説明

吸収性物品の排出方法

【課題】継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを確実に排出することによって歩留まり率を向上し得る吸収性物品の排出方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品PDの排出方法は、使用中の連続ウェブWBの終端部と、次の連続ウェブWBの始端部とを継ぎ合わせた継ぎ合わせ部P1を設ける工程と、継ぎ合わせ部P1から、切断位置P2までの連続ウェブWBの長さと、連続ウェブWBの機械方向MDにおける吸収性物品PDの寸法L1とに基づいて、継ぎ合わせ部P1が吸収性物品PDの中央部に位置するように連続ウェブWBの供給タイミングを制御する工程と、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDのみを製造ライン10から離脱させ、当該吸収性物品PDを製造ライン10の途中で排出する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の製造ラインにおいて用いられる吸収性物品の排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品は、ベルトコンベアなどで搬送される連続ウェブ上に吸収体などを順次配置し、当該連続ウェブを折る工程、及び切断する工程などを有する製造ラインを用いて製造されることが一般的である。
【0003】
このような製造ラインでは、加工不良と判定された吸収性物品を製造ラインから離脱させ、当該吸収性物品を製造ラインの途中で排出する排出機構が設けられることが一般的である。製造ラインは高速で稼働しているため、通常は、加工不良と判定された吸収性物品を含む前後の複数個の吸収性物品が連続して排出される。
【0004】
そこで、これら複数個の吸収性物品に数字や記号などを印刷した上で排出する排出方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、当該複数個の吸収性物品に連続した数字、或いは丸や三角など記号が印刷され、当該数字或いは記号が印刷された複数個の吸収性物品が排出される。
【0005】
このような排出方法によれば、排出された複数個の吸収性物品の中で、加工不良と判定された吸収性物品の位置が概ね中央(例えば、5個排出されるのであれば、3個目)となるように、作業者が吸収性物品の排出タイミングを容易に調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−791187号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の吸収性物品の排出方法には、次のような問題があった。すなわち、加工不良でない一定数の吸収性物品も、加工不良の吸収性物品と一緒に排出され、排出された吸収性物品は製品として取り扱われないため、歩留まり率の向上を阻害する問題があった。
【0008】
特に、連続ウェブは、連続ウェブにテンションを与えるダンサーロール間の距離を拡張及び縮小することよって連続ウェブの貯留及び吐き出しを行うアキューム装置を用いて、使用中の原反ロールから次の原反ロールに継ぎ合わせることによって、製造ラインを停止することなく供給される。しかしながら、連続ウェブの継ぎ合わせ部を含む吸収性物品は加工不良として取り扱う必要があるが、このような継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを確実に排出することは難しい問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを確実に排出することによって歩留まり率を向上し得る吸収性物品の排出方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、搬送される連続ウェブ(連続ウェブWB)に吸収体(吸収体AB)を配置する工程と、前記吸収体が配置された前記連続ウェブを、前記連続ウェブが搬送される搬送方向(機械方向MD)における所定間隔毎に切断する工程と、前記連続ウェブの終端部と、次の連続ウェブの始端部とを継ぎ合わせた継ぎ合わせ部(継ぎ合わせ部P1)を設ける工程とを含む吸収性物品の製造ライン(製造ライン10)において用いられる吸収性物品(吸収性物品PD)の排出方法であって、前記継ぎ合わせ部から、前記切断する工程における前記連続ウェブの切断位置(切断位置P2)までの前記連続ウェブの長さと、前記連続ウェブの搬送方向における前記吸収性物品の寸法(寸法L1)とに基づいて、前記継ぎ合わせ部が搬送方向における前記吸収性物品の中央部(中央部CT)に位置するように前記連続ウェブの供給タイミングを制御する工程と、少なくとも前記継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを前記製造ラインから離脱させ、前記吸収性物品を前記製造ラインの途中で排出する工程とを含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴によれば、継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを確実に排出することによって歩留まり率を向上し得る吸収性物品の排出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る吸収性物品の製造ライン10の全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る排出装置130の一部拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る製造ライン10における吸収性物品PDの排出動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る吸収性物品の排出方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0015】
(1)製造ラインの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る吸収性物品の製造ライン10の全体概略構成図である。製造ライン10は、吸収性物品、具体的には、使い捨ておむつ、生理用ナプキン及びパンティライナーなど、液体を吸収する吸収体ABを有する吸収性物品PDを製造する複数の装置によって構成される。吸収体ABは、パルプや吸収性ポリマーなどによって構成される。
【0016】
製造ライン10は、不織布や樹脂フィルムの連続体である連続ウェブWBを機械方向MDに向けて搬送し、搬送される連続ウェブWBに吸収体ABを配置するとともに、連続ウェブWBを搬送しながら折ったり、切断したりすることによって最終的に吸収性物品PDを製造する。
【0017】
すなわち、製造ライン10は、搬送される連続ウェブWBに吸収体ABを配置する工程、及び吸収体ABが配置された連続ウェブWBを、連続ウェブWBが搬送される機械方向MD(搬送方向)における所定間隔毎に切断する工程などを含む。
【0018】
また、連続ウェブWBは、原反ロール210または原反ロール220から順次繰り出されるが、使用中の一方の原反ロールから次の原反ロールに切り替える必要があるため、製造ライン10は、製造ライン10を停止することなく連続ウェブWBを継ぎ合わせる工程を有する。例えば、製造ライン10は、原反ロール210から繰り出され、現在使用中の連続ウェブWBの終端部と、次に使用され、原反ロール220から繰り出される連続ウェブWBの始端部とを継ぎ合わせた継ぎ合わせ部P1を設ける工程を有する。
【0019】
具体的には、製造ライン10は、搬送装置110、製品カッター120、排出装置130及びアキューム装置200を備える。また、製造ライン10は、搬送される連続ウェブWBや製造された吸収性物品PDの形状や状態を検出するため、検出制御部310及びカメラ311を備える。さらに、製造ライン10は、連続ウェブWBの供給タイミングを制御するタイミング制御部260を備える。
【0020】
搬送装置110は、連続ウェブWBを機械方向MDに沿って高速に搬送するものであり、複数のベルトコンベアによって構成される。なお、搬送位置や搬送対象とする連続ウェブWBや吸収性物品PDの種類などに応じて、複数の貫通孔が形成され、吸引機能を有するサクションタイプのベルトコンベアが必要に応じて用いられる。
【0021】
製品カッター120は、吸収性物品PDが配置された連続ウェブWBを所定間隔毎(つまり、吸収性物品PDの製品長さ)に切断する。製品カッター120は、切断用の刃が設けられ、機械方向MDに回転するカッターロールと、カッターロールと対向し、同じく機械方向MDに回転するアンビルロールとによって構成される。
【0022】
排出装置130は、製造上の不良箇所を有する吸収性物品PDを製造ライン10から離脱させ、吸収性物品PDを製造ライン10の途中で排出する。原反ロール210と原反ロール220との継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDも排出の対象とされる。
【0023】
排出装置130は、搬送されている吸収性物品PDを排出ルートに案内するガイドバー(不図示)と、当該排出ルート側に向けて配置されたサクションタイプのベルトコンベアなどによって構成される。特に、本実施形態では、吸収性物品PDの歩留まり率を向上させるため、排出装置130は、不良箇所を有する吸収性物品PDのみ、或いは不良箇所を有する吸収性物品PDと、当該吸収性物品PDに隣接する前後それぞれの吸収性物品PDを排出するように構成されている。
【0024】
また、上述したように、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDも排出の対象とされるため、排出装置130は、少なくとも継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDのみを製造ライン10から離脱させ、当該吸収性物品PDを製造ライン10の途中で排出する。
【0025】
アキューム装置200には、原反ロール210、原反ロール220、ダンサーロール230及びモータ250が含まれる。アキューム装置200は、複数のダンサーロール230間の距離を拡張及び縮小することよって連続ウェブWBの貯留及び吐き出しを行う。
【0026】
具体的には、複数のダンサーロール230は、支持プレート231を介して連結されており、搬送されている連続ウェブWBに所定のテンションを与える。
【0027】
アキューム装置200は、水平方向(図1における横方向)におけるダンサーロール230間の距離を拡張及び縮小することによって、搬送装置110に供給される連続ウェブWBの貯留量を制御する。つまり、当該距離が拡張されれば連続ウェブWBの貯留量は増大し、ダンサーロール230間の距離が縮小されれば、連続ウェブWBの貯留量は減少する。このように移動するダンサーロール230の位置を検出するため、センサー240が設けられる。
【0028】
原反ロール210から原反ロール220への切り替え時(またはその逆)には、ダンサーロール230間の距離を拡張することによって、連続ウェブWBの貯留量を増大させる。これにより、アキューム装置200に貯留された連続ウェブWBが繰り出される時間内に原反ロール210から原反ロール220への切り替え、つまり、継ぎ合わせ部P1を形成し、製造ライン10を停止することなく、連続ウェブWBを継ぎ合わせることができる。
【0029】
また、アキューム装置200は、モータ250及びタイミング制御部260を備える。連続ウェブWBの供給速度は、センサー240によって検出されたダンサーロール230の位置に基づいて制御される。モータ250及びタイミング制御部260は、センサー240によって検出されたダンサーロール230の位置に基づいて連続ウェブWBの供給速度を決定し、継ぎ合わせ部P1を形成するタイミングを制御する。
【0030】
より具体的には、タイミング制御部260は、ダンサーロール230の位置に基づいて連続ウェブWBの供給速度を決定し、ダンサーロール230が予定したとおりの位置に移動しているかを確認しながら連続ウェブWBの供給速度を決定することによって、継ぎ合わせ部P1を形成するタイミングを制御する。
【0031】
製造ライン10は、上述したように、搬送される連続ウェブWBや製造された吸収性物品PDの形状や状態を検出するため、検出制御部310及びカメラ311を備える。検出制御部310は、製造ライン10上の所定の位置(例えば、各工程の直後)に設置された複数のカメラ311と接続されている。
【0032】
検出制御部310は、カメラ311によって撮像された連続ウェブWBまたは吸収性物品PDの形状や状態を示す画像に基づいて、不良箇所を有する吸収性物品PDを排出するタイミング及び排出時間を排出装置130に指示する。これにより、不良箇所を有する吸収性物品PDのみを排出したり、不良箇所を有する吸収性物品PDと、当該吸収性物品PDに隣接する前後それぞれの吸収性物品PDとを排出したりすることができる。また、検出制御部310は、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDを排出するタイミングを排出装置130に指示する。
【0033】
(2)吸収性物品の排出装置の概略構成
図2は、排出装置130の一部拡大斜視図である。図2に示すように、排出装置130は、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDを製造ライン10から離脱させ、吸収性物品PDを製造ライン10の途中で排出する。本実施形態では、継ぎ合わせ部P1の形成、つまり、現在使用中の連続ウェブWBの終端部と、次に使用される連続ウェブWBの始端部との接合には、両面テープが用いられる。なお、継ぎ合わせ部P1の形成には、両面テープに代えてヒートシールなどを用いてもよいが、アキューム装置200における連続ウェブWBの必要貯留量が増大するため、両面テープなど、速やかに接合が完了することが好ましい。
【0034】
継ぎ合わせ部P1は、吸収性物品PDの中央部CTに形成される。中央部CTは、機械方向MD(搬送方向)における吸収性物品PDの中心から、前吸収性物品PDの寸法L1の30%以下の領域である。つまり、中央部CTは、機械方向MDにおける吸収性物品PDの中心を基準とした寸法L1の60%の領域である。したがって、継ぎ合わせ部P1は、機械方向MDにおける吸収性物品PDの端部から寸法L1の20%の領域には位置しないようにアキューム装置200によって制御される。
【0035】
なお、継ぎ合わせ部P1を中央部CTに形成する目的は、継ぎ合わせ部P1が複数(2つ)の吸収性物品PDに跨らないようにすることであり、継ぎ合わせ部P1が複数(2つ)の吸収性物品PDに跨らない場合には、必ずしも吸収性物品PDの中心を基準とした寸法L1の60%の領域に継ぎ合わせ部P1を形成しなくても構わない。例えば、中央部CTは、機械方向MDにおける吸収性物品PDの中心を基準とした寸法L1の80%程度までの領域としてもよい。
【0036】
図2に示すように、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDは、製造ライン10から離脱させられて、排出ルート(図中の矢印参照)に誘導される。継ぎ合わせ部P1を含まない吸収性物品PDは、次の工程に搬送される。
【0037】
(3)吸収性物品の排出動作
図3は、製造ライン10における吸収性物品PDの排出動作フローを示す。具体的には、図3は、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDの排出に関する製造ライン10の動作フローを示す。
【0038】
図3に示すように、アキューム装置200は、現在使用中の連続ウェブWB(例えば、原反ロール210から繰り出される連続ウェブWB)の終端部と、次に使用される連続ウェブWB(例えば、原反ロール220から繰り出される連続ウェブWB)の始端部とを継ぎ合わせることによって、継ぎ合わせ部P1を設ける(S10)。
【0039】
アキューム装置200は、継ぎ合わせ部P1から、製品カッター120によって吸収体ABが配置された連続ウェブWBを切断する工程における連続ウェブWBの切断位置P2(図1参照)までの連続ウェブWBの長さと、連続ウェブWBの機械方向MDにおける吸収性物品PDの寸法L1とに基づいて、連続ウェブWBの搬送装置110への供給タイミングを制御する(S20)。
【0040】
具体的には、アキューム装置200は、継ぎ合わせ部P1が機械方向MDにおける吸収性物品PDの中央部CTに位置するように、モータ250の回転速度、或いはダンサーロール230の作動領域を制御し、連続ウェブWBの供給タイミングを制御する。
【0041】
より具体的には、アキューム装置200のタイミング制御部260は、図1に示す継ぎ合わせ部P1の位置から切断位置P2までの連続ウェブWBの搬送ルート上の長さと、吸収性物品PDの寸法L1とに基づいて、ダンサーロール230間の距離を調整することによって連続ウェブWBの貯留量を変化させる。つまり、アキューム装置200は、図1に示す継ぎ合わせ部P1の位置から切断位置P2までの連続ウェブWBの長さを制御し、継ぎ合わせ部P1を中央部CTに位置させるように、連続ウェブWBの貯留量を演算する。なお、このような演算は、連続ウェブWBの長さ(例えば、10m)、寸法L1(例えば、0.5m)及びダンサーロール230の数及び距離に基づいて行うことができる。
【0042】
次いで、製造ライン10は、搬送装置110によって搬送されている連続ウェブWB上に、所定間隔(寸法L1)毎に吸収体ABを配置する(S30)。なお、吸収体ABを配置する工程は、上述したステップS10及びS20の処理と並行して順次実行される。
【0043】
製造ライン10は、製品カッター120を用いて、吸収体ABが配置された連続ウェブWBを、連続ウェブWBが搬送される機械方向MDにおける所定間隔毎に切断する(S40)。
【0044】
さらに、製造ライン10は、製品カッター120によって切断された吸収性物品PDが継ぎ合わせ部P1を含むか否かを判定する(S50)。継ぎ合わせ部P1を含む場合、製造ライン10は、排出装置130を用いて、当該吸収性物品PDを製造ライン10から離脱させ、当該吸収性物品PDを製造ライン10の途中で排出する(S60)。一方、継ぎ合わせ部P1を含まない場合、製造ライン10は、搬送装置110を用いて当該吸収性物品PDを次の工程に搬送する(S70)。
【0045】
なお、上述したように、排出装置130は、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDのみを排出することができる。
【0046】
(4)作用・効果
本実施形態に係る製造ライン10によれば、切断位置P2までの連続ウェブWBの長さと、吸収性物品PDの寸法L1とに基づいて、継ぎ合わせ部P1が機械方向MD(搬送方向)における吸収性物品PDの中央部CTに位置するように連続ウェブWBの供給タイミングが制御される。具体的には、アキューム装置200を用いて連続ウェブWBの貯留量を制御し、継ぎ合わせ部P1が中央部CTに位置するように連続ウェブWBの供給が制御される。
【0047】
このため、継ぎ合わせ部P1が複数(2つ)の吸収性物品PDに跨って位置することが回避されるため、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDにのみを排出することができる。ここで、継ぎ合わせ部P1が吸収性物品PDの機械方向MD(搬送方向)における端部に寄っていると、継ぎ合わせ部P1が2つの吸収性物品PDに跨ったり、継ぎ合わせ部P1は含まないものの、当該吸収性物品PDの直前(または直後)の吸収性物品PDが継ぎ合わせ部P1を含むことによる不良(過剰なしわや偏りなど)を含み得るため、複数の吸収性物品PDを排出せざるを得ず好ましくない。
【0048】
すなわち、本実施形態に係る製造ライン10によれば、継ぎ合わせ部P1を含む吸収性物品PDのみを確実に排出することによって、不良でない複数の吸収性物品PDを排出することが回避でき、吸収性物品PDの歩留まり率を向上し得る。
【0049】
本実施形態では、アキューム装置200、具体的には、複数のダンサーロール230及びセンサー240によって連続ウェブWBの供給速度を変化させることによって、連続ウェブWBの供給タイミングが制御される。このため、製造ライン10を停止することなく連続ウェブWBを供給し続けるために必要なアキューム装置200を用いつつ、継ぎ合わせ部P1が中央部CTに位置するように連続ウェブWBの供給を制御できる。
【0050】
また、原反ロール210から原反ロール220への切り替えの際に、製造ライン10による吸収性物品PDの製造速度が変化したり、原反ロール210や原反ロール220のロール径や重量が異なったりする場合であっても、継ぎ合わせ部P1が中央部CTに位置するように連続ウェブWBの供給を制御できる。
【0051】
本実施形態では、複数のダンサーロール230は、水平方向においてダンサーロール230間の距離を拡張及び縮小するように構成されている。このため、複数のダンサーロール230間の距離を拡張したり縮小したりした場合でも、複数のダンサーロール230が重力の影響を受けにくく、より確実に継ぎ合わせ部P1を中央部CTに位置させることができる。さらに、ダンサーロール230でのテンション付与を正確に行うために、サーボモータなどで荷重付与制御を行う場合には特に好適である。
【0052】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0053】
例えば、継ぎ合わせ部P1を中央部CTに位置させるための機構としては、必ずしもダンサーロール230を用いなくてもよく、ダンサーロール230とは別個の装置を用いて連続ウェブWBの貯留量を制御するようにしてもよい。
【0054】
また、ガイドバーとサクションタイプのベルトコンベアを用いた排出装置130も一例であり、吸収性物品PDを排出する排出装置は、ガイドバーのみを用いて構成してもよいし、サクションタイプのベルトコンベアのみを用いて構成してもよい。
【0055】
さらに、図1に示した製造ライン10は、吸収性物品PDの製造工程を簡略したものであり、製造ライン10には、吸収性物品PDの種類に応じて、他の様々な工程(例えば、弾性部材の配置工程)が含まれてもよいことは勿論である。
【0056】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0057】
10…製造ライン
110…搬送装置
120…製品カッター
130…排出装置
200…アキューム装置
210, 220…原反ロール
230…ダンサーロール
231…支持プレート
240…センサー
250…サーボモータ
260…制御部
310…検出制御部
311…カメラ
AB…吸収体
P1…継ぎ合わせ部
P2…切断位置
PD…吸収性物品
WB…連続ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される連続ウェブに吸収体を配置する工程と、
前記吸収体が配置された前記連続ウェブを、前記連続ウェブが搬送される搬送方向における所定間隔毎に切断する工程と、
前記連続ウェブの終端部と、次の連続ウェブの始端部とを継ぎ合わせた継ぎ合わせ部を設ける工程と
を含む吸収性物品の製造ラインにおいて用いられる吸収性物品の排出方法であって、
前記継ぎ合わせ部から、前記切断する工程における前記連続ウェブの切断位置までの前記連続ウェブの長さと、前記連続ウェブの搬送方向における前記吸収性物品の寸法とに基づいて、前記継ぎ合わせ部が搬送方向における前記吸収性物品の中央部に位置するように前記連続ウェブの供給タイミングを制御する工程と、
少なくとも前記継ぎ合わせ部を含む吸収性物品のみを前記製造ラインから離脱させ、前記吸収性物品を前記製造ラインの途中で排出する工程と
を含む吸収性物品の排出方法。
【請求項2】
前記供給タイミングを制御する工程では、
搬送されている前記連続ウェブにテンションを与えるダンサーロールと、
前記ダンサーロールの位置を検出するセンサーと、
前記センサーによって検出された前記ダンサーロールの位置に基づいて、前記連続ウェブの供給速度を制御するモータと
を用いて、前記連続ウェブの供給タイミングを制御する請求項1に記載の吸収性物品の排出方法。
【請求項3】
前記継ぎ合わせ部を設ける工程では、複数の前記ダンサーロール間の距離を拡張及び縮小することよって前記連続ウェブの貯留及び吐き出しを行うアキューム装置が用いられ、
前記複数のダンサーロールは、水平方向において前記距離を拡張及び縮小する請求項1または2に記載の吸収性物品の排出方法。
【請求項4】
前記吸収性物品の中央部は、搬送方向における前記吸収性物品の中心から、前記吸収性物品の寸法の30%以下の領域である請求項1乃至3の何れか一項に記載の吸収性物品の排出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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