説明

吐出容器

【課題】吐出後、外気がノズルヘッド内へ吸引されることを防止可能な吐出容器を提供する。
【解決手段】 容器体の口頸部に装着され、前記容器体内の内容物を発泡部材40を介して泡状にして吐出する吐出ポンプ3と、該吐出ポンプのステム31へ連結された押下げ可能なノズルヘッド50と、該ノズルヘッドの押下げに連動してノズル口を開口すると共に、該ノズルヘッドの上昇に連動して前記ノズル口を閉塞する外気遮蔽機構58とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体内の内容物をメッシュ体からなる発泡エレメントで構成される発泡部材を介して泡状にして吐出する吐出ポンプが従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−132351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、吐出後、発泡部材がノズルヘッド内へ吸引された外気に触れるため、発泡部材に付着した内容物が固化することとなって、これが原因でノズルヘッドの押下げが重くなったり、整泡がキメ粗くなったり、あるいは吐出流路内に内容物が固化して付着するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、吐出後、外気がノズルヘッド内へ吸引されることを防止可能な吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体の口頸部に装着され、前記容器体内の内容物を発泡部材40を介して泡状にして吐出する吐出ポンプ3と、
該吐出ポンプのステム31へ連結された押下げ可能なノズルヘッド50と、
該ノズルヘッドの押下げに連動してノズル口を開口すると共に、該ノズルヘッドの上昇に連動して前記ノズル口を閉塞する外気遮蔽機構58とを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記吐出ポンプ3は、内部を液用ピストンが上下方向に摺動する液用シリンダ34と、
内部を空気用ピストン38が上下方向に摺動する空気用シリンダ39と、
前記液用シリンダ34からの液体と前記空気用シリンダ39からの空気とが合流する気液混合室10と、
該気液混合室10と前記ノズルヘッド50を接続する流路内に設置された発泡部材40と、
が備えられ、
前記ノズルヘッド50を押し下げることで、前記液用ピストンが前記液用シリンダ34内に押し込まれるとともに前記空気用ピストンが前記空気用シリンダ39内に押し込まれ、前記液用シリンダ内の液体及び前記空気用シリンダ内の空気が前記気液混合室10内にそれぞれ圧送されて混合され、この気液混合体が前記発泡部材40を通過することで発泡されて泡となり、該泡が前記吐出口から吐出されることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記外気遮蔽機構58は前記ノズルヘッド50と前記ステムとの連通路に前後動自在に挿入された前方付勢状態の棒状弁体60と、
前記ノズルヘッド50の押下げに連動して前記棒状弁体60を後退させることで前記ノズル口を開口させるとともに、前記ノズルヘッドの上昇に連動して前記ノズル口を閉塞するレバー機構64とを備えていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記レバー機構64は前記ノズルヘッド50に軸支され、かつ一端が前記棒状弁体60の後端に連結されると共に、他端が前記ステム31上端に装着されたレバー受け筒53へ係合されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、発泡部材40はメッシュ体からなる発泡エレメントから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ノズルヘッドの上昇に連動してノズル口を閉塞する外気遮蔽機構を備えているので、吐出後、外気がノズルヘッド内へ吸引されることがなく、このため発泡部材に付着した内容物が固化すること、あるいはノズルヘッドの流路内で内容物が固化することが防止されるため、ノズルヘッドの押下げが重くなったり、整泡のキメが粗くなったり、あるいは流路が狭隘になって流路抵抗が増大することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る吐出容器の一部を示す断面図である。
【図2】吐出容器の全体の断面図である。
【図3】他の実施形態の一部を示す断面図である。
【図4】図3の全体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の便宜上図1の左右方向を前後方向とする。
【0014】
2は容器体で、胴部上端から肩部を介して口頸部2aを起立する。
【0015】
3は吐出ポンプで、装着キャップ30と、上ステム31と、下ステム32と、液用ピストン33と、液用シリンダ34と、コイルスプリング35と、吸込弁36と、液吐出弁37と、空気用ピストン38と、空気用シリンダ39と、発泡部材40とを構成要素とする。
【0016】
装着キャップ30は、容器体2の口頸部2aに螺合されるキャップ体であり、内向きフランジ状頂壁30aの外周部から筒部30bを垂設するとともに、内周部へ案内筒30dを貫設させている。筒部30bは、上側が縮径された2段の筒になっている。
【0017】
上ステム31は、装着キャップ30の内向きフランジ状頂壁30a内に挿通されており、上ステム31の上部は、装着キャップ30の内向きフランジ状頂壁30aの上方に突出されており、上ステム31の下部は、上記内向きフランジ状頂壁30aの下方に突出されている。上ステム31の内周面における上下方向の略中央部には、下方に向って段状に縮径された略円筒形状の内筒部31aが垂設されている。また、上ステム31の下部の外周面には、上ステム31の径方向外側に向けて突出されたフランジ部31bが、上ステム31の全周に亘って延設されており、この上ステム31の外周から垂下する垂下筒31e下端に外向きフランジ31fが付設されている。また、上ステム31には、上ステム31の下部内周面から内筒部31aの外周面まで延在するリブ31cが形成されている。この上ステム31の上部は、内筒部31aを介して後述する気液混合室10に連通されている。
【0018】
下ステム32は上ステム31の下側に直列に連結され、かつ下部が二重筒状に形成されている。下ステム32の上側の上筒部32aは、上ステム31の下部の内側に挿入されている。この上筒部32aの上端部の内側には、上ステム31の内筒部31aが挿入されている。つまり、上筒部32aの上端部は、上ステム31の下部と上ステム31の内筒部31aとの間に嵌合されている。下ステム32の下側の内筒部32bは上筒部32aよりも小径の筒部である。この内筒部32bの内周面には縦溝32fが形成されている。また、内筒部32bの上端には、上方に向けて延設された円筒形状の弁座32dが設けられている。また、下ステム32の下側の外筒部32cは、上筒部32aよりも大径であり、その下端には、下ステム32の径方向外側に向けて突出されたフランジ部32eが、外筒部32cの外周面全周に亘って延設されている。なお、上記した上筒部32aの内部が、液体と気体とを混合させる気液混合室10になっている。
【0019】
液吐出弁37は、上記気液混合室10内への液体の供給を停止させるための弁体であり、下ステム32の弁座32d上に着座および離反可能に載せられた球状の部材である。
【0020】
液用ピストン33は、容器軸に沿って延設された略円筒形状の部材であり、その上端部が下ステム32の内筒部32bと外筒部32cとの間に挿入されている。液用ピストン33の内周面における上下方向の略中央部には、液用ピストン33の内周面全周に亘って延設された環状の弁座部33aが、液用ピストン33の径方向内側に向けて突設されている。この弁座部33aは、下ステム32の内筒部32bの下方に配設されている。また、液用ピストン33の外周面には、液用ピストン33の径方向外側に向けて突出されたフランジ部33bが、液用ピストン33の全周に亘って延設されている。このフランジ部33bは、下ステム32のフランジ部32eの下方に配設されおり、双方のフランジ部33b、32eは上下に重合されている。
【0021】
液用シリンダ34は、容器軸に沿って延設された略円筒形状のものであり、液用ピストン33の下方に配設されている。液用シリンダ34の内側には、その上端から液用ピストン33の下端が挿入されており、液用シリンダ34の内部を液用ピストン33が上下方向に摺動可能になっている。液用シリンダ34の下部の内周面には縦リブ34aが形成されている。また、液用シリンダ34の下端部は、下方に向ってテーパー状に縮径されており、その下端面は開放されている。また、液用シリンダ34の下端には、接続筒34bが垂設されており、この接続筒34bには、容器体2内の液体を吸引するためのチューブ11が接続されている。このチューブ11を介して、液用シリンダ34の内部は容器体2の内部と連通されている。
【0022】
コイルスプリング35は、液用ピストン33を上方に付勢する付勢部材である。コイルスプリング35は、上部が液用ピストン33の内側に配置されるとともに、下部が液用シリンダ34の内側に配置されており、液用ピストン33の弁座部33aと後述する吸込弁36の下部弁体36bとの間に介装されている。
【0023】
吸込弁36は、液用ピストン33及び液用シリンダ34の内側に配置された棒状の部材である。吸込弁36の中間部は、コイルスプリング35内に挿通されている。吸込弁36の上端部には、液用ピストン33の弁座部33aに着座および離反可能な中空逆円錐状の上部弁体36aが形成されている。吸込弁36の下端部には、液用シリンダ34のテーパー状の下端部に着座および離反可能な下部弁体36bが形成されている。また、下部弁体36bの外周面には、上記縦リブ34aに形成された溝の内側に嵌められる凸部36cが突設されている。
【0024】
空気用ピストン38は、空気用シリンダ39の内周面上を摺動する外筒部38aと、外筒部38aの内側に配設されて上方に向って段状に縮径された環状の段状天板部38bと、段状天板部38bの内側に配設された内筒部38cと、内筒部38cの外周面に嵌合されて段状天板部38bの内周面と内筒部38cの下部外周面との間の隙間を開閉する環状の弁体38dと、が備えられている。内筒部38cは、上下方向中央部分に段部38eがあり、上側が小径で下側が大径の二段の筒体になっている。内筒部38cの上部は、上ステム31の下端部と下ステム32の上筒部32aとの間に挿入され、内筒部38cの下部は、下ステム32の外筒部32cに嵌められている。なお、内筒部38cの上部内周面と下ステム32の上筒部32a外周面との間に、及び、内筒部38cの下部内周面と下ステム32の外筒部32c外周面との間には、それぞれ隙間が開けられている。一方、弁体38dの外周面には、弾性変形可能な環状のバネ部38fが全周に亘って突設されており、このバネ部38fの先端部は段状天板部38bの下面に密接されている。
【0025】
空気用シリンダ39は、容器軸に沿って延設された有底略円筒形状のものであり、装着キャップ30の内側に取り付けられている。この空気用シリンダ39は、液用シリンダ34と一体的に形成されており、空気用シリンダ39の底面に上記液用シリンダ34が垂設されている。空気用シリンダ39の内部には、空気用ピストン38が収容されており、空気用シリンダ39の内部を空気用ピストン38が上下方向に摺動可能になっている。
【0026】
発泡部材40は、気液混合室10内で混合された気液混合体を発泡させるための部材であり、上ステム31の内部に設置されている。発泡部材40は、上ステム31の上部の内側に嵌合された上下一対の発泡エレメント40a、40bからなる。下側に配された発泡エレメント40aは、筒体の下側開口面にメッシュ体40cが張設された構成からなり、上側に配された発泡エレメント40bは、筒体の上側開口面にメッシュ体40cが張設された構成からなる。なお、発泡部材40の発泡エレメントの数は一対に限らず1つ又は3つ以上であってもよい。
【0027】
50はノズルヘッドで、上ステム31の上端部外面へ嵌合させた二重筒51の頂壁の中央部から吐出筒52を起立するレバー受け筒53と、レバー受け筒53外面へ上下動自在に嵌合されたカバー筒54内に収納室55を形成するとともに、収納室55下面から連結筒56を垂下して吐出筒52の外面へ嵌合させたヘッド外殻57と、ヘッド外殻57内に設けられた外気遮蔽機構58とを備えている。
【0028】
外気遮蔽機構58は、収納室52内へ嵌合され、かつ内面に複数のリブ59aが縦設されたノズル筒59と、ノズル筒59内に前後動自在に嵌合され、かつノズル口を開閉自在な棒状弁体60と、棒状弁体60を前方へ付勢するばね材61と、レバー機構62とから構成されている。
【0029】
レバー機構62は、カバー筒54内に形成された左右方向へ長い軸63と、軸63に軸支されたレバー64とから構成され、レバー64の一端は収納室55の後壁から突出する棒状弁体60の後端へ連結されている。レバー64の他端は二股に形成され、吐出筒52を摺動自在に挟持した状態でレバー受け筒53上面へ当接させられている。
【0030】
上記構成において、ノズルヘッド50を押下げると、ノズルヘッド50の小ストローク間はレバー受け筒53は静止状態を保持するから、レバー64は軸63を中心に時計方向へ回動することになり、したがって棒状弁体60が後方へ移動するため、ノズル筒59のノズル口が開口し、ここから容器体内容物が泡状となって吐出する。ノズルヘッド50から手を離すと、ノズルヘッド50の小ストローク間はレバー受け筒53は静止状態を保持するため、レバー64が反時計方向へ回動するとともに、棒状弁体60が付勢力により前進してノズル口を閉鎖する。したがって、外気がノズルヘッド50内へ流入することが防止される。
【0031】
なお、図1および図2ではカバー筒54の下端外面の前後両部に突部70が、また案内筒30dの前後両部内面に溝71がそれぞれ形成されていて、突部70が溝71へ摺動自在に嵌合可能に形成されている。したがってカバー筒54を組付ける際の位置合せが容易である。なお、図3および図4に示すように突部と溝を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、吐出容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
3 吐出ポンプ
31 上ステム
32 下ステム
33 液用ピストン
34 液用シリンダ
37 液吐出弁
38 空気用ピストン
39 空気用シリンダ
40 発泡部材
50 ノズルヘッド
53 レバー受け筒
54 カバー筒
58 外気遮蔽機構
60 棒状弁体
64 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部に装着され、前記容器体内の内容物を発泡部材(40)を介して泡状にして吐出する吐出ポンプ(3)と、
該吐出ポンプのステム(31)へ連結された押下げ可能なノズルヘッド(50)と、
該ノズルヘッドの押下げに連動してノズル口を開口すると共に、該ノズルヘッドの上昇に連動して前記ノズル口を閉塞する外気遮蔽機構(58)とを備えている
ことを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記吐出ポンプ(3)は、内部を液用ピストンが上下方向に摺動する液用シリンダ(34)と、
内部を空気用ピストン(38)が上下方向に摺動する空気用シリンダ(39)と、
前記液用シリンダ(34)からの液体と前記空気用シリンダ(39)からの空気とが合流する気液混合室(10)と、
該気液混合室(10)と前記ノズルヘッド(50)を接続する流路内に設置された発泡部材(40)と、が備えられ、
前記ノズルヘッド(50)を押し下げることで、前記液用ピストンが前記液用シリンダ(34)内に押し込まれるとともに前記空気用ピストンが前記空気用シリンダ(39)内に押し込まれ、前記液用シリンダ内の液体及び前記空気用シリンダ内の空気が前記気液混合室(10)内にそれぞれ圧送されて混合され、この気液混合体が前記発泡部材(40)を通過することで発泡されて泡となり、該泡が前記吐出口から吐出されることを特徴とする請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
前記外気遮蔽機構(58)は前記ノズルヘッド(50)と前記ステムとの連通路に前後動自在に挿入された前方付勢状態の棒状弁体(60)と、
前記ノズルヘッド(50)の押下げに連動して前記棒状弁体(60)を後退させることで前記ノズル口を開口させるとともに、前記ノズルヘッドの上昇に連動して前記ノズル口を閉塞するレバー機構(64)とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の吐出容器。
【請求項4】
前記レバー機構(64)は前記ノズルヘッド(50)に軸支され、かつ一端が前記棒状弁体(60)の後端に連結されると共に、他端が前記ステム(31)上端に装着されたレバー受け筒(53)へ係合されていることを特徴とする請求項3記載の吐出容器。
【請求項5】
発泡部材(40)はメッシュ体からなる発泡エレメントから構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の吐出容器。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−76776(P2012−76776A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222717(P2010−222717)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】