説明

吸収性物品の表面シート

【課題】表面から吸収体への液移行が素早くスムーズで、表面シートに液残りが少なくサラッとした感触を有し、特に経血などの粘度分布を有する液でも良好な液透過性を有し、肌触りの良い、吸収性物品の表面シートを提供する。
【解決手段】表面シートは、熱伸長性繊維を含有する繊維集合体からなり、該繊維集合体には、波状又はジグザグ形状に蛇行しながら一方向(X方向)に延びる線状のエンボス14,14・・が存在し、該線状のエンボス14で囲まれた凸部16,19が、X方向に連なるように形成され、該凸部16,19は、面積及び高さが大きな大凸部19と面積及び高さが相対的に小さな小凸部16がX方向に交互に存在する山脈構造を形成しており、該山脈構造は、X方向に直交するY方向に間欠的に配置され、隣り合う山脈構造どうしの間に、X方向に連続して延びる畝20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パットなどの吸収性物品の表 面シート及び該表面シートを備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン、失禁パット、パンティライナー等の、身体から排出される液 の吸収に用いられる吸収性物品の表面シートとして、合成フィルムに多数の開孔を形成 したものや、不織布に開孔処理を施したものが使用されている。また、表面シートに多 数の凹凸を形成することも種々報告されている。例えば、トウからなる長繊維を一方向 に揃えた繊維集合体をループ状に隆起させる一方、凹部をヒートシールで、線状や点状 に接合して形成される凹凸表面シートがある(特許文献1参照)。この凹凸表面シート は、連続フィラメントが一方向に平行に揃った状態で凹凸形成されているために、繊維 の揃った方向での液移動性が良好であるが、表面シートから吸収体への液移行について は、表面シートの凹部に繊維交絡点が集中するため、繊維の配向方向に極端な液移動が 生じてしまい、凸部から直接吸収体へといった、液移行はスムーズにすすまず、特に経 血などの異なる粘度成分を有する液吸収性は良好なものではない。また、特許文献1記 載の表面シートは、長繊維を吸収性物品の長手方向に揃えて配置し、幅方向に連続した 線状の接合部を形成しているが、その表面シートのように、長繊維の束であるトウを該 長繊維と直交する方向に拡げたもの等、繊維が概ね一方向に配向したものを用いた場合 、個々の繊維の自由度が高く、吸収層から大きく離間し、空洞ができ易い。
【0003】
また、熱で伸長する繊維を含む繊維集合体に関する技術として、ドット状にエンボス したあと、繊維を熱で伸長させることで、エンボスによる固定部どうし間にある繊維が 伸長して、エンボスの間が凸に隆起し、繊維密度が低い凸部と、繊維密度が高いエンボ ス部を有する立体賦形不織布が知られている(特許文献2参照)。しかしこの不織布は 、表面からの液吸収性は十分でないとともに、吸収体からの液戻り防止性も十分とはい えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−65736号公報
【特許文献2】特開2005−350836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表面から吸収体への液移行が素早くスムーズで、表面シートに液残 りが少なくサラッとした感触を有し、特に経血などの粘度分布を有する液でも良好な液 透過性を有し、肌触りの良い、吸収性物品の表面シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性物品の肌当接面側に配置される吸収性物品の表面シートであり、前 記表面シートは、熱伸長性繊維を含有する繊維集合体からなり、該繊維集合体には、波 状又はジグザグ形状に蛇行しながら一方向に延びる線状のエンボスが存在し、該線状の エンボスで囲まれた凸部が、前記一方向に連なるように形成されているとともに、該凸 部は、面積及び高さが大きな大凸部と面積及び高さが相対的に小さな小凸部が前記一方 向に交互に存在する山脈構造を形成しており、該山脈構造は、該一方向に直交する方向 に間欠的に配置され、隣り合う山脈構造どうしの間に、該一方向に連続して延びる畝が 形成されている、吸収性物品の表面シートを提供することにより前記目的を達成したも のである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品の表面シートは、表面から吸収体への液移行が素早くスムーズで 、表面シートに液残りが少なくサラッとした感触を有し、特に経血などの粘度分布を有 する液でも良好な液透過性を有し、肌触りも良い。
本発明の吸収性物品の表面シートによれば、例えば、生理周期によって粘度が変化し たり、個人差により粘度が異なる経血等の液を、粘度によらずにスムーズに吸収体に移 行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の吸収性物品の表面シートの一実施形態を表面側から視た状態を示す平 面図である。
【図2】図1のII−II線一部拡大断面図である。
【図3】図1に示す表面シートの線状エンボス及びその隣接部を200倍程度に拡大した顕微鏡写真である。
【図4】図1に示す表面シートの製造方法を示す模式図である。
【図5】本発明の吸収性物品の表面シートの他の実施形態を示す平面図(図1相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である吸収性物品の表面シート10(以下、表面シー ト10ともいう)をその表面11側から視た状態を示す平面図である。
第1実施形態の表面シート10は、吸収性物品の肌当接面側に配置される吸収性物品 の表面シートであり、吸収性物品に組み込まれたときに、着用者の肌側に向けられる表 面11と、該肌側とは反対側(生理用ナプキンの場合はショーツの内面等)に向けられ る裏面12とを有している。
【0010】
図2に示すように、表面シート10は、単層構造の不織布からなり、肌側に向けて隆 起した大小の凸部16,19があり、吸収体4側は平坦である。
【0011】
より詳細に説明すると、表面シート10は、図2に示すように、表面11側に、エン ボス加工により凹状に形成された線状のエンボス(以下、線状エンボスともいう)14 を有している。
線状エンボス14は、波状又はジグザグ形状に蛇行しながら一方向(図1中X方向) に延びている。
表面シート10においては、線状のエンボス14,14で囲まれた凸部16,19が 、前記一方向に連なるように形成されている。凸部16,19は、面積及び高さが大き な大凸部16と面積及び高さが相対的に小さな小凸部10が前記一方向(X方向)に交 互に存在する山脈構造Sを形成しており、該山脈構造Sは、該一方向に直交する方向( Y方向)に間欠的に配置されている。
【0012】
表面シート10の表面11においては、線状エンボス14が凹部を形成し、線状エン ボス14に囲まれた大小の凸部16,19及び畝20が凸部を形成している。
表面シート10の表面11が、このように、凹凸形状をなしていることで、該表面シ ート10を吸収性物品に組み込んで使用したときに、表面シート10と着用者の肌との 接触面積が低減して蒸れやかぶれが効果的に防止される。
隣り合う山脈構造S,Sどうしの間には、起伏が実質的にない畝部20が、前記一方 向(X方向)に連続して延びるように形成されている。畝部20は、好ましくは吸収性 物品の長手方向に連続して途切れることなく形成され、隣接する山脈構造からの凹部が 幅方向に延びて遮断されることはない。凹部で遮断されることのない畝部を有すること で、凹部を伝わる液の流れは、幅方向に向かうことなく、長手方向に伝わり、液が長手 方向に拡散することになり、排泄部からの液が幅方向に拡散し横もれすることを効果的 に抑制することができる。
【0013】
大凸部16は、線状エンボス14に囲まれた領域にある熱伸長性の繊維が熱で伸長さ れて、肌側にむけて、繊維同士が一方向に揃うことなくランダムに凸に隆起している。 これは、エンボス間に存在する熱伸長性の繊維を熱処理することで、伸長し、エンボス 間で行き場を失った繊維の伸長分が凸を形成することによる。このため、エンボス間の 距離が長いと、伸長距離は長くなりその分凸も大きく、繊維間距離が大きくなり疎な凸 となる。エンボス間距離が小さくなると、伸長距離は短くなりその分凸も小さく、繊維 間距離が小さくなり相対的に密な凸となる。このとき、エンボスは線で形成され、エン ボスの際から伸長する繊維は比較的並行に揃っており、かつ繊維間が凸の中心部位より も密となることから、凸部頂部で受けた経血などの液がエンボスの際に向かい素早い液 の流れが生じるものと考えられる。
繊維同士の接点においては、熱融着等で接着固定していることが疎な凸形状を維持す る点から好ましい。
【0014】
大凸部16の好ましい繊維密度は、最も隆起した部分で測定して、0.01〜0.0 7g/cm3 であり、より好ましくは、0.015〜0.019g/cm3 である。
繊維密度が下限値以上であることが、液の吸い上げを良好とする観点から好ましく、 上限値以下であることが、表面シート内から液がスムーズに抜けるようにする観点から 好ましい。大凸部16の頂部部分における不織布の厚みは、0.6〜2.5mmである ことが好ましい。
【0015】
線状エンボス14,14で囲まれて形成される大小2つの領域16A,19Aのうち 、面積が大きい方の領域16A(以下、大領域16Aともいう)は、X方向及びY方向 それぞれの最大長さが7mm以上、特に7〜12mmであり、且つX方向に延びる対角 線及び該対角線と直交する対角線を有し、それら両対角線それぞれの長さが7mm以上 の四角形を完全に内包する大きさを有することが、液透過の観点から好ましい。また、 同様の理由から大領域16Aは、左右及び/又は上下対称の形状を有することが好まし く、左右及び上下対称の形状を有することが更に好ましい。
【0016】
表面シート内からの液のスムーズな抜け(液抜け)と、液の良好な吸い上げ性を両立 するためには面積だけではなく、線状エンボスの同士間の距離も重要と考えられる。大 領域16Aは、X方向に延びる対角線×Y方向に延びる対角線が、7mm×7mmより も大きなひし形領域、小凸部は、X方向に延びる対角線×Y方向に延びる対角線が、( 7mm〜2mm)×(3.5mm〜1mm)の菱形領域であることが好ましい。
【0017】
大凸部16、小凸部19、畝部20の繊維密度は、以下のようにして測定することが できる。
(繊維密度測定方法)
レーザー厚み計(キーエンス社製KS−1100)で厚みを求め、不織布の正確な坪 量(g/cm2 )を上記の厚み(cm換算)で割った値を繊維密度とする。大凸部16 、小凸部19、畝部20それぞれの厚みは、それぞれの頂部部分(最大高さ部分)にお ける不織布(表面シート)の厚みとする。
【0018】
小凸部19は、繊維密度が比較的高くなる。小凸部19の好ましい繊維密度は、0. 01〜0.07g/cm3 であり、より好ましくは、0.02〜0.03g/cm3 で ある。繊維密度が下限値以上であることが、液の吸い上げ性の観点から好ましく、上限 値以下であることが、液抜け、即ち表面シート内から液がスムーズに抜けるようにする 観点から好ましい。小凸部16の頂部部分における不織布の厚みは、0.6〜2.5m mであることが好ましい。
【0019】
線状エンボス14,14で囲まれて形成される大小2つの領域16A,19Aのうち 、面積が小さい方の領域19A(以下、小領域19Aともいう)は、X方向及びY方向 の、何れか一方の最大長さが3.5mm以上、他方の最大長さが7mm以上であり、且 つ、X又はY方向に延びる長さ3.5mm以上の対角線及び該対角線と直交する長さ7 mm以上の対角線を有する四角形を完全に内包する大きさを有することが、液の透過及 び吸い上げの観点から好ましい。
【0020】
畝部20は、その繊維密度が、凸部大と凸部小の中間程度であり、0.01〜0.0 7g/cm3 が、液抜けと吸い上げの両立の観点から好ましい。また、畝部の最大高さ 部分における不織布の厚みは、0.6〜2.0mmが好ましい。
凸部16,19の平面視形状は、円形、菱形、三角形など任意の形状が可能である。 肌との接触性の観点からは、凸部がドーム形状となりやすい円形または楕円形が好まし い。
【0021】
大凸部16では比較的疎な繊維空間を有するため、表面からの液は、大凸部をスムー ズに通過して、下層の吸収体に液を移行させる。
線状エンボス14では、繊維が溶融してフィルム化されたか又は繊維同士が強く接着 されて、そこに開孔がなければ、液が通過しない状態にある。線状エンボス14に隣接 する部位(エンボス部隣接部)13には、図3に示すように、フィルム化又は接着され ない繊維が略平行に揃った状態で凸部にむけて延びており、平行に揃った領域は、線状 エンボス14から0.5〜10mmの領域に存在し、大凸部16に比べて、過度の高密 度であり、0.05〜0.4g/cm3 が好ましく、繊維間距離は、0〜50μmが好 ましい。エンボス部隣接部13は、液の引き込み性が非常に高く、下側の吸収層表面と 密着させることで、よりいっそう吸収層への液移行はすばやく起こる。密着させるため には、線状エンボス部14において吸収層4と、ホットメルト22にて接着させること が好ましい。この場合スパイラルに塗布することが好ましい。図3は、図1中のP部分 を200倍程度に拡大した顕微鏡写真である。
大凸部16から吸収された液は、吸収体へスムーズに液移行するとともに、線状エン ボス部隣接部13にむけて、液の一部は引き込まれて、エンボス部の吸収体との接着部 22を介して吸収体に移行する。この場合、経血等のある程度粘性のある成分は特にエ ンボス部隣接部13より移行しやすい。
【0022】
一方、小凸部19においては、線状エンボス14で囲まれた領域19Aは、大凸部1 6と比較して小さく、繊維密度は0.0125〜0.05g/cm3が好ましく、大凸 部16よりも密な繊維集合体で形成されており、繊維間距離は0〜150μmが好まし い。記載のない点は、大凸部16と同様の構成である。
大凸部16に対する密度比(大凸部密度/小凸部密度)は、1/3〜1が好ましい。
小凸部19は、線状エンボスで囲まれた面積が小さいため、熱伸長性繊維の伸長が制約 されることから、隆起しづらく、高さは0.6〜2.5mm程度である。そのため、大 凸部16に比べて繊維間距離は小さく、繊維密度も比較的高いまま維持されている。
【0023】
大凸部16と隣接した小凸部19で、線状エンボス部14を挟んで、両者に密度勾配
があるため、高粘性物が含まれている経血や生理の排泄物などは、その一部はドロッと した液であり、表面シートをゆっくりと通過するが、凹凸があると、表面を凸部から凹 部に転げ落ちるように移動し、その間に、大凸部よりも高さが低くかつ高密度な小凸部 19のほうへ比較的ゆっくりと取り込まれていく挙動を示しやすい。本発明の場合、疎 な大凸部から隣接した、密な小凸部へと転げ落ちながら、小凸部にてゆっくりと取り込 まれていき、一旦小凸部内で保持されつつ、さらっとした低粘性成分に押し流されるこ ととあいまって、さらに小凸部を囲む線状エンボス部から吸収体に移動するのではない かと推測される
図2には、比較的粘度が低いときの経血の吸収体への移動経路として考えられる経路 をL1〜L4で示し、比較的粘度が高いときの経血の吸収体への移動経路として考えら れる経路をL5で示した。L5で示す経路は、線状エンボス14上を流れて小凸部19 の周囲に移動した液が、密度の高い小凸部19を介して吸収体4へと移行する経路であ る。
表面シート11の長手方向には大凸部16と小凸部19が交互に並んだ山脈構造9が 幅方向に間欠的に配置されており、凹凸形状9の間には、蛇行した畝20が存在し、こ の畝20は、隣接した長手方向に伸びる線状エンボス同士が交わらない領域において長 手方向に伸びる畝として存在する。この畝部20は、比較的大凸部と小凸部の中間程度 の密度を有し、0.0125〜0.05g/cm3 が好ましい。
密度関係は、記載した密度範囲の中から
大凸部(疎)<畝部<小凸部(密)<線状エンボス近傍(過密)
の関係にあることが、経血などの粘性成分を含む液のスムーズな引き込み性の観点か ら好ましい。
畝部の厚さは、0.6〜2.5mmが好ましい。
また、畝20の最小幅W2(図1参照)は、2mm以上であることが、液抜けの観点 から好ましい。
また、隣り合う山脈構造S,Sは、一方の山脈構造Sの大凸部16の隣に他方の山脈 構造Sの小凸部19が位置することが好ましい。この場合、大凸部の幅方向の一番膨ら んだ点と隣の小凸部の一番膨らんだ点が幅方向で同じ位置にある(即ち、山脈構造の隣 同士の大小凸の位相が半分ずれている)ことが、体に接触する大凸部の分布の均一化や 粗密構造の規則性の点で好ましい。
【0024】
表面シート10に含まれる熱伸長性繊維について説明する。表面シート10は、熱伸 長性繊維を用いて形成されている。表面シート10は、熱伸長性繊維どうしの交点が接 合された繊維接合部(図示せず)を有している。
熱伸長性繊維は、加熱によってその長さが伸びる繊維であり、温度が90℃以上、好 ましくは、110℃〜140℃で伸張する繊維である。
熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して伸びたり、ある いは捲縮加工が施された繊維であって捲縮が解除されて見かけの長さが伸びる繊維が挙 げられる。本発明における熱伸長性繊維では、不織布製造時あるいは不織布化後の熱処 理により繊維が伸長する結果、非伸長性の繊維に比べて繊維空間が大きくなる繊維であ り、鞘成分にポリエチレン、芯成分にポリプロピレンを用いた芯鞘構造繊維(熱処理後 の繊維太さ2〜5dtex、繊維長51mm、伸長率〜15%)による伸長性繊維と非 伸長性繊維による不織布の比較では、後述する繊維間距離の測定方法によって算出した 値で5〜20μm程度伸長性繊維による不織布の繊維間距離が大きくなる。
好ましい熱伸長性繊維としては、配向指数が20〜80%(より好ましくは40〜7 0%)の第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有し且つ配 向指数が10〜80%(より好ましくは20〜60%)の第2樹脂成分とからなり、第 2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維( 以下、この繊維を熱伸長性複合繊維という)等が挙げられ、熱伸長時に熱融着が起こる 繊維が好ましい。
【0025】
以下に、この熱伸長性複合繊維を用いた表面シート10の好ましい製造方法を、図4 を参照しながら説明する。
先ず、所定のウエブ形成手段(図示せず)を用いて、表面シート10の原反となるウ エブ11Aを作製する。ウエブ11Aは、熱伸長性複合繊維を含むものであるか、又は 熱伸長性複合繊維からなるものである。ウエブ形成手段としては、例えば(a)カード 機を用いて短繊維を開繊するカード法、(b)溶融紡糸された連続フィラメントを直接 エアサッカーで牽引してネット上に堆積させる方法(スパンボンド法)、(c)短繊維 を空気流に搬送させてネット上に堆積させる方法(エアレイ法)などの公知の方法を用 いることができる。
【0026】
そして、ウエブ11Aがヒートエンボス装置21に導入される。そして、ヒートエン ボス装置21内で、ウエブ11Aに一体的にヒートエンボス加工が施される。ヒートエ ンボス装置21は、一対のロール22,23を備えている。ロール22は周面が平滑と なっている平滑ロールである。一方、ロール23は、その周面に、線状エンボス14に 対応する波線状などの形状の凸部が形成されている彫刻ロールである。各ロール22, 23は所定温度に加熱可能になっている。
ロールに刻まれる凸としてのエンボス形状としては、2本の波線が互いに交差するこ とで、2本の波線で囲まれた大小の菱形が交互に配列された形状となるように彫刻ロー ルに凸に形成される。この2本の互いに交差する波線が彫刻ロールの幅方向に間欠的に 数本形成され、交差する2本の波線の幅方向には畝に相当する領域が存在する。
【0027】
本発明における表面シートの線状エンボス14が占める面積率は10〜30%が好ま しい。10%未満では、液を表面材に吸い込む力が弱い(吸い上げ残存量(mg)で示 される)く、30%を超えると、液を吸収しても表面材に液が残りやすくサラッと感に 乏しく(表面材液残り量(mg)で示される)くなり、両特性のバランスを考えると、 かかる範囲が好ましい。特に10〜25%が好ましい。
製造過程において、前記した線状のエンボスを形成すると、既述したようにエンボス とエンボスとの間の熱伸長性繊維は熱を加えられて伸長するが、行き場を失い、凸を形 成するように伸長し、エンボスが線状とすることで、エンボスの際の繊維は平行に揃っ た繊維配置となり、かかる部位での液引き込み性が良好になると考えられる。
【0028】
ヒートエンボス加工は、ウエブ中の成分が溶融し、ウエブ11Aとが熱融着する温度 で行う。ヒートエンボス加工の加工温度は、ウエブ11A中の熱伸長性複合繊維におけ る低融点成分の融点以上で且つ高融点成分の融点未満の温度で行われることが好ましい 。また熱伸長性繊維の伸長開始温度未満の温度で行われることが好ましい。
【0029】
そして、不織布24は、熱風吹き付け装置25に搬送される。熱風吹き付け装置25 においては不織布24にエアスルー加工が施される。熱風吹き付け装置25は、所定温 度に加熱された熱風が不織布24を貫通するように構成されている。
【0030】
エアスルー加工は、不織布24中の熱伸長性複合繊維が加熱によって伸長する温度で 行われる。且つ不織布24における線状エンボス14以外の部分に存するフリーな状態 の熱伸長性複合繊維どうしの交点が熱融着する温度で行われる。尤も、斯かる温度は熱 伸長性複合繊維の高融点成分の融点未満の温度で行うことが好ましい。
【0031】
このようなエアスルー加工によって、不織布24に含まれる熱伸長性複合繊維が、線 状エンボス14以外の部分において伸長する。熱伸長性複合繊維はその一部が線状エン ボス14によって固定されているので、伸長するのは線状エンボス14間の部分である 。熱伸長性複合繊維はその一部が線状エンボス14によって固定されていることによっ て、伸長した熱伸長性複合繊維の伸び分は、不織布の平面方向への行き場を失い、該不 織布の厚み方向へ移動する。これによって、不織布24における線状エンボス14間に 、大小の凸部16,19及び畝20が形成される。
また、エアスルー加工によって線状エンボス14間に存する熱伸長性複合繊維どうし の交点が熱融着によって接合され、繊維接合部(図示せず)が3次元的に分散した状態 に形成される。
このようにして目的とする表面シート10が得られる。
【0032】
以上の説明から明らかなように、表面シート10においては、線状エンボス14間の 熱伸長性複合繊維が伸長して、上記の大小の凸部16,19及び畝20を片面側に突出 するように形成するため、線状エンボス14間の広さが広い大領域16Aには繊維密度 の粗な大凸部16が形成され、線状エンボス14間の広さが相対的に狭い小領域19A には繊維密度が相対的に高い小凸部19が形成される。なお、上述した実施形態の表面 シート10においては、不織布製造時の機械方向(MD)と前記X方向が一致し、該機 械方向(MD)の直交方向(CD)と前記Y方向が一致している。
【0033】
さらに、熱伸長性繊維を含む繊維集合体に熱処理して、繊維を伸長させた後に、上記 のエンボス処理を施すことも可能である。
【0034】
<構成繊維の平均径の測定方法>
構成繊維の平均径は、繊維の断面形状により異なる2通りの方法のいずれかにより計 測した。計測には、日本電子株式会社製「キャリースコープJCM−5100」を使用 した。
まず、構成繊維の断面輪郭形状を500〜1000倍の倍率にて確認した。この際、 繊維の断面輪郭だけでなく、芯鞘構造繊維/単繊維、芯成分/鞘成分面積比率、繊維の (太さ・形状等により区別される)種類を把握する。(断面は異なる5〜10ヶ所を測 定する)
第1の方法は、断面が円形の繊維のみで形成されている場合の計測方法であり、上層 及び下層各々5ヶ所の200〜500倍の平面拡大画像より、繊維融着部を除く任意の 20本の繊維の太さを計測し平均して「構成繊維の平均径」を得る。
第2の方法は、繊維の断面が円形ではない繊維が含まれている場合の計測方法であり 、繊維の断面輪郭形状を計測するための500〜1000倍の倍率の拡大画像を使用し 、繊維を略90度で切断した一本の繊維の断面の面積を画像解析装置等の面積を算出で きる手段により算出し、その面積を円に見立てて直径を繊維の径とする。このような一 本の繊維の断面の観察結果が50本となるまで、電子顕微鏡による画像観察をおこない 、50本の平均値を「構成繊維の平均径」とする。
繊維の断面の面積を計測する画像解析装置としては、例えばNEXUS社製の画像解 析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)を使用できる。
【0035】
繊維間距離(繊維と繊維との隙間)は、下記方法で測定した繊維間距離を比較したと きに、上層11の繊維間距離と、下層12の繊維間距離との差(前者−後者)が、0μ m以上であることが液の移動の観点から好ましく、0〜50μmであることが表面シー トの強度と肌触りの観点より好ましい。
【0036】
<繊維間距離の測定方法>
下記Wrotnowskiの式により求めた。
【数1】

ここで、繊維の充填密度及び繊度(デニール)は以下のように計測する。
繊維の充填密度の計測は、以下の手順でおこなう。
表面シートの表面側の平面画像より線状エンボスの面積率を算出する。算出に当たっ ては線状エンボスが20ヶ所程度を一度に計測することが好ましい。次いで、縦方向及 び横方向の長さと、重量を計測した矩形状の表面シートの重量を計測する。表面シート の重量と、縦方向と横方向の長さより坪量(g/m2 )を算出する。算出に当たっては 、線状エンボスの面積の因子を補正する。縦方向及び横方向の長さを乗じて得られる表 面シートの面積から線状エンボスの面積を算出し、表面シートの重量における線状エン ボス部分を算出して、上層の坪量算出時には表面シートの面積から線状エンボス部分を 差し引いた面積を使用し、面積を使用する。)次いで、表面シートの断面積を計測する 。計測には、電子顕微鏡を使用することが好ましいが、キーエンス製デジタルハイスコ ープVH8000のような光学式の装置を使用してもかまわない。拡大画像は線状エン ボス部分から凸部の頂部が含まれたものであり、凸部が異なる高さを有する場合は、各 々の断面画像について観察する。充填密度の算出には坪量(g/m2 )を高さ(m)で 除することで得られるが、本発明のように線状エンボス部分から凸部まで実質的な坪量 が同じで高さが変化する場合には、表面シートの断面面積から平均高さを算出し、この 平均高さを算出時の「高さ」として「繊維の充填密度」を得る。断面面積は、線状エン ボス部分を除く部分について、画像解析装置により計測し、断面面積から線状エンボス 部分を除く線状エンボス部分間の長さを除することで得る。
繊度(デニール)は、表面シートの繊維がそれぞれ1種類の繊維からなっている場合 には、DSCにより繊維に使用されている樹脂を特定し、比重(実質的に密度)と繊維 の断面積より繊維の長さが9000mのときの重量がデニールとなる。芯鞘構造のよう な複合繊維では、鞘成分が融着成分であるので、同様にDSCを使用して樹脂の特定を おこない、拡大観察時の断面から平均比重を算出して求める。複数の繊維が用いられて いる場合には、平均径計測における方法2より繊維の配合比率より平均比重を算出する 。(本発明では、高密度ポリエチレンの比重を0.94、ポリプロピレン0.96、ポ リエステル1.36としている)
【0037】
上述した製造方法で製造した本実施形態の表面シート10は、ウエブ11Aにヒート エンボス加工を施す際に、肌側に向けられる表面11側を、彫刻ロール23側に位置さ せており、エアースルー加工の際に、不織布24の肌側に向けられる表面11側の熱伸 長性繊維が大きく伸長し、該表面11側に大小の凸部16,19及び畝20が膨らんで いる。
【0038】
先に述べた通り、ウエブ11Aは、熱伸長性複合繊維を含んでなるものであるか、又 は熱伸長性複合繊維からなるものである。ウエブ11Aが熱伸長性繊維を含んでなるも のである場合、該ウエブ11Aに含まれる他の繊維としては、熱伸長性複合繊維の熱伸 長発現温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる繊維や、本来的に熱融着性を 有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など )が挙げられる。当該他の繊維は、ウエブ11A中に好ましくは0〜40重量%、更に 好ましくは5〜15重量%含まれる。一方、熱伸長性複合繊維は、ウエブ11A中に5 0〜100重量%、特に70〜95重量%含まれることが、立体的な凹凸形状を効果的 に形成し得る点から好ましい。立体的な凹凸形状を更に効果的に形成し得る点から、特 に好ましくは、ウエブ11Aは、熱伸長性複合繊維からなる。
【0039】
熱伸長性複合繊維の好ましい例は、特許文献2の段落〔0024〕〜〔0040〕に 記載されている。また、熱伸張性複合繊維は、第2樹脂成分の融点又は軟化点より10 ℃高い温度での伸張率が5〜40、特に10〜30%であることが、凹凸形状を顕著に 形成させる点から好ましい。
【0040】
なお、上記表面シート10は、単層構造の表面シートであったが、本発明における表 面シートは、上層と下層とが積層された多層構造を有するものであっても良い。
この場合、吸収性物品に組み込まれたときに、着用者の肌側に向けられる表面11を 形成する上層に、熱伸長性複合繊維を含ませ、該上層側に、上述した大小の凸部16, 19及び畝20を形成することが好ましい。上層と下層とを有する多層構造の表面シー トは、例えば、上述した表面シート10の製造方法において、上層用のウエブ11Aに 別に製造した下層用のウエブ12Aを合流させ、それらに一体的にエンボス加工を施す 以外は、上述した製造方法と同様にして製造することができる。
【0041】
下層を設ける場合は、下層用のウエブ12A又は下層12を構成する繊維としては、 芯成分にポリプロピレンやポリエステル、鞘成分にポリエチレンを用いた、芯鞘構造型 (サイドバイサイド型含む)複合繊維等が好ましく用いられる。下層用のウエブ12A 又は下層12は、熱伸長性複合繊維等の熱伸長性繊維を含んでいても良いが、該ウエブ 12A又は下層12中の、熱伸長性繊維の含有割合は、30重量%以下であることが好 ましく、10重量%以下であることがより好ましく、更に好ましくは5重量%以下であ る。下層用のウエブ12A又は下層12は、熱伸長性複合繊維等の熱伸長性繊維を含ん でいないことが最も好ましい。
また、下層用のウエブ12A又は下層12は、加熱により熱収縮する熱収縮性繊維を 含んでいないか、含んでいても、エアースルー工程において、下層12を熱収縮させな い程度であることが好ましい。ウエブ12A又は下層12を、熱収縮性繊維で熱収縮さ せないことで、上層11及び下層12の繊維密度を小さくでき、全体として液残り量の 少ない表面シート10が得られる。
【0042】
本発明の吸収性物品の表面シートは、吸収性物品の表面シートとして用いられる。
吸収性物品は、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるもの である。吸収性物品には、例えば生理用ナプキン、失禁パッド、使い捨ておむつ、等が 包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用い られる物品を広く包含する。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置され た液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品は、一般に、着用時に着用者の肌に当 接する肌当接面及びそれとは反対側(通常、ショーツ等の衣類側)に向けられる非肌当 接面を有し、表面シートは、肌当接面側に配され、裏面シートは、非肌当接面側に配さ れる。本発明における表面シートは、大小の凸部16,19及び畝20を有する表面1 1側の面を着用者の肌側に向けて配される。
【0043】
吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特 に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料から なる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや 不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては 、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ない し撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよ い。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していて もよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや 生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の 立体ガードを配置することができる。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に 制限されない。例えば第1実施形態においては、線状エンボス14の形成に熱を伴うエ ンボス加工であるヒートエンボス加工を用いたが、これに代えて熱を伴わないエンボス 加工や、超音波エンボス加工によって線状エンボス14を形成することもできる。或い は接着剤によって線状エンボス14を形成することもできる。
また、表面シートの製造に、ウエブ11Aやウエブ12Aを用いるのに代えて、何れ か一方又は両方に、不織布を用いても良い。
【0045】
また、線状エンボス14を、図1に示すようなパターンで形成するのに代えて、線状 の線状エンボス14を、他のパターンで形成しても良い。例えば、図5に示すパターン でも良い。線状のエンボス14は、線の幅が、例えば0.1〜3.0mmである。
【0046】
前述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、 それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、 適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、かかる実施例によって何 ら制限されるものではない。
【0048】
〔実施例1〕
熱伸長性繊維として、PP/PE芯鞘繊維(熱伸長率8%,4dtex)を使用し、 カードを用いて、該繊維からなるウエブを形成した。そして、そのウエブを、ヒートエ ンボス装置に導入し、図1に示すパターンで線状エンボスを形成した。大領域16Aに ついては、X方向の最大長さ(対角線の長さに同じ)を8mm、Y方向の最大長さ(対 角線の長さに同じ)を12.5mmとし、小領域19Aについては、X方向の最大長さ (対角線の長さに同じ)を4mm、Y方向の最大長さ(対角線の長さに同じ)を7.5 mmとした。また、畝20の最小幅W2は2.5mmとした。
そして、線状エンボスを形成した不織布に対して、エアースルー方式による熱風処理 を施して、熱伸長性複合繊維を熱により伸長させた。
得られた不織布(表面シート)の線状エンボスの面積率は13%であった。
得られた不織布(坪量25gsm)を、パルプ吸収体(坪量240gsm)にのせ、 ラウンド溝を打ち、実施例1のサンプルとした。
【0049】
〔比較例1〕
開孔フィルム(P&G製 フィルム表面材)を、パルプ吸収体(実施例1記載)にの せ、ラウンド溝を打ちサンプルとした。
〔比較例2〕
花王株式会社製の市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエ さらさらクッション」) の表面シートに使用されている開孔不織布を、実施例1で使用したものと同じパルプ吸 収体に載せ、実施例1と同様にラウンド溝を打ちサンプルを得た
〔比較例3〕
実施例1で作成した不織布のエンボスを格子状とし、そのエンボス化率を18%とし た以外は、実施例1と同様にしてサンプルを得た。
【0050】
得られた各サンプルについて、それぞれ以下に示す方法により、エンボス圧着面積率 (%)、表面材液残り量(mg)、吸い上げ残存量(mg)及び幅方向への液拡散性を 評価し、結果を表1に示した。
【0051】
【表1】

【0052】
<エンボス圧着面積率の測定方法>
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100、形状解析ソフトアプリケー ションKS−Analyzerを用いて表面材の厚み分布を測定した。(表面材のみ) 30マイクロ以下の部分(エンボス部)とそれ以外の部分に2値化処理を行い、全面積 に対する30マイクロ以下の部分の面積をエンボス圧着面積率として算出した。
【0053】
<表面材液残り量測定方法>
表面材の重量(W1)を測定した。
内径1cmの注入口を有するアクリルプレートをサンプルにのせ、その注入口から馬 血3gを注入した。注入後1分後にアクリルプレートを除き、さらに表面材を剥がし、 血液のついた表面材の重量を測定(W2)した。
表面材液残り量(mg)を、W2−W1で算出した。
【0054】
<吸い上げ残存量測定方法>
ティッシュの重量(W1)を測定した。
前記馬血1gを硝子盤におき、表面シート側を下向きにしてサンプルを、該馬血に載 せ、荷重を3g/cm2 加えて、該馬血を吸い上げさせた。
1分後にサンプルを取り除き、硝子盤上に残った馬血をティッシュで拭き取り重量を 測定した(W2)
吸い上げ残存量(mg)を、W2−W1で算出した。
【0055】
<幅方向への液拡散評価>
表面材(たて12×7.5cm)に、馬血液1.5ccを3分間隔で2回計3gを滴 下して、1分後の長手方向と幅方向の拡散比(幅/長手)を測定した。
液拡散性を下記基準で評価した。
○:拡散比 1以下
△:拡散比 0.9〜1.3
【0056】
表1に示す結果から判るように、本発明品は表面材として液透過性の良好な表面シー トが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の吸収性物品の表面シートは、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パットなどの吸収性物品の表面シートとして用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 吸収性物品の表面シート
11 表面
12 裏面
13 線状エンボスに隣接する部位
14 線状エンボス
16 大凸部
19 小凸部
21 ヒートエンボス装置
22,23 ロール
24 不織布
25 熱風吹き付け装置





【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の肌当接面側に配置される吸収性物品の表面シートであり、
前記表面シートは、熱伸長性繊維を含有する繊維集合体からなり、該繊維集合体には 、波状又はジグザグ形状に蛇行しながら一方向に延びる線状のエンボスが存在し、該線 状のエンボスで囲まれた凸部が、前記一方向に連なるように形成されているとともに、 該凸部は、面積及び高さが大きな大凸部と面積及び高さが相対的に小さな小凸部が前記 一方向に交互に存在する山脈構造を形成しており、該山脈構造は、該一方向に直交する 方向に間欠的に配置され、隣り合う山脈構造どうしの間に、該一方向に連続して延びる 畝が形成されている、吸収性物品の表面シート。
【請求項2】
前記大凸部は、前記小凸部よりも繊維密度が低い、請求項1記載の吸収性物品の表面 シート。
【請求項3】
前記表面シート中、前記線状のエンボスが占める面積率は10〜30%である請求項 1又は2記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項4】
肌当接面側に液透過性の表面シート、非肌当接面側に裏面シート、両シート間に吸収 体を備えた縦長の吸収性物品であり、
前記表面シートが、請求項1〜3の何れかに記載の表面シートであり、該表面シート の前記一方向が吸収性物品の長手方向に一致するように配されている、吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートの線状のエンボスと前記吸収体の間にホットメルト接着剤が介在する 請求項4記載の吸収性物品。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−158488(P2010−158488A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4132(P2009−4132)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】