説明

吸収性物品の個装体

【課題】防漏壁を有する吸収性物品の個装体において、使用時に防漏壁がしっかりと機能し、肌に対するフィット性及び液漏れ防止性に優れた吸収性物品の個装体を提供すること。
【解決手段】長手方向の両側部に防漏壁5が配されており且つ幅方向を横断する折り線L1〜L3に沿って折り畳まれて個装されている吸収性物品1の個装体30であって、防漏壁5は、吸収層4の幅方向外方から起立する基壁部51と、該基壁部51の上端部54に連接された面状の肌当接部52とを備えており、防漏壁5における一部の領域に、基壁部51の一部が吸収性物品1の幅方向内方に延出するように折り重ねられ且つ折り重ねられた対向面の間が接合されて形成された重層部58A,58Bが設けられており、該重層部58A,58Bは、肌当接部52及び防漏層3とは接合されておらず、折り線L1〜L3は、防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域又はその近傍を横断している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品の個装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品として、長手方向の両側部に防漏壁が配されているものが知られている。防漏壁は、吸収性物品を着用者にフィットする好ましい立体形状に変形させること、着用者の肌に対する密着性を向上させ、液漏れを確実に防止することなどを目的とするものである。
【0003】
このような防漏壁を有する吸収性物品として、本出願人は先に、吸収層の幅方向外方から起立した基壁部と、該基壁部の上端部に連設された面状の弾性伸縮部とを備えた防漏壁を有し、後方部における基壁部の上端部から防漏層までの距離を、排泄部対向部における該距離よりも短くした吸収性物品を提案した(特許文献1参照)。特許文献1記載の吸収性物品における該距離の調整は、後方部の基壁部を構成する基壁部形成用シート部の一部に、該シート部の一部を折り重ねて接合することによって形成された重層部を設けることなどによりなされる。特許文献1記載の吸収性物品によれば、弾性伸縮部が着用者の肌に面状に当接するため、肌へのフィット性及び液漏れ防止性の点で満足する結果が得られる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−245306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品は、通常、包装材と共に長手方向に適宜折り畳まれ、所定箇所が封止された個装体として流通される。従って、個装体とされた吸収性物品には、折り畳みによって形成された、吸収性物品の幅方向を横断する折り線が形成されている。
特許文献1記載の防漏壁を有する吸収性物品は、個装体とされたときに、折り線の前後に位置する防漏壁に望ましくない折りぐせがつきやすく、このため包装を解いて展開したときに、防漏壁に皴が発生したり、基壁部の起立が不充分になったりすることがあり、防漏壁による効果(肌へのフィット性及び液漏れ防止性の向上)が充分に得られないという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、防漏壁を有する吸収性物品の個装体において、使用時に防漏壁がしっかりと機能し、肌に対するフィット性及び液漏れ防止性に優れた吸収性物品の個装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、基壁部と面状の肌当接部とを備えた防漏壁を有し、個装時に折り畳まれても使用時には該防漏壁が設計通りに起立して本来の作用効果を充分に発揮し得る吸収性物品の個装体について種々検討した結果、折り畳みによって該吸収性物品に形成される、該吸収性物品の幅方向を横断する折り線が、該基壁部の重層部又はその近傍を横断していることにより、折り畳みによる防漏壁への悪影響が最小限に抑えられ、良好なフィット性及び液漏れ防止性が得られることを知見した。
【0008】
本発明は、前記知見に基づきなされたものであり、肌に当接する表面層、防漏層、及びこれら両層間に介在された吸収層を備え、長手方向の両側部に防漏壁が配されている吸収性物品が、幅方向を横断する折り線に沿って折り畳まれて個装されている吸収性物品の個装体であって、前記防漏壁は、包装を解いて前記吸収性物品を展開したときに、前記吸収層の幅方向外方から起立する基壁部と、該基壁部の上端部に連接された面状の肌当接部とを備えており、前記防漏壁における一部の領域に、前記基壁部の一部が前記吸収性物品の幅方向内方又は外方に延出するように折り重ねられ且つ折り重ねられた対向面の間が接合されて形成された重層部が設けられており、該重層部は、前記肌当接部及び前記防漏層とは接合されておらず、前記折り線は、前記防漏壁における前記重層部の形成領域又はその近傍を横断している吸収性物品の個装体を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品の個装体は、使用時に防漏壁がしっかりと機能し、肌に対するフィット性及び液漏れ防止性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品の個装体を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本発明の吸収性物品の個装体の一実施形態としての生理用ナプキンの個装体が示されている。
【0011】
本実施形態の生理用ナプキンの個装体30は、図1に示すように、ナプキン1(図1では図示せず)が折り畳まれて包装材20によって個装(個別包装)されてなる。ナプキン1には、図2に示すように、この折り畳みによって形成された3本の折り線L1〜L3が形成されている。即ち、個装体30は、ナプキン1の幅方向を横断するこれらの折り線L1〜L3に沿って折り畳まれて個装されている。
【0012】
本実施形態のナプキン1は、着用時に着用者の肌に当接する表面層としての液透過性の表面シート2、防漏層としての液不透過性又は撥水性の裏面シート3、及びこれら両層2,3間に介在された吸収層としての液保持性の吸収体4を備え、実質的に縦長の形状を有している。ナプキン1の長手方向の両側部それぞれには、該長手方向の全長に亘って(後述するナプキン1の前後端部C,D間に亘って)防漏壁5が配されている。
【0013】
ナプキン1は、着用時に着用者の排泄部位に対向配置される排泄部対向部Aと、着用時に排泄部対向部Aよりも着用者の背側(後方)に配される後方部Bと、ナプキン1の前端部及び後端部をそれぞれ形成する前端部C及び後端部Dとを、長手方向に有している。本実施形態における排泄部対向部Aと後方部Bとの境界は、ナプキン1の長手方向の略中央部に存する。前端部Cと排泄部対向部Aとの境界は、ナプキン1の長手方向前端1Cからナプキン1の長手方向の全長の略5〜10%に相当する距離離間した位置に存する。後方部Bと後端部Dとの境界は、ナプキン1の長手方向後端1Dからナプキン1の長手方向の全長の略略5〜10%に相当する距離離間した位置に存する。
【0014】
表面シート2は、吸収体4の上面(肌当接面側)の全域を被覆し、且つ吸収体4の長手方向両側縁を覆って裏面シート3側へ巻き込まれている。裏面シート3は、吸収体4の下面(非肌当接面側)を被覆し、更に吸収体4の長手方向両側縁から幅方向外方に延出しており、後方部Bにおいて一対のサイドフラップ6,6を形成している。また、裏面シート3は、排泄部対向部Aの所定箇所において更に幅方向外方に延出して、一対のウイング部7,7を形成している。ウイング部7は、ナプキン1の着用時に下着のクロッチ部の外面側に折り返されて用いられる。表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の前後端から長手方向に延出し、その延出部分において互いにヒートシール等により接合されてエンドシール部10,10を形成している。
【0015】
尚、「肌当接面側」は、ナプキン着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌当接面側」は、ナプキン着用時に下着側(着用者の肌側とは反対側)に向けられる面である。また、「長手方向」は、ナプキン又は各種部材の長手方向に沿う方向であり、「幅方向」は、長手方向と直交する方向である。
【0016】
吸収体4は、図3(a)に示すように、上層吸収体41及び下層吸収体42からなる2層構造を有している。上層吸収体41は、下層吸収体42と同様に縦長で、下層吸収体42よりも長さが短く、幅が狭くなっている。上層吸収体41は、下層吸収体42の幅方向中央部で且つナプキン1の着用時に着用者の排泄部位を跨ぐように配置されており、上層吸収体41の長手方向と下層吸収体42の長手方向とは一致している。上層吸収体41と下層吸収体42との間は接合されていない。上層吸収体41の斯かる構成・配置により、ナプキン1の肌当接面側における上層吸収体41が配置されている領域は、他の領域に比して嵩高の中高部となる。この中高部が、ナプキン1の着用時において、着用者の排泄部位を跨ぐように装着者の股間部にフィットすることで、ナプキン1のフィット性及び液漏れ防止性が一層高められる。
【0017】
裏面シート3の非肌当接面側の所定箇所には本体粘着部(図示せず)が、ウイング部6の非肌当接面側にはウイング部粘着部(図示せず)が、それぞれ設けられている。本体粘着部及びウイング部粘着部は、何れもナプキン1を下着に固定するための固定手段であり、包装材20は、これらの粘着部を介してナプキン1の非肌当接面側に剥離可能に粘着されている。本体粘着部及びウイング部粘着部は、何れもホットメルト粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられている。包装材20は、個装体30の外面を形成するものであり、ナプキン1よりも長さが長く、幅が広く、矩形形状を有している。包装材2の幅方向に沿う一方の端縁(ナプキン1の前端1C寄りの端縁)には、感圧接着式の公知のタブテープ21が設けられている。
【0018】
防漏壁5は、包装を解いてナプキン1を展開したときに、図4に示すように、吸収体4の幅方向外方から起立する基壁部51と、該基壁部51の上端部54に、該上端部54の長手方向の全長に亘って連接された面状の肌当接部52とを備えている。
【0019】
防漏壁5について更に説明すると、防漏壁5は、防漏壁形成用シート53を主体として構成されている。防漏壁形成用シート53は、長手方向に亘って一定の幅を有するシートで、基壁部51及びその上端部54に肌当接部52が連設された形状を有するように折り返されている。従って、防漏壁形成用シート53を折り返して形成された防漏壁5は、図3(a)に示すように、基壁部51及び肌当接部52において2層構造となっている。基壁部51の下端部55は、吸収体4の非肌当接面側に巻き込まれている。吸収体4の非肌当接面側に巻き込まれた下端部55は、吸収体4の非肌当接面側に巻き込まれた表面シート2の非肌当接面側と、裏面シート3の肌当接面側との間に、接着剤等の公知の接合手段により固定されている。
【0020】
肌当接部52は、基壁部51の上端部54からナプキン1の幅方向内方に張り出す内方肌当接部52Aと、基壁部51の上端部54から生理用ナプキン1の幅方向外方に張り出す外方肌当接部52Bとから構成されており、少なくとも排泄部対向部Aにおいて着用者の肌に面状に当接するようになっている。
本実施形態においては、図3(a)に示すように、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bは共に、略水平に張り出している。即ち、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bは、両者が一体となって平面状に形成され、肌当接部52と基壁部51とは、図3(a)に示す如き防漏壁5の幅方向(ナプキン1の幅方向)の断面視において、T字状を形成している。
【0021】
内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bそれぞれには、防漏壁5の長手方向に亘って肌当接部弾性部材92が1本又は複数本配されている(図3(a)及び図4においてはそれぞれ1本のみ図示)。以下、内方肌当接部52Aに配された肌当接部弾性部材92を内方弾性部材92A、外方肌当接部52Bに配された肌当接部弾性部材92を外方弾性部材92Bという。内方弾性部材92A及び外方弾性部材92Bがそれぞれ複数本ある場合、複数本の弾性部材92A,92Bは、それぞれ肌当接部52の幅方向に所定間隔を置いて配される。
【0022】
内方弾性部材92A及び外方弾性部材92Bは、それぞれ内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bを構成する2層の防漏壁形成用シート53,53の間に伸長状態で配されており、接着剤等の公知の手段によって該2層の防漏壁形成用シート53,53と接合されている。
内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bに内方弾性部材92A及び外方弾性部材92Bが配されることによって、肌当接部52に弾性伸縮性が付与され伸縮領域が形成されている。伸縮領域とは、実質的に伸縮性が発現する領域をいい、肌当接部弾性部材92が存在する領域であっても、例えば、ヒートシール等が施されて剛性が高くなることによって、実質的に伸縮性が発現しなくなっている領域は含まない。
【0023】
肌当接部弾性部材92は、少なくとも排泄部対向部Aに配されており、更に前端部C及び/又は後方部B、後端部D側にも延びて配されていることが好ましい。
内方弾性部材92Aの本数は、好ましくは1〜5本、更に好ましくは1〜3本であり、外方弾性部材92Bの本数は、好ましくは1〜5本、更に好ましくは1〜3本である。
【0024】
本実施形態においては、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bの張り出し幅は異なっている。内方肌当接部52Aの張り出し幅と外方肌当接部52Bの張り出し幅との比(前者:後者)は、好ましくは1:5〜5:1であり、特に、肌当接部52のナプキン1の内方への張り出しによる液吸収面の面積縮小を防止し、該液吸収面を幅方向に広くできる点から、更に好ましくは1:1〜1:4である。
また、内方肌当接部52Aの長手方向に沿った自由端から外方肌当接部52Bの長手方向に沿った自由端までの長さ、即ち、肌当接部52の幅は、フィット性及び防漏壁を汚しにくくする点から、10〜50mmが好ましい。
【0025】
また、本実施形態においては、基壁部51における上端部54近傍に、防漏壁5の長手方向に亘って基壁部弾性部材91が配されている。基壁部弾性部材91は、基壁部51の上端部54近傍において、2層の防漏壁形成用シート53,53の間に伸長状態で配されており、接着剤等の公知の手段によって該2層の防漏壁形成用シート53,53と接合されている。基壁部弾性部材91と接合された2層の防漏壁形成用シート53,53は、基壁部弾性部材91の収縮力によって収縮し、図4に示すように、基壁部51には、上端部54と基壁部弾性部材91との間に多数の襞8が形成される。基壁部弾性部材91は、少なくとも排泄部対向部Aに配されており、更に前端部C及び/又は後方部B、後端部D側にも延びて配されていることが好ましい。このように、基壁部51における上端部54の近傍(肌当接部52の近傍)に基壁部弾性部材91が配されていることにより、ナプキン1の使用時において、肌当接部52の面形状を平面として一層安定的に保持させることが可能となる。
【0026】
基壁部51における上端部54と基壁部弾性部材91との間隔T1は、襞8を多数形成して肌当接部52の面形状の更なる安定を図る観点から、好ましくは1〜10mm、更に好ましくは1〜5mmである。間隔T1が10mmを超えてしまうと、基壁部弾性部材91と吸収体4との間の距離が短くなって、小さな襞が形成されにくくなり、基壁部弾性部材91を設ける意義(肌当接部52の面形状の更なる安定)が薄れてしまうおそれがある。多数の襞8それぞれの大きさは、同一でなくてもよく、また襞8は、少なくとも排泄部対向部Aの全域に亘って連続して形成されていることが好ましい。
【0027】
ナプキン1の長手方向の全長に亘って配されている防漏壁5における一部の領域には、図3(c)及び図3(d)に示すように、基壁部51の一部がナプキン1の幅方向内方に延出するように折り重ねられ且つ折り重ねられた対向面の間が接合されて形成された重層部58A,58Bが設けられている。重層部58A,58Bは、肌当接部52及び裏面シート3とは接合されておらず、防漏壁5の起立状態においては、肌当接部52及び裏面シート3それぞれから離間した位置に存する。右側部の防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域と、左側部の防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域とは、ナプキン1の幅方向中央を通る仮想直線(図示せず)を挟んで左右対称位置にある。
【0028】
本実施形態においては、防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域が複数存在している。
具体的には、排泄部対向部Aにおける前端部C寄りの領域A1においては、図3(c)に示すように、基壁部51において、防漏壁形成用シート53の一部が、ナプキン1の幅方向内方に延出するように山折りに折り重ねられ、且つ折り重ねられた対向面の間が接着剤、ヒートシール等の接合手段により接合されて折り重ね形態が維持されることにより、重層部58Aが形成されている。重層部58Aは、領域A1の長手方向の全長に亘って、基壁部51における肌当接部52及び防漏層3それぞれから離間した位置に形成されており、且つ吸収体4の肌当接面側にて接着剤、ヒートシール等の接合手段により表面シート2に接合固定されている。
また、排泄部対向部Aにおける後方部B寄りの領域A2及び後方部Bの全領域においては、これらの領域の長手方向の全長に亘って、図3(d)に示すように、重層部58Bが形成されている。重層部58Bは、表面シート2に接合されていない点以外は重層部58Aと同様に形成されている。
このように、本実施形態に係る重層部には、重層部がナプキン1の他の構成部材に接合されていない形態(重層部58A)、及び重層部が吸収体の肌当接面側(上方)にて他の構成部材(表面層)に接合されている形態(重層部58B)の2種類の形態が含まれる。
【0029】
一方、排泄部対向部Aにおける前記A1及びA2以外の領域A3(ウイング部7形成箇所に対応する領域)には、図3(a)及び図4に示すように、重層部58A,58Bは設けられていない。領域A3は、着用者の排泄部位に対応する領域である。
このように、本実施形態においては、着用者の排泄部位に対応する領域A3に配されている防漏壁5には重層部58A,58Bは設けられておらず、該領域A3は重層部の非形成領域とされており、防漏壁5における複数の重層部58A,58Bの形成領域(A1、A2及び後方部B)は、該重層部の非形成領域A3を前後から挟むように配されている。
【0030】
尚、本発明に係る重層部は、上述したように肌当接部52及び裏面シート3とは接合されないものであり、本発明に係る重層部には、1)基壁部51が折り重ねられ且つ接合されてなる重層部が、肌当接部52に接合している場合(図3(e)参照)の該重層部は含まれず、また、2)基壁部51が折り重ねられ且つ接合されてなる重層部が、裏面シート3に接合している場合(図示せず)の該重層部も含まれない。
防漏壁5の起立時における肌当接部52と重層部58A(58B)との間隔(基壁部51における上端部54と重層部58A(58B)との間隔)T2は、好ましくは2〜15mm、更に好ましくは3〜8mmであり、防漏壁5の起立時における裏面シート3と重層部58A(58B)との間隔(基壁部51における下端部55と重層部58A(58B)との間隔)T3は、好ましくは5〜15mm、更に好ましくは8〜12mmである。
【0031】
防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域(排泄部対向部Aにおける領域A1及びA2、並びに後方部B)は、該防漏壁5における重層部58A,58Bの非形成領域(排泄部対向部Aにおける領域A3)に比して、防漏壁5の起立時における基壁部51の上端部54から裏面シート3までの厚み方向距離が短くなっている。このように、防漏壁5における一部の領域に重層部58A,58Bを設けて、該領域における防漏壁5の起立時の高さを抑制することにより、ナプキン1のフィット性(特に着用者の排泄部位の前後に対するフィット性)が良好となり、ナプキン1と身体とが無理なくフィットし、違和感が低減される。
【0032】
本実施形態においては、重層部58A,58Bは基壁部弾性部材91を含んで形成されていない。重層部58A,58Bが、何れも基壁部弾性部材91を含んで形成されておらず、基壁部弾性部材91が重層部58A,58Bによって固定されていないことによって、重層部58A,58Bの形成領域における肌当接部52の平面形状がより安定する。この平面形状の安定効果は、重層部58と基壁部51の上端部54との間に弾性部材が少なくとも1本存在することで達成できる。
【0033】
防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域(排泄部対向部Aにおける領域A1及びA2、並びに後方部B)の長手方向の長さ(各領域の長手方向の長さの合計)は、起立している防漏壁5の長手方向の長さの全長に対して、好ましくは40〜80%であり、更に好ましくは50〜70%である。
また、重層部58A,58Bの非形成領域A3よりもナプキン1の長手方向前端1C側に位置する、重層部の形成領域(A1)の長手方向の長さは、起立している防漏壁5の長手方向の長さの全長に対して、好ましくは5〜30%であり、更に好ましくは10〜20%である。
また、重層部58A,58Bの非形成領域A3よりもナプキン1の長手方向後端1D側に位置する、重層部の形成領域(A2及び後方部B)の長手方向の長さは、起立している防漏壁5の長手方向の長さの全長に対して、好ましくは20〜70%であり、更に好ましくは30〜60%である。
【0034】
肌当接部52は、前端部Cにおいて、そのナプキン1の長手方向前端1Cの近傍部分が、前端1C側のエンドシール部10により、表面シート2又は裏面シート3の肌当接面側に接合されており、また、その内側部側が、表面シート2の肌当接面側に接合されている(図3(e)参照)。
同様に、肌当接部52は、後端部Dにおいて、そのナプキン1の長手方向後端1Dの近傍部分が、後端1D側のエンドシール部10により、表面シート2又は裏面シート3の肌当接面側に接合されており、また、その内側部側が、表面シート2の肌当接面側に接合されている。
【0035】
防漏壁5は、包装を解いてナプキン1を展開したときに、排泄部対向部A及び後方部Bにおいては、肌当接部弾性部材92による収縮力によって起立する。一方、防漏壁5は、前端部C及び後端部Dにおいては、少なくとも肌当接部52の幅方向内側(内方肌当接部52A)が、表面シート2又は裏面シート3に接合されていることによって、起立が阻害されており、起立しない。そのため、肌当接部52の収縮によって、ナプキン1は、その長手方向の全体形状が、図5に示すように、凹状に湾曲する。
【0036】
上述の如き構成の防漏壁5が配されているナプキン1には、図2に示すように、個装時の折り畳みによって形成された、ナプキン1の幅方向を横断する3本の折り線L1〜L3が形成されている。そして、これらの折り線L1〜L3は、防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域(A1、A2及び後方部B)又はその近傍を横断している。
具体的には、折り線L1及びL2は、何れも重層部58Bの形成領域の一つである後方部Bを横断しており、折り線L3は、重層部58Aの形成領域である排泄部対向部A中の領域A1の近傍を横断している。ここで、防漏壁における重層部の形成領域の近傍とは、該形成領域に隣接する、該重層部が設けられていない該防漏壁中の領域であり、該形成領域との境界と、該境界から5mm離間した位置との間に亘る領域である。
【0037】
このように、ナプキン1の折り畳みに利用される折り線L1〜L3が、重層部58A,58Bの形成領域又はその近傍を横断していることにより、ナプキン1を折り線L1〜L3で折り曲げたときに、防漏壁5に皴が発生したり、折り線L1〜L3の前後に位置する防漏壁5の部分に望ましくない折りぐせがついたりするなどといった、防漏壁5の乱れが防止され、ナプキン1の使用時に防漏壁5を設計通りに起立させ、防漏壁5による効果(肌へのフィット性及び液漏れ防止性の向上)が充分に得られるようになる。
仮に、ナプキン1の折り畳みに利用される折り線が、防漏壁5における重層部の非形成領域A3を横断している場合、個装時のナプキン1の折り畳みにより、該領域A3における防漏壁5に乱れが生じやすくなるため、ナプキン1の使用時に防漏壁5が充分に起立しない、防漏壁5の起立方向に乱れが生じる、防漏壁5に皴がはいるなどの不都合が生じるおそれが高まり、防漏壁5により奏されるべき効果が充分に奏されないことになる。
【0038】
尚、本実施形態においては、防漏壁における重層部の形成領域を横断する折り線(L1,L2)、及び防漏壁における重層部の形成領域の近傍を横断する折り線(L3)の2種類の折り線が形成されているが、本発明には、これらのうちの何れか1種類の折り線のみが形成されているものも含まれる。1種類の折り線のみを有する形態を採用する場合、この1種類の折り線としては、防漏壁の起立性の観点から、重層部の形成領域の近傍を横断する折り線が好ましい。
【0039】
また、本実施形態においては、折り線L1〜L3の位置は、重層部58A,58Bのみならず、防漏溝8とも密接に関係している。以下、この点について説明する。
【0040】
表面シート2の肌当接面側に、該表面シート2と吸収体4とが一体的に圧密化されて形成された防漏溝8が形成されている(図3(b)参照)。防漏溝8は、少なくとも排泄部対向部A及び後方部Bに亘って形成されている略楕円形状の全周溝81と、該全周溝81によって閉じられた領域内に形成され、後方部Bに位置する後方溝82とからなる。後方溝82は、ナプキン1の後端1Dに向けて凸の略U字状に形成されている。防漏溝8は、例えばヒートエンボス加工により形成することができる。
【0041】
上層吸収体41は、平面視で全周溝81によって包囲されており、表面シート2と下層吸収体42とからなる閉鎖空間に封入されている。更に、上層吸収体41の長手方向後端部は、後方溝82によっても包囲されている。防漏溝8が上層吸収体41との関係においてこのように配されていることにより、上層吸収体41における液の吸収効率が一層高められると共に、特に後方部Bの上向きの可撓性が一層高められ、身体に対するフィット性が一層向上する。
【0042】
全周溝81は、図2に示すように、平面視において4つの変曲点81a,81b,81c,81dを有している。本明細書において、変曲点とは、曲率の異なる2種類の曲線の変わり目を意味し、この変わり目で引いた接線に対し、曲線の一方と他方とが異なる側にあるもののみならず、同じ側にあるものも含まれる。変曲点81aと81bとは、ナプキン1の幅方向中央を通る仮想直線(図示せず)を介して左右対称に位置している。同様に、変曲点81cと81dとも該仮想直線を介して左右対称に位置している。
【0043】
また、ナプキン1の長手方向一端(1C又は1D)から他端(1D又は1C)に亘って、該ナプキン1の幅方向に延びる図示しない仮想直線(前記折り線と平行な仮想直線)を横断する防漏溝の数を数えた場合、例えば排泄部対向部Aのように、全周溝81のみが形成されている箇所における該防漏溝の数は2本であり、後方部Bの一部の領域のように、全周溝81に加えて後方溝82が形成されている箇所における該防漏溝の数は4本である。このように、後方溝82の長手方向前後端は、何れも防漏溝の数に変化が生じる箇所である。
従って、全周溝81と後方溝82とからなる防漏溝8は、「平面視において変曲点を有し、且つ吸収性物品の長手方向一端から他端に亘って、該吸収性物品の幅方向に延びる仮想線を横断する防漏溝の数を数えた場合に、その数に変化が生じる形状」(本願の請求項2に記載の形状(3))を有している。
【0044】
そして、本実施形態においては、折り線L1〜L3が、上述したように防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域又はその近傍を横断していることに加えて、「防漏溝の変曲点」(81a,81b,81c,81d)又は「防漏溝の数が変化する箇所」(8c)を横断している。本明細書において、「防漏溝の数が変化する箇所」とは、上記のようにナプキン1の幅方向に延びる仮想直線(図示せず)を横断する防漏溝の数を数えた場合に、その数に変化が生じた箇所(本実施形態では後方溝82の長手方向前後端)を中心として、該箇所からその前後方向(該仮想直線と直交する方向)それぞれに5mm離間した位置に亘る領域を意味する。
具体的には、折り線L1及びL2は、何れも防漏壁5における重層部58Bの形成領域を横断すると共に、防漏溝の数が変化する箇所8cを横断しており、折り線L3は、防漏壁5における重層部58Aの形成領域の近傍を横断すると共に、防漏溝8(全周溝81)の変曲点81a及び81bを横断している。
【0045】
このように、ナプキン1の折り畳みに利用される折り線L1〜L3が、「防漏溝の変曲点」又は「防漏溝の数が変化する箇所」を横断していることにより、ナプキン1の折り曲げ易さが一層高まり、折り曲げた時に表面シート2などに折り皴が発生し難くなる。表面シート2に折り皴が発生すると、防漏壁5の乱れに繋がる可能性があるため、斯かる構成は、防漏壁5の乱れ防止及び安定した性能発揮にも有効である。「防漏溝の変曲点」及び「防漏溝の数が変化する箇所」は、何れもナプキン1の剛性の変化点でもあり、ナプキン1の剛性が相対的に低いため、ナプキン1を折り曲げ易い。
【0046】
本実施形態のナプキン1における表面シート2(表面層)、裏面シート3(防漏層)及び吸収体4(吸収層)としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来から用いられている各種材料を特に制限なく用いることができる。
表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。裏面シート3としては、例えば、熱可塑性樹脂のフィルム(ポリエチレンフィルム等)や、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性又は撥水性のシートを用いることができ、水蒸気透過性を有するものを用いることもできる。
吸収体4としては、生理用ナプキン等の吸収性物品における吸収体として従来から用いられている各種材料を特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ繊維を堆積させて得られた積繊層、パルプ繊維を原料とする不織布からなるものを用いることができる。吸収体4は吸収性ポリマーを含有していてもよい。
【0047】
また、防漏壁5を構成する防漏壁形成用シート53としては、生理用ナプキン等の吸収性物品における防漏壁を構成する材料として従来から用いられている材料を特に制限なく用いることができ、特に好ましくは疎水性不織布等の撥水性のシートが用いられる。
防漏壁5における基壁部弾性部材91及び肌当接部弾性部材92は、弾性を有しているものであれば、糸状の弾性部材に制限されず、帯状のものでもよい。
また、防漏壁5は、本実施形態においては基壁部51と肌当接部52とが一体的に形成されているが、基壁部51と肌当接部52とを別々に製造し、それらを接合して形成することもできる。
【0048】
本実施形態の個装体30は、上述の如き構成を有するナプキン1を、包装材20と共に、幅方向を横断する折り線L1〜L3に沿って折り畳み、該包装材2の所定箇所を封止することにより得られる。
具体的には、図2に示す如き、包装材2上に展開状態のナプキン1が載置されている状態から、図6に示すように、先ず、折り線L1に沿って、ナプキン1を、包装材20と共にナプキン1の長手方向に向けて肌当接面側に折り曲げる。次いで、折り線L2に沿って、ナプキン1を同様に折り曲げ、更に、折り線L3に沿って、ナプキン1を同様に折り曲げる。
そして、このようにして折り畳まれた状態のナプキン1の両側縁から幅方向外方に延出する包装材20の両側部を、エンボス加工等の公知の接合方法により封止すると共に、包装材20の端縁部をタブテープ21で所定箇所に止着することにより、図1に示す如きナプキン1の個装体30が得られる。
尚、一対のウイング部7,7は、予め、吸収体4の長手方向両側縁に沿って該吸収体4の肌当接面側の面上(表面シート2上)に折り曲げておいても良い。この場合、ウイング部7の非肌当接面側に設けられている前記ウイング部粘着部(図示せず)を、包装材20とは別体の剥離シートで被覆し、ナプキン1の使用時まで保護しておくことが望ましい。
【0049】
本実施形態の個装体30は、この種の吸収性物品の個装体と同様に使用することができる。
上述の如き構成を有する本実施形態のナプキン1の個装体30によれば、折り線L1〜L3が、防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域又はその近傍を横断しているため、ナプキン1を折り線L1〜L3で折り曲げたことに起因する防漏壁5の乱れが効果的に防止される。従って、防漏壁5に期待される作用効果が充分に発揮され、肌へのフィット性及び液漏れ防止性の点で満足できる結果が得られる。
また、本実施形態のように、折り線L1〜L3が、防漏壁5における重層部58A,58Bの形成領域又はその近傍を横断していることに加えて、「防漏溝の変曲点」又は「防漏溝の数が変化する箇所」を横断している場合には、ナプキン1(吸収体4)の折り曲げ易さが更に高まり、ナプキン1を折り線L1〜L3で折り曲げたことに起因する表面シート2や吸収体4の乱れが効果的に防止され、ひいては肌へのフィット性及び液漏れ防止性が更に向上する。
また、本実施形態のように、基壁部51における上端部54近傍に、防漏壁5の長手方向に亘って基壁部弾性部材91が配されている場合には、肌当接部52の面形状を一層安定的に保持することができ、着用者の肌に対するフィット性及び液漏れ防止性の点でより満足できる結果が得られる。
【0050】
また、肌当接部52が内方肌当接部52Aと外方肌当接部52Bとからなり、両肌当接部52A,52Bに内方弾性部材92A及び外方弾性部材92Bが配されていることにより、肌当接部52が伸縮性を有し、着用者の肌に対するフィット性が更に向上する。
更に、防漏壁5が、その幅方向の断面がT字状に形成されていることにより、肌当接部52が着用者の肌に面状に当接しやすい。
【0051】
本発明の吸収性物品の個装体は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
例えば、重層部58A,58Bは、何れも基壁部51の一部がナプキン1の幅方向内方に延出するように折り重ねられて形成されていたが、該一部がナプキン1の幅方向外方に延出するように折り重ねられて形成されていても良い。
また、前記実施形態では、排泄部対向部Aにおける前端部C寄りの領域A1には図3(c)に示す如き形態の重層部58Aが、排泄部対向部Aにおける後方部B寄りの領域A2及び後方部Bの全領域には図3(d)に示す如き形態の重層部58Bが、それぞれ形成されていたが、これとは逆に、領域A1に重層部58Bが、領域A2及び後方部Bの全領域に重層部58Aが設けられていても良く、あるいは、ナプキン1に設けられている重層部の全てが、重層部58A又は58Bの何れかであっても良い。
【0052】
重層部58A,58Bの折り重ね回数、幅、折り重ねられた対向面における接着剤、ヒートシール等の接合手段の位置、並びに防漏壁5における重層部58A,58Bの配置箇所等は、適宜設定することができる。
また、前記折り線、即ち、吸収性物品の幅方向を横断し且つ前記防漏壁における前記重層部の形成領域又はその近傍を横断する折り線)の数に特に制限は無い。
【0053】
また、断面T字状の防漏壁5を採用する場合、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bそれぞれの張り出し幅は同一でもよく、外方肌当接部52Bの方が内方肌当接部52Aよりも張り出し幅が大きくてもよい。
また、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bは、上端部54からそれぞれ水平に張り出していなくてもよく、例えば、それぞれの先端が斜め上方に向けて張り出すことにより、肌当接部52と基壁部51とが防漏壁5の幅方向の断面視においてY字状を形成していてもよく、また、内方肌当接部52A及び外方肌当接部52Bの何れか一方のみが斜め上方に傾斜していてもよい。
【0054】
また、面状の肌当接部52を有する防漏壁5においては、内方肌当接部52Aがなく、外方肌当接部52Bのみが設けられた形態でもよく、その反対に、外方肌当接部52Bがなく、内方肌当接部52Aのみが設けられた形態でもよいが、肌当接部52の面形状を安定させる点からは、これら2つの形態(内方又は外方の何れか一方にのみ肌当接部が設けられている(延出している)形態)において、肌当接部52の延出方向とは異なる方向に基壁部51より突出部(上端部54より突出したものに限られない)が延出されていることが好ましく、基壁部51の上端部54よりナプキン1の内方又は外方に肌当接部52が張り出して、基壁部51の上端部54付近に突出部が延出されていることがより好ましい。
【0055】
吸収体4は、上層吸収体41と下層吸収体42とが接着剤やエンボス手段により一体化されていてもよく、また、中高構造を有していない平坦状であってもよい。
前述した各構成は、適宜組み合わせることができる。
また、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の個装体の適用例の一つとして生理用ナプキンの個装体を挙げたが、例えばパンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等の吸収性物品の個装体にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である生理用ナプキンの個装体を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す個装体の展開状態における生理用ナプキンの肌当接面側(表面シート側)を示す平面図である。
【図3】図3(a)は、図2に示すX1−X1線断面の模式図、図3(b)は、図3(a)の部分拡大図、図3(c)は、図2に示すX2−X2線断面の模式図、図3(d)は、図2に示すX3−X3線断面の模式図、図3(e)は、図2に示すX4−X4線断面の模式図である。
【図4】図4は、図2に示すX1−X1線断面の一部の斜視図である。
【図5】図5は、図2に示す生理用ナプキンの自然状態における概略形態を示す斜視図である(折り線の図示を省略)。
【図6】図6は、図2に示す状態から生理用ナプキンを包装材と共に折り畳む過程を示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
30 個装体
20 包装材
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート(表面層)
3 裏面シート(防漏層)
4 吸収体(吸収層)
41 上層吸収体
42 下層吸収体
5 防漏壁
51 基壁部
52 肌当接部
53 防漏壁形成用シート
54 基壁部の上端部
58A,58B 重層部
91 基壁部弾性部材
92 肌当接部弾性部材
8 防漏溝
81 全周溝
81a,81b,81c,81d 防漏溝の変曲点
82 後方溝
8c 防漏溝の数が変化する箇所
A 排泄部対向部
B 後方部
C 前端部
D 後端部
L1〜L3 折り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に当接する表面層、防漏層、及びこれら両層間に介在された吸収層を備え、長手方向の両側部に防漏壁が配されている吸収性物品が、幅方向を横断する折り線に沿って折り畳まれて個装されている吸収性物品の個装体であって、
前記防漏壁は、包装を解いて前記吸収性物品を展開したときに、前記吸収層の幅方向外方から起立する基壁部と、該基壁部の上端部に連接された面状の肌当接部とを備えており、
前記防漏壁における一部の領域に、前記基壁部の一部が前記吸収性物品の幅方向内方又は外方に延出するように折り重ねられ且つ折り重ねられた対向面の間が接合されて形成された重層部が設けられており、該重層部は、前記肌当接部及び前記防漏層とは接合されておらず、
前記折り線は、前記防漏壁における前記重層部の形成領域又はその近傍を横断している吸収性物品の個装体。
【請求項2】
前記表面層の肌当接面側に、該表面層と前記吸収層とが一体的に圧密化されて形成された防漏溝が形成されており、該防漏溝は下記(1)〜(3)の何れかの形状を有しており、
前記折り線は、下記の防漏溝の変曲点又は防漏溝の数が変化する箇所を横断している請求項1記載の吸収性物品の個装体。
(1)平面視において変曲点を有する形状。
(2)前記吸収性物品の長手方向一端から他端に亘って、該吸収性物品の幅方向に延びる仮想線を横断する前記防漏溝の数を数えた場合に、該防漏溝の数に変化が生じる形状。
(3)平面視において変曲点を有し、且つ前記吸収性物品の長手方向一端から他端に亘って、該吸収性物品の幅方向に延びる仮想線を横断する前記防漏溝の数を数えた場合に、その数に変化が生じる形状。
【請求項3】
前記防漏壁における前記重層部の形成領域が複数存在する請求項1又は2記載の吸収性物品の個装体。
【請求項4】
前記基壁部における前記上端部近傍に、前記防漏壁の長手方向に亘って基壁部弾性部材が配されている請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の個装体。
【請求項5】
前記重層部は、前記基壁部弾性部材を含んで形成されていない請求項4記載の吸収性物品の個装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−56270(P2009−56270A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228567(P2007−228567)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】