吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法
【課題】吸収コア全体の使用効率を改善できる吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法を提供する。
【解決手段】この使い捨ておむつは、横方向Xの中央において縦方向Yに沿って延びるトップ部11と、トップ部11の横方向Xの両側において縦方向Yに沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部12とを有する内側シート材5と、記内側シート材5の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、内側シート材5と外側シート材との間に配置される吸収コアとを備える。トップ部11は、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有する連続したシートにより形成される。透液領域111と不透液領域112とは、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。
【解決手段】この使い捨ておむつは、横方向Xの中央において縦方向Yに沿って延びるトップ部11と、トップ部11の横方向Xの両側において縦方向Yに沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部12とを有する内側シート材5と、記内側シート材5の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、内側シート材5と外側シート材との間に配置される吸収コアとを備える。トップ部11は、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有する連続したシートにより形成される。透液領域111と不透液領域112とは、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品として特許文献1に記載のものがある。この従来の吸収性物品では、吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材の横方向の中央部がメッシュ領域(101M)とされている。これによって、内側シートの横方向の中央部が他の部分よりも尿等の液体をより透過しやすくなっている。このため、この吸収性物品が装着された状態で排尿が行われた場合、尿が内側シート部材のメッシュ領域を直ちに透過して吸収コアに到達する。その結果、吸収コアによる尿の吸収が着用者の排尿口の近傍に位置する排尿口近傍領域に集中的に偏って進みやすい。このように吸収コアによる尿の吸収が排尿口近傍領域に偏りすぎると、排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対してまだ余裕があるのに、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界に達してしまうことがある。この状態でさらに排尿が行われた場合、吸収コアの排尿口近傍領域での尿の吸収が行われないため、吸収コアによる単位時間当たりの尿の吸収量が着用者による単位時間当たりの排尿量に追い付かず、尿が吸収性物品の外部に漏れ出すことがある。このため、吸収コアの排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対して十分に余裕があるのにかかわらず、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界付近に達した時点で、吸収性物品を交換する必要が生じることがある。この場合、吸収コアに含まれる多くのパルプ及び吸収ポリマー等の吸収材が未使用の廃棄されることとなり、効率が悪い。吸収性物品に用いられる吸収コアは横方向よりも縦方向(前後方向)に長いため、吸収コアの縦方向の前側及び後側の縁部について吸収材の使用効率が悪い傾向が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の解決すべき課題は、吸収コア全体の使用効率を改善できる吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、横方向の中央において縦方向に沿って延びるトップ部と、前記トップ部の前記横方向の両側において前記縦方向に沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部とを有する内側シート材と、前記内側シート材の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアとを備え、前記内側シート材の前記トップ部は、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成され、前記透液領域と前記不透液領域とは、前記縦方向に沿って延び、かつ前記横方向に対して交互に配置されている。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート材の前記左右のサイド部は、該サイド部の前記横方向の内方側の縁部において、該サイド部の肌面側に前記縦方向に沿って設けられたひだ部をそれぞれ有し、当該吸収性物品は、前記内側シート部の前記左右のひだ部の先端部に前記縦方向に沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、前記左右のひだ部を着用者の肌面側に向けて起立させる左右の弾性部材をさらに備え、前記トップ部の前記横方向の両側の縁部に、前記透液領域が配置されている。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート材の前記トップ部の前記透液領域は、前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより形成されている。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材とを備える。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材とを備える。
【0010】
また、請求項6の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品の製造方法であって、(a1)前記内側シート材の前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの前記透液領域を形成すべき部分に親水性を付与する親水処理を施すことにより、前記透液領域と前記不透液領域とを有する前記トップ部を備えた前記内側シート材を得る工程と、(a2)前記内側シート材と前記外側シート材との間に前記吸収コアを挟み込む工程とを備える。
【0011】
また、請求項7の発明では、請求項6の発明に係る吸収性物品の製造方法において、前記工程(a1)において、外周面に親水剤が付与されたローラを前記不織布シートに接触させることにより、前記親水剤を前記不織布シートの透液性を付与すべき前記部分に塗布する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明に係る吸収性物品によれば、内側シート材のトップ部が、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成されており、それらの透液領域と不透液領域とが、縦方向に沿って延び、かつ横方向に対して交互に配置されている。このため、排泄された尿が内側シート材のトップ部の肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、各不透液領域にて尿が縦方向に広がりやすくなり、これによって、尿の縦方向への広がりが増進される。すなわち、内側シート材のトップ部の肌面側表面において、尿が排尿口近傍から縦方向に効果的に拡散されながら、トップ部の各透液領域を透過して吸収コアに到達する。このため、吸収コアの縦方向の幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できる。
【0013】
請求項2に記載の発明に係る吸収性物品によれば、内側シート材の左右のサイド部においてひだ部がサイド部の横方向の内方側の縁部に設けられるとともに、トップ部の横方向の両側の縁部に透液領域が配置されている。それ故、トップ部の肌面側表面に沿ってトップ部の横方向の両側の縁部まで到達し、サイド部のひだ部によって堰き止められた尿については、その縁部に設けられた透液領域を介して吸収コア側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部の横方向の両側の縁部、すなわちひだ部の基端部の横方向の内方側に溜まり、その溜まった尿がひだ部を乗り越える等して吸収性物品の外部に漏れるのを防止できる。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る吸収性物品によれば、トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより、トップ部の透液領域が形成されるため、高価な親水性不織布を用いることなく、透液領域と不透液領域とを有するトップ部及びそのトップ部を有する内側シート材を容易かつ安価に形成できる。
【0015】
また、不織布シートに親水処理を施すのは処理剤塗布等の簡単な処理であり、吸収性物品の製造ラインが複雑化することもない。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できる使い捨ておむつを提供できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できるパンツ型使い捨ておむつを提供できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより、トップ部の透液領域が形成されるため、高価な親水性不織布を用いることなく、透液領域と不透液領域とを有するトップ部及びそのトップ部を有する内側シート材を容易かつ安価に形成できる。
【0019】
また、不織布シートに親水処理を施すのは処理剤塗布等の簡単な処理であり、吸収性物品の製造ラインが複雑化することもない。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、内側シート材のトップ部を形成するための不織布シートへの親水剤の塗布を、ローラの外周面に付与した親水剤を不織布シートに転写することにより行うため、不織布シートの透水性を付与すべき部分に迅速かつ確実に親水剤を塗布できる。
【0021】
また、親水剤をローラの外周面に付与する際の付与パターンを変更することにより、不織布シートの透液性を付与すべき部分の形状又は配置等の違いに容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の平面状に展開された状態を示す平面図である。
【図2】図1のおむつのA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1のおむつの内側シート材のトップ部の構成を示す図である。
【図4】図1のおむつの製造工程を示す図である。
【図5】図1のおむつの製造工程を示す図である。
【図6】不織布シート連続体に親水処理が施される親水処理工程の様子を示す図である。
【図7】不織布シート連続体に弾性部材及び接着剤が付与される弾性部材付与工程及び接着剤塗布工程の様子を示す図である。
【図8】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ先端折り工程の様子を示す図である。
【図9】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ先端折り工程の様子を示す図である。
【図10】図9の不織布シート連続体のA2−A2線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図11】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ基端折り工程の様子を示す図である。
【図12】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ基端折り工程の様子を示す図である。
【図13】図12の不織布シート連続体のA3−A3線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図14】図2に示すおむつの構成の変形例を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「パンツ型おむつ」という)を、左右のサイド接合部を切り離して略平面状に展開したときの平面図である。
【図16】図15のパンツ型おむつのA4−A4線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1ないし図3を参照して、本発明の一実施形態に係るおむつ1について説明する。なお、本明細書及び図面において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後方向又は上下方向に対応している。図1上における上側は、着用者を基準として後側に対応している。また、本実施形態に係る吸収性物品1は、後述する左右のファスニング部材4を備えたテープ型の使い捨ておむつであるが、変形例として、本実施形態に係る技術をおむつの肌面側に敷き込まれる尿吸収パッドに適用してもよい。
【0024】
本実施形態に係るおむつ1は、着用者の股部を含む領域に装着されるものであって、図1及び図2に示すように、おむつ本体2と、付着シート3と、左右のファスニング部材4とを備えて構成される。おむつ本体2は、本発明に係る吸収性物品に相当しており、内側シート材5と、外側シート材6と、吸収コア7と、左右の弾性部材8とを備えて構成される。
【0025】
おむつ本体2の内側シート材5は、トップ部11と左右のサイド部12とを有し、連続したシートにより構成されている。本実施形態では、内側シート材5は、疎水性を有する樹脂材料により形成された連続した1枚の不織布シートを用い、その不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことによって形成されている(詳細な作製方法については後述する)。トップ部11は、内側シート材5の横方向Xの中央において縦方向Yに沿って延び、少なくとも一部が透液性を有している。
【0026】
具体的には、トップ部11は、図3に示すように、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有している。図3において、トップ部11内の破線ハッチングが付与された各領域が透液領域111となっており、ハッチング等が付与されない無地の各領域が不透液領域112となっている。透液領域111と不透液領域112とは、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。本実施形態では、トップ部11の横方向Xの両側の縁部は透液領域111とされている。
【0027】
図3に示す構成では、5つの透液領域111と4つの不透液領域112が設けられているが、これに限らず、2つ、3つ、4つ或いは6つ以上の透液領域111を設けてもよく、不透液領域112についても2つ、3つ或いは5つ以上設けてもよい。
【0028】
左右のサイド部12は、トップ部11の横方向Xの両側において縦方向Yに沿って延び、不透液性を有している。また、左右のサイド部12は、その一部が縦方向Yに沿って着用者の肌面側に向けてひだ状に折り出されることにより形成されたひだ部13をそれぞれ有している。ひだ部13は、その基端部131がトップ部11の横方向Xの外方側の縁部に隣接するように、サイド部12の横方向Xの内方側の縁部に設けられている。ひだ部13を構成するサイド部12の折り合わされた両側の部分は、ひだ部13の少なくとも基端部131にて、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)又は融着(加熱融着又は超音波融着)等の接合手段により接合され、これによってひだ状に折り合わされた状態に固定さている。本実施形態では、その接合手段として接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が用いられている。そして、その接着剤14により、ひだ部13を構成するサイド部12の折り合わされた両側の部分が、ひだ部13の基端部131にて接合されている。
【0029】
左右の弾性部材8は、内側シート材5の左右のひだ部13の先端部132に縦方向Yに沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、その収縮力により左右のひだ部13を着用者の肌面側に向けて起立させる。本実施形態では、弾性部材8がひだ部13の折り合わされた両側の部分の間に挟み込まれるようにして付与さている。弾性部材8としては、例えば糸状のゴム材等が用いられる。このようなひだ部13と弾性部材8とによって、立体ギャザー15が形成される。この立体ギャザー15によって、尿等の排泄物がおむつ1の股部の左右の両縁部から外部に漏れる横漏れが防止される。なお、この立体ギャザー15(すなわち、ひだ部13及び弾性部材8)については省略してもよい。
【0030】
外側シート材6は、不透液性を有し、内側シート材5の外面側に配置され、内側シート材5との間で吸収コア7を挟み込む。より具体的には、外側シート材6は、例えば、不透液性を有する樹脂フィルムと不織布とを貼り合わせてなる複合シートにより構成される。この外側シート材6により、吸収コア7から染み出した尿等がおむつ1の外部に漏れ出すのが防止される。
【0031】
吸収コア7は、水分を吸収する吸収素材を備えて構成され、内側シート材5と外側シート材6との間に配置される。吸収素材としては、パルプ等からなる繊維集合体、又は吸収性ポリマーを内包したパッド等が挙げられる。また、繊維集合体等からなる吸収素材をティッシュペーパー等の包装シートにより包んでもよい。
【0032】
付着シート3は、後述する左右のファスニング部材4に設けられた付着エレメント17が着脱可能なシート状の部材により形成され、外側シート材6の外面側における縦方向Yの前方側の領域に接着剤等の接合手段により接合される。
【0033】
左右のファスニング部材4は、基材シート16と、その基材シート16の肌面側表面に付与された付着エレメント17とを備えて構成され、おむつ1を着用者に装着したときの固定具としての役割を担っている。基材シート16は、不織布等のシート材によって形成され、横方向Xの内方側の縁部が、おむつ本体2の縦方向Yの後方側における横方向Xの両側の縁部に接着剤等の接合手段により接合されている。本実施形態では、基材シート16の横方向Xの内方側の縁部が、内側シート材5と外側シート材6との間に挟み込まれた状態で内側シート材5及び外側シート材6のいずれか一方又は両方に接着剤等の接合手段により接合されている。
【0034】
付着エレメント17と付着シート3とは、互いに着脱自在に付着する構成であれば任意の構成が採用可能である。具体例として、例えば、付着エレメント17として複数のフック構造を有するフック材を用い、付着シート3としてそのフック材のフック構造が着脱自在に係合する複数のループ構造を有するループ材を用いた構成が挙げられる。他の具体例として、付着エレメント17として粘着物質が付与された粘着シートを用い、付着シート3としてその粘着シートが着脱自在に付着する付着面を有するシート材を用いた構成が挙げられる。
【0035】
次に、図4ないし図13を参照して、本実施形態に係るおむつ1の製造方法について説明する。このおむつ1の製造方法は、図4に示すように、
内側シート連続体形成工程S1、
重ね合わせ工程S2、及び
製品分割工程S3
を備えている。内側シート連続体形成工程S1は、左右の弾性部材8が付与された内側シート材5が縦方向Yに連続的に連なってなる内側シート連続体21を形成する工程である。重ね合わせ工程S2は、外側シート材6が縦方向Yに連続的に連なってなる外側シート連続体22を縦方向Yと平行な第1の搬送方向B1に搬送しつつ、外側シート連続体22の肌面側に吸収コア7を縦方向Yに間隔をあけて付与するとともに、吸収コア7の上から内側シート連続体21を外側シート連続体22の肌面側に重ね合わせる工程である。製品分割工程S3は、吸収コア7を挟み込むようにして重ね合わされた内側シート連続体21と外側シート連続体22とを製品単位に切断する工程である。
【0036】
内側シート連続体形成工程S1は、図5に示すように、
親水処理工程S11、
弾性部材付与工程S12、及び
ひだ形成工程S13
を備えている。なお、本実施形態では、親水処理工程S11が弾性部材付与工程S12及びひだ形成工程S13の前で行われるが、親水処理工程S11が弾性部材付与工程S12の後、あるいは弾性部材付与工程S12及びひだ形成工程S13の後で行われるようにしてもよい。
【0037】
親水処理工程S11では、内側シート材5を形成するための疎水性を有する不織布シートが縦方向Yに連続的に連なってなる不織布シート連続体23を縦方向Yと平行な第2の搬送方向B2に搬送しつつ、不織布シート連続体23の一部に親水性を付与して透液性とするための親水処理が行われる。この親水処理では、親水剤塗布ローラ24とその親水剤塗布ローラ24と対向するように配置された補助ローラ25との間に、不織布シート連続体23が通され、親水剤塗布ローラ24に不織布シート連続体23が接触される。親水剤塗布ローラ24の外周面には、親水剤供給ユニット26により、不織布シート連続体23の所定部分を親水性に変化させるための親水剤が付与されている。その親水剤塗布ローラ24の外周面に付与される親水剤の付与形態は、不織布シート連続体23のトップ部11に対応する部分に形成すべき透液領域111の配置形態に対応した形態となっている。
【0038】
より具体的には、不織布シート連続体23に第2の搬送方向B2に沿って筋状に複数の透液領域111を形成する必要がある。これに対応して、親水剤供給ユニット26は、回転される親水剤塗布ローラ24の外周面に対し、ローラ24の軸方向に間隔をあけて親水剤を供給することにより、その周方向に沿って筋状に延びる複数の親水剤付与領域を形成する。そして、ローラ24,25の間を不織布シート連続体23が通過する際に、親水剤塗布ローラ24の外周面における複数の筋状の親水剤付与領域に付与された親水剤が不織布シート連続体23に転写される。親水剤が転写された不織布シート連続体23の部分は、親水剤によって疎水性から親水性に変化し、透液性を有することとなる。一方、親水剤が転写されない不織布シート連続体23の他の部分は、疎水性のままであり、不透液性を有する状態が維持される。これによって、図6に示すように、不織布シート連続体23の所定部分に、第2の搬送方向B2に沿って筋状に延びる複数の透液領域111が形成される。
【0039】
弾性部材付与工程S12では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23の外面側に、横方向X(すなわち、不織布シート連続体23の幅方向)に間隔をあけて第2の搬送方向B2に沿って左右の弾性部材8が伸張された状態で連続的に付与される。より具体的には、不織布シート連続体23の搬送経路上に、弾性部材付与ローラ27と補助ローラ28とが不織布シート連続体23を挟み込むように対向して配置されている。そして、その弾性部材付与ローラ27と補助ローラ28との間に、外周面に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布され、伸張された左右の弾性部材8と、不織布シート連続体23とが通される。このとき、左右の弾性部材8は、不織布シート連続体23の外面側におけるトップ部11に対応する部分の横方向X(幅方向)の両側に位置するように調節される。これによって、図7に示すように、不織布シート連続体23の所定部分に左右の弾性部材8が第2の搬送方向B2に沿って伸張された状態で接着される。なお、本実施形態では、弾性部材8を不織布シート連続体23に接着するための接着剤を弾性部材8側に塗布したが、不織布シート連続体23側に塗布するようにしてもよい。なお、図7及び後述の図8及び図9では、便宜上図6に示す透液領域111の図示が省略されている。
【0040】
ひだ形成工程S13は、不織布シート連続体23に左右のひだ部13を形成する工程であり、
接着剤塗布工程S131、
ひだ先端折り工程S132、
加圧工程S133、及び
ひだ基端折り工程S134
を備えている。なお、本実施形態では、接着剤塗布工程S131は、弾性材付与工程S12の後段で行うようにしたが、接着剤塗布工程S131を親水処理工程S11と弾性部材付与工程S12との間で行ってもよい。また、ひだ基端折り工程S134については、弾性部材付与工程S12、接着剤塗布工程S131、ひだ先端折り工程S132及び加圧工程S133の後で行うようにしたが、ひだ基端折り工程S134を、親水処理工程S11と弾性部材付与工程S12との間で行う等、種々の工程順序が採用可能である。
【0041】
接着剤塗布工程S131では、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分を接合するための前述の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が塗布される。より詳細には、図7に示すように、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23の幅方向に間隔をあけた2カ所にて、接着剤塗布ユニット29によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が第2の搬送方向B2に沿って筋状に塗布される。なお、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分の接合が、加熱融着又は超音波融着により行われる場合には、接着剤塗布工程S131が省略され、その代わりに、加圧工程S133にて、加熱融着ユニット又は超音波融着ユニットにより不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分の融着が行われる。
【0042】
ひだ先端折り工程S132では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23が、付与された左右の弾性部材8に沿って、折り加工用のガイド部材(折り板)30によりその外面側表面が対向する折り方向に折られる。図7中の2つの一点鎖線は、その折り線L1を示している。本実施形態では、左右のひだ部13の先端部132に対応した2つの折り線L1のうち、いずれか一方の折り線L1に沿った折り加工が先に行われる。図8に示す例では、図7に向かって右側の折り線L1に沿った折加工が先に行われている。続いて、図9及び図10に示すように、もう一方の折り線L1に沿った折り加工が行われる。なお、2つの折り線L1で折られたときに不織布シート連続体23の幅方向の両側の縁部が重ならない場合には、2つの折り線L1での折り加工を同時に行ってもよい。
【0043】
加圧工程S133では、2つの折り線L1で折り畳まれた不織布シート連続体23が、上下に対向して配置された2つの加圧ローラ31,32の間に通されて加圧される。これによって、折り線L1での折りがより確実にされるとともに、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分が接着剤14により接合される。
【0044】
ひだ基端折り工程S134では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23が、左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの外方側の部分に沿って、折り加工用のガイド部材(折り板)33によりその肌面側表面が対向する折り方向に折られる。図9中の2つの一点鎖線は、その折り線L2を示しており、図10の矢印P1が折り線L2に対応する折り位置を示している。
【0045】
本実施形態では、図11に示すように、左右のひだ部13の基端部131の横方向Xの外方側の部分に対応した2つの折り線L2のうち、上述の2つの折り線L1のうちの後から折られた側(図11に示す例では、図11に向かって左側)の折り線L2に沿った折り加工が先に行われる。続いて、図12及び図13に示すように、もう一方の折り線L2に沿った折り加工が行われる。なお、上述の2つの折り線L1で折られたときに不織布シート連続体23の幅方向の両側の縁部が重ならない場合には、2つの折り線L2での折り加工を同時に行ってもよい。
【0046】
なお、ひだ基端折り工程S134の変形例として、不織布シート連続体23の左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの内方側の部分(図10の矢印P2で示す部分)に沿って、不織布シート連続体23を折り加工用のガイド部材(折り板)33によりその肌面側表面が対向する折り方向に折るようにしてもよい。また、不織布シート連続体23の折り線L2で折りをより確実にするため、ひだ基端折り工程S134の後段に上下に対向する2つの加圧ローラを用いた加圧工程を追加してもよい。また、他の工程S12,S132等に対するひだ基端折り工程S134の実行順序についても、上述の如く種々の順番が採用可能である。
【0047】
2つの折り線L2で折られた不織布シート連続体23は、図13に示すように、内側シート材5のトップ部11に対応する部分と、左右のサイド部12におけるひだ部13の横方向Xの外方側の部分に対応する部分とが略平面状に連なった状態となる。また、左右のひだ部13に対応する部分は、横方向Xの外方側に折り畳まれた状態となっている。このように加工された不織布シート連続体23は、内側シート連続体21として外側シート連続体22と重ね合わされる重ね合わせ工程S2に送り込まれる。
【0048】
重ね合わせ工程S2は、図4に示すように、
接着剤塗布工程S21、
吸収コア付与工程S22、及び
内側シート付与工程S23
を備えている。接着剤塗布工程S21では、第1の搬送方向B1に搬送される外側シート連続体22の肌面側に、接着剤塗布ユニット36によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。この接着剤は、外側シート連続体22と吸収コア7との接合、及び外側シート連続体22と内側シート連続体21との接合に用いられる。
【0049】
吸収コア付与工程S22では、第1の搬送方向B1に搬送される外側シート連続体22の肌面側に、吸収コア供給ライン37から供給される吸収コア7が、転写ローラ38によって第1の搬送方向B1に間隔をあけて順次付与される。付与された吸収コア7は、外側シート連続体22に塗布された接着剤により外側シート連続体22に接合される。転写ローラ38の下側には補助ローラ39が配置されており、外側シート連続体22が転写ローラ38と補助ローラ39との間を通過する。
【0050】
内側シート付与工程S23では、内側シート連続体形成工程S1から供給される内側シート連続体21と、吸収コア7が付与された外側シート連続体22とが上下対をなす2つの加圧ローラ40,41の間に通される。これによって、内側シート連続体21が吸収コア7の上から外側シート連続体22の肌面側に重ね合わされて接合される。このとき、内側シート連続体21は、ひだ部13が肌面側に位置するようにして外側シート連続体22と重ね合わされる。
【0051】
製品分割工程S3では、吸収コア7を介して重ね合わされて接合された内側シート連続体21及び外側シート連続体22がカッターローラ42とアンビルローラ43との間に通され、製品単位に切断され、これによって、おむつ1が得られる。
【0052】
なお、製造工程に関する上記の説明で簡単化のため省略したが、実際のおむつ1の製造工程では、外側シート連続体22の外面側に付着シート3を接合する工程、内側シート連続体21又は外側シート連続体22に左右のファスニング部材4を接合する工程、及び、おむつ1の左右の両側の外形を成形する工程等が含まれている。
【0053】
以上のように、本実施形態に係るおむつ1によれば、内側シート材5のトップ部11が、図3に示すように、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有しており、それらの透液領域111と不透液領域112とが、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。このため、排泄された尿が内側シート材5のトップ部11の肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、各不透液領域112にて尿が縦方向Yに広がりやすくなり、これによって、尿の縦方向Yへの広がりが増進される。すなわち、内側シート材5のトップ部11の肌面側表面において、尿が排尿口近傍から縦方向Yに効果的に拡散されながら、トップ部11の各透液領域111を透過して吸収コア7に到達する。このため、吸収コア7の縦方向Yの幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コア7の排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コア7の全体について使用効率(特に、吸収コア7の縦方向Yの両側の縁部の使用効率)を改善できる。
【0054】
また、内側シート材5の左右のサイド部12においてひだ部13がサイド部12の横方向Xの内方側の縁部に設けられるとともに、トップ部11の横方向Xの両側の縁部に透液領域111が配置されている。それ故、トップ部11の肌面側表面に沿ってトップ部11の横方向Xの両側の縁部まで到達し、サイド部12のひだ部13によって堰き止められた尿については、その縁部に設けられた透液領域111を介して吸収コア7側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部11の横方向Xの両側の縁部、すなわちひだ部13の基端部131の横方向Xの内方側に溜まり、その溜まった尿がひだ部13を乗り越える等しておむつ1の外部に漏れるのを防止できる。
【0055】
また、少なくとも一部が透液性を有するトップ部11と不透液性を有する左右のサイド部12とを有する内側シート材5が、連続したシート(本実施形態では、不織布シート)により形成されている。それ故、内側シート材5の構成を簡単化することができるとともに、内側シート材5を形成する際の複数のシート材の貼り合わせによる材料の無駄も排除でき、その結果、簡単な構成で安価に製造できるおむつ1を提供できる。
【0056】
また、内側シート材5の左右のサイド部12の一部を縦方向Yに沿って着用者の肌面側に向けて折り出すことにより、立体ギャザー15を形成するめのひだ部13が形成される。その結果、構成及び製造ラインの簡単化を図りつつ、立体ギャザー15を有する内側シート材5を形成できる。
【0057】
また、おむつ1の製造方法に関し、親水処理工程S11にて内側シート材5を形成するための疎水性を有する不織布シート連続体23の一部に親水処理を施すことにより、内側シート材5の一部に高価な親水性不織布を用いることなく、透液性を有する部分と不透液性を有する部分とを備えた内側シート材5を容易かつ安価に形成できる。
【0058】
また、不織布シート連続体23に親水処理を施すのは親水剤塗布等の簡単な処理であり、おむつ1の製造ラインが複雑化することもない。
【0059】
また、不織布シート連続体23への親水剤の塗布を、親水剤塗布ローラ24の外周面に付与した親水剤を不織布シート連続体23に転写することにより行うため、不織布シート連続体23の透水性を付与すべき部分に迅速かつ確実に親水剤を塗布できる。
【0060】
また、親水剤供給ユニット26により親水剤を親水剤塗布ローラ24の外周面に付与する際の付与パターンを変更することにより、不織布シート連続体23の透液性を付与すべき部分の形状又は配置等の違いに容易に対応できる。
【0061】
また、ひだ形成工程S13において、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23に付与された左右の弾性部材8に沿って、不織布シート連続体23がその外面側表面が対向する折り方向に折られるとともに、不織布シート連続体23の折り合わされた部分における左右のひだ部13を形成する部分が接着剤14により接合される。このため、構成及び製造ラインの簡単化を図りつつ、立体ギャザー15を有する内側シート材5を形成できる。
【0062】
また、左右の弾性部材8が付与された部分に沿って不織布シート連続体23がその外面側表面が対向する折り方向に折られるとともに、不織布シート連続体23の左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの外方側の部分に沿って、不織布シート連続体23がその肌面側表面が対向する折り方向に折られる。これによって、上記の如く、形成された内側シート連続体21におけるトップ部11に対応する部分と、左右のサイド部12におけるひだ部13の横方向Xの外方側の部分に対応する部分とが略平面状に連なった状態になる。その結果、ひだ部13が形成された内側シート連続体21と外側シート連続体22との重ね合わせ及び接合を容易に行うことができる。
【0063】
なお、本実施形態に係るおむつ1では、内側シート材5を連続した1枚の不織布シートにより構成したが、図14に示すように、内側シート材5のトップ部11、左右のサイド部12を別々のシート(例えば、不織布シート)により形成してもよい。図14に示す例では、内側シート材5が貼り合わされた3枚の不織布シート46〜48によって構成されている。トップ部11を形成する不織布シート46は、疎水性を有する樹脂材料によって形成された不織布シートが用いられており、その一部に親水処理が施されることにより、上述の図3に示すような複数の透液領域111及び複数の不透液領域112が形成されている。左右のサイド部12を形成する不織布シート47,48は、疎水性を有する樹脂材料によって形成された不織布シートが用いられている。
【0064】
次に、図15及び図16を参照して、本発明の第2実施形態に係るパンツ型おむつ10について説明する。図15上における上側は、着用者を基準として前側に対応している。本実施形態に係るパンツ型おむつ10の内装材51は、概略的な構成が上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似しており、内装材51のおむつ本体2と対応する部分については、同一の参照符号を用いて説明の重複を回避する。
【0065】
本実施形態に係るパンツ型おむつ10は、図15及び図16に示すように、内装材51と外装材52とを備えて構成されている。内装材51は、上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似した構成を有している。内装材51がおむつ本体2と異なる点は、内装材51では外側シート材6の横方向Xの両側の縁部が、吸収コア7の横方向Xの外方側の縁部を包むように吸収コア7の肌面側に巻き上げられている点である。このため、内側シート材5の横方向Xの両側の縁部は、外側シート材6の巻き上げられた横方向Xの両側の縁部に肌面側から接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合されている。このような内装材51は、後述する外装材52の肌面側に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合される。
【0066】
外装材52は、前腹部521と、後背部522と、前腹部521と後背部522との間に設けられる股部523とを有している。前腹部521の横方向Xの両側の縁部521aと後背部522の横方向Xの両側の縁部522aとが、サイド接合部54にて、溶着又は接着剤により接合されている。
【0067】
また、外装材52は、重ね合わされた2枚の基材シート71,72を備えて構成されている。それらの基材シートには不織布等が用いられ、それらの基材シートの間に、前側及び後側脚周り弾性部材61,62、前側及び後側ボディ弾性部材63,64、及び前側及び後側ウエスト弾性部材65,66が伸張された状態で挟み込まれる。
【0068】
このような構成を有するパンツ型おむつ1においても、上述の第1実施形態に係るおむつ1とほぼ同様な構成が得られる。
【0069】
なお、本実施形態に係るパンツ型おむつ10についても、上述の図14に示す構成のように、内側シート材5のトップ部11、左右のサイド部12を別々のシート(例えば、不織布シート)により形成してもよい。
【0070】
また、上述の第1及び第2実施形態に係るおむつ1及びパンツ型おむつ10では、吸収コア7の肌面側に配置されるシート材は内側シート材5のみであるが、吸収コア7の肌面側に内側シート材5の他にシート材を追加的に配置してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 おむつ、2 おむつ本体、3 付着シート、4 ファスニング部材、5 内側シート材、6 外側シート材、7 吸収コア、8 弾性部材、10 パンツ型おむつ、11 トップ部、12 サイド部、13 ひだ部、14 接着剤、15 立体ギャザー、16 基材シート、17 付着エレメント、21 内側シート連続体、22 外側シート連続体、23 不織布シート連続体、24 親水剤塗布ローラ、25 補助ローラ、26 親水剤供給ユニット、27 弾性部材付与ローラ、28 補助ローラ、29 接着剤塗布ユニット、30 ガイド部材、31,32 加圧ローラ、33 ガイド部材、36 接着剤塗布ユニット、37 吸収コア供給ライン、38 転写ローラ、39 補助ローラ、40,41 加圧ローラ、42 カッターローラ、43 アンビルローラ、46〜48 不織布シート、51 内装材、52 外装材、54 サイド接合部、61,62 脚周り弾性部材、63,64 ボディ弾性部材、65,66 ウエスト弾性部材、111 透液領域、112 不透液領域、131 基端部、132 先端部、521 前腹部、522 後背部、523 股部、B1 第1の搬送方向、B2 第2の搬送方向、L1,L2 折り線、S1 内側シート連続体形成工程、S11 親水処理工程、S12 弾性部材付与工程、S13 ひだ形成工程、S131 接着剤塗布工程、S132 ひだ先端折り工程、S133 加圧工程、S134 ひだ基端折り工程、S2 重ね合わせ工程、S21 接着剤塗布工程、S22 吸収コア付与工程、S23 内側シート付与工程、S3 製品分割工程、X 横方向、Y 縦方向。
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品として特許文献1に記載のものがある。この従来の吸収性物品では、吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材の横方向の中央部がメッシュ領域(101M)とされている。これによって、内側シートの横方向の中央部が他の部分よりも尿等の液体をより透過しやすくなっている。このため、この吸収性物品が装着された状態で排尿が行われた場合、尿が内側シート部材のメッシュ領域を直ちに透過して吸収コアに到達する。その結果、吸収コアによる尿の吸収が着用者の排尿口の近傍に位置する排尿口近傍領域に集中的に偏って進みやすい。このように吸収コアによる尿の吸収が排尿口近傍領域に偏りすぎると、排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対してまだ余裕があるのに、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界に達してしまうことがある。この状態でさらに排尿が行われた場合、吸収コアの排尿口近傍領域での尿の吸収が行われないため、吸収コアによる単位時間当たりの尿の吸収量が着用者による単位時間当たりの排尿量に追い付かず、尿が吸収性物品の外部に漏れ出すことがある。このため、吸収コアの排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対して十分に余裕があるのにかかわらず、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界付近に達した時点で、吸収性物品を交換する必要が生じることがある。この場合、吸収コアに含まれる多くのパルプ及び吸収ポリマー等の吸収材が未使用の廃棄されることとなり、効率が悪い。吸収性物品に用いられる吸収コアは横方向よりも縦方向(前後方向)に長いため、吸収コアの縦方向の前側及び後側の縁部について吸収材の使用効率が悪い傾向が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の解決すべき課題は、吸収コア全体の使用効率を改善できる吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び吸収性物品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、横方向の中央において縦方向に沿って延びるトップ部と、前記トップ部の前記横方向の両側において前記縦方向に沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部とを有する内側シート材と、前記内側シート材の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアとを備え、前記内側シート材の前記トップ部は、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成され、前記透液領域と前記不透液領域とは、前記縦方向に沿って延び、かつ前記横方向に対して交互に配置されている。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート材の前記左右のサイド部は、該サイド部の前記横方向の内方側の縁部において、該サイド部の肌面側に前記縦方向に沿って設けられたひだ部をそれぞれ有し、当該吸収性物品は、前記内側シート部の前記左右のひだ部の先端部に前記縦方向に沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、前記左右のひだ部を着用者の肌面側に向けて起立させる左右の弾性部材をさらに備え、前記トップ部の前記横方向の両側の縁部に、前記透液領域が配置されている。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート材の前記トップ部の前記透液領域は、前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより形成されている。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材とを備える。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材とを備える。
【0010】
また、請求項6の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品の製造方法であって、(a1)前記内側シート材の前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの前記透液領域を形成すべき部分に親水性を付与する親水処理を施すことにより、前記透液領域と前記不透液領域とを有する前記トップ部を備えた前記内側シート材を得る工程と、(a2)前記内側シート材と前記外側シート材との間に前記吸収コアを挟み込む工程とを備える。
【0011】
また、請求項7の発明では、請求項6の発明に係る吸収性物品の製造方法において、前記工程(a1)において、外周面に親水剤が付与されたローラを前記不織布シートに接触させることにより、前記親水剤を前記不織布シートの透液性を付与すべき前記部分に塗布する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明に係る吸収性物品によれば、内側シート材のトップ部が、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成されており、それらの透液領域と不透液領域とが、縦方向に沿って延び、かつ横方向に対して交互に配置されている。このため、排泄された尿が内側シート材のトップ部の肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、各不透液領域にて尿が縦方向に広がりやすくなり、これによって、尿の縦方向への広がりが増進される。すなわち、内側シート材のトップ部の肌面側表面において、尿が排尿口近傍から縦方向に効果的に拡散されながら、トップ部の各透液領域を透過して吸収コアに到達する。このため、吸収コアの縦方向の幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できる。
【0013】
請求項2に記載の発明に係る吸収性物品によれば、内側シート材の左右のサイド部においてひだ部がサイド部の横方向の内方側の縁部に設けられるとともに、トップ部の横方向の両側の縁部に透液領域が配置されている。それ故、トップ部の肌面側表面に沿ってトップ部の横方向の両側の縁部まで到達し、サイド部のひだ部によって堰き止められた尿については、その縁部に設けられた透液領域を介して吸収コア側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部の横方向の両側の縁部、すなわちひだ部の基端部の横方向の内方側に溜まり、その溜まった尿がひだ部を乗り越える等して吸収性物品の外部に漏れるのを防止できる。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る吸収性物品によれば、トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより、トップ部の透液領域が形成されるため、高価な親水性不織布を用いることなく、透液領域と不透液領域とを有するトップ部及びそのトップ部を有する内側シート材を容易かつ安価に形成できる。
【0015】
また、不織布シートに親水処理を施すのは処理剤塗布等の簡単な処理であり、吸収性物品の製造ラインが複雑化することもない。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できる使い捨ておむつを提供できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の両側の縁部の使用効率)を改善できるパンツ型使い捨ておむつを提供できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより、トップ部の透液領域が形成されるため、高価な親水性不織布を用いることなく、透液領域と不透液領域とを有するトップ部及びそのトップ部を有する内側シート材を容易かつ安価に形成できる。
【0019】
また、不織布シートに親水処理を施すのは処理剤塗布等の簡単な処理であり、吸収性物品の製造ラインが複雑化することもない。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、内側シート材のトップ部を形成するための不織布シートへの親水剤の塗布を、ローラの外周面に付与した親水剤を不織布シートに転写することにより行うため、不織布シートの透水性を付与すべき部分に迅速かつ確実に親水剤を塗布できる。
【0021】
また、親水剤をローラの外周面に付与する際の付与パターンを変更することにより、不織布シートの透液性を付与すべき部分の形状又は配置等の違いに容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の平面状に展開された状態を示す平面図である。
【図2】図1のおむつのA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1のおむつの内側シート材のトップ部の構成を示す図である。
【図4】図1のおむつの製造工程を示す図である。
【図5】図1のおむつの製造工程を示す図である。
【図6】不織布シート連続体に親水処理が施される親水処理工程の様子を示す図である。
【図7】不織布シート連続体に弾性部材及び接着剤が付与される弾性部材付与工程及び接着剤塗布工程の様子を示す図である。
【図8】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ先端折り工程の様子を示す図である。
【図9】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ先端折り工程の様子を示す図である。
【図10】図9の不織布シート連続体のA2−A2線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図11】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ基端折り工程の様子を示す図である。
【図12】不織布シート連続体のひだ部が折り出される際のひだ基端折り工程の様子を示す図である。
【図13】図12の不織布シート連続体のA3−A3線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図14】図2に示すおむつの構成の変形例を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「パンツ型おむつ」という)を、左右のサイド接合部を切り離して略平面状に展開したときの平面図である。
【図16】図15のパンツ型おむつのA4−A4線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1ないし図3を参照して、本発明の一実施形態に係るおむつ1について説明する。なお、本明細書及び図面において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後方向又は上下方向に対応している。図1上における上側は、着用者を基準として後側に対応している。また、本実施形態に係る吸収性物品1は、後述する左右のファスニング部材4を備えたテープ型の使い捨ておむつであるが、変形例として、本実施形態に係る技術をおむつの肌面側に敷き込まれる尿吸収パッドに適用してもよい。
【0024】
本実施形態に係るおむつ1は、着用者の股部を含む領域に装着されるものであって、図1及び図2に示すように、おむつ本体2と、付着シート3と、左右のファスニング部材4とを備えて構成される。おむつ本体2は、本発明に係る吸収性物品に相当しており、内側シート材5と、外側シート材6と、吸収コア7と、左右の弾性部材8とを備えて構成される。
【0025】
おむつ本体2の内側シート材5は、トップ部11と左右のサイド部12とを有し、連続したシートにより構成されている。本実施形態では、内側シート材5は、疎水性を有する樹脂材料により形成された連続した1枚の不織布シートを用い、その不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことによって形成されている(詳細な作製方法については後述する)。トップ部11は、内側シート材5の横方向Xの中央において縦方向Yに沿って延び、少なくとも一部が透液性を有している。
【0026】
具体的には、トップ部11は、図3に示すように、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有している。図3において、トップ部11内の破線ハッチングが付与された各領域が透液領域111となっており、ハッチング等が付与されない無地の各領域が不透液領域112となっている。透液領域111と不透液領域112とは、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。本実施形態では、トップ部11の横方向Xの両側の縁部は透液領域111とされている。
【0027】
図3に示す構成では、5つの透液領域111と4つの不透液領域112が設けられているが、これに限らず、2つ、3つ、4つ或いは6つ以上の透液領域111を設けてもよく、不透液領域112についても2つ、3つ或いは5つ以上設けてもよい。
【0028】
左右のサイド部12は、トップ部11の横方向Xの両側において縦方向Yに沿って延び、不透液性を有している。また、左右のサイド部12は、その一部が縦方向Yに沿って着用者の肌面側に向けてひだ状に折り出されることにより形成されたひだ部13をそれぞれ有している。ひだ部13は、その基端部131がトップ部11の横方向Xの外方側の縁部に隣接するように、サイド部12の横方向Xの内方側の縁部に設けられている。ひだ部13を構成するサイド部12の折り合わされた両側の部分は、ひだ部13の少なくとも基端部131にて、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)又は融着(加熱融着又は超音波融着)等の接合手段により接合され、これによってひだ状に折り合わされた状態に固定さている。本実施形態では、その接合手段として接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が用いられている。そして、その接着剤14により、ひだ部13を構成するサイド部12の折り合わされた両側の部分が、ひだ部13の基端部131にて接合されている。
【0029】
左右の弾性部材8は、内側シート材5の左右のひだ部13の先端部132に縦方向Yに沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、その収縮力により左右のひだ部13を着用者の肌面側に向けて起立させる。本実施形態では、弾性部材8がひだ部13の折り合わされた両側の部分の間に挟み込まれるようにして付与さている。弾性部材8としては、例えば糸状のゴム材等が用いられる。このようなひだ部13と弾性部材8とによって、立体ギャザー15が形成される。この立体ギャザー15によって、尿等の排泄物がおむつ1の股部の左右の両縁部から外部に漏れる横漏れが防止される。なお、この立体ギャザー15(すなわち、ひだ部13及び弾性部材8)については省略してもよい。
【0030】
外側シート材6は、不透液性を有し、内側シート材5の外面側に配置され、内側シート材5との間で吸収コア7を挟み込む。より具体的には、外側シート材6は、例えば、不透液性を有する樹脂フィルムと不織布とを貼り合わせてなる複合シートにより構成される。この外側シート材6により、吸収コア7から染み出した尿等がおむつ1の外部に漏れ出すのが防止される。
【0031】
吸収コア7は、水分を吸収する吸収素材を備えて構成され、内側シート材5と外側シート材6との間に配置される。吸収素材としては、パルプ等からなる繊維集合体、又は吸収性ポリマーを内包したパッド等が挙げられる。また、繊維集合体等からなる吸収素材をティッシュペーパー等の包装シートにより包んでもよい。
【0032】
付着シート3は、後述する左右のファスニング部材4に設けられた付着エレメント17が着脱可能なシート状の部材により形成され、外側シート材6の外面側における縦方向Yの前方側の領域に接着剤等の接合手段により接合される。
【0033】
左右のファスニング部材4は、基材シート16と、その基材シート16の肌面側表面に付与された付着エレメント17とを備えて構成され、おむつ1を着用者に装着したときの固定具としての役割を担っている。基材シート16は、不織布等のシート材によって形成され、横方向Xの内方側の縁部が、おむつ本体2の縦方向Yの後方側における横方向Xの両側の縁部に接着剤等の接合手段により接合されている。本実施形態では、基材シート16の横方向Xの内方側の縁部が、内側シート材5と外側シート材6との間に挟み込まれた状態で内側シート材5及び外側シート材6のいずれか一方又は両方に接着剤等の接合手段により接合されている。
【0034】
付着エレメント17と付着シート3とは、互いに着脱自在に付着する構成であれば任意の構成が採用可能である。具体例として、例えば、付着エレメント17として複数のフック構造を有するフック材を用い、付着シート3としてそのフック材のフック構造が着脱自在に係合する複数のループ構造を有するループ材を用いた構成が挙げられる。他の具体例として、付着エレメント17として粘着物質が付与された粘着シートを用い、付着シート3としてその粘着シートが着脱自在に付着する付着面を有するシート材を用いた構成が挙げられる。
【0035】
次に、図4ないし図13を参照して、本実施形態に係るおむつ1の製造方法について説明する。このおむつ1の製造方法は、図4に示すように、
内側シート連続体形成工程S1、
重ね合わせ工程S2、及び
製品分割工程S3
を備えている。内側シート連続体形成工程S1は、左右の弾性部材8が付与された内側シート材5が縦方向Yに連続的に連なってなる内側シート連続体21を形成する工程である。重ね合わせ工程S2は、外側シート材6が縦方向Yに連続的に連なってなる外側シート連続体22を縦方向Yと平行な第1の搬送方向B1に搬送しつつ、外側シート連続体22の肌面側に吸収コア7を縦方向Yに間隔をあけて付与するとともに、吸収コア7の上から内側シート連続体21を外側シート連続体22の肌面側に重ね合わせる工程である。製品分割工程S3は、吸収コア7を挟み込むようにして重ね合わされた内側シート連続体21と外側シート連続体22とを製品単位に切断する工程である。
【0036】
内側シート連続体形成工程S1は、図5に示すように、
親水処理工程S11、
弾性部材付与工程S12、及び
ひだ形成工程S13
を備えている。なお、本実施形態では、親水処理工程S11が弾性部材付与工程S12及びひだ形成工程S13の前で行われるが、親水処理工程S11が弾性部材付与工程S12の後、あるいは弾性部材付与工程S12及びひだ形成工程S13の後で行われるようにしてもよい。
【0037】
親水処理工程S11では、内側シート材5を形成するための疎水性を有する不織布シートが縦方向Yに連続的に連なってなる不織布シート連続体23を縦方向Yと平行な第2の搬送方向B2に搬送しつつ、不織布シート連続体23の一部に親水性を付与して透液性とするための親水処理が行われる。この親水処理では、親水剤塗布ローラ24とその親水剤塗布ローラ24と対向するように配置された補助ローラ25との間に、不織布シート連続体23が通され、親水剤塗布ローラ24に不織布シート連続体23が接触される。親水剤塗布ローラ24の外周面には、親水剤供給ユニット26により、不織布シート連続体23の所定部分を親水性に変化させるための親水剤が付与されている。その親水剤塗布ローラ24の外周面に付与される親水剤の付与形態は、不織布シート連続体23のトップ部11に対応する部分に形成すべき透液領域111の配置形態に対応した形態となっている。
【0038】
より具体的には、不織布シート連続体23に第2の搬送方向B2に沿って筋状に複数の透液領域111を形成する必要がある。これに対応して、親水剤供給ユニット26は、回転される親水剤塗布ローラ24の外周面に対し、ローラ24の軸方向に間隔をあけて親水剤を供給することにより、その周方向に沿って筋状に延びる複数の親水剤付与領域を形成する。そして、ローラ24,25の間を不織布シート連続体23が通過する際に、親水剤塗布ローラ24の外周面における複数の筋状の親水剤付与領域に付与された親水剤が不織布シート連続体23に転写される。親水剤が転写された不織布シート連続体23の部分は、親水剤によって疎水性から親水性に変化し、透液性を有することとなる。一方、親水剤が転写されない不織布シート連続体23の他の部分は、疎水性のままであり、不透液性を有する状態が維持される。これによって、図6に示すように、不織布シート連続体23の所定部分に、第2の搬送方向B2に沿って筋状に延びる複数の透液領域111が形成される。
【0039】
弾性部材付与工程S12では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23の外面側に、横方向X(すなわち、不織布シート連続体23の幅方向)に間隔をあけて第2の搬送方向B2に沿って左右の弾性部材8が伸張された状態で連続的に付与される。より具体的には、不織布シート連続体23の搬送経路上に、弾性部材付与ローラ27と補助ローラ28とが不織布シート連続体23を挟み込むように対向して配置されている。そして、その弾性部材付与ローラ27と補助ローラ28との間に、外周面に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布され、伸張された左右の弾性部材8と、不織布シート連続体23とが通される。このとき、左右の弾性部材8は、不織布シート連続体23の外面側におけるトップ部11に対応する部分の横方向X(幅方向)の両側に位置するように調節される。これによって、図7に示すように、不織布シート連続体23の所定部分に左右の弾性部材8が第2の搬送方向B2に沿って伸張された状態で接着される。なお、本実施形態では、弾性部材8を不織布シート連続体23に接着するための接着剤を弾性部材8側に塗布したが、不織布シート連続体23側に塗布するようにしてもよい。なお、図7及び後述の図8及び図9では、便宜上図6に示す透液領域111の図示が省略されている。
【0040】
ひだ形成工程S13は、不織布シート連続体23に左右のひだ部13を形成する工程であり、
接着剤塗布工程S131、
ひだ先端折り工程S132、
加圧工程S133、及び
ひだ基端折り工程S134
を備えている。なお、本実施形態では、接着剤塗布工程S131は、弾性材付与工程S12の後段で行うようにしたが、接着剤塗布工程S131を親水処理工程S11と弾性部材付与工程S12との間で行ってもよい。また、ひだ基端折り工程S134については、弾性部材付与工程S12、接着剤塗布工程S131、ひだ先端折り工程S132及び加圧工程S133の後で行うようにしたが、ひだ基端折り工程S134を、親水処理工程S11と弾性部材付与工程S12との間で行う等、種々の工程順序が採用可能である。
【0041】
接着剤塗布工程S131では、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分を接合するための前述の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が塗布される。より詳細には、図7に示すように、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23の幅方向に間隔をあけた2カ所にて、接着剤塗布ユニット29によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)14が第2の搬送方向B2に沿って筋状に塗布される。なお、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分の接合が、加熱融着又は超音波融着により行われる場合には、接着剤塗布工程S131が省略され、その代わりに、加圧工程S133にて、加熱融着ユニット又は超音波融着ユニットにより不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分の融着が行われる。
【0042】
ひだ先端折り工程S132では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23が、付与された左右の弾性部材8に沿って、折り加工用のガイド部材(折り板)30によりその外面側表面が対向する折り方向に折られる。図7中の2つの一点鎖線は、その折り線L1を示している。本実施形態では、左右のひだ部13の先端部132に対応した2つの折り線L1のうち、いずれか一方の折り線L1に沿った折り加工が先に行われる。図8に示す例では、図7に向かって右側の折り線L1に沿った折加工が先に行われている。続いて、図9及び図10に示すように、もう一方の折り線L1に沿った折り加工が行われる。なお、2つの折り線L1で折られたときに不織布シート連続体23の幅方向の両側の縁部が重ならない場合には、2つの折り線L1での折り加工を同時に行ってもよい。
【0043】
加圧工程S133では、2つの折り線L1で折り畳まれた不織布シート連続体23が、上下に対向して配置された2つの加圧ローラ31,32の間に通されて加圧される。これによって、折り線L1での折りがより確実にされるとともに、不織布シート連続体23のひだ部13を形成する折り合わされた部分が接着剤14により接合される。
【0044】
ひだ基端折り工程S134では、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23が、左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの外方側の部分に沿って、折り加工用のガイド部材(折り板)33によりその肌面側表面が対向する折り方向に折られる。図9中の2つの一点鎖線は、その折り線L2を示しており、図10の矢印P1が折り線L2に対応する折り位置を示している。
【0045】
本実施形態では、図11に示すように、左右のひだ部13の基端部131の横方向Xの外方側の部分に対応した2つの折り線L2のうち、上述の2つの折り線L1のうちの後から折られた側(図11に示す例では、図11に向かって左側)の折り線L2に沿った折り加工が先に行われる。続いて、図12及び図13に示すように、もう一方の折り線L2に沿った折り加工が行われる。なお、上述の2つの折り線L1で折られたときに不織布シート連続体23の幅方向の両側の縁部が重ならない場合には、2つの折り線L2での折り加工を同時に行ってもよい。
【0046】
なお、ひだ基端折り工程S134の変形例として、不織布シート連続体23の左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの内方側の部分(図10の矢印P2で示す部分)に沿って、不織布シート連続体23を折り加工用のガイド部材(折り板)33によりその肌面側表面が対向する折り方向に折るようにしてもよい。また、不織布シート連続体23の折り線L2で折りをより確実にするため、ひだ基端折り工程S134の後段に上下に対向する2つの加圧ローラを用いた加圧工程を追加してもよい。また、他の工程S12,S132等に対するひだ基端折り工程S134の実行順序についても、上述の如く種々の順番が採用可能である。
【0047】
2つの折り線L2で折られた不織布シート連続体23は、図13に示すように、内側シート材5のトップ部11に対応する部分と、左右のサイド部12におけるひだ部13の横方向Xの外方側の部分に対応する部分とが略平面状に連なった状態となる。また、左右のひだ部13に対応する部分は、横方向Xの外方側に折り畳まれた状態となっている。このように加工された不織布シート連続体23は、内側シート連続体21として外側シート連続体22と重ね合わされる重ね合わせ工程S2に送り込まれる。
【0048】
重ね合わせ工程S2は、図4に示すように、
接着剤塗布工程S21、
吸収コア付与工程S22、及び
内側シート付与工程S23
を備えている。接着剤塗布工程S21では、第1の搬送方向B1に搬送される外側シート連続体22の肌面側に、接着剤塗布ユニット36によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。この接着剤は、外側シート連続体22と吸収コア7との接合、及び外側シート連続体22と内側シート連続体21との接合に用いられる。
【0049】
吸収コア付与工程S22では、第1の搬送方向B1に搬送される外側シート連続体22の肌面側に、吸収コア供給ライン37から供給される吸収コア7が、転写ローラ38によって第1の搬送方向B1に間隔をあけて順次付与される。付与された吸収コア7は、外側シート連続体22に塗布された接着剤により外側シート連続体22に接合される。転写ローラ38の下側には補助ローラ39が配置されており、外側シート連続体22が転写ローラ38と補助ローラ39との間を通過する。
【0050】
内側シート付与工程S23では、内側シート連続体形成工程S1から供給される内側シート連続体21と、吸収コア7が付与された外側シート連続体22とが上下対をなす2つの加圧ローラ40,41の間に通される。これによって、内側シート連続体21が吸収コア7の上から外側シート連続体22の肌面側に重ね合わされて接合される。このとき、内側シート連続体21は、ひだ部13が肌面側に位置するようにして外側シート連続体22と重ね合わされる。
【0051】
製品分割工程S3では、吸収コア7を介して重ね合わされて接合された内側シート連続体21及び外側シート連続体22がカッターローラ42とアンビルローラ43との間に通され、製品単位に切断され、これによって、おむつ1が得られる。
【0052】
なお、製造工程に関する上記の説明で簡単化のため省略したが、実際のおむつ1の製造工程では、外側シート連続体22の外面側に付着シート3を接合する工程、内側シート連続体21又は外側シート連続体22に左右のファスニング部材4を接合する工程、及び、おむつ1の左右の両側の外形を成形する工程等が含まれている。
【0053】
以上のように、本実施形態に係るおむつ1によれば、内側シート材5のトップ部11が、図3に示すように、透液性を有する複数の透液領域111と、不透液性を有する複数の不透液領域112とを有しており、それらの透液領域111と不透液領域112とが、縦方向Yに沿って延び、かつ横方向Xに対して交互に配置されている。このため、排泄された尿が内側シート材5のトップ部11の肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、各不透液領域112にて尿が縦方向Yに広がりやすくなり、これによって、尿の縦方向Yへの広がりが増進される。すなわち、内側シート材5のトップ部11の肌面側表面において、尿が排尿口近傍から縦方向Yに効果的に拡散されながら、トップ部11の各透液領域111を透過して吸収コア7に到達する。このため、吸収コア7の縦方向Yの幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コア7の排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コア7の全体について使用効率(特に、吸収コア7の縦方向Yの両側の縁部の使用効率)を改善できる。
【0054】
また、内側シート材5の左右のサイド部12においてひだ部13がサイド部12の横方向Xの内方側の縁部に設けられるとともに、トップ部11の横方向Xの両側の縁部に透液領域111が配置されている。それ故、トップ部11の肌面側表面に沿ってトップ部11の横方向Xの両側の縁部まで到達し、サイド部12のひだ部13によって堰き止められた尿については、その縁部に設けられた透液領域111を介して吸収コア7側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部11の横方向Xの両側の縁部、すなわちひだ部13の基端部131の横方向Xの内方側に溜まり、その溜まった尿がひだ部13を乗り越える等しておむつ1の外部に漏れるのを防止できる。
【0055】
また、少なくとも一部が透液性を有するトップ部11と不透液性を有する左右のサイド部12とを有する内側シート材5が、連続したシート(本実施形態では、不織布シート)により形成されている。それ故、内側シート材5の構成を簡単化することができるとともに、内側シート材5を形成する際の複数のシート材の貼り合わせによる材料の無駄も排除でき、その結果、簡単な構成で安価に製造できるおむつ1を提供できる。
【0056】
また、内側シート材5の左右のサイド部12の一部を縦方向Yに沿って着用者の肌面側に向けて折り出すことにより、立体ギャザー15を形成するめのひだ部13が形成される。その結果、構成及び製造ラインの簡単化を図りつつ、立体ギャザー15を有する内側シート材5を形成できる。
【0057】
また、おむつ1の製造方法に関し、親水処理工程S11にて内側シート材5を形成するための疎水性を有する不織布シート連続体23の一部に親水処理を施すことにより、内側シート材5の一部に高価な親水性不織布を用いることなく、透液性を有する部分と不透液性を有する部分とを備えた内側シート材5を容易かつ安価に形成できる。
【0058】
また、不織布シート連続体23に親水処理を施すのは親水剤塗布等の簡単な処理であり、おむつ1の製造ラインが複雑化することもない。
【0059】
また、不織布シート連続体23への親水剤の塗布を、親水剤塗布ローラ24の外周面に付与した親水剤を不織布シート連続体23に転写することにより行うため、不織布シート連続体23の透水性を付与すべき部分に迅速かつ確実に親水剤を塗布できる。
【0060】
また、親水剤供給ユニット26により親水剤を親水剤塗布ローラ24の外周面に付与する際の付与パターンを変更することにより、不織布シート連続体23の透液性を付与すべき部分の形状又は配置等の違いに容易に対応できる。
【0061】
また、ひだ形成工程S13において、第2の搬送方向B2に搬送される不織布シート連続体23に付与された左右の弾性部材8に沿って、不織布シート連続体23がその外面側表面が対向する折り方向に折られるとともに、不織布シート連続体23の折り合わされた部分における左右のひだ部13を形成する部分が接着剤14により接合される。このため、構成及び製造ラインの簡単化を図りつつ、立体ギャザー15を有する内側シート材5を形成できる。
【0062】
また、左右の弾性部材8が付与された部分に沿って不織布シート連続体23がその外面側表面が対向する折り方向に折られるとともに、不織布シート連続体23の左右のひだ部13の基端部131に対応する横方向Xの外方側の部分に沿って、不織布シート連続体23がその肌面側表面が対向する折り方向に折られる。これによって、上記の如く、形成された内側シート連続体21におけるトップ部11に対応する部分と、左右のサイド部12におけるひだ部13の横方向Xの外方側の部分に対応する部分とが略平面状に連なった状態になる。その結果、ひだ部13が形成された内側シート連続体21と外側シート連続体22との重ね合わせ及び接合を容易に行うことができる。
【0063】
なお、本実施形態に係るおむつ1では、内側シート材5を連続した1枚の不織布シートにより構成したが、図14に示すように、内側シート材5のトップ部11、左右のサイド部12を別々のシート(例えば、不織布シート)により形成してもよい。図14に示す例では、内側シート材5が貼り合わされた3枚の不織布シート46〜48によって構成されている。トップ部11を形成する不織布シート46は、疎水性を有する樹脂材料によって形成された不織布シートが用いられており、その一部に親水処理が施されることにより、上述の図3に示すような複数の透液領域111及び複数の不透液領域112が形成されている。左右のサイド部12を形成する不織布シート47,48は、疎水性を有する樹脂材料によって形成された不織布シートが用いられている。
【0064】
次に、図15及び図16を参照して、本発明の第2実施形態に係るパンツ型おむつ10について説明する。図15上における上側は、着用者を基準として前側に対応している。本実施形態に係るパンツ型おむつ10の内装材51は、概略的な構成が上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似しており、内装材51のおむつ本体2と対応する部分については、同一の参照符号を用いて説明の重複を回避する。
【0065】
本実施形態に係るパンツ型おむつ10は、図15及び図16に示すように、内装材51と外装材52とを備えて構成されている。内装材51は、上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似した構成を有している。内装材51がおむつ本体2と異なる点は、内装材51では外側シート材6の横方向Xの両側の縁部が、吸収コア7の横方向Xの外方側の縁部を包むように吸収コア7の肌面側に巻き上げられている点である。このため、内側シート材5の横方向Xの両側の縁部は、外側シート材6の巻き上げられた横方向Xの両側の縁部に肌面側から接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合されている。このような内装材51は、後述する外装材52の肌面側に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合される。
【0066】
外装材52は、前腹部521と、後背部522と、前腹部521と後背部522との間に設けられる股部523とを有している。前腹部521の横方向Xの両側の縁部521aと後背部522の横方向Xの両側の縁部522aとが、サイド接合部54にて、溶着又は接着剤により接合されている。
【0067】
また、外装材52は、重ね合わされた2枚の基材シート71,72を備えて構成されている。それらの基材シートには不織布等が用いられ、それらの基材シートの間に、前側及び後側脚周り弾性部材61,62、前側及び後側ボディ弾性部材63,64、及び前側及び後側ウエスト弾性部材65,66が伸張された状態で挟み込まれる。
【0068】
このような構成を有するパンツ型おむつ1においても、上述の第1実施形態に係るおむつ1とほぼ同様な構成が得られる。
【0069】
なお、本実施形態に係るパンツ型おむつ10についても、上述の図14に示す構成のように、内側シート材5のトップ部11、左右のサイド部12を別々のシート(例えば、不織布シート)により形成してもよい。
【0070】
また、上述の第1及び第2実施形態に係るおむつ1及びパンツ型おむつ10では、吸収コア7の肌面側に配置されるシート材は内側シート材5のみであるが、吸収コア7の肌面側に内側シート材5の他にシート材を追加的に配置してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 おむつ、2 おむつ本体、3 付着シート、4 ファスニング部材、5 内側シート材、6 外側シート材、7 吸収コア、8 弾性部材、10 パンツ型おむつ、11 トップ部、12 サイド部、13 ひだ部、14 接着剤、15 立体ギャザー、16 基材シート、17 付着エレメント、21 内側シート連続体、22 外側シート連続体、23 不織布シート連続体、24 親水剤塗布ローラ、25 補助ローラ、26 親水剤供給ユニット、27 弾性部材付与ローラ、28 補助ローラ、29 接着剤塗布ユニット、30 ガイド部材、31,32 加圧ローラ、33 ガイド部材、36 接着剤塗布ユニット、37 吸収コア供給ライン、38 転写ローラ、39 補助ローラ、40,41 加圧ローラ、42 カッターローラ、43 アンビルローラ、46〜48 不織布シート、51 内装材、52 外装材、54 サイド接合部、61,62 脚周り弾性部材、63,64 ボディ弾性部材、65,66 ウエスト弾性部材、111 透液領域、112 不透液領域、131 基端部、132 先端部、521 前腹部、522 後背部、523 股部、B1 第1の搬送方向、B2 第2の搬送方向、L1,L2 折り線、S1 内側シート連続体形成工程、S11 親水処理工程、S12 弾性部材付与工程、S13 ひだ形成工程、S131 接着剤塗布工程、S132 ひだ先端折り工程、S133 加圧工程、S134 ひだ基端折り工程、S2 重ね合わせ工程、S21 接着剤塗布工程、S22 吸収コア付与工程、S23 内側シート付与工程、S3 製品分割工程、X 横方向、Y 縦方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、
横方向の中央において縦方向に沿って延びるトップ部と、前記トップ部の前記横方向の両側において前記縦方向に沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部とを有する内側シート材と、
前記内側シート材の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、
水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアと、
を備え、
前記内側シート材の前記トップ部は、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成され、
前記透液領域と前記不透液領域とは、前記縦方向に沿って延び、かつ前記横方向に対して交互に配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記内側シート材の前記左右のサイド部は、該サイド部の前記横方向の内方側の縁部において、該サイド部の肌面側に前記縦方向に沿って設けられたひだ部をそれぞれ有し、
当該吸収性物品は、
前記内側シート部の前記左右のひだ部の先端部に前記縦方向に沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、前記左右のひだ部を着用者の肌面側に向けて起立させる左右の弾性部材をさらに備え、
前記トップ部の前記横方向の両側の縁部に、前記透液領域が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品において、
前記内側シート材の前記トップ部の前記透液領域は、前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、
前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、
前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材と、
を備えることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材と、
を備えることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1に記載の吸収性物品の製造方法であって、
(a1) 前記内側シート材の前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの前記透液領域を形成すべき部分に親水性を付与する親水処理を施すことにより、前記透液領域と前記不透液領域とを有する前記トップ部を備えた前記内側シート材を得る工程と、
(a2) 前記内側シート材と前記外側シート材との間に前記吸収コアを挟み込む工程と、
を備えることを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品の製造方法において、
前記工程(a1)において、外周面に親水剤が付与されたローラを前記不織布シートに接触させることにより、前記親水剤を前記不織布シートの透液性を付与すべき前記部分に塗布することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項1】
着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、
横方向の中央において縦方向に沿って延びるトップ部と、前記トップ部の前記横方向の両側において前記縦方向に沿って延び、不透液性を有する左右のサイド部とを有する内側シート材と、
前記内側シート材の外面側に配置され、不透液性を有する外側シート材と、
水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアと、
を備え、
前記内側シート材の前記トップ部は、透液性を有する複数の透液領域と、不透液性を有する複数の不透液領域とを有する連続したシートにより形成され、
前記透液領域と前記不透液領域とは、前記縦方向に沿って延び、かつ前記横方向に対して交互に配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記内側シート材の前記左右のサイド部は、該サイド部の前記横方向の内方側の縁部において、該サイド部の肌面側に前記縦方向に沿って設けられたひだ部をそれぞれ有し、
当該吸収性物品は、
前記内側シート部の前記左右のひだ部の先端部に前記縦方向に沿って伸張された状態でそれぞれ付与され、前記左右のひだ部を着用者の肌面側に向けて起立させる左右の弾性部材をさらに備え、
前記トップ部の前記横方向の両側の縁部に、前記透液領域が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品において、
前記内側シート材の前記トップ部の前記透液領域は、前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの一部に親水性を付与する親水処理を施すことにより形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、
前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、
前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材と、
を備えることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材と、
を備えることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1に記載の吸収性物品の製造方法であって、
(a1) 前記内側シート材の前記トップ部を構成する疎水性を有する不織布シートの前記透液領域を形成すべき部分に親水性を付与する親水処理を施すことにより、前記透液領域と前記不透液領域とを有する前記トップ部を備えた前記内側シート材を得る工程と、
(a2) 前記内側シート材と前記外側シート材との間に前記吸収コアを挟み込む工程と、
を備えることを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品の製造方法において、
前記工程(a1)において、外周面に親水剤が付与されたローラを前記不織布シートに接触させることにより、前記親水剤を前記不織布シートの透液性を付与すべき前記部分に塗布することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−252(P2012−252A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137615(P2010−137615)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
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