説明

吐水装置

【課題】空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置であって、供給水量をより低減させたとしても洗浄感を充足することができる吐水装置を提供すること。
【解決手段】吐水装置である局部洗浄装置WAは、絞り部14と吐出孔18との間に設けられる空気混入室16を備え、空気混入室16に空気を導入する開口20が設けられ、空気混入室16は、開口20から導入される空気をその内部の水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と絞り部14から噴射され吐出孔18を直接通過する水とを合流させて吐出孔18から吐出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体を洗浄する吐水装置としては、身体の広い部分に吐水するシャワー吐水装置や、身体の局部に吐水する局部洗浄装置があり、いずれも洗浄力の向上と洗浄感の充足との両立が求められる。洗浄感は、刺激感と量感とを一定のレベルで達成することで満たされるものであり、単純に考えれば大量の水を勢いよく吐水することで達成される。しかしながら、近年重視されている節水の観点からは、水量を極力減らして刺激感と量感とを一定のレベルに引き上げることが求められる。
【0003】
下記特許文献1に記載の人体局部洗浄装置は、そのような観点から提案されている吐水装置の一例であって、空気を混入させた気泡混入水を吐出するものである。具体的には、給水路を備え人体局部に対して洗浄水を噴射する人体局部洗浄ノズルを備える人体局部洗浄装置であって、給水路に形成され、出口を前記人体局部に指向させたオリフィス部と、このオリフィス部の周囲に設けられた空気取入口と、オリフィス部の出口と人体局部とを結ぶ軌跡上に設けられたスロート部と、を有している。スロート部は、オリフィス部の出口から噴射された洗浄水に空気取入口から吸い込んだ空気を混合して、人体局部に人体が感知できないくらい速い周期でピーク荷重を発生させる気液混合手段を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の人体局部洗浄装置は、一定の水量を確保すれば刺激感と量感とを両立できるものであり、それ以前の吐水装置に比較して十分にその目的を達成しているものである。しかしながら、人体局部洗浄装置を含む吐水装置に求められる節水性はより高度のものとなっており、従来の技術ではその要求を十分に満たすことができなかった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置であって、供給水量をより低減させたとしても洗浄感を充足することができる吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る吐水装置は、空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置であって、水を供給するための給水部と、前記給水部から供給される水を増速する増速手段と、前記給水部の下流側に設けられ、前記増速手段によって増速された水を下流側に噴射するための噴射孔と、前記噴射孔の下流側に設けられ、前記噴射孔から噴射される水の少なくとも一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する吐出孔と、前記噴射孔と前記吐出孔との間に設けられる空気混入室と、を備え、前記空気混入室に空気を導入する開口が設けられ、前記空気混入室は、この開口から導入される空気をその内部の水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る吐水装置によれば、吐出孔は、増速手段によって増速されて噴射孔から噴射される水の少なくとも一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出するように構成されているので、吐出孔から吐出される水は噴射孔から噴射された勢いを削がれずに外部に噴射される。従って、吐出孔を人体の水を当てるべき部分に指向させて配置すれば、人体にとって刺激感のある吐水を実現することができる。更に、空気混入室が噴射孔と吐出孔との間に設けられており、空気混入室に空気を導入する開口も設けられているので、空気混入室内の水に確実に空気を混入させることができる。具体的には、噴射孔から水が噴射されるとその周囲が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、噴射孔に繋がる空気混入室は水が存在する一方で、空気混入室内が負圧になることで空気混入室には開口から空気が導入されやすくなる。従って、気泡混入水の生成に必要な水と空気が常に供給され続け、エジェクタ効果が発現されやすい環境が形成されるので、供給される水量が少ない場合であっても多くの空気を含有する気泡混入水を確実に生成することができる。このように生成される気泡混入水は、噴射孔から噴射され吐出孔を直接通過する水と合流されて吐出孔から吐出されるように構成されているので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0009】
なお、増速手段としては、給水部と気泡混入室との間に設けられて、給水部および気泡混入室よりも流路断面積が小さな絞り部、あるいは、給水部に接続されて水を加圧するポンプなどを用いることができる。
【0010】
また本発明に係る吐水装置では、前記噴射孔及び前記吐出孔は、前記噴射孔から噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて前記吐出孔から吐出するように構成されており、前記空気混入室は、前記噴射孔から噴射される水の残部によってその内部に水を導入するものであって、前記開口から導入される空気を、前記噴射孔を通って噴射される水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることも好ましい。
【0011】
この好ましい態様では、噴射孔から噴射される水の一部がそのまま吐出孔から吐出され、噴射孔から噴射される水の残部が空気混入室内に溜められて気泡混入水となるように構成されているので、空気混入室内に導入するための水を別途供給する必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0012】
また本発明に係る吐水装置では、前記空気混入室には、前記噴射孔から噴射される水の残部によってその内部に旋回流が発生するように、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段が設けられていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、噴射孔から噴射される水の残部の進行方向を変更し、空気混入室内に旋回流が発生するように構成しているので、空気混入室内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在することなく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、噴射孔からそのまま吐出される水に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0014】
また本発明に係る吐水装置では、前記方向変更手段は、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向が前記吐出孔周辺の内壁に当たって変更されるように構成されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、噴射孔から噴射される水の残部が吐出孔周辺の内壁に当たってその進行方向が変更されるように構成されているので、噴射孔から噴射される水の残部の進行方向を変更する部材等を別途設ける必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0016】
また本発明に係る吐水装置では、前記方向変更手段は、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向が変更されるように、前記吐出孔周辺の内壁から前記噴射孔に向かって延びる延出壁で構成されていることも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、噴射孔から噴射される水の残部の進行方向が変更されるように、吐出孔周辺の内壁から噴射孔に向かって延びる延出壁が構成されているので、噴射孔から噴射される水の残部の進行方向を簡易な構成で確実に変更することができ、気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0018】
また本発明に係る吐水装置では、前記噴射孔とは別に前記空気混入室内に水を供給する給水口が設けられ、前記空気混入室は、前記開口から導入される空気をその内部の水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、噴射孔とは別に空気混入室内に水を供給する給水口が設けられているので、噴射孔から噴射される水の一部がそのまま吐出孔から噴射される場合のみならず噴射孔から噴射される水の全部がそのまま吐出孔から噴射される場合であっても、空気混入室内に確実に水を導入することができる。従って、噴射孔から噴射される水を、刺激感を満たすことができるように最適な状態で吐出孔から噴射させる一方で、給水口から空気混入室内に水を供給して空気混入室内に水を導入することで確実に気泡混入水を噴射させることも可能となり、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0020】
また本発明に係る吐水装置では、前記噴射孔の中心軸と前記吐出孔の中心軸とが略同一直線上に位置するように、前記噴射孔及び前記吐出孔が配置されていることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、噴射孔の中心軸と吐出孔の中心軸とが略同一直線上に位置するように、噴射孔及び吐出孔が配置されているので、噴射孔から噴射される水の少なくとも一部を、確実にその勢いを削がないように吐出することができる。従って、量感に加えて刺激感を確保した吐水を実現することができる。
【0022】
また本発明に係る吐水装置では、前記開口は、前記噴射孔から最も離れた位置において前記空気混入室内に空気を導入するように配置され、前記開口から前記空気混入室内に導入される空気の方向は、前記噴射孔から噴射される水の方向と逆方向となるように構成されていることも好ましい。
【0023】
この好ましい態様では、空気混入室内に空気を導入するための開口が、噴射孔から最も離れた位置において形成されているので、噴射孔から噴射される水の直接的な影響を低減させ、空気混入室内への空気導入量を安定させることができる。また、空気混入室内に旋回流が発生する場合には、その旋回流を安定させる効果も発揮する。更に、開口から空気混入室内に導入される空気の方向が、噴射孔から噴射される水の方向と逆方向となるように構成されているので、噴射孔から噴射される水に伴って気泡混入水となる前に空気が排出されてしまうことを抑制することができる。従って、空気混入室内で生成される気泡混入水への空気混入量を安定させることができ、気泡混入水による量感のある吐水を安定的にムラなく実現することができる。
【0024】
また本発明に係る吐水装置では、前記空気混入室は、その断面形状が前記噴射孔から噴射される水の方向が長軸となる扁平形状に形成されていることも好ましい。
【0025】
この好ましい態様では、空気混入室は、その断面形状が噴射孔から噴射される水の方向が長軸となる扁平形状に形成されているので、噴射孔から噴射される水の方向において水の流れを安定させることができる。従って、気泡混入水と噴射孔から噴射される水とをより円滑に合流させることができ、気泡混入水による量感のある吐水を安定的にムラなく実現することができる。
【0026】
また、本発明に係る吐水装置では、前記吐出孔は、前記空気混入室側に絞り突起を設けていることも好ましい。
【0027】
この好ましい態様では、吐出孔の空気混入室側に絞り突起を設けているので、噴射孔から噴射される水と気泡混入水とが合流した水の流れは、絞り突起を通過した後に吐出孔内に負圧を発生させる。その負圧によって、水の流れが吐出孔の内壁に引き寄せられる動きを繰り返す。それにより、吐出孔から吐出される水は、その吐出方向を中心として揺動しながら吐出される。従って、吐出された水を早い段階で液滴状態にすることができ、高い刺激感を得ることができる。また、揺動により、洗浄面積を広げることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置であって、供給水量をより低減させたとしても洗浄感を充足することができる吐水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一実施形態に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第四実施形態に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第五実施形態に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【図7】本発明の第六実施形態に係るシャワー吐水装置の主要部を示す断面図である。
【図8】図7に示すシャワー吐水装置の一つの吐水孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図9】本発明の第七実施形態に係るシャワー吐水装置の主要部を示す断面図である。
【図10】本発明の第一実施形態の変形例に係る局部洗浄装置の主要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0031】
本発明の第一実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る局部洗浄装置WAの主要部を示す断面図である。図1に示す局部洗浄装置WAは、局部洗浄装置WAのノズル部分を示すものであって、局部洗浄装置WAとしては他に、便座や、水の温度を上昇させるためのヒータや、水の勢いを増すためのポンプといった機構を有するものである。図1を参照しながら説明するにあたっては、図1の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図1の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図1に向って左手側から右手側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図1に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図1の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0032】
局部洗浄装置WAは、本体10とカバー30とを備えている。本体10は、給水部12と、絞り部14と、空気混入室16と、吐出孔18と、開口20とを備えている。給水部12は、水を絞り部14に供給するための部分であって、導入口121と端部122とを有している。給水部12は、図中x軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12は、一端に導入口121が形成され、他端に端部122が形成されている。導入口121から給水部12内に導入された水は、端部122に向って流れる。端部122は閉塞端であって、絞り部14に繋がっている。
【0033】
絞り部14は、給水部12の下流側に設けられ、給水部12よりも流路断面積を減少させ、通過する水を増速させて下流側に噴射するための部分である。絞り部14は、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14は、その一端側が給水部12の端部122に繋がれている。絞り部14は、給水部12の端部122から図中y軸の正方向に向け、図中x軸の正方向にやや傾斜して延びるように形成されている。給水部12から絞り部14に供給される水は、その流速が速められて空気混入室16及び吐出孔18に向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14が増速手段に相当し、絞り部14の他端部が噴射孔に相当する。
【0034】
空気混入室16は、絞り部14の下流側であって、絞り部14と吐出孔18との間に設けられ、絞り部14および吐出孔18よりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16は、第一壁部161と、第二壁部162と、第三壁部163と、第四壁部164とを有している。第一壁部161と第三壁部163とは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162と第四壁部164とは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162は、第一壁部161の一端側と第三壁部163の一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164は、第一壁部161の他端側と第三壁部163の他端側を繋ぐように形成されている。第三壁部163には、吐出孔18と開口20との間に、y軸の方向に沿うように形成された壁面1631が、第二壁部162側を向くように設けられている。
【0035】
絞り部14は、上述したようにその一端側が給水部12に繋がれている。絞り部14の他端側は、空気混入室16の第一壁部161に繋がれている。より具体的には、絞り部14は、第一壁部161の一端側、すなわち第二壁部162側に繋がれている。給水部12から供給され絞り部14から噴射される水は、第三壁部163に向けて噴射される。
【0036】
空気混入室16の第三壁部163には、吐出孔18の一端側と開口20の一端側とが繋がれている。吐出孔18は、絞り部14の下流側に設けられ、絞り部14から噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18は、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18は、その一端側が空気混入室16の第三壁部163に繋がれている。より具体的には、吐出孔18は、第三壁部163の一端側、すなわち第二壁部162側に繋がれている。吐出孔18の他端側は、本体10の外部に向けて開口されている。給水部12から供給され絞り部14から噴射される水は、その一部が主水流WF1として吐出孔18から本体10の外部へと吐出され、カバー30の吐出孔301を通って局部洗浄装置WAから人体の局部に向けて噴射される。
【0037】
開口20は、空気混入室16内に空気を導入する部分である。開口20は、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20は、その一端側が空気混入室16の第三壁部163に繋がれている。より具体的には、開口20は、第三壁部163の他端側、すなわち第四壁部164側に繋がれている。開口20の他端側は、本体10の外部に向けて開口されている。
【0038】
上述したように、絞り部14から空気混入室16内に噴射された水は、その一部が直接吐出孔18から外部へと噴射される。従って、絞り部14から空気混入室16内に噴射された水は、その残部が空気混入室16の第三壁部163に当たって第四壁部164側に方向が転換され、更に第四壁部164に当たって第一壁部161側に方向が転換される。そのため、空気混入室16内は、絞り部14から空気混入室16内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。更に詳しく説明すると、第三壁部163に当たって第四壁部164側に方向が転換された水は、第三壁部163に設けられた壁面1631によって開口20から離れるように方向が転換される。開口20の近傍を水が流れる方向がこの壁面1631により転換されるため、空気混入室16内の開口20の近傍に、空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20は水で塞がれにくくなっている。
【0039】
絞り部14から空気混入室16内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16は開口20の近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16内が負圧になることで空気混入室16には開口20を通る空気流AF1が形成され、開口20から空気が導入されることになる。従って、絞り部14から水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14から噴射される水の一部は主水流WF1として吐出孔18から直接外部に吐出されているので、絞り部14の近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流WF1に合流されて吐出孔18から外部へと吐出される。
【0040】
上述した本実施形態に係る局部洗浄装置WAでは、吐出孔18は、絞り部14から噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出するように構成されているので、吐出孔18から吐出される水は絞り部14から噴射された勢いを大きくは削がれずに外部に噴射される。従って、吐出孔18を人体の局部に指向させて配置すれば、人体にとって刺激感のある吐水を実現することができる。
【0041】
また、局部洗浄装置WAでは、空気混入室16が絞り部14と吐出孔18との間に設けられ、水によってその内部がほぼ満たされるように構成されており、空気混入室16に空気を導入する開口20も設けられているので、空気混入室16内に満たされた水に確実に空気を混入させることができる。具体的には、絞り部14から水が噴射されるとその周囲が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、絞り部14に繋がる空気混入室16は開口20の近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16内が負圧になることで空気混入室16には開口20から空気が導入されやすくなる。従って、気泡混入水の生成に必要な水と空気が常に供給され続け、エジェクタ効果が発現されやすい環境が形成されるので、供給される水量が少ない場合であっても多くの空気を含有する気泡混入水を確実に安定して生成することができる。このように生成される気泡混入水は、絞り部14から噴射され吐出孔18を直接通過する主水流WF1と合流されて吐出孔18から吐出されるように構成されているので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0042】
また、局部洗浄装置WAでは、絞り部14から噴射される水の一部がそのまま主水流WF1として吐出孔から吐出され、絞り部から噴射される水の残部が空気混入室16内にほぼ満たされ気泡混入水となるように構成されているので、空気混入室16内を満たすための水を別途供給する必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0043】
また、局部洗浄装置WAでは、絞り部14から空気混入室16内に噴射された水は、その残部が空気混入室16の第三壁部163に当たって第四壁部164側に方向が転換され、更に第四壁部164に当たって第一壁部161側に方向が転換される。そのため、空気混入室16内には、旋回水流WF2が発生する。このように構成することで、空気混入室16の第三壁部163の、特に吐出孔18が形成されている近傍は、絞り部14から噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段として機能している。これは、絞り部14が繋がれている第一壁部161と、吐出孔18が繋がれている第三壁部163との距離を保つことで、絞り部14から噴射された水が拡散し、第三壁部163に当たることによって実現されるものである。
【0044】
このように、絞り部14から噴射される水の残部の進行方向を変更し、空気混入室16内に主水流WF1に帰還する水の流れとなる旋回水流WF2が発生するように構成しているので、空気混入室16内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在しにくく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、絞り部14からそのまま吐出される主水流WF1に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0045】
特に本実施形態では、絞り部14から噴射される水の残部が吐出孔18周辺の内壁である第三壁部163に当たってその進行方向が変更されるように構成されているので、絞り部14から噴射される水の残部の進行方向を変更する部材等を別途設ける必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0046】
また、局部洗浄装置WAでは、絞り部14の中心軸と吐出孔18の中心軸とが略同一直線上に位置するように、絞り部14及び吐出孔18が配置されている。従って、絞り部14から噴射される水の少なくとも一部を、確実にその勢いを削がないように吐出することができる。
【0047】
また、局部洗浄装置WAでは、絞り部14と開口20とが空気混入室16の対角位置に位置するように形成されている。このように、空気混入室16内に空気を導入するための開口20が、絞り部14から最も離れた位置において形成されているので、絞り部14から噴射される水の直接的な影響を低減させ、空気混入室16内への空気導入量を安定させることができる。また、空気混入室16内に旋回水流WF2が発生する場合には、その旋回水流WF2を安定させる効果も発揮する。更に、開口20から空気混入室内に導入される空気の方向が、絞り部14から噴射される水の方向と逆方向となるように構成されているので、絞り部14から噴射される水に伴って気泡混入水となる前に空気が排出されてしまうことを抑制することができる。従って、空気混入室16内で生成される気泡混入水への空気混入量を安定させることができ、気泡混入水による量感のある吐水を安定的にムラなく実現することができる。
【0048】
更に本実施形態では、吐出孔18の空気混入室16側に、絞り突起181を設けている。このように、吐出孔18の入口付近に絞り突起181を設けることで、吐出孔18の内部が負圧になる。そのため、吐出孔18を気泡混入水が通過する際に、負圧によって気泡混入水が吐出孔18の内部で吐出孔18の径方向に細かく揺動する。この揺動によって、吐出孔18から噴射された水が、吐出後に早い段階で液滴状態になる。その結果、大きな液滴になった水が洗浄対象に衝突するので、衝突する際の衝撃荷重が大きくなり、水の連続流が衝突する場合に比べて高い洗浄感を得ることができる。
【0049】
ここで、図1のA−A断面図を図2に示す。図2に示すように、空気混入室16は、第五壁部165と第六壁部166とを有している。第五壁部165と第六壁部166とは、互いに対向し離隔するように配置されている。第五壁部165は、第一壁部161の図2における一端側と第三壁部163の図2における一端側とを繋ぐように形成されている。第六壁部166は、第一壁部161の図2における他端側と第三壁部163の図2における他端側とを繋ぐように形成されている。
【0050】
局部洗浄装置WAにおいては、第五壁部165と第六壁部166との距離は、第一壁部161と第三壁部163との距離よりも短くなるように配置されている。また、第五壁部165と第六壁部166との距離は、図1に示す第二壁部162と第四壁部164との距離よりも短くなるように配置されている。従って、空気混入室16は、その断面形状が絞り部14から噴射される水の方向が長軸となる扁平形状に形成されている。
【0051】
このように、空気混入室16は、その断面形状が絞り部14から噴射される水の方向が長軸となる扁平形状に形成されているので、絞り部14から噴射される水の方向において水の流れを安定させることができる。従って、気泡混入水と絞り部14から噴射される水とをより円滑に合流させることができ、気泡混入水による量感のある吐水を安定的にムラなく実現することができる。
【0052】
上述したように構成した局部洗浄装置WAでは、顕著な節水効果を奏することができた。具体的には、主水流に直接空気を混合させて気泡混入水としていた従来技術では、900ml/分の流量であったのに対し、局部洗浄装置WAでは、流量を三分の二に落として600ml/分にしても、同程度の洗浄感を得ることができた。このように構成することで、洗浄水中に空気を圧送するポンプも不要であり、コスト高となることもない。
【0053】
続いて、本発明の第二実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置について図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置WAaの主要部を示す断面図である。図3に示す局部洗浄装置WAaは、局部洗浄装置WAaのノズル部分を示すものであって、局部洗浄装置WAaとしては他に、便座や、水の温度を上昇させるためのヒータや、水の勢いを増すためのポンプといった機構を有するものである。図3を参照しながら説明するにあたっては、図3の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図3の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図3に向って左手側から右手側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図3に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図3の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0054】
局部洗浄装置WAaは、本体10aとカバー(図3に明示せず、図1に示したカバー30と同等のものである)とを備えている。本体10aは、給水部12aと、絞り部14aと、空気混入室16aと、吐出孔18aと、開口20aとを備えている。給水部12aは、水を絞り部14aに供給するための部分であって、導入口121aと端部122aとを有している。給水部12aは、図中x軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12aは、一端に導入口121aが形成され、他端に端部122aが形成されている。導入口121aから給水部12a内に導入された水は、端部122aに向って流れる。端部122aは閉塞端であって、絞り部14aに繋がっている。
【0055】
絞り部14aは、給水部12aの下流側に設けられ、給水部12aよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14aは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14aは、その一端側が給水部12aの端部122aに繋がれている。絞り部14aは、給水部12aの端部122aから図中y軸の正方向に向け、図中x軸の正方向にやや傾斜して延びるように形成されている。給水部12aから絞り部14aに供給される水は、その流速が速められて空気混入室16a及び吐出孔18aに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14aが増速手段に相当し、絞り部14aの他端部が噴射孔に相当する。
【0056】
空気混入室16aは、絞り部14aの下流側であって、絞り部14aと吐出孔18aとの間に設けられ、絞り部14aおよび吐出孔18aよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16aは、第一壁部161aと、第二壁部162aと、第三壁部163aと、第四壁部164aとを有している。第一壁部161aと第三壁部163aとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162aと第四壁部164aとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162aは、第一壁部161aの一端側と第三壁部163aの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164aは、第一壁部161aの他端側と第三壁部163aの他端側を繋ぐように形成されている。第三壁部163aには、吐出孔18aと開口20aとの間に、y軸の方向に沿うように形成された壁面1631aが、第二壁部162a側を向くように設けられている。
【0057】
絞り部14aは、上述したようにその一端側が給水部12aに繋がれている。絞り部14aの他端側は、空気混入室16aの第一壁部161aに繋がれている。より具体的には、絞り部14aは、第一壁部161aの一端側、すなわち第二壁部162a側に繋がれている。給水部12aから供給され絞り部14aから噴射される水は、第三壁部163aに向けて噴射される。
【0058】
空気混入室16aの第三壁部163aには、吐出孔18aの一端側と開口20aの一端側とが繋がれている。吐出孔18aは、絞り部14aの下流側に設けられ、絞り部14aから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18aは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18aは、その一端側が空気混入室16aの第三壁部163aに繋がれている。より具体的には、吐出孔18aは、第三壁部163aの一端側、すなわち第二壁部162a側に繋がれている。吐出孔18aの他端側は、本体10aの外部に向けて開口されている。給水部12aから供給され絞り部14aから噴射される水は、その一部が主水流として吐出孔18aから本体10aの外部へと吐出され、人体の局部に向けて噴射される。
【0059】
開口20aは、空気混入室16a内に空気を導入する部分である。開口20aは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20aは、その一端側が空気混入室16aの第三壁部163aに繋がれている。より具体的には、開口20aは、第三壁部163aの他端側、すなわち第四壁部164a側に繋がれている。開口20aの他端側は、本体10aの外部に向けて開口されている。
【0060】
上述したように、絞り部14aから空気混入室16a内に噴射された水は、その一部が直接吐出孔18aから外部へと噴射される。従って、絞り部14aから空気混入室16a内に噴射された水は、その残部が空気混入室16aの第三壁部163aに当たって第四壁部164a側に方向が転換され、更に第四壁部164aに当たって第一壁部161a側に方向が転換される。そのため、空気混入室16a内は、絞り部14aから空気混入室16a内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。更に詳しく説明すると、第三壁部163aに当たって第四壁部164a側に方向が転換された水は、第三壁部163aに設けられた壁面1631aによって開口20aから離れるように方向が転換される。開口20aの近傍を水が流れる方向がこの壁面1631aにより転換されるため、空気混入室16a内の開口20aの近傍に、空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20aは水で塞がれにくくなっている。
【0061】
絞り部14aから空気混入室16a内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16aは開口20aの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16a内が負圧になることで空気混入室16aには開口20aを通る空気流が形成され、開口20aから空気が導入されることになる。従って、絞り部14aから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14aから噴射される水の一部は主水流として吐出孔18aから直接外部に吐出されているので、絞り部14aの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流に合流されて吐出孔18aから外部へと吐出される。
【0062】
局部洗浄装置WAaでは、絞り部14aから空気混入室16a内に噴射された水は、その残部が空気混入室16aの第三壁部163aに当たって第四壁部164a側に方向が転換され、更に第四壁部164aに当たって第一壁部161a側に方向が転換される。そのため、空気混入室16a内には、旋回水流が発生する。このように構成することで、空気混入室16aの第三壁部163aの、特に吐出孔18aが形成されている近傍は、絞り部14aから噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段として機能している。
【0063】
特に本実施形態の局部洗浄装置WAaでは、絞り部14aの中心軸AX1と吐出孔18aの中心軸AX2とがずれた位置に位置するように、絞り部14a及び吐出孔18aが配置されている。具体的には、絞り部14aの中心軸AX1が、吐出孔18aの中心軸AX2よりも第四壁部164a側に位置するように配置されている。従って、絞り部14aが繋がれている第一壁部161aと、吐出孔18aが繋がれている第三壁部163aとの距離を、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAにおける第一壁部161と第三壁部163との距離よりも近づけても、絞り部14aから噴射される水を第三壁部163aに確実に当てることができる。
【0064】
このように、絞り部14aから噴射される水の残部の進行方向を変更し、空気混入室16a内に主水流に帰還する水の流れとなる旋回水流が発生するように構成しているので、空気混入室16a内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在することなく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、絞り部14aからそのまま吐出される主水流に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0065】
特に本実施形態では、絞り部14aから噴射される水の残部が吐出孔18a周辺の内壁である第三壁部163aに当たってその進行方向が変更されるように構成されている。従って、絞り部14aから噴射される水の残部の進行方向を変更する部材等を別途設ける必要がなく、絞り部14aの中心軸AX1と吐出孔18aの中心軸AX2とをずらすという簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0066】
尚、第二実施形態に係る局部洗浄装置WAaの、絞り部14aと吐出孔18aとの位置関係及び第一壁部161aと第三壁部163aとの位置関係以外の構成は、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAの対応する構成と同等であるので、その作用効果についての説明を省略する。
【0067】
続いて、本発明の第三実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置について図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第三実施形態に係る局部洗浄装置WAbの主要部を示す断面図である。図4に示す局部洗浄装置WAbは、局部洗浄装置WAbのノズル部分を示すものであって、局部洗浄装置WAbとしては他に、便座や、水の温度を上昇させるためのヒータや、水の勢いを増すためのポンプといった機構を有するものである。図4を参照しながら説明するにあたっては、図4の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図4の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図4に向って左手側から右手側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図4に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図4の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0068】
局部洗浄装置WAbは、本体10bとカバー(図4に明示せず、図1に示したカバー30と同等のものである)とを備えている。本体10bは、給水部12bと、絞り部14bと、空気混入室16bと、吐出孔18bと、開口20bとを備えている。給水部12bは、水を絞り部14bに供給するための部分であって、導入口121bと端部122bとを有している。給水部12bは、図中x軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12bは、一端に導入口121bが形成され、他端に端部122bが形成されている。導入口121bから給水部12b内に導入された水は、端部122bに向って流れる。端部122bは閉塞端であって、絞り部14bに繋がっている。
【0069】
絞り部14bは、給水部12bの下流側に設けられ、給水部12bよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14bは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14bは、その一端側が給水部12bの端部122bに繋がれている。絞り部14bは、給水部12bの端部122bから図中y軸の正方向に向け、図中x軸の正方向にやや傾斜して延びるように形成されている。給水部12bから絞り部14bに供給される水は、その流速が速められて空気混入室16b及び吐出孔18bに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14bが増速手段に相当し、絞り部14bの他端部が噴射孔に相当する。
【0070】
空気混入室16bは、絞り部14bの下流側であって、絞り部14bと吐出孔18bとの間に設けられ、絞り部14bおよび吐出孔18bよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16bは、第一壁部161bと、第二壁部162bと、第三壁部163bと、第四壁部164bとを有している。第一壁部161bと第三壁部163bとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162bと第四壁部164bとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162bは、第一壁部161bの一端側と第三壁部163bの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164bは、第一壁部161bの他端側と第三壁部163bの他端側を繋ぐように形成されている。第三壁部163bには、吐出孔18bと開口20bとの間に、y軸の方向に沿うように形成された壁面1631bが、第二壁部162b側を向くように設けられている。
【0071】
絞り部14bは、上述したようにその一端側が給水部12bに繋がれている。絞り部14bの他端側は、空気混入室16bの第一壁部161bに繋がれている。より具体的には、絞り部14bは、第一壁部161bの一端側、すなわち第二壁部162b側に繋がれている。給水部12bから供給され絞り部14bから噴射される水は、第三壁部163bに向けて噴射される。
【0072】
空気混入室16bの第三壁部163bには、吐出孔18bの一端側と開口20bの一端側とが繋がれている。吐出孔18bは、絞り部14bの下流側に設けられ、絞り部14bから噴射される水の一部を主水流WF3としてその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18bは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18bは、その一端側が空気混入室16bの第三壁部163bに繋がれている。より具体的には、吐出孔18bは、第三壁部163bの一端側、すなわち第二壁部162b側に繋がれている。吐出孔18bの他端側は、本体10bの外部に向けて開口されている。給水部12bから供給され絞り部14bから噴射される水は、その一部が主水流として吐出孔18bから本体10bの外部へと吐出され、人体の局部に向けて噴射される。
【0073】
開口20bは、空気混入室16b内に空気を導入する部分である。開口20bは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20bは、その一端側が空気混入室16bの第三壁部163bに繋がれている。より具体的には、開口20bは、第三壁部163bの他端側、すなわち第四壁部164b側に繋がれている。開口20bの他端側は、本体10bの外部に向けて開口されている。
【0074】
上述したように、絞り部14bから空気混入室16b内に噴射された水は、その一部が主水流WF3として直接吐出孔18bから外部へと噴射される。従って、絞り部14bから空気混入室16b内に噴射された水は、その残部が空気混入室16bの第三壁部163bに当たって第四壁部164b側に方向が転換され、更に第四壁部164bに当たって第一壁部161b側に方向が転換される。そのため、空気混入室16b内は、絞り部14bから空気混入室16b内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。更に詳しく説明すると、第三壁部163bに当たって第四壁部164b側に方向が転換された水は、第三壁部163bに設けられた壁面1631bによって開口20bから離れるように方向が転換される。開口20bの近傍を水が流れる方向がこの壁面1631bにより転換されるため、空気混入室16b内の開口20bの近傍に、空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20bは水で塞がれにくくなっている。
【0075】
絞り部14bから空気混入室16b内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16bは開口20bの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16b内が負圧になることで空気混入室16bには開口20bを通る空気流が形成され、開口20bから空気が導入されることになる。従って、絞り部14bから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14bから噴射される水の一部は主水流WF3として吐出孔18bから直接外部に吐出されているので、絞り部14bの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流に合流されて吐出孔18bから外部へと吐出される。
【0076】
局部洗浄装置WAbでは、絞り部14bから空気混入室16b内に噴射された水は、その残部が空気混入室16bの第三壁部163bに当たって第四壁部164b側に方向が転換され、更に第四壁部164bに当たって第一壁部161b側に方向が転換される。そのため、空気混入室16b内には、主水流WF3に帰還する水の流れとなる旋回水流WF4が発生する。このように構成することで、空気混入室16bの第三壁部163bの、特に吐出孔18bが形成されている近傍は、絞り部14bから噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段として機能している。
【0077】
特に本実施形態の局部洗浄装置WAbでは、更なる方向変更手段として、絞り部12bから噴射される水の残部の進行方向が変更されるように、吐出孔18b周辺の第三壁部163bから絞り部14bに向かって延びる延出壁167bを設けている。具体的には、延出壁167bは、吐出孔18bよりも第四壁部164b側の第三壁部163bから絞り部14bに向けて延出し、第二壁部162b側に傾斜している。従って、絞り部14bが繋がれている第一壁部161bと、吐出孔18bが繋がれている第三壁部163bとの距離を、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAにおける第一壁部161と第三壁部163との距離よりも近づけても、絞り部14bから噴射される水の進行方向を変更することができる。このように、絞り部12bから噴射される水の残部の進行方向が変更されるように、吐出孔18b周辺の第三壁部163bから絞り部14bに向かって延びる延出壁167bが構成されているので、絞り部14bから噴射される水の残部の進行方向を簡易な構成で確実に変更することができ、気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0078】
特に本実施形態では、絞り部14bから噴射される水の残部が延出壁167bに当たってその進行方向が変更されるように構成されているので、絞り部14bから噴射される水の残部の進行方向を変更する部材等を別途設ける必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0079】
尚、第三実施形態に係る局部洗浄装置WAbの、延出壁167b及び第一壁部161bと第三壁部163bとの位置関係以外の構成は、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAの対応する構成と同等であるので、その作用効果についての説明を省略する。
【0080】
続いて、本発明の第四実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置について図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第四実施形態に係る局部洗浄装置WAcの主要部を示す断面図である。図5に示す局部洗浄装置WAcは、局部洗浄装置WAcのノズル部分を示すものであって、局部洗浄装置WAcとしては他に、便座や、水の温度を上昇させるためのヒータや、水の勢いを増すためのポンプといった機構を有するものである。図5を参照しながら説明するにあたっては、図5の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図5の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図5に向って左手側から右手側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図5に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図5の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0081】
局部洗浄装置WAcは、本体10cとカバー(図5に明示せず、図1に示したカバー30と同等のものである)とを備えている。本体10cは、給水部12cと、絞り部14cと、空気混入室16cと、吐出孔18cと、開口20cと、給水口22cとを備えている。給水部12cは、水を絞り部14cに供給するための部分であって、導入口121cと端部122cとを有している。給水部12cは、図中x軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12cは、一端に導入口121cが形成され、他端に端部122cが形成されている。導入口121cから給水部12c内に導入された水は、端部122cに向って流れる。端部122cは閉塞端であって、絞り部14cに繋がっている。
【0082】
絞り部14cは、給水部12cの下流側に設けられ、給水部12cよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14cは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14cは、その一端側が給水部12cの端部122cに繋がれている。絞り部14cは、給水部12cの端部122cから図中y軸の正方向に向け、図中x軸の正方向にやや傾斜して延びるように形成されている。給水部12cから絞り部14cに供給される水は、その流速が速められて空気混入室16c及び吐出孔18cに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14cが増速手段に相当し、絞り部14cの他端部が噴射孔に相当する。
【0083】
空気混入室16cは、絞り部14cの下流側であって、絞り部14cと吐出孔18cとの間に設けられ、絞り部14cおよび吐出孔18cよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16cは、第一壁部161cと、第二壁部162cと、第三壁部163cと、第四壁部164cとを有している。第一壁部161cと第三壁部163cとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162cと第四壁部164cとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162cは、第一壁部161cの一端側と第三壁部163cの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164cは、第一壁部161cの他端側と第三壁部163cの他端側を繋ぐように形成されている。
【0084】
絞り部14cは、上述したようにその一端側が給水部12cに繋がれている。絞り部14cの他端側は、空気混入室16cの第一壁部161cに繋がれている。より具体的には、絞り部14は、第一壁部161cの一端側、すなわち第二壁部162c側に繋がれている。給水部12cから供給され絞り部14cから噴射される水は、第三壁部163cに向けて噴射される。
【0085】
空気混入室16cの第三壁部163cには、吐出孔18cの一端側と開口20cの一端側とが繋がれている。吐出孔18cは、絞り部14cの下流側に設けられ、絞り部14cから噴射される水の少なくとも一部(好ましくはほぼ全部)をその噴射方向を保ったまま主水流WF5として直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18cは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18cは、その一端側が空気混入室16cの第三壁部163cに繋がれている。より具体的には、吐出孔18cは、第三壁部163cの一端側、すなわち第二壁部162c側に繋がれている。吐出孔18cの他端側は、本体10cの外部に向けて開口されている。給水部12cから供給され絞り部14cから噴射される水は、その少なくとも一部(好ましくはほぼ全部)が主水流WF5として吐出孔18から本体10の外部へと吐出され、人体の局部に向けて噴射される。
【0086】
開口20cは、空気混入室16c内に空気を導入する部分である。開口20cは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20cは、その一端側が空気混入室16cの第三壁部163cに繋がれている。より具体的には、開口20cは、第三壁部163cの他端側、すなわち第四壁部164c側に繋がれている。開口20cの他端側は、本体10cの外部に向けて開口されている。
【0087】
給水口22cは、絞り部14cとは別に空気混入室16c内に水を供給する部分である。給水口22cは、断面が略円形の流路として構成されている。給水口22cは、その一端側が空気混入室16cの第三壁部163cに繋がれている。より具体的には、給水口22cは、第三壁部163cの他端側、すなわち第四壁部164c側であって、開口20cの近傍に繋がれている。給水口22cの他端側は、給水部12cに繋がっている。
【0088】
上述したように、絞り部14cから空気混入室16c内に噴射された水は、少なくともその一部が直接吐出孔18cから外部へと噴射される。一方、給水口22cからは空気混入室16c内に水が供給され、空気混入室16c内が水でほぼ満たされる。
【0089】
絞り部14cから空気混入室16c内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16cは開口20cの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16c内が負圧になることで空気混入室16cには開口20cを通る空気流が形成され、開口20cから空気が導入されることになる。従って、絞り部14cから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14cから噴射される水の少なくとも一部は主水流WF5として吐出孔18cから直接外部に吐出されているので、絞り部14cの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流WF5に合流されて吐出孔18cから外部へと吐出される。
【0090】
上述した本実施形態に係る局部洗浄装置WAcでは、吐出孔18cは、絞り部14cから噴射される水の少なくとも一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出するように構成されているので、吐出孔18cから吐出される水は絞り部14cから噴射された勢いを大きくは削がれずに外部に噴射される。特に局部洗浄装置WAcでは、空気混入室16c内へ水を満たす役割を給水口22cが担っているので、絞り部14cから噴射される水のほぼ全てをその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出することができる。従って、吐出孔18cを人体の局部に指向させて配置すれば、人体にとって刺激感のある吐水を実現することができる。
【0091】
また、局部洗浄装置WAcでは、空気混入室16cが絞り部14cと吐出孔18cとの間に設けられ、水によってその内部がほぼ満たされるように構成されており、空気混入室16cに空気を導入する開口20cも設けられているので、空気混入室16c内に満たされた水に確実に空気を混入させることができる。具体的には、絞り部14cから水が噴射されるとその周囲が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。その際、給水口22cから供給される水は、開口20cから離れる方向に流れるので、開口20cの近傍に空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20cは水で塞がれにくい。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、絞り部14cに繋がる空気混入室16cは開口20cの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16c内が負圧になることで空気混入室16cには開口20cから空気が導入されやすくなる。従って、気泡混入水の生成に必要な水と空気が常に供給され続け、エジェクタ効果が発現されやすい環境が形成されるので、供給される水量が少ない場合であっても多くの空気を含有する気泡混入水を確実に安定して生成することができる。このように生成される気泡混入水は、絞り部14cから噴射され吐出孔18cを直接通過する主水流WF5と合流されて吐出孔18cから吐出されるように構成されているので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0092】
また、局部洗浄装置WAcでは、給水口22cから水を空気混入室16c内に供給し、空気混入室16c内に主水流WF5に向かう水の流れとなる旋回水流WF6が発生するように構成しているので、空気混入室16c内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在することなく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、絞り部14cからそのまま吐出される主水流WF5に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。なお、給水口22cは、第一壁部161cにおいて絞り部14cの近傍に、絞り部14cと並行に設けてもよい。その場合には、前述した第一実施形態〜第三実施形態と同様に、第三壁部163cに壁面1631cを形成して、開口20cの近傍を水で塞がないようにするのが好ましい。
【0093】
尚、第四実施形態に係る局部洗浄装置WAcの、給水口22c以外の構成は、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAの対応する構成と同等であるので、その作用効果についての説明を省略する。
【0094】
本発明の第五実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置について図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第五実施形態に係る局部洗浄装置WAdの主要部を示す断面図である。図6に示す局部洗浄装置WAdは、局部洗浄装置WAdのノズル部分を示すものであって、局部洗浄装置WAdとしては他に、便座や、水の温度を上昇させるためのヒータや、水の勢いを増すためのポンプといった機構を有するものである。図6を参照しながら説明するにあたっては、図6の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図6の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図6に向って左手側から右手側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図6に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図6の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0095】
局部洗浄装置WAdは、本体10dとカバー(図6に明示せず、図1に示したカバー30と同等のものである)とを備えている。本体10dは、給水部12dと、絞り部14dと、空気混入室16dと、吐出孔18dと、開口20d,21dとを備えている。給水部12dは、水を絞り部14dに供給するための部分であって、導入口121dと端部122dとを有している。給水部12dは、図中x軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12dは、一端に導入口121dが形成され、他端に端部122dが形成されている。導入口121dから給水部12d内に導入された水は、端部122dに向って流れる。端部122dは閉塞端であって、絞り部14dに繋がっている。
【0096】
絞り部14dは、給水部12dの下流側に設けられ、給水部12dよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14dは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14dは、その一端側が給水部12dの端部122dに繋がれている。絞り部14dは、給水部12dの端部122dから図中y軸の正方向に向け、図中x軸の正方向にやや傾斜して延びるように形成されている。給水部12dから絞り部14にd供給される水は、その流速が速められて空気混入室16d及び吐出孔18dに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14dが増速手段に相当し、絞り部14dの他端部が噴射孔に相当する。
【0097】
空気混入室16dは、絞り部14dの下流側であって、絞り部14dと吐出孔18dとの間に設けられ、絞り部14dおよび吐出孔18dよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16dは、第一壁部161dと、第二壁部162dと、第三壁部163dと、第四壁部164dとを有している。第一壁部161dと第三壁部163dとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162dと第四壁部164dとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162dは、第一壁部161dの一端側と第三壁部163dの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164dは、第一壁部161dの他端側と第三壁部163dの他端側を繋ぐように形成されている。第三壁部163dには、吐出孔18dと開口20d,21dとの間に、y軸の方向に沿うように形成された壁面1631dが、第二壁部162d側を向くように設けられている。
【0098】
絞り部14dは、上述したようにその一端側が給水部12dに繋がれている。絞り部14dの他端側は、空気混入室16dの第一壁部161dに繋がれている。より具体的には、絞り部14dは、第一壁部161dの中央近傍に繋がれている。給水部12dから供給され絞り部14dから噴射される水は、第三壁部163dに向けて噴射される。
【0099】
空気混入室16dの第三壁部163dには、吐出孔18dの一端側と開口20d,21dの一端側とが繋がれている。吐出孔18dは、絞り部14dの下流側に設けられ、絞り部14dから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18dは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18dは、その一端側が空気混入室16dの第三壁部163dに繋がれている。より具体的には、吐出孔18dは、第三壁部163dの中央近傍に繋がれている。吐出孔18dの他端側は、本体10dの外部に向けて開口されている。給水部12dから供給され絞り部14dから噴射される水は、その一部が主水流として吐出孔18dから本体10dの外部へと吐出され、人体の局部に向けて噴射される。
【0100】
開口20d,21dは、空気混入室16d内に空気を導入する部分である。開口20d,21dは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20d,21dは、それぞれの一端側が空気混入室16dの第三壁部163dに繋がれている。より具体的には、開口20dは、第三壁部163dの他端側、すなわち第四壁部164d側に繋がれている。一方、開口21dは、第三壁部163dの一端側、すなわち第二壁部162d側に繋がれている。開口20d,21dの他端側は、本体10dの外部に向けて開口されている。
【0101】
上述したように、絞り部14dから空気混入室16d内に噴射された水は、その一部が直接吐出孔18dから外部へと噴射される。従って、絞り部14dから空気混入室16d内に噴射された水は、その残部が空気混入室16dの第三壁部163dに当たって第二壁部162d側と第四壁部164d側とに別れるように方向が転換される。第四壁部164d側に方向転換された水流は、更に第四壁部164dに当たって第一壁部161d側に方向が転換される。一方、第二壁部162d側に方向転換された水流は、更に第二壁部162dに当たって第一壁部161d側に方向が転換される。そのため、空気混入室16d内は、絞り部14dから空気混入室16d内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。更に詳しく説明すると、第三壁部163dに当たって第四壁部164d側に方向が転換された水は、第三壁部163dに設けられた壁面1631dによって開口20dから離れるように方向が転換される。開口20dの近傍を水が流れる方向がこの壁面1631dにより転換されるため、空気混入室16内の開口20dの近傍に、空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20dは水で塞がれにくくなっている。
【0102】
絞り部14dから空気混入室16d内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16dは開口20dの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16d内が負圧になることで空気混入室16dには開口20d,21dを通る空気流が形成され、開口20d,21dから空気が導入されることになる。従って、絞り部14dから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14dから噴射される水の一部は主水流として吐出孔18dから直接外部に吐出されているので、絞り部14dの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流に合流されて吐出孔18dから外部へと吐出される。
【0103】
このように本実施形態に係る局部洗浄装置WAdでは、絞り部14d及び吐出孔18dを空気混入室18dの中央近傍に配置し、空気を取り入れるための開口20d,21dをそれに対応させて絞り部14d及び吐出孔18dを挟むように配置している。従って、空気混入室16d内の旋回流が安定し、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0104】
尚、第五実施形態に係る局部洗浄装置WAdの、絞り部14d、吐出孔18d、開口20d,21dを空気混入室16dに対して配置する態様以外の構成は、第一実施形態に係る局部洗浄装置WAの対応する構成と同等であるので、その作用効果についての説明を省略する。
【0105】
本発明の第六実施形態に係る吐水装置としてのシャワー吐水装置について図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第六実施形態に係るシャワー吐水装置WAeの主要部を示す断面図である。図7を参照しながら説明するにあたっては、図7の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図7の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図7に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図7に向って右手側から左手側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図7の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0106】
シャワー吐水装置WAeは、主に本体10eによって構成されている。本体10eは、給水部12eと、絞り部14eと、空気混入室16eと、吐出孔18eと、開口20eとを備えている。給水部12eは、水を絞り部14eに供給するための部分であって、導入口121eと端部122eとを有している。給水部12eは、図中y軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12eは、一端に導入口121eが形成され、他端に端部122eが形成されている。導入口121eから給水部12e内に導入された水WF7は、端部122eに向って流れる。端部122eには、複数の、具体的には5つの絞り部14eがつながれている。従って、導入口121eから給水部12e内に導入された水WF7は、5つの絞り部14eに分かれて供給される。説明の便宜上、一つの絞り部14eに対応した部分を拡大して図8に示す。以下、適宜図7及び図8を参照しながら説明する。
【0107】
絞り部14eは、給水部12eの下流側に設けられ、給水部12eよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14eは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14eは、その一端側が給水部12eの端部122eに繋がれている。絞り部14eは、給水部12eの端部122eから図中y軸の正方向に向けて延びるように形成されている。給水部12eから絞り部14eに供給される水は、その流速が速められて空気混入室16e及び吐出孔18eに向けて噴射される。
【0108】
空気混入室16eは、絞り部14eの下流側であって、絞り部14eと吐出孔18eとの間に設けられ、絞り部14eおよび吐出孔18eよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16eは、第一壁部161eと、第二壁部162eと、第三壁部163eと、第四壁部164eとを有している。第一壁部161eと第三壁部163eとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162eと第四壁部164eとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162eは、第一壁部161eの一端側と第三壁部163eの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164eは、第一壁部161eの他端側と第三壁部163eの他端側を繋ぐように形成されている。第三壁部163eには、吐出孔18eと開口20eとの間に、y軸の方向に沿うように形成された壁面1631eが、第二壁部162e側を向くように設けられている。
【0109】
絞り部14eは、上述したようにその一端側が給水部12eに繋がれている。絞り部14eの他端側は、空気混入室16eの第一壁部161eに繋がれている。より具体的には、絞り部14eは、第一壁部161eの一端側、すなわち第二壁部162e側に繋がれている。給水部12eから供給され絞り部14eから噴射される水は、第三壁部163eに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14eが増速手段に相当し、絞り部14eの他端部が噴射孔に相当する。
【0110】
空気混入室16eの第三壁部163eには、吐出孔18eの一端側と開口20eの一端側とが繋がれている。吐出孔18eは、絞り部14eの下流側に設けられ、絞り部14eから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18eは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18eは、その一端側が空気混入室16eの第三壁部163eに繋がれている。より具体的には、吐出孔18eは、第三壁部163eの一端側、すなわち第二壁部162e側に繋がれている。吐出孔18eの他端側は、本体10eの外部に向けて開口されている。給水部12eから供給され絞り部14eから噴射される水は、その一部が主水流WF8として吐出孔18eから本体10eの外部へと吐出され、人体に向けて噴射される。
【0111】
開口20eは、空気混入室16e内に空気を導入する部分である。開口20eは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20eは、その一端側が空気混入室16eの第三壁部163eに繋がれている。より具体的には、開口20eは、第三壁部163eの他端側、すなわち第四壁部164e側に繋がれている。開口20eの他端側は、本体10eの外部に向けて開口されている。
【0112】
上述したように、絞り部14eから空気混入室16e内に噴射された水は、その一部が直接吐出孔18eから外部へと噴射される。従って、絞り部14eから空気混入室16e内に噴射された水は、その残部が空気混入室16eの第三壁部163eに当たって第四壁部164e側に方向が転換され、更に第四壁部164eに当たって第一壁部161e側に方向が転換される。そのため、空気混入室16e内は、絞り部14eから空気混入室16e内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。更に詳しく説明すると、第三壁部163eに当たって第四壁部164e側に方向が転換された水は、第三壁部163eに設けられた壁面1631eによって開口20eから離れるように方向が転換される。開口20eの近傍を水が流れる方向がこの壁面1631eにより転換されるため、空気混入室16e内の開口20eの近傍に、空気が残った空間が形成される。そのため、空気流路となる開口20eは水で塞がれにくくなっている。
【0113】
絞り部14eから空気混入室16e内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16eは開口20eの近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16e内が負圧になることで空気混入室16eには開口20eを通る空気流AF2が形成され、開口20eから空気が導入されることになる。従って、絞り部14eから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14eから噴射される水の一部は主水流WF8として吐出孔18eから直接外部に吐出されているので、絞り部14eの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流WF8に合流されて吐出孔18eから外部へと吐出される。
【0114】
上述した本実施形態に係るシャワー吐水装置WAeでは、吐出孔18eは、絞り部14eから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出するように構成されているので、吐出孔18eから吐出される水は絞り部14eから噴射された勢いを大きくは削がれずに外部に噴射される。従って、吐出孔18eを人体に指向させて配置すれば、人体にとって刺激感のある吐水を実現することができる。
【0115】
また、シャワー吐水装置WAeでは、空気混入室16eが絞り部14eと吐出孔18eとの間に設けられ、水によってその内部がほぼ満たされるように構成されており、空気混入室16eに空気を導入する開口20eも設けられているので、空気混入室16e内に満たされた水に確実に空気を混入させることができる。具体的には、絞り部14eから水が噴射されるとその周囲が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、絞り部14eに繋がる空気混入室16eは開口20の近傍を除いて水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16e内が負圧になることで空気混入室16eには開口20eから空気が導入されやすくなる。従って、気泡混入水の生成に必要な水と空気が常に供給され続け、エジェクタ効果が発現されやすい環境が形成されるので、供給される水量が少ない場合であっても多くの空気を含有する気泡混入水を確実に安定して生成することができる。このように生成される気泡混入水は、絞り部14eから噴射され吐出孔18eを直接通過する主水流WF8と合流されて吐出孔18eから吐出されるように構成されているので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0116】
また、シャワー吐水装置WAeでは、絞り部14eから噴射される水の一部がそのまま主水流WF8として吐出孔18eから吐出され、絞り部14eから噴射される水の残部が空気混入室16e内にほぼ満たされ気泡混入水となるように構成されているので、空気混入室16e内を満たすための水を別途供給する必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0117】
また、シャワー吐水装置WAeでは、絞り部14eから空気混入室16e内に噴射された水は、その残部が空気混入室16eの第三壁部163eに当たって第四壁部164e側に方向が転換され、更に第四壁部164eに当たって第一壁部161e側に方向が転換される。そのため、空気混入室16e内には、旋回水流WF9が発生する。このように構成することで、空気混入室16eの第三壁部163eの、特に吐出孔18eが形成されている近傍は、絞り部14eから噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段として機能している。これは、絞り部14eが繋がれている第一壁部161eと、吐出孔18eが繋がれている第三壁部163eとの距離を保つことで、絞り部14eから噴射された水が拡散し、第三壁部163eに当たることによって実現されるものである。
【0118】
このように、絞り部14eから噴射される水の残部の進行方向を変更し、空気混入室16e内に主水流WF8に帰還する水の流れとなる旋回水流WF9が発生するように構成しているので、空気混入室16e内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在することなく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、絞り部14eからそのまま吐出される主水流WF8に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0119】
特に本実施形態では、絞り部14eから噴射される水の残部が吐出孔18e周辺の内壁である第三壁部163eに当たってその進行方向が変更されるように構成されているので、絞り部14eから噴射される水の残部の進行方向を変更する部材等を別途設ける必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0120】
また、シャワー吐水装置WAeでは、絞り部14eの中心軸と吐出孔18eの中心軸とが略同一直線上に位置するように、絞り部14e及び吐出孔18eが配置されている。従って、絞り部14eから噴射される水の少なくとも一部を、確実にその勢いを削がないように吐出することができる。
【0121】
また、シャワー吐水装置WAeでは、絞り部14eと開口20eとが空気混入室16の対角位置に位置するように形成されている。このように、空気混入室16e内に空気を導入するための開口20eが、絞り部14eから最も離れた位置において形成されているので、絞り部14eから噴射される水の直接的な影響を低減させ、空気混入室16e内への空気導入量を安定させることができる。また、空気混入室16e内に旋回水流WF9が発生する場合には、その旋回水流WF9を安定させる効果も発揮する。更に、開口20eから空気混入室内に導入される空気の方向が、絞り部14eから噴射される水の方向と逆方向となるように構成されているので、絞り部14eから噴射される水に伴って気泡混入水となる前に空気が排出されてしまうことを抑制することができる。従って、空気混入室16e内で生成される気泡混入水への空気混入量を安定させることができ、気泡混入水による量感のある吐水を安定的にムラなく実現することができる。
【0122】
更に本実施形態では、吐出孔18eの空気混入室16e側に、絞り突起181eを設けている。このように、吐出孔18eの入口付近に絞り突起181eを設けることで、吐出孔18eの内部が負圧になる。そのため、吐出孔18eを気泡混入水が通過する際に、負圧によって気泡混入水が吐出孔18eの内部で吐出孔18eの径方向に細かく揺動する。この揺動によって、吐出孔18eから噴射された水が、早く液滴状態になる。その結果、吐水が洗浄対象位置に衝突する際の荷重が大きくなり、連続流が衝突する場合に比べて刺激感が高まる。
【0123】
本発明の第七実施形態に係る吐水装置としてのシャワー吐水装置について図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の第七実施形態に係るシャワー吐水装置WAfの主要部を示す断面図である。図9を参照しながら説明するにあたっては、図9の紙面が延びる平面状にx軸及びy軸を互いに直交するように設定し、図9の紙面を貫くようにz軸を設定している。x軸は、図9に向って下側から上側に向って正方向となるように設定している。y軸は、図9に向って右手側から左手側に向って正方向となるように設定している。z軸は、図9の奥側から手前側に向って正方向となるように設定している。
【0124】
シャワー吐水装置WAfは、主に本体10fによって構成されている。本体10fは、給水部12fと、絞り部14fと、空気混入室16fと、吐水室17fと、吐出孔18fと、開口20fとを備えている。給水部12fは、水を絞り部14fに供給するための部分であって、導入口121fと端部122fとを有している。給水部12fは、図中y軸の正方向に延びるように形成されている。給水部12fは、一端に導入口121fが形成され、他端に端部122fが形成されている。導入口121fから給水部12f内に導入された水WF10は、端部122fに向って流れる。端部122fには、絞り部14fが繋がれている。従って、導入口121fから給水部12f内に導入された水WF10は、絞り部14fに供給される。
【0125】
絞り部14fは、給水部12fの下流側に設けられ、給水部12fよりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部14fは、断面が略円形の流路として構成されている。絞り部14fは、その一端側が給水部12fの端部122fに繋がれている。絞り部14fは、給水部12fの端部122fから図中y軸の正方向に向けて延びるように形成されている。給水部12fから絞り部14fに供給される水は、その流速が速められて空気混入室16f、吐水室17f及び吐出孔18fに向けて噴射される。本実施形態においては、この絞り部14fが増速手段に相当し、絞り部14fの他端部が噴射孔に相当する。
【0126】
空気混入室16fは、絞り部14fの下流側であって、絞り部14fと吐出孔18fとの間に設けられ、絞り部14fおよび吐出孔18fよりも広い断面積を有し、水によってその内部がほぼ満たされる部分である。空気混入室16fは、第一壁部161fと、第二壁部162fと、第三壁部163fと、第四壁部164fとを有している。第一壁部161fと第三壁部163fとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162fと第四壁部164fとは、互いに対向し離隔するように配置されている。第二壁部162fは、第一壁部161fの一端側と第三壁部163fの一端側を繋ぐように形成されている。第四壁部164fは、第一壁部161fの他端側と第三壁部163fの他端側を繋ぐように形成されている。
【0127】
絞り部14fは、上述したようにその一端側が給水部12fに繋がれている。絞り部14fの他端側は、空気混入室16fの第一壁部161fに繋がれている。より具体的には、絞り部14fは、第一壁部161fの他端側、すなわち第四壁部164f側に繋がれている。給水部12fから供給され絞り部14fから噴射される水は、第三壁部163fに向けて噴射される。
【0128】
空気混入室16fの第三壁部163fには、吐水室17fの一端側が繋がれている。吐水室17fの他端側は吐水孔18fに繋がっている。吐出孔18fは、絞り部14fの下流側に設けられ、絞り部14fから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する部分である。吐出孔18fは、断面が略円形の流路として構成されている。吐出孔18fは、その一端側が吐水室17fに繋がれている。吐水室17fは、第三壁部163fの他端側、すなわち第四壁部164f側に繋がれている。吐出孔18fの他端側は、本体10fの外部に向けて開口されている。給水部12fから供給され絞り部14fから噴射される水は、その一部が主水流WF11として吐出孔18fから本体10fの外部へと吐出され、人体に向けて噴射される。
【0129】
開口20fは、空気混入室16f内に空気を導入する部分である。開口20fは、断面が略円形の空気流路として構成されている。開口20fは、その一端側が空気混入室16fの第二壁部162fに繋がれている。より具体的には、開口20fは、第二壁部162fの中央近傍に繋がれている。開口20fの他端側は、本体10fの外部に向けて開口されている。
【0130】
上述したように、絞り部14fから空気混入室16f内に噴射された水は、その一部が直接吐出孔18fから外部へと噴射される。従って、絞り部14fから空気混入室16f内に噴射された水は、その残部が空気混入室16fの第三壁部163fに当たって第二壁部162f側に方向が転換され、更に第二壁部162fに当たって第一壁部161f側に方向が転換される。そのため、空気混入室16f内は、絞り部14fから空気混入室16f内に噴射された水の残部によってほぼ満たされることになる。
【0131】
本実施形態の場合は特に、第三壁部163fに、第一壁部161fに向かい且つ吐水室17fへの流路を狭めるように傾斜する延出壁169fを設けているので、絞り部14fから空気混入室16f内に噴射された水の残部を確実に第二壁部162f側に方向転換させることができる。
【0132】
絞り部14fから空気混入室16f内に水が噴射されることで、その近傍が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、空気混入室16fは水で満たされている一方で、空気混入室16f内が負圧になることで空気混入室16fには開口20fを通る空気流AF2が形成され、開口20fから空気が導入されることになる。従って、絞り部14fから水が噴射される近傍においては継続的に気泡混入水が生成される。絞り部14fから噴射される水の一部は主水流WF11として吐出孔18fから直接外部に吐出されているので、絞り部14fの近傍において生成される気泡混入水はこの直接外部に向う主水流WF11に合流されて吐出孔18fから外部へと吐出される。
【0133】
上述した本実施形態に係るシャワー吐水装置WAfでは、吐出孔18fは、絞り部14fから噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出するように構成されているので、吐出孔18fから吐出される水は絞り部14fから噴射された勢いを大きくは削がれずに外部に噴射される。従って、吐出孔18fを人体に指向させて配置すれば、人体にとって刺激感のある吐水を実現することができる。
【0134】
また、シャワー吐水装置WAfでは、空気混入室16fが絞り部14fと吐出孔18fとの間に設けられ、水によってその内部がほぼ満たされるように構成されており、空気混入室16fに空気を導入する開口20fも設けられているので、空気混入室16f内にほぼ満たされた水に確実に空気を混入させることができる。具体的には、絞り部14fから水が噴射されるとその周囲が負圧になり、いわゆるエジェクタ効果によって空気が水の中に吸い込まれ気泡混入水が生成される。このエジェクタ効果による気泡混入水の生成に際して、絞り部14fに繋がる空気混入室16fは水でほぼ満たされている一方で、空気混入室16f内が負圧になることで空気混入室16fには開口20fから空気が導入されやすくなる。従って、気泡混入水の生成に必要な水と空気が常に供給され続け、エジェクタ効果が発現されやすい環境が形成されるので、供給される水量が少ない場合であっても多くの空気を含有する気泡混入水を確実に生成することができる。このように生成される気泡混入水は、絞り部14fから噴射され吐出孔18fを直接通過する主水流WF11と合流されて吐出孔18fから吐出されるように構成されているので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。従って、低水量であっても量感及び刺激感を両立させることができ、高い洗浄感を得ることができる。
【0135】
また、シャワー吐水装置WAfでは、絞り部14fから噴射される水の一部がそのまま主水流WF11として吐出孔18fから吐出され、絞り部14fから噴射される水の残部が空気混入室16f内に満たされ気泡混入水となるように構成されているので、空気混入室16f内を満たすための水を別途供給する必要がなく、簡易な構成で気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0136】
また、シャワー吐水装置WAfでは、絞り部14fから空気混入室16f内に噴射された水は、その残部が空気混入室16fの第三壁部163fに当たって第二壁部162f側に方向が転換され、更に第二壁部162fに当たって第一壁部161f側に方向が転換される。そのため、空気混入室16f内には、旋回水流WF12が発生する。特に本実施形態では、主水流WF11と第二壁部162fとの間に旋回壁168fを形成し、旋回水流WF12がこの旋回壁168fの周りを旋回するように構成し、旋回水流WF12の生成を促している。
【0137】
このように、絞り部14fから噴射される水の残部の進行方向を変更し、空気混入室16f内に主水流WF11に帰還する水の流れとなる旋回水流WF12が発生するように構成しているので、空気混入室16f内の一部分に気泡混入水が滞留することがなく、気泡混入水内の気泡が結合して成長してしまうことを回避することができる。従って、気泡が偏在することなく、同程度の大きさの気泡が分散した状態の気泡混入水を、絞り部14fからそのまま吐出される主水流WF11に合流させて吐出することができるので、刺激感に加えて気泡混入水による量感のある吐水を実現することができる。
【0138】
また、シャワー吐水装置WAfでは、絞り部14fの中心軸と吐出孔18fの中心軸とが略同一直線上に位置するように、絞り部14f及び吐出孔18fが配置されている。従って、絞り部14fから噴射される水の少なくとも一部を、確実にその勢いを削がないように吐出することができる。
【0139】
更に本実施形態では、吐出孔18fの吐水室17f及び空気混入室16f側に、絞り突起181fを設けている。このように、吐出孔18fの入口付近に絞り突起181fを設けることで、吐出孔18fの内部が負圧になる。そのため、吐出孔18fを気泡混入水が通過する際に、負圧によって気泡混入水が吐出孔18fの内部で吐出孔18fの径方向に細かく揺動する。この揺動によって、吐出孔18fから噴射された水が、早く液滴状態になる。その結果、吐水が洗浄対象位置に衝突する際の荷重が大きくなり、連続流が衝突する場合に比べて刺激感が高まる。
【0140】
なお、第七実施形態における旋回壁168fを、第一実施形態〜第五実施形態にも組み込むことができる。一例として、第一実施形態の局部洗浄装置WAに、旋回壁168fに相当する旋回壁168gを組み込んだ変形例としての局部洗浄装置WAgを図10に示す。図10は、局部洗浄装置WAgの主要部を示す断面図である。
【0141】
図10に示すように、本体10の空気混入室16の略中央に、旋回壁168gが設けられている。旋回壁168gは、その断面が略円形の円柱状壁として形成されている。旋回水流WF2がこの旋回壁168gの周りを旋回するように構成し、旋回水流WF2の生成を促している。
【0142】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0143】
10:本体
12:給水部
14:絞り部
16:空気混入室
18:吐出孔
20:開口
30:カバー
121:導入口
122:端部
161:第一壁部
162:第二壁部
163:第三壁部
164:第四壁部
165:第五壁部
166:第六壁部
301:吐出孔
AF1:空気流
WA:局部洗浄装置
WF1:主水流
WF2:旋回水流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を混入させた気泡混入水を吐出する吐水装置であって、
水を供給するための給水部と、
前記給水部から供給される水を増速する増速手段と、
前記給水部の下流側に設けられ、前記増速手段によって増速された水を下流側に噴射するための噴射孔と、
前記噴射孔の下流側に設けられ、前記噴射孔から噴射される水の少なくとも一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて吐出する吐出孔と、
前記噴射孔と前記吐出孔との間に設けられる空気混入室と、を備え、
前記空気混入室に空気を導入する開口が設けられ、
前記空気混入室は、この開口から導入される空気を水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記噴射孔及び前記吐出孔は、前記噴射孔から噴射される水の一部をその噴射方向を保ったまま直接通過させて前記吐出孔から吐出するように構成されており、
前記空気混入室は、前記噴射孔から噴射される水の残部によってその内部に水を導入するものであって、前記開口から導入される空気を前記噴射孔を通って噴射される水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記空気混入室には、前記噴射孔から噴射される水の残部によってその内部に旋回流が発生するように、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向を変更する方向変更手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記方向変更手段は、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向が前記吐出孔周辺の内壁に当たって変更されるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記方向変更手段は、前記噴射孔から噴射される水の残部の進行方向が変更されるように、前記吐出孔周辺の内壁から前記噴射孔に向かって延びる延出壁で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の吐水装置。
【請求項6】
前記噴射孔とは別に前記空気混入室内に水を供給する給水口が設けられ、
前記空気混入室は、前記開口から導入される空気をその内部の水に混入させて気泡混入水と成し、この気泡混入水と前記噴射孔から噴射され前記吐出孔を直接通過する水とを合流させて前記吐出孔から吐出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項7】
前記噴射孔の中心軸と前記吐出孔の中心軸とが略同一直線上に位置するように、前記噴射孔及び前記吐出孔が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の吐水装置。
【請求項8】
前記開口は、前記噴射孔から最も離れた位置において前記空気混入室内に空気を導入するように配置され、
前記開口から前記空気混入室内に導入される空気の方向は、前記噴射孔から噴射される水の方向と逆方向となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吐水装置。
【請求項9】
前記空気混入室は、その断面形状が前記噴射孔から噴射される水の方向が長軸となる扁平形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吐水装置。
【請求項10】
前記吐出孔は、前記空気混入室側に絞り突起を設けていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−144581(P2011−144581A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7325(P2010−7325)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】