説明

吸入具、及びマスク

【課題】ヒノキ科植物の抽出物を簡便に吸入して、簡易にインフルエンザウイルス等の病原体の感染予防を図り得るようにする吸入具及びマスクを提供する。
【解決手段】吸入具A1を、人間への病原体感染を防除するヒノキ科植物の抽出物であるヒバ油B1を貯留する容器部A1aと、この容器部A1aからヒバ油B1を噴射する噴射手段A1bと、この噴射手段A1bにより噴射されたヒバ油B1を使用者Uの口内若しくは鼻内又はその両方へ導く導出部A1cとを具備してなるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフルエンザウイルス等の病原体感染を予防すべくヒノキ科植物の抽出油を好適に吸入することができる吸入具及びマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
毎年、大勢の人間がインフルエンザウイルスに感染、発病し、死者も発生している。人間に感染するのは人インフルエンザウイルスであるが、毎年のように新型の人インフルエンザウイルスが発生して多大な損害をもたらしている。インフルエンザウイルスの感染予防には、事前のワクチン投与や手洗いやうがいの励行等が有効とされている。また、折しも2003年末から2004年にかけて大問題となったように、東南アジアから東アジア、北米等において高病原性鳥インフルエンザウイルスが直接人間に感染した可能性も指摘されているため、養鶏場等に立ち入る必要のある者には、防護服の着用や事後の洗浄等の感染防止策が非常に重要である(非特許文献1参照)。
【0003】
一方、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキ科植物の抽出油(ヒノキ油、ヒバ油等と称される)に抗菌活性があるとの知見があり、屋内の空気を吸入して容器内に貯留させた薬液を噴霧した後当該空気を排出することで、屋内の空気中に存在する微生物、ウイルス、花粉等の浮遊粒子状物質、ハウスダスト、有害ガス等を除去するための装置において、前記薬液としてヒノキ油油等を利用するという技術が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【非特許文献1】岡田晴恵著「鳥インフルエンザの脅威−本当の怖さはこれからだ!」,河出書房新社,2004年5月20日
【特許文献1】特開2000−210521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、薬剤として茶油(カテキンを含む茶抽出油)を使用した場合にインフルエンザウイルスに対して有効であるが、薬剤としてヒノキ油を使用した場合にはMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や病原性大腸菌に有効であり、この違いの根拠は植物精油の種類によって殺菌・防除のスペクトルが相違することにある、と開示されている。しかしながら、具体的な試験結果として示されているのは、ヒノキ油を含む水溶液が動物(マウス)に対して低毒性であること、前記装置の運転試験により2週間後にダニを主とする虫が薬液(ヒノキ油を含む水溶液)中に存在しておりカビの胞子が消失していたこと、であって、同文献からはヒノキ油に抗MRSAや抗大腸菌活性があるのか、茶油であれば抗インフルエンザウイルス活性があるのかは必ずしも明らかにされていない。また、従来よりなされている感染予防方法であるワクチン接種や手洗いやうがいは有用であるが、ワクチン注射を受けるのは一般に高価であり、インフルエンザが大流行した際にはワクチンが不足したり価格が高騰するといった問題があり、その結果として感染拡大につながってしまうおそれもある。さらにこの問題は、貧困地域においては一層甚大な被害に結びつくという危険性も孕んでいる。
【0005】
一方、これまで本発明者は、ヒノキ科植物の抽出油(ヒバ油)或いはそれに含まれるヒノキチオールによるシロアリ防除作用に着目して、天然物であるヒバ油を利用した環境及び健康に配慮したシロアリ防除剤等を研究開発してきたが、その過程において新たにヒノキ科植物の抽出油等の抽出物が抗ウイルス作用、とりわけ抗インフルエンザウイルス作用を奏する可能性を見出した。
【0006】
そこで本発明は、ヒノキ科植物の抽出物を簡便に吸入して、簡易にインフルエンザウイルス等の病原体の感染予防を図り得るようにすることを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、第一の本発明は、人間への病原体感染を防除するヒノキ科植物の抽出物を貯留する容器部と、該容器部から前記抽出油を噴射する噴射手段と、該噴射手段により噴射された抽出物を使用者の口内若しくは鼻内又はその両方へ導く導出部とを具備してなることを特徴とする吸入具である。なお、本発明でいうところの「防除」とは、予防、除去(除菌)、抗菌、殺菌等の何れかに該当する概念である。
【0008】
ヒノキ科(Cupressaceae)の植物は、世界中に分布する常緑針葉樹であり、青森ヒバ(ヒノキアスナロ;アスナロ属)、台湾ヒノキやヒノキやアラスカヒノキ(ヒノキ属)、イトスギ(イトスギ属)、ネズ(ネズミサシ属)、ベイスギやニオイヒバ(ネズコ属)、オニヒバ(ショウナンボク属)等が代表的である。また、ヒノキ科植物の抽出油(以下、「ヒバ油」と総称する場合がある)は、製材時に生じるオガ粉や廃材等を水蒸気蒸留することにより抽出水と分離した状態で得られるものであり、酸性油分(約3〜4重量%)として主にフェノール類(ヒノキチオール、β-ドラブリン、l-ロジン酸、カルバクロール、その他)を含み、中性油分(約96〜97重量%)として主にセスキテルペン類(ツヨプセン、パラサイメン、ジヒドロサイメン、セドロール、ウィドロール、その他)を含む。なお、酸性油分は抽出水にも若干含まれている。ここで、病原体の感染を抑制する有効成分を大別すると、抽出水と抽出油とが挙げられるが、感染抑制効率から見れば、抽出物としては、ヒノキ科植物の抽出油を適用することが好ましく、さらに望ましくはこの抽出油は、ヒノキ科植物の破砕物又は粉末を水蒸気蒸留により得られる抽出物中の親油性成分を含有するものが好適である。
【0009】
このようなヒノキ科植物の抽出油等の抽出物を容器部に貯留しておき、当該容器部から噴射手段によって噴射した抽出物を、導出手段を通じて使用者の口や鼻の粘膜に付着させれば、抽出物の抗病原体活性能力が発揮され、インフルエンザウイルスを始めとする種々の病原体感染を防除することができる。特に、インフルエンザウイルス等の病原体に感染する前に本発明を使用すれば、好適な感染予防を手軽に行うことができる。なお本発明において、容器部、噴射手段、導出手段の具体的態様は特に限定されるものではなく、上述したような各機能を有していればあらゆる態様のものが含まれる。
【0010】
噴射手段の好適な例としては、容器部に抽出物と共に封入されたガスのガス圧を利用して抽出物を導出部を通じて噴射する態様、容器部内の抽出物を汲み上げて噴射するポンプ機構を利用する態様、容器部内の抽出物を加温して抽出液を蒸気として噴射する態様を挙げることができる。なお、噴射手段により噴射される抽出物の形態は、液状のまま、細かい液滴、霧状、気体(蒸気)等のいずれかとすればよい。
【0011】
一方、導出部として好適な例としては、使用者の口若しくは鼻又はその両方を覆うマスク型をなす態様、使用者の口腔内若しくは鼻腔内又はその両方に挿入されるパイプ型をなす態様を挙げることができる。この他にも、使用者の顔に向けて空気中へ放出する態様も導出部の好例である。
【0012】
また、第二の本発明は、使用者の口若しくは鼻又はその両方に設定される所定の使用位置にあてがわれるマスク本体と、マスク本体内に設けられる内布と、マスク本体に取り付けられて当該マスク本体を使用者の顔の前記使用位置に保持する保持部とを具備してなり、前記内布に、人間への病原体感染を防除するヒノキ科植物の抽出物を含浸させていることを特徴とするマスクである。なお、この場合も、感染抑制効率から見れば、抽出物としては、ヒノキ科植物の抽出油を適用することが好ましく、さらに望ましくはこの抽出油は、ヒノキ科植物の破砕物又は粉末を水蒸気蒸留により得られる抽出物中の親油性成分を含有するものが好適である。
【0013】
このようなものであっても、内布から揮発したヒノキ科植物の抽出物が、使用者の口や鼻から吸い込まれて粘膜に付着することになるので、抽出物による抗病原体活性能力が発揮されて感染予防を簡便且つ好適に行うことができる。なお、マスク本体の形状は特に限定されるものではなく、例えば一般的な平面的角布型や立体マスク型等を適宜採用することができる。
【0014】
なお、本発明の吸入具又はマスクを着用する場合に、インフルエンザウイルスによるインフルエンザ以外に好適な予防ができると考えられる病原体及びそれによる疾病の組み合わせ例は次の通りである。[1類感染症]エボラウイルス;エボラ出血熱、クリミア・コンゴウイルス;クリミアコンゴ出血熱、ペスト菌;ペスト、マールブルグウイルス;マールブルグ熱、ラッサウイルス;ラッサ熱、[2類感染症]コレラ毒素(CT)産生性コレラ菌;コレラ、ディセンティリ菌・フレキシネル菌・ボイド菌・ソンネ菌;細菌性赤痢、サルモネラ属チフス菌・パラチフス菌;腸チフス・パラチフス、ポリオウイルス;急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア菌;ジフテリア、[3類感染症]朝刊出血性大腸菌(O157等);腸管出血性大腸菌感染症、[4類感染症]赤痢アメーバのシスト;アメーバ赤痢、エキノコックス(多包条虫,単包条虫);エキノコックス症、黄熱ウイルス;黄熱、クラミジア・シッタン;オウム熱、スピロヘータ;回帰熱、肝炎ウイルス;急性ウイルス性肝炎、コクシエラ・バーネッティ(リケッチア);Q熱、狂犬病ウイルス;狂犬病、クリプトスポリジウム属原虫;クリプトスポリジウム症、感染性プリオン蛋白;クロイツフェルト・ヤコブプリオン病、A群レンサ球菌;劇症型溶血性レンサ球菌感染症、HIVウイルス;後天性免疫不全症候群、コクシジオイデス・イミティス;コクシジオイデス症、ランブル鞭毛虫;ジアルジア症、ハンタウイルス;腎症候性出血熱、髄膜炎菌;流行性髄膜炎、風疹ウイルス;先天性風疹症候群、炭疽菌;炭疽、ツツガムシ病リケッチア;ツツガムシ病、デングウイルス;デング熱、リケッチア・ジャポニカ;日本紅斑熱、日本脳炎ウイルス;日本脳炎、ボツリヌス菌;乳児ボツリヌス症、梅毒トレポネーマ;梅毒、破傷風菌;破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌;バンコマイシン耐性腸球菌感染症、反多雨イルし;ハンタウイルス肺症候群、サル由来Bウイルス;Bウイルス病、ブルセラ属菌;ブルセラ症、発疹チフスリケッチア;発疹チフス、マラリア原虫;マラリア、ライム熱ボレリア;ライム熱、レジオネラ属菌;レジオネラ症、ウエストナイルウイルス;ウエストナイル熱、アデノウイルス3・7型等;咽頭結膜炎、A群溶血性レンサ球菌;A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ウイルス(ロタウイルス,小型球形ウイルス等)・細菌(サルモネラ,カンピロバクター等);感染性胃腸炎、水痘・帯状疱疹ウイルス;水痘、コクサッキーウイルス等;手足口病、ヒトパルボウイルス;リンゴ病、ヒトヘルペスウイルス;突発性発疹、百日咳菌;百日咳、風疹ウイルス;風疹(三日ばしか)、コクサッキーウイルスA群;ヘルパンギーナ、麻疹ウイルス;麻疹、ムンプスウイルス;おたふくかぜ、エンテロウイルス70型等;急性出血性結膜炎、アデノウイルス8等;流行性結膜炎(はやり目)、原発性(単純ヘルペスウイルス等)・続発性(麻疹ウイルス等);急性脳炎、インフルエンザ菌・肺炎球菌・髄膜炎菌;細菌性髄膜炎、コクサッキーウイルス等;無菌性髄膜炎、肺炎マイコプラズマ;マイコプラズマ肺炎、クラミジア;クラミジア肺炎、急性麻疹ウイルス;成人性麻疹、クラミジア・トラコマティス;性器クラミジア感染症、単純ヘルペスウイルス;性器ヘルペスウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス;尖形コンジローム、淋菌;淋菌感染症、MRSA;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌;ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、多剤耐性緑膿菌;薬剤耐性緑膿菌感染症、結核菌;結核等。以上の他、SARSコロナウイルスによるSARS(重症急性呼吸症候群)等の新型感染症。また、動物由来の感染症の人間への二次感染に対する予防にも本発明が有効であると考えられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸入具によれば、ヒノキ科植物の抽出油や抽出水等の抽出物を液状、液滴、霧状、気体(蒸気)のいずれかとして使用者の口や鼻へ積極的に噴射し吸入させることができるため、使用者の口や鼻の粘膜に付着した抽出物により、インフルエンザウイルスを始めとする病原体の感染を簡便且つ有効に予防することができる。一方、本発明のマスクによっても、内布に含浸させた抽出物が揮発して使用者の口や鼻に吸い込まれるので、使用者の口や鼻の粘膜に付着した抽出物により、インフルエンザウイルスを始めとする病原体の感染を簡易且つ有効に予防することができる。特にインフルエンザの大量感染が起こりやすい冬期に本発明の吸入具若しくはマスクを着用すれば、使用者個人個人の感染予防に資するのみならず、感染の拡大を抑制することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、下記の実施形態において特に断りのない場合は、ヒノキ科植物として青森ヒバを適用し、その抽出物として青森ヒバの抽出油であるヒバ油を用いている。斯かるヒバ油は、例えば通常の水蒸気蒸留法、すなわち青森ヒバの製材時に生じたオガ粉を集めて蒸気釜に投入し、ボイラで熱した蒸気を当てることで抽出される液体のうち油溶成分として得られるものである。また、ヒバ油は約100Kgの青森ヒバ材から約1Kg得られる。なお、水蒸気蒸留法により得られた液体には、ヒバ油の他に水溶成分が溶解したヒバ抽出水が含まれており、ヒバ油とヒバ抽出水との重量比は約1:100である。こうして得られたヒバ油には、重量比にして約3〜4%の酸性油と約96〜97%の中性油が含まれている。酸性油には、カルバクロール、l-ロジン酸、ヒノキチオール、β-ドラブリン等の化合物が含まれており、中性油には、ツヨプセン、パラサイメン、ジヒドロサイメン、セドロール、ウィドロール等の化合物が含まれている。
【0017】
図1は、本発明の吸入具に係る第一実施形態を概略的に示すものである。この吸入具A1は、ガス圧によりヒバ油溶液を噴出するように構成したものであって、金属缶からなりヒバ油を封入した容器部A1aと、容器部A1aからヒバ油を霧状に噴射する噴射手段A1bと、噴射手段A1bから噴射されたヒバ油を使用者U(同図(a))の口及び鼻へと導く導出部A1cとを備えている。各部を具体的に説明すると、同図(b)に示すように、まず容器部A1aは、概略円筒状をなす金属缶からなる容器部本体A1a1と、この容器部本体A1a1を上方及び下方から密閉する蓋体A1a2及び底部A1a3を主体としてなり、容器部本体A1a1内に、ヒバ油溶液B1と、噴射用ガスB2とを気密に封入してなるものである。ヒバ油溶液B1は、上述したヒバ油の原液を、乳化剤(可食性のアニオン系乳化剤若しくはカチオン系乳化剤又はこれらの混合物)と共に水に溶解したものであり、本実施形態では一例として、ヒバ油の原液を全量の体積比にして約1,000~10,000倍に希釈したものを用いている。但し、ヒバ油の希釈率は、十分なインフルエンザウイルス感染防止活性が得られ、且つ毒性が生じず、コスト面で見合う範囲内で適宜に設定することができる。一方、噴射用ガスB2には、一般的なスプレー缶に用いられる人体に無害なものを適用している。なお、噴射用ガスには、ヒバ油溶液を変質させないものを適用するものとしている。噴射手段A1bは、前記蓋部A1a2に配設されたバルブA1b1と、このバルブA1b1から容器部本体A1a1内に貯留されたヒバ油溶液B1まで挿管されたチューブA1b2と、バルブA1b1を蓋部A1a2に対して上下動させる押しボタンA1b3とから構成されている。そして、押しボタンA1b3を押すことによりバルブA1b1を開放状態とすると容器部A1a1内で気化した噴射用ガスB2のガス圧により押圧されて、ヒバ油溶液B1と噴射用ガスB2との混合物がチューブA1b2を通じて押しボタンA1b3の噴射口から霧状に噴射するように構成してある。導出手段A1cは、前記押しボタンA1b3の噴射口に接続されたものであり、具体的には、噴射口に接続された細管A1c1と、この細管A1c1に接続されて使用者Uの口及び鼻を前方から覆う樹脂製カップA1c2により構成している。
【0018】
このような吸入具A1を使用すれば、ヒバ油溶液B1を霧状に噴射させて導出手段の構成要素であるカップA1c2を着用した使用者Uの口及び鼻に吸い込ませ、口腔粘膜や鼻腔粘膜、或いは喉粘膜に付着させることができるため、インフルエンザウイルスや他の病原体の体細胞への吸着を防止して感染を予防することができる。なお、感染予防をより確実なものとするには、人間が病原体を吸い込む前にヒバ油溶液B1の吸入を行うことが好適であることから、例えばインフルエンザの場合は、流行しやすい冬期において一日一回から数回、この吸入具A1を利用することが望ましい。特に、本実施形態の吸入具A1であれば小型化するのも容易であるので、携行して使用するのに非常に適している。
【0019】
図2は、本発明の吸入具に係る第二実施形態を概略的に示すものである。なお、本実施形態においてヒバ油溶液は、上述した第一実施形態と同様のものを指していうものとする。この吸入具A2は、同図(b)に示すように、簡易ポンプ方式でヒバ油溶液を噴射するものであって、例えば有底筒状をなしてヒバ油溶液を貯留する容器部A2aと、この容器部A2aに蓋着されてポンプ式に容器部A2a内のヒバ油溶液(図示省略)を汲み出して噴射する噴射手段A2bと、噴射されたヒバ油溶液を使用者Uの口又は鼻(本実施形態では同図(a)に示すように主に鼻腔を対象とする)へ送り出す導出手段A2cとを備えている。具体的に各部を説明すると、まず容器部A2aは、例えば合成樹脂素材等により形成された有底筒状をなすものであり、内部にヒバ油溶液を貯留している。噴射手段A2bは、容器部A2aの蓋としての機能を有するとともに、容器部A2aに対して上下に突没させることで空気圧によりヒバ油溶液を所定量ずつ汲み出して噴射口から噴射するポンプ機能を有するものである。導出手段A2cは、噴射手段A2bの噴射口に接続されて使用者Uの鼻腔内に挿入されるノズル状の部材からなるものである。なお、噴射口又はノズルのいずれかには、微細なメッシュ材を内蔵しておき、ヒバ油溶液を微細な霧状として噴出し得るように構成することができる。
【0020】
このような吸入具A2を使用すれば、ヒバ油溶液を液滴状又は霧状に噴射させて導出手段A2cであるノズルを挿管した使用者Uの鼻から吸い込ませ、鼻腔粘膜に付着させることができるため、インフルエンザウイルスや他の病原体の体細胞への吸着を防止して感染を予防することができる。なお本実施形態の場合も、感染予防をより確実なものとするには、人間が病原体を吸い込む前にヒバ油溶液の吸入を行うことが好適であることから、例えばインフルエンザの場合は、流行しやすい冬期において一日一回から数回、この吸入具A2を利用することが望ましい。特に、本実施形態の吸入具A2であれば小型化及び構造の簡素化が容易であるので、携行して場所を問わず使用するのに非常に適している。
【0021】
図3は、本発明の吸入具に係る第三実施形態を概略的に示すものである。この吸入具A3は、ヒバ油溶液を加温して蒸気として噴射するものであって、ヒバ油溶液(図示省略)を貯留する据え置き型の容器部A3aと、容器部A3あ内のヒバ油溶液を加温して蒸気化させる加温装置からなる噴射手段A3bと、容器部A3aから使用者の口及び鼻へ向けて蒸気を導く導出手段A3cとから構成される。具体的に各部を説明すると、容器部A3aは、卓上又は床上に設置可能な有底の容器からなり、内部にヒバ油溶液を出し入れ可能に貯留し得るようにしてある。噴射手段A3bは、上述したように容器部A3aの例えば底部に内蔵させた電熱器等からなる加温装置(同図(b)では破線部として示す)を備えている。導出手段A3cは、使用者が口及び鼻に対して前方から吹き当てるように容器部A3aと一体に形成された筒状をなすものであり、使用者Uが蒸気を吸入できるようにしてある。なお、導出手段A3c又は容器部A3aには、蒸気の噴出角度を調節して使用者Uが口又は鼻の何れか一方で蒸気を吸入できるように構成してもよい。
【0022】
このような吸入具A3を使用すれば、ヒバ油溶液を蒸気として噴射させて使用者に口や鼻から吸い込ませ、口腔粘膜、鼻腔粘膜、喉粘膜等にに付着させることができるため、インフルエンザウイルスや他の病原体の体細胞への吸着を防止して感染を予防することができる。なお本実施形態の場合も、感染予防をより確実なものとするには、人間が病原体を吸い込む前にヒバ油溶液の吸入を行うことが好適であることから、例えばインフルエンザの場合は、流行しやすい冬期において一日一回から数回、この吸入具A3を利用することが望ましい。特に、本実施形態の吸入具A3は据え置き型であるので、家庭やオフィスに設置して使用するのに非常に適している。また、複数人でこの吸入具A3を共用する場合には、筒状の導出手段のうち使用者の皮膚が接触する箇所に使い捨ての紙等をあてがっておき、使用の度に当該紙等を新しいものと取り替えるようにするとよい。
【0023】
図4は、本発明のマスクに係る第四実施形態を概略的に示すものである。このマスクA4は、使用者Uの顔面のうち口及び鼻を覆うようにカップ型に立体成形されたマスク本体A4aと、このマスク本体A4aに内蔵した状態で配置される内布A4bと、マスク本体A4aを使用者Uの顔のうち口及び鼻にあてがった使用位置に保持する保持部A4cとを備えている。各部を具体的に説明すると、マスク本体A4aは、例えば繊維素材からなる布や不織布を立体的に裁断・縫製或いは立体的に型押し等により形成してなるものである。なお、マスク本体A4aには、内布A4bを出し入れ可能に保持し得るポケットを形成する場合には、一定期間使用した内布A4bを交換する一方で、マスク本体A4a自体はそのまま継続的に使用できるようにすることが可能である。内布A4b(同図(b)に網掛けを付して示す部分)は、例えば繊維素材からなる布や不織布によって構成されるものであり、例えば上述したようなマスク本体A4aのポケット等に保持される。保持部A4cは、マスク本体A4aに取り付けられて使用者の耳や後頭部に引っ掛けられるように構成した紐やバンドからなるものであり、本実施形態では耳に引っ掛ける態様のゴム紐を適用している。そして、本実施形態において内布A4bには、第一〜第三実施形態と同様のヒバ油溶液を含浸させてある。ただし、内布A4bがヒバ油溶液を含浸して湿った状態にあっては使用に支障を来すことが考えられるため、内布A4bにヒバ油溶液を一旦含浸させた後、ヒバ油溶液が蒸散してしまわない程度に乾燥させておくことが望ましい。
【0024】
このようなマスクA4を使用者Uが着用すれば、内布A4bから揮発したヒバ油溶液を口や鼻から吸い込ませ、口腔粘膜、鼻腔粘膜、喉粘膜等にに付着させることができるため、インフルエンザウイルスや他の病原体の体細胞への吸着を防止して感染を予防することができる。なお本実施形態の場合も、感染予防をより確実なものとするには、人間が病原体を吸い込む前にヒバ油溶液の吸入を行うことが好適であることから、例えばインフルエンザの場合は、流行しやすい冬期において常時或いは外出時に着用することが望ましい。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。例えば、第一実施形態や第三実施形態の吸入具における導出手段に替えて、第二実施形態の吸入具におけるノズル状の導出手段を適用することが可能であるし、その逆も可能である。また、第二実施形態の吸入具において、容器部自体を可撓変形可能なものとして、斯かる容器部を外部から押し潰すように押圧することでポンプ式にヒバ油溶液を噴射する噴射手段を有する容器部とすることも可能である。さらに、第四実施形態においては、カップ型の立体的なマスク本体に替えて、平面的な布地からなるマスク本体を適用することも可能である。また、ヒノキ科植物の抽出物として、例えばヒバ油に替えてヒバ抽出水を適用したり、それらの混合物を適用することができ、さらには一種又は複数種の含有化合物を適用することもでき、ヒノキ科の植物であれば青森ヒバ以外にも他のものを用いることもできる。その他、各部の具体的構成や、ヒノキ科植物抽出物の濃度、希釈方法等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、以下の説明によって本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、以下の各試験は、大阪府立公衆衛生研究所・感染症部門への委託により実施したものである。
【0027】
<試験1:ヒバ由来物の抗インフルエンザウイルス効果比較試験>
(1)目的:青森ヒバの水蒸気抽出物における水溶性又は油溶性のいずれの画分に抗インフルエンザウイルス活性があるかを調べる。
(2)試験標品:(a)ヒバ抽出水;青森ヒバ材のオガ粉を水蒸気蒸留して得られる抽出液のうち水溶成分(下層)であり、具体的には100%ヒバ抽出水(商品名「森林の力」,株式会社トピックス製),(b)ヒバ油水溶液(ヒバ油60%);前記抽出液のうち油溶成分(上層)を所定量の乳化剤と共に水に溶解したもの、ヒバ油の容積率は全量の60%であり、具体的には天然シロアリ防除剤(商品名「水溶性ヒバ油HB-60」,株式会社トピックス製),(c)ヒノキチオール銅錯体;精製されたヒノキチオールの銅錯体。なお、各標品は下表1に示す数種類の希釈率で培養液により希釈して用いる。
(3)試験方法:FFUアッセイ(Focus Forming Unit Assay)によるインフルエンザウイルスの感染試験を行う。具体的には96穴マイクロプレートに培養した所定量のイヌ腎臓由来のMDCK細胞(培養液:EAGLE MEM)に対してインフルエンザウイルス(H3N2型ヒトワクチン ニューカレドニア株)を感染させ、16時間後、免疫染色により感染細胞(1FFU=1感染性ウイルス)を染色し計測する。感染細胞数を50%に減少させた標品の濃度を50%Effective Concentration(EC50)とする。なお、インフルエンザウイルスは、前記培養液中に浮遊させた状態として、0.1ml(生存ウイルス数は約200個)をMDCK細胞を入れたマイクロプレートに供する。
(4)試験結果:各標品に関し3回試験したFFUの平均値を求めた結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
試験1の結果から、ヒバ油水溶液のEC50は希釈率625,000倍以上(ヒバ油原液(100%ヒバ油)に換算して1,041,667倍以上の希釈率)であり、抗インフルエンザウイルス活性が顕著に高いと考えられる。これに対して、ヒバ抽出水のEC50は約10倍希釈であり、ヒノキチオール銅錯体は無効である。ヒバ抽出水に抗インフルエンザ活性が認められる理由は必ずしも明らかでないが、ヒバ抽出水中に微量ながら酸性油が溶解していることが一因であると考えられる。
【0030】
<試験2:ヒバ油の抗ウイルス効果試験>
(1)目的:前記試験1において、ヒバ油が非常に高い抗インフルエンザウイルス活性を有することが認められたので、ヒバ油の投与タイミングによる細胞に対するインフルエンザウイルスの感染の相違を調べる。
(2)試験標品:ヒバ油(試験1と同一のヒバ油水溶液)を、下表2の通りの各希釈倍率で用いる。
(3)試験方法:試験1とほぼ同様のFFUアッセイによるインフルエンザウイルスの感染試験を行う。。ただし、(i)培地(EAGLE MEM)を入れたマイクロプレートに所定量の培養したMDCK細胞(0.1ml)を添加し、(ii)これにインフルエンザウイルス液(試験1と同一のもの、以下「ウイルス液」)を0.1ml(生存ウイルス数約200個/培養液)を添加する。そして、(iii)37℃で1時間インフルエンザウイルスをMDCK細胞に吸着させ、(iv)ウイルス液を吸引除去し、培地を添加して吸引する洗浄を2〜3回行い、さらに37℃で16時間MDCK細胞を培養する。ここで、(i)の段階で各希釈率のヒバ油水溶液をマイクロプレートに添加して(ii)の段階までに所定時間(10分)をあける場合を「感染前処理」、(ii)の段階でウイルス液と共に各希釈率のヒバ油水溶液をマイクロプレートに添加する場合を「吸着時」、(iv)の段階で16時間の培養後にヒバ油水溶液を添加する場合を「吸着後」、(ii)及び(iv)の段階の両方で各希釈率のヒバ油水溶液をマイクロプレートに添加する場合を「吸着時・後」として、「感染前処理」、「吸着時」、「吸着後」、「吸着時・後」の4パターンで免疫染色により感染細胞(1FFU=1感染性ウイルス)を染色し計測する。
(4)試験結果:各試験区分に関し3回試験したFFUの平均値を求めた結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
試験2の結果から、「吸着時」、「吸着時・後」において高い抗インフルエンザウイルス活性が認められ、それらのEC50はヒバ油水溶液の約12,500,000倍(ヒバ油原液に換算して約20,833,333倍)希釈である。一方、「吸着後」においては抗インフルエンザウイルス活性は殆ど認められない。さらに、「感染前処理」では、「吸着時・後」とほぼ同等の効果が認められた。以上のことから、ヒバ油にはインフルエンザウイルスが細胞に吸着する際又はそれ以前に細胞に接することで、インフルエンザウイルスの細胞への感染阻害活性を奏すると認められるので、ヒバ油はインフルエンザウイルスの細胞への吸着阻害作用を有するものと考えられる。その作用メカニズムは必ずしも明らかではないが、ヒバ油が細胞側に作用してインフルエンザウイルスの細胞への吸着以後のステップを阻害する可能性があり、主たる感染阻害メカニズムは吸着阻害であるものと考えられる。
【0033】
<試験3:感染前処理時間の検討試験>
(1)目的:試験2の結果を受けて、ヒバ油によるインフルエンザウイルスの細胞への感染阻害効果の認められる感染前処理時間を検討する。
(2)試験標品:ヒバ油(試験1、試験2と同一のヒバ油水溶液)を、下表3の通りの各希釈倍率で用いる。
(3)試験方法:試験2の方法に従う。ただし本試験の場合、ヒバ油を細胞培養液へ添加するのはインフルエンザウイルスを細胞培養液へ添加する前であり、ヒバ油の添加からインフルエンザウイルスの添加までの時間を「感染前処理時間」として下表3の通り複数通りに変化させる。
(4)試験結果:各試験区分に関し3回試験したFFUの平均値を求めた結果を表3に示す。なお比較のため、インフルエンザウイルスとヒバ油水溶液とを同時に細胞培養液に添加する「吸着時」(試験2の試験方法を参照)におけるFFU値も測定する。
【0034】
【表3】

【0035】
試験3の結果から、ヒバ油によるインフルエンザウイルスの細胞への吸着(感染)阻害効果の認められる感染前処理時間については、2分では不十分であり、30分では「吸着時」とほぼ同様の効果が認められる。感染前処理時間が5分の場合、EC50はヒバ油水溶液の約500,000倍(ヒバ油原液に換算して約833,333倍)希釈であり、100,000倍(同、約166,667倍)希釈では「吸着時」の効果とほぼ遜色ない効果が認められる。以上のことから、ヒバ油によるインフルエンザウイルスの細胞への感染阻害メカニズムは、必ずしも明らかではないが、ヒバ油が細胞膜(おそらくインフルエンザウイルスレセプターかその近傍)に結合し、ウイルスの吸着を阻害する可能性が考えられるが、ヒバ油が細胞内へ浸透して当該細胞内でのインフルエンザウイルス増殖ステップを阻害するという可能性も考えられる。
【0036】
<試験4:ヒバ油の細胞毒性評価試験>
(1)目的:ヒバ油を利用した抗インフルエンザウイルス剤の人間を含む動物への使用を考慮して、ヒバ油の細胞毒性評価を行う。
(2)試験標品:ヒバ油(試験1、試験2、試験3と同一のヒバ油水溶液)を、適宜の各希釈倍率で用いる。
(3)試験方法:培養液中にヒバ油を添加してMDCK細胞を16時間培養した後(ただし、培養液及び細胞は前記試験1〜3と同様のものを使用)、MTT法によりミトコンドリアの酵素活性を測定する。
(4)試験結果:ヒバ油水溶液の25,000倍(ヒバ油原液に換算して約41,667倍)希釈では、酵素活性が72%に低下するが、125,000倍(同、約208,333倍)希釈では細胞毒性は認められない。また、ヒバ油水溶液を30分間感染前処理する場合では、1,000倍(同、約1,667倍)希釈でも細胞毒性は認められない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施形態に係る吸入具及びその使用態様を概略的に示す図。
【図2】本発明の第二実施形態に係る吸入具及びその使用態様を概略的に示す図。
【図3】本発明の第三実施形態に係る吸入具及びその使用態様を概略的に示す図。
【図4】本発明の第四実施形態に係るマスク及びその使用態様を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0038】
A1,A2,A3…吸入具
A1a,A2a,A3a…容器部
A1b,A2b,A3b…噴射手段
A1c,A2c,A3c…導出手段
A4…マスク
A4a…マスク本体
A4b…内布
A4c…保持部
B1…ヒノキ科植物の抽出物(ヒバ油溶液)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間への病原体感染を防除するヒノキ科植物の抽出物を貯留する容器部と、該容器部から前記抽出物を噴射する噴射手段と、該噴射手段により噴射された抽出物を使用者の口内若しくは鼻内又はその両方へ導く導出部とを具備してなることを特徴とする吸入具。
【請求項2】
前記噴射手段が、前記容器部に前記抽出物と共に封入されたガスのガス圧を利用して当該抽出物を前記導出部を通じて噴射するものである請求項1記載の吸入具。
【請求項3】
前記噴射手段が、前記容器部内の前記抽出物を汲み上げて噴射するポンプ機構を利用するものである請求項1記載の吸入具。
【請求項4】
前記噴射手段が、前記容器部内の前記抽出物を加温して当該抽出液を蒸気として噴射するものである請求項1記載の吸入具。
【請求項5】
前記導出部が、使用者の口若しくは鼻又はその両方を覆うマスク型をなすものである請求項1、2、3又は4記載の吸入具。
【請求項6】
前記導出部が、使用者の口腔内若しくは鼻腔内又はその両方に挿入されるパイプ型をなすものである請求項1、2、3、4又は4記載の吸入具。
【請求項7】
前記抽出物は、ヒノキ科植物の抽出油である請求項1、2、3、4、5又は6記載の吸入具。
【請求項8】
前記抽出油は、ヒノキ科植物の破砕物又は粉末を水蒸気蒸留により得られる抽出物中の親油性成分を含有するものである請求項7記載の吸入具。
【請求項9】
使用者の口若しくは鼻又はその両方に設定される所定の使用位置にあてがわれるマスク本体と、該マスク本体内に設けられる内布と、前記マスク本体に取り付けられて該マスク本体を使用者の顔の前記使用位置に保持する保持部とを具備してなり、前記内布に、人間への病原体感染を防除するヒノキ科植物の抽出物を含浸させていることを特徴とするマスク。
【請求項10】
前記抽出物は、ヒノキ科植物の抽出油である請求項7記載のマスク。
【請求項11】
前記抽出油は、ヒノキ科植物の破砕物又は粉末を水蒸気蒸留により得られる抽出物中の親油性成分を含有するものである請求項10記載のマスク。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−94964(P2006−94964A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282570(P2004−282570)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(504364851)有限会社ジーレム研究所 (3)
【Fターム(参考)】