説明

含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法

【課題】本発明は、含フッ素アルコールより誘導されるスルホン酸エステル類をハロゲン化反応して、工業的に有利に含フッ素ハロゲン化アルキルを製造する方法を提供する。具体的には、より温和な反応条件において、低コストかつ簡便な処理で、収率良くハロゲン化アルキルを製造できる方法を提供する。
【解決手段】一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示し、Rは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させることを特徴とする含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールから直接ハロゲン化アルキルを製造する方法としては、(1)ハロゲン化水素酸による合成法、(2)ハロゲン化リン化合物による合成法、(3)ハロゲン化チオニルによる合成法等が知られている。
【0003】
しかし、例えば、式:RCHOH(式中、Rは含フッ素アルキル基を示す。)で示される含フッ素アルコールのハロゲン化反応では、含フッ素アルキル基の電子求引性のため直接ハロゲン化することは困難であり、スルホン酸エステル類を経由した合成法が一般的である。
【0004】
このスルホン酸エステルを経由したハロゲン化アルキルの製造方法では、従来、原料及び生成物の溶解性、反応性等の点から、溶媒としてジエチレングリコール、DMF、ポリエチレングリコール(PEG)等が用いられている(例えば、特許文献1〜2、非特許文献1〜6等)。図1に含フッ素アルコールから誘導されるスルホン酸エステルとしてトシラートを経由したハロゲン化アルキル類の製造方法の例をまとめる。
【特許文献1】特開平3−127747号公報
【特許文献2】国際公開第2005/118527号パンフレット
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society, 75, 5978-5979; 1953
【非特許文献2】Journal of Fluorine Chemistry, 28(3), 291-302; 1985
【非特許文献3】Journal of the American Chemical Society, 77, 4899-4902; 1955
【非特許文献4】Journal of the American Chemical Society, 77, 3149-3151; 1955
【非特許文献5】Vestsi Akademii navuk BSSR. Seryia khimichnykh navuk, (4), 117-118; 1984
【非特許文献6】Zhurnal Obshchei Khimii, 61, (8), 1838-1840; 1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スルホン酸エステルを経由した含フッ素ハロゲン化アルキル(特にフッ素臭化アルキル、フッ素ヨウ化アルキル)の製造方法を、工業的スケールで効率的に実施するためには、図1に示した各文献に記載の製造方法では以下の点で問題が存在していた。
【0006】
非特許文献1はトシラート体であるCF3CF2CF2CH2OSO2C6H4CH3(CF3CF2CF2CH2OTsと記載)とNaI、溶媒にジエチレングリコールを用いてヨウ素化したものであるが、反応温度が220℃と高温が必要である。
【0007】
非特許文献2はCF3CHFCF2CH2OTsとNaI、溶媒にジエチレングリコールを用いてヨウ素化したものであるが、非特許文献1と同様に反応温度が220℃と高温が必要である。
【0008】
特許文献1はCF3CF2CH2OTsを塩素化するものであり、実施例にはCF3CF2CH2OTsとLiCl、溶媒にジエチレングリコールを用い180℃、4時間反応させることでCF3CF2CH2Cl(収率93.0%)を得たと記載されており、比較的低い温度で収率よくハロゲン化アルキルを得ているが、LiClはKClやNaClと比較して高価でありKCl、NaClを用いる方が製造上好ましい。しかし、KCl、NaClを用いると記載されているが実施例はない。
【0009】
なお、非特許文献4に同じ原料であるCF3CF2CH2OTsとKCl、溶媒にジエチレングリコールを用いた反応について記載されているが、反応温度が240℃とLiClの場合と比較して高温となっている。
【0010】
非特許文献3はCF3CF2CH2OTsとKF、溶媒にジエチレングリコールを用いてフッ素化したものであるが、10〜100mmHgの減圧下210℃で8時間反応させ収率13.8%でCF3CF2CH2Fを得ており、反応温度が高温かつ収率が低い。
【0011】
非特許文献4は溶媒にジエチレングリコールを用いて様々なトシラートをハロゲン化しているが、全て反応温度が240℃と高温である。
【0012】
非特許文献5に関しても溶媒にジエチレングリコールを用いて様々なトシラートをハロゲン化しているが、全て反応温度が230〜240℃と高温である。
【0013】
非特許文献6は溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドまたはジエチレングリコールを用いて様々なトシラートをハロゲン化しているが、液体を全て蒸留し、留出液を水洗することで目的物を得ている。この方法では留出液中の溶媒を除くという工程が増える。また、得られるハロゲン化アルキルの沸点が130℃未満のものはN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用い、それ以上のものはジエチレングリコール溶媒を用いると記載されている。生成物が生成する反応温度についての明確な記載はないが、実験操作から考えると前者はN,N−ジメチルホルムアミドの沸点である153℃、後者はジエチレングリコールの沸点である245℃の温度を必要とし、後者は高温となっている。前者は低い温度で生成物を得ているが非特許文献5で同じ原料をジエチレングリコール溶媒で得ているものと比較して収率が低いものが多い。
【0014】
特許文献2はCF3(CF2)7CF2CH2OTsとKI、溶媒にポリエチレングリコール400を用いてヨウ素化を行っているものであるが、150℃、7時間でCF3(CF2)7CF2CH2I(収率49.0%)を得ている。低い反応温度でハロゲン化物が得られているが収率が低い。
【0015】
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、含フッ素アルコールより誘導されるスルホン酸エステル類をハロゲン化反応して、工業的に有利に含フッ素ハロゲン化アルキル類を製造する方法を提供することである。具体的には、より温和な反応条件において、低コストかつ簡便な処理で、収率良くハロゲン化アルキル類を製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。含フッ素アルコールより誘導されるトシラートを用いたハロゲン化反応において、反応媒体としてスルホランやジメチルスルホキシドを用いることで反応温度を大幅に下げることができ、しかも高収率で含フッ素ハロゲン化アルキル類が得られることを見出した。
【0017】
なお、スルホランは生成する塩が溶解せず固体が析出する場合があるが、ジエチレングリコール溶媒中にスルホランを触媒量用いることで、固体の析出なく温和な反応条件でハロゲン化反応が進行し、高収率でハロゲン化アルキル類が得られることを見出した。
【0018】
反応媒体として、ジメチルスルホキシドを90wt%以上用いても、反応温度低下の効果があり、固体の析出無く温和な条件で反応が進行した。また、スルホランと同様に、ジメチルスルホキシドを触媒量用いた場合も同様の効果があり、固体の析出なく温和な反応条件でハロゲン化反応が進行し、高収率でハロゲン化アルキル類が得られることを見出した。
【0019】
このように、反応媒体として、共存溶媒中にスルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも一つを含有する溶媒を用いることで、比較的低温において反応が進行し、工業的に非常に有利なハロゲン化アルキル類の製造方法となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、下記のハロゲン化アルキル類の製造方法を提供するものである。
【0021】
項1. 一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示し、Rは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させることを特徴とする含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法。
【0022】
項2. スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つとアルコール類とを含む溶媒を用いる項1に記載の製造方法。
【0023】
項3. スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを0.001重量%以上含む溶媒を用いる項2に記載の製造方法。
【0024】
項4. スルホン類を0.001〜40重量%含む溶媒を用いる項2又は3に記載の製造方法。
【0025】
項5. スルホキシド類がジメチルスルホキシドであり、スルホン類がスルホランである項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【0026】
項6. RがC1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1〜10のアルキル基、又は置換されていてもよいC6〜10のアリール基である項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【0027】
項7. Rが式:F(CF−(式中、nは1〜8の整数を示す。)で表される基、又は式:H(CF−(式中、mは1〜8の整数を示す。)で表される基である項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【0028】
項8. スルホキシド類としてジメチルスルホキシドを90重量%以上含む溶媒を用い、Rが式:F(CF−(式中、nは1〜3の整数を示す。)で表される基、又は式:H(CF−(式中、mは1〜3の整数を示す。)で表される基である項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【0029】
項9. 金属ハロゲン化物がハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムである項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【0030】
項10. 一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、
(1)一般式(I):
CHOH (I)
(式中、Rは前記に同じ。)
で表される含フッ素アルコールを、一般式(II):
R−SO−Y (II)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基、Yはハロゲン原子を示す。)
で表されるスルホン酸ハライドと反応させて、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、R及びRは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを製造する工程、及び
(2)該一般式(III)で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させる工程、
を含むことを特徴とする含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明の製造方法によれば、簡便な方法によって含フッ素ハロゲン化アルキル類を高収率で得ることができる。特に、反応媒体としてスルホラン若しくはジメチルスルホキシド、又はこれらとアルコール類との混合溶媒を用いる場合には、温和な反応条件において、高収率で含フッ素ハロゲン化アルキル類を製造することができる。そのため、工業的スケールの製造方法として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示し、Rは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させることを特徴とする。
【0033】
で示される置換されていてもよい含フッ素アルキル基の含フッ素アルキル基としては、アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換された基であり、例えば直鎖又は分岐のC1〜8(好ましくはC1〜4)の含フッ素アルキル基が挙げられる。一般式(III)及び(IV)のメチレン基(−CH−)に直接結合する炭素上の少なくとも1つの水素がフッ素原子及び/又はパーフルオロアルキル基(特にCF基)で置換されているものが好ましい。
【0034】
例えば、CHF−、CHF−、CF−、CFCF−、HCFCF−、CFCFCF−、(CFCH−、(CFCF−、CFCFCFCF−、(CFCFCF−、HCFCFCFCF−などが挙げられる。
【0035】
該含フッ素アルキル基のより好ましいものとしては、式:F(CF−(式中、nは1〜8の整数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。)で表される基、又は式:H(CF−(式中、mは1〜8の整数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。)で表される基を挙げることができる。これらは直鎖又は分岐のいずれでもよい。
【0036】
該含フッ素アルキル基の置換基としては、例えば、含フッ素アルコキシ基や、ポリ含フッ素アルキレンオキシ基が挙げられる。該含フッ素アルコキシ基やポリ含フッ素アルキレンオキシ基としては、例えば、一般式(V):
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、Zは水素原子又はフッ素原子、Wはフッ素原子又はCF、kは1〜10の整数を示す。)
で表される基が挙げられる。Zがフッ素原子、WがCFであり、kは1〜3が好適である。一般式(V)で示される置換基は該含フッ素アルキル基上に1又は2個有していてもよい。
【0039】
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。このうち、得られる一般式(IV)で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの有用性を考慮するとXが臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。
【0040】
Rで示される置換されていてもよいアルキル基のアルキル基としては、C1〜10(好ましくはC1〜4)のアルキル基が挙げられ、直鎖又は分岐のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が例示される。
【0041】
該アルキル基の置換基としては、例えばハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が挙げられる。この場合、Rとしてはハロゲン原子で置換されたC1〜10のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1〜4のパーフルオロアルキル基、特に好ましくは入手が容易なトリフルオロメチル基が例示される。
【0042】
Rで示される置換されていてもよいアリール基としては、C6〜10の単環又は二環のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、(オルト−、メタ−又はパラ−)トルイル基、キシリル基、ナフチル基が例示される。好ましくはオルト又はパラ−トルイル基である。なお、Rがパラ−トルイル基の場合、式:−SO−Rで示される基を−Tsとも表記する。
【0043】
本発明の方法では、反応溶媒としてスルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒を用いることが必要である。特に、スルホキシド類としては極性が高い点でジメチルスルホキシドが好ましく、スルホン類としては高沸点である点でスルホランが好ましい。更にスルホランは共存溶媒存在下で反応温度低下の効果が高いので好ましい。かかる溶媒を用いることにより、反応温度が大きく低下する。
【0044】
本発明の製造方法では、反応媒体であるスルホキシド類及び/又はスルホン類を含む溶媒の全使用量は特に限定的ではないが、使用する金属ハロゲン化物、スルホン酸エステル類が充分に溶解する溶媒量であることが望ましい。通常、原料とするスルホン酸エステル100重量部に対して、90重量部以上であり、100〜600重量部程度使用することが好ましい。
【0045】
本発明ではスルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒のみを用いて反応することができるが、必要に応じて他の溶媒を共存させてもよい。共存溶媒としては、金属ハロゲン化物や、本反応中に生成するスルホン酸塩類を溶解できる極性溶媒であればよく、また、本反応を大気圧下で行う場合には、共存溶媒の大気圧での沸点が反応温度以上、例えば、160℃以上(好ましくは180〜350℃程度)を有するものであれば特に限定はない。具体的には、アルコール類、エーテル類、エステル類等が好ましく選ばれ、中でも特に塩類の溶解性が高い点でアルコール類が好ましく選ばれる。アルコール類の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられ、コスト、入手の容易さ等からジエチレングリコールが好ましく選ばれる。
【0046】
反応温度の低下効果は、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つの含有量を少なくした場合でも発揮される。例えば、従来使用されているジエチレングリコールのみの溶媒を用いて含フッ素スルホン酸エステル(CFCFCHOTs)とNaBrを反応させてブロモ化する場合、通常230℃以上の高温条件が必要となる(例えば比較例1を参照)。これに対し、スルホラン類又はスルホン類をわずかに添加した混合溶媒を使用すると、驚くべきことに反応温度が170〜180℃程度に大きく低下する(例えば、実施例1〜5等)。つまり、反応温度の低下は50〜60℃程度となる。
【0047】
具体的には、スルホキシド類及び/又はスルホン類とアルコール類とを含む溶媒中の、スルホキシド類及び/又はスルホン類の含有量が、少なくとも0.001重量%以上、さらに0.01重量%以上あれば上記の反応温度の低下効果が発揮される。少なすぎると反応温度低下の効果が小さくなる傾向にある。
【0048】
ところでスルホン類(特にスルホラン)のみを溶媒として用いた場合には、反応中に生成する塩(例えば、NaOTs、KOTs等)がスルホン類に対して溶解性が低いため析出して不具合を生じる場合がある。そのため、スルホン類とアルコール類とを含む溶媒を用いた場合、該溶媒中のスルホン類の含有量を40重量%以下にして、反応系内で生成する塩を溶解させて析出を回避することが好ましい。さらに15重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。
【0049】
従って、スルホン類とアルコール類とを含む溶媒中のスルホン類の含有量は0.001〜40重量%、さらに0.01〜15重量%とすることが好ましい。特に、反応温度低下の効果を発揮して、塩の析出を抑制するためには、0.1〜1重量%とすることが好ましい。
【0050】
スルホキシド類であるジメチルスルホキシドを用いる場合には、その極性も高く生成する塩を溶解させることができるため、その含有量は下限値を0.001重量%とする以外は特に限定はない。そのため、ジメチルスルホキシドの含有量は80重量%以上、さらに90重量%以上とすることが好ましい。
【0051】
しかし、ジメチルスルホキシドの沸点は189℃であるため、その温度より低い温度で反応できる原料に適用範囲は限定される。つまり、ジメチルスルホキシドの沸点よりも低い温度で反応できる生成物、即ち、一般式(IV)で表される化合物において、Rで示される含フッ素アルキル基が、式:F(CF−(nは1〜3の整数)で表される基、又は式:H(CF−(mは1〜3の整数)で表される基であり、Rがパラ−トルイル基である原料は、好適に用いられる。さらにこの場合、生成物の沸点はジメチルスルホキシドの沸点より低くなるため、生成物を反応系から直接抜き出すことができる。
【0052】
この様に、スルホキシド類及び/又はスルホン類とアルコール類とを所定割合で含む溶媒を用いることによって、比較的低温で、反応中に生成する塩類の析出無く、高収率で目的とするハロゲン化アルキル類を得ることができる。
【0053】
金属ハロゲン化物としては、アルカリ金属ハロゲン化物、特にハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムが好ましく、具体的にはヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム等が挙げられる。
【0054】
金属ハロゲン化物の使用量は特に限定的ではないが、原料として用いるスルホン酸エステル1モルに対して1〜2モル程度、さらに1〜1.5モルとすることが好ましい。
【0055】
本発明の製造方法の具体的な実施態様については特に限定的ではないが、例えば、反応媒体中に一般式(III)で表されるスルホン酸エステル、金属ハロゲン化物を添加し攪拌して均一に分散させて加熱し、反応温度に達すると、原料に比して低沸点の一般式(IV)で表される含フッ素ハロゲン化アルキル(生成物)が留出してくるので、その状態で含フッ素ハロゲン化アルキルを抜き出す方法を例示できる。
【0056】
反応温度は、用いる原料により変化するが、ジエチレングリコールとスルホランまたはジメチルスルホキシドとの混合溶媒を反応媒体とすることで、160〜200℃程度という従来に比べて温和な条件で収率よくハロゲン化反応を進行させることができる。
【0057】
反応時の圧力は、通常大気圧下でよいが、加圧下或いは減圧下で反応を行ってもよい。例えば、-0.1〜10MPa(G)程度、好ましくは-0.1〜5MPa(G)程度であればよい。反応を加圧下で行う場合は、必要に応じオートクレーブ等の装置を用いてもよい。
【0058】
上記した方法によれば、原料とするスルホン酸エステルのハロゲン化反応によって、高収率で目的とするハロゲン化アルキルを得ることができる。
【0059】
なお、一般式(III)で表されるスルホン酸エステルは、一般式(I):
CHOH (I)
(式中、Rは前記に同じ。)
で表される含フッ素アルコールを、一般式(II):
R−SO−Y (II)
(式中、Rは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸ハライドと反応させて製造することができる。
【0060】
Yで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
【0061】
本反応は、公知の方法を用いて実施することができるが、典型的には、一般式(I)で表される含フッ素アルコールと一般式(II)で表されるスルホン酸ハライドを、溶媒中、塩基の存在下に反応させることができる。
【0062】
溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;THF、ジオキサン等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル等を用いることができる。塩基としては、例えばアミン類(トリエチルアミン等)、ピリジン等を用いることができ、その使用量は、一般式(I)で表される含フッ素アルコール1モルに対して、1〜2モル程度、好ましくは1.5〜1.8モル程度である。
【0063】
原料化合物の配合量は、一般式(I)で表される含フッ素アルコール1モルに対して、一般式(II)で表されるスルホン酸ハライドを1〜2モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度とすることができる。
【0064】
反応温度は通常10〜40℃程度、好ましくは20〜30℃程度でよい。
【0065】
得られた生成物は、通常行われる蒸留・精留で分離回収しても良いし、ろ過、分液で回収することもできる。
【0066】
本発明方法によって得られるハロゲン化アルキルは、公知の各種用途に用いることができる。例えば、CF3CF2CH2I, CF3CF2CH2Brは、亜鉛などを用いた脱ハロゲン化反応によりCF3CF=CH2を製造することができる。CF3CF=CH2は、温暖化係数及びオゾン層破壊係数がいずれも小さい化合物であり、例えば、代替フロンとして使用可能な混合冷媒の構成成分等として有用性が高いものである。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を示し、本発明の特徴を明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】
実施例1
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、100mlナスフラスコを備えた1L四口フラスコにNaBr 46.72g (0.454mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH391.63g (純度98.8%、0.298mol)、及びジエチレングリコール406.26g、スルホラン 45.93g(10wt%;ジエチレングリコール及びスルホランの合計重量に対するスルホランのwt%、以下同じ)を入れて攪拌した。
【0069】
マントルヒーターを用いて加熱し、180℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の100mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は56.41gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが96.7%含有されていることがわかった。収率は85.6%であった。
【0070】
実施例2
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、100mlナスフラスコを備えた500mL四口フラスコにNaBr 23.19g (0.225mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH345.69g (純度98.8%、0.148mol)、及びジエチレングリコール192.68g、スルホラン 2.03g (1wt%)を入れて攪拌した。
【0071】
マントルヒーターを用いて加熱し、175℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の100mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は28.48gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが96.9%含有されていることがわかった。収率は87.2%であった。
【0072】
実施例3
実施例2と同様の装置にNaBr 23.17g (0.225mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH346.59g (純度98.8%、0.151mol)、及びジエチレングリコール192.88g、スルホラン 0.181g (0.094wt%)を入れて攪拌した。
【0073】
マントルヒーターを用いて加熱し、170℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の100mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は29.09gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが98.16%含有されていることがわかった。収率は88.4%であった。
【0074】
実施例4
実施例2と同様の装置にNaBr 23.30g (0.226mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH346.26g (純度98.8%、0.150mol)、及びジエチレングリコール193.10g、スルホラン 0.0191g (0.0099wt%)を入れて攪拌した。
【0075】
マントルヒーターを用いて加熱し、178℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の100mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は29.58gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが97.1%含有されていることがわかった。収率は89.5%であった。
【0076】
実施例5
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、50mlナスフラスコを備えた200ml四口フラスコにNaBr 14.07g(0.137mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH328.39g (純度98.8%、0.092mol)、及びジエチレングリコール 115.6g、ジメチルスルホキシド 0.008g (0.007wt%)を入れて攪拌した。
【0077】
マントルヒーターを用いて加熱し、182℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の50mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は17.51gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが98.0%含有されていることがわかった。収率は86.9%であった。
【0078】
実施例6
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、200mlナスフラスコを備えた1L四口フラスコにNaI 67.74g (0.452mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH391.45g (純度98.8%、0.297mol)、及びジエチレングリコール385.20g、スルホラン 43.4g (10wt%)を入れて攪拌した。
【0079】
マントルヒーターを用いて加熱し、163℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2I)は、沸点が70.5℃であるため留出側の200mlナスフラスコを氷浴につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は69.37gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Iが97.6%含有されていることがわかった。収率は87.6%であった。
【0080】
実施例7
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、50mlナスフラスコを備えた200ml四口フラスコにKF 7.89g (0.136mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH329.15g (純度98.8%、0.0947mol)、及びジエチレングリコール115.55g、スルホラン 0.007g (0.006wt%)を入れて攪拌した。
【0081】
マントルヒーターを用いて加熱し、173℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2F)は、沸点が1〜2℃であるため留出側の50mlナスフラスコをドライアイスアセトンからなる寒剤につけておいた。200℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は7.60gであり、収率は24.1%であった。
【0082】
実施例8
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、50mlナスフラスコを備えた200ml四口フラスコにNaBr 9.66g (0.0939mol)とトシラートH(CF2CF2)2CH2OSO2C6H4CH3 24.43g (純度95.3%、0.0603mol)、及びジエチレングリコール77.40g、スルホラン 0.00872g (0.011wt%)を入れて攪拌した。
【0083】
マントルヒーターを用いて加熱し、196℃で生成物が留出し始めた。215℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は13.47gであり、これをNMRで分析したところ、H(CF2CF2)2CH2Brが95.1%含有されていることがわかった。単離収率は71.8%であった。反応後の残渣液を水洗することでH(CF2CF2)2CH2Brを回収した。収率は合計で83.7%であった。
【0084】
実施例9
実施例8と同様の装置にNaBr 9.47g (0.0920mol)とトシラートH(CF2CF2)2CH2OSO2C6H4CH3 24.01g (純度97.4%、0.0606mol)、及びジエチレングリコール80.26g、スルホラン 0.721g (0.89wt%)を入れて攪拌した。
【0085】
マントルヒーターを用いて加熱し、188℃で生成物が留出し始めた。200℃まで加熱し留出開始より約2時間反応させた。ここで回収した留分は10.05gであり、これをNMRで分析したところ、H(CF2CF2)2CH2Brが96.9%含有されていることがわかった。単離収率は54.3%であった。反応後の残渣液を水洗することでH(CF2CF2)2CH2Brを回収した。収率は合計で84.5%であった。
【0086】
実施例10
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、50mlナスフラスコを備えた200ml四口フラスコにNaBr 13.92g (0.135mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH329.32g (純度98.8%、0.0953mol)、及びジメチルスルホキシド116.13gを入れて攪拌した。
【0087】
マントルヒーターを用いて加熱し、145℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側の50mlナスフラスコを氷浴につけておいた。170℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は16.91gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが97.0%含有されていることがわかった。収率は80.4%であった。
【0088】
実施例11
実施例10と同様の装置にNaBr 9.26g (0.09mol)とトシラートH(CF2CF2)2CH2OSO2C6H4CH323.91g (0.0603mol)、及びジメチルスルホキシド77.75gを入れて攪拌した。
【0089】
マントルヒーターを用いて加熱し、183℃で留出し始めた。193℃まで加熱し留出開始より約1時間反応させた。溶媒であるジメチルスルホキシドも留出したため、留出液を水洗することでH(CF2CF2)2CH2Brを回収した。収率は90.4%であった。
【0090】
実施例12
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、ナスフラスコを備えた50L四口フラスコにNaBr 3.03kg (29.45mol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH35.12kg (純度98.8%、16.65mol)、及びスルホラン18.9kgを入れて攪拌した。
【0091】
マントルヒーターを用いて加熱し、180℃で生成物が留出し始め、同時に多量の固体が生成した。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側のナスフラスコを氷浴につけておいた。その状態で230℃まで加熱した。ここで回収した留分は3.13kgであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが90.4%含有されていることがわかった。収率は84.0%であった。
【0092】
比較例1
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、ナスフラスコを備えた100mL四口フラスコにNaBr 5.08g (49.37mmol)とトシラートCF3CF2CH2OSO2C6H4CH310.18g (純度92.6%、31.00mmol)、及びジエチレングリコール32.61gを入れて攪拌した。
【0093】
マントルヒーターを用いて加熱し、230℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2Br)は、沸点が46.5℃であるため留出側のナスフラスコを氷浴につけておいた。260℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は5.81gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Brが93.2%含有されていることがわかった。収率は81.6%であった。
【0094】
比較例2
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、100mlナスフラスコを備えた300mL四口フラスコに、NaI 22.62g (0.151mol)とトシラート CF3CF2CH2OSO2C6H4CH330.86g (純度98.8%、0.100mol)、及びジエチレングリコール 174.05gを入れて攪拌した。
【0095】
マントルヒーターを用いて加熱し、185℃で生成物が留出し始めた。主生成物(CF3CF2CH2I)は、沸点が70.5℃であるため留出側の100mlナスフラスコを氷浴につけておいた。230℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は24.91gであり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、CF3CF2CH2Iが83.3%含有されていることがわかった。収率は80.3%であった。残りの13.7%は1,4-ジオキサンが留出した。
【0096】
比較例3
攪拌器、連結管、冷却管、温度計、50mlナスフラスコを備えた200ml四口フラスコにNaBr 9.42g (0.0915mol)とトシラートH(CF2CF2)2CH2OSO2C6H4CH324.30g (純度95.3%、0.060mol)、及びジエチレングリコール78.41gを入れて攪拌した。
【0097】
マントルヒーターを用いて加熱し、205℃で生成物が留出し始めた。235℃まで加熱し留出開始より約3時間反応させた。ここで回収した留分は18.35gであり、これをNMRで分析したところ、H(CF2CF2)2CH2Brが89.2%含有されていることがわかった。収率は92.2%であった。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】先行技術文献に記載された含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示し、Rは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させることを特徴とする含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法。
【請求項2】
スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つとアルコール類とを含む溶媒を用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを0.001重量%以上含む溶媒を用いる請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
スルホン類を0.001〜40重量%含む溶媒を用いる請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
スルホキシド類がジメチルスルホキシドであり、スルホン類がスルホランである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
RがC1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1〜10のアルキル基、又は置換されていてもよいC6〜10のアリール基である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
が式:F(CF−(式中、nは1〜8の整数を示す。)で表される基、又は式:H(CF−(式中、mは1〜8の整数を示す。)で表される基である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
スルホキシド類としてジメチルスルホキシドを90重量%以上含む溶媒を用い、Rが式:F(CF−(式中、nは1〜3の整数を示す。)で表される基、又は式:H(CF−(式中、mは1〜3の整数を示す。)で表される基である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
金属ハロゲン化物がハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(IV):
CHX (IV)
(式中、Rは置換されていてもよい含フッ素アルキル基、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法であって、
(1)一般式(I):
CHOH (I)
(式中、Rは前記に同じ。)
で表される含フッ素アルコールを、一般式(II):
R−SO−Y (II)
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基、Yはハロゲン原子を示す。)
で表されるスルホン酸ハライドと反応させて、一般式(III):
CHOSO−R (III)
(式中、R及びRは前記に同じ。)
で表されるスルホン酸エステルを製造する工程、及び
(2)該一般式(III)で表されるスルホン酸エステルを、スルホキシド類及びスルホン類から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒中で、金属ハロゲン化物と反応させる工程、
を含むことを特徴とする含フッ素ハロゲン化アルキルの製造方法。

【図1】
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