説明

同期式メモリーカード変換アダプタ、データ伝送方式変換器及びクロック周波数変換器

【課題】 複数の規格の同期式メモリーカードホストコントローラに対応できる同期式メモリーカード変換アダプタを提供する。
【解決手段】 同期式メモリーカードが挿入され、更に外部のホスト装置のカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタであって、上記の外部のホスト装置が備える同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式を同期式メモリーカードとのデータ伝送方式に変換し、同期式メモリーカードとのデータ伝送方式を上記同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式に変換するデータ伝送方式変換器を含むことを特徴とする同期式メモリーカード変換アダプタを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やデジタルカメラ等に使用される同期式メモリーカードに関し、特に、形状変換アダプタを使用して多種の規格・形状のホスト装置に対応する同期式メモリーカードに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、デジタルカメラ、PC(パーソナルコンピュータ)若しくはプリンタ等のデジタル機器での相互の情報伝達手段として、様々な小型メモリーカードが利用されている。代表的なものとして、マルチメディアカード(Multi Media Card(登録商標))、SDカード(SD Card(登録商標))、miniSDカード(miniSD card(登録商標))、エックスディピクチャーカード(xD−Picture Card(登録商標))、メモリースティック(MemoryStick(登録商標))、コンパクトフラッシュ(登録商標)(Compact Flash(登録商標))、マイクロSD(microSD(登録商標))、トランスフラッシュ(TransFlash(登録商標))、メモリースティックプロ(MemoryStickPro(登録商標))、メモリースティックデュオ(MemoryStickDuo(登録商標))、メモリースティックプロデュオ(MemoryStickProDuo(登録商標))などが挙げられる。
【0003】
上記の小型メモリーカードは、制御方法、通信方法、電気的特性若しくはカード挿入台形状等において、相互に互換性がない。例えば、ある種類(ある規格)のメモリーカードは、別の種類(規格)のメモリーカードのために用意されたカード挿入台で使用できない。
【0004】
メモリーカードを記憶媒体として利用するホスト装置であるデジタル機器には、メモリーカードホストコントローラ及びカード挿入台が備わる(図6参照)。メモリーカードホストコントローラはメモリーカードとのデータ伝送を制御する回路であり、カード挿入台はデータ伝送のためにメモリーカード(若しくはメモリーカード変換アダプタ)が挿入されて固定される凹部である。ここで、ある規格のメモリーカードホストコントローラと繋がるカード挿入台は、特定形状のメモリーカード(若しくはメモリーカード変換アダプタ)のみが挿入可能である。つまり、ある規格のメモリーカードは、所定の規格以外のメモリーカードホストコントローラのカード挿入台と、形状が適合せず、カード挿入台に挿入され得ない。
【0005】
ところで、制御方法、通信方法及び電気的特性が同一であるが、形状、特に大きさが異なるメモリーカード群が、市場に登場している。このような場合、小さいメモリーカードを大きいメモリーカード用のホスト装置で利用するためのメモリーカード変換アダプタが開発されている。このようなメモリーカード群(以下、同一特性メモリーカード群という)として、
(1)SDカードとminiSDカード、
(2)メモリースティックとメモリースティックDuo、
(3)メモリースティックPROとメモリースティックPRODuo、
(4)マルチメディアカード(MMC)とリデュースドサイズマルチメディアカード(RS−MMC)
などが、挙げられる。
【0006】
図6は、メモリーカード60’、メモリーカード変換アダプタ52’、及びホスト装置54’の配置の関係を示す概略のブロック図である。図6に示すメモリーカード60’は、ある同一特性メモリーカード群における形状の小さいメモリーカードである。この形状の小さいメモリーカード60’はメモリーカード変換アダプタ52’に挿入され、更にメモリーカード変換アダプタ52’はホスト装置54’のカード挿入台64’に挿入される。ここでのホスト装置54’のカード挿入台64’は、挿入されたメモリーカード60’の属する同一特性メモリーカード群における形状の大きいメモリーカードに適合するように設けられているカード挿入台である。
【0007】
また、図6に明白に示されるように、メモリーカードの形状変換のみを行なうメモリーカード変換アダプタ52’では、そもそも(後で説明する)データ伝送方式変換器を備えていない。従って、これらメモリーカード変換アダプタは、そもそも想定外のメモリーカードの伝送方式をメモリーカードホストコントローラに対して変換する能力を備えない。
【0008】
このことから、データ伝送方式変換器を有するメモリーカード変換アダプタが考案されている。図7は、メモリーカード60、メモリーカード変換アダプタ52、及びホスト装置54の配置の関係を示す概略のブロック図である。図7に示すメモリーカード60は、ホスト装置54(のカード挿入台64)との形状の適合性が無いものであるだけでなく、制御方法、通信方法及び電気的特性も異なるものであることが想定されている。このため、メモリーカード変換アダプタ52にはデータ伝送方式変換器56が設けられている。
【0009】
この図7に示す従来技術のホスト装置54においては、メモリーカードホストコントローラ62が非同期式である。従って、同期式のメモリーカード60に対応する場合にはメモリーカード変換アダプタ52の内部にクロック発振器57が設けられなければならない。このクロック発振器57によりメモリーカード変換アダプタ52が同期式メモリーカード60に対して出力するクロックの周波数は固定されている。
【0010】
そうすると、クロック発信器57の周波数が、使用される同期式メモリーカード60の規格の中で最も低い周波数のものに最適化されて、固定されている場合、より高い周波数で動作することが可能な同期式メモリーカード60が使用されても、その同期式メモリーカード60が有する最大データ伝送速度および単位時間あたりの最大データ伝送量の能力を発揮できないことになってしまう。
【0011】
また、使用される同期式メモリーカード60の規格の中で最も低い周波数よりも高い周波数で、クロック発信器57の周波数が固定されている場合、その周波数より低い周波数でしか動作できない同期式メモリーカード60は、使用され得ないことになる。
【0012】
特許文献1及び特許文献2では、複数の不揮発性メモリーカードを搭載できるアダプタが開示されるが、アダプタ自体に不揮発性メモリーカードコントローラは搭載されていない。特許文献3、特許文献4及び特許文献5では、データ伝送方式変換器が搭載される不揮発性メモリーカードホストコントローラが開示されるが、アダプタは使用されていない。特許文献6では、PCカードのアダプタが開示されているが、その内部にはデータ伝送方式変換器は搭載されていない。特許文献7では、データ伝送方式変換器を搭載するアダプタが開示されているが、そのアダプタは非同期であるPCカードとCFカードのインターフェースとして設けられている。
【特許文献1】特開2002−032715号公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3094263号
【特許文献3】特開2002−073522号公報
【特許文献4】特開2003−186582号公報
【特許文献5】特開2004−110255号公報
【特許文献6】特開2003−196603号公報
【特許文献7】登録実用新案公報第3091910号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、複数の規格の同期式メモリーカードホストコントローラに対応できる同期式メモリーカード変換アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものである。本発明に係る請求項1に記載の同期式メモリーカード変換アダプタは、
同期式メモリーカードが挿入され、更に外部のホスト装置のカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタであって、
上記の外部のホスト装置が備える同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式を同期式メモリーカードとのデータ伝送方式に変換し、
同期式メモリーカードとのデータ伝送方式を上記同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式に変換するデータ伝送方式変換器を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る請求項2に記載のデータ伝送方式変換器は、
同期式メモリーカードが挿入され更に外部のホスト装置の備えるカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタに搭載されるデータ伝送方式変換器であって、
外部のホスト装置の備える同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式を、同期式メモリーカードとのデータ伝送方式に変換することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る請求項3に記載のデータ伝送方式変換器は、
同期式メモリーカードとのデータ伝送方式を、上記同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式に変換することを特徴とする請求項2に記載のデータ伝送方式変換器である。
【0017】
本発明に係る請求項4に記載のデータ伝送方式変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロックにて動作することを特徴とする請求項3に記載のデータ伝送方式変換器である。
【0018】
本発明に係る請求項5に記載のデータ伝送方式変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部のバッファ回路を経由させ、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項4に記載のデータ伝送方式変換器である。
【0019】
本発明に係る請求項6に記載のデータ伝送方式変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部のPLL回路を経由させて周波数を定倍化し、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送方式変換器である。
【0020】
本発明に係る請求項7に記載のデータ伝送方式変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部の分周回路を経由させて周波数を分周し、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項6に記載のデータ伝送方式変換器である。
【0021】
本発明に係る請求項8に記載のクロック周波数変換器は、
同期式メモリーカードが挿入され更に外部のホスト装置の備えるカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタの内部に搭載されるクロック周波数変換器であって、
上記同期式メモリーカードホストコントローラからのクロック信号を、PLL回路、バッファ回路、若しくは分周回路のうち少なくとも2つを経由させて少なくとも2つの出力クロック信号を形成し、
上記の少なくとも2つの出力クロック信号から、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックを選択して出力することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る請求項9に記載のクロック周波数変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから同期式メモリーカードを初期化する命令が発行された場合と、同じ動作を行なう同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサを有し、
上記同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサは、
同期式メモリーカードホストコントローラからの命令なしに同期式メモリーカードを初期化することを特徴とする請求項8に記載のクロック周波数変換器である。
【0023】
本発明に係る請求項10に記載のクロック周波数変換器は、
上記同期式メモリーカードホストコントローラから同期式メモリーカードのカード情報を読み出す命令が発行された場合と、同じ動作を行なう同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサを有し、
上記同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサは、
同期式メモリーカードホストコントローラからの命令なしに同期式メモリーカードのカード情報を読み出すことを特徴とする請求項9に記載のクロック周波数変換器である。
【0024】
本発明に係る請求項11に記載のクロック周波数変換器は、
同期式メモリーカードへのカード情報の読み出し命令の返り値から同期式メモリーカード変換アダプタに挿入された同期式メモリーカードの規格を判定する同期式メモリーカード情報判定部を有し、
上記同期式メモリーカード情報判定部は、判定した同期式メモリーカードの規格の情報に基づいて、上記の少なくとも2つの出力クロック信号から、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックを選択することを特徴とする請求項10に記載のクロック周波数変換器である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る同期式メモリーカード変換アダプタを利用することによって、異なる複数の規格に係るホスト装置にて同期式メモリーカードを利用できる。また、本発明に係るデータ伝送方式変換器を搭載した同期式メモリーカード変換アダプタを利用することによって、同期式メモリーカード変換アダプタにクロック発振器を搭載する必要がなくなる。
【0026】
また、本発明に係るクロック周波数変換器を搭載した同期式メモリーカード変換アダプタを利用することによって、同期式メモリーカード変換アダプタに挿入された同期式不揮発性メモリーカードに最適なクロック信号が選択され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明に係る好適な実施の形態を説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ2及びそれを利用するホスト装置4の概略のブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ2のブロック図である。
【0029】
図1に示すように、第1の実施形態の同期式メモリーカード変換アダプタ2は、同期式データ伝送方式変換器6を備え、該同期式データ伝送方式変換器6は、バッファ回路、PLL回路、分周回路若しくはクロック周波数変換器8を備える。同期式メモリーカード10をこの同期式メモリーカード変換アダプタ2に挿入することによって、同期式メモリーカード変換アダプタ2を経由して同期式メモリーカード2がホスト装置4のカード挿入台12に挿入される。なお、第1の実施形態に係るホスト装置4においては、同期式のメモリーカードホストコントローラ12が設けられる。
【0030】
図1に示すように、第1の実施形態の同期式メモリーカード変換アダプタ2の同期式データ伝送方式変換器6は、同期式メモリーカードホストコントローラ12のデータ伝送方式を同期式メモリーカード10のデータ伝送方式に変換し、同期式メモリーカード10のデータ伝送方式を同期式メモリーカードホストコントローラ12のデータ伝送方式に変換する。このことによって、同期式メモリーカード変換アダプタ2に挿入された同期式メモリーカード10と同期式メモリーカードホストコントローラ12との間のデータ伝送が可能になる。
【0031】
図1に示す同期式メモリーカード変換アダプタ2の同期式データ伝送方式変換器6は、バッファ回路34を有する(図2参照)。同期式メモリーカードホストコントローラ12から同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックは、バッファ回路34を経由して、同期式メモリーカード10への入力クロックとして出力される。このことにより、同期式メモリーカード変換アダプタ2にクロック発振器を搭載することが不必要になり得る。
【0032】
また、図1に示す同期式メモリーカード変換アダプタ2の同期式データ伝送方式変換器6は、PLL回路30を有する(図2参照)。同期式メモリーカードホストコントローラ12から同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックは、PLL回路30を経由することによって定倍化された周波数の出力クロックとなる。この出力クロックが、同期式メモリーカード10への入力クロックとして出力される。このことにより、同期式メモリーカード変換アダプタ2にクロック発振器を搭載することが不必要になり得る。つまり、同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックより高い周波数のクロックで動作する同期式メモリーカード10を高速に動作させることが可能となる。
【0033】
更に、図1に示す同期式メモリーカード変換アダプタ2の同期式データ伝送方式変換器6は、分周回路32を有する(図2参照)。同期式メモリーカードホストコントローラ12から同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックは、分周回路32を経由することによって分周された周波数の出力クロックとなる。この出力クロックが、同期式メモリーカード10への入力クロックとして出力される。このことにより、同期式メモリーカード変換アダプタ2にクロック発振器を搭載することが不必要になり得る。つまり、同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックより低い周波数のクロックで動作する同期式メモリーカードを動作させることが可能となる。
【0034】
上述のバッファ回路34、PLL回路30及び分周回路32は、クロック周波数変換器22に設けられる。従って、同期式メモリーカードホストコントローラ12から同期式メモリーカード変換アダプタ2への入力クロックは、このクロック周波数変換器22を経由することによって同期式メモリーカード10の規格に最適である周波数の出力クロックとなる。クロック周波数変換器22における詳細な動作は、後で説明する。
【0035】
図2は、第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ2のより詳細なブロック図である。クロック周波数変換器22には、同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサ24、同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサ26、同期式メモリーカード情報判定器28が設けられている。同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサ24は、同期式メモリーカード10に初期化コマンドを発行して同カード10を初期化する。同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサ26は、同期式メモリーカード10にカード情報読み出しコマンドを発行する。同期式メモリーカード情報判定器28は、同期式メモリーカード10からのカード情報読み出しコマンドの返り値を判定する。
【0036】
また、前述のように、クロック周波数変換器22は、PLL回路30、分周回路32及びバッファ回路34を有する。更に、クロック周波数変換器22は、MUX(マルチプレクス)回路36を有する。同期式メモリーカードホストコントローラ12から入力される同期式メモリーカード変換アダプタ入力クロック16は、PLL回路30、分周回路32及びバッファ回路34のうち少なくとも2つ以上の回路に入力される。それらの出力クロックがMUX回路36に入力される。このMUX回路36においては、同期式メモリーカード情報判定器28が同期式メモリーカード10からのカード情報読み出しコマンドの返り値から同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック速度を判定した結果に基づいて、同期式メモリーカードの最大動作クロック速度を越えない最適な動作クロック速度のクロック信号が、選択される。従って、MUX回路36から最適な出力クロックを同期式メモリーカード10に入力することが可能となる。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る同期式データ伝送方式変換器6の動作を示すフローチャートである。まず、同期式メモリーカード10が同期式メモリーカード変換アダプタ2に挿入されると、同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサ24が同期式メモリーカード10に初期化コマンドを発行して、同期式メモリーカード10を初期化する(S02)。次に、同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサ26が同期式メモリーカード10にカード情報を読み出すコマンドを発行して、同期式メモリーカード10のカード情報を読出す(S04)。これを受けて、同期式メモリーカード情報判定器28が同期式メモリーカード10からのカード情報読出しコマンドに対する返り値を判定する(S06)。
【0038】
上記の同期式メモリーカード情報判定器28の判定で得られるメモリーカードの規格上の最大動作クロック周波数(A)と、PLL回路30からのクロック周波数(B)とが、比較される(S08)。同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック周波数(A)がPLL回路30からのクロック周波数(B)より高いか同じ(A≧B)場合、同期式メモリーカード情報判定器28がMUX回路36を制御して、PLL回路30からMUX回路36に入力されたクロックを同期式メモリーカード入力クロック20に出力させる(S10)。
【0039】
同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック周波数(A)がPLL回路30からのクロック周波数(B)より低い(A<B)場合、更に、同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック周波数(A)とバッファ回路34からのクロック周波数(C)を比較される(S12)。同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック周波数(A)がバッファ回路34からMUX回路36に入力されるクロック周波数(C)より高いか同じ(A≧C)場合、同期式メモリーカード情報判定器28がMUX回路36を制御して、バッファ回路34からMUX回路36に入力されたクロックを同期式メモリーカード入力クロック20に出力させる(S14)。
【0040】
同期式メモリーカード10の規格上の最大動作クロック周波数(A)がPLL回路30からMUX回路36に入力されるクロック周波数(C)より低い(A<C)場合、同期式メモリーカード情報判定器28がMUX回路36を制御して、分周回路32からMUX回路36に入力されたクロックを同期式メモリーカード入力クロック20に出力させる(S16)。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ及びそれを利用するホスト装置の具体例のブロック図である。図5は、図4の同期式メモリーカード変換アダプタのより詳細なブロック図である。図4に示す同期式メモリカード変換アダプタは、miniSDカードをメモリースティックの規格および形状に対応せしめるメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aである。
【0042】
メモリースティックとminiSDカードとは、いずれも同期式の不揮発性メモリーカードであるが、メモリカード形状、端子配置、制御方法及び通信方法が異なる。従って、miniSDカードを、メモリースティック用のホスト装置(のカード挿入台)で使用することは不可能である。
【0043】
図4のメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aは、miniSDカードの、メモリースティック用のホスト装置(のカード挿入台)での使用を可能にするものである。まず、図4のメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aは、メモリースティックとminiSDカードとのデータ伝送方式を変換するデータ伝送方式変換器6aを搭載している。また、メモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aは、メモリースティックの全体形状を有し、且つ端部からminiSDカードを挿入できるようになっている。
【0044】
ここでminiSDカード10aがメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aの端部に挿入され、そのメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aが、メモリースティックカード挿入台14aに挿入されると、miniSDカード10aは、形状、端子配置、制御方法及び通信方法において、メモリースティックと互換性を持つこととなる。
【0045】
また、図4に示されるメモリースティックホストコントローラ12aからメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aへのメモリースティック入力クロック16aを、miniSDカード10aへの入力クロックとして使用するようにすれば、メモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2a上には、クロック発生器を搭載する必要がない。
【0046】
例えば、メモリースティックホストコントローラ10aからメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aへ入力されるメモリースティック入力クロック16aの周波数が、20MHzである場合、25MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、20MHzのメモリースティック入力クロック16aをデータ伝送方式変換器6aのバッファ回路34aを経由させてminiSDカード入力クロック20aとして出力すれば、miniSDカード10aが正常に動作する。同じくメモリースティック入力クロック16aの周波数が、20MHzである場合、50MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、20MHzのメモリースティック入力クロック16aをデータ伝送方式変換器6aのPLL回路30aで50MHzを越えない周波数速度に定倍化してminiSDカード入力クロック20aとして出力すれば、miniSDカード10aが正常に動作する。
【0047】
また、メモリースティックホストコントローラ10aからメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aへ入力されるメモリースティック入力クロック16aの周波数が、40MHzである場合、25MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、40MHzのメモリースティック入力クロック16aをデータ伝送方式変換器6aの分周回路32aで25MHz以下の周波数速度に変換してminiSDカード入力クロック20aとして出力すれば、miniSDカード10aが正常に動作する。同じくメモリースティック入力クロック16aの周波数が、40MHzである場合、50MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、40MHzのメモリースティック入力クロック16aをデータ伝送方式変換器6aのバッファ回路34aを経由させてminiSDカード入力クロック20aとして出力すれば、miniSDカード10aが正常に動作する。
【0048】
但し、上述のようにメモリースティック入力クロック16aに合わせて、適切なminiSDカード入力クロック20aを出力するには、メモリースティック入力クロック16aとminiSDカード10aの規格との関係が、データ伝送方式変換器6aに備わるクロック周波数変換器22aにおいて判断されなければならない。図5は、そのような判断をするクロック周波数変換器22aを備えた図4の同期式メモリーカード変換アダプタ2aの詳細なブロック図である。
【0049】
図5のメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aにおいて、miniSDカード10aが挿入されると、クロック周波数変換器22aのminiSDカード初期化コマンドシーケンサ24aが、miniSDカード10aに対して初期化コマンドを発行し、miniSDカード10aを初期化する。次に、クロック周波数変換器22aのminiSDカード情報読出しコマンドシーケンサ26aが、miniSDカード10aに対してカード情報読出しコマンドを発行し、miniSDカード10aのカード情報を読み出す。これを受けて、クロック周波数変換器22aのminiSDカード情報判定器28aが、miniSDカード10aに対するカード情報読出しコマンドのminiSDカード10aからの返り値を判定し、miniSDカード10aの規格を判定する。
【0050】
一方、メモリースティックホストコントローラ12aからメモリースティック−miniSDカード変換アダプタ2aに入力されるメモリースティック入力クロック信号16aは、バッファ回路34a、PLL回路30a若しくは分周回路32aのうち少なくとも2つ以上の回路に入力される。それらの回路からの出力クロックは、MUX回路36aに入力される。ここで、miniSDカード情報判定器28aが、miniSDカードに対するカード情報読み出しコマンドのminiSDカードからの返り値によって、miniSDカード10aの規格上の最大動作クロック速度を判定した結果に基づいて、miniSDカード10aの最大動作クロック速度を越えない最適な動作クロック速度のクロック信号が、MUX回路36aにて選択される。従って、MUX回路36aから最適な出力クロックをminiSDカード10aに入力することが可能となる。
【0051】
以下では、より詳細なminiSDカード入力クロックの決定のプロセスの例を図5によって説明する。
【0052】
(1)メモリースティック入力クロック16aの周波数が20MHzである場合。
例えば、メモリースティック入力クロック16aの周波数が20MHzである場合、25MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、20MHzのメモリースティック入力クロック16aをバッファ回路34aを経由させてMUX回路36aに入力させたクロックを、miniSDカード入力クロック20aとする。
【0053】
このとき、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、20MHzのメモリースティック入力クロック16aを1.25倍化するPLL回路30aを経由させてMUX回路36aに入力させた25MHzクロックを、miniSDカード入力クロック20aとしてもよい。
【0054】
また、50MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、20MHzのメモリースティック入力クロック16aを2倍化若しくは2.5倍化するPLL回路30aを経由させてMUX回路36aに入力させた40MHz若しくは50MHzクロックを、miniSDカード入力クロック20aとする。
【0055】
(2)メモリースティック入力クロック16aの周波数が40MHzである場合。
また例えば、メモリースティック入力クロック16aの周波数が40MHzである場合、25MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、40MHzのメモリースティック入力クロック16aを2分周する分周回路32aを経由させてMUX回路36aに入力させた20MHzクロックを、miniSDカード入力クロック20aとする。
【0056】
このとき、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、40MHzのメモリースティック入力クロック16aを0.625倍化するPLL回路30aを経由させてMUX回路36aに入力させた25MHzクロックを、miniSDカード入力クロック20aとしてもよい。
【0057】
また、50MHzで動作するminiSDカード10aに対しては、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、40MHzのメモリースティック入力クロック16aをバッファ回路34aを経由させてMUX回路36aに入力させたクロックを、miniSDカード入力クロック20aとする。
【0058】
このとき、miniSDカード情報判定器28aがminiSDカード10aの規格を判定した結果に基づいてMUX回路36aを制御して、40MHzのメモリースティック入力クロック16aを1.25倍化するPLL回路30aを経由させてMUX回路36aに入力させた50MHzクロックを、miniSDカード入力クロック20aとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ及びそれを利用するホスト装置の概略のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタのブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る同期式データ伝送方式変換器の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る同期式メモリーカード変換アダプタ及びそれを利用するホスト装置の具体例のブロック図である。
【図5】クロック周波数変換器を備えた図4の同期式メモリーカード変換アダプタの詳細なブロック図である。
【図6】従来のメモリーカード、メモリーカード変換アダプタ、及びホスト装置の配置の関係を示す概略のブロック図である。
【図7】従来のメモリーカード、メモリーカード変換アダプタ、及びホスト装置の配置の関係を示す概略のブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
2・・・同期式メモリーカード変換アダプタ、4・・・ホスト装置、6・・・同期式データ伝送方式変換器、10・・・同期式メモリーカード、12・・・同期式メモリーカードコントローラ、14・・・カード挿入台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期式メモリーカードが挿入され、更に外部のホスト装置のカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタであって、
上記の外部のホスト装置が備える同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式を同期式メモリーカードとのデータ伝送方式に変換し、
同期式メモリーカードとのデータ伝送方式を上記同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式に変換するデータ伝送方式変換器を含むことを特徴とする同期式メモリーカード変換アダプタ。
【請求項2】
同期式メモリーカードが挿入され更に外部のホスト装置の備えるカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタに搭載されるデータ伝送方式変換器であって、
外部のホスト装置の備える同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式を、同期式メモリーカードとのデータ伝送方式に変換することを特徴とするデータ伝送方式変換器。
【請求項3】
同期式メモリーカードとのデータ伝送方式を、上記同期式メモリーカードホストコントローラとのデータ伝送方式に変換することを特徴とする請求項2に記載のデータ伝送方式変換器。
【請求項4】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロックにて動作することを特徴とする請求項3に記載のデータ伝送方式変換器。
【請求項5】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部のバッファ回路を経由させ、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項4に記載のデータ伝送方式変換器。
【請求項6】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部のPLL回路を経由させて周波数を定倍化し、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送方式変換器。
【請求項7】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから入力されたクロック信号を、内部の分周回路を経由させて周波数を分周し、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックに出力することを特徴とする請求項6に記載のデータ伝送方式変換器。
【請求項8】
同期式メモリーカードが挿入され更に外部のホスト装置の備えるカード挿入台に挿入される同期式メモリーカード変換アダプタの内部に搭載されるクロック周波数変換器であって、
上記同期式メモリーカードホストコントローラからのクロック信号を、PLL回路、バッファ回路、若しくは分周回路のうち少なくとも2つを経由させて少なくとも2つの出力クロック信号を形成し、
上記の少なくとも2つの出力クロック信号から、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックを選択して出力することを特徴とするクロック周波数変換器。
【請求項9】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから同期式メモリーカードを初期化する命令が発行された場合と、同じ動作を行なう同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサを有し、
上記同期式メモリーカード初期化コマンドシーケンサは、
同期式メモリーカードホストコントローラからの命令なしに同期式メモリーカードを初期化することを特徴とする請求項8に記載のクロック周波数変換器。
【請求項10】
上記同期式メモリーカードホストコントローラから同期式メモリーカードのカード情報を読み出す命令が発行された場合と、同じ動作を行なう同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサを有し、
上記同期式メモリーカード情報読出しコマンドシーケンサは、
同期式メモリーカードホストコントローラからの命令なしに同期式メモリーカードのカード情報を読み出すことを特徴とする請求項9に記載のクロック周波数変換器。
【請求項11】
同期式メモリーカードへのカード情報の読み出し命令の返り値から同期式メモリーカード変換アダプタに挿入された同期式メモリーカードの規格を判定する同期式メモリーカード情報判定部を有し、
上記同期式メモリーカード情報判定部は、判定した同期式メモリーカードの規格の情報に基づいて、上記の少なくとも2つの出力クロック信号から、同期式メモリーカードが使用する同期式メモリーカード入力クロックを選択することを特徴とする請求項10に記載のクロック周波数変換器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−330925(P2006−330925A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151221(P2005−151221)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】