1の装具1は柔軟なシリコーンの多層膜2(図2)からなり、加圧に耐える、中の空気を抜くことができる、または萎ませることができるような厚さを有する。装具の膜は、好ましくは、厚さが約600μmであり、20のシリコーン層からなる。各層の厚さは約30μmである。使用されるシリコーンは、例えば、ジメチルとメタビニルシロキサンとの共重合体からなり、シリコンで補強されていればよい。好ましくは、例えばコード番号MED 4735(商標)で知られている医療用シリコーン(Nusil Technology社が販売)などの、医療用シリコーンが使用される。
【0024】
シリコーンの膜2の最も外側の層3は、線維被膜が装具1に接着する危険性を軽減できるように、テキスチャー化(texturized)して粗い表面を形成してもよく、または、熱分解性を有する乱層構造炭素によって被覆してもよい。好ましくは、最も外側の層3は、熱分解性を有する乱層構造炭素によって被覆される。装具1の内面は、一方では、高度な生体適合性を有する材料のマイクロフィルム4(例えば、厚さがほぼ0.2μm〜0.3μmの熱分解性を有する乱層構造炭素)によって被覆される。
【0025】
上記の膜を得るためのプロセスは国際特許出願公開第2007/039159号明細書に記載されており、この特許出願文献全体を参照によってここに引用する。
【0026】
図1に示す装具1は、中心に穴9、9’および、9”を有する、3つの部分膜7をさらに備えている。これらの部分膜7は装具1の膜2の内面4に取り付けられており(図4)、国際特許出願公開第2007/039159号明細書に記載されているように予め装具1に形成された穴5をカバーしている。
【0027】
上記部分膜7は、穴5よりサイズが大きく(図4)、尿管および尿道を装具1に縫合しやすくするために人工膀胱において一般に使用される。これらの部分膜7は、装具1の袋を形成する多層膜2に類似のものであってもよく、または、テキスチャー化された層3を有していなくてもよい。
【0028】
図1に示すように、本発明によれば、尿管6は、内側に尿管6が挿入された管状部10によって部分膜7に連結される。管状部10は、図3に参照番号200で示す中空部材の一部を形成する。中空部材200は幅広の円形の平坦な基底部11をさらに有し、ここから管状部10が延びている。管状部10は、円形の基底部11に対して垂直な縦軸を有しており、内側に窪みおよび/または突出がないので、長さ方向に沿って一定の内径を有している。円形の基底部11の上にはシリコーン接着剤500(図4)が載置される。この接着剤500によって、図4に示すように、中空部材200の管状部10が部分膜7の穴9に挿入された後に、中空部材200は部分膜7と一体化され、さらに装具1の膜2と一体的化されるようになる。
【0029】
管状部10は、内径が5〜30シャリエ(charrier)(Ch)または5Ch〜15Chであり、厚さが1.0mm〜10mm、長さは約5cm未満である。円形の基底部11の直径は、部分膜7が取り付けられる穴5の直径より小さい。
【0030】
部分膜7の穴9は、サイズが一般に5Ch〜30Chであり、中空部材200の管状部10を強制的に通過させることができるようになっている。なお、1Chは1/3mmに相当する。
【0031】
管状部10を含めた中空部材200は、好ましくは、内側および外側の両方が、例えば熱分解性を有する乱層構造炭素などの高度な生体適合性を有する生体材料によって被覆される。
【0032】
外科処置の際には、尿管6が中空部材200の管状部10の内側に強制的に挿入され、管状部10はその弾性によって尿管6の管部の周囲を軽く捕捉する。図4に示すように、尿管は、中空部材200の円形の基底部11から突出するように管状部10の内側に挿入される。
【0033】
こうすることによって、尿管6を縫合によって部分膜7に固定することが不要になる(一方で、図1に示す先行技術では尿管6’の場合に縫合による固定が必要である。)。これによって、縫合を行う場合に発生する可能性がある壊死を回避できる。さらに、尿管と中空部材200との間を締まり嵌めすることによって、接着剤を尿管表面に適用することを回避できる。
【0034】
本発明の別の実施形態(図示せず)では、部分膜7が存在しない。さらに、中空部材200を通過させる穴9が装具1の膜2に直接形成されて、図1に示す穴5を設ける必要がなく、穴5を部分膜7でカバーする必要もない。
【0035】
尿管8の装具1への連結にも、中空部材200を、適切なサイズにした上で使用してかまわないことは言うまでもない。
【0036】
さらに、中空部材200を使用して尿管6および6’が固定される本発明に係る人工装具1は、尿道8の替わりにカテーテルまたはステントを有する人工装具であってもよい。
【0037】
図4に示す実施形態の代替として、部材10および11を備えた管状体200によって表わされる系を、図5および図6に示す部材300によって置き換えてもかまわない。
【0038】
この部材300は単一部材であって、部材200に関する上述の記載と同様に、尿管を挿入する管状部10と、部材300を人工膀胱1の内面に接着することを可能にする機能を有する円形面13(図5b)によって管状部10に連結された、頂点部分が欠けた円錐状部14とを有する。部材300は、硬度が約50ショア(Shore)のシリコーンで形成されている。
【0039】
部材300の好適な実施形態において、管状部10は内径が約6mm、外径が約10mm、全長が約50mm(このうち管状部10の長さが30mm)であり、円形面13の直径は約20mmである。
【0040】
上記単一部材300は、好ましくは内面および外面の両方が熱分解性を有する乱層構造炭素によって被覆されており、好ましくは同じく内面および外面の両方が乱層構造炭素によって被覆されているが、テキスチャー化はされてない人工膀胱との組合せにおいて使用される。
【0041】
上記において規定した単一部材300を、同じく内面および外面の両方が乱層構造炭素によって被覆されているが、テキスチャー化はされてない人工膀胱または装具1に接続することは、以下において記載する一連のステップを含むプロセスによって達成される。
【0042】
まず、柔軟なシリコーンの膜2からなるバルーン600(図7a)の形態における装具を準備する。
【0043】
膜2を多層構造にして、加圧に耐える、中の空気を抜くことができる、および萎ませることができる厚さを有するように(例えば、上述のようにして得られる各層の厚さが約30μmの20のシリコーン層からなり、厚さが例えば約600μm)製作してもよい。その他の構成としては、膜2がシリコーン成型によって作製される単一の層であってもよい。
【0044】
好適な実施形態において、バルーン600は厚さが0.6mm、直径がほぼ72mm〜74mmである。
【0045】
バルーン600において、開口部(図示せず)および3つの円形の穴603’(図7bおよび図7d)が形成される。この3つの円形の穴603は、それぞれにストッパー型のカバー603(図7aおよび図7b)が設けられた3つの実質的に平坦な領域を特定する。好適な実施形態において、各穴603’の直径は約22mm、各ストッパー603の外径は約26mmである。
【0046】
バルーン600を準備した後に、バルーン600の外面601に対向する中空のシリコーン製円錐台602(図7a)を、3つのストッパー603のうちの1つに一致するように接着する。好適な実施形態において、円錐台602は、高さが約15mm、基底部の直径が約24mm、穴の内径が約6mm、厚さが約1mmである。
【0047】
円錐台602は、以下に記載するように、外科処置の際には尿道を挿入するための案内部として作用する。一方で、2つのストッパー603に一致し、円錐台602を備えていない、残りの2つの平坦化された円形の領域は、以下に記載するように、単一部材300中の上述の各部材と接続するために作用する。
【0048】
シリコーンのバルーン600を準備した後に、上述の開口部の縁を保護し、次に、乱層構造炭素を先行技術によって外面601上に積層(1回目)する。さらに、それからバルーン600を加硫(1回目)する。
【0049】
円錐台602の側方の面のような乱層構造炭素によって被覆された外面601を有する円錐部602を備えたバルーン600が準備できると、このバルーンの内外を開口部(図示せず)を介して裏返し(1回目)、面601および円錐部602をバルーン600の外側から内側に移動させる。
【0050】
この時点で、面601の反対側の内面604は、外側へ移動する。次に、いま外側を向いているストッパー603の面605および内外をひっくり返すための開口部の縁を適切に保護した後に、乱層構造炭素を適用することによって、面604を被覆する。
【0051】
続いて2回目の加硫を実施し、その後、ストッパー603の面605(図7c)の保護を除去する。
【0052】
この時点で、円錐部602を有しないストッパー603の一方または両方の面605に、貫通孔9(または9’)(図6および図6a)を設けて、同様に乱層構造炭素で予め被覆された各部材300の管状部10を穴9に挿入および通過させることができる。それから、面13(図5)を乱層構造炭素によって被覆されていない面605に接着する。
【0053】
接着が完了すると、各部材300は、その円錐状部14(図5b)がバルーン600の外側を向き、管状部10が内側を向いている。
【0054】
面13を保護し、長軸方向に切断し、切り口の各縁を保護し、長軸方向に切開した部材300の両方の切断面に乱層構造炭素を適用し、加硫し、続いて切り口の各縁の保護を除去することによって、この2つの保護された縁を互いに接着できるように、バルーン600と同様に、単一部材300は、内面および外面の両方が乱層構造炭素によって被覆されている。
【0055】
1つのまたは2つの部材300をバルーン式人工膀胱600に接続した後に、バルーン600の内外を再度裏返し、こうして、各部材300の面601、円錐部602、および管状部10が外側を向き、その一方で、部材300の円錐状部14、バルーンの面604、およびストッパー603の面605が回転してバルーン600の内側を向いている、図6および図7aに示す状態に戻す。
【0056】
この時点で、バルーンの内外をひっくり返すための開口部の縁を、閉じたバルーン600を得て、こうして閉じた膀胱を得るために、互いに接着してもよい。
【0057】
上述の接着作業は、好ましくは、先に記載したように接着剤500を用いて実施される。
【0058】
貫通孔9(または9’)は、好ましくは、ステンレス鋼製の脳外科用スタイレットまたは穿孔器を用いて開けられる。
【0059】
前述の手順によって、単一部材300の円錐台602および管状部10が外側を向いた、内面および外面の両方が乱層構造炭素によって被覆された人工膀胱600の同所性装具1が得られ、この装具1はこの状態で患者にインプラントされる準備が整っている。
【0060】
手術時に、円錐台602の真下に位置するストッパー603を刺し通すように、ステンレス鋼製穿孔器または脳外科用スタレットを用いて円錐台602に穴を開けて、尿道8を人工膀胱に挿入できるようにする。また、中空部材200に関する上述の記載と同様にして、各尿管6および6’を強制的に管状部10の中へ挿入する。
【0061】
単一部材300の管状部10に挿入された尿管6および6’をさらに保護し、管状部の強剛性を増すためには、図6に示すように、尿管6および6’を挿入した後に、袖部700(図8)を部材300の管状部10の外部に取り付けることも好適である。
【0062】
したがって、前述のプロセスによれば、本発明に係る装具1のもう1つの実施形態が得られる。このもう1つの実施形態では、人工膀胱1はテキスチャー化されていないバルーン600であるが、熱分解性を有する乱層構造炭素で内面および外面が被覆されている。人工膀胱1は、装具1を尿道8に連結することができる円錐台602をさらに備えている。また、バルーンは、尿管6および6’を固定するための中空部材を備えていて、熱分解性を有する乱層構造炭素で内面および外面が被覆された単一部材300を形成する。さらに、この単一部材300は、部材200に関する上述の記載と同様にして、貫通孔9および9’に挿入される管状部10に連結された幅広の基底部13とともに、円錐台状部14によって形成されている。また一方で、部材300の幅広の基底部13は、前述の部材200の円形の基底部11と同様に、膜2の内面605に接触する。
【0063】
添付の請求項に記載する本発明の技術的範囲から逸脱することなく、本発明の本実施形態に対して、当業者が考え付く細部における種々の変更および改良を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】同所性人工膀胱装具の斜視図であり、本発明にしたがって尿管が当該装具に中空部材によって連結され、一方で、先行技術にしたがって別の尿管および尿道が該装具に縫合によって連結された様子を示している。
【図2】図1のセクションII−II部に沿った、人工膀胱の一部の拡大断面図である。
【図3】中空部材と尿管との間の組立て(assembly)を分解して図示する破断斜視図である。
【図4】中程度の長さにおける拡大断面図であって、上記人工装具に取り付けられた中空部材内で尿管が組み立てられた様子を示している。
【図5a】中空部材の第2の実施形態の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。
【図5b】中空部材の第2の実施形態の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。
【図6】中程度の長さにおける拡大断面図であって、図5aの中空部材が人工装具に取り付けられて、その中に尿管が挿入された様子を示している。
【図6a】図5aの中空部材と尿管との間の組立てを分解して図示する破断斜視図である。
【図7】図7aは、図5aおよび図5bに示す中空部材に接続される第2の実施形態の同所性人工膀胱装具の先行体の正面図である。 図7bは、図7aの線B−Bに沿った断面図である。 図7c、図7d、および図7eは、図7b中にそれぞれC、D、およびEで示した細部の断面図である。
【図8a】図5aおよび図5bの中空部材に接続される袖部の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。
【図8b】図5aおよび図5bの中空部材に接続される袖部の、それぞれ上面図および中程度の長さにおける断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性および弾性を有する合成素材の多層膜(2)で形成された、袋状体または袋またはバルーンと、
尿管(6、6’)を同所性人工膀胱装具(1)に連結するための少なくとも2つの穴(9、9’)と、
尿道(8)またはステントを通過させるためのさらなる穴と、を備えた同所性人工膀胱装具(1)であって、
上記尿管(6、6’)は、それぞれ中空部材(200)によって固定され、
上記中空部材(200)は、上記膜(2)の内側に取り付けられる幅広の平坦な基底部(11)と、上記穴(9、9’)を通過する管状部(10)とを備え、
上記尿管(6、6’)は、締まり嵌めを確立するように上記管状部(10)の内側に強制的に挿入され、
上記管状部(10)は、上記平坦な基底部(11)に対して実質的に垂直であり、その長さ方向に沿って一定の内径を有し、
上記シリコーンの膜(2)の最も外側の層(3)および内面(4)は、熱分解性を有する乱層構造炭素によって被覆されており、
上記管状部(10)を含む上記中空部材(200)は、その内面および外面の両方が、熱分解性を有する乱層構造炭素によって被覆されていることを特徴とする、同所性人工膀胱装具。
【請求項2】
上記穴(9、9’)は、それぞれの部分膜(7)に形成され、
上記部分膜(7)は、上記装具(1)において予め形成された穴(5)を覆うために、上記装具(1)の上記膜(2)の内面(4)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の装具。
【請求項3】
シリコーン接着剤(500)は、上記幅広の基底部(11)に載置されて、上記中空部材(200)を上記多層膜(2)または膜(7)に強固に連結していることを特徴とする、請求項1に記載の装具。
【請求項4】
上記管状部(10)は、内径が5〜30シャリエ(Ch)、厚さが1.0mm〜10mm、且つ長さが5cm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装具。
【請求項5】
上記穴(9)は、サイズが一般に5Ch〜30Chであり、且つ上記中空部材(200)の上記管状部(10)を強制的に通過させることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装具。
【請求項6】
上記中空部材(200)の上記管状部(10)に挿入された上記尿管(6、6’)は、上記幅広の基底部(11)から突出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装具。
【請求項7】
上記多層膜(2)は、厚さが約600μmの柔軟なシリコーンで形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装具。
【請求項8】
上記尿道(8)も、上記中空部材(200)によって固定されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装具。
【請求項9】
上記人工膀胱(1)は、熱分解性を有する乱層構造炭素によって内面および外面が被覆された、テキスチャー化されていないバルーン(600)であり、
上記装具を上記尿管(8)に連結するために適した円錐台(602)をさらに備え、
上記尿管(6、6’)を固定するための上記中空部材は、熱分解性を有する乱層構造炭素によって内面および外面が被覆された単一部材(300)であり、且つ上記穴(9、9’)を通過する上記管状部(10)に連結されている上記幅広の基底部(13)とともに、円錐台状部(14)を備え、
上記幅広の基底部(13)は、上記膜(2)の内側を向いている面(605)に接触していることを特徴とする、請求項1に記載の装具。
【請求項10】
上記面(605)は、上記バルーン(600)の外面(601)に設置されているカバー(603)の底面であることを特徴とする、請求項9に記載の装具。
【請求項11】
請求項9または10に記載の装具を製造するための方法であって、
外面(601)および内面(604)を有し、柔軟なシリコーンの膜(2)からなるバルーン(600)の形態の装具を準備する工程と、
上記バルーンにおいて、1つの開口部および3つの円形の穴(603’)を開け、且つ当該穴(603’)のそれぞれを、ストッパー型のカバー(603)を用いて閉じる工程と、
上記バルーン(600)の上記外面(601)に対向する中空のシリコーン製円錐台(602)を、上記カバー(603)のうちの1つに接着する工程と、
上記開口部の縁を保護した後に、上記バルーン(600)の上記外面(601)および上記円錐台(602)の表面に乱層構造炭素を積層する工程と、
第1回目の加硫を実施する工程と、
上記加硫済みのバルーン(600)の内外を、上記開口部を介して裏返して、上記面(601)を上記バルーン(600)の外側から内側へと移動させ、上記面(604)を内側から外側へと移動させる工程と、
上記カバー(603)の上記面(605)と、上記開口部の上記縁とを適切に保護した後に、乱層構造炭素を適用することによって、上記面(604)を被覆する工程と、
第2回目の加硫を実施し、且つ上記保護を除去する工程と、
上記円錐部(602)を有しない上記ストッパー(603)の上記面(605)に貫通孔(9、9’)を形成し、予め乱層構造炭素によって被覆された上記部材(300)の上記管状部(10)を、上記穴(9、9’)に挿入し、上記幅広の面(13)を、被覆されていない上記面(605)に接着する工程と、
続いて上記バルーン(600)の内外を裏返して、上記円錐部(602)と上記部材(300)の上記管状部(10)とを外側に向かって回転させ、続いて内外をひっくり返すための上記開口部の上記縁を互いに接着する工程と
を包含していることを特徴とする、方法。
【請求項12】
上記単一部材(300)は、
長軸方向に切断し、上記切り口の縁を保護し、切開後の部材(300)の両方の切断面に乱層構造炭素を適用し、加硫し、続いて上記切り口の縁の上記保護を除去し、且つ続いて上記2つの保護されていた縁を互いに接着することによって、上記面(13)を除く内面および外面の両方が乱層構造炭素によって被覆されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図6a】
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【図7a)】
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【図7b)】
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【図7c)】
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【図7d)】
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【図7e)】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2012−514481(P2012−514481A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543989(P2011−543989)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009280
【国際公開番号】WO2010/078949
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508101395)
【氏名又は名称原語表記】SAMBUSSETI,Antonio
【Fターム(参考)】