説明

吐出容器

【課題】使用者にロック状態と解除状態との切替えを確実に把握させ、かつ切替えの操作性を向上させる。
【解決手段】カバー体15の周壁部22には、一対の剛体突起24と、一対の剛体突起同士の間に配設されると共に、剛体突起より径方向の内側に突出し弾性変形可能に形成され、かつ下端が剛体突起の下端よりも上方に位置する弾性突起25と、が配設され、容器本体11には、剛体突起及び弾性突起が収容されると共に、一方の周端部にストッパ壁部31が配設され、かつ周方向の中間部に被摺接部32が配設された収容凹部30が形成され、カバー体の容器本体に対する容器軸O回りの回転移動に伴い、弾性突起が弾性変形させられつつ被摺接部を周方向に乗越えた時に、一対の剛体突起のうちの少なくとも一方の下端がその下方からストッパ壁部に近接又は当接するロック状態と、一対の剛体突起の下端がストッパ壁部から周方向に離間した解除状態と、が切替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容液が収容される容器本体と、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるとともに内部が容器本体内と連通可能なステム、およびステムの上端部に装着され内容液が吐出される吐出孔が形成された押下ヘッドを有する吐出器と、を備える吐出容器が知られている。
この種の吐出容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、押下ヘッドの下方に位置して容器本体の口部を囲繞する有頂筒状のカバー体を配設し、このカバー体の頂壁部に、押下ヘッドがその上下動に伴い進退する挿通孔を形成するとともに、これらの押下ヘッドおよび挿通孔の各上面視形状を互いに同等の大きさの楕円形状にし、かつ押下ヘッドをカバー体に対して容器軸回りに回転自在に配設した構成が知られている。
この吐出容器では、押下ヘッドをカバー体に対して容器軸回りに回転させることで、押下ヘッドおよび挿通孔の各向きを互いに一致させ、押下ヘッドが、挿通孔内を進退可能でかつステムとともに容器本体およびカバー体に対して押下可能となる解除状態と、押下ヘッドおよび挿通孔の各向きを互いに不一致にし、押下ヘッドが、挿通孔内に進入不能でかつ容器本体およびカバー体に対して押下不能となるロック状態と、が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−240556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、使用者に前述のロック状態と解除状態との切り替えを確実に把握させることや、この切り替えの操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、使用者にロック状態と解除状態との切り替えを確実に把握させることができるとともに、この切り替えの操作性を向上させることができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の吐出容器は、内容液が収容される容器本体と、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるとともに内部が前記容器本体内と連通可能なステムを有し前記容器本体の口部に装着された吐出器と、有頂筒状に形成され前記容器本体の口部および吐出器が内挿され、かつ頂壁部に前記ステム内に連通可能で内容液が吐出される吐出孔が形成されたカバー体と、を備え、前記カバー体をステムとともに容器本体に対して押下することで、容器本体内の内容液がステム内を通して前記吐出孔から吐出される吐出容器であって、前記カバー体は、容器本体に対して容器軸回りに回転自在に装着され、該カバー体の周壁部には、容器軸回りに沿う周方向に間隔をあけて配設された一対の剛体突起と、これらの剛体突起同士の間に配設されるとともに、該剛体突起より径方向の内側に突出し弾性変形可能に形成された弾性突起と、がそれぞれ径方向の内側に向けて突設され、前記弾性突起の下端は、剛体突起の下端よりも上方に位置し、前記容器本体には、径方向の内側に向けて窪み前記剛体突起および弾性突起が収容される収容凹部が形成され、該収容凹部内において、周方向に沿う一方側の端部には、該収容凹部の下端面よりも上方に位置して上方を向くストッパ壁部が配設されるとともに、周方向に沿う中間部には、カバー体の容器本体に対する容器軸回りの回転移動に伴い、前記弾性突起が弾性変形させられつつ摺接して周方向に乗り越える被摺接部が配設され、前記弾性突起が前記被摺接部を周方向に乗り越えたときに、前記一対の剛体突起のうちの少なくとも一方の下端がその下方からストッパ壁部に近接若しくは当接するロック状態と、前記一対の剛体突起の下端がストッパ壁部から周方向に離間した解除状態と、が切り替えられることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、一対の剛体突起のうちの少なくとも一方の下端が、その下方からストッパ壁部に近接若しくは当接するロック状態では、カバー体を容器本体に対して押圧しても、剛体突起の下端がストッパ壁部にその上方から当接することで、カバー体およびステムを容器本体に対して下降させることができず、容器本体内の内容液が吐出孔から吐出されることはない。
この際、弾性突起の下端が、剛体突起の下端よりも上方に位置しているので、カバー体を容器本体に対して押下しても、剛体突起の下端がストッパ壁部に当接することにより、弾性突起がストッパ壁部に押し当てられるのを防ぐことができる。
そして、カバー体を容器本体に対して容器軸回りに周方向に沿う他方側に回転させて、一対の剛体突起の下端をストッパ壁部から周方向の他方側に離間させた解除状態では、ストッパ壁部が収容凹部の下端面より上方に位置していることから、カバー体を容器本体に対して押圧すると、一対の剛体突起が、収容凹部内をストッパ壁部よりも下方に移動することで、カバー体およびステムが容器本体に対して下降し、容器本体内の内容液がステム内を通して吐出孔から吐出される。
ここで、前述のロック状態と解除状態との切り替えに際し、弾性突起が弾性変形しながら被摺接部を周方向に乗り越えるので、使用者に、この切り替えを、目視によって切り替え後に確認させなくても、切り替える際の聴覚や触覚を通じて確実に把握させることができる。
さらに、カバー体を容器本体に対して容器軸回りに回転移動させて、弾性突起が被摺接部を周方向に乗り越えれば、前述のロック状態と解除状態とが切り替えられるので、この切り替えに際し、カバー体および容器本体の相対的な周方向の位置を合わせる必要がなく、切り替えの操作性を向上させることができる。
ここで、弾性突起が、一対の剛体突起同士の間に配設されているので、前述の切り替えに際し、カバー体を容器本体に対して容器軸回りに大きく回転させても、収容凹部を画成する壁面のうち周方向を向く周端面に、剛体突起を当接させることにより、弾性突起が押し当てられるのを防ぐことができる。
以上のように弾性突起が、剛体突起によって、収容凹部の周端面やストッパ壁部に押し当てられるのを防ぐことが可能になることから、弾性突起の突出量を高くしても、この弾性突起が破損し易くなるのを防ぐことができる。
なお、弾性突起の突出量を高くすることによって、例えば、弾性突起に高い柔軟性を具備させることで、使用者に前述の切り替えをより一層容易かつ確実に把握させることができ、また、容器本体の収容凹部の被摺接部を、カバー体の周壁部に向けて大きく突出させ難い等、高精度に形成することが困難である場合にも、カバー体の容器本体に対する容器軸回りの回転移動時に、弾性突起を被摺接部に確実に摺接させることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功される。
【0008】
ここで、前記弾性突起は、前記収容凹部を画成する壁面のうち、径方向の外側を向く面から径方向の外側に離間してもよい。
【0009】
この場合、前述のロック状態と解除状態との切り替えに際し、弾性突起が弾性変形しながら被摺接部を周方向に乗り越えたときに、この弾性突起を完全に復元変形させることが可能になり、切り替えをより一層確実に使用者に聴覚や触覚を通じて認識させることができるとともに、弾性突起の破損を確実に抑制することができる。
【0010】
また、前記収容凹部、ストッパ壁部、被摺接部、弾性突起および剛体突起は、容器軸を基準に軸対称となる複数個所に配設されてもよい。
【0011】
この場合、収容凹部、ストッパ壁部、被摺接部、弾性突起および剛体突起が、容器軸を基準に軸対称となる複数個所に配設されているので、ロック状態で、カバー体を容器本体および吐出器に対して押下したときに、カバー体が容器軸に対して傾くのを抑制することが可能になり、ロック状態を確実に維持して内容液の漏出を防ぐことができる。
【0012】
さらに、前記容器本体は、口部と胴部とを接続する肩部を備え、前記収容凹部は、肩部と胴部との接続部分に形成されて上方に向けて開口してもよい。
【0013】
この場合、収容凹部が、肩部と胴部との接続部分に形成されて上方に向けて開口しているので、カバー体を容器本体および吐出器に装着するに際し、カバー体内にその下方から容器本体および吐出器を挿入すると、弾性突起および剛体突起が収容凹部内に上方から下方に向けて差し込まれながら収容されることとなり、カバー体を容器本体および吐出器に容易に装着することができる。
またこのように、収容凹部が上方に向けて開口していることから、金型構造を複雑にすることなく容器本体を容易に形成することができる。
【0014】
また、前記収容凹部を画成する壁面のうち、周方向を向く両周端面のうちのいずれか一方に、前記ストッパ壁部が配設されるとともに、径方向の外側を向く面に、前記被摺接部が径方向の外側に向けて突設されてもよい。
【0015】
この場合、金型構造を複雑にすることなくより一層容易に容器本体を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者にロック状態と解除状態との切り替えを確実に把握させることができるとともに、この切り替えの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した吐出容器の一部分解斜視図である。
【図2】図1に示す吐出容器であって、(a)ロック状態を示す横断面図、および(b)解除状態を示す横断面図である。
【図3】図2(a)に示す吐出容器のA−A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る吐出容器1は、図1、図2および図3に示されるように、内容液が収容される容器本体11と、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるとともに内部が容器本体11内と連通可能なステム26を有し容器本体11の口部21に装着された吐出器12と、有頂筒状に形成され容器本体11の口部21および吐出器12が内挿され、かつ頂壁部13にステム26内に連通可能で内容液が吐出される吐出孔14が形成されたカバー体15と、を備えている。
【0019】
容器本体11、ステム26、およびカバー体15は共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って、カバー体15の頂壁部13側を上側といい、容器本体11の底部側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
容器本体11は、有底筒状の胴部16と、胴部16の上方に位置し該胴部16より小径の口部21と、これらの胴部16と口部21とを連結し、下方から上方に向かうに従いなだらかに漸次縮径された肩部17と、を備えている。
【0020】
吐出器12は、容器本体11の口部21に螺着されて当該吐出器12を容器本体11に固定する装着キャップ18と、口部21から容器本体11の内部に向けて下方に延設されたシリンダ35と、ステム26のうち、シリンダ35および装着キャップ18より上方に突出して位置する上端部に装着された有頂筒状のヘッド体19と、を備えている。
これらの装着キャップ18、シリンダ35およびヘッド体19は容器軸Oと同軸に位置している。
【0021】
ヘッド体19の周壁部19aにおける容器軸O方向の中間部には、全周にわたって連続して延びる第1環状突部19bが径方向の外側に向けて突設されている。ヘッド体19の天壁部19cにおける中央部には、容器軸Oと同軸に位置する環状の台状突部19dが上方に向けて突設されている。この台状突部19d内には、有頂筒状に形成され、かつその天壁部にステム26内に連通するノズル孔20aが形成されたノズル部材20が装着されている。
装着キャップ18の天壁部18aには、上方に向けて囲繞筒18bが立設されており、この囲繞筒18bの径方向の内側に、ヘッド体19の周壁部19aが容器軸O方向に進退自在に配設されている。
なお、シリンダ35内には、ステム26に連係して上下動するピストンと、ステム26を上方に付勢するスプリングと、が収容されている。
【0022】
そして、ヘッド体19を押下してステム26を下方に移動させると、この移動に連係してピストンがスプリングによる上方付勢力に抗してシリンダ35の内周面に摺接しつつ下降することにより、シリンダ35内の内容液が圧縮されてステム26内を上昇する。
一方、ヘッド体19の押下を解除すると、スプリングの上方付勢力によってステム26が上昇し、かつピストンがシリンダ35の内周面に摺接しつつ上昇することで、シリンダ35内が減圧され、容器本体11内に収容されている内容液がシリンダ35内に流入する。
【0023】
カバー体15は、容器本体11に対して容器軸O回りに回転自在に配設されている。
カバー体15は、頂壁部13と周壁部22とを有する有頂筒状に形成され、頂壁部13には、吐出器12のヘッド体19の周壁部19aに外嵌される装着筒23が下方に向けて突設されている。
そして、カバー体15の頂壁部13において、装着筒23の径方向の内側に位置する部分に、前記吐出孔14が形成されている。図示の例では、吐出孔14に、ヘッド体19の台状突部19dが嵌合されており、この吐出孔14を通して、ノズル部材20のノズル孔20aが外部に露出して上方に向けて開口していて、内容液が外部に吐出されるようになっている。
なお、装着筒23および吐出孔14は容器軸Oと同軸に位置している。また、頂壁部1
3は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次下方に向けて延びる凹曲面状に形成されている。さらに、装着筒23には、ヘッド体19の第1環状突部19bにアンダーカット嵌合する第2環状突部23aが径方向の内側に向けて突設されている。
【0024】
そして本実施形態では、カバー体15の周壁部22に、周方向に間隔をあけて配設された一対の剛体突起24と、これらの剛体突起24同士の間に配設されるとともに、該剛体突起24より径方向の内側に突出し弾性変形可能に形成された弾性突起25と、がそれぞれ径方向の内側に向けて突設されている。
図示の例では、剛体突起24および弾性突起25は、双方ともにカバー体15の頂壁部13から下方に向けて延在している。剛体突起24および弾性突起25は双方ともに、容器軸O方向に延びる直方体状に形成されている。また、カバー体15の周壁部22の内径は、容器本体11の胴部16の外径と同等になっている。
そして、弾性突起25の下端は、剛体突起24の下端よりも上方に位置している。さらに弾性突起25は、剛体突起24よりも厚さ(周方向の大きさ)が薄くなっていて、弾性突起25および剛体突起24は、カバー体15と同一の材質で一体に形成されている。
【0025】
ここで容器本体11には、径方向の内側に向けて窪み剛体突起24および弾性突起25が収容される収容凹部30が形成されている。
この収容凹部30内において、周方向に沿う一方側の端部には、該収容凹部30の下端面30aよりも上方に位置して上方を向くストッパ壁部31が配設されるとともに、周方向に沿う中間部には、カバー体15の容器本体11に対する容器軸O回りの回転移動に伴い、弾性突起25が弾性変形させられつつ摺接して周方向に乗り越える被摺接部32が配設されている。
【0026】
そして、弾性突起25が被摺接部32を周方向に乗り越えたときに、一対の剛体突起24のうちの少なくとも一方の下端がその下方からストッパ壁部31に近接若しくは当接するロック状態と、一対の剛体突起24の下端がストッパ壁部31から周方向に離間した解除状態と、が切り替えられる。
本実施形態では、ロック状態において、一対の剛体突起24のうちの一方の下端のみがその下方からストッパ壁部31に近接若しくは当接する。また、剛体突起24は、被摺接部32よりも径方向の外側に位置している。図示の例では、収容凹部30の周方向の大きさが、一対の剛体突起24の周方向の大きさの約2倍となっている。なお、収容凹部30の周方向の大きさは、一対の剛体突起24の周方向の大きさの2倍より大きくしてもよい。
【0027】
さらに弾性突起25は、収容凹部30を画成する壁面のうち、径方向の外側を向く外向き面30bから径方向の外側に離間している。
また、収容凹部30を画成する壁面のうち、周方向を向く両周端面30c、30dのうちのいずれか一方の周端面30cに、ストッパ壁部31が配設されるとともに、外向き面30bに、被摺接部32が径方向の外側に向けて突設されている。
【0028】
被摺接部32は、収容凹部30の下端面30aから上方に向けて延びる半円柱状に形成されている。被摺接部32は、収容凹部30の外向き面30bにおける周方向の中央部に配設されている。被摺接部32の径方向の外側に向けた突出量は、剛体突起24の径方向の内側に向けた突出量よりも低くなっている。
ストッパ壁部31は、被摺接部32の上端よりも下方に位置している。ストッパ壁部31は、収容凹部30の一方の周端面30cに、他方の周端面30d側に向けて突設された直方体状の台状体33の上端面となっている。なお、台状体33は、収容凹部30の下端面30aから上方に向けて突出している。
【0029】
さらに、収容凹部30は、容器本体11における肩部17と胴部16との接続部分に形成されて上方に向けて開口している。また、収容凹部30を径方向の外側から見た平面視形状は矩形状となっていて、該矩形状を画成する4辺のうち、互いに平行となる一方の一対の辺が容器軸O方向に沿って延在し、かつ他方の一対の辺が周方向に沿って延在するように配設されている。
【0030】
さらに本実施形態では、収容凹部30、ストッパ壁部31、被摺接部32、弾性突起25および一対の剛体突起24は、容器軸Oを基準に軸対称となる複数個所に配設されている。図示の例では、収容凹部30、ストッパ壁部31、被摺接部32、弾性突起25および一対の剛体突起24は、2組配設されていて、容器軸Oを径方向に挟む互いに反対となる各位置に配設されている。
【0031】
以上説明したように、本実施形態による吐出容器1によれば、一対の剛体突起24のうちの一方の下端が、その下方からストッパ壁部31に近接若しくは当接するロック状態では、カバー体15を容器本体11に対して押圧しても、剛体突起24の下端がストッパ壁部31にその上方から当接することで、カバー体15およびステム26を容器本体11に対して下降させることができず、容器本体11内の内容液が吐出孔14から吐出されることはない。
この際、弾性突起25の下端が、剛体突起24の下端よりも上方に位置しているので、カバー体15を容器本体11に対して押下しても、剛体突起24の下端がストッパ壁部31に当接することにより、弾性突起25がストッパ壁部31に押し当てられるのを防ぐことができる。
【0032】
そして、カバー体15を容器本体11に対して容器軸O回りに周方向に沿う他方側に回転させて、一対の剛体突起24の下端をストッパ壁部31から周方向の他方側に離間させた解除状態では、カバー体15を容器本体11に対して押圧すると、一対の剛体突起24が、収容凹部30内をストッパ壁部31よりも下方に移動することで、カバー体15およびステム26が容器本体11に対して下降し、容器本体11内の内容液がステム26内を通して吐出孔14から吐出される。
【0033】
ここで、前述のロック状態と解除状態との切り替えに際し、弾性突起25が弾性変形しながら被摺接部32を周方向に乗り越えるので、使用者に、この切り替えを、目視によって切り替え後に確認させなくても、切り替える際の聴覚や触覚を通じて確実に把握させることができる。
さらに、カバー体15を容器本体11に対して容器軸O回りに回転移動させて、弾性突起25が被摺接部32を周方向に乗り越えれば、前述のロック状態と解除状態とが切り替えられるので、この切り替えに際し、カバー体15および容器本体11の相対的な周方向の位置を合わせる必要がなく、切り替えの操作性を向上させることができる。
【0034】
ここで、弾性突起25が、一対の剛体突起24同士の間に配設されているので、前述の切り替えに際し、カバー体15を容器本体11に対して容器軸O回りに大きく回転させても、収容凹部30の周端面30c、30dに、剛体突起24を当接させることにより、弾性突起25が押し当てられるのを防ぐことができる。
以上のように弾性突起25が、剛体突起24によって、収容凹部30の周端面30c、30dやストッパ壁部31に押し当てられるのを防ぐことが可能になることから、弾性突起25の突出量を高くしても、この弾性突起25が破損し易くなるのを防ぐことができる。
なお、弾性突起25の突出量を高くすることによって、例えば、弾性突起25に高い柔軟性を具備させることで、使用者に前述の切り替えをより一層容易かつ確実に把握させることができ、また、容器本体11の収容凹部30の被摺接部32を、カバー体15の周壁部22に向けて大きく突出させ難い等、高精度に形成することが困難である場合にも、カバー体15の容器本体11に対する容器軸O回りの回転移動時に、弾性突起25を被摺接部32に確実に摺接させることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功される。
【0035】
さらに、弾性突起25が、収容凹部30の外向き面30bから径方向の外側に離間しているので、前述のロック状態と解除状態との切り替えに際し、弾性突起25が弾性変形しながら被摺接部32を周方向に乗り越えたときに、この弾性突起25を完全に復元変形させることが可能になり、切り替えをより一層確実に使用者に聴覚や触覚を通じて認識させることができるとともに、弾性突起25の破損を確実に抑制することができる。
【0036】
また、収容凹部30、ストッパ壁部31、被摺接部32、弾性突起25および剛体突起24が、容器軸Oを基準に軸対称となる複数個所に配設されているので、ロック状態で、カバー体15を容器本体11および吐出器12に対して押下したときに、カバー体15が容器軸Oに対して傾くのを抑制することが可能になり、ロック状態を確実に維持して内容液の漏出を防ぐことができる。
【0037】
さらに、収容凹部30が、肩部17と胴部16との接続部分に形成されて上方に向けて開口しているので、カバー体15を容器本体11および吐出器12に装着するに際し、カバー体15内にその下方から容器本体11および吐出器12を挿入すると、弾性突起25および剛体突起24が収容凹部30内に上方から下方に向けて差し込まれながら収容されることとなり、カバー体15を容器本体11および吐出器12に容易に装着することができる。
【0038】
またこのように、収容凹部30が上方に向けて開口していることから、金型構造を複雑にすることなく容器本体11を容易に形成することができる。
さらに本実施形態では、ストッパ壁部31が、収容凹部30の両周端面30c、30dのうちの一方30cに配設されるとともに、被摺接部32が、収容凹部30の外向き面30bに配設されているので、金型構造を複雑にすることなくより一層容易に容器本体11を形成することができる。
【0039】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば前記実施形態では、弾性突起25を、収容凹部30の外向き面30bから径方向の外側に離間させたが、互いに当接させてもよい。
また、収容凹部30、ストッパ壁部31、被摺接部32、弾性突起25および剛体突起24は、1箇所に配設してもよいし、周方向にランダムに間隔をあけて複数配設してもよい。
さらに、収容凹部30は、上方に向けて開口しなくてもよいし、容器本体11に肩部17を配設しなくてもよい。
また、ストッパ壁部31や被摺接部32は、前記実施形態に限らず、収容凹部30を画成する壁面であればいずれの壁面に配設してもよい。
さらに、ロック状態では、一対の剛体突起24の下端を双方ともにその下方からストッパ壁部31に近接若しくは当接させてもよい。
また、カバー体15とヘッド体19とを一体に形成してもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
使用者にロック状態と解除状態との切り替えを確実に把握させることができるとともに、この切り替えの操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 吐出容器
11 容器本体
12 吐出器
13 カバー体の頂壁部
14 吐出孔
15 カバー体
16 胴部
17 肩部
21 口部
22 カバー体の周壁部
24 剛体突起
25 弾性突起
26 ステム
30 収容凹部
30a 収容凹部の下端面
30b 外向き面
30c 一方の周端面
30d 他方の周端面
31 ストッパ壁部
32 被摺接部
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される容器本体と、
上方付勢状態で下方移動可能に立設されるとともに内部が前記容器本体内と連通可能なステムを有し前記容器本体の口部に装着された吐出器と、
有頂筒状に形成され前記容器本体の口部および吐出器が内挿され、かつ頂壁部に前記ステム内に連通可能で内容液が吐出される吐出孔が形成されたカバー体と、
を備え、
前記カバー体をステムとともに容器本体に対して押下することで、容器本体内の内容液がステム内を通して前記吐出孔から吐出される吐出容器であって、
前記カバー体は、容器本体に対して容器軸回りに回転自在に配設され、
該カバー体の周壁部には、容器軸回りに沿う周方向に間隔をあけて配設された一対の剛体突起と、これらの剛体突起同士の間に配設されるとともに、該剛体突起より径方向の内側に突出し弾性変形可能に形成された弾性突起と、がそれぞれ径方向の内側に向けて突設され、
前記弾性突起の下端は、剛体突起の下端よりも上方に位置し、
前記容器本体には、径方向の内側に向けて窪み前記剛体突起および弾性突起が収容される収容凹部が形成され、
該収容凹部内において、周方向に沿う一方側の端部には、該収容凹部の下端面よりも上方に位置して上方を向くストッパ壁部が配設されるとともに、周方向に沿う中間部には、カバー体の容器本体に対する容器軸回りの回転移動に伴い、前記弾性突起が弾性変形させられつつ摺接して周方向に乗り越える被摺接部が配設され、
前記弾性突起が前記被摺接部を周方向に乗り越えたときに、前記一対の剛体突起のうちの少なくとも一方の下端がその下方からストッパ壁部に近接若しくは当接するロック状態と、前記一対の剛体突起の下端がストッパ壁部から周方向に離間した解除状態と、が切り替えられることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記弾性突起は、前記収容凹部を画成する壁面のうち、径方向の外側を向く面から径方向の外側に離間していることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出容器であって、
前記収容凹部、ストッパ壁部、被摺接部、弾性突起および剛体突起は、容器軸を基準に軸対称となる複数個所に配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出容器であって、
前記容器本体は、口部と胴部とを接続する肩部を備え、
前記収容凹部は、肩部と胴部との接続部分に形成されて上方に向けて開口していることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出容器であって、
前記収容凹部を画成する壁面のうち、周方向を向く両周端面のうちのいずれか一方に、前記ストッパ壁部が配設されるとともに、径方向の外側を向く面に、前記被摺接部が径方向の外側に向けて突設されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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