説明

吸収式冷凍機

【課題】吸収式冷凍機において、汲み上げ温度差を大きすると共に、伝熱管の拡管部の漏れを防止すること。
【解決手段】低温蒸発器17、低温吸収器11、高温蒸発器14及び高温吸収器6を一つの缶体60で構成する。複数の伝熱管19、8が水平配置された低温蒸発器17と高温吸収器6の間に、複数の伝熱管16が垂直配置された低温吸収器11と高温蒸発器14を配置する。複数の垂直な伝熱管16の上部から各伝熱管内に冷媒液を供給する。第一の管板50、51を2枚用いて低温蒸発器、低温吸収器、高温蒸発器及び高温吸収器にまたがる缶体両側面を形成する。低温蒸発器17の複数の伝熱管19の両端及び高温吸収器6の複数の伝熱管8の両端を2枚の第一の管板50、51に拡管固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収式冷凍機に係り、特に、2組の蒸発器と吸収器を有し、高圧側の蒸発器によって低圧側の吸収器を冷却する構成とした2段吸収冷凍機に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、特開平7−139844号公報(特許文献1)に示された2段吸収式ヒートポンプ装置がある。
【0003】
この特許文献1では、2組の蒸発器と吸収器が設置され、高温側の蒸発器で低温側の吸収器を冷却する構成となっている。低温側吸収器から高温側蒸発器への熱輸送は、ヒートパイプ23を用いた実施例と、高温側蒸発器の液冷媒を低温側吸収器の伝熱管内に循環させて吸収熱を奪い高温側蒸発器内でフラッシュ蒸発させる実施例が示されている。また、低温側の蒸発器の液冷媒を散布する冷媒ポンプの吸込配管と高温側蒸発器の下部とを連通する配管の構成が示されている。
【0004】
また、他の従来技術として、特開2000−227262号公報(特許文献2)に示された吸収式冷凍機がある。
【0005】
この特許文献2では、2組の蒸発器と吸収器を有し、低温側蒸発器,低温側吸収器,高温側蒸発器,高温側吸収器の順に隣り合わせて同一の缶体で構成し、高温側蒸発器と低温側吸収器とは蛇腹状の伝熱面を介して隣り合っており、高温側蒸発器の伝熱面の近傍に液冷媒を散布する液冷媒散布手段を、低温側吸収器の伝熱面の近傍に溶液を散布する溶液散布手段をそれぞれ配設し、液冷媒散布手段を溶液散布手段よりも上方に位置させている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−139844号公報
【特許文献2】特開2000−227262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、低温側吸収器から高温側蒸発器への熱輸送に、ヒートパイプによる熱輸送あるいは液冷媒の顕熱による熱輸送を行っているために、熱交換温度差が大きくなり、その分サイクルの汲み上げ温度差が小さくなるという問題があった。
【0008】
他方、前記特許文献2では、高温側蒸発器と低温側吸収器は伝熱面を介して隣接しており、低温側吸収器の吸収熱を高温側蒸発器に直接伝える構成となっており、特許文献1に比較して熱交換温度差を小さくでき、その分サイクルの汲み上げ温度差を大きくすることができる。
【0009】
しかし、この特許文献2では、高温側蒸発器から高温側吸収器への蒸気の流動抵抗については配慮がなされていない。即ち、高温側蒸発器の表面から発生する蒸気は上昇しようとするが、散布装置があるため上方への蒸気の抜けが悪く流動抵抗が大きくなる。この抵抗が大きいと、高温側吸収器での蒸気の吸収効率が悪くなり、高温側吸収器と高温側蒸発器との温度差を大きくなり、その分サイクルの汲み上げ温度差が小さくなるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2では、低温蒸発器と高温吸収器に水平配置された複数の伝熱管を管板に拡管固定する構成について具体的に記載されていない。複数の伝熱管を管板に拡管固定する場合には、伝熱管の拡管部での漏れを防止することが重要である。
【0011】
なお、特許文献2では、蛇腹状の伝熱面からなる低温吸収器と高温蒸発器を配置している複雑な構造であるため、製作が面倒になるという課題もある。
【0012】
本発明の目的は、汲み上げ温度差を大きくできると共に、伝熱管の拡管部の漏れを防止できる吸収式冷凍機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を達成するために、本発明では、低温蒸発器、低温吸収器、高温蒸発器、高温吸収器、再生器、凝縮器、溶液熱交換器、冷媒ポンプ及び溶液循環ポンプを溶液配管及び冷媒配管で接続して溶液・冷媒循環回路を構成し、前記低温吸収器の吸収熱を前記高温蒸発器の蒸発潜熱で冷却する吸収式冷凍機において、前記低温蒸発器、前記低温吸収器、前記高温蒸発器及び前記高温吸収器を一つの缶体で構成し、複数の伝熱管が水平配置された前記低温蒸発器と前記高温吸収器の間に、複数の伝熱管が垂直配置された前記低温吸収器と前記高温蒸発器を配置し、前記垂直配置された複数の伝熱管の外側を前記低温吸収器として前記低温蒸発器に連通させ、前記垂直配置された複数の伝熱管の外側を前記高温蒸発器として前記高温吸収器に連通させ、前記複数の垂直な伝熱管の上部から各伝熱管内に冷媒液を供給するように構成し、第一の管板を2枚用いて前記低温蒸発器、前記低温吸収器、前記高温蒸発器及び前記高温吸収器にまたがる缶体両側面を形成し、前記低温蒸発器の複数の伝熱管の両端及び前記高温吸収器の複数の伝熱管の両端を前記2枚の第一の管板に拡管固定したことにある。
【0014】
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
(1)前記第一の管板の板厚を前記缶体を構成する外壁の板厚より厚くしたこと。
(2)前記高温蒸発器及び前記低温吸収器を内外に形成する前記複数の伝熱管の両端を第二の管板に拡管固定し、前記第二の管板の両端を前記第一の管板の内面に溶接固定したこと。
(3)前記第一の管板の板厚を前記缶体を構成する外壁の板厚より厚くして前記第一の管板と同じ厚さにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低温吸収器と高温蒸発器の間の熱交換温度差を小さくするとともに、高温蒸発器から高温吸収器までの蒸気流動抵抗を小さくすることができ、汲み上げ温度差を大きくでき、しかも、缶体の変形を防止して拡管部でのシール性を向上でき、拡管部での漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例に係る吸収式冷凍機を図1から図5面を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明の係る吸収式冷凍機のサイクル系統図である。吸収式冷凍機は、再生器1、凝縮器4、高温吸収器6、高温蒸発器14、低温吸収器11、低温蒸発器17、溶液熱交換器25、26、溶液ポンプ22、23、24、冷媒ポンプ20、21などを備えている。ここで、冷媒は水で、溶液は蒸発した水を吸収する臭化リチウム水溶液である。
【0018】
再生器1内には、伝熱管3が備えられ、その伝熱管3の上方に溶液散布装置2が配置されている。凝縮器4の内部には伝熱管5が備えられている。再生器1と凝縮器4とは蒸気通路29を介して接続されている。再生器1の底部は、溶液ポンプ24及び溶液熱交換器26を介して、高温吸収器6の上部に設けられた溶液散布装置7と配管で接続されている。
【0019】
低温蒸発器17、低温吸収器11、高温蒸発器14及び高温吸収器6は、一つの缶体で構成されている。また、高温蒸発器14及び低温吸収器11は一体型蒸発吸収器10で構成され、低温蒸発器17と高温吸収器6との間に配置されている。高温吸収器6と一体型蒸発吸収器10との間にはエリミネータ9が設けられ、低温蒸発器17と一体型蒸発吸収器10との間にはエリミネータ13が設けられている。一体型蒸発吸収器10は、隔壁30により、高温蒸発器側空間14aと低温吸収器側空間11aとに区画されている。隔壁30は、その上部及び下部に水平に延びる第二の管板52、53を有している。
【0020】
高温吸収器6の内部にはほぼ水平に配置された複数の伝熱管8が配置され、高温吸収器6の下部には溶液タンク33が設けられている。溶液タンク33の底部は、溶液ポンプ23、溶液熱交換器25及び配管を介して、低温吸収器5の上部に設けられた溶液散布装置12と接続されている。
【0021】
高温蒸発器14は、ほぼ垂直に配置された複数の伝熱管16の管内に構成されている。伝熱管16の上部は、冷媒散布装置15に開口され、高温蒸発器側空間14a、エリミネータ9を介して高温吸収器6に接続されている。伝熱管16の下部は高温蒸発器側空間14aに開口され、エリミネータ9を介して高温吸収器6に接続されている。高温蒸発器14の下部には冷媒タンク34が設けられている。冷媒タンク34は、絞り28及び配管を介して、凝縮器4の底部と接続されている。冷媒タンク34の底部は、連通管27を介して低温蒸発器17の底部と接続されるとともに、冷媒ポンプ21及び配管を介して高温蒸発器14の上部に設けられた冷媒散布装置15に接続されている。
【0022】
低温吸収器11は伝熱管16の管外に構成されている。低温吸収器11の上部には、伝熱管16が貫通され、伝熱管16のまわりから伝熱管16の外面に溶液を供給する溶液散布装置12が備えられている。低温吸収器11の下部には溶液タンク35が設けられている。溶液タンク35の底部は、溶液ポンプ22、溶液熱交換器25、26及び配管を介して、高温再生器1の上部に設けられた溶液散布装置2に接続されている。
【0023】
低温蒸発器17の内部には水平配置された複数の伝熱管19が備えられており、上部には冷媒散布装置18が配置されており、エリミネータ13を介して低温吸収器11と接続している。低温蒸発器17の下部には冷媒タンク36が設けられている。冷媒タンク36の底部は、前記したように連通管27を介して高温蒸発器14と接続されるとともに、冷媒ポンプ20及び配管を介して低温蒸発器17の上部に設けられた冷媒散布装置18に接続されている。
【0024】
このように構成した吸収式冷凍機の動作は以下の通りである。
【0025】
再生器1において溶液散布装置2から散布された溶液は、伝熱管3上で管内を流れる加熱媒体と熱交換して冷媒蒸気を発生する。冷媒蒸気を発生して濃縮された溶液は、溶液ポンプ24により溶液熱交換器26に送られ、低温吸収器11からの溶液と熱交換して冷却され、高温吸収器6の溶液散布装置7に送られる。
【0026】
高温吸収器6において溶液散布装置7から散布された溶液は、伝熱管8上で高温蒸発器14からの冷媒蒸気を吸収し、冷媒吸収により発生した吸収熱は伝熱管8内を流れる冷却水により冷却される。冷媒蒸気を吸収して濃度が薄くなった溶液は、高温吸収器6の下部の溶液タンク33に一旦溜められて、溶液ポンプ23により溶液熱交換器25に送られる。溶液熱交換器25で低温吸収器11からの溶液と熱交換して冷却され、低温吸収器11の溶液散布装置12に送られる。
【0027】
低温吸収器11において溶液散布装置12から伝熱管16の外面に供給された溶液は、垂直な伝熱管16の外面に流下され、その流下する間に低温蒸発器17からの冷媒蒸気を吸収する。冷媒吸収により発生した吸収熱は、伝熱管16の内面を流下する冷媒により冷却される。冷媒蒸気を吸収して濃度がさらに薄くなった溶液は、低温吸収器11の下部の溶液タンク35に一旦溜められて、溶液ポンプ22により溶液熱交換器25に送られる。溶液熱交換器25で高温吸収器6からの溶液と熱交換して温度上昇した溶液は、溶液熱交換器26で再生器1からの溶液と熱交換してさらに温度上昇した後に、再生器1の溶液散布装置2に送られる。
【0028】
一方、再生器1で発生した冷媒蒸気は、蒸気通路29を通って凝縮器4に送られ、伝熱管5の表面で凝縮液化する。この時の凝縮熱は伝熱管5内を流れる冷却水で冷却される。凝縮液化した冷媒は、凝縮器4の底部から絞り28を通って、高温蒸発器14の下部の冷媒タンク34に一旦溜められる。
【0029】
冷媒タンク34に溜められた液冷媒は、連通管27で低温蒸発器17に送られるとともに、冷媒ポンプ21により高温蒸発器14上部の冷媒散布装置15に送られる。冷媒散布装置15に送られた液冷媒は、伝熱管16の上部の開口部から管内壁に沿って液膜となって流下し、管外を流下する溶液からの吸収熱を受けて蒸発する。蒸発した冷媒蒸気は、伝熱管16の管内壁に沿って流下する冷媒液膜の内側を通って、伝熱管16の上下の開口部から高温蒸発器側空間14aへ流出され、さらにはエリミネータ9を通って高温吸収器3へ送られる。伝熱管16の内面で蒸発しきれなかった液冷媒は、高温蒸発器14の下部の冷媒タンク34に溜められる。
【0030】
上述したように、一体型蒸発吸収器10を構成する、複数の伝熱管16上部から伝熱管16内に冷媒液を供給する構成としたので、伝熱管16内の二相流が圧力損失の大きいボイド流やスラグ流にならず、管内断面周囲に冷媒の流下液膜が形成され、その内側を冷媒蒸気が流れる環状流となる。従って、圧力損失が小さくなり、流れ方向の圧力分布と蒸発温度の変化が小さくなり、伝熱管全体が有効に働くことによって伝熱面積を小型化できる。
【0031】
また、連通管27を通って高温蒸発器14から低温蒸発器17に送られた液冷媒は、冷媒ポンプ20により低温蒸発器17上部の冷媒散布装置18に送られる。冷媒散布装置18の液冷媒は伝熱管19に散布され、伝熱管19内を流れる冷水から熱を奪って蒸発し、エリミネータ13を通って低温吸収器11に送られる。伝熱管19上で蒸発しきれなかった液冷媒は低温蒸発器17の下部の冷媒タンク36に溜められる。
【0032】
以上説明したように、本実施例の吸収式冷凍機においては、垂直に設置した複数の伝熱管16の外面で冷媒蒸気を溶液に吸収し、その吸収熱を伝熱管16の内面を流下する液冷媒の蒸発潜熱で直接冷却するようにしているので、低温吸収器11と高温蒸発器14の間の熱交換温度差を小さくすることができる。これとともに、高温蒸発器14の圧力が低温蒸発器17の圧力よりも高く、高温蒸発器14と低温蒸発器17の底部が連通管27を介して連通しているので、高温蒸発器14の下部の冷媒タンク35に溜められる液冷媒の液面高さは低温蒸発器17の下部の冷媒タンク36に溜められる液冷媒の液面高さよりも低い状態で運転される。
【0033】
これにより冷媒タンク34と溶液タンク33との間の仕切りの高さは、冷媒タンク36と溶液タンク35との間の仕切りの高さよりも低くできるので、高温蒸発器14と高温吸収器6との蒸気通路(エリミネータ9)の流路面積を広くすることができ、冷媒蒸気の流動抵抗を小さくできる。この抵抗の減少により冷媒蒸気の高温吸収器6での吸収効率が高まり、高温吸収器6と高温蒸発器14の間の温度落差を大きくすることができ、低温蒸発器17から高温吸収器6までの汲み上げ温度差を大きくすることができる。
【0034】
また、高温蒸発器14の伝熱管16の上部の開口と下部の開口の両方から冷媒蒸気を導いて、高温吸収器6に送るようにしたので、冷媒蒸気の流動抵抗を小さくすることができる。これにより、高温吸収器6と高温蒸発器14との間の温度落差を大きくすることができ、低温蒸発器17から高温吸収器6までの汲み上げ温度差を大きくすることができる。逆に、汲み上げ温度差が同等であれば、各蒸発器、吸収器の伝熱面積を小さくして、小型で低コストな吸収式冷凍機を提供することができる。
【0035】
次に、図2から図5を参照しながら、低温蒸発器17、低温吸収器11と高温蒸発器14とからなる一体型蒸発吸収器10、高温吸収器6の構成について説明する。
【0036】
図2は、図1に示す低温蒸発器17、低温吸収器11と高温蒸発器14とからなる一体型蒸発吸収器10、高温吸収器6を構成する缶体60の側面図である。
【0037】
缶外壁61は、複数の鋼板部材を溶接して角型筒状に形成され、前後面が開口されている。第一の管板50、51は、低温蒸発器17及び高温吸収器6内に水平配置される複数の伝熱管19、8を拡管固定するための鋼板部材であり、缶外壁61の前後の開口を塞ぐように缶外壁61に溶接されている。第一の管板50、51は、缶外壁61より厚い一枚の部材で形成されている。ヘッダ54、55は、高温吸収器6の伝熱管8を流れる冷却水を分配するためのものであり、伝熱管8の両端開口部を覆うように第一の管板50、51の外側に溶接されている。
【0038】
図3は図2のA−A断面図である。第二の管板52、53は、一体型蒸発吸収器10を構成する垂直に配置された複数の伝熱管16を拡管固定するための鋼板部材であり、上下に対向して配置されて水平に延びている。なお、第二の管板52、53は、前述したように隔壁30の一部を構成している。
【0039】
図4は図3のB−B断面図である。ヘッダ56、57は、低温蒸発器17の伝熱管19内を流れる冷水を分配するためのものであり、伝熱管8の両端開口部を覆うように第一の管板50、51の外側に溶接されている。第二の管板52、53は、缶外壁61より厚い一枚の部材で形成され、第一の管板50、51の板厚とほぼ同じ板厚で形成されている。
【0040】
低温蒸発器17、一体型蒸発吸収器10、高温吸収器6は、図3及び図4に示すように一つの缶体60で形成されている。低温蒸発器17と高温吸収器6との間に一体型蒸発吸収器10を配置して、低温蒸発器17の伝熱管19及び高温吸収器6の伝熱管8の両端に図5に示す第一の管板50、51を配置するとともに、第一の管板50と51との間の外周を缶外壁61で構成している。
【0041】
このように、低温蒸発器17の伝熱管19及び高温吸収器6の伝熱管8を拡管固定するための第一の管板50、51を、図3から図5に示すように一体型蒸発吸収器10をまたがって一枚の鋼板部材で形成しているので、部品点数及び溶接箇所を最小限に抑えることができる。これにより、第一の管板50、51の溶接による缶体の変形を防止することができ、第一の管板50、51への伝熱管19、8の挿入がスムーズにできるので、拡管部でのシール性が向上でき、拡管部での漏れを防止することができる。
【0042】
また、一体型蒸発吸収器10の伝熱管16の両端部が第二の管板52、53に拡管固定されるとともに、第二の管板52、53の長手方向の両端は、第一の管板50、51に溶接固定されている。したがって、外壁61より厚い鋼板部材の第二の管板52、53を溶接で固定する場合に、第二の管板52、53と同様に外壁61より厚い鋼板部材の第一の管板50、51に、第二の管板52、53の両端を溶接固定することができる。これにより、第二の管板52、53の溶接による変形を防止することができ、第二の管板52、53への伝熱管16の挿入がスムーズにできるので、拡管部でのシール性が向上でき、拡管部での漏れを防止することができる。
【0043】
なお、第一の管板50に伝熱管19、8を拡管固定するとともに、第一の管板50に他の缶外壁61の一部、第二の管板52、53を含む隔壁30などの一側を溶接固定し、これらの他側を第一の管板51に拡管固定及び溶接固定することにより、缶体60が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例に係る吸収式冷凍機のサイクルフローを示す図である。
【図2】図1の吸収式冷凍機の缶体の側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図2の第一の管板の正面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…再生器、2…溶液散布装置、3…伝熱管、4…凝縮器、5…伝熱管、6…高温吸収器、7…溶液散布装置、8…伝熱管、9…エリミネータ、10…一体型蒸発吸収器、11…低温吸収器、12…溶液散布装置、13…エリミネータ、14…高温蒸発器、15…冷媒散布装置、16…伝熱管、17…低温蒸発器、18…冷媒散布装置、19…伝熱管、20、21…冷媒ポンプ、22、23、24…溶液ポンプ、25、26…溶液熱交換器、27…連通管、28…絞り、29…蒸気通路、30…隔壁、33…溶液タンク、34…冷媒タンク、35…溶液タンク、36…冷媒タンク、50、51…第一の管板、52、53…第二の管板、60…缶体、61…缶外壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温蒸発器、低温吸収器、高温蒸発器、高温吸収器、再生器、凝縮器、溶液熱交換器、冷媒ポンプ及び溶液循環ポンプを溶液配管及び冷媒配管で接続して溶液・冷媒循環回路を構成し、
前記低温吸収器の吸収熱を前記高温蒸発器の蒸発潜熱で冷却する吸収式冷凍機において、
前記低温蒸発器、前記低温吸収器、前記高温蒸発器及び前記高温吸収器を一つの缶体で構成し、
複数の伝熱管が水平配置された前記低温蒸発器と前記高温吸収器の間に、複数の伝熱管が垂直配置された前記低温吸収器と前記高温蒸発器を配置し、
前記垂直配置された複数の伝熱管の外側を前記低温吸収器として前記低温蒸発器に連通させ、
前記垂直配置された複数の伝熱管の外側を前記高温蒸発器として前記高温吸収器に連通させ、
前記複数の垂直な伝熱管の上部から各伝熱管内に冷媒液を供給するように構成し、
第一の管板を2枚用いて前記低温蒸発器、前記低温吸収器、前記高温蒸発器及び前記高温吸収器にまたがる缶体両側面を形成し、
前記低温蒸発器の複数の伝熱管の両端及び前記高温吸収器の複数の伝熱管の両端を前記2枚の第一の管板に拡管固定した
ことを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項2】
請求項1において、前記第一の管板の板厚を前記缶体を構成する外壁の板厚より厚くしたことを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項3】
請求項2において、前記高温蒸発器及び前記低温吸収器を内外に形成する前記複数の伝熱管の両端を第二の管板に拡管固定し、前記第二の管板の両端を前記第一の管板の内面に溶接固定したことを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項4】
請求項3において、前記第一の管板の板厚を前記缶体を構成する外壁の板厚より厚くして前記第一の管板と同じ厚さにしたことを特徴とする吸収式冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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