説明

吸収性物品及び吸収性物品の製造方法

【課題】表面シートと中間シートとの間の隙間を抑制し、その隙間に残留する排泄液の残留量を抑制できる吸収性物品及び吸収性物品の製造方法を提供する。
【解決手段】
表面シート27と吸収コア11との間に透液性を有する中間シート14が配置されている。そして、表面シート27と中間シート14とが、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートの吸収コアとの間に配置された中間シートを有する吸収性物品及び吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品として、表面シートの吸収コアとの間に透液性の中間シートを配置するものがある(特許文献1)。この種の吸収性物品では、表面シートを透過した尿又は水様便等の排泄液が吸収コアに到達するまでの過程で、排泄液が中間シートにより周囲に拡散されることにより、排泄液が吸収コアに到達したときの排泄液が吸収コアの表面を濡らす面積が増大され、単位時間当たりの吸収コアの吸液量が増大される。これによって、吸収性物品による単位時間当たりの吸液量が増大される。なお、中間シートは、このような吸収性物品の単位時間当たりの吸液量を向上させる役割の他に、この役割に追加して、あるいはこの役割の代わりに、表面シートを一旦吸収コア側に透過した排泄液が表面シートの肌面側表面に戻る液戻りを防止する役割を担う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−34271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の吸収性物品では、表面シートと中間シートとの間に隙間が生じやすく、その隙間に排泄液が残留しやすい傾向がある。このような排泄液の隙間への残留は、表面シートの肌面側表面の湿り気又はベタつきの原因となる。
【0005】
そこで、本発明の解決すべき課題は、表面シートと中間シートとの間の隙間を抑制し、その隙間に残留する排泄液の残留量を抑制できる吸収性物品及び吸収性物品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、液体を吸収する素材を有する吸収コアと、不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートとを備え、前記表面シートと前記中間シートとは、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。
【0007】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記表面シートと前記中間シートとは、接着剤によって互いに接合されている。
【0008】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記中間シートと前記吸収コアとは、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。
【0009】
また、請求項4の発明では、液体を吸収する素材を有する吸収コアと、不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートとを備え、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品の製造方法であって、前記表面シートと前記中間シートとの接合及び前記中間シートと前記吸収コアとの接合を行うとともに、前記表面シートと前記外面シートとの間に前記中間シート及び前記吸収コアを配置する段階と、前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記外側シートを互いに近接する方向にプレスする段階とを備える。
【0010】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明に係る吸収性物品の製造方法において、前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記外側シートに対して行われるプレスは、前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記中間シートが対をなすプレスローラの間に通過されることにより行われる。
【0011】
また、請求項6の発明では、液体を吸収する素材を有する吸収コアと、不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートとを備え、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品の製造方法であって、前記表面シートと前記中間シートとを接合するとともに、前記表面シートと前記中間シートとを互いに近接する方向にプレスする段階と、接合及びプレスが施された前記表面シート及び前記中間シートと、前記外側シートとの間に前記吸収コアを挟み込む段階とを備える。
【0012】
また、請求項7の発明では、請求項6の発明に係る吸収性物品の製造方法において、前記表面シート及び前記中間シートに対して行われるプレスは、前記表面シート及び前記中間シートが対をなすプレスローラの間に通過されることにより行われる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、表面シートと中間シートとが、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされているため、表面シートと中間シートとの間の隙間を抑制でき、これによって、表面シートと中間シートとの間の隙間に残留する排泄液の残留量を抑制できる。その結果、表面シートと中間シートとの間の隙間に残留する排泄液に起因する表面シートの肌面側表面の湿り気又はベタつきを軽減できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、表面シートと中間シートとは、接着剤によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされているため、表面シートと中間シートとの間の隙間をより確実に抑制できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、中間シートと吸収コアとについても、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。このため、中間シートと吸収コアとの間に生じる隙間についても抑制でき、これによって、中間シートと吸収コアとの間の隙間に残留する排泄液の残留量も抑制できる。その結果、表面シートの肌面側表面の湿り気又はベタつきをさらに軽減できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、表面シートと中間シートとの接合及び中間シートと吸収コアとの接合を行うとともに、表面シートと外面シートとの間に中間シート及び吸収コアを配置した後、中間シート及び吸収コアを挟み込んだ表面シート及び外側シートを互いに近接する方向にプレスする。これによって、表面シートと中間シートとは、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされ、かつ、中間シートと吸収コアとについても、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされる。このため、表面シートと中間シートとの間の隙間、及び中間シートと吸収コアとの間の隙間を抑制でき、これらの隙間に残留する排泄液の残留量を抑制できる。その結果、これらの隙間に残留する排泄液に起因する表面シートの肌面側表面の湿り気又はベタつきを軽減できる。
【0017】
また、表面シート及び中間シートに対するプレスと、中間シート及び吸収コアに対するプレスとを一つのプレス工程で同時に行えるため、吸収性物品の製造ラインの簡略化が図れる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、表面シート及び中間シートに対するプレスと、中間シート及び吸収コアに対するプレスとを、プレスローラを用いた簡単な構成により容易に行うことができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、表面シートと中間シートとが、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされるため、表面シートと中間シートとの間の隙間を抑制でき、これによって、表面シートと中間シートとの間の隙間に残留する排泄液の残留量を抑制できる。その結果、表面シートと中間シートとの間の隙間に残留する排泄液に起因する表面シートの肌面側表面の湿り気又はベタつきを軽減できる。
【0020】
また、表面シート及び中間シートに対するプレスを施した後で、表面シート及び中間シートと外側シートとの間に吸収コアを挟み込むため、プレスによる吸収コアへの影響を考慮することなく、表面シートと中間シートとを十分な強さでプレスすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、表面シート及び中間シートに対するプレスをプレスローラを用いた簡単な構成により容易を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの平面図である。
【図2】図1の使い捨ておむつのA−A線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】図2の使い捨ておむつの断面の構成の一部を拡大して示す図である。
【図4】中間シートに用いられるシート材の断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図3の構成と比較される従来の使い捨ておむつの構成を示す図である。
【図6】図1の使い捨ておむつの製造工程を示す図である。
【図7】図6の製造工程の変形例のと示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の平面図であり、図2はそのおむつのA−A線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。なお、図1及び図2において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後又は上下方向に対応している。また、図1に示すおむつ10の構成において、図1の図面上における上側がおむつ10の後側に対応している。
【0024】
本実施形態に係るおむつ10は、テープ型又はパンツ型のおむつ等の股部の内側に敷き込まれて用いられるものである(尿パッドと呼ばれる場合がある)。このおむつ10をテープ型又はパンツ型のおむつ等の股部に敷き込むことにより、おむつの吸液容量が補強され、多量の尿が排尿された場合又は多量の水分を含んだ軟便が排便された場合に対応できるようになる。なお、本実施形態では本発明を尿パッドに適用した場合について説明したが、本発明をテープ型又はパンツ型のおむつに適用してもよい。なお、テープ型のおむつとは、おむつの後縁部の左右両側等に面ファスナー等の止着部材が設けられたタイプのおむつであり、パンツ型のおむつとは、左右の脚穴と腰穴を有し、左右の脚穴に着用者の脚を通して装着するタイプのおむつである。
【0025】
このおむつ10は、図1及び図2に示すように、吸収コア11、外側シート12、内側シート部材13及び中間シート14を備えている。内側シート部材13は、少なくとも一部が透液性を有している。内側シート部材13は、内側シート部材本体21、左右の起立シート部22、及び左右の弾性部材23を備えている。なお、本発明に係る表面シートには、後述する表面シート27が相当している。
【0026】
吸収コア11は、着用者が排泄した排泄液(例えば、尿又は便に含まれる水分等)を吸収する。より具体的には、吸収コア11は、吸液ポリマーを有する吸収素材111と、透液性を有し、その吸収素材111を包装する包装シート(例えば、ティッシュペーパー)112とを備えている。吸収素材111は、例えば、集合された繊維により構成された繊維集合体と、その繊維集合体に混入又は添加された吸収ポリマーとによって構成される。
【0027】
外側シート12は、不透液性を有し、吸収コア11の外面側に配置されている。外側シート12は、より具体的には例えば、不織布シートと、その不織布シートの肌面側に貼り合わされた不透液性の樹脂フィルムとを備えて構成されている。不織布シートには、例えば撥水性を有する合成繊維製不織布等が用いられる。樹脂フィルムには、例えばポリエチレン等の合成樹脂製フィルム(不透液性でかつ通気性を有するフィルムが好ましい)等が用いられる。吸収コア11と外側シート12との間には、図示しない接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が付与され、この接着剤によって吸収コア11と外側シート12とが接合される。
【0028】
内側シート部材13の内側シート部材本体21は、吸収コア11の肌面側に配置されている。左右の起立シート部22は、内側シート部材本体21の肌面側において横方向Xに間隔をあけて縦方向Yに沿って設けられ、内側シート部材本体21から離反する方向(肌面側)に起立可能となっている。左右の弾性部材23は、左右の起立シート部22の先端部に縦方向Yに伸張された状態でそれぞれ付与されており、その収縮力によって起立シート部22を着用者の肌面に向けて起立させる。この弾性部材23及び起立シート部22によって立体ギャザーが構成されており、この立体ギャザーにより排泄された尿及び便の横漏れが防止される。
【0029】
このような内側シート部材13の内側シート部材本体21及び起立シート部22は、例えば表面シート27及び左右のサイドシート28によって構成されている。表面シート27は、透液性を有し、内側シート部材本体21の横方向Xの中央部に縦方向Yに沿って配置されている。表面シート27の材料としては、例えば親水性不織布等が用いられる。
【0030】
左右のサイドシート28は、不透液性を有し、表面シート27の横方向Xの両側の部分(例えば、横方向Xの両側の縁部)に肌面側から重なるように、縦方向Yに沿って配置され、表面シート27の横方向Xの両側の部分(例えば、横方向Xの両側の縁部)と接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段によって接合されている。サイドシート28の材料としては、例えば撥水性不織布等が用いられる。サイドシート28の横方向Xの内方側の部分は、表面シート27から離反する方向(肌面側)に起立可能な構成となっており、起立シート部22を構成している。なお、本実施形態では、起立シート部22をサイドシート28の横方向Xの内方側の部分によって構成したが、この構成に限らず、種々の構成が採用可能である。
【0031】
中間シート14は、透液性を有し、内側シート部材13の表面シート27と吸収コア11との間に配置される。また、中間シート14と表面シート27とは、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)31によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。さらに、中間シート14と吸収コア11とも、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)32によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。なお、この中間シート14、表面シート27及び吸収コア11に対するプレス工程等については、後に詳述する。
【0032】
中間シート14としては、例えば、図4に示すような複数の透孔33aが比較的高密度で設けられた樹脂製のメッシュ状のシート材33(メッシュシートと呼ばれることがある)が用いられる。シート材33は、例えば樹脂製の糸をメッシュ状に編むことにより形成される構成の他、多数の透孔が設けられた樹脂フィルムによって構成される場合等がある。シート材33に設けられた透孔33aは通常の不織布の繊維の隙間よりも遙かに大きいため、シート材33は通常の不織布よりも液体を透過しやすくなっている。
【0033】
中間シート14の表面シート27に対する位置条件については、少なくとも着用者の排泄を行う排泄部位を網羅するように、中間シート14が表面シート27の外面側表面における少なくとも横方向X及び縦方向Yの中央部を含む領域を覆うように設定される。なお、図1に示す構成では、中間シート14が表面シート27の外面側表面の一部を覆っているが、中間シート14が表面シート27の外面側表面の全面を覆っていてもよい。
【0034】
このように中間シート14を配置することにより、おむつ10の単位時間当たりの吸液量が増大される(この原理は後述する)。このため、尿又は水様便等の排泄液が迅速に表面シート27を透過して吸収コア11に吸収されるようになる。これによって、吸収コア11による排泄液の吸収の遅れにより、排泄液が表面シート27の肌面側表面に溜まるのを抑制できる。またこれにより、排泄液が表面シート27の肌面側表面上で広がり、表面シート27上における汚染範囲が拡大するのを抑制できるとともに、排泄液がおむつ10の外部に漏れるのを抑制できる。なお、中間シート14は、このようなおむつ10の単位時間当たりの吸液量を向上させる役割の他に、この役割に追加して、あるいはこの役割の代わりに、表面シート27を一旦吸収コア11側に透過した排泄液が表面シート27の肌面側表面に戻る液戻りを防止する役割を担う場合がある。
【0035】
ここで、おむつ10(すなわち吸収コア11)による単位時間当たりの吸液量には、排泄液が吸収コア11に到達したときの吸収コア11の表面における排泄液によって濡れる部分の面積が関係しており、吸収コア11の表面における排泄液によって濡れる部分の面積を拡大すれば、おむつ10の単位時間当たりの吸液量を増大させることができる。そこで、本実施形態では、表面シート27と吸収コア11との間に上記のような中間シート14を介在させることにより、表面シート27を透過した排泄液を中間シート14によって周囲に拡散させて吸収コア11に到達させ、これによって吸収コア11の表面における排泄液によって濡れる部分の面積を拡大させている。
【0036】
本実施形態では、上記の如く、中間シート14と表面シート27とが、接着剤31によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされており、中間シート14と吸収コア11とも、接着剤32によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされている。このため、図3に示すように、表面シート27と中間シート14との間の隙間36及び中間シート14と吸収コア11との間の隙間37が、例えば、比較例として図5に示すプレスを行わない従来の構成に比して、大幅に圧縮されて抑制されている。これによって、表面シート27と中間シート14との間の隙間36及び中間シート14と吸収コア11との間の隙間37に残留する排泄液の残留量を抑制できる。その結果、隙間36,37に残留する排泄液に起因する表面シート27の肌面側表面の湿り気又はベタつきを軽減できる。
【0037】
また、表面シート27と中間シート14とは、接着剤31によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされているため、表面シート27と中間シート14との間の隙間36をより確実に抑制できる。
【0038】
また、中間シート14と吸収コア11とについても、接着剤32によって互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされているため、中間シート14と吸収コア11との間の隙間37をより確実に抑制できる。
【0039】
図5は、図1のおむつの製造工程を示す図である。この図5に構成では、外側シート連続体41と内側シート連続体42とが、重ね合わされた状態で対をなすプレスローラ43,44の間に通される。外側シート連続体41は、外側シート12が縦方向Yに連続的に連なるように形成されたものであり、図示しない外側シート形成工程にて形成される。内側シート連続体42は、内側シート部材13が縦方向Yに連続的に連なるように形成されたものであり、図示しない内側シート形成工程にて形成される。
【0040】
外側シート連続体41の搬送過程において、図示しない接着剤塗布工程で外側シート連続体41の肌面側表面に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布された後、図示しない吸収コア付与工程で吸収コア11が外側シート連続体41の肌面側表面に間隔をあけて付与され、第1接着剤塗布工程S1に送られる。第1接着剤塗布工程S1では、吸収コア11が付与された外側シート連続体41の肌面側に、接着剤塗布装置45によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)32が塗布され、中間シート付与工程S2に送られる。
【0041】
中間シート付与工程S2では、吸収コア11が付与された外側シート連続体41が、転写ドラム46と支持ローラ47との間に通され、これに伴って、外側シート連続体41の肌面側に吸収コア11の上から中間シート14が転写ドラム46によって付与される。中間シート14は、縦方向Yに連続的に連なった中間シート連続体48として供給され、切断ローラ49,50の間に送り込まれ、切断ローラ49,50に設けられた切断刃により、所定の寸法ごとに切断されて、中間シート14となる。切断された中間シート14は、切断ローラ49から転写ドラム46に受け渡され、転写ドラム46によって外側シート連続体41の肌面側に吸収コア11の上から付与される。切断ローラ49の外周面及び転写ドラム46の中間シート14を支持する支持部には、空気を吸引することにより中間シート連続体48又は中間シート14を吸着する吸着部が設けられている。このように中間シート14が付与された外側シート連続体41は、後述するプレス工程S4に送り込まれる。
【0042】
内側シート連続体42は、プレス工程S4に先立って、第2接着剤塗布工程S3にて内側シート連続体42の外面側に接着剤塗布装置51により接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)31が塗布される。接着剤31が塗布された内側シート連続体42は、案内ローラ52を経てプレス工程S4に送り込まれる。
【0043】
プレス工程S4では、外側シート連続体41と内側シート連続体42とが、中間シート14及び吸収コア11が外側シート連続体41と内側シート連続体42との間に挟み込まれるようにしてプレスローラ43,44の間に通される。このとき、シート連続体41,42、中間シート14及び吸収コア11からなる積層体53がプレスローラ43,44によってプレスされ、これによって、内側シート連続体42の表面シート27に対応する部分と中間シート14とがプレスされて隙間36が抑制された状態で接着剤31によって互いに接合される。これとともに、中間シート14と吸収コア11についても、互いに近接する方向にプレスされて隙間37が抑制された状態で接着剤32によって互いに接合される。
【0044】
ここで、従来の製造ラインにおいても、接着剤31,32による接着を促すために積層体53を押さえローラで押さえる場合があるが、本実施形態に係るプレス工程S4にてプレスローラ43,44から積層体53に与えられる圧力は、その従来の押さえローラによる圧力よりも大きな値(例えば、0.5から2.0MPa)に設定される。
【0045】
プレス工程S4を通過した積層体53は、図示しない製品分割工程に送られ、切断機構により製品単位に切断される。
【0046】
上記のようなおむつ1の製造工程により、表面シート27及び中間シート14に対するプレスと、中間シート14及び吸収コア11に対するプレスとを一つのプレス工程S4で同時に行えるため、おむつ1の製造ラインの簡略化が図れる。
【0047】
また、表面シート27及び中間シート14に対するプレスと、中間シート14及び吸収コア11に対するプレスとを、プレスローラ43,44を用いた簡単な構成により容易に行うことができる。
【0048】
なお、上述の実施形態では、表面シート27及び中間シート14に対するプレスだけでなく、中間シート14及び吸収コア11に対するプレスも行うようにしたが、中間シート14と吸収コア11に対するプレスについては省略してもよい。この場合は、おむつ1の製造工程としては、図6に示す構成が採用可能である。
【0049】
この図6に示す構成では、外側シート連続体41と内側シート連続体42とが重ね合わされる前に、中間シート14が内側シート連続体42に接着され、内側シート連続体42と中間シート14とがプレス工程S13にてプレスされるようになっている。
【0050】
内側シート形成工程から供給される内側シート連続体42は、第3接着剤塗布工程S11にて接着剤塗布装置61によりその外面側表面に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)31が塗布された後、中間シート付与工程S12に送られる。
【0051】
中間シート付与工程S12では、接着剤31が塗布された内側シート連続体42が、転写ドラム62と支持ローラ63との間に通され、これに伴って、内側シート連続体42の外面側表面に中間シート14が転写ドラム62によって付与される。中間シート14を形成する中間シート連続体48が、切断ローラ63,64の間に送り込まれ、切断ローラ63,64に設けられた切断刃により、所定の寸法ごとに切断されて、中間シート14となる。切断された中間シート14は、切断ローラ63から転写ドラム62に受け渡され、転写ドラム62よって内側シート連続体42の外面側表面に付与される。切断ローラ63の外周面及び転写ドラム62の中間シート14を支持する支持部には、空気を吸引することにより中間シート連続体48又は中間シート14を吸着する吸着部が設けられている。
【0052】
中間シート14が付与された内側シート連続体42は、プレス工程S13に送り込まれる。プレス工程13では、中間シート14が付与された内側シート連続体42がプレスローラ65,66の間に通されてプレスされる。このとき、プレスローラ65,66によって内側シート連続体42の表面シート27に対応する部分と中間シート14とがプレスされて隙間36が抑制された状態で接着剤31によって互いに接合される。このプレス工程13を経た内側シート連続体42は、案内ローラ67を経て挟み込み工程S15に送られる。ここで、このプレス工程S13にてプレスローラ65,66から内側シート連続体42及び中間シート14に与えられる圧力は、例えば0.3から1.0MPaに設定される。
【0053】
一方、外側シート連続体41は、図示しない外側シート形成工程から送り出された後、図示しない接着剤塗布工程でその肌面側表面に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布され、さらに、図示しない吸収コア付与工程で吸収コア11がその肌面側表面に間隔をあけて付与され、第4接着剤塗布工程S14に送られる。第4接着剤塗布工程S14では、吸収コア11が付与された外側シート連続体41の肌面側に、接着剤塗布装置68によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)32が塗布され、挟み込み工程S15に送られる。
【0054】
挟み込み工程S15では、外側シート連続体41と内側シート連続体42とが、中間シート14及び吸収コア11が外側シート連続体41と内側シート連続体42との間に挟み込まれるようにして押さえローラ69,70の間に通され、これによって接着剤32によって外側シート連続体41及び吸収コア11と、内側シート連続体42及び中間シート14とが接合される。
【0055】
挟み込み程S15を通過した積層体53は、図示しない製品分割工程に送られ、切断機構により製品単位に切断される。
【0056】
上記のような製造工程によれば、表面シート27を含む内側シート連続体42及び中間シート14に対するプレスを施した後で、内側シート連続体42と外側シート連続体41との間に吸収コア11を挟み込むため、プレスによる吸収コア11への影響を考慮することなく、表面シート27を含む内側シート連続体42と中間シート14とを十分な強さでプレスすることができる。
【0057】
また、表面シート27を含む内側シート連続体42と中間シート14とに対するプレスを、プレスローラ65,66を用いた簡単な構成により容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1 おむつ、11 吸収コア、111 吸収素材、112 包装シート、12 外側シート、13 内側シート部材、21 内側シート部材本体、22 起立シート部、23 弾性部材、27 表面シート、28 サイドシート、31,32 接着剤、33 シート材、33a 透孔、36,37 隙間、41 外側シート連続体、42 内側シート連続体、43,44 プレスローラ、45 接着剤塗布装置、46 転写ドラム、47 支持ローラ、48 中間シート連続体、49,50 切断ローラ、51 接着剤塗布装置、52 案内ローラ、53 積層体、61 接着剤塗布装置、62 転写ドラム、63 支持ローラ、63,64 切断ローラ、65,66 プレスローラ、67 案内ローラ、68 接着剤塗布装置、69,70 押さえローラ、S1 第1接着剤塗布工程、S2 中間シート付与工程、S3 第2接着剤塗布工程、S4 プレス工程、S11 第3接着剤塗布工程、S12 中間シート付与工程、S13 プレス工程、S14 第4接着剤塗布工程、S15 挟み込み工程、X 横方向、Y 縦方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、
液体を吸収する素材を有する吸収コアと、
不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、
透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、
透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートと、
を備え、
前記表面シートと前記中間シートとは、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記表面シートと前記中間シートとは、接着剤によって互いに接合されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品において、
前記中間シートと前記吸収コアとは、互いに接合されるとともに、互いに近接する方向にプレスされていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
液体を吸収する素材を有する吸収コアと、
不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、
透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、
透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートと、
を備え、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品の製造方法であって、
前記表面シートと前記中間シートとの接合及び前記中間シートと前記吸収コアとの接合を行うとともに、前記表面シートと前記外面シートとの間に前記中間シート及び前記吸収コアを配置する段階と、
前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記外側シートを互いに近接する方向にプレスする段階と、
を備えることを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品の製造方法において、
前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記外側シートに対して行われるプレスは、前記中間シート及び前記吸収コアを挟み込んだ前記表面シート及び前記中間シートが対をなすプレスローラの間に通過されることにより行われることを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
液体を吸収する素材を有する吸収コアと、
不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シートと、
透液性を有し、前記吸収コアの肌面側に配置された表面シートと、
透液性を有し、前記表面シートと前記吸収コアとの間に配置された中間シートと、
を備え、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品の製造方法であって、
前記表面シートと前記中間シートとを接合するとともに、前記表面シートと前記中間シートとを互いに近接する方向にプレスする段階と、
接合及びプレスが施された前記表面シート及び前記中間シートと、前記外側シートとの間に前記吸収コアを挟み込む段階と、
を備えることを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート及び前記中間シートに対して行われるプレスは、前記表面シート及び前記中間シートが対をなすプレスローラの間に通過されることにより行われることを特徴とする吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−36378(P2011−36378A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186028(P2009−186028)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】