説明

含有水分除去容器

【課題】簡易な構成で漬物などの被処理物に対して均一な押圧力を継続的に付加することにより、精度良く被処理物に含まれる水分を除去することができる含有水分除去容器を提供する。
【解決手段】含有水分除去容器に相当する漬物製造容器100は、透明なアクリル材からなる有底筒状の収容体110と、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧するための蓋体120とから構成されている。蓋体120は、収容体110内に収容された漬物の材料P等に接触して押圧する押圧部121と、押圧部121が挿入された収容体110における開口部111から突出する長さに形成され錘Wを支持するための有底円筒状に形成された支持部122と、押圧部121における支持部122の外側に形成され漬物の材料P等から押し出された水分Jを押圧部121上に導くための複数の貫通孔123と押圧部121の周縁部に起立した状態で壁部124とをそれぞれ備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物、例えば、食品に含まれる水分を取り除く含有水分除去容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品としての漬物を美味しく製造するためには、漬け込みに際して漬物の材料(主として野菜)を空気に極力触れさせない状態で均一な力で継続して押圧してすることが必要とされている。したがって、古くから、漬物の製造においては、有底円筒状の容器内に投入した漬物の材料に押え板を介して重石を載せることにより、空気との接触面積を小さくするとともに均一な押圧力を継続的に付加するようにしている。
【0003】
ところで、近時においては、重石の取り扱いの不便さを解消するとともに少量の漬物の製造を可能とするために種々の漬物製造用容器が提案されている。例えば、下記特許文献1には、漬物の材料を収容する有底円筒状の容器を卓上可能な大きさに形成するとともに、同容器内に投入した漬物の材料を押え板を介してネジによる締付力およびコイルバネによる弾性力によって押圧して漬物を製造するようにした漬物製造用容器が開示されている。
【特許文献1】特開2001−8616号公報
【0004】
しかしながら、このような漬物製造用容器においては、漬物の材料への押圧がネジによる締付力およびコイルバネの弾性力により行われているため、漬物製造用容器の構成が複雑になるとともに漬物の材料への押圧力が時間の経過とともに変化することがある。すなわち、容器内に投入された漬物の材料は漬け込む時間の経過とともに体積が減少する。このため、漬け込み当初において最適な押圧力に調整されている場合であっても漬け込み時間の経過とともに漬物の材料の体積が減少してネジによる締付力が減少する。また、漬物の材料の漬け込みは水分の多い雰囲気中において長時間に亘って大きな力を必要とするため、コイルバネが早期に劣化して弾性力が低下する。これらにより、漬物の材料に対して均一な押圧力を継続的に付加することができず、結果として漬物の品質が低下するとともに安定した品質の漬物を製造することができないという問題があった。
【発明の開示】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、簡易な構成で漬物などの被処理物に対して均一な押圧力を継続的に付加することにより、精度良く被処理物に含まれる水分を除去することができる含有水分除去容器を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、含有水分除去容器が、一方が開口し他方が閉塞した有底円筒状に形成され、被処理物を収容するための収容体と、収容体内に収容された被処理物を押圧するための重量物を支持する支持部、収容体内に収容された被処理物を押圧する押圧部、および同押圧部に形成された貫通孔を有する蓋体とを備え、蓋体における前記押圧部は、収容体の内径に対応した外径に形成されるとともに周縁部に収容体の内周面と平行で同内周面の全周に亘って密着した壁部を備えることにある。
【0007】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、含有水分除去容器は、有底筒状の収容体と、収容体内に収容された被処理物を押圧するための蓋体とから構成されている。そして、これらのうち蓋体は、収容体内に収容された被処理物を押圧するための重量物を支持する支持部と、収容体内に収容された被処理物を押圧する押圧部と、同押圧部に形成された貫通孔とを備えて構成されている。すなわち、収容体内に収容された被処理物は、蓋体の支持部によって支持された重量物の重さによって押圧される。この場合、押圧される被処理物に含まれる水分は、蓋体の押圧部に設けられた貫通孔を介して押圧部の対向面側に導かれる。これらの結果、簡易な構成で漬物などの被処理物に対して均一な押圧力を継続的に付加することができ、精度良く被処理物に含まれる水分を除去することができる。また、蓋体における押圧部の周縁部に収容体の内周面と平行な壁部が形成されている。これにより、収容体の内周面に対して直交した状態で蓋体を挿入することができ、均一な押圧力で被処理物を押圧することができる。また、収容体の内周面と蓋体の外周面との間の気密性が向上するため、被処理物への空気の接触を防止することができるとともに、被処理物から押し出されて押圧部の外側に導かれた水分の被処理物への戻りを防止することができる。この結果、より精度良く被処理物に含まれる水分を除去することができる。
【0008】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、押圧部に形成された貫通孔は、押圧部上に導かれた水分が再び同被処理物側に導かれない程度の大きさで形成されていることにある。
【0009】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、蓋体の押圧部に形成された貫通孔が小径に形成されているため、収容体内から引き抜かれた押圧部の上面上に残留した水分が貫通孔を介して再び押圧部の下面(押圧部の内側面側)に戻ることが防止される。
【0010】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、蓋体は、支持部が押圧部の中央部に有底筒状に形成されているとともに、貫通孔が押圧部における支持部の外側に形成されていることにある。
【0011】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、蓋体の中央部に有底筒状の支持部が設けられているとともに、同支持部の外側に貫通孔が設けられている。このため、収容体内に収容された被処理物の中央部に同被処理物を押圧するための力が作用して被処理物の全体に均一な押圧力を付加することができる。また、被処理物から押し出された水分が蓋体における支持部の周囲に導かれるため、収容体を傾斜させるなどにより支持部の周囲に導かれた水分を蓋体から容易に排出することができる。
【0012】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、支持部は、押圧部が挿入された収容体における前記開口した部分から突出可能な長さで形成されていることにある。このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、支持部が、押圧部が挿入された収容体における開口部から突出する長さに形成されているため、収容体の天地を逆さにして配置することにより収容体内に収容された被処理物自身の重さによって被処理物が押圧される。すなわち、被処理物を押圧する重量物が被処理物自身であるため、支持部内に配置する重量物が不要となる。
【0013】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、蓋体は、貫通孔が複数形成されていることにある。このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、被処理物から押し出された水分を効率良く蓋体における押圧部の外側に導くことができる。
【0014】
また、請求項6に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、収容体および蓋体の少なくとも一方は、透明な素材で構成されていることにある。このように構成した請求項6に係る本発明の他の特徴によれば、収容体および蓋体の少なくとも一方が透明な素材で構成されている。このため、収容体内部の被処理物の状態が容易に確認することができる。
【0015】
また、請求項7に係る本発明の他の特徴は、前記含有水分除去容器において、収容体内に収容される被処理物は、野菜および魚介類の少なくとも一つを含むことにある。このように構成した請求項7に係る本発明の他の特徴によれば、含有水分除去装置の被処理物として野菜や魚介類としている。これにより、品質の高い漬物や各種発酵食品を安定して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(漬物製造容器100の構成)
以下、本発明に係る含有水分除去容器の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る含有水分除去容器に相当する漬物製造容器100の外観を概略的に示す外観斜視図である。また、図2(A),(B)は、漬物製造容器100の使用状態を示す図であり、(A)は漬物製造容器100の平面図であり、(B)は図2(A)に示すA−A線から見た漬物製造容器100の断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この漬物製造容器100は、漬物の材料となる野菜を糠味噌などの漬け込み材とともに漬け込んで漬物の製造に用いる容器である。
【0017】
この漬物製造容器100は、透明なアクリル樹脂製の収容体110と蓋体120とから構成されている。収容体110は、漬物製造容器100の被処理物である漬物の材料Pおよび漬け込み材RBを収容する容器であり、一方が開口し他方が閉塞した有底円筒状に形成されている。本実施形態においては、外径が約160mm、高さが約160mmおよび厚さが約3mmの有底円筒状に形成されている。なお、漬物製造容器100の被処理物である漬物の材料Pおよび漬け込み材RBをまとめて、以後、「漬物の材料P等」ということがある。
【0018】
蓋体120は、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧するための部材であり、押圧部121、支持部122、貫通孔123、および壁部124をそれぞれ備えて構成されている。これらのうち、押圧部121は、収容体110内に収容された漬物の材料P等と接触して押圧する部分であり、収容体110の内径に対応した外径の円板状に形成されている。本実施形態においては、収容体110の内径(154mm)より1mm小さい153mmの外径に形成されている。
【0019】
押圧部121の上面121aの中央部には有底円筒状の支持部122が形成されている。支持部122は、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧するための錘W(図2(A)においては図示せず)を支持する部分である。この支持部122の高さ(深さ)は、収容体110内に収容可能な漬物の材料P等の量、すなわち、収容体110の容量の約70%に相当する量の漬物の材料P等を収容体110内に収容した状態で蓋体120を収容体110内に挿入した場合に、収容体110の上部開口部111から支持部122の上端部が突出する高さに設定されている。本実施形態においては、外径が約100mm、高さ(深さ)が約130mmおよび厚さが約3mmの有底円筒状に形成されている。
【0020】
押圧部121の上面121aにおける支持部122の外側には、12個の貫通孔123が円周方向に沿って等間隔で形成されている。貫通孔123は、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧部121が押圧することにより同漬物の材料P等から押し出される水分を押圧部121の上面121a、換言すれば収容体120内における押圧部121の外側面側に導くための水切り孔である。この貫通孔123は、蓋体120を収容体110から離した際に押圧部121の上面121a上に導かれた前記水分が再び貫通孔123を通って押圧部121の下面121b、換言すれば、押圧部121の内側面側に導かれて漬物の材料P等に戻らない程度の小径の孔でそれぞれ構成されている。本実施形態においては、直径が約2mmに形成されている。
【0021】
押圧部121の周縁部には、同周縁部に沿って起立した状態、換言すれば、収容体110の内周面112と平行な状態で壁部124が形成されている。壁部124は、押圧部121の外径と同一の外径、すなわち、収容体110の内径に対応した外径に形成されている。また、この壁部124は、収容体110内に蓋体120を正確に案内するとともに、蓋体120で塞がれる収容体110の内部の気密性の確保および漬物の材料P等から押し出され押圧部121の上面121a上に導かれた水分を同上面121a上に保持するために、所定の高さ(深さ)で形成されている。本実施形態においては、高さ(深さ)が約30mmに形成されている。
【0022】
(漬物製造容器100の作動)
次に、上記のように構成した漬物製造容器100の作動について説明する。まず、作業者は、漬物製造容器100を構成する収容体110および蓋体120を用意するとともに、漬物の材料P、漬け込み材RBおよび錘Wをそれぞれ用意する。なお、漬物の材料Pは、例えば、きゅうりや茄子などの野菜であり、漬け込み材RBは、例えば、糠味噌であり、錘Wは、例えば、小石である。すなわち、漬物の材料Pおよび漬け込み材RBが本発明に係る被処理物に相当するとともに、錘Wが本発明に係る重量物に相当する。
【0023】
次に、作業者は、収容体110内に漬け込み材RBを所定量投入するとともに、同投入した漬け込み材RB内に漬物の材料Pを配置する。次に、作業者は、蓋体120を収容体110内に挿入する。この場合、蓋体110は、壁部124が収容体110の内周面112に沿って変位するため、押圧部121の下面121bが略水平状態で下降し漬物の材料P等に接触する。作業者は、収容体110内の漬物の材料P等に接触した蓋体120を更に若干量押し込んだ後、支持部122内に錘Wを充填する。この場合、支持部122内に充填される錘Wの量は、製造する漬物の品質の好みに応じて適宜決定される。そして、作業者は、漬物の材料P等が収容された漬物製造容器100を冷暗所等に移して漬物の材料Pの漬け込みを行い漬物の出来上がり(漬け上がり)を待つ。
【0024】
漬物の材料Pの漬け込み時においては、蓋体120による押圧によって漬物の材料P等に含まれる水分Jが押し出される。漬物の材料P等から押し出された水分Jは、蓋体120の押圧部121に形成された貫通孔123を介して押圧部121の上面121aに導かれる(図2(A)においては図示せず)。押圧部121の上面121aに導かれ溜まった水分Jは、収容体110内に収容した漬物の材料P等に対する空気との接触を遮断する。また、蓋体120の壁部124と収容体110の内周面112との接触面積が大きいため、収容体110内に収容した漬物の材料P等に対する空気への接触が妨げられる。これらにより、漬物の材料Pの漬け込み時における漬物の材料P等の酸化が防止され、製造される漬物の品質が向上する。なお、漬物の材料Pの漬け込み当初は、漬物の材料P等から押し出される水分Jの量が多いため、作業者は、漬物製造容器100を傾斜させて押圧部121の上面121a上に溜まった余分な水分Jを適宜廃棄する。
【0025】
また、漬物の材料Pの漬け込み時においては、漬物の材料P等からの水分の押し出しにより漬物の材料P等の体積が減少する。このため、漬物の材料P等を押圧する蓋体120は、漬物の材料Pの漬け込み時間の経過とともに徐々に下降する。この蓋体120の下降時においても、壁部124が収容体110の内周面112に沿って変位するため、押圧部121の下面121bが略水平状態で下降する。これにより、漬物の材料P等に対して均等な押圧力の付加が維持される。また、この場合、錘Wの重量は、時間の経過とは無関係であるため、漬物の材料Pの漬け込み時間の経過とともに押圧力が変化することはない。すなわち、常に一定の押圧力で漬物の材料P等を押圧した状態で漬物の材料Pの漬け込みが進行する。
【0026】
作業者は、漬物製造容器100の外側から収容体110の内部の状態を目視することにより、漬物の材料Pの漬け込みの状態を随時確認することができる。そして、作業者は、漬物の材料Pの漬け込みが完了したと判断された場合には、蓋体120の支持部123内から錘Wを除去するとともに、漬物製造容器100を傾斜させて押圧部121の上面121a上に溜まった水分Jを廃棄した後、蓋体120を収容体110内から引き抜く。この場合、蓋体120の押圧部121に形成された貫通孔123が小径に形成されているため、収容体110内から引き抜かれた押圧部121の上面121a上に残留した水分Jが貫通孔123を介して再び押圧部121の下面121b(押圧部121の内側面側)に導かれて漬物の材料P等に戻ることが防止される。
【0027】
そして、作業者は、蓋体120が引き抜かれた収容体110内における漬け込み材RBの中から必要な分量の漬物の材料Pを取り出した後、収容体110から引き抜いた蓋体120を前記と同様な手順で収容体110内に挿入して漬物の材料Pの漬け込みを続行する。この場合、押圧部121の上面121a上における水分Jの量が不足する場合には、作業者は、上面121a上に不足する水量の水を適宜補う。なお、更に新たな漬物を製造する場合には、新たな漬物材料Pを前記と同様の手順で漬け込み材RB内に配置した後、蓋体120を収容体110内に挿入して漬物の材料Pの漬け込みを行う。
【0028】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、漬物製造容器100は、有底筒状の収容体110と、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧するための蓋体120とから構成されている。そして、これらのうち蓋体120は、収容体110内に収容された漬物の材料P等を押圧する押圧部121と、同押圧部121に形成された貫通孔123と、押圧部121が挿入された収容体110における開口部111から突出する長さに形成され、錘Wを支持するための支持部122を備えて構成されている。すなわち、収容体110内に収容された漬物の材料P等は、蓋体120の支持部122によって支持された錘Wの重さによって押圧される。この場合、押圧される漬物の材料P等に含まれる水分Jは、蓋体120の押圧部121に設けられた貫通孔123を介して押圧部121の上面121a側に導かれる。これらの結果、簡易な構成で漬物の材料P等に対して均一な押圧力を継続的に付加することができ、精度良く漬物の材料P等に含まれる水分を除去することができる。すなわち、品質の良い漬物を安定して製造することができる。
【0029】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0030】
例えば、上記実施形態においては、収容体110内の漬物の材料P等を押圧する錘Wとして小石を用いた。しかし、錘Wは、収容体110内の漬物の材料P等を押圧することができる重量物であれば、必ずしも、小石である必要はない。すなわち、小石以外の重量物、例えば、支持部122内に水を貯留することにより収容体110内の漬物の材料P等を押圧するように構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0031】
また、漬物の材料P等などの被処理物から水分を除去するに際して、蓋体120の押圧部121の上面121a上に水分Jを貯留する必要がない場合には、図3に示すように、蓋体120を収容体110内に挿入した状態で漬物製造容器100の天地を逆さにした姿勢で漬物の材料P等からの水分の除去を行うこともできる。これによれば、収容体110内に収容された漬物の材料P等は、同漬物の材料P等および収容体110の重さにより押圧されることになる。すなわち、錘Wは不要である。また、漬物の材料P等から押し出された水分は、押圧部121の貫通孔123を介して収容体110内から排水される。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0032】
なお、このように、漬物製造容器100の天地を逆さにした姿勢で用いることにより、被処理物(例えば、水分が付着した野菜)の水切りとして用いることもできる。また、このように、漬物製造容器100の天地を逆さにした姿勢で用いることがない場合には、支持部122の高さ(深さ)は、収容体110の上部開口部111から支持部122の上端部が突出する高さに設定する必要はない。すなわち、支持部122の高さを含む形状は、被処理物を押圧する錘W(重量物)に応じて適宜決定すればよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果は期待できる。
【0033】
また、上記実施形態においては、蓋体120の支持部122を有底円筒状に形成した。しかし、支持部122の形状は、前記したように、押圧部121が挿入された収容体110における開口部111から突出する長さに形成され、錘W、または押圧部121が挿入された収容体110を支持することができれば、上記実施形態に限定されるものではい。例えば、蓋体120の押圧部121の縁部に沿ってリング状に支持部122を形成し、同リング状の支持部122の内側(押圧部121の中心部)に貫通孔123を設けるようにしてもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0034】
また、上記実施形態においては、蓋体120の押圧部121に複数の貫通孔123を形成した。しかし、貫通孔123は、収容体110内に収容された漬物の材料P等から押し出された水分Jを同収容体110の内部から導き出すことができれば、貫通孔123を設ける位置、数および大きさは、当然、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、貫通孔123を設ける位置、数および大きさは、漬物製造容器100を用いて製造する漬物に応じて適宜決定すればよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、蓋体120の周縁部に壁部124を形成した。この壁部124は、収容体110内に蓋体120を正確に案内するとともに、蓋体120で塞がれる収容体110の内部の気密性の確保および漬物の材料P等から押し出され押圧部121の上面121a上に導かれた水分を同上面121a上に保持するために設けたものである。
【0036】
また、上記実施形態においては、漬物製造容器100を構成する収容体110および蓋体120を透明なアクリル樹脂で構成した。これは、収容体110の内部における漬物の材料Pの漬け込みの状態を目視で確認可能とするためである。したがって、収容体110の内部を確認する必要がない場合や、収容体110の内部に外部からの光が入射することが好ましくない場合などには、漬物製造容器100を構成する収容体110および蓋体120を必ずしも透明なアクリル樹脂で構成する必要はない。例えば、不透明な樹脂材、アルミニウム材、ステンレス材または木材などを用いて漬物製造容器100を構成することもできる。
【0037】
また、上記実施形態においては、きゅうりや茄子などの野菜を漬物の材料Pとするとともに、糠味噌を漬け込み材RBとしたが、漬物の材料Pおよび漬け込み材RBは、当然、これらに限定されるものではない。きゅうりや茄子以外の野菜を漬物の材料Pとしてもよいとともに、糠味噌以外の調味料(例えば、食塩、酢、醤油、酒粕、油脂)を漬け込み材RBとしてもよい。また、上記漬物製造容器100は、漬物以外の食品、例えば、魚介類の塩漬け、醤油付け、または各種発酵食品などを製造することもできる。
【0038】
また、上記実施形態においては、漬物製造容器100を板厚3mmのアクリル材を用いて外径が約160mm、高さが160mmの大きさで略円筒状に形成した。しかし、漬物製造容器の大きさや形状は、被処理物の大きさや処理する被処理物の量などに応じて適宜決定されるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、板圧5mmのアクリル材を用いて漬物製造容器100をより強固に形成することもできる。
【0039】
また、上記実施形態においては、本発明を漬物を製造する漬物製造容器100に適用した例について説明した。しかし、本発明は、食品を製造する以外の分野に適用できることは当然である。すなわち、本発明は、被処理物を押圧することにより同被処理物から水分を押し出して除去する含有水分除去容器として広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る漬物製造容器の全体構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す漬物製造容器の使用状態を示す図であり、(A)は漬物製造容器の平面図であり、(B)は(A)に示すA−A線から見た漬物製造容器の断面図である。
【図3】本発明の変形例を示す漬物製造容器の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
P…漬物の材料、RB…漬け込み材、W…錘、J…水分、100…漬物製造容器、110…収容体、111…開口部、112…内周面、120…蓋体、121…押圧部、122…支持部、123…貫通孔、124…壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が開口し他方が閉塞した有底円筒状に形成され、被処理物を収容するための収容体と、
前記収容体内に収容された前記被処理物を押圧するための重量物を支持する支持部、前記収容体内に収容された前記被処理物を押圧する押圧部、および同押圧部に形成された貫通孔を有する蓋体とを備え、
前記蓋体における前記押圧部は、前記収容体の内径に対応した外径に形成されるとともに周縁部に前記収容体の内周面と平行で同内周面の全周に亘って密着した壁部を備えることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項2】
請求項1に記載した含有水分除去容器において、
前記押圧部に形成された前記貫通孔は、前記押圧部上に導かれた水分が再び同被処理物側に導かれない程度の大きさで形成されていることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した含有水分除去容器において、
前記蓋体は、前記支持部が前記押圧部の中央部に有底筒状に形成されているとともに、前記貫通孔が前記押圧部における前記支持部の外側に形成されていることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した含有水分除去容器において、
前記支持部は、前記押圧部が挿入された前記収容体における前記開口した部分から突出可能な長さで形成されていることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した含有水分除去容器において、
前記蓋体は、前記貫通孔が複数形成されていることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した含有水分除去容器において、
前記収容体および前記蓋体の少なくとも一方は、透明な素材で構成されていることを特徴とする含有水分除去容器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した含有水分除去容器において、
前記収容体内に収容される前記被処理物は、野菜および魚介類の少なくとも一つを含むことを特徴とする含有水分除去容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−139712(P2011−139712A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91614(P2011−91614)
【出願日】平成23年4月16日(2011.4.16)
【分割の表示】特願2008−200273(P2008−200273)の分割
【原出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(508234947)株式会社ヒョーシン (2)
【Fターム(参考)】