説明

名札等吊下具における安全装置

【課題】ファッション性が高く、比較的小型に設計することができ、耐久性に富み、取り付けが容易であり、且つ、負荷が掛かった場合における離脱の確実性を高めた名札等吊下具における安全装置を提供すること。
【解決手段】多数のボール4を連結線5を介して等間隔おきに連結してなるボールチェーン3をループ状態に形成して名札等を吊り下げるようにした名札等吊下具2であり、弾性変形素材により軸方向に所望の長さを有する棒状体7からなり、軸方向両端に、ボールチェーン両端末のボール4a、4bを挿通許容する挿通路8a、8bと、挿通路の末端部にボールチェーン両端末のボールを保持収容するボール収容部とを有し、ボールチェーンに一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボールが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するように構成した名札等吊下具における安全装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、名札やICカード、あるいは携帯電話等を首から吊り下げて使用する際に利用される名札等吊下具にかかるものであって、特に、ボールチェーンによる名札等吊下具において、該ボールチェーンに一定以上の張力が掛かった際、ボールチェーンのループ状態を解除するようにした名札等吊下具における安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、名札等吊下具における安全装置としては、例えば、特許文献1に開示されているもののように、ループ状態の懸吊ひもと、この懸吊ひもの両端を連結する薄いプレート状部材でなる安全装置本体21とからなる安全装置2が提供されている。この特許文献1に開示の安全装置は、薄いプレート状部材に一対の切り欠きを設け、この切り欠きに懸吊ひも両端の結び部を掛け止めておき、負荷が掛かると外れるように構成したものである。
【0003】
この特許文献1のものは、耐久性に問題があり、取り付けが煩雑であり、且つ、負荷が掛かった場合における離脱の確実性に乏しいなど多くの問題を有するものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−347733号公報(要約、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、上記する従来の技術にみられる問題点を解消しようとするものであり、ファッション性が高く、比較的小型に設計することができるにもかかわらず、耐久性に富み、取り付けが容易であり、且つ、負荷が掛かった場合における離脱の確実性を高めた名札等吊下具における安全装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、請求項1に記載の発明は、多数のボールを連結線を介して等間隔おきに連結してなるボールチェーンをループ状態に形成して名札等を吊り下げるようにした名札等吊下具であって、弾性変形素材により軸方向に所望の長さを有する棒状体からなり、軸方向両端に、前記ボールチェーン両端末のボールを挿通許容する挿通路と、前記挿通路の末端部に前記ボールチェーン両端末のボールを保持収容するボール収容部とを有し、前記ボールチェーンに一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボールが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するように構成してなる名札等吊下具における安全装置である。
【0007】
さらに、この発明において請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の名札等吊下具における安全装置であって、前記挿通路にスリ割りを設けてなることを特徴とするものである。
【0008】
さらに、この発明において請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の名札等吊下具における安全装置であって、前記棒状体におけるボール収容部に対して、前記ボールチェーン両端末のボールを前記棒状体の径方向から前記ボール収容部に収容する径方向ボール挿通路を設けてなることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、この発明において請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の名札等吊下具における安全装置であって、前記ボールチェーンのボールが、直径約2〜5mm程度であって、前記棒状体の径寸法が、約4〜6mm程度で、その長さ寸法が約10〜16mm程度であることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、この発明において請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の名札等吊下具における安全装置であって、前記棒状体が、適度の弾性変形を有するプラスチック素材からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成において、この発明になる名札等吊下具における安全装置によれば、弾性変形素材により軸方向に所望の長さを有する棒状体からなり、軸方向両端に、前記ボールチェーン両端末のボールを挿通許容する挿通路と、前記挿通路の末端部に前記ボールチェーン両端末のボールを保持収容するボール収容部とを有し、前記ボールチェーンに一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボールが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するように構成したものであって、ファッション性が高く、比較的小型に設計することができるにもかかわらず、耐久性に富み、取り付けが容易であり、且つ、負荷が掛かった場合における離脱の確実性を高めた名札等吊下具における安全装置として極めて有効に作用するものといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明になる名札等吊下具における安全装置について、図面に示す具体的な実施例にもとづいて詳細に説明する。図1は、この発明になる名札等吊下具における安全装置の具体的な実施例を示すものであり、図1Aは、この発明になる名札等吊下具における安全装置の第1の実施例を示す概略的な斜視図であり、図1Bは、第2の実施例を示す概略的な斜視図である。図2は、第1の実施例になる安全装置であって、図2A1は、図1AにおけるX−X線断面図であり、図2A2は、図1AにおけるY−Y線断面図である。図2B1は、ボールチェーンの両端を安全装置にセットした状態を示す概略的な断面図であり、図2B2は、ボールチェーンの一端が軸方向に抜き出た状態を示す概略的な断面図である。
【0013】
一方、図3は、第2の実施例になる安全装置であって、図3A1は、図1BにおけるY−Y線断面図であり、図3A2は、図1BにおけるX−X線断面図である。図3B1は、ボールチェーンの両端を安全装置にセットした状態を示す概略的な断面図であり、図3B2は、ボールチェーンの一端が軸方向に抜き出た状態を示す概略的な断面図である。図4各図は、第2の実施例になる安全装置の装着の手順を示すものであって、図4A1および図4B1は、ボールチェーンの端末を棒状体の径方向から挿入する状態を示す斜視図および側断面図であり、図4A2および図4B2は、先端のボール2個を棒状体の端へ平行に移動させる状態を示す斜視図および側断面図であり、図4A3および図4B3は、安全装置がセットされた最終の状態を示す斜視図および側断面図である。
【0014】
この発明になる安全装置1は、図5に示すように、多数のボール4を連結線5を介して等間隔おきに連結してなるボールチェーン3をループ状態に形成して名札等6を吊り下げるようにした名札等吊下具2に対して適用される。
【0015】
前記安全装置1は、例えば、適度の弾性変形を有するプラスチック素材により軸方向に所望の長さを有する棒状体7からなっている。前記棒状体7は、その軸方向両端7aおよび7bに、前記ボールチェーン3両端末のボール4aおよび4bを挿通許容する挿通路8aおよび8bと、前記挿通路8aおよび8bの末端部に前記ボールチェーン両端末のボール4aおよび4bを保持収容するボール収容部9aおよび9bとを有し、前記ボールチェーン3に一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボール4aおよび4bが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するように構成してある。
【0016】
前記棒状体7には、前記挿通路8aおよび8bに対応して、軸方向両端7aおよび7bに達するスリ割り10aおよび10bが設けられている。
【0017】
この基本構成になるこの発明の第1の実施例のものでは、前記棒状体7の軸方向両端7aおよび7bから挿通路8aおよび8bを介して前記ボールチェーン3両端末のボール4aおよび4bを挿通し、該ボール4aおよび4bをボール収容部9aおよび9bに収容する。前記ボールチェーン3に一定以上の張力が掛かった際には、前記ボールチェーン両端末のボール4aおよび4bが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するようになっている。
【0018】
このような基本構成のものに対し、図1Bおよび図3に示すこの発明になる第2の実施例のものでは、前記棒状体7におけるボール収容部9aおよび9bに対して、前記ボールチェーン3両端末のボール4aおよび4bを前記棒状体7の径方向から前記ボール収容部9aおよび9bに収容する径方向ボール挿通路11aおよび11bが設けられている。
【0019】
この第2の実施例のものでは、前記棒状体7の径方向から径方向ボール挿通路11aおよび11bを介して前記ボールチェーン3両端末のボール4aおよび4bを挿通し(図4A1および図4B1参照)、該ボール4aおよび4bをボール収容部9aおよび9bに収容し、しかる後、前記ボールチェーン3を図4A3および図4B3に示すように回転させて、前記安全装置をセットする。前記ボールチェーン3に一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボール4aおよび4bが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するようになっている。
【0020】
この発明において、前記ボールチェーン3のボール4は、直径約2〜5mm程度であり、前記棒状体7の径寸法は、約4〜6mm程度で、その長さ寸法が約10〜16mm程度であり、比較的小型に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明になる名札等吊下具における安全装置の具体的な実施例を示すものであり、図1Aは、この発明になる名札等吊下具における安全装置の第1の実施例を示す概略的な斜視図であり、図1Bは、第2の実施例を示す概略的な斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施例になる安全装置であって、図2A1は、図1AにおけるX−X線断面図であり、図2A2は、図1AにおけるY−Y線断面図である。図2B1は、ボールチェーンの両端を安全装置にセットした状態を示す概略的な断面図であり、図2B2は、ボールチェーンの一端が軸方向に抜き出た状態を示す概略的な断面図である。
【図3】図3は、第2の実施例になる安全装置であって、図3A1は、図1BにおけるY−Y線断面図であり、図3A2は、図1BにおけるX−X線断面図である。図3B1は、ボールチェーンの両端を安全装置にセットした状態を示す概略的な断面図であり、図3B2は、ボールチェーンの一端が軸方向に抜き出た状態を示す概略的な断面図である。
【図4】図4各図は、第2の実施例になる安全装置の装着の手順を示すものであって、図4A1および図4B1は、ボールチェーンの端末を棒状体の径方向から挿入する状態を示す斜視図および側断面図であり、図4A2および図4B2は、先端のボール2個を棒状体の端へ平行に移動させる状態を示す斜視図および側断面図であり、図4A3および図4B3は、安全装置がセットされた最終の状態を示す斜視図および側断面図である。
【図5】この発明になる安全装置1の適用例を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 安全装置
2 名札等吊下具
3 ボールチェーン
4 多数のボール
4a、4b 両端末のボール
5 連結線
6 名札等
7 棒状体
7a、7b 棒状体の軸方向両端
8a、8b 挿通路
9a、9b ボール収容部
10a、10b スリ割り
11a、11b 径方向ボール挿通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のボールを連結線を介して等間隔おきに連結してなるボールチェーンをループ状態に形成して名札等を吊り下げるようにした名札等吊下具であって、弾性変形素材により軸方向に所望の長さを有する棒状体からなり、軸方向両端に、前記ボールチェーン両端末のボールを挿通許容する挿通路と、前記挿通路の末端部に前記ボールチェーン両端末のボールを保持収容するボール収容部とを有し、前記ボールチェーンに一定以上の張力が掛かった際、前記ボールチェーン両端末のボールが軸方向に抜き出て、前記ループ状態を解除するように構成してなることを特徴とする名札等吊下具における安全装置。
【請求項2】
前記挿通路にスリ割りを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の名札等吊下具における安全装置。
【請求項3】
前記棒状体におけるボール収容部に対して、前記ボールチェーン両端末のボールを前記棒状体の径方向から前記ボール収容部に収容する径方向ボール挿通路を設けてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の名札等吊下具における安全装置。
【請求項4】
前記ボールチェーンのボールが、直径約2〜5mm程度であって、前記棒状体の径寸法が、約4〜6mm程度で、その長さ寸法が約10〜16mm程度であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の名札等吊下具における安全装置。
【請求項5】
前記棒状体が、適度の弾性変形を有するプラスチック素材からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の名札等吊下具における安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−58518(P2008−58518A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234242(P2006−234242)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(592240149)オープン工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】