説明

吐出器

【課題】販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐ。
【解決手段】吐出器本体6を覆うカバー体7は、押下ヘッド5を上方から覆う頂部71と、この頂部71から下方に向けて延設され上側部分を径方向の外側から覆う周壁部72を備え、周壁部72内に第1破断容易部74を介して連結された第1係合片75と、第2破断容易部76を介して連結されるとともに第1係合片75に係合することで、上側部分が開口部72bを径方向に通過することを規制する第2係合片77とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、押下ヘッドを押下してステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて吐出孔から吐出される吐出器本体、並びにこの吐出器本体のうち装着キャップの天壁部よりも上方に位置する部分を覆うカバー体を備える吐出器が知られている。
このようなカバー体として、例えば下記特許文献1に示されるように、不意に加えられた外力を受け止め、この外力がステムに伝わるのを防ぐことで内容物が吐出されることを防止する構成が知られている。
ところで近年では、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に加えられた外力によって内容物が吐出されてしまうことを防止でき、さらに未使用であることを容易に判別させることが可能な構成が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−327612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、前記カバー体が吐出器本体から外れ易く、しかも外された後に再度装着されると、カバー体が外れたことがあるか否かの判別が困難であり、前述の要望に対応し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る吐出器では、内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体を備え、このカバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、前記周壁部は、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部を有し、前記カバー体および吐出器本体の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記周壁部に対して着脱され、前記案内筒部には、前記周壁部内に周方向に沿って延設された凸部が係止されることで、前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する凹部が形成され、前記カバー体は、前記周壁部に第1破断容易部を介して連結された第1係合片と、第2破断容易部を介して連結されるとともに、前記第1係合片に係合することで、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する第2係合片と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、案内筒部に凹部が形成されているので、この凹部にカバー体の凸部を係合させることで、カバー体の吐出器本体に対する上方に向けた移動を規制することが可能になり、カバー体が、吐出器本体に対して上方に向けて移動して吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
また、カバー体に連結されている第1係合片と第2係合片とを係合させることで、前記上側部分が開口部を径方向に通過するのを規制することが可能になり、前記上側部分が開口部を径方向に通過することで周壁部から離脱してカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
以上より、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
【0008】
また、カバー体を吐出器本体から外すには、第1係合片と第2係合片のそれぞれに対応する第1破断容易部および第2破断容易部のうち少なくとも一方を破断させてカバー体から分離させ、その後、カバー体および吐出器本体を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体の前記上側部分に周壁部の開口部を径方向に通過させ前記上側部分を周壁部から離脱させる。
このように、カバー体を吐出器本体から外すためには、第1破断容易部および第2破断容易部のうち少なくとも一方を破断させてカバー体から分離させなければならず、カバー体が吐出器本体から外れたことがあるか否かを購入者に容易に判別させることができる。
【0009】
そして、購入者において内容物の使用後に保管する際には、周壁部の開口部と、吐出器本体の前記上側部分と、を径方向で互いに対向させた状態で、カバー体と吐出器本体とを相対的に径方向に接近移動させることにより、吐出器本体の前記上側部分に周壁部の開口部を径方向に通過させて前記上側部分を周壁部に装着させてカバー体を吐出器本体に装着させる。これにより、押下ヘッドは、頂部により上方から覆われるとともに周壁部により径方向の外側から覆われ、また、周壁部の下端は、装着キャップの天壁部上に配置される。
以上のように、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者により内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体を吐出器本体に装着した状態では、押下ヘッドが、頂部により上方から覆われるとともに、この頂部から下方に向けて延設される周壁部の下端が、装着キャップの天端部上に配置されるので、吐出器に、この吐出器の上方から下方に向けて外力が加えられても、その力が、頂部および周壁部を介して装着キャップに伝達されて容器体により受け止められることとなり、押下ヘッドおよびステムの下方への移動を防止することができる。
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者により内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体が吐出器本体に装着されているときには、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記第2係合片は、前記カバー体の頂部に前記第2破断容易部を介して連設されるとともに、前記第1係合片に係合した状態で上下方向に延びる係止部を有し、前記係止部は、径方向において前記上側部分に近接または当接していることが好ましい。
【0011】
この場合、第1係合片と第2係合片とが係合した状態において、カバー体および吐出器本体を相対的に径方向に沿って離間移動させようとすると、押下ヘッドの囲繞筒部に沿って上下方向に延びる第2係合片の係止部が前記上側部分に径方向において近接または当接するので、前記離間移動を規制することができる。
そして、カバー体を吐出器本体から外すには、第1係合片と第2係合片のそれぞれに対応する第1破断容易部および第2破断容易部のうち少なくとも一方を破断させてカバー体から分離させ、その後、カバー体および吐出器本体を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体の前記上側部分に周壁部の開口部を径方向に通過させ前記上側部分を周壁部から離脱させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吐出器によれば、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による吐出器の半縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出器の一部破断正面図である。
【図3】図1に示す吐出器のカバー体の一部破断側面図であって、第2係合片の係止部上の位置で破断した図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図1〜図4に示す吐出器のカバー体の斜視図である。
【図6】本実施の形態の変形例による吐出器のカバー体の一部破断側面図であって、図3に対応する図である。
【図7】図6に示す吐出器のカバー体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る吐出器1は、図1から図3に示されるように、内容物が収容された容器体2の口部2aに装着される有頂筒状の装着キャップ3と、この装着キャップ3に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム41を有するポンプ4と、ステム41の上端に装着されるとともに吐出孔53aが形成された押下ヘッド5と、を備える吐出器本体6、並びに吐出器本体6のうち装着キャップ3の天壁部31よりも上方に位置する部分を覆うカバー体7を備えている。
【0015】
そして、カバー体7を吐出器本体6から外した状態で、押下ヘッド5を押下してステム41を下方に移動させポンプ4を作動させることにより、容器体2内の内容物が移送されて吐出孔53aから吐出されるようになっている。
ここで、容器体2、装着キャップ3およびステム41それぞれの中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸O方向に沿ってカバー体7の頂部71側を上側、容器体2の図示されない底部側を下側といい、また中心軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに中心軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0016】
装着キャップ3は、中央部に円形の開口が形成された天壁部31と、天壁部31の外周縁部から下方に向けて延設された係合筒部32と、押下ヘッド5の上下動を案内するとともに天壁部31に前記開口と同軸に配置され上方に向けて立設された案内筒部33と、を備えている。係合筒部32の内周面には雌ねじ部が形成されており、この雌ねじ部が容器体2の口部2aに形成された雄ねじ部に螺合されることにより、装着キャップ3が容器体2に装着されている。
また、前記螺合にかえて、凹凸係合(所謂、アンダーカット係合)や、スナップ嵌合などを採用することもできる。改竄防止の観点からは、凹凸係合とすることが好ましい。
【0017】
案内筒部33には、後述するカバー体7の周壁部72内に周方向に沿って延設された凸部73が係止されることで、吐出器本体6に対するカバー体7の上方に向けた移動を規制する凹部34が形成されている。この凹部34は、案内筒部33の上部位置で全周にわたって溝状に形成されるとともに、その溝幅(凹部34における上下方向の長さ寸法)が前記凸部73の上下方向の厚さ寸法より大きくなっている。そして、凹部34の溝上面34aに凸部73の上面が係止した状態において、カバー体7は上方への移動が規制されている。
【0018】
ポンプ4は、前記ステム41と、内部にステム41の下部が上下動自在に配設されたシリンダ42と、シリンダ42の内部に上下摺動自在に配設された図示されないピストン部材と、ステム41を上方に向けて付勢する図示されない付勢部材と、を備えている。
ステム41の上部は、シリンダ42の上端から上方に突出し、かつ装着キャップ3の案内筒部33内に配設され、さらにその上端部は案内筒部33の上端から上方に突出している。
シリンダ42は、円筒状に形成されるとともに前記中心軸Oと同軸に配設されている。シリンダ42の上端には、全周にわたってフランジ部42aが径方向の外側に向けて突設されており、このフランジ部42aが、装着キャップ3の天壁部31の下面と、容器体2の口部2aの開口端縁上のパッキン43と、により上下方向に挟み込まれている。シリンダ42の下端部内には、図示されないパイプの上端部が嵌合されており、このパイプの下端開口部が容器体2内の底部に位置している。
【0019】
押下ヘッド5は、頂壁部51と、頂壁部51の下面における中央部から下方に向けて延設された図示されない装着筒部と、頂壁部51の外周縁から下方に向けて延設され前記装着筒部を径方向の外側から囲繞する囲繞筒部52と、囲繞筒部52の外周面に径方向の外側に向けて突設された吐出筒53と、を備えている。
前記装着筒部内にステム41の上端部が嵌合されており、前記装着筒部内とステム41内とが連通している。吐出筒53の先端には前記吐出孔53aが形成され、また吐出筒53の内部は前記装着筒部の内部と連通している。
【0020】
囲繞筒部52において、外周面は上下方向における全長にわたって同等の外径となっている。囲繞筒部52の内径は、装着キャップ3の案内筒部33の外径よりも大きくなっており、押下ヘッド5の上下動に伴い、案内筒部33が囲繞筒部52内に下側から進退移動するようになっている。また、カバー体7を後述のように吐出器本体6から外したときに、囲繞筒部52の下端開口縁52aがその全周にわたって、装着キャップ3の天壁部31の上面に上方から対向するようになっている。なお、図示の例では、案内筒部33の上端部は、押下ヘッド5の押下時および非押下時の別を問わず常に囲繞筒部52内に位置している。
【0021】
以上の構成において、押下ヘッド5を押下すると、まずステム41が下方に向けて移動させられる。このステム41の移動に追従して、前記ピストン部材がシリンダ42の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ42内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ42内の内容物が、ステム41内に進入してこのステム41内を上方に向けて移動する。
その後、押下ヘッド5の押下を解除すると、前記ピストン部材が前記付勢部材の上方付勢力によりシリンダ42の内周面に摺接しつつ上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ42内が減圧され、容器体2内に収容されている内容物が前記パイプを通してシリンダ42内に吸い上げられる。
【0022】
そして、本実施形態では、カバー体7は、図1から図5に示されるように、吐出器本体6において装着キャップ3の案内筒部33に離脱可能に外嵌されたものであり、吐出器本体6のうち装着キャップ3の天壁部31よりも上方に位置する上側部分を覆っている。
すなわち、カバー体7は、押下ヘッド5を上方から覆う頂部71と、この頂部71から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端72aが装着キャップ3の天壁部31上に配置された周壁部72と、周壁部72に周方向に沿って設けられた凸部73と、を備えている。
【0023】
頂部71は、平板状に形成されており、押下ヘッド5の頂壁部51を上方からそのほぼ全域にわたって覆っている。
周壁部72は、上下方向に全長にわたって延び下方に向けて開口する開口部72bを有している。これにより、カバー体7は、図3から図5に示されるように、カバー体7および吐出器本体6の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、案内筒部33が開口部72bを周方向に拡幅するように周壁部72を弾性変形させながら、前記上側部分が開口部72bを径方向に通過することで周壁部72に対して着脱されるようになっている。
【0024】
ここで、周壁部72は、前記上側部分のうち押下ヘッド5を覆う上部筒部72cと、案内筒部33を覆う下部筒部72dと、を備えている。下部筒部72dは、部分的にリブが設けられ上部筒部72cより肉厚となる部分を有し、下部筒部72dのリブ上端72e上には、囲繞筒部52の下端開口端52aが配置されている。
周壁部72の周方向の両縁端に位置する開口部72bには、上部筒部72cの位置で囲繞筒部52に沿って開口部72bから周方向に延長された保持片72fが設けられている。両保持片72f、72fを含む周壁部72の周長が前記保持片72fを含まない周長より長く、囲繞筒部52に対して囲繞する範囲を大きくすることで、後述するように第1係合片75と第2係合片77がカバー体7に対して分離した場合であっても、カバー体7が吐出器本体6から簡単に外れないようになっている。
【0025】
周壁部72の凸部73には、破断可能なブリッジを形成させた第1破断容易部74を介して連結された平板状の第1係合片75が備えられている。そして、頂部71には、同じく破断可能な第2破断容易部76を介して連結された第2係合片77が備えられている。
第1係合片75は、下部筒部72dの内周面に沿って周方向に延びる凸部73の周縁端から案内筒部33の接線方向に突出し、その先端が押下ヘッド5の囲繞筒部52より張り出した位置となっている。第1係合片75には、後述する突起体77cを挿通させて係合する貫通孔75aが形成されている。
【0026】
第2係合片77は、カバー体7の頂部71に第2破断容易部76を介して連設されるとともに、第1係合片75に係合した状態で上下方向に延びる係止部77aを有し、係止部77aは、径方向において前記上側部分に近接または当接している。係止部77a、77aは、下端どうしが囲繞筒部52の周面に沿って湾曲した板状連結部77bによって一体に連結され、その板状連結部77bにおいて第1係合片75に当接する表面には第1係合片75の貫通孔75aに挿通することで係合する突起体77cを備えている。
突起体77cは、基端部77dと、基端部77dの先端側に接続する係止部77eとからなり、係止部77eの幅寸法は、基端部77d側から先端側に向かうに従い漸次小さくなるとともに、その基端部77d側における幅寸法は基端部77dの幅寸法よりも大きくなっている。
【0027】
これにより、図3に示す状態から、第2係合片77の先端の板状連結部77bを第1係合片75の先端に接近させるように第2破断容易部76を中心にして回転(矢印E1方向)させるとともに、第1係合片75も第1破断容易部74を中心にして上方へ押し上げるようにして回転(矢印E2方向)させることで、突起体77cの係止部77eが、貫通孔75aの内周面に摺接しつつ、この貫通孔75aを通過する。この際、図1に示されるように、第1係合片75および第2係合片77の板状連結部77bの各表面が互いに重ね合わされ、かつ突起体77cの係止部77eにおける基端側の端面が、第1係合片75の裏面に引っ掛かる。なお、突起体77cの基端部77dは、貫通孔75a内に位置している。
【0028】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、案内筒部33に凹部34が形成されているので、この凹部34にカバー体7の内面に周方向に沿って突設された凸部73を係合させることで、カバー体7の吐出器本体6に対する上方に向けた移動を規制することが可能になり、カバー体7が、吐出器本体6に対して上方に向けて移動して吐出器本体6から外れるのを防ぐことができる。
【0029】
また、カバー体7に連結されている第1係合片75と第2係合片77とを係合させることで、前記上側部分が開口部72bを径方向に通過するのを規制することが可能になり、前記上側部分が開口部72bを径方向に通過することで周壁部72から離脱してカバー体7が吐出器本体6から外れるのを防ぐことができる。
以上より、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体7が吐出器本体6から外れるのを防ぐことができる。
【0030】
また、カバー体7を吐出器本体6から外すには、第1係合片75と第2係合片77のそれぞれに対応する第1破断容易部74および第2破断容易部76のうち少なくとも一方を破断させてカバー体7から分離させ、その後、カバー体7および吐出器本体6を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体6の前記上側部分に周壁部72の開口部72bを径方向に通過させ前記上側部分を周壁部72から離脱させる。
このように、カバー体7を吐出器本体6から外すためには、第1破断容易部74、第2破断容易部76を破断させて第1係合片75および第2係合片77をカバー体7から分離させなければならず、カバー体7が吐出器本体6から外れたことがあるか否かを購入者に容易に判別させることができる。
【0031】
そして、購入者において内容物の使用後に保管する際には、周壁部72の開口部72bと、吐出器本体6の前記上側部分と、を径方向で互いに対向させた状態で、カバー体7と吐出器本体6とを相対的に径方向に接近移動させることにより、吐出器本体6の前記上側部分の周壁部72の開口部72bを径方向に通過させて前記上側部分を周壁部72に装着させてカバー体7を吐出器本体6に装着させる。これにより、押下ヘッド5は、頂部71により上方から覆われるとともに周壁部72により径方向の外側から覆われ、また、周壁部72の下端72aは、装着キャップ3の天壁部31上に配置される。さらに周壁部72の凸部73が上方への移動が規制された状態で装着キャップ3の凹部34に係止され、また凸部73の上面73aと押下ヘッド5の囲繞筒部52の下端開口縁52aとが上下方向で対向若しくは当接される。
【0032】
また、本実施形態では、第1係合片75と第2係合片77とが係合した状態において、カバー体7および吐出器本体6を相対的に径方向に沿って離間移動させようとすると、押下ヘッド5の囲繞筒部52に沿って上下方向に延びる第2係合片77の係止部77aが前記上側部分に径方向において近接または当接するので、前記離間移動を規制することができる。そのため、カバー体7を吐出器本体6から外すには、例えば第1破断容易部74および第2破断容易部76のうち少なくとも第1破断容易部74を破断させてカバー体7から分離させ、その後、カバー体7および吐出器本体6を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体6の前記上側部分に周壁部72の開口部72bを径方向に通過させ前記上側部分を周壁部72から離脱させることができる。
なお、本実施形態では、第2係合片77の一対の係合部77a、77aが板状連結部77bによって連結されているので、カバー体7を吐出器本体6から外すためには、上述したように第1破断容易部74での破断が必須であるが、さらにいえば、第2破断容易部76が破断された状態で一対の第1破断容易部74、74のうち少なくとも一方が破断されてカバー体7から分離されれば、カバー体7を吐出器本体6から外すことが可能である。
【0033】
以上のように、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者により内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体7を吐出器本体6に装着した状態では、押下ヘッド5が、頂部71により上方から覆われるとともに、この頂部71から下方に向けて延設される周壁部72の下端72aが、装着キャップ3の天端部31上に配置されるので、吐出器1に、この吐出器1の上方から下方に向けて外力が加えられても、その力が、頂部71および周壁部72を介して装着キャップ3に伝達されて容器体2により受け止められることとなり、押下ヘッド5およびステム41の下方への移動を防止することができる。
【0034】
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者により内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体7が吐出器本体6に装着されているときには、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0035】
次に、本発明の実施の形態の変形例について図6および図7に基づいて説明するが、上述の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、異なる構成について説明する。
図6および図7に示すように、変形例による吐出器1のカバー体7は、第1係合片75と第2係合片77の形状、すなわち互いの係合する位置が上述した実施の形態と異なっている。本変形例では、カバー体7の第1係合片75は、凸部73から第1破断容易部74を介して連設された第1片部75dと、第1片部75dの先端から下方に向けて延設された第2片部75eと、を備えている。第1片部75dの先端上面には押下ヘッド5の囲繞筒部52の下端開口縁52aが上下方向で対向若しくは当接する。第2片部75eには、貫通孔75aが形成されている。
【0036】
第2係合片77には、係止部77aの押下ヘッド5側となる表面77fの先端側の前記第2片部75eの貫通孔75aに対応する位置に突起体77cが設けられている。
本変形例による吐出器1では、貫通孔75aの開口方向と突起体77cの突出方向とが略水平方向となっている。
【0037】
以上、本発明による吐出器の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記実施形態では、第1係合片75が周壁部72の凸部73に第1破断容易部74を介して連結されているが、これに制限されることはない。すなわち、周壁部に対する凸部の形成位置は適宜設定することができ、また凸部と第1破断容易部とが非連結であってもかまわない。つまり、第1係合片75を凸部形成位置以外の周壁部に第1破断容易部を介して連結されてもよい。
【0038】
また、周壁部72の下部筒部72dの上端は、囲繞筒部52の下端に下側から近接若しくは当接させずに、径方向に離間させたり、あるいは上下方向に遠く離したりしてもよい。
また、ポンプ4、押下ヘッド5等の構成は、前記実施形態に限定されることはない。例えば、ポンプ4は、空気シリンダや空気ピストン等がポンプ4に付け加えられたいわゆるフォーマポンプや、霧化用のチップを吐出孔に設けたスプレーポンプ等としてもよい。
【0039】
さらに、第1破断容易部74、および第2破断容易部76として、破断可能な例えば薄肉部等の弱化部を形成したものであってもよい。そして、第1破断容易部74、および第2破断容易部76の位置についても第1係合片75、第2係合片77の長さや、装着キャップ3の案内筒部33の形状、外径寸法等に応じて適宜変更することが可能である。
さらにまた、第1係合片74、および第2係合片75の形状、寸法、係合部の構造(貫通孔75a、突起体77c)は、前記実施形態に制限されることはなく、適宜設定することができる。
【0040】
また、前記実施形態では第1破断容易部74および第2破断容易部76を破断させることカバー体7に対して第1係合片75と第2係合片77とを分離させているが、例えば、カバー体7を吐出器本体6から外す場合において、図5に示すように、第1係合片75および第2係合片77をそれぞれ離間する方向(上述した互いに接近する方向と反対方向)に回転させ、突起体77cの係止部77eにおける基端側の端面が貫通孔75aの内面に引っ掛かることで、突起体77cの基端部77dを破断させ、第1係合片75と第2係合片77とを分離させるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、第2係合片77の一対の係合部77a、77aが板状連結部77bによって連結された構造であるので、第1破断容易部74での破断がカバー体7を吐出器本体6から外す条件となっているが、例えば第2係合片が板状連結部が省略された形状であれば、第1破断容易部74および第2破断容易部76のうち少なくとも一方を破断させればよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 吐出器
2 容器体
2a 口部
3 装着キャップ
4 ポンプ
5 押下ヘッド
6 吐出器本体
7 カバー体
31 天端部
32 係合筒部
33 案内筒部
34 凹部
41 ステム
51 頂壁部
52 囲繞筒部
71 頂部
72 周壁部
72a 開口部
73 凸部
74 第1破断容易部
75 第1係合片
75a 貫通孔
76 第2破断容易部
77 第2係合片
77a 係止部
77c 突起体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、
この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、
前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、
前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体を備え、
このカバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、
前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、
前記周壁部は、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部を有し、前記カバー体および吐出器本体の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記周壁部に対して着脱され、
前記案内筒部には、前記周壁部内に周方向に沿って延設された凸部が係止されることで、前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する凹部が形成され、
前記カバー体は、前記周壁部に第1破断容易部を介して連結された第1係合片と、第2破断容易部を介して連結されるとともに、前記第1係合片に係合することで、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する第2係合片と、を備えていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出器であって、
前記第2係合片は、前記カバー体の頂部に前記第2破断容易部を介して連設されるとともに、前記第1係合片に係合した状態で上下方向に延びる係止部を有し、
前記係止部は、前記径方向において前記上側部分に近接または当接していることを特徴とする吐出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−274986(P2010−274986A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131085(P2009−131085)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】