説明

吸収性物品

【課題】ユーザーに感情的な効果を与え、苦痛や不便さを伴うことなくユーザーの憂鬱な気分を軽減する吸収性物品を提供する。
【解決手段】身体に接触する層と、衣類に接触する層と、身体に接触する層と衣類に接触する層との間に配置されたコア縁部を有する吸収性コアであって、コア縁部がコア縁部内のコア領域を画定し、身体に接触する層がコア領域内における衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックを有し、身体に接触する層の衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックが身体に接触する層を通して見えるような光透過率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品に関する。より詳細には、本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、及び失禁パッド等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー及び失禁パッドなどの吸収性物品は、典型的には下着の股領域に装着されるデバイスである。より詳細には、例えば生理用ナプキン及びパンティライナーは、女性によってパンティ内に装着され、通常は着用者の脚の間で会陰部に隣接して配置される。生理用ナプキン及びパンティライナーは、女性の身体からの体液又は排泄物(例えば、尿及び経血)を吸収及び保持し、身体及び衣服が汚れるのを防止するように設計される。現在、女性は体液を採集するために、多種多様な形状及び寸法の生理用ナプキン及びパンティライナーを使用している。
【0003】
月経周期は女性にとって非常に煩わしく、ほぼ全ての女性がこの周期中憂鬱な気分になる。従来の生理用ナプキンの色は、清潔な外観を呈するべく、白色又は明色の単純な組み合わせである。その外観のため、かかる生理用ナプキンは、通常、女性の感情に影響を及ぼさない。即ち、それらは、月経周期中の女性の憂鬱な気分を軽減するか、又は変化させる助けにはならない。
【0004】
日本国実用新案登録第3021237号は、身体に接触する表面及び衣類に接触する表面の両方に色又は模様を付したウィング付きの生理用ナプキンを開示している。この公報は、下着の色又は模様に似た生理用ナプキンの色又は模様を使用することにより、生理用ナプキンの使用を外側から他人に容易に悟られないということを教示している。しかしながら、この公報は、実際に製造できる生理用ナプキンの具体的な構造についても、月経周期における女性の気分に影響を及ぼし得るデザインについても言及していない。それは、この公報が単に生理用ナプキンと下着の色又は模様の類似性に重点を置いているだけであり、生理用ナプキンのデザインにより月経周期中の女性の憂鬱な気分を改善することに対する必要性を認識していないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ユーザに感情的な効果を与え、従って苦痛や不便さを伴うことなくユーザの憂鬱な気分を軽減することができる吸収性物品に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸収性物品は、身体に接触する層と、衣類に接触する層と、前記身体に接触する層と前記衣類に接触する層との間に配置された、コア縁部を有する吸収性コアであって、前記コア縁部が、前記コア縁部内のコア領域を画定する吸収性コアと、を含み、前記身体に接触する層が、前記コア領域内における衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックを有し、前記身体に接触する層が、前記身体に接触する層の前記衣類に面する表面上に印刷された前記グラフィックが前記身体に接触する層を通して見えるような光透過率を有することを特徴とする。
【0007】
また、好ましくは、前記身体に接触する層の前記光透過率が10〜100%である。
【0008】
また、好ましくは、前記身体に接触する層の前記光透過率が45〜100%である。
【0009】
また、好ましくは、前記グラフィックは、図若しくは線、記号若しくは文字、又は少なくとも2つの色の差若しくは変化などにより構成されるイメージ又はデザインである。
【0010】
また、好ましくは、前記身体に接触する層が液体透過性トップシート層を含む。
【0011】
また、好ましくは、前記液体透過性トップシート層が孔あき成形フィルムである。
【0012】
また、好ましくは、前記コア縁部はさらに前記コア領域の外側の外側領域を画定し、前記身体に接触する層及び前記衣類に接触する層は、前記外側領域まで外方に延在し且つ前記外側領域で互いに接合されている。
【0013】
また、好ましくは、前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、又は失禁パッドである。
【0014】
前述の事項は、ユーザに感情的な効果を与え、従って苦痛や不便さを伴うことなくユーザの憂鬱な気分を軽減することができる吸収性物品に対する必要性に応じる。
【0015】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を読むことにより当業者には明らかとなるであろう。
【0016】
また、本発明の一参考例は、好ましくは生理用ナプキン又はパンティライナーである吸収性物品に関し、この吸収性物品は、身体に接触する層と、衣類に接触する層と、この身体に接触する層と衣類に接触する層との間に配置された吸収性コアとを含む。吸収性コアは、コア縁部を有する。コア縁部は、コア縁部内のコア領域と、コア領域の外側の外側領域とを画定する。身体に接触する層及び衣類に接触する層は、外側領域まで外方へ延在し、外側領域内で共に接合される。
【0017】
本発明の上記参考例の1つの態様において、衣類に接触する層は、少なくとも外側領域の一部における身体に面する表面上に印刷されたグラフィックを有する。
【0018】
本発明の上記参考例の別の態様において、身体に接触する層は、少なくとも外側領域の一部における衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックを有する。
【0019】
身体に接触する層は、グラフィックが外側領域における身体に接触する層を通して見えるような第一の光透過率を有する。
【0020】
本発明の上記参考例の第1例による吸収性物品は、身体に接触する層と、衣類に接触する層と、前記身体に接触する層と前記衣類に接触する層との間に配置された、コア縁部を有する吸収性コアとを含み、前記コア縁部が、前記コア縁部内のコア領域と、前記コア領域の外側の外側領域とを画定し、前記身体に接触する層及び前記衣類に接触する層が、前記外側領域まで外方へ延在し、前記外側領域内で共に接合され、前記衣類に接触する層が、少なくとも前記外側領域の一部における身体に面する表面上に印刷されたグラフィックを有し、前記身体に接触する層が、前記衣類に接触する層の前記身体に面する表面上に印刷された前記グラフィックが前記外側領域における前記身体に接触する層を通して見えるような第一の光透過率を有する。
【0021】
本発明の上記参考例の第2例による吸収性物品は、身体に接触する層と、衣類に接触する層と、前記身体に接触する層と前記衣類に接触する層との間に配置された、コア縁部を有する吸収性コアとを含み、前記コア縁部が、前記コア縁部内のコア領域と、前記コア領域の外側の外側領域とを画定し、前記身体に接触する層及び前記衣類に接触する層が、前記外側領域まで外方へ延在し、前記外側領域内で共に接合され、前記身体に接触する層が、少なくとも前記外側領域の一部における衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックを有し、前記身体に接触する層が、前記身体に接触する層の前記衣類に面する表面上に印刷された前記グラフィックが前記外側領域における前記身体に接触する層を通して見えるような第一の光透過率を有する。
【0022】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記衣類に接触する層が、前記身体に面する表面上のグラフィックが前記衣類に接触する層を通して見えるような第二の光透過率を有する。
【0023】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記第一の光透過率が少なくとも約10%である。
【0024】
また、好ましくは、前記第二の光透過率が少なくとも約10%である。
【0025】
また、好ましくは、前記第一の光透過率と前記第二の光透過率との差が約70%未満である。
【0026】
また、好ましくは、前記第一の光透過率と前記第二の光透過率との差が約10%よりも大きい。
【0027】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記外側領域と前記コア領域とのハンターLab全色差が約0.5〜73である。
【0028】
上記第2例において、好ましくは、前記身体に接触する層が、前記コア領域に配置される液体透過性トップシート層と前記外側領域に配置されるグラフィック保護層とを含み、前記グラフィック保護層が、前記衣類に面する表面上に印刷された前記グラフィックを有し、前記グラフィック保護層が、前記グラフィック保護層の前記衣類に面する表面上に印刷された前記グラフィックが前記外側領域における前記グラフィック保護層を通して見えるような第一の光透過率を有する。
【0029】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記吸収性コアの前記コア縁部が、長手方向側縁部と横方向末端縁部とを含み、前記外側領域が、前記吸収性コアの前記長手方向側縁部の外側に配置される。
【0030】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記吸収性コアの前記コア縁部が、長手方向側縁部と横方向末端縁部とを含み、前記外側領域が、前記吸収性コアの前記横方向末端縁部の外側に配置される。
【0031】
また、好ましくは、前記身体に接触する層及び前記衣類に接触する層が、前記外側領域まで外方へ延在し、フラップ(即ち、ウィング)を形成する。
【0032】
上記第1例において、好ましくは、前記身体に接触する層が、前記コア領域に配置される液体透過性トップシート層と、前記外側領域に配置されるグラフィック保護層とを含む。
【0033】
上記第1又は第2例において、好ましくは、前記グラフィック保護層が、前記トップシート層で排出された体液がそこから逃げるのを防ぐために疎水性質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
全ての引例は、完全な形で参考として本明細書に組み込まれる。いかなる引例の引用も、特許請求した発明の従来技術としての有用性についての限定に関する容認ではない。
【0035】
本明細書において、「含む」及び「包含する」は、最終結果に影響を与えない他の要素及び/又は工程を付加できることを意味する。これらの用語はそれぞれ、「からなる」及び「から本質的になる」を包含する。
【0036】
本明細書において、「吸収性物品」は、体液などの身体浸出物又は排泄物を吸収し、封入する物品を指し、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ及び失禁パッド(及び衣類の股領域に装着される他の物品)を含むことを意図する。
【0037】
本明細書において、「使い捨て」は、一回使用した後に廃棄したり、堆肥にしたり、又はさもなければ環境に適合した方法で処分することを意図する物品を指す。(即ち、洗濯したり、別の方法で復元したり、又は吸収性物品として再使用することを意図していない。)
本明細書において、用語「生理用ナプキン」は、女性が外陰部に隣接して着用する物品であって、身体から排泄される種々の浸出物(例えば、血液、経血及び尿)を吸収し、封入することを意図する物品を指す。
【0038】
本明細書において、「接合する」は、ある要素を別の要素に直接的に取り付けることによって、前記要素を別の要素に直接的に固定する構成;前記要素を中間部材に取り付け、次いで、その中間部材を別の要素に取り付けることによって、前記要素を別の要素に間接的に固定する構成;及びある要素が別の要素と一体になる構成、即ちある要素が本質的には別の要素の一部になっている構成を包含する。
【0039】
本明細書において、「身体に面する表面」は、着用者の身体に面する吸収性物品及び/又はそれらの構成要素部材の表面を指し、一方、用語「衣類に面する表面」は、吸収性物品を着用したときに着用者から離れて面する吸収性物品及び/又はそれらの構成要素部材の対向表面を指す。トップシートと、バックシートと、吸収性コアとを含む吸収性物品及びそれらの構成要素と、それら構成要素の個々の層とは、身体に面する表面と衣類に面する表面とを有する。
【0040】
本明細書において、「グラフィック」は、図(即ち、一以上の線)、記号若しくは文字、又は少なくとも2つの色の差若しくは変化などにより構成されるイメージ又はデザインを指す。グラフィックは、好ましくは、ユーザが本発明の吸収性物品を見るか又は眺めるときに、感情的な効果を与え得る美観的なイメージ又はデザインを有する。かかる感情的な効果としては、リラックスした感情、幸せな又は楽しい感情、元気が出る感情などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい美観的なイメージ又はデザインとしては、花(例えば、タンポポ)などの植物、猫などのかわいい動物、マンガのキャラクター、雪だるまや風景などの季節のもの又は商品が挙げられるが、これらに限定されない。グラフィックは、美観的なイメージ以外のデザイン又は情報、例えば、吸収性物品のサイズに関する使用情報、吸収性物品の前/後の表示などを更に含んでもよい。
【0041】
明細書の結論は、本発明を形成すると見なされる主題を特に指摘し、明確に請求している請求項に示されているが、本発明は、添付図面と共に示す以下の説明により更に理解できるであろうと考えられる。
【0042】
図1は、本発明の1つの好ましい実施形態である生理用ナプキン20(即ち、使い捨て吸収性物品)の上面図である。図1を参照すると、生理用ナプキン20(及びその構成要素部材)は、身体に面する表面22と、この身体に面する表面22に対向する衣類に面する表面24とを有する。図1に示す生理用ナプキン20は、身体に面する表面22側から見たものである。生理用ナプキン20は、生理用ナプキン20の最外縁部を画定する周辺縁部29を有する。
【0043】
生理用ナプキン20は、長手方向中心線Lと、横断方向中心線Tとの2つの中心線を有する。本明細書において、「長手方向」は、生理用ナプキン20を着用したときに、直立した着用者の身体を左右に二等分する垂直平面とほぼ一直線に並ぶ(即ち、ほぼ平行な)生理用ナプキン20の平面内の線、軸又は方向を指す。本明細書において、「横断方向」又は「横方向」は互換性があり、長手方向にほぼ垂直な生理用ナプキン20の平面内の線、軸又は方向を指す。
【0044】
図2は、図1に示す生理用ナプキン20を線2−2に沿って切断した断面図である。生理用ナプキン20は、3つの主要な構成要素を含む。これらは、身体に接触する層30(典型的には、液体透過性トップシートとして知られている)、衣類に接触する層40(典型的には、液体不透過性バックシートとして知られている)、及び身体に接触する層30と衣類に接触する層40との間に配置される吸収性コア50を含む。身体に接触する層30の上面は、生理用ナプキン20の身体に面する表面22を形成し、一方、衣類に接触する層40の底面は、生理用ナプキン20の衣類に面する表面24を形成する。
【0045】
図1に示すように、吸収性コア50は、好ましくは長手方向側縁部52と横方向末端縁部54とを含むコア縁部51を有する。コア縁部51は、コア縁部51内のコア領域25と、生理用ナプキン20のコア領域25の外側且つ周辺縁部29の内側の外側領域26とを画定する。本体部分55は、生理用ナプキン20のこれら3つの主要な構成要素30、40及び50によって、コア領域25内に構成される。
【0046】
吸収性コア50は、多種多様な大きさ及び形状で製造されてもよい。従って、吸収性コア50のコア縁部51は、その上面図でいかなる形状を取ることもできる。コア縁部51の好ましい形状としては、楕円形、矩形、砂時計形、及び図1に示すもののような楕円形と矩形の組み合わせが挙げられる。
【0047】
身体に接触する層30及び衣類に接触する層40は、外側領域26の中まで外方へ延在する。これら2つの層30及び40は、好ましくは、長手方向及び横断方向の両方に延在し、生理用ナプキン20の周辺縁部29に達する。これら2つの層30及び40は、外側領域26内で共に接合される。これら2つの層30及び40を、当該技術分野において既知のいかなる手段(例えば、接着剤)でも接合させることができる。しかしながら、かかる手段は、身体に接触する層30(及び好ましくは衣類に接触する層40)の光透過率(後述する)に大きな影響を及ぼすべきではない。好ましくは、身体に接触する層30及び衣類に接触する層40のこれらの部分は、吸収性コア50のコア縁部52を超えて延在する実質的に全体部分で接着剤(図面には示さず)を用いて接合される。好ましい実施形態において、身体に接触する層30及び衣類に接触する層40は、クリンプ封止を形成すべく、外側領域26への圧力又は熱と圧力の印加により高密度化される。
【0048】
図3は、本発明の別の好ましい実施形態である生理用ナプキン21の上面図である。図3を参照すると、生理用ナプキン21は、基本的には、身体に接触する層30を除いて、図1に示す生理用ナプキン20の構造と同様の構造を有する。具体的に、図1に示す生理用ナプキン20と比較すると、生理用ナプキン21は、コア領域25に配置された液体透過性トップシート層32と、外側領域26に配置されたグラフィック保護層34とを含む身体に接触する層30’を有する。
【0049】
図4は、図3に示す生理用ナプキン21を線4−4に沿って切断した断面図である。図4を参照すると、トップシート層32は、吸収性コア50の身体に面する表面22を被覆すべく、主にコア領域25に配置される。トップシート層32は、コア縁部52を超えて、僅かに外側領域26の中まで横断方向に延在する。トップシート層32は、外側領域26で終端する長手方向側縁部33を有する。グラフィック保護層34は、主に外側領域26に配置される。グラフィック保護層34は、外側領域26におけるトップシート層32の長手方向側縁部33を覆い、生理用ナプキン21の周辺縁部29まで外方へ延在する。グラフィック保護層34は、コア領域25内の吸収性コア50上で始まる長手方向内側縁部35を有する。
【0050】
この実施形態において、身体に接触する層30’(即ち、トップシート層32及びグラフィック保護層34)には2つの異なる材料を使用することができるので、(図1に示す生理用ナプキン20と比較すると)2つの材料に関してより好適な選択を行うことができる。例えば、外側領域26内のグラフィック保護層34には、好適な光透過率を有する材料を選択することができ、一方、コア領域25内のトップシート層32には、好適な液体透過性を有する別の材料を選択することができる。身体に接触する層30に対する両要件(例えば、適当な光透過率及び液体透過性)を満たし得る1つの材料を見出すことは必ずしも容易なことではないので、これは有益である。
【0051】
衣類に接触する層40は、少なくとも外側領域26の一部における身体に面する表面22上に印刷されたグラフィック65を有する。好ましくは、グラフィック65は、少なくとも外側領域26の全領域に印刷されている。更に好ましくは、製造し易くするために、グラフィック65は、図2に示すように、衣類に接触する層40の身体に面する表面22全体に印刷されており、同図において、グラフィック65は、衣類に接触する層40の身体に面する表面22上のグラフィック層(又は印刷された層)60として示されている。この実施形態において、衣類に接触する層40は、身体に面する表面22上にグラフィック層60を含む。
【0052】
グラフィック層60は、印刷されたインク層のみか、その一方の表面上にインクが印刷された基材層のいずれかによって形成されてもよい。1つの好ましい実施形態において、グラフィック層60は、衣類に接触する層40の身体に面する表面22上に配置される印刷されたインク層のみによって形成される。代替的な好ましい実施形態において、グラフィック層60は、基材層の身体に面する表面22上にインクが印刷された基材層によって形成される。この実施形態において、インクが印刷された基材層は、衣類に接触する層40の一部である。
【0053】
より具体的には、衣類に接触する層40は、積層体を形成すべく、少なくとも外側領域26に、好ましくは接着剤(又は圧力若しくは熱と圧力の印加)により共に接合される2つ(又はそれ以上)の材料層を含んでもよい。1つの実施形態において、衣類に接触する層40は、図2及び図4に示すように、グラフィック層60(又はグラフィック65のための基材層)と液体不透過性層42との2つの層材料を含む。グラフィック65が印刷されたグラフィック層60は、少なくとも外側領域26、好ましくは、図2及び図4に示すように、コア領域25及び外側領域26の両方における液体不透過性層42の身体に面する表面22上に配置される。グラフィック層60の好ましい材料としては、グラフィック65がその身体に面する表面22上に印刷される薄いプラスチックフィルム、不織布ウェブ及びティッシュが挙げられるが、これらに限定されない。グラフィック層60は、少なくとも外側領域26、好ましくはコア領域25及び外側領域26の両方に配置される(当該実施形態では、液体不透過性層42の身体に面する表面22全体は、グラフィック層60で被覆されている)。
【0054】
1つの代替実施形態において、グラフィック65は、少なくとも外側領域26の一部における身体に接触する層30の衣類に面する表面24上に印刷されている(図面には示さず)。所望であれば、かかるグラフィックを、コア領域25及び外側領域26の両方における身体に接触する層30の衣類に面する表面24上に印刷することができる(図面には示さず)。好ましい実施形態において、グラフィック保護層34は、衣類に面する表面24上に印刷されたグラフィック65(又はグラフィック層)を有する(図面には示さず)。
【0055】
これらの実施形態において、グラフィック65は、身体に接触する層30と衣類に接触する層40との間に配置される(及びそれらに被覆されている)ので、印刷されたグラフィック65は、着用者の皮膚及び下着には直接接触しない。グラフィック65のインクが皮膚又は下着により直接擦られず、従って、インクの除去(及び他の部分へのインクの付着)を防止し得るので、これは有益である。
【0056】
グラフィック65を、当該技術分野で既知のいかなる従来の印刷方法又は手法によっても印刷することができ、この方法又は手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、グラフィック65は、グラビア印刷によって、(図2及び図4に示すように)衣類に接触する層40の身体に面する表面22全体に印刷されている。
【0057】
身体に接触する層30(又は図3及び図4に示す実施形態ではグラフィック保護層34)は、衣類に接触する層40の身体に面する表面22(又はグラフィック保護層34の衣類に面する表面24)上に印刷されたグラフィック65が、外側領域26における身体に接触する層30を通して見えるような第一の光透過率(LT1)を有する。(図1において、衣類に接触する層40を通して見えるグラフィック65は、点線で示されている。)月経周期中の女性の気分に効果的に影響を及ぼすべく、身体に接触する層30に使用する材料は、外側領域26において適当な範囲の光透過率を有する必要がある。好ましい実施形態において、外側領域26における身体に接触する層30の第一の光透過率(LT1)は、少なくとも約10%、好ましくは約45%(即ち、約45〜100%の範囲内)、及びより好ましくは約85%(即ち、約85〜100%の範囲内)である。更に、コア領域25における身体に接触する層30の第一の光透過率(LT1)は、好ましくは約80%未満、より好ましくは約70%未満である。これは、コア領域25に吸収された体液が身体に接触する層30を通して見えるのを防止するのに好ましい。
【0058】
ユーザ(即ち、女性)は、少なくとも身体に接触する層30(又は、図3及び図4に示す実施形態ではグラフィック保護層34)を通してグラフィック65を見ることができるので、生理用ナプキン20は、使用前に女性に感情的な効果を与え、従って女性の憂鬱な気分を軽減することができる。
【0059】
更に、衣類に接触する層40は、好ましくは、身体に面する表面22上(又はグラフィック保護層34の衣類に面する表面24上)のグラフィック65がまた衣類に接触する層40を通して見えるような第二の光透過率(LT2)を有する。月経周期中の女性の気分に更に効果的に影響を及ぼすべく、衣類に接触する層40に使用される材料は、適当な範囲の光透過率を有する必要がある。好ましい実施形態において、第二の光透過率(LT2)は、少なくとも約10%、好ましくは約45%(即ち、約45〜100%の範囲内)、及びより好ましくは約85%(即ち、約85〜100%の範囲内)である。
【0060】
この実施形態において、ユーザは、衣類に接触する層40を通してグラフィック65を更に見ることができるので、生理用ナプキン20は、女性に感情的な効果を更に与え、従って、女性の憂鬱な気分を軽減することができる。
【0061】
1つの好ましい実施形態において、第一の光透過率と第二の光透過率(LT1及びLT2)との差は、約70%未満、好ましくは約50%未満、及びより好ましくは約10%未満である。身体に接触する層30及び衣類に接触する層40に対して同様の光透過率を有する材料を使用することにより、グラフィック65は、身体に接触する層30及び衣類に接触する層40の両方を通して同様に(即ち、同様の程度又は鮮明度で)見える。この類似性は、ユーザがグラフィック65を自然に見ることができるので好ましい。
【0062】
あるいは、所望であれば、第一の光透過率及び第二の光透過率(LT1及びLT2)の差は、約10%よりも大きく、好ましくは約50%よりも大きく、及びより好ましくは約70%よりも大きくてもよい。
【0063】
好ましい実施形態において、生理用ナプキン20の外側領域とコア領域とのハンター少なくともLab全色差(HLTCD)は、約0.5〜73、好ましくは約6〜65、より好ましくは約9〜55である。
【0064】
HLTCDは、一般に、2つの物体間の色の見え方を示す。人間の目−脳の印象(即ち、人間の視覚)も、HLTCDで考慮される。HLTCDは、身体に接触する層30を通して見えるべきグラフィック65の可視性を適当な範囲に維持しつつ、女性の感情を効果的に安定させるべく、上記範囲内にあるのが好ましい。
【0065】
光透過率(LT1及びLT2)及びHLTCDを測定する好ましい方法は、「試験方法」の章に記載されている。
【0066】
身体に接触する層30及び30’は、対応性があって、柔らかな感触であり、且つ着用者の皮膚を刺激しないのが好ましい。更に、身体に接触する層30(又は図3及び図4に示す実施形態ではトップシート層32)は、液体透過性又は浸透性であり、体液(例えば、経血及び/又は尿)が容易にその厚さを貫通することができる。身体に接触する層に適する液体透過性材料は、織布材又は不織布材(例えば、繊維の不織布ウェブ);孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどの、高分子材料;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;及び熱可塑性スクリムなどの多種多様な材料から製造されてもよい。好適な織布材及び不織布材は、天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、又はポリエチレン繊維のような、高分子繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせからなることができる。身体に接触する層30が不織布ウェブを含むとき、そのウェブは、多数の既知の手法により製造されてもよい。例えば、ウェブは、スパンボンドされたり、毛羽立てられたり、湿式載置されたり、メルトブロウンされたり、水流交絡されたり、又は上記の組み合わせを施されてもよい。
【0067】
開示された生理用ナプキンで使用するのに特に好適な身体に接触する層としては、孔あき成形フィルムが挙げられる。孔あき成形フィルムは、体液に対して透過性であり、適当に孔があいていれば、液体が逆流して着用者の皮膚を再度濡らすという可能性が少ないので、身体に接触する層30に好ましい。従って、成形フィルムの身体に面する表面(即ち、生理用ナプキンの身体に面する表面22)は乾燥したままであり、これにより身体汚れが減少し、着用者にとって更に心地よい感触となる。
【0068】
好ましくは、身体に接触する層30の身体に面する表面22は、液体が身体に接触する層30を通ってより容易に移動するように、少なくともコア領域25において親水性である。身体に接触する層が疎水性材料で作られる場合、少なくとも身体に接触する層30の上面(即ち、身体に面する表面22)は、体液が身体に接触する層30を通ってより迅速に移動するように親水処理される。これは、経血が吸収性コアに流れ込んで吸収されずに、身体に接触する層から流れ落ちる可能性を低減する。身体に接触する層30の身体に面する表面22は、界面活性剤で処理することによって親水性となり得る。身体に接触する層30に好ましい材料は、巨視的に伸張された三次元成形ポリエチレンフィルムである。身体に接触する層30に好ましい1つの材料は、米国インディアナ州にあるトレデガーフィルムプロダクツ(Tredegar Film Products)からX−27121のコード番号で入手できる。
【0069】
好ましくは、外側領域26における身体に接触する層30は、コア領域25に排出された体液がそこを通って(生理用ナプキン20の周辺縁部29に向かって)吐出しないように、疎水性質を有する。これは、毛管力のために、身体に接触する層30を通って生理用ナプキン20の周辺縁部29に向かって吐出する傾向を有する体液で、外側領域26における身体に接触する層30が汚れるのを防止する。従って、このデザインはまた、生理用ナプキン20の周辺縁部29から体液が漏れるのを防止することができる。
【0070】
図3及び図4に示すグラフィック保護層34も、対応性があって、柔らかな感触であり、且つ着用者の皮膚を刺激しないのが好ましい。グラフィック保護層34に好ましい材料としては、不織布ウェブ、織布ウェブ、プラスチックフィルム、コーティング用高分子材料(例えば、シリコーン化合物)などが挙げられる。好適な織布材及び不織布材は、天然繊維、合成繊維、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせからなることができる。グラフィック保護層34は、疎水性又は親水性のいずれでもよい。好ましくは、グラフィック保護層34は、疎水性である。
【0071】
生理用ナプキン20及び21で使用するのに特に好適なグラフィック保護層としては、不織布ウェブが挙げられる。かかるウェブは、スパンボンドされたり、毛羽立てられたり、湿式載置されたり、メルトブロウンされたり、水流交絡されたり、又は上記の組み合わせを施されてもよい。不織布ウェブは、グラフィック65のソフトな可視性(又は、グラフィック65の僅かにぼやけたイメージ)を付与すると共に、皮膚に対して柔らかな手触り、感触及び/又は滑らかさも付与することができるので、グラフィック保護層34に好ましい。
【0072】
好ましくは、グラフィック保護層34は、トップシート層32に排出された体液がそこを通って(生理用ナプキン20の周辺縁部29に向かって)吐出しないように、疎水性質を有する。これは、毛管力のために、グラフィック保護層34を通って生理用ナプキン21の周辺縁部29に向かって吐出する傾向を有する体液で、グラフィック保護層34が汚れるのを防止する。従って、このデザインはまた、生理用ナプキン21の周辺縁部29から体液が漏れるのを防止することができる。グラフィック保護層34に好ましい材料は、シース/コアにポリエチレン/ポリプロピレンを有する2成分繊維により作られた疎水性スパンボンド不織布ウェブであり、これは日本の東京にあるチッソ株式会社(Chisso Corporation)からEB7120のコード番号で入手できる。
【0073】
衣類に接触する層40は、体液に対して不透過性であり、好ましくは、薄いプラスチックフィルムから製造されるが、他の可撓性且つ液体不透過性の材料も使用してもよい。本明細書において、「可撓性」は、対応性があって、人間の身体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。衣類に接触する層40は、吸収性コア50に吸収され、封入された体液がベッドシーツ、ズボン、パジャマ及び下着などの、吸収性物品に接触する物品を濡らすのを防止する。従って、衣類に接触する層40としては、織布材若しくは不織布材、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどの高分子フィルム、又はフィルムコーティング不織布材などの複合材料が挙げられる。
【0074】
衣類に接触する層40は、単層材料、又は二以上の材料層を含むことができる。衣類に接触する層40は、好ましくは、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する。好ましい実施形態において、衣類に接触する層40は、単層のポリエチレンフィルムである。かかる好ましいポリエチレンフィルムは、韓国のキョンブクド(KyungBuk-Do)にあるテドン社(Daedong Co. Ltd.)からDNF−0417Cのコード番号で入手できる。
【0075】
衣類に接触する層40は、好ましくは、吸収性コアから蒸気は逃がす(しばしば、「通気可能なバックシート」と称される)が、体液が衣類に接触する層40を通過することは防止し得る微小多孔性構造を有する。好ましい微小多孔性ポリエチレンフィルムは、日本の東京にある三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemical Corporation)からコード番号NAPで入手できる。衣類に接触する層の大きさは、吸収性コア50の大きさ及び選択される厳密な吸収性物品のデザインにより決定される。
【0076】
衣類に接触する層40は、更に布のような外観を呈するべく、エンボス加工及び/又はマット仕上げされ得る。
【0077】
好ましい実施形態において、生理用ナプキン20は、任意選択的な一対のフラップ(又は、ウィング)44を含み、これらは、図1に示すように、外側領域26における身体に接触する層30及び衣類に接触する層40が横断方向に拡張された部分により形成される。フラップ44は、少なくとも生理用ナプキン20の中央領域から外方へ延在する。これらフラップ44が、外側領域26に形成され、好ましくは、身体に接触する層30を通して見えるグラフィック65を有する(更に、それらが撓み防止として挿入される更なる層を有する)ことに留意すべきである。
【0078】
好ましくは、図1〜図4に示すように、フラップ44は、本体部分55と一体である(即ち、フラップ44は、身体に接触する層30及び衣類に接触する層40が本体部分55から一体に伸張した部分を含む)。他の代替実施形態において、フラップ24を、いかなる好適な方法にても、生理用ナプキン20の本体部分55に接合される別個の部材により形成することができる。フラップ44はそれぞれ、接合部、典型的には長手方向に向けられている(又は「長手方向の」)接合部(図面には示さず)に沿って本体部分55に接合される(又はそれと結合される)。
【0079】
フラップ44は、いかなる好適な構成も可能である。好適なフラップは、1995年2月14日にラバッシュ(Lavash)らに対して発行された米国特許第5,389,094号及び1996年9月24日にウェインバーガー(Weinberger)らに対して発行された米国特許第5,558,663号に記載されている。
【0080】
好ましい実施形態において、獲得層又は第二のトップシート(図面には示さず)が、身体に接触する層30(又は30’)と吸収性コア50との間に追加的に配置される。獲得層は、身体に接触する層30が受け取った、排出された体液を速やかに獲得層の他の部分及び吸収性コア50へと移送するが、この獲得層は、かかる流体が吸収性コア50に吸収され得るまで一時的に流体を保持してもよい。獲得層の分配機能は、吸収性コア50の能力をより十分に利用する上で特に重要である。従って、獲得層は、多種多様な吸収性材料を含んでもよいが、この獲得層は、次の及びそれ以降の流体を効果的に獲得し、分配することができるよう、速やかに流体を移送することができると共に、濡れても崩壊しない繊維性材料を含むのが好ましい。
【0081】
獲得層は、当該技術分野において既知の流体移送機能を有するいかなる材料からも作られ得る。獲得層は、例えば、織布材、不織布材又はティッシュ材からなってもよい。これら材料の繊維及び他の成分は、合成若しくは天然、又は部分的に合成及び部分的に天然であってもよい。好適な合成繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ビスコースレーヨン、又はセルロースアセテート繊維が挙げられる。好適な天然繊維としては、綿、セルロース、又は他の天然繊維が挙げられる。
【0082】
1つの好ましい実施形態において、獲得層は、ドイツのファルケンハーゲン(Falkenhagen)にあるコンセルト社(Concert GmbH)からGH082のコード番号で入手できるエアレイドティッシュ材である。別の好ましい実施形態において、獲得層は、ドイツのアッシャルスレーベン(Aschersleben)にあるBBA/リノテック(BBA/Linotec)からCorolind HDPE T27 AXCのコード番号で入手できるポリエチレンの親水性スパンボンド不織布材である。
【0083】
吸収性コア50は、排出された体液を受け取ったり、吸収したり、又は保持することができる。吸収性コア50は、圧縮可能であって、適合性があり、且つ着用者の皮膚を刺激しないのが好ましい。吸収性コア50は、単一の層材料又は複数の材料層により形成され得る。吸収性コアは、例えば、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプなどの吸収性物品で常用される多種多様な液体吸収性材料のいずれを含んでもよい。吸収性コアで使用される他の好適な吸収性材料の例としては、捲縮セルロース塊;コフォームを含むメルトブローポリマー;化学的に剛化されるか、修飾されるか、又は架橋されたセルロース繊維;けん縮ポリエステル繊維などの合成繊維;ピートモス;ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ;吸収性発泡体;吸収性スポンジ;吸収性ゲル材料;又はいかなる同等の材料若しくはそれら材料の組み合わせ、又はこれらの混合物が挙げられる。1つの好ましい実施形態において、吸収性コアは、エアレイドティッシュ材である。
【0084】
好ましい実施形態において、吸収性コア50は、好ましくは、マルチボンドエアレイド不織布材を含む。この実施形態において、このマルチボンドエアレイド不織布材は、約52%のセルロース繊維、約20%の2成分繊維、約25%の超吸収性ヒドロゲル形成材料(又は吸収性ゲル材料)粒子、及び約3%のラテックス結合剤を含む。吸収性コア50は、好ましくは、吸収性ゲル材料の粒子を含めて、約150g/mの坪量を有する。好ましくは、このマルチボンドエアレイド不織布吸収性コア50は、セルロース及び2成分繊維の3つのストリームを堆積させることにより形成され、吸収性ゲル材料粒子は、繊維の最後のストリームと共に構築され、吸収性コアの底部を形成する。好ましいマルチボンドエアレイド不織布材は、B888.M.150S17のコード番号で、中国の天津(Tianjin)にあるBBA(中国)エアレイド社(BBA (China) Airlaid Co. Ltd.)からロール形状で得られる。
【0085】
好ましい実施形態において、吸収性コア50の衣類に面する表面24は、低光透過率を有する色遮断層(図面には示さず)で被覆される。好ましくは、色遮断層は、吸収性コア50と衣類に接触する層40(図面には示さず)との間に配置される更なる層である。衣類に接触する層40が高い第二の光透過率(LT2)を有する実施形態において、色遮断層の使用が特に好ましいのは、この色遮断層が、吸収性コア50により吸収され、且つ衣類に接触する層40を通してユーザに見られるかもしれない体液を隠すことができるからである。色遮断層のための好ましい材料は、薄いプラスチックフィルム、不織布ウェブ及びティッシュ(又は他の紙材料)を含むが、これらに限定されない。色遮断層のための1つの好ましい材料は、二酸化チタンと混合されるエアレイドティッシュ材である。
【0086】
吸収性コア50は、好ましくは、当該技術分野において周知のものなどの取り付け手段によって知られているような方法にて、身体に接触する層30、衣類に接触する層40、又はその両方と接合される。衣類に接触する層40及び/又は身体に接触する層30は、均一な連続する接着剤層、パターン化された接着剤層、又は接着剤の別個の線、らせん又は点の列によって、吸収性コア50に、又は互いに接合されてもよい。
【0087】
生理用ナプキン20及び21は、一般に、比較的厚い厚さ、中間の厚さ、比較的薄い厚さ、又は更に、非常に薄い(又は「極薄の」)厚さを含むいかなる厚さをも有し得る。好ましくは約3mm未満の厚さを有する、好ましい「極薄」生理用ナプキンが、オズボーン(Osborn)に対して発行された米国特許第4,950,264号及び同第5,009,653号に記載されている。図1〜4に示す生理用ナプキン20及び21の実施形態は、極薄生理用ナプキンの例である。生理用ナプキン20及び21はまた、着用者にとって快適であるように、比較的可撓性であってもよい。
【0088】
特により厚い生理用ナプキンに関する好ましい実施形態において、身体に接触する層30及び吸収性コア50にエンボス加工チャネルを設けることができる。エンボス加工チャネルのパターンは、典型的には、直線及び/又は曲線であり得る連続する線を含む。エンボス加工チャネルは、当該技術分野において既知のいかなるパターンをも有することができる。エンボス加工チャネルの1つの好ましいパターンは、図1において参照番号80及び82により示されている。他の好ましいエンボス加工チャネルは、例えば、1998年8月18日にミズタニ(Mizutani)らに対して発行された米国特許第5,795,345号;2001年5月9日に発行された英国特許第2345449B号;及び1995年3月23日に発行された国際公開第96/07674号に開示されている。
【0089】
更に、又は代替的な好ましい実施形態において、身体に接触する層30は、融着結合(即ち、熱/圧力の印加)によって、吸収性コア50(又は、もし存在するならば第二のトップシート)に接合される。融着結合のパターンとしては、融着結合の一以上の連続する線及び/又は多数の別個の部分が挙げられる。当該技術分野において既知のいかなるパターンを適用することもできる。融着結合の1つの好ましいパターンも、図1において参照番号80及び82によって示されている。
【0090】
融着結合は、熱及び/又は圧力結合、超音波結合、動的機械的結合などによって達成することができる。圧力は、結合されるべき構成要素を二重反転ロール間で移動させたり、アンビル上に材料を置き、その材料の上に圧盤を強制的に下ろしたり、真空圧力を印加したりすることなどによるいかなる好適な方法にても印加することができる。融着結合の好ましいデザインは、2001年5月15日にリナード(Lynard)らに対して発行された米国特許第6,231,555B1号に開示されている。
【0091】
生理用ナプキン20の衣類に面する表面24(又は衣類に接触する層40)は、好ましくは、生理用ナプキン20を着用者の下着に取り付けるための締結具を含む。かかる締結具は、中央パッド締結具70及びフラップ締結具46を含む。中央パッド締結具70は、生理用ナプキン20を下着の股領域に固定すべく適合される。接着締結具及び機械的締結具などの当該技術分野において既知のいかなるタイプの締結具も使用することができる。好ましい中央パッド締結具70は、感圧接着剤である。好ましい実施形態において、中央パッド締結具70は、長手方向中心線Lを中心とし、離間して長手方向に向けられている一対の接着剤の細片又はゾーンを含む(図面には示さず)。
【0092】
フラップ44の末端縁に隣接したフラップ44の衣類に面する表面には、好ましくは、フラップ締結具46が設けられる。フラップ締結具46は、フラップ44が下着の股部分の縁部周りに巻き付けられた後、それらフラップ44を適所に維持するのを助けるのに使用される。好ましいフラップ締結具46は、感圧接着剤である。フラップ44を、下着又は対向するフラップに付着させることにより適所に維持することができる。
【0093】
接着締結具70及び46は、それぞれ、除去可能な剥離ライナー、即ち、中央パッド剥離ライナー72及びフラップ剥離ライナー48により被覆される。これら剥離ライナー72及び48は、使用前に、接着締結具70及び46を保護するために設けられる。それらはまた、使用する前に接着締結具70及び46が外面に貼り付くのを防止する。
【0094】
生理用ナプキン20は、好ましくは、ラッパーシート(図面には示さず)によって包まれている。ラッパーシートは、いかなる好適な材料からも作られることができる。ラッパーシートは、好ましくは、液体不透過性の薄い可撓性材料から製造されており、従って、ラッパーシートは使用済みの生理用ナプキン20を包んで処分するのに適している。好ましいラッパーシート材料としては、ポリエチレンフィルム及び不織布ウェブが挙げられる。生理用ナプキンについての好ましいデザインは、2000年6月13日にミルズ(Mills)に対して発行された米国特許第6,074,376号に開示されている。
【0095】
好ましくは、衣類に接触する層40を通してグラフィック65が見える実施形態において、ラッパーシートは、好ましくは、グラフィック65が衣類に接触する層40及びラッパーシートの両方を通しても見えるような光透過率を有する。グラフィックを効果的に見えるようにするには、ラッパーシートに使用される材料が適当な範囲の光透過率を有する必要がある。好ましい実施形態において、ラッパーシートの光透過率は、少なくとも約10%、好ましくは約45〜100%の範囲内、及びより好ましくは約80〜100%の範囲内である。しかしながら、一般に、使用後の汚れた生理用ナプキンは、ラッパーシートで包んで、その後処分されることが予測される。汚れたナプキンに吸収された体液がラッパーシートを通して見えないようにするために、ラッパーシートの光透過率は、約95%未満、好ましくは約90%未満である必要がある。従って、ラッパーシートの光透過率についてのトレードオフがある。1つの好ましい実施形態において、ラッパーシートは、韓国にあるトーレセーハン社(Toray Saehan Inc.)からSH−SMS 15gmsのコード番号で入手できるスパンボンド−メルトブロウン−スパンボンド(SMS)不織布である。このラッパーシートの光透過率は、約88%である。
【0096】
好ましくは、生理用ナプキン(それぞれラッパーシートで包まれている)20又は21は、高分子フィルムの袋などのパッケージ内で積み重ねられ、圧縮されて収容されており、この高分子フィルムの袋は、好ましくは、生理用ナプキンのグラフィック65を見せる一以上の透明部分(又は一以上の窓)を有する。グラフィック65と共通する一以上のグラフィックが、袋に印刷されているのが好ましく、従って、ユーザ(即ち、消費者)は、一以上の透明な部分を通して、袋と生理用ナプキンとに共通するグラフィックを見ることができる。
【0097】
(試験方法)
本章では、生理用ナプキンの光透過率及びハンターLab全色差(HLTCD)を測定するための1つの好ましい方法について述べる。当該技術分野において既知である他の光透過率及び/又はHLTCDを測定する方法も適用できることに留意すべきである。
【0098】
(I.光透過率(LT))
光透過率分析器は、好ましくは、サンプルシート材料の光透過率を測定するのに使用される。好ましい光透過率分析器は、日本の東京にある野村商事株式会社(Nomura Shoji Co., Ltd.)から「フォーメーションテスター(Formation Tester)」という商標名及びFMT−2000のコード番号で入手できる。この光透過率分析器は、ハロゲンランプ(12V、75W)を有する光源と、開放窓を有するサンプルホルダーテーブルと、CCDカメラ(256×243ピクセル)と、コンピュータとを含む。光源を、サンプルホルダーテーブルの一方の側から離して置き、一方、CCDカメラは、サンプルホルダーテーブルのもう一方の側から離して置く。CCDカメラのレンズとサンプルホルダーテーブルの距離は、約415mmである。窓の開放領域は、その有効開放領域が40×45mmの方形となるように調節される。
【0099】
測定にあたって、ハロゲンランプのスイッチを入れる。サンプルシート材料がサンプルホルダーテーブルによって保持されていないときに、参照光量(Vr)をCCDカメラで測定し、コンピュータで記録する。サンプルシート材料は、有効開放領域においてハロゲンランプから発せられた光を受け取るように、サンプルホルダーテーブルによって保持される。光はサンプルシート材料を通過して、CCDカメラに達する。次いで、CCDカメラの各ピクセルによってサンプルの光量(Vs)を測定し、コンピュータで記録する。このプロセスを1つのサンプルシート材料につき少なくとも3回繰り返し、光量の平均値(Vrav及びVsav)を計算し、コンピュータで記録する。次いで、コンピュータは以下の式により光透過率(LT)を計算する。
LT=(Vsav/Vrav)×100(%)−−−(1)
【0100】
(II.ハンターLab全色差(HLTCD))
サンプル材料のHLTCDを測定するのに比色計が使用されるのが好ましい。好ましい比色計は、米国バージニア州にあるハンターアソシエーツラボラトリー(Hunter Associates Laboratory)から「カラークエスト(ColorQuest)45/0」という商標名及びDP−9000のコード番号で入手できる。HLTCDについての測定及び計算は、国際照明委員会(CIE)によって規定され、ASTM法E308として登録される条件(オブザーバー2°、C光源、及びサンプル(円形)の直径1インチ(2.5cm))に基づく。
【0101】
この比色計は、C光源用の光源(即ち、約6770Kの相関色温度を有する平均的な日光に近いもの)と、サンプルホルダーと、マルチセル型光検出器ダイオードアレイを含む光検出器と、コンピュータとを含む。
【0102】
測定にあたって、サンプル材料をサンプルホルダー上に保持する。入射角が約45°の光源でサンプル材料を照射する。サンプル材料から反射する反射光は、光検出器により受け取られる。光検出器により検出された反射光を、反射光に応じて、明度(L)、赤色度−緑色度(a)及び黄色度−青色度(b)に変換する。
【0103】
この測定を、上記プロセスによって比較されるべき2つのサンプル材料又は1つの材料の2つの部分のそれぞれについて行う。こうして、2組の光データ、(L1、a1、b1)と(L2、a2、b2)とが得られる。1つの材料(又は1つの部分)につき、上述の測定を少なくとも3回繰り返すことによって、これらのデータは平均データとして得られる。次いで、以下の式によりHLTCD(ΔE)が得られる。
ΔL=L1−L2−−−(2)
Δa=a1−a2−−−(3)
Δb=b1−b2−−−(4)
ΔE=√(ΔL2+Δa2+Δb2)−−−(5)
【0104】
これらのデータを、コンピュータで計算し、記録する。
【実施例】
【0105】
表Iは、身体に接触する層30及び衣類に接触する層40の両方に使用できるサンプル材料(サンプル番号1〜7)から得られた光透過率のデータを示す。
【表1】

【0106】
表IIは、HLTCD測定に使用されるサンプル材料(サンプル番号11〜15)を示す。サンプル番号11は、好ましくは吸収性コア50に使用され、サンプル番号12及び13は、好ましくは衣類に接触する層40に使用され、サンプル番号14及び15は、好ましくはグラフィック保護層34に使用されることに留意すべきである。しかしながら、所望であれば、サンプル番号12〜15を、身体に接触する層30、グラフィック保護層34及び衣類に接触する層40のいずれの層にも使用することができることにも留意すべきである。
【表2】

【0107】
表IIIは、表IIにおけるサンプル材料の幾つかの組み合わせ(即ち、サンプル番号21〜24)から得られたHLTCDのデータを示す。これらの組み合わせが、吸収性コア50及び身体に接触する層30についての好ましい例を示すことに留意すべきである。
【表3】

注:サンプル番号11を、他方のサンプル材料の下に配置する。
【0108】
本明細書で説明した実施例及び実施形態は例示の目的だけであって、様々な修正案又は変更案が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって想起されるであろうと考える。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の1つの好ましい実施形態である生理用ナプキンの上面図である。
【図2】図1に示す生理用ナプキンを線2−2に沿って切断した断面図である。
【図3】本発明の別の好ましい実施形態である生理用ナプキンの上面図である。
【図4】図3に示す生理用ナプキンを線4−4に沿って切断した断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に接触する層と、
衣類に接触する層と、
前記身体に接触する層と前記衣類に接触する層との間に配置された、コア縁部を有する吸収性コアであって、前記コア縁部が、前記コア縁部内のコア領域を画定する吸収性コアと、を含み、
前記身体に接触する層が、前記コア領域内における衣類に面する表面上に印刷されたグラフィックを有し、
前記身体に接触する層が、前記身体に接触する層の前記衣類に面する表面上に印刷された前記グラフィックが前記身体に接触する層を通して見えるような光透過率を有する、吸収性物品。
【請求項2】
前記身体に接触する層の前記光透過率が10〜100%である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記身体に接触する層の前記光透過率が45〜100%である請求項2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記グラフィックは、図若しくは線、記号若しくは文字、又は少なくとも2つの色の差若しくは変化などにより構成されるイメージ又はデザインである請求項1記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記身体に接触する層が液体透過性トップシート層を含む請求項1記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記液体透過性トップシート層が孔あき成形フィルムである請求項5記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記コア縁部はさらに前記コア領域の外側の外側領域を画定し、前記身体に接触する層及び前記衣類に接触する層は、前記外側領域まで外方に延在し且つ前記外側領域で互いに接合されている、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、又は失禁パッドである請求項1記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−260411(P2007−260411A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109445(P2007−109445)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願2004−521566(P2004−521566)の分割
【原出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】