説明

同軸給電管の接続構造

【課題】同軸給電管の接続用アウターコネクタを用いて、同軸給電管を安全、確実、簡単に接続することを目的とする。
【解決手段】アウターコネクタ4にホースバンド5を通すためのバンド通し穴7を設ける。バンド通し穴7の加工としては、アウターコネクタ4の端部を切り起して穴を設ける方法、又は、ワイヤー等の部品を曲げ、アウターコネクタ4の端部に溶接して設ける方法等がある。アウターコネクタ4は外部導体1同士を接続するために、外部導体1の外周より内周の大きい円筒状のアウターコネクタ4を、外部導体1同士の接続部がアウターコネクタ4の中央にくるように装着し、ホースバンド5をアウターコネクタ4の外周に凸状に設けられたバンド通し穴7を通る様に装着し、締め付け、アウターコネクタ4を外部導体1に密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ、FM放送機等の大電力型通信機器に用いる同軸給電管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大電力(出力100W以上)の通信用・放送用送信機からアンテナに高周波電力を伝送するためには、伝送線路として、銅パイプやアルミパイプを用いて空気を絶縁体とした、直径数10mm〜150mmの同軸給電管を使用している。また、伝送線路が長い場合には、複数の同軸給電管同士を接続して使用している。
【0003】
そこで、以下、従来の同軸給電管の接続構造を示す断面図である図3と、従来の同軸給電管の接続用アウターコネクタの外観斜視図である図4を用いて、従来の同軸給電管の接続構造について説明する。図3、及び、図4に示す様に、1は外部導体、2は内部導体、3は内部導体2同士を接続するインナーコネクタ、4は外部導体1同士を接続するアウターコネクタ、5はアウターコネクタ4を締め付けるホースバンドである。
【0004】
同軸給電管は、インナーコネクタ3のそれぞれの外周を各内部導体2の端部の内周に圧迫して接触させるように挿入することで接続している。更に、外部導体1同士を接続するために、外部導体1の外周より内周の大きい円筒状のアウターコネクタ4を、外部導体1同士の接続部がアウターコネクタ4の中央にくるように装着し、アウターコネクタ4の外周を複数のホースバンド5で締め付け、アウターコネクタ4を外部導体1に密着させる構造となっている。このとき、アウターコネクタ4にスリット6を施すことで、ホースバンド5で締め付ける際にアウターコネクタ4が縮小し、効果的に締め付けている。
【0005】
固定方法としては、接続時にはホースバンド5の締め付けによりアウターコネクタ4を外部導体1に固定する手法が一般的であるが、アウターコネクタ4とホースバンド5は個別の部品であり、組立時は外部導体1にアウターコネクタ4を挿入後にホースバンド5を掛け締め付ける手法、若しくは、アウターコネクタ4にホースバンド5を仮止めしてから外部導体1に挿入して増し締めする手法で組立てられる。
【0006】
なお、内部導体の溝部分に固定用絶縁体を装着し、外部導体と固定用絶縁体をピンで固定する方法が知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−69310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の同軸給電管の接続構造では、ホースバンド5はアウターコネクタ4の任意の位置に固定されるため、締め付けに適切な位置に施工し直す必要があり、また、締め付けに適切な位置はアウターコネクタに目印等がないため、寸法を測定し位置を確認する必要がある。従って、作業には一定の熟練を要するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、安全、確実、簡単に同軸給電管を接続することができる同軸給電管の接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の同軸給電管の接続構造は、外部導体と、内部導体と、からなる同軸給電管同士の接触部を、前記内部導体同士の接触部に挿入することで接続するインナーコネクタと、前記外部導体同士の接触部の外周をくるむ様に装着することで接続するアウターコネクタと、前記アウターコネクタの外周に巻き付けて締め付けるホースバンドと、を用いて接続する同軸給電管の接続構造であって、前記アウターコネクタが、前記ホースバンドの位置を決定するために、所定の位置に前記ホースバンドを通す孔を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の同軸給電管の接続用アウターコネクタ構造によれば、安全,確実、簡単に同軸給電線を接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について本発明の同軸給電管の接続構造の一実施例を示す断面図である図1と、本発明の同軸給電管の接続用アウターコネクタの外観斜視図である図2を用いて接続構造を詳細に説明する。1は外部導体、2は内部導体、3は内部導体2同士を接続するインナーコネクタ、4は外部導体1同士を接続するアウターコネクタ、5はアウターコネクタ4を締め付けるホースバンドで、6はアウターコネクタを締め付けるホースバンド5を通すバンド通し穴である。
【0012】
外部導体1、内部導体2、インナーコネクタ3による同軸給電管内部の構造は、上述した従来の同軸給電管の接続用アウターコネクタ構造におけるものと同様の構成になっているため、説明は省略する。
【0013】
アウターコネクタ4にホースバンド5を通すためのバンド通し穴7を設ける。バンド通し穴7の加工としては、アウターコネクタ4の端部を切り起して穴を設ける方法、又は、ワイヤー等の部品を曲げ、アウターコネクタ4の端部に溶接して設ける方法等がある。アウターコネクタ4は外部導体1同士を接続するために、外部導体1の外周より内周の大きい円筒状のアウターコネクタ4を、外部導体1同士の接続部がアウターコネクタ4の中央にくるように装着し、ホースバンド5をアウターコネクタ4の外周に凸状に設けられたバンド通し穴7を通る様に装着し、締め付け、アウターコネクタ4を外部導体1に密着させる。本実施例ではホースバンド5は2本であるが、2本より多い複数本用いても良い。このとき、アウターコネクタ4にスリット6を施すことで、ホースバンド5で締め付ける際にアウターコネクタ4が縮小し、効果的に締め付けている。
【0014】
上記構造により、ホースバンド5は左右方向への動きが規制されるため、ホースバンド5のアウターコネクタ4上での位置を確実に決定することができ、また、ホースバンド5がずれたり脱落したりすることもなくなる。
【0015】
従って、アウターコネクタを締め付ける際に、ホースバンドをあらかじめ適切な位置に確定させることにより、ホースバンドの位置決め作業に熟練を要することなく、また、作業時にホースバンドの締め忘れが発生しても、アウターコネクタから脱落することがなく、更に締め付け直しが不要となり、安全性、及び、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の同軸給電管の接続構造の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の同軸給電管の接続用アウターコネクタの外観斜視図である。
【図3】従来の同軸給電管の接続構造を示す断面図である。
【図4】従来の同軸給電管の接続用アウターコネクタの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1:外部導体、2:内部導体、3:インナーコネクタ、4,7:アウターコネクタ、5:ホースバンド、6:スリット、7:バンド通し穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部導体と、内部導体と、からなる同軸給電管同士の接触部を、前記内部導体同士の接触部に挿入することで接続するインナーコネクタと、前記外部導体同士の接触部の外周をくるむ様に装着することで接続するアウターコネクタと、前記アウターコネクタの外周に巻き付けて締め付けるホースバンドと、を用いて接続する同軸給電管の接続構造であって、
前記アウターコネクタが、前記ホースバンドの位置を決定するために、所定の位置に前記ホースバンドを通す孔を備えることを特徴とする同軸給電管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−283186(P2009−283186A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131974(P2008−131974)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】