説明

吸収性物品用シート部材製造装置

【課題】吸収性物品用シート部材製造装置において、粒子を凹部からシート上に確実に供給する。
【解決手段】吸収シート製造装置では、供給シリンダ21が供給シリンダ部材215、複数の供給ピン216および供給ピン移動機構217を備え、供給シリンダ部材215の供給貫通孔212aに供給ピン216が挿入されることにより、粒子充填部23から粒子が充填される供給凹部212が形成される。そして、シリンダ外側面211の下部において、供給ピン移動機構217により供給ピン216を径方向外側に移動させることにより、供給凹部212内の粒子が第1シート部材91に向けて押し出される。これにより、粒子が供給凹部212の内面に付着して残留してしまうことを抑制または防止することができ、供給凹部212から第1シート部材91上に粒子を確実に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品用シート部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品では、2枚の不織布等のシート部材の間に、高吸収性樹脂の粒子を挟んで固定した吸収シートが利用されている。
【0003】
特許文献1は、使い捨て吸収性物品に用いられるシート状吸水体の製造装置等に関するものである。当該製造装置では、周方向に断続的に配列された複数の凹溝が外側面に形成された仮受けロール、仮受けロールの下方において基材シートを保持して搬送する受け渡しロール、仮受けロールの上方に配置されて上記複数の凹溝に高吸水性樹脂粒子を供給するボックス、および、当該ボックスから受け渡しロールに至るまでの間の仮受けロールの外側面に対向して複数の凹溝に供給された高吸水性樹脂粒子を保持するための円弧状ガイド部材が設けられる。仮受けロールの複数の凹溝に保持された高吸水性樹脂粒子は、仮受けロールの回転により下方に移動し、ホットメルト接着剤が塗布された基材シート上に供給される。そして、基材シート上の高吸水性樹脂粒子を挟んで被覆シートが基材シートに接合されることにより、シート状吸水体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−59579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高吸水性樹脂粒子は、空気中の水蒸気を吸収して粘度が増大するため、特許文献1の装置では、仮受けロールの凹溝に保持された高吸水性樹脂粒子の一部が凹溝内面に付着してしまい、基材シート上に供給されないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収性物品用シート部材製造装置において、粒子を凹部からシート上に確実に供給することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、吸収性物品用シート部材製造装置であって、シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シリンダ外側面の下部と連続シートである第1シート部材とを接触させて、前記複数の供給凹部から前記第1シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、前記複数の供給凹部に粒子を順次充填する粒子充填部と、前記供給シリンダにより前記第1シート部材上に供給された粒子上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部とを備え、前記供給シリンダが、前記シリンダ回転軸を中心とする略円筒状であり、外側面が前記シリンダ外側面であり、周方向に配列された複数の供給貫通孔が設けられた供給シリンダ部材と、前記複数の供給貫通孔に挿入され、それぞれの径方向外側を向く先端が前記シリンダ外側面よりも径方向内側に位置することにより前記複数の供給凹部の底部となる複数の供給ピンと、前記シリンダ外側面の前記下部において、供給ピンを径方向外側に移動させることにより、粒子を前記第1シート部材に向けて押し出す供給ピン移動機構とを備え、前記シート接合部が、前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダ部材に外接し、前記シリンダ回転軸に平行なローラ回転軸を中心として回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面からローラ外側面へと移すローラと、前記第2シート部材を前記ローラ外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部と、前記ローラ上にて、または、前記ローラから離れた位置にて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合する接合部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記ローラが、前記ローラ外側面に周方向に配列された複数の収容凹部を有し、収容凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記供給ピン移動機構が、供給凹部と収容凹部とが対向する対向位置にて供給ピンを径方向外側に移動させ、粒子を前記第1シート部材と共に前記収容凹部内へと押し込む。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記ローラが、前記ローラ回転軸を中心とする略円筒状であり、外側面が前記ローラ外側面であり、周方向に配列された複数の収容貫通孔が設けられた収容シリンダ部材と、前記複数の収容貫通孔に挿入される複数の収容ピンと、前記対向位置において、収容ピンの径方向外側を向く先端を前記ローラ外側面から径方向内側に移動させることにより、前記先端を収容凹部の底部とする収容ピン移動機構とを備える。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記ローラが、前記ローラ外側面に周方向に配列された複数の吸引口を有し、吸引口と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記シート接合部が、前記ローラの内側から前記吸引口および前記第1シート部材を介して粒子を吸着する吸引部をさらに備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記ローラが、それぞれの内部に前記複数の吸引口が設けられる複数の収容凹部を有し、収容凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記供給ピン移動機構が、供給凹部と収容凹部とが対向する対向位置にて供給ピンを径方向外側に移動させ、粒子を前記第1シート部材と共に前記収容凹部内へと押し込む。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記供給ピン移動機構が、前記複数の供給ピンにそれぞれ取り付けられる複数のカムフォロアと、前記供給シリンダ部材の内側にて前記複数のカムフォロアに接するカムとを備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記粒子充填部が、前記供給シリンダの上方にて粒子を収容し、前記シリンダ外側面に対向する粒子充填口において、前記複数の供給凹部に粒子を順次充填し、前記粒子充填口から前記供給シリンダの回転方向へと広がって前記シリンダ外側面の一部を覆うカバー部により、粒子が充填された供給凹部の外側が塞がれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、粒子を供給凹部から第1シート部材上に確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図2】供給シリンダ近傍の断面図である。
【図3】供給シリンダの正面図である。
【図4】第2ローラの断面図である。
【図5】第2ローラの正面図である。
【図6】第4ローラの断面図である。
【図7】第2補助接合ローラの断面図である。
【図8】第2補助接合ローラの正面図である。
【図9】供給シリンダ近傍を示す図である。
【図10】吸収シートの平面図である。
【図11】第2ローラの正面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図13】第2ローラの断面図である。
【図14】供給シリンダ近傍を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1を示す図である。吸収シート製造装置1は、吸収性物品用シート部材製造装置の1つであり、吸収材料である高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))等の高吸収性樹脂の粒子を不織布等のシート部材に挟んで吸収シートを製造する。吸収シートは、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である。
【0017】
吸収シート製造装置1は、水平方向を向くシリンダ回転軸R0を中心とする供給シリンダ21、供給シリンダ21の斜め左下に配置される第1ローラ31、供給シリンダ21の斜め右下に配置される第2ローラ41、第2ローラ41の右側に配置される第3ローラ51、並びに、第2ローラ41の上方にて第2ローラ41および供給シリンダ21に近接して配置されるシート搬送ローラ71を備える。図1では、図の理解を容易にするために、供給シリンダ21や各ローラの断面を平行斜線を付さずに示す(他の図においても同様)。
【0018】
第1ローラ31は、シリンダ回転軸R0が向く方向(以下、「軸方向」という。)に平行な第1回転軸R1を中心とする略円柱状であり、第2ローラ41は、軸方向に平行な第2回転軸R2を中心とする略円柱状である。第1ローラ31および第2ローラ41は、供給シリンダ21のシリンダ回転軸R0を含むとともに鉛直方向に平行な面に関して略対称に配置される。第3ローラ51およびシート搬送ローラ71はそれぞれ、軸方向に平行な第3回転軸R3および搬送ローラ回転軸R5を中心とする略円柱状である。
【0019】
吸収シート製造装置1は、第3ローラ51の下方に配置される補助接合部62をさらに備える。補助接合部62は、軸方向に平行な補助ローラ回転軸R6を中心とする略円柱状の第1補助接合ローラ63、および、軸方向に平行な補助ローラ回転軸R7を中心とする略円柱状の第2補助接合ローラ64を備える。吸収シート製造装置1は、また、軸方向に平行な中心軸を中心とする略円柱状の複数の補助ローラ32,42、および、補助ローラ42の上方に配置される塗布部72を備える。
【0020】
供給シリンダ21、第3ローラ51、シート搬送ローラ71および第1補助接合ローラ63はそれぞれ、シリンダ回転軸R0、第3回転軸R3、搬送ローラ回転軸R5および補助ローラ回転軸R6を中心として図1中における反時計回りに回転し、第1ローラ31、第2ローラ41および第2補助接合ローラ64はそれぞれ、第1回転軸R1、第2回転軸R2および補助ローラ回転軸R7を中心として図1中における時計回りに回転する。
【0021】
吸収シート製造装置1では、不織布等にて形成される連続シートである第1シート部材91が、補助ローラ32を介して第1ローラ31へと搬送され、第1ローラ31の第1ローラ外側面311から供給シリンダ21のシリンダ外側面211へと移される。続いて、供給シリンダ21により、高吸収性樹脂の粒子(以下、単に「粒子」という。)が第1シート部材91上に順次供給される。第1シート部材91は、さらに、供給シリンダ21のシリンダ外側面211から第2ローラ41の第2ローラ外側面411へと移される。
【0022】
一方、不織布等にて形成される連続シートである第2シート部材92は、補助ローラ42を介してシート搬送ローラ71へと導かれる。第2シート部材92の一方の主面には、塗布部72により、およそ全面に亘って接着剤(本実施の形態では、ホットメルト接着剤)が塗布される。第2シート部材92は、シート搬送ローラ71から第2ローラ41へと導かれ、第2ローラ41が第1シート部材91を介して供給シリンダ21の供給シリンダ部材215(後述)に外接する位置近傍にて、第2ローラ外側面411上の第1シート部材91上に供給される。すなわち、シート搬送ローラ71は、第2シート部材92を供給する第2シート供給部となっている。
【0023】
第1シート部材91および第2シート部材92は、重ねられた状態で第2ローラ41と第3ローラ51との間、および、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間を通過する。これにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合され、吸収シートが形成される。以下の説明では、第2ローラ41、第3ローラ51、シート搬送ローラ71、並びに、補助接合部62である第1補助接合ローラ63および第2補助接合ローラ64等、第1シート部材91と第2シート部材92との接合に係る構成をまとめてシート接合部40と呼ぶ。
【0024】
供給シリンダ21の上方には、粒子充填部23が設けられる。粒子充填部23は、供給シリンダ21の上方にて粒子を収容する粒子タンク231、および、粒子タンク231に設けられるレベルセンサ233を備える。レベルセンサ233により、粒子タンク231内の粒子が一定量以下となったことが検出されると、粒子タンク231に粒子が補充される。粒子タンク231は重力方向に略平行に延びており、粒子タンク231の下端には、供給シリンダ21のシリンダ外側面211に対向する粒子充填口232が設けられる。粒子充填口232は、供給シリンダ21の最上部を含む部位に対向する。
【0025】
供給シリンダ21の周囲には、シリンダ外側面211の一部を覆う第1カバー部221、および、シリンダ外側面211の他の一部を覆う第2カバー部222が設けられる。第1カバー部221は、粒子充填口232から供給シリンダ21の回転方向前側へと(すなわち、図1中における反時計回りに)広がって、供給シリンダ21と第1ローラ31とが最も接近する部位の近傍まで設けられ、供給シリンダ21の左側においてシリンダ外側面211を覆う。第2カバー部222は、粒子充填口232から供給シリンダ21の回転方向後側へと(すなわち、図1中における時計回りに)広がって、供給シリンダ21の右端部近傍まで設けられ、供給シリンダ21の右側においてシリンダ外側面211を覆う。
【0026】
図2は、供給シリンダ21近傍を拡大して示す断面図である。図2では、シリンダ回転軸R0に垂直な断面を示す。図3は、供給シリンダ21のシリンダ外側面211を示す図であり、シリンダ回転軸R0に垂直な方向に沿ってシリンダ外側面211を見た様子を示している。図2では、粒子に密な平行斜線を付す。また、図3では、第1カバー部221および第2カバー部222の図示を省略している。
【0027】
図2に示すように、供給シリンダ21は、シリンダ回転軸R0を中心とする略円筒状の供給シリンダ部材215、供給シリンダ部材215の内側に配置される複数の供給ピン216、および、複数の供給ピン216を径方向に進退させる供給ピン移動機構217を備える。供給シリンダ部材215の外側面は、上述のシリンダ外側面211である。
【0028】
供給シリンダ部材215は、側壁を貫通する複数の供給貫通孔212aを有する。複数の供給貫通孔212aは、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、シリンダ回転軸R0を中心とする周方向に等間隔にて配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の供給貫通孔212aを供給貫通孔列213と呼ぶと、供給シリンダ部材215では、図3に示すように、3個の供給貫通孔列213が設けられる。本実施の形態では、各供給貫通孔212aの長手方向に垂直な断面の形状は略円形であるが、供給貫通孔212aの断面は様々な形状(例えば、略矩形)であってよい。供給シリンダ部材215には、1個、2個または4個以上の供給貫通孔列213が設けられてもよい。各供給貫通孔列213では、複数の供給貫通孔212aは、必ずしも等間隔に配置される必要はない。図1に示すように、シリンダ外側面211は、供給貫通孔212aが存在しない領域において、第1カバー部221の内側面および第2カバー部222の内側面に非常に近接しており、実質的に接している。
【0029】
図2に示す各供給ピン216の長手方向に垂直な断面は略円形であり、当該断面の直径は、供給貫通孔212aの直径よりも僅かに小さい。複数の供給ピン216はそれぞれ、複数の供給貫通孔212aに進退可能に挿入される。供給シリンダ21の下部を除く各位置では、供給ピン216の径方向外側を向く先端がシリンダ外側面211よりも径方向内側に位置することにより、シリンダ外側面211に複数の供給凹部212が形成される。各供給凹部212では、供給ピン216の先端が供給凹部212の底部となる。また、供給シリンダ部材215の3個の供給貫通孔列213は、供給シリンダ21において3個の供給凹部列となる。以下、供給貫通孔列213を供給凹部列213と呼ぶ。
【0030】
供給ピン移動機構217は、複数の供給ピン216の径方向内側の端部にそれぞれ取り付けられる複数のカムフォロア2171、および、供給シリンダ部材215の内側に配置される略円形のカム2172を備える。カム2172は回転しないように固定されており、複数のカムフォロア2171はカム2172に外接する。供給シリンダ21の下部におけるシリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離は、他の位置におけるシリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離よりも大きい。
【0031】
詳細には、シリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離は、図1に示す第2ローラ41が供給シリンダ部材215のシリンダ外側面211に第1シート部材91を介して外接する位置(図1中におけるシリンダ回転軸R0の斜め右下)において最も大きい。また、当該位置を中心として周方向の略90°の領域においては、当該位置から周方向に離れるに従って、シリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離は漸次小さくなり、他の領域では、当該距離は一定である。供給シリンダ21では、供給ピン216は、供給シリンダ部材215と共に回転して第2ローラ41に近づくに従って、径方向外側に向かって移動する。
【0032】
吸収シート製造装置1では、図2に示す供給シリンダ21の供給シリンダ部材215および複数の供給ピン216がシリンダ回転軸R0を中心として高速に回転し、粒子充填口232を通過する複数の供給凹部212に対し、粒子充填部23の粒子タンク231から重力により粒子が順次充填される。粒子充填口232の図2中における右側(すなわち、供給シリンダ21の回転方向の後側)には、粒子充填口232に隣接して配置される連通部26が設けられる。連通部26は、供給シリンダ21の軸方向において、3個の供給凹部列213(図3参照)が配列される範囲のおよそ全幅に亘って設けられる。
【0033】
連通部26は、供給シリンダ21の複数の供給凹部212のうち、粒子充填口232の後縁(すなわち、供給シリンダ21の回転方向の後側の端縁)にて粒子充填口232に対向する供給凹部212b(他の供給凹部212と区別するために、符号212bを付す。)と外部空間とを連通させる。これにより、粒子充填部23から供給凹部212bに対する粒子の充填が行われる際に、供給凹部212b内のエアが、供給凹部212bに流入する粒子に押し出され、連通部26を介して外部空間へと容易に排出される。その結果、供給凹部212bに充填される粒子の密度を増大させることができる。
【0034】
連通部26の供給シリンダ21に対向する一方の端部である第1端部261は、外部空間側に位置する他方の端部である第2端部262よりも下側に位置する。連通部26では、連通路260は、少なくとも2ヶ所で屈曲する。本実施の形態では、連通路260は、上下方向のみにおいても3ヶ所にて屈曲しており、連通部26の第1端部261は、第2端部262のおよそ鉛直下方に位置する。これにより、供給凹部212bに充填された粒子が、連通部26を通過して外部空間へと放出されてしまうことが抑制される。
【0035】
連通部26の第2端部262には、連通部26内の気体を吸引する連通部吸引部264が、配管263を介して接続される。連通部吸引部264は、吸引圧を調整するレギュレータを備え、微弱な吸引を行う。これにより、供給凹部212b内のエアがさらに効率的に排出されるため、供給凹部212bに充填される粒子の密度をさらに増大させることができる。
【0036】
図4は、第2ローラ41の断面図であり、第2回転軸R2に垂直な断面を示す。図5は、第2ローラ41の第2ローラ外側面411を示す図であり、第2回転軸R2に垂直な方向に沿って第2ローラ外側面411を見た様子を示している。図4および図5に示すように、第2ローラ外側面411上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の収容凹部412が、第2回転軸R2を中心とする周方向に互いに離間して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の収容凹部412を収容凹部列413と呼ぶと、第2ローラ41では、図5に示すように3個の収容凹部列413が設けられる。本実施の形態では、各収容凹部412を第2回転軸R2に垂直な方向から見た形状は略円形であり、第2回転軸R2に垂直な断面における各収容凹部412の底面の形状は、図4に示すように略円弧状である。
【0037】
図6は、第3ローラ51の断面図であり、第3回転軸R3に垂直な断面を示す。第3ローラ51の第3ローラ外側面511は、第3回転軸R3を中心として回転する平滑な円筒面である。第3ローラ51は、第3ローラ外側面511を加熱する外側面加熱部であるヒータ514を内部に備える。図1に示す補助接合部62の第1補助接合ローラ63は、第3ローラ51と同様の構造を有し、内部にヒータ634を備える。
【0038】
図7は、補助接合部62の第2補助接合ローラ64の断面図であり、補助ローラ回転軸R7に垂直な断面を示す。図8は、第2補助接合ローラ64の外側面641を示す図であり、補助ローラ回転軸R7に垂直な方向に沿って外側面641を見た様子を示している。第2補助接合ローラ64の構造は、第2ローラ41とほぼ同様であり、図7および図8に示すように、外側面641上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の補助凹部642が、補助ローラ回転軸R7を中心とする周方向に互いに離間して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の補助凹部642を補助凹部列643と呼ぶと、第2補助接合ローラ64では、図8に示すように3個の補助凹部列643が設けられる。図1に示すシート搬送ローラ71の搬送ローラ外側面は、平滑な円筒面である。
【0039】
吸収シート製造装置1では、供給シリンダ21における複数の供給凹部列213(図3参照)、第2ローラ41における複数の収容凹部列413(図5参照)、および、第2補助接合ローラ64における複数の補助凹部列643(図8参照)は、軸方向に関して同じ位置に配置される。また、第2ローラ41および第2補助接合ローラ64の直径は等しく、収容凹部412の周方向における間隔、および、補助凹部642の周方向における間隔も等しい。供給シリンダ21の直径は、第2ローラ41および第2補助接合ローラ64の2倍であり、1つの供給凹部列213に含まれる供給凹部212の個数も、1つの収容凹部列413に含まれる収容凹部412の個数、および、1つの補助凹部列643に含まれる補助凹部642の個数の2倍である。本実施の形態では、収容凹部412および補助凹部642の直径および容量は、供給凹部212の直径および容量に等しい、または、供給凹部212の直径および容量よりも大きい。
【0040】
吸収シート製造装置1により吸収シートが製造される際には、図9に示すように、第1ローラ31および供給シリンダ21の回転により、第1シート部材91が第1ローラ外側面311上にて搬送され、第1ローラ外側面311からシリンダ外側面211へと移される。図9では、図の理解を容易にするために、第1シート部材91および第2シート部材92を、第1ローラ31、第2ローラ41、供給シリンダ21等から離間させて描いている(図14においても同様)。
【0041】
供給シリンダ21では、シリンダ外側面211に周方向に配列された複数の供給凹部212に、上述のように、粒子充填部23から粒子が順次充填される。粒子が充填された供給凹部212は、その外側を第1カバー部221により塞がれた状態で(すなわち、シリンダ外側面211側から覆われた状態で)、第1カバー部221の下端へと至る。第1カバー部221の下端は、第1ローラ31が供給シリンダ21の供給シリンダ部材215に第1シート部材91を介して外接する位置におよそ一致している。
【0042】
吸収シート製造装置1では、シリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触した状態で、複数の供給凹部212から第1シート部材91上に粒子が順次供給される。シリンダ外側面211の下部では、供給シリンダ部材215と第2ローラ41とが第1シート部材91を介して接する位置に供給凹部212が近づくに従って、供給ピン移動機構217により当該供給凹部212内の供給ピン216が径方向外側に移動される。供給ピン216の先端は、シリンダ外側面211におよそ等しい位置まで移動され、これにより、供給凹部212内の粒子が供給ピン216により供給凹部212から第1シート部材91に向けて押し出される。
【0043】
第1シート部材91は、供給シリンダ21および第2ローラ41の回転により、供給シリンダ部材215と第2ローラ41とが接する位置に向かって移動する。第2ローラ41は、供給シリンダ部材215と第2ローラ41とが接する位置において、供給凹部212(正確には、後述するように、供給凹部212から突出した供給ピン216)と収容凹部412とを対向させつつ回転する。以下の説明では、当該位置を、「凹部対向位置」という。
【0044】
凹部対向位置では、供給ピン216がさらに径方向外側へと移動され、供給ピン216の先端がシリンダ外側面211よりも径方向外側に突出し、供給凹部212から第1シート部材91上に供給された粒子が、第1シート部材91と共に、対向する収容凹部412内へと押し込まれる。換言すれば、供給ピン216により第1シート部材91が第2ローラ41の収容凹部412に向けて押圧されることにより、粒子が収容されるシート凹部912が第1シート部材91に形成され、当該シート凹部912は収容凹部412に収容される。第2ローラ41は、粒子を保持したシート凹部912が第2ローラ外側面411に収容される収容ローラであり、第2ローラ外側面411および第2回転軸R2は収容ローラ外側面および収容ローラ回転軸である。
【0045】
供給ピン216は、凹部対向位置から離れるに従って径方向内側へと移動し、供給ピン216の先端はシリンダ外側面211よりも径方向内側に位置する。各供給凹部212は、凹部対向位置から離れて供給シリンダ21の上部へと移動し、第2カバー部222の下方を通過して粒子充填部23の粒子充填口232へと向かう。
【0046】
一方、接着剤が塗布された第2シート部材92は、シート搬送ローラ71を経由して第2ローラ41へと導かれ、第2ローラ外側面411上において、複数のシート凹部912内に粒子を保持する第1シート部材91上に(すなわち、複数のシート凹部912の開口側に)重ねられる。そして、第2ローラ41と、ヒータ514により第3ローラ外側面511が加熱された第3ローラ51との間に、第1シート部材91と第2シート部材92とが重ねられて挟まれることにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。すなわち、第3ローラ51は、第2ローラ41上にて第1シート部材91と第2シート部材92とを接合する接合部である。
【0047】
接合された第1シート部材91および第2シート部材92は、図1に示す補助接合部62へと導かれ、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間に挟まれる。このとき、複数のシート凹部912(図9参照)は、第2補助接合ローラ64の複数の補助凹部642(図7および図8参照)に収容される。これにより、シート凹部912の変形が防止される。補助接合部62では、ヒータ634により第1補助接合ローラ63の外側面が加熱されており、第1シート部材91と第2シート部材92とは、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間に挟まれることにより、さらに強固に接合される。これにより、図10に示すように、ドット状に配置された複数の粒子存在領域951を有する吸収シート95が形成される。各粒子存在領域951では、高吸収性樹脂の粒子が分布しており、複数の粒子存在領域951の周囲において、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。
【0048】
以上に説明したように、吸収シート製造装置1では、供給シリンダ21が供給シリンダ部材215、複数の供給ピン216および供給ピン移動機構217を備え、供給シリンダ部材215の供給貫通孔212aに供給ピン216が挿入されることにより、粒子充填部23から粒子が充填される供給凹部212が形成される。そして、シリンダ外側面211の下部において、第1シート部材91がシリンダ外側面211に接触した状態で供給ピン216を径方向外側に移動させることにより、供給凹部212内の粒子が第1シート部材91に向けて押し出される。これにより、粒子が供給凹部212の内面に付着して残留してしまうことを抑制または防止することができ、供給凹部212から第1シート部材91上に粒子を確実に供給することができる。
【0049】
吸収シート製造装置1では、凹部対向位置において供給ピン216を径方向外側に移動させ、粒子を第1シート部材91と共に第2ローラ41の収容凹部412内へと押し込むことにより、第1シート部材91に容易にシート凹部912を形成することができる。また、シート凹部912に粒子を保持させることにより、第1シート部材91上においてシート凹部912の周囲に粒子が拡散してしまうことを抑制することができる。その結果、ドット状に配置された複数の粒子存在領域951を有する吸収シート95を容易に形成することができる。
【0050】
供給シリンダ21では、カム2172および複数のカムフォロア2171を利用することにより、複数の供給ピン216を径方向に進退させる供給ピン移動機構217を容易に実現することができる。また、カム2172を形状が異なる他のカムに交換したり、供給ピン216を長さが異なる他の供給ピンに交換することにより、供給凹部212の容量を容易に変更することができる。さらに、供給シリンダ21の上方に粒子充填部23を設け、重力により複数の供給凹部212に粒子を順次充填することにより、供給凹部212への粒子の充填を容易とすることができる。
【0051】
図11は、他の好ましい第2ローラの外側面を示す図である。図11に示す第2ローラ41aの第2ローラ外側面411には複数の吸引口414が設けられ、シート接合部40部の一部である吸引部418が、第2ローラ41aの左右両側に配置される。各吸引口414を第2回転軸R2に垂直な方向から見た形状は略円形であり、吸引口414は収容凹部412に比べて十分に小さい。複数の吸引口414は、第2回転軸R2を中心とする周方向において、第2ローラ外側面411の全周に亘って設けられる。図11では、図の理解を容易にするために、第2回転軸R2よりも上側の吸引口414のみを細線にて図示している。
【0052】
複数の吸引口414は、軸方向において、3個の収容凹部列413の両側まで設けられる。換言すれば、複数の吸引口414は、複数の収容凹部列413の全体に重なって設けられており、当然、各収容凹部412の内部にも設けられる。1つの収容凹部412内に設けられる複数の吸引口414を吸引口群414aと呼ぶと、第2ローラ41aは、第2ローラ外側面411に周方向に配列された複数の吸引口群414aを有し、凹部対向位置において吸引口群414aと供給凹部212とを対向させつつ回転する。
【0053】
シート接合部40では、吸引部418により、第2ローラ41aの内側から吸引口414を介してエアの吸引が行われる。これにより、第1シート部材91が第2ローラ外側面411に吸着される。その結果、供給ピン216による押圧により第1シート部材91がずれてしまうことを抑制または防止することができ、シート凹部912を容易に形成することができる。また、シート凹部912が収容凹部412の内面に沿うように吸引されることにより、シート凹部912の容量を容易に大きくすることができ、シート凹部912内における粒子の保持が容易とされる。さらに、収容凹部412内において、吸引口414および第1シート部材91を介して粒子が吸着されることにより、粒子がシート凹部912の外部へと飛び出してしまうことを抑制または防止することができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置について説明する。図12は、第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置1aを示す図である。吸収シート製造装置1aでは、図1中の第1ローラ31が省略され、第2ローラ41とは構造が異なる第2ローラ41bが供給シリンダ21の鉛直下方に配置される。その他の構成は、図1中の吸収シート製造装置1とほぼ同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0055】
図12に示すように、収容ローラである第2ローラ41bは、第2回転軸R2がシリンダ回転軸R0の鉛直下方に位置するように配置される。第2ローラ41bは、供給シリンダ21の供給シリンダ部材215の最下部に第1シート部材91を介して外接する。第1カバー部221は、供給シリンダ21と第2ローラ41bとが最も接近する部位の近傍まで設けられる。供給シリンダ21の供給ピン移動機構217では、供給シリンダ21の最下部におけるシリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離が、他の位置におけるシリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離よりも大きい。また、他の位置におけるシリンダ回転軸R0からカム2172の外縁までの距離は一定である。
【0056】
図13は、第2ローラ41bを拡大して示す断面図であり、第2回転軸R2に垂直な断面を示す。第2ローラ41bは、第2回転軸R2を中心とする略円筒状の収容シリンダ部材415、収容シリンダ部材415の内側に配置される複数の収容ピン416、および、複数の収容ピン416を径方向に進退させる収容ピン移動機構417を備える。収容シリンダ部材415の外側面は、上述の第2ローラ外側面411である。
【0057】
収容シリンダ部材415は、側壁を貫通する複数の収容貫通孔412aを有する。複数の収容貫通孔412aは、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、第2回転軸R2を中心とする周方向に等間隔にて配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の収容貫通孔412aを収容貫通孔列と呼ぶと、収容シリンダ部材415では、3個の供給貫通孔列が設けられる。収容シリンダ部材415の直径は、供給シリンダ部材215の直径に等しく、1つの収容貫通孔列に含まれる収容貫通孔412aの個数は、1つの供給凹部列213に含まれる供給凹部212(図3参照)の個数に等しい。本実施の形態では、各収容貫通孔412aの長手方向に垂直な断面の形状は略円形であるが、収容貫通孔412aの断面は様々な形状(例えば、略矩形)であってよい。収容シリンダ部材415には、1個、2個または4個以上の収容貫通孔列が設けられてもよい。各収容貫通孔列では、複数の収容貫通孔412aは、必ずしも等間隔に配置される必要はない。
【0058】
各収容ピン416の長手方向に垂直な断面は略円形であり、当該断面の直径は、収容貫通孔412aの直径よりも僅かに小さい。複数の収容ピン416はそれぞれ、複数の収容貫通孔412aに進退可能に挿入される。
【0059】
収容ピン移動機構417は、複数の収容ピン416の径方向内側の端部にそれぞれ取り付けられる複数のカムフォロア4171、および、収容シリンダ部材415の内側に配置される略円形のカム4172を備える。カム4172は回転しないように固定されており、複数のカムフォロア4171はカム4172に外接する。第2回転軸R2からカム4172の外縁までの距離は、第2ローラ41bと供給シリンダ部材215とが外接する位置である収容シリンダ部材415の最上部から、第2ローラ41bの回転方向(図13中における時計回り)に沿って、第2ローラ41bと第3ローラ51とが外接する位置である図13中の右側の端部に至る領域(以下、「収容領域」という。)において、他の領域よりも小さい。
【0060】
第2ローラ41bでは、収容領域において、収容ピン416の径方向外側を向く先端が、第2ローラ外側面411よりも径方向内側に位置することにより収容凹部412が形成され、収容ピン416の先端が収容凹部412の底部となる。また、収容領域以外の領域では、収容ピン416の先端は、第2ローラ外側面411におよそ等しい位置に位置する。
【0061】
吸収シート製造装置1aにより吸収シートが製造される際には、図14に示すように、供給シリンダ21が回転することにより、複数の供給凹部212に粒子充填部23から粒子が順次充填される。第2ローラ41bは、供給シリンダ部材215と収容シリンダ部材415とが第1シート部材91を介して外接する位置において収容凹部412と供給凹部212とを対向させつつ回転する。以下の説明では、当該位置を、「凹部対向位置」という。
【0062】
吸収シート製造装置1aでは、供給シリンダ21および第2ローラ41bの回転により第1シート部材91が搬送され、供給ピン移動機構217および収容ピン移動機構417により、凹部対向位置において供給ピン216が径方向外側へと移動されるとともに収容ピン416が径方向内側へと移動される。供給ピン216の先端は、シリンダ外側面211よりも径方向外側まで突出する。収容ピン416の先端は、第2ローラ外側面411よりも径方向内側に位置し、収容凹部412が形成される。供給凹部212内の粒子は、供給ピン216により第1シート部材91に向けて押し出され、第1シート部材91と共に、対向する収容凹部412内へと押し込まれる。これにより、第1シート部材91にシート凹部912が形成され、シート凹部912は収容凹部412に収容される。
【0063】
供給ピン216は、凹部対向位置から離れるに従って径方向内側へと移動し、供給ピン216の先端はシリンダ外側面211よりも径方向内側に位置する。また、収容ピン416は径方向に移動されず、シート凹部912が収容された収容凹部412が、第3ローラ51に対向する位置まで移動する。第2ローラ41b上の第1シート部材91には、接着剤が塗布された第2シート部材92が重ねられ、第2ローラ41bと第3ローラ51との間に挟まれることにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。また、第1シート部材91と第2シート部材92とは、補助接合部62(図12参照)においてさらに強固に接合され、図10に示す吸収シート95が形成される。
【0064】
以上に説明したように、吸収シート製造装置1aでは、第1の実施の形態と同様に、供給ピン216により供給凹部212内の粒子を第1シート部材91に向けて押し出すことにより、粒子が供給凹部212の内面に付着して残留してしまうことを抑制または防止することができ、供給凹部212から第1シート部材91上に粒子を確実に供給することができる。また、凹部対向位置において粒子を第1シート部材91と共に第2ローラ41bの収容凹部412内へと押し込むことにより、第1シート部材91に容易にシート凹部912を形成することができる。また、シート凹部912に粒子を保持させることにより、ドット状に配置された複数の粒子存在領域951を有する吸収シート95を容易に形成することができる。
【0065】
吸収シート製造装置1aでは、第2ローラ41bを供給シリンダ部材215の最下部に対向させ、供給シリンダ部材215と第1シート部材91との接触による第1シート部材91への粒子の供給と、供給ピン216による粒子の押し出しおよびシート凹部912の形成とがほぼ同時に行われる。これにより、第1ローラ31を省略して吸収シート製造装置1aを小型化することができる。
【0066】
吸収シート製造装置1aでは、第2ローラ41bが、収容シリンダ部材415、複数の収容ピン416および収容ピン移動機構417を備える構造とされることにより、凹部対向位置における供給ピン216の突出量が変更された場合であっても、当該突出量に合わせて収容凹部412の深さを変更することができる。また、第2ローラ41bでは、カム4172および複数のカムフォロア4171を利用することにより、複数の収容ピン416を径方向に進退させる収容ピン移動機構417を容易に実現することができる。さらに、カム4172を形状が異なる他のカムに交換したり、収容ピン416を長さが異なる他の収容ピンに交換することにより、収容凹部412の容量を容易に変更することができる。このため、供給シリンダ21において供給凹部212の容量の変更が行われた場合であっても、変更後の供給凹部212の容量、すなわち、収容凹部412に収容されるシート凹部912内の粒子の量に、収容凹部412の容量を容易に対応させることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0068】
例えば、シート接合部40では、第2ローラ41,41a,41bにも、第2ローラ外側面411を加熱するヒータが設けられてよい。また、第2ローラ41,41a,41bにヒータが設けられ、第3ローラ51からヒータ514が省略されてもよい。ただし、第2ローラ41aのように吸引が行われる場合には、吸引による熱損失を避けるために、第3ローラ51にヒータ514が設けられることが好ましい。
【0069】
シート接合部40では、第2ローラ41,41a,41b上において、第1シート部材91と第2シート部材92とがホットメルト接着剤等を介して重ね合わされて仮接合されてもよい。この場合、第1シート部材91と第2シート部材92との接合は、第2ローラ41,41a,41bから離れた位置にて行われる。
【0070】
図11に示す第2ローラ41aでは、吸引口414が複数の収容凹部412内にのみ設けられてもよい。また、第2ローラ41aでは、必ずしも、第2ローラ外側面411に複数の収容凹部412が設けられる必要はなく、複数の吸引口414のみが設けられてもよい。この場合であっても、第2ローラ41aが、吸引口群414aと供給凹部212とを対向させつつ回転し、吸引部418が、第1シート部材91上にドット状に供給された粒子を、第2ローラ41aの内側から吸引口414および第1シート部材91を介して吸着することにより、第1シート部材91上の粒子の配置を維持することができる。その結果、粒子がドット状に配置された吸収シートを容易に製造することができる。吸収シート製造装置では、第1シート部材91上にドット状に供給された粒子の配置を維持することが可能であるならば、第2ローラの第2ローラ外側面411には、収容凹部412および吸引口414は設けられなくてもよい。
【0071】
供給シリンダ21の供給ピン移動機構217は、必ずしも、カム2172と複数のカムフォロア2171とを有する構造である必要はなく、他の様々な構造であってもよい。第2ローラ41bの収容ピン移動機構417においても同様である。
【0072】
上述の吸収シート製造装置では、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、または、ポリアミノ酸の架橋体等の吸収材料の粒子が供給される。
【0073】
吸収シート製造装置の構造は、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ等の消臭材料の粒子を第1シート部材91上に供給して、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である消臭シートを製造する吸収性物品用シート部材製造装置に利用されてもよい。
【0074】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1a 吸収シート製造装置
21 供給シリンダ
23 粒子充填部
40 シート接合部
41,41a,41b 第2ローラ
51 第3ローラ
71 シート搬送ローラ
91 第1シート部材
92 第2シート部材
211 シリンダ外側面
212,212b 供給凹部
212a 供給貫通孔
215 供給シリンダ部材
216 供給ピン
217 供給ピン移動機構
221 第1カバー部
232 粒子充填口
411 第2ローラ外側面
412 収容凹部
412a 収容貫通孔
414 吸引口
414a 吸引口群
415 収容シリンダ部材
416 収容ピン
417 収容ピン移動機構
418 吸引部
2171 カムフォロア
2172 カム
R0 シリンダ回転軸
R2 第2回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用シート部材製造装置であって、
シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シリンダ外側面の下部と連続シートである第1シート部材とを接触させて、前記複数の供給凹部から前記第1シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、
前記複数の供給凹部に粒子を順次充填する粒子充填部と、
前記供給シリンダにより前記第1シート部材上に供給された粒子上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部と、
を備え、
前記供給シリンダが、
前記シリンダ回転軸を中心とする略円筒状であり、外側面が前記シリンダ外側面であり、周方向に配列された複数の供給貫通孔が設けられた供給シリンダ部材と、
前記複数の供給貫通孔に挿入され、それぞれの径方向外側を向く先端が前記シリンダ外側面よりも径方向内側に位置することにより前記複数の供給凹部の底部となる複数の供給ピンと、
前記シリンダ外側面の前記下部において、供給ピンを径方向外側に移動させることにより、粒子を前記第1シート部材に向けて押し出す供給ピン移動機構と、
を備え、
前記シート接合部が、
前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダ部材に外接し、前記シリンダ回転軸に平行なローラ回転軸を中心として回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面からローラ外側面へと移すローラと、
前記第2シート部材を前記ローラ外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部と、
前記ローラ上にて、または、前記ローラから離れた位置にて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合する接合部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記ローラが、前記ローラ外側面に周方向に配列された複数の収容凹部を有し、収容凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、
前記供給ピン移動機構が、供給凹部と収容凹部とが対向する対向位置にて供給ピンを径方向外側に移動させ、粒子を前記第1シート部材と共に前記収容凹部内へと押し込むことを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記ローラが、
前記ローラ回転軸を中心とする略円筒状であり、外側面が前記ローラ外側面であり、周方向に配列された複数の収容貫通孔が設けられた収容シリンダ部材と、
前記複数の収容貫通孔に挿入される複数の収容ピンと、
前記対向位置において、収容ピンの径方向外側を向く先端を前記ローラ外側面から径方向内側に移動させることにより、前記先端を収容凹部の底部とする収容ピン移動機構と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記ローラが、前記ローラ外側面に周方向に配列された複数の吸引口を有し、吸引口と供給凹部とを対向させつつ回転し、
前記シート接合部が、前記ローラの内側から前記吸引口および前記第1シート部材を介して粒子を吸着する吸引部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記ローラが、それぞれの内部に前記複数の吸引口が設けられる複数の収容凹部を有し、収容凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、
前記供給ピン移動機構が、供給凹部と収容凹部とが対向する対向位置にて供給ピンを径方向外側に移動させ、粒子を前記第1シート部材と共に前記収容凹部内へと押し込むことを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記供給ピン移動機構が、
前記複数の供給ピンにそれぞれ取り付けられる複数のカムフォロアと、
前記供給シリンダ部材の内側にて前記複数のカムフォロアに接するカムと、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記粒子充填部が、前記供給シリンダの上方にて粒子を収容し、前記シリンダ外側面に対向する粒子充填口において、前記複数の供給凹部に粒子を順次充填し、
前記粒子充填口から前記供給シリンダの回転方向へと広がって前記シリンダ外側面の一部を覆うカバー部により、粒子が充填された供給凹部の外側が塞がれることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−39181(P2013−39181A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176762(P2011−176762)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】