吸収性物品
【課題】剥離シートとして湿潤強度の低い素材を用いたとしても、排泄物による湿潤後に容易且つ確実に剥ぎ取ることができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】肌当接表面を構成する液透過性の剥離シート20と、剥離シート20より裏面側に位置し、吸収体56を含む部分である本体部との間に、本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シート21が介在される。補助シート21は、表裏方向に貫通する複数の透孔をh有するとともに、剥離シート20よりも前後方向の湿潤引張強度が高いものとされる。剥離シート20は、透孔hを通じて本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも透孔h近傍を除く部分では補助シート21の表面に接着されない構造とする。
【解決手段】肌当接表面を構成する液透過性の剥離シート20と、剥離シート20より裏面側に位置し、吸収体56を含む部分である本体部との間に、本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シート21が介在される。補助シート21は、表裏方向に貫通する複数の透孔をh有するとともに、剥離シート20よりも前後方向の湿潤引張強度が高いものとされる。剥離シート20は、透孔hを通じて本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも透孔h近傍を除く部分では補助シート21の表面に接着されない構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄の際、表面に付着した排泄物を容易に除去できる吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつにおいては、廃棄に際しておむつ表面(内面)に付着した便を除去することが一般に推奨されているが、その便の除去は容易ではない。生理用ナプキン等の他の種類の吸収性物品においても、表面に付着した排泄物の固形分の除去に関しては、同様の問題があることはいうまでもない。
この問題を解決するために、肌当接表面を構成する表面シートを、その裏面側の本体部から剥ぎ取ることができる吸収性物品が提案されている(特許文献1〜3参照)。この場合、剥離シートとして水解性シートを用いることにより、便の付着した剥離シートを本体部から剥がし取った後、そのまま水洗トイレに流すことができる。
【特許文献1】特開平5−3889号公報
【特許文献2】特開2000−189457号公報
【特許文献3】特開2007−61418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これら従来技術には、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を使用できないという問題点が残されている。例えば、水洗トイレにそのまま流すことができるような水解性シートは湿潤強度が低いため、排泄物の水分により強度が低下してしまい、廃棄時に剥がし取ろうとしても本体部に対する接着力に抗しきれずに破れてしまう。これに対して、剥離シートの湿潤強度を高めることも考えられるが、水洗トイレに流すことができなくなる、資材コストが嵩む等の問題がある。
そこで、本発明の主たる課題は、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を用いたとしても、排泄物による湿潤後に容易且つ確実に剥ぎ取ることができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
肌当接表面を構成する液透過性の剥離シートと、剥離シートより裏面側に位置し、吸収体を含む部分である本体部とを備えており、前記剥離シートは前記本体部から剥がし取ることができるように取り付けられている、吸収性物品において、
前記剥離シートと前記本体部との間に、前記本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シートを備えており、
この補助シートは、表裏方向に貫通する複数の透孔を有するとともに、前記剥離シートよりも前後方向の湿潤引張強度が高いものであり、
前記剥離シートは、前記透孔を通じて前記本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも前記透孔近傍を除く部分では前記補助シートの表面に接着されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0005】
(作用効果)
本発明では、肌当接表面を構成する剥離シートを剥がし取る際、補助シートを本体部から剥がすことにより、補助シート上に位置する剥離シートを補助シートに伴って本体部から剥がし取った後、補助シートから剥離シートを剥がし取る。この際、剥離シートが湿潤し破け易くなっていても、剥離シートよりも湿潤引張強度の高い補助シートが、その表面全体で剥離シートを支持しつつ本体部から剥がし取ることができるため、補助シート及び剥離シートともに破け難い。しかも、剥離シートを補助シートから剥離する際、両シートは透孔近傍を除いて接着されていないから、湿潤により脆弱化した剥離シートであっても補助シートからは容易に剥離でき、破け難い。この際、排泄物は通常は剥離シートのみに付着し、剥離シートの破けが無い限り補助シートに付着することは無いため、剥離シートは水洗トイレに流す、或いは専用のゴミ箱に捨てる等、臭気の強い廃棄物として処理し、補助シート及び本体部は臭気の弱い廃棄物として処理することができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記剥離シートは、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであり、前記補助シートは、JIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が5.0N/25mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【0007】
(作用効果)
本発明の剥離シートは水洗トイレにそのまま流すことができるような水解性シートであるのが好ましく、これに対して補助シートは剥離時に破けることの無い程度に十分な湿潤引張強度を有しているのが好ましい。
【0008】
<請求項3記載の発明>
各透孔の面積は0.8〜180mm2であり、且つ前記剥離シートと前記補助シートとが重なる部分に占める前記透孔の総面積の割合は10〜90%である、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
透孔の寸法や数は適宜定めれば良いが、本項記載の範囲内であると、吸収性物品を身体に装着している際に、剥離シートの皺やずれが発生し難いものでありながら、剥離時に剥離シートの接着部分が破け難いため好ましい。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記補助シートの前後端はそれぞれ前記剥離シートの前後端と同位置又は近傍に位置しており、前記剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方の端部の少なくとも一部は、前記本体部の表面に接着されていない、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
この場合、剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方における幅方向中間の非接着部において、補助シートと本体部との間に指を入れる隙間が形成される。使用者は、この隙間に指を入れることにより、補助シートを容易に剥がし始めることができる。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記補助シートの周縁は前記本体部の周縁の内側に位置し、且つ前記剥離シートの周縁は前記補助シートの周縁の内側に位置している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
この場合、補助シートの縁が表面に現れるため剥離作業が容易になる。また、剥離シート全体を補助シートで支えることができるため、本体部からの剥離シートの剥がし残しが無くなる。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記剥離シートの幅方向両側部とその間の中間部との各境界に沿ってミシン目が形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
この場合、剥離シートにおける特に排泄物が付着し易い幅方向中間部をミシン目により幅方向両側部から分離することができるため、付着排泄物が少量の場合等において必要な部分だけを分離除去することができる利点がある。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記本体部は、前記吸収体の表面全体を覆う液透過性の本体部トップシートと、前記吸収体の裏面全体を覆う液不透過性シートとの間に前記吸収体を封じ込めてなるものである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
剥離シートを補助シートとともに剥がした後、内部素材が露出するのは好ましくないため、本項記載のように剥離シートを補助シートとともに剥がした後においても、通常の吸収性物品と変わらないような構造を有しているのは好ましい。また、この場合、剥離シート及び補助シートにより内部素材を覆う必要が無くなるため、それらの寸法及び位置を自由に定めることができる利点もある。さらに、排泄物が固形物のみであれば本体部は汚れないため、剥離シートを補助シートとともに剥がした後、通常の吸収性物品と同等の機能を有する物品として再使用することも可能である。
【0018】
<請求項8記載の発明>
前記吸収体は、繊維集合体からなるものであり、
前記本体部は、前記吸収体の全体を包む液透過性の包装シートと、これらの裏面側に配置された液不透過性シートとを有し、且つ前記包装シートと前記補助シートとの間に前記吸収体の表面全体を覆うシートを有しないものであり、
前記補助シートが、前記包装シートにより包まれた吸収体の表面全体を覆うように構成されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0019】
(作用効果)
この場合、前述した本体部トップシートのようなカバー資材を省略できる利点がある。剥離シートを補助シートとともに剥がすと内部素材が露出するが、吸収体は包装シートにより包まれているため吸収体の素材が零れ出るといった事態は防止することができる。
【0020】
<請求項9記載の発明>
前記剥離シートの両側部は、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する剥離立体ギャザーとして構成されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
吸収性物品の分野では、いわゆる立体ギャザーを設けることが一般的となっており、排泄物の量が多い場合等においては、立体ギャザー内面にも排泄物が付着することがある。よって、本項記載のように、剥離シートの両側部を立体ギャザーとして構成することにより、排泄物が付着するおそれのある部分を、より広範囲に剥がせるようにするのが望ましい。
【0022】
<請求項10記載の発明>
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置するとともに、
前記剥離シートの前後端及び前記補助シートの前後端が、前記本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【0023】
(作用効果)
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザーを設けると、横漏れ防止効果が向上するため好ましいが、剥離立体ギャザーと本体部立体ギャザーとが干渉すると、横漏れ防止効果が低下したり、剥離シートの剥がし取りが困難になったりするおそれがある。本項記載の構造では、本体部立体ギャザーと剥離立体ギャザーとが幅方向近接し、一体的な強固な防漏壁を形成する構造でありながら、剥離シート及び補助シートが本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置しているため、剥離立体ギャザーが本体部立体ギャザーと機能的に干渉し難くなり、剥離作業も容易となる。
【0024】
<請求項11記載の発明>
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【0025】
(作用効果)
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザーを設けることの問題点は前述したとおりである。本項記載の構造では、本体部立体ギャザーと剥離立体ギャザーとが幅方向に近接せず、それぞれ独立した二重の防漏壁を形成する構造であるため、剥離立体ギャザーが本体部立体ギャザーと機能的に干渉せず、剥離作業も容易となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を用いたとしても、排泄物による湿潤後に容易且つ確実に剥ぎ取ることができるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、以下の説明において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1〜図7は本発明に係る止着式使い捨ておむつの一例を示している。この止着式使い捨ておむつは、肌当接表面を構成する液透過性の剥離シート20と、剥離シート20の裏面側に位置する部分であって、吸収体56を含む部分である本体部と、これら剥離シート20と本体部との間に設けられた液透過性の補助シート21とを備えているものである。
【0029】
第1の実施形態の本体部は、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ肌当接表面を形成する液透過性の本体部トップシート30と、外面側に位置する液不透過性シート11との間に吸収体56が封じ込められているものである。吸収体56を有する部分の前側及び後側には、吸収体56を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEがそれぞれ延出している。
【0030】
また、この止着式使い捨ておむつは、腹側Fのウエスト側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bのウエスト側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFにはファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
【0031】
より詳細には、本体部の裏面全体が外装シート12により形成されており、吸収体と重なる部分においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収体56を包装シート58で包装してなる吸収要素50、中間シート40、および本体部トップシート30がこの順に積層されている。本体部トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11はトップシート30よりも若干幅広に形成されている。
【0032】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する本体部立体ギャザー60,60が設けられており、この本体部立体ギャザー60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、本体部トップシート30の両側部上からその幅方向外側の全体にわたり延在されている。
【0033】
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
【0034】
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されるものではない。不織布の種類は特に限定されず、構成繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
【0035】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0036】
(本体部トップシート)
本体部トップシート30は液透過性を有するもの、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。不織布としては、その構成繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。
【0037】
また、本体部トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、本体部トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0038】
(中間シート)
本体部トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体56からの逆戻りを防止するものである。中間シート40は省略することもできる。
【0039】
中間シート40としては、本体部トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は本体部トップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。
【0040】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、排泄部位を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0041】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液分を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0042】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0043】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には高吸収性ポリマー(SAP)を含有させるのが好ましい。高吸収性ポリマーとしては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマーとしては、粒子状(粉体含む)のものが好適に用いられるが、他の形態のものも用いることができる。高吸収性ポリマー粒子を用いる場合、その粒径はこの種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。
【0044】
また、高吸収性ポリマーの吸水量(JIS K 7223−1996)は、特に限定されないが40g/g以上であるのが好ましい。また、吸水速度(JIS K 7224−1996)は70秒以下のものが好適である。
【0045】
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、要求される吸収量に応じて適宜定めることができるが、通常の場合50〜350g/m2の範囲内とするのが好ましい。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0046】
(包装シート)
吸収体56が短繊維の積繊体である場合や、高吸収性ポリマー粒子を含む場合には、吸収体56を包装シート58で包むことにより、吸収体56の崩れや高吸収性ポリマー粒子の零れ落ちを防止するのが好ましい。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0047】
(本体部立体ギャザー)
肌当接表面を伝って横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、本体部の両側に身体側に起立(突出)する本体部立体ギャザー60,60を設けるのは好ましい。
この本体部立体ギャザー60は、幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図示のように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0048】
バリヤーシート62の内面は、本体部トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端の幅方向外側近傍において、バリヤーシート62と外装シート12との間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
【0049】
バリヤーシート62は、固着始端より幅方向内側では、図4に示すように前後両端部60Xが平坦に潰れた状態で本体部トップシート30上に固定されているものの、その間の部分は図3に示すように非固定(自由)の起立部分60Fとなっており、この起立部分60Fが糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により本体部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0050】
(ファスニングテープ)
ファスニングテープ130は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなり、基部がおむつに取り付けられたテープ基材と、このテープ基材のうちおむつから突出する部分の先端側に取り付けられた係止部130Aとから構成されている。係止部130Aは、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材により形成する他、粘着剤層により形成することができる。メカニカルファスナーフック材は、その表面に多数の係合突起を有するものである。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。
【0051】
ファスニングテープ130の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため好ましい。
【0052】
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためにターゲットテープ74を設けるのが好ましい。ターゲットテープ74は、係止部130Aがフック材の場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸が表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なフィルム状のものを用いることができる。また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ130の係止部130Aがフック材の場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック材130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。
【0053】
ファスニングテープ130は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ130の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ130の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ130の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0054】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
【0055】
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収体56とが近接しすぎると、吸収体56の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0056】
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましい。
【0057】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ130間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から、図3に示すように、二枚の不織布71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両不織布71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合における不織布71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0058】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収体56を横断するように配置すると、吸収体56のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収体56の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0059】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)に不織布71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの長手方向(おむつの幅方向)両端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0060】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収体56との間に挟まれるように設けられているが、本体部トップシート30と吸収体56との間や液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、本体部トップシート30の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚の不織布を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12の不織布間に設けても良い。
【0061】
(剥離シート及び補助シート)
特徴的には、本体部の表面(図示例の場合、中間シート40及び包装シート58の表面)上に、補助シート21を介して剥離シート20が積層されている。剥離シート20は液透過性シートであり、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであるのが好ましいが、非水解性シートを用いても良い。剥離シート20の坪量は10〜50g/m2程度であるのが好ましく、厚みは0.1〜5.0mm、特に0.3〜2.0mmであるのが好ましい。
【0062】
剥離シート20に用いる水解性シートとしては、不織布を用いる場合は、例えば繊維ウエブを水流交絡法により交絡してなるスパンレース不織布のように、熱融着あるいは接着剤のような繊維同士を強固に接合する手段を用いずに形成した不織布が好適であり、その原料繊維としては公知の繊維を用いることができるが、親水性繊維が好ましい。各繊維の繊維長は、排泄物による湿潤時には破れず且つ使用後に水洗トイレに廃棄する時には速やかに水解する観点から、6〜120mmであることが好ましい。木材パルプ、セルロース繊維など親水性繊維のように生分解性を有する繊維または、生分解性を有する樹脂からなる繊維を用いるのも好ましい。水解性の不織布としては、水溶性の接着材を用いたケミカルボンド法による不織布を用いることも可能である。
【0063】
剥離シート20の寸法及び配置は適宜定めることができ、股間部や排便口周辺等に局所的に設けることもできるが、吸収体56の全体を覆うように設けられるのが好ましい。より詳細には、剥離シート20の両側縁は吸収体56の両側縁と同位置か又は幅方向外側に位置していると好ましいが、吸収体56の両側縁よりも幅方向内側に位置させることもできる。また、剥離シート20の前後縁は、吸収体56の前後縁より外側に位置しているのが好ましいが、吸収体56の前後縁より前後方向中央側に位置していても良く、その場合の前後方向長さは吸収体56の前後長の1/4〜1/2程度とするのが好ましい。
【0064】
補助シート21は、表裏方向に貫通する多数の透孔hを有する液透過性シートであり、剥離シート20よりもおむつ前後方向の湿潤引張強度が高いものである。具体的に、各透孔hの面積は0.8〜180mm2程度、特に4〜40mm2程度、剥離シート20と補助シート21とが重なる部分に占める透孔hの総面積の割合は10〜90%程度、特に20〜60%程度であるのが好ましい。また、補助シート21の前後方向の湿潤引張強度(JIS P 8135−1998)は5.0N/25mm以上、特に20N/25mm以上であるのが好ましい。このように、補助シート21が高い湿潤引張強度を有するものであると、剥離シート20を剥がし取る際、補助シート21に伴って剥がし取るようにすれば、剥離シート20が例えば水解性シートのような湿潤強度の低いもの、具体的にはJIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が2.5N/25mm以下、特に1.0N/25mm以下のシートであっても、破れないように剥がしとることが可能となる。補助シート21としては、本体部トップシート30と同様の素材を用いることができるが、特に強度に優れたSMS不織布が好ましい。
【0065】
補助シート21の寸法及び配置も適宜定めることができるが、補助シート21は剥離シート20を支持して剥離するものであるため、補助シートの21の周縁は剥離シート20の周縁と同位置又は近傍(内側又は外側)に位置しているのが好ましく、補助シート20の前端部及び/又は後端部の少なくとも一部、あるいは補助シート20の両側部の少なくとも一部が肌当接表面に露出しているのがより好ましく、特に補助シート21の周縁が本体部の周縁の内側に位置し、且つ剥離シート20の周縁が補助シート21の周縁の内側に位置しているのが好ましい。
【0066】
補助シート21は本体部の表面に対して接着剤HMにより剥離可能に接着される。これに対して、剥離シート20は補助シート21の透孔hを通じて、接着剤HMにより本体部の表面に剥離可能に接着されるとともに、少なくとも透孔h近傍を除く部分では補助シート21の表面に接着されない。このような接着形態は、補助シート21及び剥離シート20の接着のための接着剤塗布を個別に行っても製造できるが、本体部表面と補助シート20との接着に際して、本体部表面における補助シート20の透孔hと重なる部分を含む範囲に接着剤HMを塗布した後、補助シート21及び剥離シート20の順に積層することでも製造することができる。後者の場合、透孔h近傍では補助シート21と剥離シート20とが弱く接着することがあるが、その接着力は接着していない状態に近いものである。もちろん、補助シート21及び剥離シート20は完全に非接着であることを排除するものではない。
【0067】
剥離シート20及び補助シートを接着するための接着剤HMは、スパイラル、サミット、ベタ、ビードなど既知の方法で塗布することができる。接着剤HMは補助シート21の全体にわたり塗布することもできるが、周縁部にのみ設ける等、適宜の塗布パターンを採用することができ、特に図示形態のように、前後方向に連続する塗布部分を幅方向に間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。反対に、幅方向に連続する塗布部分を前後方向に間隔を空けて複数本設けることもできる。
【0068】
剥離シート20の接着に際し、図7に示すように、剥離シート20の前端部及び後端部の少なくとも一方において、端部の少なくとも一部、好ましくは幅方向中間の一部UBを本体部の表面に接着せず、且つその幅方向両側の部分を透孔hを通じて接着剤HMにより本体部の表面に接着すると、非接着部UBにおいて、図5にも示すように補助シート21と本体部との間に指を入れる隙間23が形成される。使用者は、この隙間23に指を入れることにより、補助シート21を容易に剥がし始めることができる。この場合における非接着部UBは幅方向に間隔を空けて複数設けることができる。また、非接着部UBは端部の幅方向全体に設けてもよい。
【0069】
接着剤HMの種類や塗布量等の諸条件は、必要となる接着強度に応じて定めることができる。剥離シート20と補助シート21の積層体を本体部表面から剥がし取る際の剥離強度は、乾燥時及び湿潤時ともに0.8〜10N/25mm程度、特に2.0〜5.0N/25mm程度であるのが好ましい。また、補助シート21から剥離シート20を剥がし取る際の剥離強度は、乾燥時及び湿潤時ともに0.4N/25mm以下程度、特に0.1N/25mm以下程度であるのが好ましい。接着強度(180度剥離強度)の測定は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用いて測定することができる。測定方法は、25mm×130mmに裁断した試料を作成し、あらかじめ長手方向5cmを剥がして引き剥がし口を形成しておき、20℃条件下において、チャック間50mm、引張速度300mm/minの条件で、前述の引き剥がし口から30mmの長さを引張試験機にて剥離して測定する。試料は長手方向が製品タテ方向となるものと、長手方向が製品ヨコ方向となるものの二種類を作成し、それぞれについて測定した値を平均して測定値とする。
【0070】
接着剤HMとしては、公知のホットメルト接着剤を好適に用いることができるが、SIS、SBS、SEBSなどをベースに粘着付与剤として水素添加石油樹脂を含有させたものは表面タック性が湿潤により低下するため、排泄物による湿潤時に強度を低下させないためにオレフィン系のホットメルト接着剤を使用するのは好ましい。
【0071】
かくして構成されたおむつにおいては、排泄物を取り除くために剥離シート20を剥がし取る際、図5に二点鎖線で示すように、補助シート21を本体部から剥がすことにより、補助シート21上に位置する剥離シート20を補助シート21に伴って本体部から剥がし取った後、補助シート21から剥離シート20を剥がし取ることができる。この時、剥離シート20が湿潤し破け易くなっていても、剥離シート20よりも湿潤引張強度の高い補助シート21が、その表面全体で剥離シート20を支持しつつ本体部から剥がし取ることができるため、補助シート21及び剥離シート20ともに破け難い。しかも、剥離シート20を補助シート21から剥離する際、両シートは透孔h近傍を除いて接着されておらず、実質的に接着されていないに等しいから湿潤により脆弱化した剥離シート20であっても補助シート21からは容易に剥離でき、破け難い。そして、排泄物は通常は剥離シート20のみに付着し、剥離シート20の破けが無い限り補助シート21に付着することは無いため、剥離シート20は水洗トイレに流す、或いは専用のゴミ箱に捨てる等、臭気の強い廃棄物として処理し、補助シート21及び本体部は臭気の弱い廃棄物として処理することができる。また、本形態では、包装シート58で包まれた吸収体56が、本体部トップシート30と液不透過性シート11との間に封じ込められているため、剥離シート20を補助シート21とともに剥がしても、内部素材が露出することはなく、通常の吸収性物品と変わらない状態となる。
【0072】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、図8〜図10に示されるように、第1の実施形態における本体部トップシート30を省略し、その代わりとして、補助シート21により、包装シート58により包まれた吸収体56(吸収要素50)の表面全体を覆うように構成したものである。特に本形態においては、包装シート58を吸収体56より若干長いものとし、吸収要素50の前後端が包装シート58によって封止されるようにすることが好ましい。この場合、本体部トップシート30のようなカバー資材を省略できる利点がある。剥離シート20を補助シート21とともに剥がすと内部素材が露出するが、吸収体56は包装シート58により包まれているため吸収体56の素材が零れ出るといった事態は防止することができる。本体部トップシート30を省略する場合、本体部立体ギャザー60は、補助シート21の幅方向両側部上に固着(固定)されるのが好ましいが、そうすると、補助シート21を本体部から剥がし取る際に固着部(固定部)が邪魔になる。そこで、剥離シート20の固着部(固定部)よりも幅方向内側(具体的には3〜20mm程度内側)にミシン目27を形成し、補助シート21の幅方向中間部のみが剥がし取れるように構成することが好ましい。特に、固着部(固定部)に沿うようにミシン目27を形成することが好ましい。また、ミシン目27を設けず、固着部(固定部)の剥離強度を弱くし、容易に剥ぎ取れるようにしてもよい。
【0073】
<第3の実施形態>
上述した形態では、排泄物の量が多い場合等においては、本体部立体ギャザー60の内面にも排泄物が付着することがある。よって、図11〜図13に示すように、剥離シート20の両側部を、平坦に潰れた状態で固定された前後端部25Xと、前後端部25Xの中間に位置し身体側に起立する起立部25Fとを有する剥離立体ギャザー25として構成し、排泄物が付着するおそれのある部分を、より広範囲に剥がせるようにするのが望ましい。なお。符号26は起立部25Fの先端に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材を示しており、起立の原理は本体部立体ギャザー60と同様である。
【0074】
ただし、本体部及び剥離シート20のそれぞれに立体ギャザー60,25を設けると、横漏れ防止効果が向上するため好ましいが、剥離立体ギャザー25と本体部立体ギャザー60とが干渉すると、横漏れ防止効果が低下したり、剥離シート20の剥がし取りが困難になったりするおそれがあるため、これを防止するのが好ましい。具体的に図示形態では、平面展開状態で、本体部立体ギャザー60の幅方向中央側の側縁を、剥離立体ギャザー25の幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置させているため、本体部立体ギャザー60と剥離立体ギャザー25とが幅方向に近接し、一体的な強固な防漏壁を形成するが、両ギャザー60,25が干渉し易い構造となるため、剥離シート20の前後端及び補助シート21の前後端を、本体部立体ギャザー60の起立部60Fの前後方向範囲60Y内に位置させている。よって、剥離立体ギャザー25が本体部立体ギャザー60と機能的に干渉し難くなり、剥離作業も容易となる。
【0075】
また、前後端部25Xの固定など、剥離シート20同士を固定する場合は、水溶性、非耐水性あるいは生分解性の接着剤にて固定するのが好ましく、剥離シート20に固定する細長状弾性伸縮部材には生分解性あるいは水溶性の樹脂からなるものを用いるのが好ましい。
【0076】
<第4の実施形態>
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザー60,25を設ける場合、図14〜図16及び図17〜図19に示すように、平面展開状態で、本体部立体ギャザー60の幅方向中央側の側縁を、剥離立体ギャザー25の幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置させるのも好ましい形態である。この場合、本体部立体ギャザー60と剥離立体ギャザー25とが幅方向に近接せず、それぞれ独立した二重の防漏壁を形成する構造であるため、剥離立体ギャザー25が本体部立体ギャザー60と機能的に干渉せず、剥離作業も容易となる。
【0077】
なお、図14〜図16に示す形態は、本体部立体ギャザー60において、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部60Xを、幅方向中央側の部分から幅方向外側に延在する基端側部分と、この基端側部分の幅方向外側の端縁から幅方向中央側に折り返され、剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁近傍まで延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、前後方向においてこれらの間の部分を非固定の自由部分60Fとしたものである。
【0078】
また、図17〜図19に示すように、本体部立体ギャザー60において、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部60Xを、幅方向外側の部分から幅方向中央側に向かい剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁近傍まで延在する基端側部分と、この基端側部分の幅方向中央側の端縁から幅方向外側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、前後方向においてこれらの間の部分を非固定の自由部分60Fとすることもできる。
【0079】
<第5の実施形態>
排泄物の表面付着部位は局所的な場合もある。このような場合に、排泄物の付着部位以外の部分までも剥がして捨てるのは好ましくない。例えば剥離シート20を水解性として水洗トイレに流す場合では、シート量が多いほど詰まりを引き起こすおそれが高くなる。また、剥離立体ギャザー25を設ける場合は、その先端部の弾性伸縮部材26までも水洗トイレに流すことはできない。よって、剥離シート20に適宜のミシン目27を形成し、剥離シート20のうち所望の部位のみを補助シート21から剥がし取って廃棄できるようにするのが好ましい。
【0080】
図20はこの具体例を示しており、剥離シート20の幅方向両側部20S及びその間の中間部20Mのうち、両側部20Sと中間部20Mとの各境界に沿ってミシン目27が形成されているものである。これにより、剥離シート20における特に排泄物が付着し易い幅方向中間部20Mをミシン目27により幅方向両側部から容易に切り離すことができるため、付着排泄物が少量の場合等において必要な部分だけを容易に分離除去することができる。この場合における両側部20Sの幅は、剥離シート20の幅の0.05〜0.4倍程度とするのが好ましい。特に図示形態のように、剥離シート20が剥離立体ギャザー25を有する場合、ミシン目27を剥離立体ギャザー25とそれらの間の部分の境界に沿って形成するのが好ましい。この場合、剥離立体ギャザー25に排泄物が付着していない場合等、必要に応じて、剥離立体ギャザー25部分を残してそれらの間の部分のみを補助シート21から剥離し、廃棄することができる。
【0081】
また、この形態では、中間部20Mのみの剥離を容易にするために、剥離シート20の両側部における補助シート21に対する接着強度を中間部20Mよりも高くするのも好ましい形態である。このような強度差は接着剤HMの塗布量により調整することができる。
【0082】
<その他>
上記各実施形態の一部の構成を、その技術的意義を損ねない範囲において他の実施形態の一部又は全部の構成と組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、上記例のような止着式使い捨ておむつやパンツ型使い捨ておむつに好適なものであるが、他の形態の使い捨ておむつにも適用できるものである。例えば、パンツ型使い捨ておむつでは、上記例のような腹側外装シートと背側外装シートが離間された構造に限らず、腹側から股間部を経て背側に至る一体的な外装シートを有する構造も当然含み、また、おむつカバー型のおむつとパッド型のおむつを組み合わせて用いるようなその他の形状の使い捨ておむつにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図2】第1の実施形態のおむつの展開状態を裏面側から見た平面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】図1の6−6断面図である。
【図7】第1の実施形態のおむつの要部のみを示す平面図である。
【図8】第2の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図9】図8の3−3線断面図である。
【図10】図8の4−4線断面図である。
【図11】第3の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図12】図11の3−3線断面図である。
【図13】図11の4−4線断面図である。
【図14】第4の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図15】図14の3−3線断面図である。
【図16】図14の4−4線断面図である。
【図17】第4の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図18】図17の3−3線断面図である。
【図19】図17の4−4線断面図である。
【図20】第5の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…吸収性本体部、11…液不透過性シート、12…外装シート、20…剥離シート、21…補助シート、25…剥離立体ギャザー、27…ミシン目、30…本体部トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…本体部立体ギャザー、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート、HM…接着剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄の際、表面に付着した排泄物を容易に除去できる吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつにおいては、廃棄に際しておむつ表面(内面)に付着した便を除去することが一般に推奨されているが、その便の除去は容易ではない。生理用ナプキン等の他の種類の吸収性物品においても、表面に付着した排泄物の固形分の除去に関しては、同様の問題があることはいうまでもない。
この問題を解決するために、肌当接表面を構成する表面シートを、その裏面側の本体部から剥ぎ取ることができる吸収性物品が提案されている(特許文献1〜3参照)。この場合、剥離シートとして水解性シートを用いることにより、便の付着した剥離シートを本体部から剥がし取った後、そのまま水洗トイレに流すことができる。
【特許文献1】特開平5−3889号公報
【特許文献2】特開2000−189457号公報
【特許文献3】特開2007−61418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これら従来技術には、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を使用できないという問題点が残されている。例えば、水洗トイレにそのまま流すことができるような水解性シートは湿潤強度が低いため、排泄物の水分により強度が低下してしまい、廃棄時に剥がし取ろうとしても本体部に対する接着力に抗しきれずに破れてしまう。これに対して、剥離シートの湿潤強度を高めることも考えられるが、水洗トイレに流すことができなくなる、資材コストが嵩む等の問題がある。
そこで、本発明の主たる課題は、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を用いたとしても、排泄物による湿潤後に容易且つ確実に剥ぎ取ることができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
肌当接表面を構成する液透過性の剥離シートと、剥離シートより裏面側に位置し、吸収体を含む部分である本体部とを備えており、前記剥離シートは前記本体部から剥がし取ることができるように取り付けられている、吸収性物品において、
前記剥離シートと前記本体部との間に、前記本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シートを備えており、
この補助シートは、表裏方向に貫通する複数の透孔を有するとともに、前記剥離シートよりも前後方向の湿潤引張強度が高いものであり、
前記剥離シートは、前記透孔を通じて前記本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも前記透孔近傍を除く部分では前記補助シートの表面に接着されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0005】
(作用効果)
本発明では、肌当接表面を構成する剥離シートを剥がし取る際、補助シートを本体部から剥がすことにより、補助シート上に位置する剥離シートを補助シートに伴って本体部から剥がし取った後、補助シートから剥離シートを剥がし取る。この際、剥離シートが湿潤し破け易くなっていても、剥離シートよりも湿潤引張強度の高い補助シートが、その表面全体で剥離シートを支持しつつ本体部から剥がし取ることができるため、補助シート及び剥離シートともに破け難い。しかも、剥離シートを補助シートから剥離する際、両シートは透孔近傍を除いて接着されていないから、湿潤により脆弱化した剥離シートであっても補助シートからは容易に剥離でき、破け難い。この際、排泄物は通常は剥離シートのみに付着し、剥離シートの破けが無い限り補助シートに付着することは無いため、剥離シートは水洗トイレに流す、或いは専用のゴミ箱に捨てる等、臭気の強い廃棄物として処理し、補助シート及び本体部は臭気の弱い廃棄物として処理することができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記剥離シートは、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであり、前記補助シートは、JIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が5.0N/25mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【0007】
(作用効果)
本発明の剥離シートは水洗トイレにそのまま流すことができるような水解性シートであるのが好ましく、これに対して補助シートは剥離時に破けることの無い程度に十分な湿潤引張強度を有しているのが好ましい。
【0008】
<請求項3記載の発明>
各透孔の面積は0.8〜180mm2であり、且つ前記剥離シートと前記補助シートとが重なる部分に占める前記透孔の総面積の割合は10〜90%である、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
透孔の寸法や数は適宜定めれば良いが、本項記載の範囲内であると、吸収性物品を身体に装着している際に、剥離シートの皺やずれが発生し難いものでありながら、剥離時に剥離シートの接着部分が破け難いため好ましい。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記補助シートの前後端はそれぞれ前記剥離シートの前後端と同位置又は近傍に位置しており、前記剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方の端部の少なくとも一部は、前記本体部の表面に接着されていない、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
この場合、剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方における幅方向中間の非接着部において、補助シートと本体部との間に指を入れる隙間が形成される。使用者は、この隙間に指を入れることにより、補助シートを容易に剥がし始めることができる。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記補助シートの周縁は前記本体部の周縁の内側に位置し、且つ前記剥離シートの周縁は前記補助シートの周縁の内側に位置している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
この場合、補助シートの縁が表面に現れるため剥離作業が容易になる。また、剥離シート全体を補助シートで支えることができるため、本体部からの剥離シートの剥がし残しが無くなる。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記剥離シートの幅方向両側部とその間の中間部との各境界に沿ってミシン目が形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
この場合、剥離シートにおける特に排泄物が付着し易い幅方向中間部をミシン目により幅方向両側部から分離することができるため、付着排泄物が少量の場合等において必要な部分だけを分離除去することができる利点がある。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記本体部は、前記吸収体の表面全体を覆う液透過性の本体部トップシートと、前記吸収体の裏面全体を覆う液不透過性シートとの間に前記吸収体を封じ込めてなるものである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
剥離シートを補助シートとともに剥がした後、内部素材が露出するのは好ましくないため、本項記載のように剥離シートを補助シートとともに剥がした後においても、通常の吸収性物品と変わらないような構造を有しているのは好ましい。また、この場合、剥離シート及び補助シートにより内部素材を覆う必要が無くなるため、それらの寸法及び位置を自由に定めることができる利点もある。さらに、排泄物が固形物のみであれば本体部は汚れないため、剥離シートを補助シートとともに剥がした後、通常の吸収性物品と同等の機能を有する物品として再使用することも可能である。
【0018】
<請求項8記載の発明>
前記吸収体は、繊維集合体からなるものであり、
前記本体部は、前記吸収体の全体を包む液透過性の包装シートと、これらの裏面側に配置された液不透過性シートとを有し、且つ前記包装シートと前記補助シートとの間に前記吸収体の表面全体を覆うシートを有しないものであり、
前記補助シートが、前記包装シートにより包まれた吸収体の表面全体を覆うように構成されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0019】
(作用効果)
この場合、前述した本体部トップシートのようなカバー資材を省略できる利点がある。剥離シートを補助シートとともに剥がすと内部素材が露出するが、吸収体は包装シートにより包まれているため吸収体の素材が零れ出るといった事態は防止することができる。
【0020】
<請求項9記載の発明>
前記剥離シートの両側部は、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する剥離立体ギャザーとして構成されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
吸収性物品の分野では、いわゆる立体ギャザーを設けることが一般的となっており、排泄物の量が多い場合等においては、立体ギャザー内面にも排泄物が付着することがある。よって、本項記載のように、剥離シートの両側部を立体ギャザーとして構成することにより、排泄物が付着するおそれのある部分を、より広範囲に剥がせるようにするのが望ましい。
【0022】
<請求項10記載の発明>
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置するとともに、
前記剥離シートの前後端及び前記補助シートの前後端が、前記本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【0023】
(作用効果)
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザーを設けると、横漏れ防止効果が向上するため好ましいが、剥離立体ギャザーと本体部立体ギャザーとが干渉すると、横漏れ防止効果が低下したり、剥離シートの剥がし取りが困難になったりするおそれがある。本項記載の構造では、本体部立体ギャザーと剥離立体ギャザーとが幅方向近接し、一体的な強固な防漏壁を形成する構造でありながら、剥離シート及び補助シートが本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置しているため、剥離立体ギャザーが本体部立体ギャザーと機能的に干渉し難くなり、剥離作業も容易となる。
【0024】
<請求項11記載の発明>
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【0025】
(作用効果)
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザーを設けることの問題点は前述したとおりである。本項記載の構造では、本体部立体ギャザーと剥離立体ギャザーとが幅方向に近接せず、それぞれ独立した二重の防漏壁を形成する構造であるため、剥離立体ギャザーが本体部立体ギャザーと機能的に干渉せず、剥離作業も容易となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、剥離シートとして湿潤強度の低い素材を用いたとしても、排泄物による湿潤後に容易且つ確実に剥ぎ取ることができるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、以下の説明において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1〜図7は本発明に係る止着式使い捨ておむつの一例を示している。この止着式使い捨ておむつは、肌当接表面を構成する液透過性の剥離シート20と、剥離シート20の裏面側に位置する部分であって、吸収体56を含む部分である本体部と、これら剥離シート20と本体部との間に設けられた液透過性の補助シート21とを備えているものである。
【0029】
第1の実施形態の本体部は、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ肌当接表面を形成する液透過性の本体部トップシート30と、外面側に位置する液不透過性シート11との間に吸収体56が封じ込められているものである。吸収体56を有する部分の前側及び後側には、吸収体56を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEがそれぞれ延出している。
【0030】
また、この止着式使い捨ておむつは、腹側Fのウエスト側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bのウエスト側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFにはファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
【0031】
より詳細には、本体部の裏面全体が外装シート12により形成されており、吸収体と重なる部分においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収体56を包装シート58で包装してなる吸収要素50、中間シート40、および本体部トップシート30がこの順に積層されている。本体部トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11はトップシート30よりも若干幅広に形成されている。
【0032】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する本体部立体ギャザー60,60が設けられており、この本体部立体ギャザー60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、本体部トップシート30の両側部上からその幅方向外側の全体にわたり延在されている。
【0033】
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
【0034】
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されるものではない。不織布の種類は特に限定されず、構成繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
【0035】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0036】
(本体部トップシート)
本体部トップシート30は液透過性を有するもの、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。不織布としては、その構成繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。
【0037】
また、本体部トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、本体部トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0038】
(中間シート)
本体部トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体56からの逆戻りを防止するものである。中間シート40は省略することもできる。
【0039】
中間シート40としては、本体部トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は本体部トップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。
【0040】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、排泄部位を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0041】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液分を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0042】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0043】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には高吸収性ポリマー(SAP)を含有させるのが好ましい。高吸収性ポリマーとしては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマーとしては、粒子状(粉体含む)のものが好適に用いられるが、他の形態のものも用いることができる。高吸収性ポリマー粒子を用いる場合、その粒径はこの種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。
【0044】
また、高吸収性ポリマーの吸水量(JIS K 7223−1996)は、特に限定されないが40g/g以上であるのが好ましい。また、吸水速度(JIS K 7224−1996)は70秒以下のものが好適である。
【0045】
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、要求される吸収量に応じて適宜定めることができるが、通常の場合50〜350g/m2の範囲内とするのが好ましい。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0046】
(包装シート)
吸収体56が短繊維の積繊体である場合や、高吸収性ポリマー粒子を含む場合には、吸収体56を包装シート58で包むことにより、吸収体56の崩れや高吸収性ポリマー粒子の零れ落ちを防止するのが好ましい。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0047】
(本体部立体ギャザー)
肌当接表面を伝って横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、本体部の両側に身体側に起立(突出)する本体部立体ギャザー60,60を設けるのは好ましい。
この本体部立体ギャザー60は、幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図示のように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0048】
バリヤーシート62の内面は、本体部トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端の幅方向外側近傍において、バリヤーシート62と外装シート12との間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
【0049】
バリヤーシート62は、固着始端より幅方向内側では、図4に示すように前後両端部60Xが平坦に潰れた状態で本体部トップシート30上に固定されているものの、その間の部分は図3に示すように非固定(自由)の起立部分60Fとなっており、この起立部分60Fが糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により本体部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0050】
(ファスニングテープ)
ファスニングテープ130は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなり、基部がおむつに取り付けられたテープ基材と、このテープ基材のうちおむつから突出する部分の先端側に取り付けられた係止部130Aとから構成されている。係止部130Aは、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材により形成する他、粘着剤層により形成することができる。メカニカルファスナーフック材は、その表面に多数の係合突起を有するものである。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。
【0051】
ファスニングテープ130の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため好ましい。
【0052】
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためにターゲットテープ74を設けるのが好ましい。ターゲットテープ74は、係止部130Aがフック材の場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸が表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なフィルム状のものを用いることができる。また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ130の係止部130Aがフック材の場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック材130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。
【0053】
ファスニングテープ130は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ130の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ130の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ130の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0054】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
【0055】
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収体56とが近接しすぎると、吸収体56の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0056】
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましい。
【0057】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ130間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から、図3に示すように、二枚の不織布71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両不織布71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合における不織布71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0058】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収体56を横断するように配置すると、吸収体56のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収体56の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0059】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)に不織布71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの長手方向(おむつの幅方向)両端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0060】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収体56との間に挟まれるように設けられているが、本体部トップシート30と吸収体56との間や液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、本体部トップシート30の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚の不織布を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12の不織布間に設けても良い。
【0061】
(剥離シート及び補助シート)
特徴的には、本体部の表面(図示例の場合、中間シート40及び包装シート58の表面)上に、補助シート21を介して剥離シート20が積層されている。剥離シート20は液透過性シートであり、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであるのが好ましいが、非水解性シートを用いても良い。剥離シート20の坪量は10〜50g/m2程度であるのが好ましく、厚みは0.1〜5.0mm、特に0.3〜2.0mmであるのが好ましい。
【0062】
剥離シート20に用いる水解性シートとしては、不織布を用いる場合は、例えば繊維ウエブを水流交絡法により交絡してなるスパンレース不織布のように、熱融着あるいは接着剤のような繊維同士を強固に接合する手段を用いずに形成した不織布が好適であり、その原料繊維としては公知の繊維を用いることができるが、親水性繊維が好ましい。各繊維の繊維長は、排泄物による湿潤時には破れず且つ使用後に水洗トイレに廃棄する時には速やかに水解する観点から、6〜120mmであることが好ましい。木材パルプ、セルロース繊維など親水性繊維のように生分解性を有する繊維または、生分解性を有する樹脂からなる繊維を用いるのも好ましい。水解性の不織布としては、水溶性の接着材を用いたケミカルボンド法による不織布を用いることも可能である。
【0063】
剥離シート20の寸法及び配置は適宜定めることができ、股間部や排便口周辺等に局所的に設けることもできるが、吸収体56の全体を覆うように設けられるのが好ましい。より詳細には、剥離シート20の両側縁は吸収体56の両側縁と同位置か又は幅方向外側に位置していると好ましいが、吸収体56の両側縁よりも幅方向内側に位置させることもできる。また、剥離シート20の前後縁は、吸収体56の前後縁より外側に位置しているのが好ましいが、吸収体56の前後縁より前後方向中央側に位置していても良く、その場合の前後方向長さは吸収体56の前後長の1/4〜1/2程度とするのが好ましい。
【0064】
補助シート21は、表裏方向に貫通する多数の透孔hを有する液透過性シートであり、剥離シート20よりもおむつ前後方向の湿潤引張強度が高いものである。具体的に、各透孔hの面積は0.8〜180mm2程度、特に4〜40mm2程度、剥離シート20と補助シート21とが重なる部分に占める透孔hの総面積の割合は10〜90%程度、特に20〜60%程度であるのが好ましい。また、補助シート21の前後方向の湿潤引張強度(JIS P 8135−1998)は5.0N/25mm以上、特に20N/25mm以上であるのが好ましい。このように、補助シート21が高い湿潤引張強度を有するものであると、剥離シート20を剥がし取る際、補助シート21に伴って剥がし取るようにすれば、剥離シート20が例えば水解性シートのような湿潤強度の低いもの、具体的にはJIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が2.5N/25mm以下、特に1.0N/25mm以下のシートであっても、破れないように剥がしとることが可能となる。補助シート21としては、本体部トップシート30と同様の素材を用いることができるが、特に強度に優れたSMS不織布が好ましい。
【0065】
補助シート21の寸法及び配置も適宜定めることができるが、補助シート21は剥離シート20を支持して剥離するものであるため、補助シートの21の周縁は剥離シート20の周縁と同位置又は近傍(内側又は外側)に位置しているのが好ましく、補助シート20の前端部及び/又は後端部の少なくとも一部、あるいは補助シート20の両側部の少なくとも一部が肌当接表面に露出しているのがより好ましく、特に補助シート21の周縁が本体部の周縁の内側に位置し、且つ剥離シート20の周縁が補助シート21の周縁の内側に位置しているのが好ましい。
【0066】
補助シート21は本体部の表面に対して接着剤HMにより剥離可能に接着される。これに対して、剥離シート20は補助シート21の透孔hを通じて、接着剤HMにより本体部の表面に剥離可能に接着されるとともに、少なくとも透孔h近傍を除く部分では補助シート21の表面に接着されない。このような接着形態は、補助シート21及び剥離シート20の接着のための接着剤塗布を個別に行っても製造できるが、本体部表面と補助シート20との接着に際して、本体部表面における補助シート20の透孔hと重なる部分を含む範囲に接着剤HMを塗布した後、補助シート21及び剥離シート20の順に積層することでも製造することができる。後者の場合、透孔h近傍では補助シート21と剥離シート20とが弱く接着することがあるが、その接着力は接着していない状態に近いものである。もちろん、補助シート21及び剥離シート20は完全に非接着であることを排除するものではない。
【0067】
剥離シート20及び補助シートを接着するための接着剤HMは、スパイラル、サミット、ベタ、ビードなど既知の方法で塗布することができる。接着剤HMは補助シート21の全体にわたり塗布することもできるが、周縁部にのみ設ける等、適宜の塗布パターンを採用することができ、特に図示形態のように、前後方向に連続する塗布部分を幅方向に間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。反対に、幅方向に連続する塗布部分を前後方向に間隔を空けて複数本設けることもできる。
【0068】
剥離シート20の接着に際し、図7に示すように、剥離シート20の前端部及び後端部の少なくとも一方において、端部の少なくとも一部、好ましくは幅方向中間の一部UBを本体部の表面に接着せず、且つその幅方向両側の部分を透孔hを通じて接着剤HMにより本体部の表面に接着すると、非接着部UBにおいて、図5にも示すように補助シート21と本体部との間に指を入れる隙間23が形成される。使用者は、この隙間23に指を入れることにより、補助シート21を容易に剥がし始めることができる。この場合における非接着部UBは幅方向に間隔を空けて複数設けることができる。また、非接着部UBは端部の幅方向全体に設けてもよい。
【0069】
接着剤HMの種類や塗布量等の諸条件は、必要となる接着強度に応じて定めることができる。剥離シート20と補助シート21の積層体を本体部表面から剥がし取る際の剥離強度は、乾燥時及び湿潤時ともに0.8〜10N/25mm程度、特に2.0〜5.0N/25mm程度であるのが好ましい。また、補助シート21から剥離シート20を剥がし取る際の剥離強度は、乾燥時及び湿潤時ともに0.4N/25mm以下程度、特に0.1N/25mm以下程度であるのが好ましい。接着強度(180度剥離強度)の測定は、引張試験機(例えばSHIMADZU社製のAOUTGRAPHAGS−G100N)を用いて測定することができる。測定方法は、25mm×130mmに裁断した試料を作成し、あらかじめ長手方向5cmを剥がして引き剥がし口を形成しておき、20℃条件下において、チャック間50mm、引張速度300mm/minの条件で、前述の引き剥がし口から30mmの長さを引張試験機にて剥離して測定する。試料は長手方向が製品タテ方向となるものと、長手方向が製品ヨコ方向となるものの二種類を作成し、それぞれについて測定した値を平均して測定値とする。
【0070】
接着剤HMとしては、公知のホットメルト接着剤を好適に用いることができるが、SIS、SBS、SEBSなどをベースに粘着付与剤として水素添加石油樹脂を含有させたものは表面タック性が湿潤により低下するため、排泄物による湿潤時に強度を低下させないためにオレフィン系のホットメルト接着剤を使用するのは好ましい。
【0071】
かくして構成されたおむつにおいては、排泄物を取り除くために剥離シート20を剥がし取る際、図5に二点鎖線で示すように、補助シート21を本体部から剥がすことにより、補助シート21上に位置する剥離シート20を補助シート21に伴って本体部から剥がし取った後、補助シート21から剥離シート20を剥がし取ることができる。この時、剥離シート20が湿潤し破け易くなっていても、剥離シート20よりも湿潤引張強度の高い補助シート21が、その表面全体で剥離シート20を支持しつつ本体部から剥がし取ることができるため、補助シート21及び剥離シート20ともに破け難い。しかも、剥離シート20を補助シート21から剥離する際、両シートは透孔h近傍を除いて接着されておらず、実質的に接着されていないに等しいから湿潤により脆弱化した剥離シート20であっても補助シート21からは容易に剥離でき、破け難い。そして、排泄物は通常は剥離シート20のみに付着し、剥離シート20の破けが無い限り補助シート21に付着することは無いため、剥離シート20は水洗トイレに流す、或いは専用のゴミ箱に捨てる等、臭気の強い廃棄物として処理し、補助シート21及び本体部は臭気の弱い廃棄物として処理することができる。また、本形態では、包装シート58で包まれた吸収体56が、本体部トップシート30と液不透過性シート11との間に封じ込められているため、剥離シート20を補助シート21とともに剥がしても、内部素材が露出することはなく、通常の吸収性物品と変わらない状態となる。
【0072】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、図8〜図10に示されるように、第1の実施形態における本体部トップシート30を省略し、その代わりとして、補助シート21により、包装シート58により包まれた吸収体56(吸収要素50)の表面全体を覆うように構成したものである。特に本形態においては、包装シート58を吸収体56より若干長いものとし、吸収要素50の前後端が包装シート58によって封止されるようにすることが好ましい。この場合、本体部トップシート30のようなカバー資材を省略できる利点がある。剥離シート20を補助シート21とともに剥がすと内部素材が露出するが、吸収体56は包装シート58により包まれているため吸収体56の素材が零れ出るといった事態は防止することができる。本体部トップシート30を省略する場合、本体部立体ギャザー60は、補助シート21の幅方向両側部上に固着(固定)されるのが好ましいが、そうすると、補助シート21を本体部から剥がし取る際に固着部(固定部)が邪魔になる。そこで、剥離シート20の固着部(固定部)よりも幅方向内側(具体的には3〜20mm程度内側)にミシン目27を形成し、補助シート21の幅方向中間部のみが剥がし取れるように構成することが好ましい。特に、固着部(固定部)に沿うようにミシン目27を形成することが好ましい。また、ミシン目27を設けず、固着部(固定部)の剥離強度を弱くし、容易に剥ぎ取れるようにしてもよい。
【0073】
<第3の実施形態>
上述した形態では、排泄物の量が多い場合等においては、本体部立体ギャザー60の内面にも排泄物が付着することがある。よって、図11〜図13に示すように、剥離シート20の両側部を、平坦に潰れた状態で固定された前後端部25Xと、前後端部25Xの中間に位置し身体側に起立する起立部25Fとを有する剥離立体ギャザー25として構成し、排泄物が付着するおそれのある部分を、より広範囲に剥がせるようにするのが望ましい。なお。符号26は起立部25Fの先端に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材を示しており、起立の原理は本体部立体ギャザー60と同様である。
【0074】
ただし、本体部及び剥離シート20のそれぞれに立体ギャザー60,25を設けると、横漏れ防止効果が向上するため好ましいが、剥離立体ギャザー25と本体部立体ギャザー60とが干渉すると、横漏れ防止効果が低下したり、剥離シート20の剥がし取りが困難になったりするおそれがあるため、これを防止するのが好ましい。具体的に図示形態では、平面展開状態で、本体部立体ギャザー60の幅方向中央側の側縁を、剥離立体ギャザー25の幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置させているため、本体部立体ギャザー60と剥離立体ギャザー25とが幅方向に近接し、一体的な強固な防漏壁を形成するが、両ギャザー60,25が干渉し易い構造となるため、剥離シート20の前後端及び補助シート21の前後端を、本体部立体ギャザー60の起立部60Fの前後方向範囲60Y内に位置させている。よって、剥離立体ギャザー25が本体部立体ギャザー60と機能的に干渉し難くなり、剥離作業も容易となる。
【0075】
また、前後端部25Xの固定など、剥離シート20同士を固定する場合は、水溶性、非耐水性あるいは生分解性の接着剤にて固定するのが好ましく、剥離シート20に固定する細長状弾性伸縮部材には生分解性あるいは水溶性の樹脂からなるものを用いるのが好ましい。
【0076】
<第4の実施形態>
本体部及び剥離シートのそれぞれに立体ギャザー60,25を設ける場合、図14〜図16及び図17〜図19に示すように、平面展開状態で、本体部立体ギャザー60の幅方向中央側の側縁を、剥離立体ギャザー25の幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置させるのも好ましい形態である。この場合、本体部立体ギャザー60と剥離立体ギャザー25とが幅方向に近接せず、それぞれ独立した二重の防漏壁を形成する構造であるため、剥離立体ギャザー25が本体部立体ギャザー60と機能的に干渉せず、剥離作業も容易となる。
【0077】
なお、図14〜図16に示す形態は、本体部立体ギャザー60において、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部60Xを、幅方向中央側の部分から幅方向外側に延在する基端側部分と、この基端側部分の幅方向外側の端縁から幅方向中央側に折り返され、剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁近傍まで延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、前後方向においてこれらの間の部分を非固定の自由部分60Fとしたものである。
【0078】
また、図17〜図19に示すように、本体部立体ギャザー60において、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部60Xを、幅方向外側の部分から幅方向中央側に向かい剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁近傍まで延在する基端側部分と、この基端側部分の幅方向中央側の端縁から幅方向外側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、前後方向においてこれらの間の部分を非固定の自由部分60Fとすることもできる。
【0079】
<第5の実施形態>
排泄物の表面付着部位は局所的な場合もある。このような場合に、排泄物の付着部位以外の部分までも剥がして捨てるのは好ましくない。例えば剥離シート20を水解性として水洗トイレに流す場合では、シート量が多いほど詰まりを引き起こすおそれが高くなる。また、剥離立体ギャザー25を設ける場合は、その先端部の弾性伸縮部材26までも水洗トイレに流すことはできない。よって、剥離シート20に適宜のミシン目27を形成し、剥離シート20のうち所望の部位のみを補助シート21から剥がし取って廃棄できるようにするのが好ましい。
【0080】
図20はこの具体例を示しており、剥離シート20の幅方向両側部20S及びその間の中間部20Mのうち、両側部20Sと中間部20Mとの各境界に沿ってミシン目27が形成されているものである。これにより、剥離シート20における特に排泄物が付着し易い幅方向中間部20Mをミシン目27により幅方向両側部から容易に切り離すことができるため、付着排泄物が少量の場合等において必要な部分だけを容易に分離除去することができる。この場合における両側部20Sの幅は、剥離シート20の幅の0.05〜0.4倍程度とするのが好ましい。特に図示形態のように、剥離シート20が剥離立体ギャザー25を有する場合、ミシン目27を剥離立体ギャザー25とそれらの間の部分の境界に沿って形成するのが好ましい。この場合、剥離立体ギャザー25に排泄物が付着していない場合等、必要に応じて、剥離立体ギャザー25部分を残してそれらの間の部分のみを補助シート21から剥離し、廃棄することができる。
【0081】
また、この形態では、中間部20Mのみの剥離を容易にするために、剥離シート20の両側部における補助シート21に対する接着強度を中間部20Mよりも高くするのも好ましい形態である。このような強度差は接着剤HMの塗布量により調整することができる。
【0082】
<その他>
上記各実施形態の一部の構成を、その技術的意義を損ねない範囲において他の実施形態の一部又は全部の構成と組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、上記例のような止着式使い捨ておむつやパンツ型使い捨ておむつに好適なものであるが、他の形態の使い捨ておむつにも適用できるものである。例えば、パンツ型使い捨ておむつでは、上記例のような腹側外装シートと背側外装シートが離間された構造に限らず、腹側から股間部を経て背側に至る一体的な外装シートを有する構造も当然含み、また、おむつカバー型のおむつとパッド型のおむつを組み合わせて用いるようなその他の形状の使い捨ておむつにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図2】第1の実施形態のおむつの展開状態を裏面側から見た平面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】図1の6−6断面図である。
【図7】第1の実施形態のおむつの要部のみを示す平面図である。
【図8】第2の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図9】図8の3−3線断面図である。
【図10】図8の4−4線断面図である。
【図11】第3の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図12】図11の3−3線断面図である。
【図13】図11の4−4線断面図である。
【図14】第4の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図15】図14の3−3線断面図である。
【図16】図14の4−4線断面図である。
【図17】第4の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【図18】図17の3−3線断面図である。
【図19】図17の4−4線断面図である。
【図20】第5の実施形態のおむつの展開状態を表面側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…吸収性本体部、11…液不透過性シート、12…外装シート、20…剥離シート、21…補助シート、25…剥離立体ギャザー、27…ミシン目、30…本体部トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…本体部立体ギャザー、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート、HM…接着剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接表面を構成する液透過性の剥離シートと、剥離シートより裏面側に位置し、吸収体を含む部分である本体部とを備えており、前記剥離シートは前記本体部から剥がし取ることができるように取り付けられている、吸収性物品において、
前記剥離シートと前記本体部との間に、前記本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シートを備えており、
この補助シートは、表裏方向に貫通する複数の透孔を有するとともに、前記剥離シートよりも前後方向の湿潤引張強度が高いものであり、
前記剥離シートは、前記透孔を通じて前記本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも前記透孔近傍を除く部分では前記補助シートの表面に接着されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記剥離シートは、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであり、前記補助シートは、JIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が5.0N/25mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
各透孔の面積は0.8〜180mm2であり、且つ前記剥離シートと前記補助シートとが重なる部分に占める前記透孔の総面積の割合は10〜90%である、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記補助シートの前後端はそれぞれ前記剥離シートの前後端と同位置又は近傍に位置しており、前記剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方の端部の少なくとも一部は、前記本体部の表面に接着されていない、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記補助シートの周縁は前記本体部の周縁近傍又は周縁の内側に位置し、且つ前記剥離シートの周縁は前記補助シートの周縁の内側に位置し、さらに前記補助シートの周縁の少なくとも一部が肌当接表面に露出している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記剥離シートの幅方向両側部とその間の中間部との各境界に沿ってミシン目が形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記本体部は、前記吸収体の表面全体を覆う液透過性の本体部トップシートと、前記吸収体の裏面全体を覆う液不透過性シートとの間に前記吸収体を封じ込めてなるものである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体は、繊維集合体からなるものであり、
前記本体部は、前記吸収体の全体を包む液透過性の包装シートと、これらの裏面側に配置された液不透過性シートとを有し、且つ前記包装シートと前記補助シートとの間に前記吸収体の表面全体を覆うシートを有しないものであり、
前記補助シートが前記吸収体の表面全体を覆うように構成されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記剥離シートの両側部は、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する剥離立体ギャザーとして構成されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置するとともに、
前記剥離シートの前後端及び前記補助シートの前後端が、前記本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【請求項1】
肌当接表面を構成する液透過性の剥離シートと、剥離シートより裏面側に位置し、吸収体を含む部分である本体部とを備えており、前記剥離シートは前記本体部から剥がし取ることができるように取り付けられている、吸収性物品において、
前記剥離シートと前記本体部との間に、前記本体部から剥離できるように設けられた液透過性の補助シートを備えており、
この補助シートは、表裏方向に貫通する複数の透孔を有するとともに、前記剥離シートよりも前後方向の湿潤引張強度が高いものであり、
前記剥離シートは、前記透孔を通じて前記本体部の表面に接着されるとともに、少なくとも前記透孔近傍を除く部分では前記補助シートの表面に接着されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記剥離シートは、JIS P 4501−1993に準じて測定されるほぐれやすさが100秒以内の水解性シートであり、前記補助シートは、JIS P 8135−1998に準じて測定される前後方向の湿潤引張強度が5.0N/25mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
各透孔の面積は0.8〜180mm2であり、且つ前記剥離シートと前記補助シートとが重なる部分に占める前記透孔の総面積の割合は10〜90%である、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記補助シートの前後端はそれぞれ前記剥離シートの前後端と同位置又は近傍に位置しており、前記剥離シートの前端部及び後端部の少なくとも一方の端部の少なくとも一部は、前記本体部の表面に接着されていない、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記補助シートの周縁は前記本体部の周縁近傍又は周縁の内側に位置し、且つ前記剥離シートの周縁は前記補助シートの周縁の内側に位置し、さらに前記補助シートの周縁の少なくとも一部が肌当接表面に露出している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記剥離シートの幅方向両側部とその間の中間部との各境界に沿ってミシン目が形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記本体部は、前記吸収体の表面全体を覆う液透過性の本体部トップシートと、前記吸収体の裏面全体を覆う液不透過性シートとの間に前記吸収体を封じ込めてなるものである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体は、繊維集合体からなるものであり、
前記本体部は、前記吸収体の全体を包む液透過性の包装シートと、これらの裏面側に配置された液不透過性シートとを有し、且つ前記包装シートと前記補助シートとの間に前記吸収体の表面全体を覆うシートを有しないものであり、
前記補助シートが前記吸収体の表面全体を覆うように構成されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記剥離シートの両側部は、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する剥離立体ギャザーとして構成されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向中央側に位置するとともに、
前記剥離シートの前後端及び前記補助シートの前後端が、前記本体部立体ギャザーの起立部の前後方向範囲内に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記本体部の両側部に、平坦に潰れた状態で固定された前後端部と、前後端部の中間に位置し身体側に起立する起立部とを有する本体部立体ギャザーを有し、
平面展開状態で、前記本体部立体ギャザーの幅方向中央側の側縁が、前記剥離立体ギャザーの幅方向外側の側縁よりも、幅方向外側に位置している、
請求項9記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−240589(P2009−240589A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91733(P2008−91733)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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