説明

同軸ケーブル用プラグコネクタおよび同軸ケーブルの加工方法

【課題】更なる小型化を図ることができる同軸ケーブル用のプラグコネクタを提供する。また、加工が容易で良好な特性インピーダンスが得られる同軸ケーブルの加工方法を提供する。
【解決手段】プラグコネクタ10は、同軸ケーブルCの中心導体C1に接触する信号コンタクト20と、接触端子部22を露出させ、信号コンタクト10を保持するハウジング30と、ハウジング30の周囲面を保持し、外部導体C5と接触する外部導体接触部45が設けられたグランドコンタクト40とを備えている。このプラグコネクタ10には、外皮絶縁体C4と外部導体C3と内部絶縁体C2とを略同位置にて除去して中心導体C1を露出させ、外皮絶縁体C4の端面から所定幅残して除去して外部導体C3を露出させた同軸ケーブルCを接続している。グランドコンタクト40の外部導体接触部45の板厚面により外部導体C3に接触させているため、外部導体C3の露出が少なくてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルの中心導体と接続する信号コンタクトと、中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられた外部導体と接続するグランドコンタクトとを備えた同軸ケーブル用プラグコネクタおよびこのプラグコネクタを同軸ケーブルに装着するための同軸ケーブルの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルをプリント配線基板に接続するためのコネクタとして、同軸ケーブル用プラグコネクタが知られている。この同軸ケーブル用プラグコネクタについて、例えば、特許文献1,2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の「同軸コネクタ用コンタクトおよびそれを備えた同軸コネクタ」は、同軸ケーブルの中心導体が当接されながら半田により結線される結線部と、結線部から中心導体の軸芯方向に外れた部位で、軸芯に対して左右対称に垂下して形成され、バネ性を有することにより相手側コネクタに付勢状態で嵌合される接触部とを有したものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の「L型同軸コネクタのための端子及びこれを有するコネクタ」は、同軸ケーブルの中心導体の結線のための端子において、ケーブルの軸線を含む面での結線部の断面が略U字状をなして、ケーブルの中心導体の半田結線のための平坦部と、平坦部の軸線方向両端にて垂立する壁部を有し、一方の壁部に中心導体の挿入のためのスリット状の溝部が形成され、他方の壁部を中心導体の先端に対向して位置させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−303647号公報
【特許文献2】特開2004−311452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載のコネクタでは、平板状部材(導体圧着部,把持部)を折り曲げて、板部材平面で外部導体(シールド導体,シールド線)に接触させているため、接触する幅の外皮絶縁体(外皮)を剥がしている。従って、外部導体に接触する板部材平面の幅以上の外皮絶縁体を剥がして外部導体の露出面積を確保する必要があるので、プラグコネクタの全長が長くなってしまう。
【0007】
プラグコネクタは、パソコンや周辺機器に実装されたWi−Fiに使用されるアンテナとの接続などに使用され、直径が約0.5mmの極細の同軸ケーブルの先端部に装着される。従って、プラグコネクタの全長が少しでも長くなることはプラグコネクタの小型化を阻害するだけでなく、このプラグコネクタが使用されるパソコンや周辺装置などの装置本体の小型化を促進しにくくなる。
【0008】
また、同軸ケーブルにおいては、中心導体、内部絶縁体、外部導体を外皮絶縁体から段階的に露出しているため、直径が0.5mmより細いような極細の同軸ケーブルでは加工が容易ではない。また、外部導体の露出部分が広いと特性インピーダンスを悪化させるという問題もある。
【0009】
そこで本発明は、更なる小型化を図ることができる同軸ケーブル用のプラグコネクタを提供することを目的とする。
また、本発明は、加工が容易で良好な特性インピーダンスが得られる同軸ケーブルの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の同軸ケーブル用プラグコネクタは、接触端子部が設けられ、同軸ケーブルの中心導体に接触する信号コンタクトと、前記接触端子部を露出させた状態で前記信号コンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングの周囲面を保持し、中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられ、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体と接触する外部導体接触部が設けられたグランドコンタクトとを備え、リセプタクルコネクタに嵌合する同軸ケーブル用プラグコネクタであって、前記グランドコンタクトには、コンタクト本体から突出させ、折曲げた金属片が前記外部導体接触部として設けられ、該外部導体接触部の板厚面により外部導体に接触していることを特徴とする。
【0011】
本発明の同軸ケーブル用プラグコネクタによれば、グランドコンタクトのコンタクト本体から突出させ、折曲げた金属片により形成された外部導体接触部の板厚面により、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体に接触しているので、グランドコンタクトの全長を短くすることができる。また、外皮絶縁体の除去部分を少なくすることができる。
【0012】
前記外部導体接触部は、外部導体の外周面に沿って切り欠かれていることで外部導体と接触する板厚面が形成されていれば、外部導体と接触する板厚面を広く確保することができる。従って、導電性を向上させることができる。また、外部導体接触部により同軸ケーブルを安定した状態で保持することができる。
【0013】
前記外部導体接触部は、それぞれが外部導体に接触する一対の金属片により形成されていれば、同軸ケーブルを挟持する際に、外部導体接触部に応力がかかっても、一対の金属片の隙間が広がることにより応力を分散させることができるので、外部導体接触部全体が変形してしまうことを抑止することができる。
【0014】
前記外部導体接触部が接触した状態の同軸ケーブルを、前記外部導体接触部の外側から挟持する折曲挟持部が設けられていると、しっかりと同軸ケーブルを保持することができると共に、前記外部導体接触部が外部導体を押圧するので、外部導体にしっかりと接触させることができる。
【0015】
本発明の同軸ケーブルの加工方法は、接触端子部が設けられ、同軸ケーブルの中心導体に接触する信号コンタクトと、前記接触端子部を露出させた状態で前記信号コンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングの周囲面を保持し、中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられ、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体と接触する外部導体接触部が設けられたグランドコンタクトとを備え、リセプタクルコネクタに嵌合する同軸ケーブル用プラグコネクタを同軸ケーブルに装着するための加工方法において、前記信号コンタクトと接触させるために、同軸ケーブルの端部で、外皮絶縁体と外部導体と内部絶縁体とを略同位置にて除去して中心導体を露出させ、前記グランドコンタクトのコンタクト本体から突出させて設けられた折曲げた金属片である外部導体接触部の板厚面を、外部導体に接触させるために、中心導体を露出させたことでできた外皮絶縁体の端面から外皮絶縁体を所定幅残して除去し、外部導体を露出させることを特徴とする。
【0016】
本発明の同軸ケーブルの加工方法によれば、同位置で内部絶縁体と外部導体と外皮絶縁体とを除去して中心導体を露出させているので、段階的な除去を行う必要がないため加工が容易で、かつ短時間で行うことができる。また、グランドコンタクトのコンタクト本体から突出させ、折曲げた金属片により形成された外部導体接触部の板厚面により、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体に接触しているので、外皮絶縁体の除去部分を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の同軸ケーブル用プラグコネクタは、グランドコンタクトの全長を短くすることができるので、更なる小型化を図ることができる。また、本発明の同軸ケーブルの加工方法によれば、外皮絶縁体の除去部分を少なくすることができるので、加工が容易で良好な特性インピーダンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラグコネクタを同軸ケーブルに装着した状態を上から見た斜視図である。
【図2】図1に示すプラグコネクタを下から見た斜視図である。
【図3】プラグコネクタが嵌合するリセプタクルコネクタを示す斜視図である。
【図4】プラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合した状態を示す斜視図である。
【図5】同軸ケーブルを示す図であり、(A)は同軸ケーブルの構成を説明するための図であり、(B)は本発明の実施の形態に係る同軸ケーブルの加工方法により加工された状態を示す図である。
【図6】シェル部を開いたプラグコネクタに同軸ケーブルを載置した状態を示す斜視図である。
【図7】信号コンタクトが嵌挿されたハウジングを保持したグランドコンタクトを示す斜視図である。
【図8】信号コンタクトを示す斜視図である。
【図9】ハウジングを示す斜視図である。
【図10】グランドコンタクトを示す斜視図である。
【図11】プラグコネクタをリセプタクルコンタクトに嵌合させた状態を示す平面図である。
【図12】図11のA−A線断面図である。
【図13】図11のB−B線断面図である。
【図14】図13に示すプラグコネクタとリセプタクルコンタクトとが嵌合する前の状態を示す図である。
【図15】図11のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る同軸ケーブル用プラグコネクタを図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、同軸ケーブルについて、露出した中心導体側を先端、反対側を基端と称する。また、プラグコネクタのリセプタクルコネクタ側に向く方向を下方向、その反対側の方向を上方向と称する。
図1および図2に示すようにプラグコネクタ10は、同軸ケーブルCの先端に装着される。プラグコネクタ10は、図3および図4に示すリセプタクルコネクタ100に嵌合することで、同軸ケーブルCからの信号をプリント配線基板Pへ伝達する。
同軸ケーブルCは、図5に示すように撚線による中心導体C1、中心導体C1を被覆する内部絶縁体C2、網線による外部導体C3、外部導体C3を被覆する外皮絶縁体C4から形成されている。なお、図5(A)は、同軸ケーブルCの構成を説明するための図であり、プラグコネクタ10には同図(B)に示す同軸ケーブルが接続されている。
【0020】
図6および図7に示すように、プラグコネクタ10は、同軸ケーブルCの中心導体C1と導通する信号コンタクト20と、信号コンタクト20を保持する絶縁体により形成されたハウジング30と、ハウジング30を保持すると共に、シールドとして機能する外部導体C3と導通するグランドコンタクト40とを備えている。
図8に示すように、信号コンタクト20は、帯状の金属板材を中心部で折り曲げた略V字状に形成された信号コンタクト本体21と、リセプタクルコネクタ100の信号コンタクト120(図3参照)に接触する接触端子部22とにより形成されている。
【0021】
信号コンタクト本体21は、同軸ケーブルCの中心導体C1を挟持するときに、中心導体C1の一側に接触する金属板である固定部211と、中心導体C1の一側の反対となる他側に接触する金属板である可動部212とにより形成されている。
接触端子部22は、固定部211の両側の側辺から突出した一対の金属片をリセプタクルコネクタ100側に折り曲げて形成されている。
【0022】
ハウジング30は、リセプタクルコネクタ100側から徐々に外径が大きくなる小径部分とこの小径部分から段差を付けて外径を大きくした大径部分とにより形成されたハウジング本体31と、信号コンタクト20の可動部212(図8参照)を押圧するための折曲当接部32とから形成されている。
【0023】
ハウジング本体31には、中心部に信号コンタクト20の接触端子部22をリセプタクルコネクタ100側に露出させる貫通孔311と、信号コンタクト20の固定部211を収納するための窪みである収納部312と、同軸ケーブルCを保持するための断面略U字状の溝面が形成され、一部が同軸ケーブルCの基端方向に突出した支持部313と、グランドコンタクト40の切欠部441に引っ掛けるための係止部314とが設けられている。
【0024】
グランドコンタクト40は、シェル部41と、第1の折曲挟持部42と、第2の折曲挟持部43と、環状嵌合部44と、外部導体接触部45とを備えている。
シェル部41は、環状嵌合部44に一部が繋がっており、環状嵌合部44の蓋となるものである。
【0025】
第1の折曲挟持部42は、シェル部41の先側に設けられており、シェル部41に繋がる第1連結部421と、第1連結部421の両側の側辺から折り曲げられ、外部導体接触部45および同軸ケーブルCを挟持する第1クランプ部422とから形成されている。
第2の折曲挟持部43は、第1の折曲挟持部42の先側に設けられており、第1の折曲挟持部42に繋がる第2連結部431と、第2連結部431の両側の側辺から折り曲げられ、同軸ケーブルCを挟持する第2クランプ部432とから形成されている。
【0026】
環状嵌合部44(コンタクト本体)には、略円筒形状に形成され、ハウジング30の係止部314が挿入される矩形状の切欠部441が2箇所に設けられている。また、環状嵌合部44は、シェル部41を蓋として閉鎖したときに、同軸ケーブルCが周壁部442と干渉しないように、周壁部442の一部が切り欠かれて同軸ケーブルCを配線可能とする開口部443が設けられている。
【0027】
外部導体接触部45は、環状嵌合部44の開口部443のそれぞれの縁部から同軸ケーブルCの基端方向へ向けて設けられた一対の立壁部451と、立壁部451のそれぞれの先端から同軸ケーブルCの中心方向へ折り曲げられ、同軸ケーブルCの外部導体C3と接触する当接部452とにより、両先端部が開口部443の縁部に接続された略U字状に形成されている。
【0028】
外部導体接触部45の先端部となる当接部452は、同軸ケーブルCの外部導体C3の外周面に沿った略半円状に切り欠かれて、同軸ケーブルCの外部導体C3と接触する板厚面が形成されている。また、外部導体接触部45は、当接部452同士の間に隙間が設けられていることで、それぞれが同軸ケーブルCの外部導体C3に接触する分割された一対の金属片により形成されている。
【0029】
ここで、プラグコネクタ10が嵌合するリセプタクルコネクタについて図面に基づいて説明する。なお、リセプタクルコネクタのプラグコネクタ側に向く方向を上方向、その反対側の方向を下方向と称する。
図3および図11から図14に示すように、リセプタクルコネクタ100は、プリント配線基板Pに実装される。リセプタクルコネクタ100は、プラグコネクタ10のグランドコンタクト40が嵌合するグランドコンタクト110と、プラグコネクタ10の信号コンタクト20が嵌合する信号コンタクト120と、絶縁体により形成されたハウジング130とを備えている。
【0030】
グランドコンタクト110は、略円筒形状に形成されている。グランドコンタクト110の外周面に、プラグコネクタ10のグランドコンタクト40の内周面が接触する。グランドコンタクト110の下端には、一対のグランド接続部111が側方に向かって突出しており、グランド接続部111は、先端部がハウジング30から露出している。
【0031】
信号コンタクト120は、プラグコネクタ10の信号コンタクト20に設けられた一対の接触端子部22の間に挟み込まれることで接触する。信号コンタクト120の下端には、信号接続部121が設けられている。信号接続部121は、先端部がハウジング30から露出している。ハウジング130は、グランドコンタクト110と信号コンタクト120とを保持する基台部として機能する成形品である。
【0032】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るプラグコネクタを同軸ケーブルに装着するための同軸ケーブルの端末加工方法およびプラグコネクタの装着方法について、図面に基づいて説明する。
【0033】
最初に同軸ケーブルの加工方法について説明する。まず、未加工の同軸ケーブルCを準備する。次に、同軸ケーブルCの端部を、中心導体C1を残すように、外側から外皮絶縁体C4、外部導体C3および内部絶縁体C2を略同位置にて除去して中心導体C1を露出する。露出させた中心導体C1の長さは、信号コンタクト20により挟持される長さを確保すると共に、信号コンタクト20から環状嵌合部44の開口部443までとしている。
【0034】
この中心導体C1の露出の加工は、中心導体C1内部まで達しない出力のレーザー照射により外皮絶縁体C4と、外部導体C3と、内部絶縁体C2とを周方向に切断して、これらを同軸ケーブルの先端方向へ引き抜く。
または、刃先同士を突き合わせると中心導体C1の外径に相当する円形の孔ができる2枚の切断刃により外皮絶縁体C4から切り込みを入れ、切断刃を同軸ケーブルCの先端方向へ移動させることで、皮が剥けるようにして、中心導体C1を露出させることができる。
【0035】
次に、図5(B)および図12に示すように、中心導体C1を露出させることでできた外皮絶縁体C4の端面から幅W1残すと共に、外皮絶縁体C4を除去して外部導体C3を露出させる。図12では、外部導体接触部45の当接部452が外部導体C3に当接する幅W2の外皮絶縁体C4を除去している。従って、外皮絶縁体C4を残す幅W1は、環状嵌合部44の開口部443から、外部導体接触部45の当接部452が外部導体C3に当接する幅W2を確保した位置までとしている。また、幅W2は、当接部452の板厚面より少し幅広いものとしている。
以下、この幅W1の外皮絶縁体C4を絶縁帯C5と称す。また、幅W2の外部導体C3をコンタクト帯C6と称す。
この外皮絶縁体C4の除去は、外部導体C3まで達しない出力のレーザー照射により、幅W2に位置する外皮絶縁体C4の両端を周方向に切断して外皮絶縁体C4を剥がす。
【0036】
次に、このようにして加工された同軸ケーブルCをプラグコネクタ10へ装着する方法を説明する。
まず、図6および図7に示すように、中心導体C1を信号コンタクト20の固定部211に載置すると共に、絶縁帯C5をハウジング30の支持部313に載置する。そうすることで、外皮絶縁体C4が剥け外部導体C3が露出したコンタクト帯C6が外部導体接触部45の当接部452と接触する。
【0037】
次に、図1および図2に示すように、グランドコンタクト40のシェル部41をハウジング30の折曲当接部32とともに、略水平状態まで回動するようにして押し倒すことで、信号コンタクト20の可動部212を固定部211に押し付け、可動部212および固定部211を中心導体C1へ接触させる。そして、第1の折曲挟持部42の第1クランプ部422を、互いに向き合う内側方向に折り曲げて、外部導体接触部45の外側から同軸ケーブルCを挟持させ、次に、第2の折曲挟持部43の第2クランプ部432も同様に、互いに向き合う内側方向に折り曲げて、同軸ケーブルCを挟持させる。
【0038】
そうすることで、図12に示すように、シェル部41が閉鎖した状態で環状嵌合部44に固定され、ハウジング30の折曲当接部32が信号コンタクト20の可動部212の反発を抑えることで、信号コンタクト20を、中心導体C1を挟持させた状態に維持させることができる。
【0039】
このように、プラグコネクタ10には、環状嵌合部44から突出させた金属片により形成された外部導体接触部45が設けられ、外部導体接触部45の当接部452の板厚面により外部導体C3に接触していることにより、板平面で接触するより、外部導体C3を露出させる幅W2を狭くすることができる。従って、シェル部41から第2の折曲挟持部43までの長さを短くすることができるので、プラグコネクタ10の長さを短くすることができる。よって、プラグコネクタ10の小型化を図ることができる。
【0040】
また、外部導体接触部45の当接部452は、外部導体C3の外周面に沿って切り欠かれているので、外部導体C3と接触する板厚面を広く確保することができる。従って、導電性を向上させることができる。また、外部導体接触部45により同軸ケーブルCを安定した状態で保持することができる。
【0041】
また、立壁部451が環状嵌合部44の周壁部442から同軸ケーブルCの両側に基端方向へ向けて延設され、当接部452が同軸ケーブルCの中心方向へ接近するように折り曲げられているため、同軸ケーブルCが当接部452に接触する際に当接部452を押圧すると、この押圧力は立壁部451の板平面と略平行な応力となる。従って、このような応力が立壁部451に作用しても立壁部451は折れ曲がりにくいので、当接部452の接触を維持しつつ、立壁部451の変形を抑止することができる。
【0042】
また、外部導体接触部45は、2つに分割された一対の金属片による立壁部451と当接部452とから形成されているので、同軸ケーブルCを挟持する際に、外部導体接触部45に応力がかかっても、当接部452の隙間が広がることで応力を分散させることができるので、外部導体接触部45全体が変形してしまうことを抑止することができる。
【0043】
更に、第1の折曲挟持部42が、外部導体接触部45が接触した状態の同軸ケーブルCを、外部導体接触部45の外側から挟持するように設けられているので、しっかりと同軸ケーブルCを保持することができると共に、当接部452が外部導体C3に押圧することにより当接部452を外部導体C3にしっかりと接触させることができる。
【0044】
本実施の形態に係る同軸ケーブルCによれば、中心導体C1を露出させるのに、同位置で内部絶縁体C2と外部導体C3と外皮絶縁体C4とを除去しているので段階的な除去を行う必要がないため加工が容易で、かつ短時間で行うことができる。
また、例えば、図3(A)に示す段階的に被覆を剥がした同軸ケーブルにおいては、外部導体C3を剥がして内部絶縁体C2を露出させるときに、外部導体C3の切断残りが発生して中心導体C1と接触するおそれがある。また、外部導体C3を剥がすために刃先を深く入れると内部絶縁体C2まで切り込んでしまうおそれがある。これは、極細の同軸ケーブルでは一層心配される。しかし、内部絶縁体C2と外部導体C3と外皮絶縁体C4とを同位置で除去することにより、内部絶縁体C2を切断するまで刃先を深く入れることで、外部導体C3を確実に切断することができるので、きれいな端面を形成することができる。
また、当接部452の板厚面と接触するに十分な幅W2が確保できればよいので、外部導体C3の露出面積を小さくすることができる。従って、特性インピーダンスを改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、同軸ケーブルの中心導体と接続する信号コンタクトと、中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられた外部導体と接続するグランドコンタクトとを備えた同軸ケーブル用プラグコネクタおよびこのプラグコネクタを同軸ケーブルに装着するための同軸ケーブルの加工方法に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10 プラグコネクタ
20 信号コンタクト
21 信号コンタクト本体
211 固定部
212 可動部
22 接触端子部
30 ハウジング
31 ハウジング本体
311 貫通孔
312 収納部
313 支持部
314 係止部
32 折曲当接部
40 グランドコンタクト
41 シェル部
42 第1の折曲挟持部
421 第1連結部
422 第1クランプ部
43 第2の折曲挟持部
431 第2連結部
432 第2クランプ部
44 環状嵌合部
441 切欠部
442 周壁部
443 開口部
45 外部導体接触部
451 立壁部
452 当接部
100 リセプタクルコネクタ
110 グランドコンタクト
111 グランド接続部
120 信号コンタクト
121 信号接続部
130 ハウジング
C 同軸ケーブル
C1 中心導体
C2 内部絶縁体
C3 外部導体
C4 外皮絶縁体
C5 絶縁帯
C6 コンタクト帯
P プリント配線基板
W1,W2 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触端子部が設けられ、同軸ケーブルの中心導体に接触する信号コンタクトと、
前記接触端子部を露出させた状態で前記信号コンタクトを保持するハウジングと、
前記ハウジングの周囲面を保持し、前記中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられ、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体と接触する外部導体接触部が設けられたグランドコンタクトとを備え、リセプタクルコネクタに嵌合する同軸ケーブル用プラグコネクタであって、
前記グランドコンタクトには、コンタクト本体から突出させ、折曲げた金属片が前記外部導体接触部として設けられ、該外部導体接触部の板厚面により前記外部導体に接触していることを特徴とする同軸ケーブル用プラグコネクタ。
【請求項2】
前記外部導体接触部は、前記外部導体の外周面に沿って切り欠かれていることで前記外部導体と接触する板厚面が形成されている請求項1記載の同軸ケーブル用プラグコネクタ。
【請求項3】
前記外部導体接触部は、それぞれが前記外部導体に接触する一対の金属片により形成されている請求項2記載の同軸ケーブル用プラグコネクタ。
【請求項4】
前記外部導体接触部が接触した状態の前記同軸ケーブルを、前記外部導体接触部の外側から挟持する折曲挟持部が設けられている請求項1から3のいずれかの項に記載の同軸ケーブル用プラグコネクタ。
【請求項5】
接触端子部が設けられ、同軸ケーブルの中心導体に接触する信号コンタクトと、
前記接触端子部を露出させた状態で前記信号コンタクトを保持するハウジングと、
前記ハウジングの周囲面を保持し、前記中心導体を被覆した内部絶縁体の周囲に設けられ、外皮絶縁体を除去して露出させた外部導体と接触する外部導体接触部が設けられたグランドコンタクトとを備え、リセプタクルコネクタに嵌合する同軸ケーブル用プラグコネクタを同軸ケーブルに装着するための加工方法において、
前記信号コンタクトと接触させるために、前記同軸ケーブルの端部で、前記外皮絶縁体と前記外部導体と前記内部絶縁体とを略同位置にて除去して前記中心導体を露出させ、
前記グランドコンタクトのコンタクト本体から突出させて設けられた折曲げた金属片である前記外部導体接触部の板厚面を、前記外部導体に接触させるために、前記中心導体を露出させたことでできた前記外皮絶縁体の端面から前記外皮絶縁体を所定幅残して除去し、前記外部導体を露出させることを特徴とする同軸ケーブルの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−101753(P2013−101753A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243418(P2011−243418)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(592028846)第一精工株式会社 (94)
【Fターム(参考)】