説明

含フッ素オキセタン化合物の製造方法

【課題】含フッ素オキセタン化合物を効率的かつ高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体を、塩基の存在下、分子内環化反応および含フッ素アルコールとエーテル化反応させて含フッ素オキセタン化合物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素オキセタン化合物の製造方法に関する。本発明の製造によって得られる含フッ素オキセタン化合物は、含フッ素モノマー、低屈折率樹脂組成物等の原料あるいはカチオン硬化性成分やラジカル硬化性成分として極めて有用である。
【背景技術】
【0002】
3−アルコキシメチルオキセタン化合物を製造する方法として、3−ハロメチルオキセタン化合物をフェノール類またはアルコール類と反応させる方法が知られている。
例えば、エチレングリコール類を溶媒に使用して、3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物と二価フェノール類のアルカリ金属塩とを反応させてビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法(例えば特許文献1参照)、アルカリ水溶液または水懸濁液中、相間移動触媒の存在下、3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物を3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物の加水分解によって生成する3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン化合物と反応させてビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法(例えば特許文献2参照)、3−ヒドロキシメチルオキセタン化合物と有機スルホン酸ハライドを、有機塩基の存在下、反応中に生成する有機塩基のハロゲン化水素酸塩が溶解する状態で反応させ、次いで、生成した3−ハロメチルオキセタン化合物とアルコール類を固体又は非水溶液のアルカリの添加下で反応させて3−アルコキシメチルオキセタン化合物を合成する方法(例えば特許文献3参照)、アルカリ存在下、フェノール類またはアルコール類と3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物を反応させる方法において、反応系外に水を除去しながら反応させてオキセタンエーテル化合物を合成する方法(例えば特許文献4参照)、アルカリ存在下、レゾルシンと3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物を反応させる方法において、アルカリを連続的または非連続的に供給し、かつ反応系内の水を反応系外へ除去しながら反応させてオキセタンエーテル化合物を合成する方法(例えば特許文献5参照)、アルカリおよびポリアルキルエーテル化合物の存在下、3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物とアルコール類を反応させてオキセタンエーテル化合物を合成する方法(例えば特許文献6参照)などが知られている。
【0003】
また、3−ハロメチルオキセタン化合物を含フッ素アルコール類と反応させて3−含フッ素アルコキシメチルオキセタン化合物を製造する方法としては、例えば、アルカリ存在下、α,ω−(ジメチロール)パーフルオロアルカンと3−アルキル−3−クロロメチルオキセタン化合物または3−クロロメチルオキセタン化合物とを反応させてオキセタン環を有するα,ω−(ジメチロール)パーフルオロアルカン誘導体を製造する方法(例えば特許文献7参照)、塩基および相間移動触媒の存在下、3−アルキル−3−ハロメチルオキセタン化合物を含フッ素アルコール類と反応させる方法(例えば特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)などが知られている。
これら3−ハロメチルオキセタン化合物をアルコール類若しくは含フッ素アルコール類とアルカリ条件下で反応させて3−アルコキシメチルオキセタン化合物若しくは3−含フッ素アルコキシメチルオキセタン化合物を製造する方法においては、収率は良好である。
【0004】
しかしながら、原料に使用する3−ハロメチルオキセタン化合物の製造に課題がある。3−ハロメチルオキセタン化合物の製造方法としては、2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノールまたはそのカルボン酸エステルをアルカリ水溶液または水懸濁液中で反応させる方法(例えば特許文献10参照)、アルカリ水溶液と相間移動触媒を用いる方法(例えば特許文献8、特許文献11、特許文献12参照)などが知られている。特許文献8の記載によると、3−ハロメチルオキセタンを製造する方法において、2−アルキル−3−ハロ−2−ハロメチルプロピルアセテートを四塩化炭素あるいは塩化n−ブチル溶媒中、アルカリ水溶液および相間移動触媒の存在下で処理することで、目的とする3−アルキル−3−ハロメチルオキセタンを収率良く合成可能である。しかしながら、四塩化炭素あるいは塩化n−ブチルを使用しない場合、副反応が促進されて収率が著しく低下する。副反応を抑制するためには、四塩化炭素を溶媒に使用し、相間移動触媒の存在下で反応させることが必須であり、この方法は溶媒に四塩化炭素を使用しているため工業的な製法とは言えない。2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノールまたはそのカルボン酸エステルを原料に用いて含フッ素オキセタン化合物を製造する過程において、四塩化炭素を溶媒として使用しなくても高収率で目的化合物を合成可能な環境調和型製法の開発が望まれている。
【0005】
また、本発明には直接関係しないが、3−ハロメチルオキセタン化合物のその他の製造方法として、有機塩基の存在下、3−ヒドロキシメチルオキセタン化合物に有機スルホン酸ハライドを接触させ、副生する有機塩基のハロゲン化水素酸塩を3−ハロメチルオキセタン化合物のハロゲン源として、3−ハロメチルオキセタン化合物を合成する方法(例えば、特許文献13参照)、トリメチロールメタン化合物をハロゲン化チオニルと反応させて、環状亜硫酸エステル化合物を生成させ、次いで、この環状亜硫酸エステル化合物を有機オニウム塩の存在下で脱二酸化硫黄反応させて3−ハロメチルオキセタン化合物を合成する方法(例えば特許文献14参照)などが知られているが、これらの方法では、有機溶剤の使用および反応操作が煩雑などの問題が挙げられ、より経済的かつ簡便な製法開発が望まれている。
【0006】
また、本発明には直接関係しないが、含フッ素オキセタン化合物のその他の製造方法としては、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホネートと含フッ素アルコール類を塩基性条件下で反応させる方法(例えば特許文献8参照)、また、3−ヒドロキシメチルオキセタンと含フッ素オレフィンを塩基性条件下で反応させる方法(例えば特許文献15、特許文献16参照)なども知られているが、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホネートと含フッ素アルコール類を塩基性条件下で反応させる方法では、収率が低く、高収率で含フッ素オキセタン類を合成する実用的製法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許第1021858号公報
【特許文献2】特開2000−86646公報
【特許文献3】特開2003−12661公報
【特許文献4】特開2002−80471公報
【特許文献5】特開2002−193960公報
【特許文献6】特開2003−267961公報
【特許文献7】特許第3959976号公報
【特許文献8】特許第4112611号公報
【特許文献9】特開2003−335765公報
【特許文献10】特開平10−204071号公報
【特許文献11】特開平10−212282号公報
【特許文献12】特開2001−39961公報
【特許文献13】特開2001−226364公報
【特許文献14】特開2003−267962公報
【特許文献15】特許第4214591号公報
【特許文献16】特開2001−278875公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は従来技術では満足できなかった含フッ素オキセタン化合物の製造方法を提供することにある。即ち、効率的に高収率で含フッ素オキセタン化合物を製造することができる環境調和型製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体を塩基の存在下、あるいは、塩基および相間移動触媒の存在下で、含フッ素アルコール類と反応させることにより、従来複数のステップ数で反応する必要があった含フッ素オキセタン化合物の製造を1ステップに短縮可能であり、かつ、環境調和に配慮して四塩化炭素などの有機溶媒を使用せずに高収率で含フッ素オキセタン化合物を製造可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基又は、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数2〜7のアシル基を表し、XおよびXは各々独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれかを表す。]
で示される2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体を、塩基の存在下、あるいは、塩基および相間移動触媒の存在下で、分子内環化反応および下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、Yはフッ素原子で置換された炭素数1〜18のアルキル基であり、エーテル結合を有していてもよい。]
で示される含フッ素アルコールとエーテル化反応させて下記一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基又は、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Yはフッ素原子で置換された炭素数1〜18のアルキル基であり、エーテル結合を有していてもよい。]
で示される含フッ素オキセタン化合物を得ることを特徴とする含フッ素オキセタン化合物の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、四塩化炭素などの有機溶媒および相間移動触媒を使用しなくても、上記一般式(3)で示される含フッ素オキセタン化合物を効率的に高収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、一般式(1)中、Rである「炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基」としては、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0018】
また、一般式(1)中、Rである「炭素数2〜7のアシル基」としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、ペンタノイル基、2−メチルブタノイル基、3−メチルブタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基などが挙げられ、好ましくはアセチル基である。
【0019】
本発明において上記一般式(1)で示される2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体としては、特に限定するものではないが、3−クロロ−2−(クロロメチル)プロパン−1−オール、3−ブロモ−2−(ブロモメチル)プロパン−1−オール、3−ヨード−2−(ヨードメチル)プロパン−1−オール、3−クロロ−2−(クロロメチル)−2−メチルプロパン−1−オール、3−ブロモ−2−(ブロモメチル)−2−メチルプロパン−1−オール、3−ブロモ−2−(クロロメチル)−2−メチルプロパン−1−オール、2,2−ビス(クロロメチル)ブタン−1−オール、2,2−ビス(ブロモメチル)ブタン−1−オール、2,2−ビス(ヨードメチル)ブタン−1−オール、3−クロロ−2−(クロロメチル)プロピルアセテート、3−ブロモ−2−(ブロモメチル)プロピルアセテート、3−ヨード−2−(ヨードメチル)プロピルアセテート、3−クロロ−2−(クロロメチル)−2−メチルプロピルアセテート、3−ブロモ−2−(ブロモメチル)−2−メチルプロピルアセテート、2,2−ビス(クロロメチル)ブチルアセテート、2,2−ビス(ブロモメチル)ブチルアセテートなどが挙げられる。
【0020】
本発明において、一般式(2)中、Yである「フッ素原子で置換された炭素数1〜18のアルキル基であり、エーテル結合を有してもよい」としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチル基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシル基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロヘプチル基、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロオクチル基、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロノニル基、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシル基、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロウンデシル基、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、6,6,7,7,7−ペンタフルオロヘプチル基、6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロオクチル基、6,6,7,7,8,8,9,9,9−ノナフルオロノニル基、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ウンデカフルオロデシル基、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−トリデカフルオロウンデシル基、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ペンタデカフルオロドデシル基、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘプタデカフルオロトリデシル基、2−(ペンタフルオロエトキシ)−2,2−ジフルオロエチル基、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロ−3,6−ジオキサオクチル基、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデシル基、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,13,13,14,14,14−ノナデカフルオロ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル基、2−ヘプタフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,4,4,5,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサノニル基、2,4,4,5,7,7,8,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−2,5,8−トリス(トリフルオロメチル)−3,6,9−トリオキサドデシル基などが挙げられる。
【0021】
本発明において上記一般式(2)で示される含フッ素アルコールとしては、特に限定するものでないが、例えば2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−オール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンタン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキサン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプタン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクタン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノナン−1−オール、3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノナン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール、4,4,4−トリフルオロブタン−1−オール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オール、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキサン−1−オール、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタン−1−オール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクタン−1−オール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノナン−1−オール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデカン−1−オール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン−1−オール、5,5,5−トリフルオロペンタン−1−オール、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキサン−1−オール、5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロヘプタン−1−オール、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロオクタン−1−オール、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロノナン−1−オール、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデカン−1−オール、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロウンデカン−1−オール、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデカン−1−オール、6,6,6−トリフルオロヘキサン−1−オール、6,6,7,7,7−ペンタフルオロヘプタン−1−オール、6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロオクタン−1−オール、6,6,7,7,8,8,9,9,9−ノナフルオロノナン−1−オール、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ウンデカフルオロデカン−1−オール、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−トリデカフルオロウンデカン−1−オール、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ペンタデカフルオロドデカン−1−オール、6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘプタデカフルオロトリデカン−1−オール、2−(ペンタフルオロエトキシ)−2,2−ジフルオロエタノール、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1−オール、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1−オール、2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,13,13,14,14,14−ノナデカフルオロ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−1−オール、2−ヘプタフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール、2,4,4,5,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサノナン−1−オール、2,4,4,5,7,7,8,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−2,5,8−トリス(トリフルオロメチル)−3,6,9−トリオキサドデカン−1−オールなどが挙げられる。
【0022】
含フッ素アルコールの使用量としては、特に制限するものではないが、通常、2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体に対して0.5〜10当量であるが、好ましくは1〜3当量である。ただし、含フッ素アルコールを反応溶媒として使用する場合はこの限りではない。
【0023】
本発明において塩基としては、特に限定するものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸水素塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
塩基の使用量としては、特に制限するものではないが、通常、2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体に対して0.5〜10当量であるが、好ましくは2〜5当量である。
【0024】
本発明においては、相間移動触媒を使用しなくても含フッ素オキセタン化合物を効率的に収率良く製造することができるが、相間移動触媒を添加すると、さらに反応速度が向上し、収率も向上する。
本発明において、使用する相間移動触媒としては、特に限定するものではないが、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、クラウンエーテル等が挙げられるが、反応性と経済的な面から安価な4級アンモニウム塩が好ましく、特に容易かつ安価に入手可能なテトラブチルアンモニウムブロマイドが好ましい。
【0025】
4級アンモニウム塩としては、特に限定するものではないが、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイドなどが代表例として挙げられる。
【0026】
4級ホスホニウム塩としては、特に限定するものではないが、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドなどが代表例として挙げられる。
【0027】
クラウンエーテルとしては、特に制限するものではないが、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、12−クラウン−4、13−クラウン−4、15−クラウン−5などが代表例として挙げられる。
【0028】
相間移動触媒の使用量は、反応に用いる2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体に対して、通常、0.01〜100モル%であるが、経済的な面から好ましくは1〜25モル%である。
本発明において、反応に相間移動触媒を用いる場合には、通常一種のみを使用するが、複数の相間移動触媒を混合して使用しても良い。
【0029】
本発明において反応溶媒は水のみで良いが、有機溶媒を混合して使用することもできる。
使用可能な有機溶媒としては、特に限定するものではないが、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの直鎖状脂肪族炭化水素、2−メチルブタン、2−メチルペンタンなどの分岐状脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルムなどの脂肪族ハロゲン化合物、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化合物、含フッ素アルコール類などが代表例として挙げられ、これら有機溶媒を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
これらの反応溶媒の使用量は、通常、反応に用いられる2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体に対して重量比で0.1〜20倍量である。
【0030】
本発明において反応温度としては、25〜150℃が好ましく、さらに好ましくは60〜100℃である。反応温度が25℃より低い場合には反応時間が長くなる傾向にあり、一方、反応温度が150℃より高い場合には、副反応が発生しやすくなる。反応は常圧または加圧下で実施できる。
本発明において、反応時間としては、基質の種類、相間移動触媒の種類及び反応温度の違いにより異なるため、特に限定するものではないが、通常、1時間〜36時間の範囲内で反応は完結する。
【0031】
生成した含フッ素オキセタン化合物は、分液操作で有機層を分離し、得られた有機層を、水もしくは食塩水、または酸水溶液もしくはアルカリ水溶液等で洗浄した後、蒸留またはカラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離精製することができる。
【0032】
このようにして得られる一般式(3)で表される含フッ素オキセタン化合物の具体例としては、3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,3−トリフルオロプロポキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,3−トリフルオロプロポキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブトキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブトキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,4−トリフルオロブトキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,4−トリフルオロブトキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−(ペンタフルオロエトキシ)−2,2−ジフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2−(ペンタフルオロエトキシ)−2,2−ジフルオロエトキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロ−3,6−ジオキサオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロ−3,6−ジオキサオクチルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,11−ペンタデカフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,13,13,14,14,14−ノナデカフルオロ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,2,4,4,5,5,7,7,8,8,10,10,11,11,13,13,14,14,14−ノナデカフルオロ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−ヘプタフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロポキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2−ヘプタフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロポキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,4,4,5,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサノニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,4,4,5,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカフルオロ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサノニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(2,4,4,5,7,7,8,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−2,5,8−トリス(トリフルオロメチル)−3,6,9−トリオキサドデシルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(2,4,4,5,7,7,8,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−2,5,8−トリス(トリフルオロメチル)−3,6,9−トリオキサドデシルオキシメチル)−3−エチルオキセタンなどが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、生成物の分析は、いずれもガスクロマトグラフィー分析(以下、「GC分析」という)によって下記条件で行った。
装置:島津製作所製GC−17A
カラム:GLサイエンス社製、キャピラリーカラムNB−5(0.32mmI.D.×30m)
検出器:水素炎イオン化検出器
【0034】
実施例1 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた300mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール50.0g(0.203mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール40.7g(0.407mol)、水10.0gを仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム40.3g(0.610mol)を水45.3gに溶解させた溶液を6時間かけて添加した後、80℃で18時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水40mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水50mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は29.4g、収率は78%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを26.9g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は72%であった。
【0035】
実施例2 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた300mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール50.0g(0.203mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール40.7g(0.407mol)、水10.0g、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.28g(10.2mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム40.3g(0.610mol)を水45.3gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水40mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水50mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は32.3g、収率は86%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを28.6g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は76%であった。
【0036】
実施例3 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた300mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール50.0g(0.203mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール40.7g(0.407mol)、水10.0g、テトラブチルアンモニウムブロマイド6.55g(20.3mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム40.3g(0.610mol)を水45.3gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水40mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水50mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は33.5g、収率は89%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを28.5g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は76%であった。
【0037】
実施例4 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール25.0g(0.102mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール20.3g(0.203mol)、水5.00g、テトラエチルアンモニウムブロマイド2.14g(10.2mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム20.1g(0.305mol)を水22.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は15.8g、収率は85%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを14.1g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は75%であった。
【0038】
実施例5 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール25.0g(0.102mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール20.3g(0.203mol)、水5.00g、テトラブチルホスホニウムブロマイド1.72g(5.08mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム20.1g(0.305mol)を水22.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は15.1g、収率は80%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを13.1g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は70%であった。
【0039】
実施例6 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール25.0g(0.102mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール20.3g(0.203mol)、水5.00g、18−クラウン−61.34g(5.08mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム20.1g(0.305mol)を水22.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は15.6g、収率は83%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを13.4g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は72%であった。
【0040】
実施例7 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール25.0g(0.102mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール20.3g(0.203mol)、水5.00g、トルエン25.0g、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.28g(10.2mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム20.1g(0.305mol)を水22.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で8時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は15.9g、収率は85%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを13.2g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は71%であった。
【0041】
実施例8 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた300mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロピルアセテート50.0g(0.174mol)、2,2,2−トリフルオロエタノール34.7g(0.347mol)、水10.0g、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.80g(8.68mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム45.8g(0.694mol)を水51.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水50mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水50mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は26.8g、収率は84%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−メチルオキセタンを22.8g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロピルアセテートに対する収率は71%であった。
【0042】
実施例9 3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール25.0g(0.102mol)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタノール30.5g(0.152mol)、水5.00g、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.28g(10.2mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム20.1g(0.305mol)を水22.6gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は24.7g、収率は86%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−メチルオキセタンを21.3g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は74%であった。
【0043】
実施例10 3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノール20.0g(81.3mmol)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクタノール48.8g(0.122mol)、水4.00g、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.62g(8.13mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで、85%水酸化カリウム16.1g(0.244mol)を水18.1gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水16mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水20mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は32.3g、収率は82%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルオキシメチル)−3−メチルオキセタンを28.5g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)プロパノールに対する収率は72%であった。
【0044】
実施例11 3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−エチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)ブタノール25.0g(96.2mmol)、2,2,2−トリフルオロエタノール19.2g(0.192mol)、水5.00g、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.55g(4.81mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム19.0g(0.288mol)を水21.4gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は17.2g、収率は90%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)−3−エチルオキセタンを14.7g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)ブタノールに対する収率は77%であった。
【0045】
実施例12 3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−エチルオキセタンの製造
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備え付けた200mLフラスコに2,2−ビス(ブロモメチル)ブタノール25.0g(96.2mmol)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタノール28.9g(0.144mol)、水5.00g、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.10g(9.62mmol)を仕込み、オイルバスで内温が80℃になるまで昇温した。次いで85%水酸化カリウム19.0g(0.288mol)を水21.4gに溶解させた溶液を2時間かけて添加した後、80℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水20mLを添加し、よく撹拌した。分液して得られた有機層を水25mLで3回洗浄した。
有機層中の目的化合物の含有量をGC分析によって定量したところ、目的化合物の収量は25.0g、収率は87%であった。
有機層を減圧蒸留によって精製し、無色透明の油状物として3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシメチル)−3−エチルオキセタンを21.6g得た。
GC分析の結果、蒸留精製後に得られた目的化合物の純度は99%、2,2−ビス(ブロモメチル)ブタノールに対する収率は75%であった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により得られる含フッ素オキセタン化合物は、含フッ素モノマー、低屈折率樹脂組成物等の原料あるいはカチオン硬化性成分やラジカル硬化性成分として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

[式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基又は、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数2〜7のアシル基を表し、XおよびXは各々独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれかを表す。]
で示される2−置換−3−ハロ−2−ハロメチルプロパノール誘導体を、塩基の存在下、分子内環化反応および下記一般式(2)
【化2】

[式中、Yはフッ素原子で置換された炭素数1〜18のアルキル基であり、エーテル結合を有していてもよい。]
で示される含フッ素アルコールとエーテル化反応させて下記一般式(3)
【化3】

[式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基又は、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基を表し、Yはフッ素原子で置換された炭素数1〜18のアルキル基であり、エーテル結合を有していてもよい。]
で示される含フッ素オキセタン化合物を得る、含フッ素オキセタン化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)において、Rが水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Rが水素原子又はアセチル基を表し、XおよびXは各々独立して塩素原子又は臭素原子を表す、請求項1記載の含フッ素オキセタン化合物の製造方法。
【請求項3】
一般式(1)において、Rがメチル基又はエチル基を表し、Rが水素原子又はアセチル基を表し、XおよびXが臭素原子を表す、請求項1記載の含フッ素オキセタン化合物の製造方法。
【請求項4】
反応溶媒に有機溶媒を使用しない、請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素オキセタン化合物の製造方法。
【請求項5】
反応の際に、塩基に加えて相間移動触媒を併用する請求項1〜4いずれかに記載の含フッ素オキタセンの製造方法。
【請求項6】
相間移動触媒が4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩またはクラウンエーテルである、請求項5に記載の含フッ素オキセタン化合物の製造方法。
【請求項7】
相間移動触媒が4級アンモニウム塩である、請求項5または6に記載の含フッ素オキセタン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−225464(P2011−225464A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95117(P2010−95117)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(507119250)東ソー有機化学株式会社 (14)
【Fターム(参考)】