説明

吸収性コア

例えば経血又は血液を吸収するための、使い捨て吸収性物品用の吸収性コア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年7月15日出願の、米国仮出願第61/364,450号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、吸収性物品、例えば生理用ナプキンなどのための吸収性コアに関する。
【背景技術】
【0003】
経血又は血液又は膣排泄物などのような体液を吸収するための吸収性物品は、当該技術分野において周知であり、例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具などの婦人衛生用品、及び創傷包帯などを含む。例えば、生理用ナプキンを想定した場合、これらの物品は着用者に面する層としての液体透過性トップシート、衣類に面する層としてのバックシート、及びトップシートとバックシートとの間の吸収性コアを通常含む。体液は、トップシートを通して捕捉され、その後、吸収性コア内に貯蔵される。通常バックシートは、吸収された流体が着用者の衣類を濡らすのを防ぐ。
【0004】
吸収性コアは通常1つ又はそれ以上の繊維状吸収材料を含むことができ、更にこれは例えばセルロース繊維、典型的には木材パルプ繊維、合成繊維又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0005】
吸収性物品は、その吸収特性及び保持特性を改善するために、通常は微細分散した形態の、例えば、典型的には粒子形状の、吸収性ゲル材料(AGM)などの超吸収性材料を、通常は吸収性コアの中に更に含むことができる。吸収性物品で用いる超吸収性材料は、典型的には、大量の液体を吸収し、適度の圧力下でこのような吸収された液体を保持することができる、水不溶性、水膨潤性、ヒドロゲル形成架橋吸収性ポリマーを含む。吸収性ゲル材料は、吸収性物品中に、通常はコア構造中に異なる方法で組み込むことができ、例えば、粒子形状の吸収性ゲル材料を、コアに含まれる繊維層の繊維の中に分散させるというか、繊維層間により高濃度に局在させるといった方法である。
【0006】
薄い構造を持った吸収性物品用の吸収性コアは、特に物品が完全に又は部分的に液体で満たされた場合、吸収性ゲル材料に改良した不動化をもたらし、着用感の向上をもたらすことができる。このようなより薄い構造、例えば、吸収性ゲル材料が構造体自体の選択された、例えば模様付きの区域に配置され、何らかの形で保持されている薄い吸収性構造体により、向上した快適さ、目立ちにくさ、適応性を合わせ持った吸収性物品が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、吸収性物品の吸収性コア構造体に3層複合体基材層を組み込むことにより、上記領域において顕著な改善をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸収性物品のための吸収性コアを提供することによって上記のニーズに対処し、この吸収性コアは第1表面と第2表面とを有する基材層を備え、吸収性コアは更に第1表面と第2表面とを有する吸収性ポリマー材料の層を備え、吸収性コアはまた第1表面と第2表面とを有する接着剤層を備える。吸収性ポリマー材料の層は、接着剤層と基材層との間に設けられる。吸収性ポリマー材料の層の第2表面は基材層の第1表面に接触しており、吸収性ポリマー材料の層の第1表面は接着剤層の第2表面に接触している。基材層は、繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層と第3の層との複合体を含む。第1の層及び第3の層は、約1〜約6.0の平均繊維デニールを有する合成繊維を含む。このような複合体は、パルプを備える第2の層を更に含む。第1の層は、層間の結合によって第2の層の面に向かい合わせに接合し、第3の層は層間の結合によって第2の層の第2の面に向かい合わせに接合する。結合は、層間の繊維の絡み合いを含む別の実施形態では、本発明は、吸収性物品用吸収性コアに関し、この吸収性物品は第1表面と第2表面とを含む基材層を備え、吸収性コアは更に、第1表面と第2表面とを含む吸収性ポリマー材料の層を備え、吸収性コアはまた、第1表面と第2表面とを含む接着剤層を備え、吸収性コアは更にカバー層を備え、かかるカバー層は第1表面と第2表面とを含む。吸収性ポリマー材料の層は、接着剤層と基材層との間に設けられる。吸収性ポリマー材料の層の第2表面は基材層の第1表面に接触しており、吸収性ポリマー材料の層の第1表面は接着剤層の第2表面に接触している。接着剤層は、吸収性ポリマー材料の層とカバー層の間に設けられる。カバー層の第2表面は、接着剤層の第1表面に接触している。カバー層は、繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層と第3の層との複合体を含む。第1の層及び第3の層は、約1〜約6.0の平均繊維デニールを有する合成繊維を含む。このような複合体は、パルプを備える第2の層を更に含む。第1の層は、層間の結合によって第2の層の面に向かい合わせに接合し、第3の層は層間の結合によって第2の層の第2の面に向かい合わせに接合する。結合は、層間の繊維がことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】下部にある要素を示すためにいくつかの構成要素のいくつかの部分が切り取られた、本発明の実施形態による吸収性コアを示す生理用ナプキンの平面図。
【図2】横軸A−A’で切断した図1の生理用ナプキンの概略断面図。
【図3】本発明の1つの実施形態による吸収性コアの概略断面図。
【図4】本発明の別の実施形態による吸収性コアの概略断面図。
【図5】本発明の更なる実施形態による吸収性コアの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具、創傷包帯、おむつ、アダルト失禁物品などの、経血若しくは血液又は膣排泄物又は尿のような体液の吸収を目的とする吸収性物品用の、吸収性コアに関する。本発明に関連する代表的な吸収性物品は使い捨て吸収性物品である。本明細書では、用語「使い捨て」は、洗濯又は別の方法で物品として再生又は再利用されることを意図しない物品(すなわち、これらは1回使用後に廃棄され、場合によりリサイクルされるか、堆肥化されるか、又は別の方法で環境に適した方法で処分されることを意図する)を記述するために使用される。本発明による吸収性コアを有する吸収性物品は、例えば生理用ナプキン又はパンティライナーであってよい。本発明の吸収性コアは、例えば図1に示される生理用ナプキン20のような、典型的な吸収性物品を背景において本明細書に記述される。典型的には、図1に示すような物品は、液体透過性トップシート30、バックシート40、並びに前記トップシート30及び前記バックシート40の中間にある吸収性コア28の要素を含むことができる。
【0011】
本発明の以下の説明において、使用中に着用者の方向に面する物品又はその各要素の表面を、着用者に面する表面と名付ける。反対に、使用中に衣類の方向を向く表面を、衣類に面する表面と名付ける。したがって、本発明の吸収性物品、並びにそのいずれかの要素、例えば吸収性コアなどは、着用者に面する表面及び衣類に面する表面を有する。
【0012】
トップシート
本発明によれば、吸収性物品は液体透過性トップシートを含み得る。本明細書において用いるのに好適なトップシートは、織布、不織布及び/又は液体透過性開口部を含む液体不透過性ポリマーフィルムの三次元ウェブを含み得る。図1において、トップシートは、参照番号30で示されている。本明細書に用いるトップシートは単一層であり得るが、又は多数の層を備えてもよい。例えば、着用者に面する表面から吸収性構造体に向かう液体の移送を促進するために設けられた孔部を有するフィルム材料によって、着用者に面し接触する表面を提供することができる。かかる液体透過性有孔フィルムは、当該技術分野において周知である。それらは、弾性的な三次元繊維様構造体を提供する。このようなフィルムは、例えば、米国特許第3929135号、同第4151240号、同第4319868号、同第4324426号、同第4343314号、同第4591523号、同第4609518号、同第4629643号、同第4695422号、又はPCT国際公開特許WO 96/00548号に詳細に開示されている。
【0013】
吸収性コア
本発明の実施形態によれば、また例えば図2及び図3の実施形態に示されるように、吸収性コア28は基材層100、吸収性ポリマー材料110の層、接着剤層120を備えることができる。通常、接着剤はホットメルト接着剤であり得る。本発明の実施形態においては、接着剤層120は通常、例えば繊維化したホットメルト接着剤層120であり得る。基材層100は、例えば繊維状材料を含むことができる。
【0014】
本発明の別の実施形態が図4及び5に示される。図4及び5に示される吸収性コアは、カバー層130を更に備えることができる。カバー層に好適な材料は、例えば、不織布材料であり得る。
【0015】
図2〜4に示す実施形態の基材層100、及び図5に示す実施形態の基材層101は、それぞれ第1表面と第2表面とを備える。通常、添付図に例示されるすべての断面図において、各層の第1表面は最上部の表面に相当することになっており、言いかえれば、他に記載のない限り、吸収性コアを組み込んだ物品20の着用者に面する表面に相当し、一方第2表面は底部の表面、したがって言いかえれば、衣類に面する表面に相当する。基材層100、101の第1表面の少なくとも一部は、吸収性ポリマー材料110の層と接触する。この吸収性ポリマー材料110の層は第1表面及び第2表面を備え、通常均一又は不均一な層であり得、ここで「均一」又は「不均一」は、吸収性ポリマー材料110が基材層100、101の上に、分布に関与する区域に渡ってそれぞれ均一又は不均一な坪量で分布され得ることを意味する。反対に、吸収性ポリマー材料110の層の第2表面は、基材層100、101の第1表面と少なくとも部分的に接触している。本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料110の層もまた、一般的に開口部、すなわち実質的に吸収性ポリマー材料がない区域を含む層である不連続層であってよく、特定の実施形態においては、開口部が、典型的には吸収性ポリマー材料を含む区域で完全に囲まれていてよい。典型的にはこれらの開口部は、10mm未満、又は5mm、又は3mm、又は2mm、又は1.5mm未満で、かつ0.5mm又は1mmを超える直径又は最大径間を有する。吸収性ポリマー材料110の層の第2表面の少なくとも一部は、基材層材料100、101の第1表面の少なくとも一部と接触している。吸収性ポリマー材料110の層の第1表面は、基材材料の層100、101の第1表面上において吸収性ポリマー材料の層の特定高さを画定する。吸収性ポリマー材料110の層が不均一層、典型的には例えば不連続層として提供されるとき、基材層100、101の第1表面の少なくとも一部分は、吸収性ポリマー材料110で覆われない。吸収性コア28は更に接着剤層120、例えば典型的にはホットメルト接着剤の層を備える。この典型的にはホットメルトの接着剤層120は、吸収性ポリマー材料110を少なくとも部分的に不動化するように機能する。本発明の一実施形態によれば、接着剤120は通常繊維化したホットメルト接着剤でよく、すなわち繊維層のような繊維で供給される。
【0016】
本発明の別の実施形態では、図4及び5に示されるように、吸収性コア28は、第1及び第2表面をそれぞれ有するカバー層130を更に備えることができ、このカバー層は、カバー層130の第2表面が典型的にはホットメルト接着剤である接着剤層120の第1表面と接触するように、配置される。
【0017】
例えば吸収性ポリマー材料110の不均一層を含む本発明の一実施形態では、例えば通常繊維層として供給される典型的にはホットメルト接着剤である接着剤120は、部分的に吸収性ポリマー材料110と接触し、かつ部分的に基材層100、101に接触していてよい。このような構造体において、吸収性ポリマー材料110層は不連続層として提供され、この吸収性ポリマー材料110の層上に接着剤層120、通常は例えば繊維化形態であるホットメルト接着剤層が、この接着剤層120の第2表面が吸収性ポリマー材料110の層の第1表面に直接接触するのみならず、基材層100、101の第1表面とも直接接触するように置かれ、ここでは基材層は吸収性ポリマー材料110に覆われておらず、すなわち典型的には吸収性ポリマー材料110の不連続層の開口部に相当する。本明細書において使用される場合、「直接接触している」、またより一般的に「接触している」と述べることによって、例えば接着剤層120とこれに直接接触する他の各層との間に、更なる中間構成要素層、例えば更なる繊維層などが存在しないことを意味する。しかし、接着剤層120と、(存在する場合には)任意的なカバー層130との間、又は吸収性ポリマー材料110の層との間、又はより典型的には基材層100、101との間に、更なる接着剤材料が備えられ得ることは排除されず、例えば、追加の接着剤材料が基材層100、101の第1表面上に設けられて、被覆する吸収性ポリマー材料110を更に安定化させ得る。したがって、「直接接触している」及び「接触している」はこの文脈においては、ホットメルト接着剤層120と上に述べたような他の各層との間の直接的な接着接触、又はより一般的に、2つの層、例えば吸収性ポリマー材料の層と基材層との間の直接的な接触、通常は接着接触を含むと考えることができる。このことは、それ自体が本質的にx方向及びy方向の広がりに比べて厚さ(z方向)が比較的小さい二次元構造体であるホットメルト接着剤の繊維層120に、本質的に三次元の構造を付与する。換言すれば、接着剤層120は、吸収性ポリマー材料110の第1表面と基材層100、101の第1表面との間で波状になり得る。接着剤層120が本発明の実施形態により存在する場合には、同接着剤層が基材層100と直接接触している区域は接合区域(図示せず)である。
【0018】
図3〜5に示す本発明の実施形態、並びに上述した実施形態では、接着剤120及び基材層100、101は、吸収性ポリマー材料110を保持するための空間を提供することができ、よってこの材料を不動化できる。更なる態様では、基材層100、101の周囲に沿って、接着剤120を基材層100、101に接着し、それにより吸収性ポリマー材料110を基材層100、101に固着することができる。典型的なホットメルト接着剤材料はまた、吸収性ポリマー材料110と基材層100、101との両方に浸透し、それゆえ更なる不動化及び固着をもたらすことができる。
【0019】
図4及び5に代表的に示される実施形態では、カバー層130の部分が接着剤120を介して基材層100、101の周囲部分に固着する。これにより、基材層100、101はカバー層130とともに、吸収性ポリマー材料110を不動化するための空間を提供することができる。
【0020】
もちろん、本明細書に開示された典型的なホットメルト接着剤材料は、湿潤不動化、すなわち、物品が濡れた状態であるとき又は少なくとも部分的に載荷されたときの吸収性ポリマー材料の不動化を大きく改善できる一方、これらのホットメルト接着剤材料は、物品が乾燥状態であるときにも吸収性ポリマー材料を非常に良好に不動化することができる。
【0021】
本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料110は、繊維状材料と任意に混合することができ、これにより吸収性ポリマー材料の更なる不動化のためのマトリックスを提供することができる。しかしながら、典型的には、吸収性ポリマー材料の区域内に位置する、例えば、吸収性ポリマー材料110の総重量の約40重量%未満、約20重量%未満、又は約10重量%未満の、比較的低量の繊維状材料を使用することができる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、吸収性ポリマー材料の区域は、典型的には吸収性ポリマー材料110の不連続層内で互いに結合することが可能な一方で、接合区域(図示せず)は、一実施形態では吸収性ポリマー材料の不連続層内の開口部に相当する区域となり得る。その結果、吸収性ポリマー材料の区域は結合した区域と称される。別の実施形態では、接合区域は互いに結合することが可能である。次に、吸収性ポリマー材料は離散したパターンで堆積させることができ、つまり換言すれば吸収性ポリマー材料は接着剤120の海の中の島を表す。したがって、要約すると、吸収性ポリマー材料110の不連続層は、吸収性ポリマー材料110の連結区域を含んでもよく、又は別の方法として、離散した吸収性ポリマー材料110の区域を含んでもよい。
【0023】
本発明、並びに特に図3〜5を参照して説明した実施形態は、図1に示されるような吸収性物品の吸収性コアを提供するために一般的に使用され得る。その場合、例えば、最上層及び最下層などのコアを包む追加材料は使用されない。図4及び5の実施形態を参照すると、任意的なカバー層130は最上層の機能を提供することができ、基材層100、101は吸収性コアの最下層の機能を提供することができ、最上層及び最下層はそれぞれ、吸収性物品におけるコア28の身体に面する表面及び衣類に面する表面に対応する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、接着剤120と基材材料100、101との間で直接接触している区域は接合区域(図示せず)と称される。接合区域の形状、数及び配置が、吸収性ポリマー材料110の不動化に影響を与えることになる。接合区域は、例えば、正方形、長方形又は円形の形状であってよい。円形の接合区域は、0.5mm超、又は1mm超、かつ10mm未満、又は5mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、1.5mm未満の直径を有し得る。接合区域が円形でない場合、これらは、上記のいずれかの直径の円の内部に納まるような大きさであり得る。
【0025】
接合区域は、存在する場合、規則的又は不規則なパターンで配置できる。例えば、接合区域は線に沿って配置してよい。これらの線は吸収性コアの長手方向軸にそろえられてもよく、又は別の方法としては、それらはコアの長手方向縁部に対してある角度を有してもよい。吸収性コア28を長手方向縁部と並行する線に沿った配置することにより、長手方向に通路が形成され、結果として湿潤不動化が少なくなり得ることから、例えば、接合区域を吸収性コア28の長手方向縁部に対し約20度、又は約30度、又は約40度、又は約45度の角度を形成する線に沿って配置してもよい。接合区域の別のパターンは、多角形、例えば、五角形及び六角形又は五角形と六角形の組み合わせを含むパターンであり得る。典型的なものとしてはまた、接合区域の不規則なパターンも可能であり、これもまた良好な湿潤不動化をもたらす。接合区域の不規則なパターンはまた、経血若しくは血液又は膣排泄物を吸収する際によりよい流体処理機能をもたらし得るが、これは、流体が任意の最初の捕捉点からあらゆる方向に、例えば不連続層における吸収性ポリマー材料に実質的に同じ確率で接触しつつ、拡散し始めることができるためである。逆に、規則的なパターンは、液体が辿ることのできる優先経路を形成する恐れがあり、吸収性ポリマー材料に実際に接触する確率がより低くなる。
【0026】
本発明によれば、接着剤層120は任意の好適な接着剤材料を含むことができる。典型的には、接着剤層120は任意の好適なホットメルト接着剤材料を含むことができる。
【0027】
理論に束縛されるものではないが、良好な粘着機能及び良好な接着機能を組み合わせたホットメルト接着剤材料が、吸収性ポリマー材料110を不動化するのに最も有用であり得ることが判明した。良好な接着は通常、ホットメルト接着剤層120が吸収性ポリマー材料110と、及び特に基材材料100、101と良好な接触を維持することを確実にすることができる。すなわち不織布基材材料が存在する場合、良好な接着が課題である。良好な粘着は、特に外力に反応して、すなわちひずみに対して、接着剤が破断しないことを確かにする。吸収性製品が液体を取り込み、次いで液体が吸収性ポリマー材料110中に貯蔵され、それに反応して吸収性ポリマー材料が膨潤するとき、接着剤は外力を受ける。代表的な接着剤は、破断することなくかつ吸収性ポリマー材料110の膨潤を抑制することになる圧縮力を過剰に付与することなく、このような膨潤を可能にすることが必要である。湿潤時の不動化を悪化させることになる、接着剤の破断が生じないことが望ましい。代表的な好適なホットメルト接着剤材料は、欧州特許第1447067号の、特に[0050]〜[0063]の項に記載されるようなものであり得る。
【0028】
接着剤材料、一般的にホットメルト接着剤材料は、既知の方法で供給されて通常は繊維の形態としてコア全体に存在し得る(すなわち、通常ホットメルトである接着剤25は繊維化され得る)。一般的に繊維は、約1μm〜約100μm又は約25μm〜約75μmの平均の太さ、及び約5mm〜約50cmの平均長さを有することができる。特に、通常ホットメルト接着剤材料である層は、網状構造を構成するように設けられ得る。
【0029】
通常ホットメルトである接着剤材料120の、基材層100、101又は任意の他の層、特に任意の他の不織布層への接着性を改善するため、これらの層を補助接着剤で前処理してもよい。
【0030】
特に、本発明によるホットメルト接着剤の代表的なパラメーターは、次のとおりであり得る。
【0031】
一態様において、60℃での接着剤の損失角tan δは、値1未満、又は値0.5未満であるべきである。60℃での損失角tan δは、高い周囲温度における接着剤の液体特性と関連がある。tan δが低くなればなるほど、接着剤は液体よりも固体のような特性を示し、すなわち流れ又は移動する傾向がより低下し、本明細書に記載の接着剤超格子構造が劣化し又は更に経時的に崩懐する傾向は低くなる。したがって、この値は吸収性物品が暑い気候で使用される場合に特に重要である。
【0032】
更なる態様では、本発明に基づく典型的なホットメルト接着剤は、十分な凝集力パラメーターγを有し得る。凝集力パラメーターγは、次に述べる粘弾性クリープ試験(Rheological Creep Test)により測定される。十分に低い凝集力パラメーターγは、例えば、破断することなしに伸張させることができる弾性接着剤を表わしている。τ=1000Paの応力が適応されるとき、凝集力パラメーターγは100%未満、90%未満、又は75%未満となり得る。τ=125000Paの応力では、凝集力パラメーターγは1200%未満、1000%未満、又は800%未満となり得る。
【0033】
本発明の更なる態様では、吸収性コアは、図3に示し、また関連する文脈で説明したようなコア構造28を2つ結合することにより形成できることが判明した。したがってこのような吸収性コアは、2つの基材層100、2つの吸収性ポリマー材料110の層、及び2つの接着剤材料層120を備えることができる。2つの吸収性ポリマー材料110の不連続層を用いるとき、1層の吸収性ポリマー材料が他層の接合区域(図示せず)に面するような方法でこれらを配置できる。しかし、別の実施形態では、接合区域をずらすことができ、互いに対面しない。典型的には、2つのコア構造が接合されるとき、通常は第1コア構造の基材層100の第1表面が第2コア構造の基材層100の第1表面に面するように、これを実施し得る。
【0034】
本発明によれば、吸収性コア28用の吸収性ポリマー材料110は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0172017 A1号に記載されるような、典型的には粒子状のポリアクリレート系材料から選択することができる。本発明の吸収性物品に組み込まれるポリアクリレート系材料は、多数のアニオン性官能基、典型的にはカルボキシル基を有する高分子電解質である。ある実施形態では、ポリアクリレート系材料は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びそれらの誘導体、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸カリウム、澱粉グラフトポリアクリレート、澱粉グラフトポリメタクリレート、ポリビニルアルコールグラフトポリアクリレート、ポリビニルアルコールグラフトポリメタクリレート、セルロースグラフトポリアクリレート、セルロースグラフトポリメタクリレートなどを含み得る。本発明の一実施形態では、吸収性ゲル材料は、架橋し、部分的に中和したポリアクリレートであり得る。
【0035】
本発明の吸収性物品に組み込まれるポリアクリレート系材料を提供する高分子電解質は、重合可能な、不飽和の、酸含有モノマーから作製され得る。かかるモノマーには、少なくとも1つの炭素−炭素オレフィン性二重結合を含有するオレフィン性不飽和酸及び無水物が包含される。更に具体的には、このようなモノマー類はオレフィン性不飽和カルボン酸類及び酸無水物類、オレフィン性不飽和スルホン酸類、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0036】
ポリアクリレート系材料、典型的には部分的に中和したポリマーが一般に吸収性物品に組み込まれており、超吸収性ポリマー(SAP)、又は超吸収体として知られており、架橋されている。ポリアクリレート材料は、典型的にはナトリウムで中和された、主ポリマー鎖からぶら下がっているカルボキシレート基を有する。水と接触すると、ナトリウムは分離して溶液中に溶け、カルボキシルイオンのみが残る。負の電荷を帯びているため、これらイオンは互いに反発し、それによりポリマーが解けて一層多くの水を吸収し、その水は代わりに、更なるカルボキシルイオンが利用可能となるにつれてカルボキシルイオンにより引き寄せられる。水の中の水素は、原子間の極性力に伴う原子結合のために、ポリアクリレートによりトラップされる。異なるポリマー鎖を結ぶ架橋は三次元構造をもたらし、この三次元構造が、液体吸収時に膨潤ゲルを構成する。
【0037】
本発明によれば、吸収性コア28に含まれ得る吸収性ポリマー材料110は、PCT国際公開特許WO 07/047598号に記載されるポリアクリレート系ポリマーの中から選択することができる。その参照出願書に説明されるように、ごく僅かに架橋した、又は実質的に全く架橋していないポリアクリレート系材料を、例えば、経血、血液、血漿、膣分泌物、及び粘液又は乳液などのたんぱく質様の、又は漿液性の体液の吸収のために、特に経血又は血液の吸収のために吸収性物品の中に組み込んだ場合、従来の架橋した超吸収体と比較して、体液に対する吸収性能及び保持性能を改善し、更に吸収速度も改善する。
【0038】
上記参照の出願書によると、ポリアクリレート系ポリマーの架橋度合いの測定は、そのポリマーの可溶性又は抽出可能性画分の点で表わすことができる。当該技術分野において既知のように、低分子量のポリマー鎖は、特定の条件でポリマーから可溶化又は抽出でき、ポリマー自体の中の前記可溶性又は抽出可能な画分を表示することができる。通常は、ポリマー本体中のより大きな部分が実際にポリマー網目の中に組み込まれるので、抽出可能な画分は架橋度合いに反比例すると考えられ、即ち架橋度合いが高いほど、その画分は低くなる。たんぱく質様の、又は漿液性の体液、特に経血の吸収のために吸収性物品中に組み込まれ得るこのようなポリアクリレート系ポリマーは、PCT国際公開特許WO 07/047598号に記載される抽出可能物の試験方法によって評価された、少なくとも約30重量%、約30重量%〜約80重量%、又は約32重量%〜約70重量%の抽出可能な画分を有する。あるいは、かかるポリアクリレート系材料は、PCT国際公開特許WO 07/047598号に記載される遠心分離機保持容量試験によって評価された、少なくとも約30g/g、少なくとも約35g/g、又は少なくとも約40g/gの保持能力を持つことができる。吸収性ポリマー材料はまた、PCT国際公開特許WO 07/046052号に記載のポリアクリレート系ポリマーの中から選択することもできる。実際、前記ポリマーは、経血又は血液のような複合体液を吸収するために特に効果的であり、かかる流体の吸収時に、従来の超吸収体のように著しい膨張とその後のゲルブロッキングを通常示すことがなく、むしろ、ある程度までは体液の増粘剤として働き、実質的な膨張、ひいては吸収性コアの全体の厚さの感知可能な増大を引き起こさずに、吸収性構造体内部で、例えば繊維間の隙間で一種のゼラチン状の塊として体液を不動化する。
【0039】
吸収性ゲル材料は、典型的には離散粒子の形状で使用できる。かかる吸収性ゲル材料は任意の所望の形状、例えば、球状又は半球状、立方体、棒状多角体などであってよい。本明細書での使用に、針やフレークのような最大寸法/最小寸法の比率が大きな形状も考えられる。吸収性ゲル化材料粒子の凝集体を使用してもよい。
【0040】
吸収性ポリマー材料110の層の吸収性ポリマー粒子は、約200μ〜約600μ、又は約300μ〜約500μの選択された平均粒子サイズを通常有することができる。
【0041】
粒子形状の材料、すなわち、例えば吸収性ポリマー材料の平均粒子サイズは、当該技術分野において既知のように、例えば乾式篩分け分析試験によって決定され得る。例えば、光散乱及び画像解析法に基づく光学的方法を用いることもできる。
【0042】
図2〜4に示す本発明の実施形態による基材層100のための代表的な材料は、平均繊維デニールが約1〜約6.0の合成繊維を備える繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層及び第3の層と、パルプを備える第2の層との3層複合体を含んでおり、第1の層が、層間の結合により第2の層の面に向かい合わせに結合され、第3の層が、層間の結合により第2の層の第2の面に向かい合わせに結合され、これらの結合は層間の繊維の絡み合いを含む。
【0043】
基材層100に好適な材料は、米国特許公開第2007/0228064 A1号に記載されている。第1の層140aはスパンボンド不織布ウェブであってよく、第2の層150はパルプを含んでよく、第3の層140bはスパンボンド不織布ウェブであってよい。本実施形態において、基材層100の第1の層140a及び第3の層140bは、実質的に同じであり、基材層100の外側の層を形成する。しかしながら、第1及び第3の層140a及び140bが実質的に同一又は相等しい組成物、坪量、又はその他の物質特性を有する必要はないことが認識されている。
【0044】
本発明の複合体の各層において、繊維型、繊維形状及び平均繊維デニールの組み合わせを利用することで、それぞれの有益特性を最大限にすることができる。例えば、外側の層140a及び140bは、特定のパーセンテージの合成繊維を含むことでウェブに柔らかく、布のような感触を与えることができ、内側の層150は、特定のパーセンテージのパルプ繊維を有することで改良した吸収性、液体保持及び厚さを提供することができる。更なる例において、外側の層140a及び140bは、優れた不透明度を有する基材層100を提供するために、特定パーセンテージの形状化繊維を含むことができる。
【0045】
各層の中で使用する他の繊維としては、熱可塑性繊維、非熱可塑性繊維、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用であり得る非熱可塑性繊維の非限定例としては、ビスコース、リオセル、及びこれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されないレーヨン;パルプ;綿;ウール;絹;黄麻;リンネル;ラミー;大麻;亜麻;ラクダの毛;ケナフ;及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用であり得る熱可塑性繊維の非限定例としては、ポリプロピレン及びポリプロピレンのコポリマー類;ポリエチレン及びポリエチレンのコポリマー類;ポリアミド類及びポリアミド類のコポリマー類;ポリエステル類及びポリエステル類のコポリマー類;脂肪族ポリエステルアミド類;乳酸ポリマー類;及びラクチドポリマー類;ポリヒドロキシアルカノエート類;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。前述の繊維及び繊維の組み合わせは、ラミネートの各層の特定のパーセンテージで、多数構成要素、又は2成分繊維、二構成要素繊維、非円形繊維、及びこれらの組み合わせのような抱合繊維を追加で含んでもよい。上述のとおり、それぞれの型の繊維は、液体保持及び柔軟性など、それぞれに有益な特性を最大化するように選択される。
【0046】
本発明において、比較的大きな繊維デニールを有する合成繊維が、外側の層140a及び140bの特定のパーセンテージを構成する。用いられる合成繊維は、約1.0〜約6.0、約2.5〜約6.0、約2.0〜約5.0、又は2.5〜4.0の平均繊維デニールを有する。本明細書で用いるとき、デニールは繊維の線質量密度の測定単位であり、9000メートルあたりのグラムで表す質量として定義される。理論に束縛されるものではないが、高デニール繊維の使用は、低密度及び大きな平均孔径を有する基材層100を提供すると考えられている。理論に束縛されるものではないが、その大きな孔により基材層100の孔内に体液を捕捉し、閉じ込めることができると更に仮定される。
【0047】
基材層100の内側の層及び外側の層は、それらが作製される繊維の種類及び形状の特定のパーセンテージにより特徴付けることができる。本発明のいくつかの実施形態では、基材層100は、約30%〜約70%、又は約40%〜約60%の合成繊維を含んでもよい。加えて、又は代わりに、基材層100は約70%〜約30%、又は約60%〜約40%のパルプを含んでもよい。
【0048】
基材層100の外側の層140a及び140bを形成する繊維状不織布ウェブは、「スパンボンド」により製造されてよい。本明細書で使用するとき、スパンボンドとは、「スパンボンド繊維」を含むウェブを指す。スパンボンド繊維は、高分子材料である小さな直径の繊維を指す。スパンボンド繊維は、例えば、Appelらの米国特許第4,340,563号、及びDorschnerらの米国特許第3,692,618号、Matsukiらの米国特許第3,802,817号、Kinneyの米国特許第3,338,992号及び同第3,341,394号、Hartmanの米国特許第3,502,763号、Doboらの米国特許第3,542,615号、並びにPikeらの米国特許第5,382,400号におけるように、融解熱可塑性材料を複数の微細な、通常は押出成形されるフィラメントの直径から急激に圧縮する直径を有する紡糸口金の円状の毛管から、フィラメントとして押出成形することによって形成され得る。スパンボンド繊維は、それらが収集表面上に付着されるとき一般に粘着性でなく、かつ一般に連続的である。スパンボンド繊維の直径は、しばしば約10マイクロメートル以上である。しかしながら、微細繊維スパンボンドウェブ(約10マイクロメートル未満の平均繊維直径を有する)は、Marmonらの米国特許第6,200,669号、及びPikeらの米国特許第5,759,926号に説明されるものを含むがこれらに限定されない、様々な方法により得ることができる。
【0049】
基材層100を形成する層は、層間結合により結合される。層間結合は、典型的な使用中に生じる条件下で複合体が剥離しないように層間の十分な繊維の絡み合いを提供する、当該技術分野で既知の任意の方法によって、達成されてよい。このような結合方法の非限定的な実施例としては、スパンレーシング(水流交路)、ハイドロフォーミング法、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。個別の層の構造は、繊維型の選択的分布を可能にするが、基材層100として使用される場合、構成成分層が一体型ウェブとしての役割を果たすことは依然重要である。
【0050】
本発明によれば、基材層100は複合体を含むことができ、この複合体はまたスパンボンド合成不織布ウェブである2つの外側の層140a及び140b、並びにパルプである内側の層150を含み、これらの層はスパンレーシングによって結合される。理論に束縛されるものではないが、層間の結合は、スパンレーシング(水流交路)処理中、水から複合体へのエネルギーの移動の結果として生じると考えられる。エネルギーの移動は、内側の層150のパルプ繊維が外側の層140a及び140bの合成繊維と絡み合う原因となる。
【0051】
基材層100の坪量は、典型的には約25g/m〜約120g/m、又は約40g/m〜約70g/m、又は更に約50g/m〜約60g/mの範囲であってよい。
【0052】
基材層100は、当該技術分野において既知の任意の方法により製造してよい。繊維状不織布ウェブは基材層100の製造プロセスに従うプロセスで製造してよい。あるいは、繊維状不織布ウェブを基材層100の製造プロセスに従わないプロセスで予め形成してもよい。例えば、外側の繊維状不織布ウェブ層140a及び140b、及び内側のパルプ層150は、固着したロール織物として提供されてもよい。
【0053】
本発明の吸収性コアはカバーを任意に含むことができ、かかるカバーは繊維状カバーであってもよいし、又は図4に示すようないくつかの実施形態では、上述の基材層100を構成するもののような3層複合体であってもよい。
【0054】
図5に示される本発明の更なる実施形態によれば、本発明の吸収性コアは、上述の基材層100及び基材層101を構成するもののような3層複合体を備えるカバー層130を含んでよい。
【0055】
本発明によれば、カバー層130の坪量は、典型的に約25g/m〜約120g/m、又は約40g/m〜約70g/m、又は更に約50g/m〜約60g/mの範囲であってよい。
【0056】
カバー層130は、スパンボンド不織布ウェブである第1の層140a、パルプを含む第2の層150、及びスパンボンド不織布ウェブである第3の層140bを備えてよい。基材層100の場合と同様に、基材層100の第1の層140a及び第3の層140bは実質的に同じであり、カバー層130の外側の層を形成してよい。しかしながら、第1及び第3の層140a及び140bが実質的に同一又は相等しい組成物、坪量、又はその他の物質特性を有する必要はないことが認識されている。
【0057】
基材層101は、合成繊維、又は天然繊維、又はこれらの混合物を含む不織布材料、例えばカード不織布、又はより典型的にはエアレイド又はウェットレイド繊維性材料、例えば合成及び天然繊維(例えばセルロース繊維など)を含むラテックス又は熱接着されたエアレイド繊維性材料などを含んでよい。
【0058】
本発明の実施形態によれば、図5に示されるように、基材層101は、セルロース又はセルロース誘導体繊維を含む繊維性材料を、典型的には例えば約40重量%〜約100重量%のセルロース若しくはセルロース誘導体繊維、又は約50重量%〜約95重量%のセルロース若しくはセルロース誘導体繊維、又は更に約60重量%〜約90重量%のセルロース若しくはセルロース誘導体繊維を含むことができる。本発明によるコア構造では、セルロース繊維をかなりのパーセンテージで含む繊維性材料で構成される基材層101は、上側の吸収性ポリマー材料110の層により直ちに吸収されることなく基材層101に直接捕捉される液体画分に対して、液体分布の観点から利点をもたらし得る。
【0059】
基材層101の坪量は、典型的に約10g/m〜約120g/m、又は約20g/m〜約100g/m、又は更に約30g/m〜約70g/mの範囲であってよい。
【0060】
本発明によれば、吸収性コアは、捕捉、不動化及び吸収に関してより効率の高い液体の取り扱い、並びによりよい快適さを、上述したように物品の全着用期間中提供することができ、これは経血又は血液などの複雑な体液の場合に特に有益であり得る。概して本発明による複合構造体のこの増大した効率は、経血若しくは血液又は膣排泄物などの問題のある体液の存在においてもまた、吸収性ポリマー材料の吸収能力のより有効な活用をもたらすことができ、また場合により吸収性コアの構造全体のより有効な利用をもたらすこともできる。
【0061】
これらは、典型的には薄くて可撓性のある構造体において達成され、しかも異なる材料の吸収能力と不動化能力をより完全に利用することができ、かつ吸収中における改善された密着性と回復力を有し、それゆえの使用中の快適さの増加を有することができる。
【0062】
本発明によれば、吸収性コア28は吸収性物品中の吸収性要素の全体を構成することができ、又は追加層により補完され得る。また、本発明による吸収性コアを含む吸収性物品は、吸収性コア28とトップシート30との間に繊維状流体捕捉層を更に備えることができる。本発明の実施形態において、流体捕捉層は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリプロピレン(PP)などの合成繊維のエアレイド又はウェットレイドによって作製された繊維状不織布材料を含んでよい。
【0063】
流体捕捉層の代表的な材料としては、スパンボンド若しくはカード不織布材料、又は、例えばラテックス接着若しくは熱接着したエアレイド材料などのエアレイド材料が含まれ得る。坪量は、典型的に約10g/m〜約60g/m、又は約25g/m〜約40g/mの範囲であってよい。
【0064】
本発明の別の代替実施形態によると、吸収性物品は、吸収性コア28とバックシート40、すなわち典型的にはコアの衣類に面する表面に提供されるバックシートとの間に含まれる、追加の繊維層を備えることができる。この任意の層は、本発明の吸収性コアの基材層100に関して既に記載されたものと同様の繊維状材料によって提供できる。本発明の更なる実施形態によるこの任意の繊維状層は、吸収性コア28によって完全に保持することができない可能性のある余分な流体を受け取り分配する付加的ウィッキング層として作用することができる。セルロース繊維の存在により、その層が、吸収性コア28の吸収性ポリマー材料によって完全には吸収されない経血又は血液などの体液の一部を捕捉及び拡散させることを特に効率的にできる。
【0065】
これも典型的には粒子状である追加の材料、例えば既知の悪臭防止材料、又はシリカなどの不活性材料も、吸収性ポリマー材料の層110中に含み得る。
【0066】
バックシート
本発明による吸収性コアを含む図1の吸収性物品はまた、バックシート40を含むことができる。バックシート40は、吸収性構造体に吸収され収容されている流体が、パンツ、ズボン、パジャマ、下着、及びシャツ又はジャケットなどの、吸収性物品と接触する材料を濡らすことを防ぐのに用いることができ、これにより、流体移動に対するバリアとして作用する。本発明の実施形態によるバックシート40はまた、同バックシートを通して少なくとも水蒸気、又は水蒸気と空気の両方が移動できるようにすることができる。
【0067】
特に、吸収性物品が生理用ナプキン又はパンティライナーとしての有用性を見いだす場合には、吸収性物品20は同物品を下着に取り付ける手段を提供するパンティ固定手段、例えばバックシート40の衣類に面する表面上にパンティ固定用接着剤を備えることもできる。下着の股縁部の周囲に折り曲がるように作られているウィング又はサイドフラップを、ナプキンの側縁部に設けることもまた可能である。
【0068】
試験方法
粘弾性クリープ試験
凝集力パラメーターγの測定のための上述の粘弾性クリープ試験は、Procter & Gamble Companyに譲渡された、同時係属の欧州特許出願第1447067号に記載されたものである。
【0069】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0070】
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0071】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用吸収性コアであって、該コアが基材層を備え、
該基材層が第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性コアが吸収性ポリマー材料の層を更に備え、
該吸収性ポリマー材料の層が、第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性コアが接着剤層を更に備え、
該接着剤層が、第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性ポリマー材料の層が、前記接着剤層と前記基材層との間に設けられ、
前記吸収性ポリマー材料の層の前記第2表面が、前記基材層の前記第1表面に接触し、
前記吸収性ポリマー材料の層の前記第1表面が、前記接着剤層の前記第2表面に接触し、
前記基材層が、繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層と第3の層との複合体を備え、前記第1の層及び前記第3の層が平均繊維デニール約1〜約6.0の合成繊維を含み、前記複合体はパルプを含む第2の層を更に備え、前記第1の層が層間の結合により前記第2の層の面に向かい合わせに結合され、前記第3の層が層間の結合により前記第2の層の第2の面に向かい合わせに結合され、これらの結合が層間の繊維の絡み合いを含む、吸収性コア。
【請求項2】
前記吸収性コアが、第1表面と第2表面とを有するカバー層を更に備え、該カバー層の前記第2表面が、前記接着剤層の前記第1表面と接触している、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項3】
前記カバー層が、繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層と第3の層との複合体を備え、前記第1の層及び前記第3の層が平均繊維デニール約1〜約6.0の合成繊維を含み、前記複合体がパルプを含む第2の層を更に備え、前記第1の層が層間の結合により前記第2の層の面に向かい合わせに結合され、前記第3の層が層間の結合により前記第2の層の第2の面に向かい合わせに結合され、これらの結合が層間の繊維の絡み合いを含む、請求項2に記載の吸収性コア。
【請求項4】
前記平均繊維デニールが2.5〜6.0である、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項5】
前記複合体の前記第1及び第3の層がスパンボンドされている、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項6】
前記絡み合いが水流交路により実現される、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項7】
前記基材層の坪量が約25g/m〜約120g/mである、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項8】
前記基材層の前記複合体が、約30重量%〜約70重量%の合成繊維、及び約70重量%〜約30重量%のパルプを含む、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項9】
前記基材層及び前記カバー層の前記複合体の前記平均繊維デニールが2.5〜6.0である、請求項3に記載の吸収性コア。
【請求項10】
前記基材層と前記カバー層との前記複合体の前記第1及び第3の層がスパンボンドされている、請求項3に記載の吸収性コア。
【請求項11】
前記絡み合いが水流交路により実現される、請求項3に記載の吸収性コア。
【請求項12】
吸収性物品用吸収性コアであって、該吸収性コアが基材層を備え、
該基材層が第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性コアが吸収性ポリマー材料の層を更に備え、
該吸収性ポリマー材料の層が、第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性コアが接着剤層を更に備え、
該接着剤層が、第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性コアがカバー層を更に備え、該カバー層が第1表面と第2表面とを有し、
前記吸収性ポリマー材料の層が、前記接着剤層と前記基材層との間に設けられ、
前記吸収性ポリマー材料の層の前記第2表面が、前記基材層の前記第1表面に接触し、
前記吸収性ポリマー材料の層の前記第1表面が、前記接着剤層の前記第2表面に接触し、
前記接着剤層が、前記吸収性ポリマー材料の層と前記カバー層との間に設けられ、
前記吸収性ポリマー材料の層の前記第1表面が、前記接着剤層の前記第2表面に接触し、
前記カバー層の前記第2表面が、前記接着剤層の前記第1表面に接触し、
前記カバー層が、繊維状不織布ウェブである少なくとも第1の層と第3の層との複合体を備え、前記第1の層及び前記第3の層が平均繊維デニール約1〜約6.0の合成繊維を含み、前記複合体がパルプを含む第2の層を更に備え、前記第1の層が層間の結合により前記第2の層の面に向かい合わせに結合され、前記第3の層が層間の結合により前記第2の層の第2の面に向かい合わせに結合され、これらの結合が層間の繊維の絡み合いを含む、吸収性コア。
【請求項13】
前記平均繊維デニールが2.5〜6.0である、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項14】
前記複合体の前記第1及び第3の層がスパンボンドされている、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項15】
前記絡み合いが水流交路により実現される、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項16】
前記カバー層の坪量が約25g/m〜約120g/mである、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項17】
前記カバー層の前記複合体が、約30重量%〜約70重量%の合成繊維、及び約70重量%〜約30重量%のパルプを含む、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項18】
トップシートと、バックシートと、これらのシート間に設けられる請求項1に記載の吸収性コアと、を備える吸収性物品。
【請求項19】
トップシートと、バックシートと、これらのシート間に設けられる請求項12に記載の吸収性コアと、を備える吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500143(P2013−500143A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524941(P2012−524941)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【特許番号】特許第5073882号(P5073882)
【特許公報発行日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/044097
【国際公開番号】WO2012/009591
【国際公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】