吸収性物品
【課題】シール部の折り返りによる装着感の悪化を抑制する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】少なくとも一部が液透過性の表面シート部2と、液不透過性の裏面シート部3と、表面シート部2と裏面シート部3との間に配置される吸収体部4と、表面シート部2と裏面シート部3とを接合する接合部6と、を備える吸収性物品1であって、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うようして形成されると共に、表面シート部2と裏面シート部3が外縁から所定の幅で接合されて形成される複数の第1シール部61と、2つの第1シール部61の間に第1シール部61の外縁に沿う方向の長さよりも短い長さで形成される第2シール部63と、を備え、第2シール部63は、第1シール部61よりも低剛性である。
【解決手段】少なくとも一部が液透過性の表面シート部2と、液不透過性の裏面シート部3と、表面シート部2と裏面シート部3との間に配置される吸収体部4と、表面シート部2と裏面シート部3とを接合する接合部6と、を備える吸収性物品1であって、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うようして形成されると共に、表面シート部2と裏面シート部3が外縁から所定の幅で接合されて形成される複数の第1シール部61と、2つの第1シール部61の間に第1シール部61の外縁に沿う方向の長さよりも短い長さで形成される第2シール部63と、を備え、第2シール部63は、第1シール部61よりも低剛性である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肌当接面を形成する表面シートと、非肌当接面を形成する裏面シートと、液保持性の吸収層とを備る生理用ナプキン等の吸収性物品において、該表面シートと裏面シートを接合するためのシール部が形成されたものが広く知られている。このシール部は、例えば、細かな加熱圧着部を連続的に形成することで、全体として吸収性物品の外縁に沿うように略等幅の帯状に形成される。ここで、シール部における加熱圧着部は、この加熱圧着処理により硬化し、装着時における不快感の原因になる場合があった。この加熱圧着部により生じる装着時の不快感を抑制することが課題の一つであった。
【0003】
これに対し、シール部における加熱圧着部を、このシール部を形成する部分の厚さが厚い領域では加熱圧着部の幅や面積を大きくし、厚さが薄い領域では加熱圧着部の幅や面積を小さくすることで、シール部における接合性を確保すると共に、装着感の悪化を防止する吸収性物品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、加熱圧着等により接合され形成されたシール部は硬化しているので、シール部が一体的に肌側に折り返る場合があり、この折り返りにより装着感は更に悪化する。例えば、図14から図17に示すように、外縁における全体又は所定領域に接合部6が略等幅で連続的に形成されている従来の吸収性物品1H、1I、1J、1Kにおいて、接合部6における所定領域が一体的に肌側に折り返る場合がある。具体的には、図18及び図19に示すように、吸収性物品1Hにおける長手方向の端部側が一体的に折り返ることや、長手方向における側面側が一体的に折り返ることで折り返り部65が形成される場合がある。そして、この折り返り部65が肌に当たることで使用者に不快感を与える場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3611761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1における吸収性物品は、シール部における加熱圧着部を、シール部を形成する部分における厚さが厚い領域では加熱圧着部の幅や面積を大きくし、厚さが薄い領域では加熱圧着部の幅や面積を小さくすることで、シール部における接合性を確保すると共に、装着感の悪化を防止している。
【0007】
しかし、特許文献1における吸収性物品においても、シール部が折り返ることを防止する手段は講じられていない。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、シール部の折り返りによる装着感の悪化を抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、シール部の形状を工夫することで、シール部の一体的な折り返りを抑制できることを見出し、以下のような吸収性物品を発明した。
【0010】
(1) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、前記第1シール部よりも低剛性である吸収性物品。
【0011】
(1)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部と、を備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようにして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、第2シール部は、第1シール部よりも低剛性である。
【0012】
接合部は、複数の第1シール部と、第1シール部よりも剛性が低い1又は複数の第2シール部とを備える。例えば、剛性が低い第2シート部を、所定の第1シート部とこれに隣接する第1シール部との間に形成することで、接合部が大きく一体的に折り返ることを防止することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性の第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0013】
(2) 前記第2シール部は、非シール部又は前記第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である(1)に記載の吸収性物品。
【0014】
(2)の発明によれば、吸収性物品における第2シール部は、非シール部又は第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である。非シール部は、表面シート部と裏面シート部とを接合しない領域であり、例えば、加熱圧着処理等がされていない領域である。また、接合幅とは、第1シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離であり、第1シール部よりも接合幅が狭いシール部とは、第2シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離が、前記第1シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離が短いことをいう。第2シート部を、非シール部又は第1シール部よりも接合幅が狭いシール部とすることで、第2シート部を第1シート部よりも低剛性にすることができる。これにより、接合部における材質や接合方法を変えることなく第2シール部を低剛性化することができる。
【0015】
(3) 前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される(1)又は(2)に記載の吸収性物品。
【0016】
(3)の発明によれば、吸収性物品において、第1シール部と第2シール部とは、外縁方向において互いに交互に形成される。第1シール部と第2シール部とが、外縁方向において交互に形成されることで、接合部において、低剛性である第2シール部が所定間隔で形成される。これにより、吸収性物品が変形した際における軽い折れ曲がりや、軽いねじれが所定間隔で形成されるので、接合部は、吸収性物品の変形に追従した変形をすることができ、接合部が一体的に折り返ることを好適に抑制することができる。
【0017】
(4) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、非シール部であり、前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される吸収性物品。
【0018】
(4)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部とを備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、この第2シール部は非シール部であり、第1シール部と前記第2シール部とは、外縁方向において互いに交互に形成されることを特徴とする。このように、接合部が複数の第1シール部と、非シール部である1又は複数の第2シール部とを備え、第1シール部と非シール部である第2シール部を外縁方向において交互に形成することで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、所定間隔で形成される非シール部である第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0019】
(5) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、前記第1シール部と連続して形成され前記第1シール部よりも接合幅が狭い吸収性物品。
【0020】
(5)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部とを備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、第2シール部は、第1シール部と連続して形成され第1シール部よりも接合幅が狭いことを特徴とする。
【0021】
このように、接合部が、複数の第1シール部と、第1シール部に連続して形成され第1シール部よりも接合幅が狭い1又は複数の第2シール部を備えることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、第1シール部よりも接合幅が狭い第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0022】
更に、接合部において、第1シール部と第2シール部とは連続して形成されるので、接合部が形成される外縁領域は連続的に接合されている。これにより、例えば、吸収性物品における防液性を向上させると共に、口開き等を好適に抑制することができる。
【0023】
(6) 前記接合部における少なくとも一方の側部は、略蛇行状又は略波状に形成される(5)に記載の吸収性物品。
【0024】
(6)の発明によれば、接合部における少なくとも一方の側部は、略蛇行状又は略波状に形成される。これにより、第2シール部の接合幅を、第1シール部における接合幅よりも狭くすることができると共に、吸収性物品が変形した場合において、軽く屈曲したり、軽くねじれる低剛性である変形部を形成することができる。
【0025】
(7) 前記第1シール部の接合幅は、20mm以下である(5)又は(6)に記載の吸収性物品。
【0026】
(7)の発明によれば、第1シール部の接合幅は、20mm以下であることを特徴とする。これにより、通常の装着時における装着感を好適に保つことができると共に、例えば、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合に感じる不快感も抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シール部の折り返りによる装着感の悪化を抑制する吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態における吸収性物品の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における吸収性物品の構成を説明するために簡略化した断面図である。
【図3】図1における領域Aの拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態における吸収性物品の使用状態における斜視図である。
【図5】第2実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Bの拡大図である。
【図6】第2実施形態における吸収性物品のシール部が折り返った状態を示す図である。
【図7】第3実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Cの拡大図である。
【図8】第4実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Dの拡大図である。
【図9】第5実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Eの拡大図である。
【図10】第6実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Fの拡大図である。
【図11】第7実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Gの拡大図である。
【図12】第8実施形態における吸収性物品の平面図である。
【図13】第4実施形態における吸収性物品のシール工程を説明する図である。
【図14】従来例1における吸収性物品の平面図である。
【図15】従来例2における吸収性物品の平面図である。
【図16】従来例3における吸収性物品の平面図である。
【図17】従来例4における吸収性物品の平面図である。
【図18】従来例1の吸収性物品におけるシール部の長手方向端部が折り返った状態を示す図である。
【図19】従来例1の吸収性物品におけるシール部の長手方向側部が折り返った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の平面図である。図2は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の構成を説明するために簡略化した断面図であり、(a)Y‐Y´断面図、(b)X‐X´断面図、(c)Z‐Z´断面図である。図3は、図1における領域Aの拡大図である。図4は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の使用状態における斜視図である。図5は、第2実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Bの拡大図である。図6は、第2実施形態における吸収性物品のシール部が折り返った状態を示す図である。図7は、第3実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Cの拡大図である。図8は、第4実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Dの拡大図である。図9は、第5実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Eの拡大図である。図10は、第6実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Fの拡大図である。図11は、第7実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Gの拡大図である。図12は、第8実施形態における吸収性物品の平面図である。図13は、第4実施形態における吸収性物品の(a)シール工程を説明する図であり、(b)及び(c)シール部のパターンが形成されたロール部を展開した図である。
【0030】
[1]吸収性物品の全体構造
本発明の第1実施形態における吸収性物品1により、本発明の吸収性物品における全体構造について説明する。
【0031】
[1.1]全般
図1から図4に示すように、吸収性物品1は略縦長状であって、少なくとも一部が液透過性の表面シート部2と、液不透過性の裏面シート部3と、表面シート部2と裏面シート部3との間に配置される吸収体部4と、表面シート部2と裏面シート部3とを接合する接合部6と、を備える。本実施形態においては、更に、表面シート部2と吸収体部4との間に配置される液透過性の中間シート部5と、防液溝10、11と、防漏シート90と、を備える。防漏シート90は、吸収性物品1における幅方向に延びて表面シート部2の一部であるサイドシート12を構成することができる。
【0032】
吸収性物品1は、長手方向における後方側に長い吸収性物品であり、具体的には尾てい骨まで覆うような後方側に長い吸収性物品である。この吸収性物品1の長手方向における長さは、例えば、290mmから420mm、好ましくは330mmから400mmを例示できる。この例示した長さの吸収性物品1は、例えば、就寝時における寝姿勢時(例えば、夜用として)において好適に使用することができる。ここで、本実施形態においては、例えば、夜用として用いられる吸収性物品について説明するが、本発明における吸収性物品はこれに限定されない。例えば、本発明の吸収性物品は、本実施形態における吸収性物品1よりも短い、いわゆる昼用の吸収性物品を含むものである。
【0033】
少なくとも一部が表面シート部2は、使用時には身体側に配置されると共に排泄部に当接される。表面シート部2は、全面が液透過性であっても、一部が液透過性であっても良く、また、一枚のシート状部材で構成されていても、複数のシート状部材が接着されて構成されていても良い。本実施形態においては、表面シート部2は、吸収性物品1の幅方向における中央部に液透過域を備え、幅方向における端部側に液不透過性のサイドシート12を備える。このサイドシート12は、防漏シート90が吸収性物品1における幅方向に延びて形成される。そして、排泄部から排泄される経血等の排泄物は、表面シート部2における液透過域及び中間シート部5を透過して、吸収体部4に吸収される。下着側に配置される裏面シート部3は液不透過性であるので、排泄物は下着側には透過せず、吸収体部4に吸収された状態で保持される。
【0034】
経血等の排泄物の漏れを防ぐため、防液溝10、11及び防漏シート90が配置されている。防液溝10、11は、圧着部9が吸収体部4を囲むように連続的に形成されてなり、主に、吸収体部4に吸収された経血等の排泄物の漏れを防止する。
【0035】
防漏シート90は、表面シート部2の上面側であって、吸収体部4の幅方向における側端部近傍に形成され、身体に装着した状態において起立壁を形成するように配置される。防漏シート90は、主に、排泄部から排泄された経血等の排泄物であって、表面シート部2の上面を流れる排泄物の漏れを防止する。ここで、防漏シート90は、例えば、高分子弾性樹脂等の伸縮可能な材質を含むことで、装着時において身体の動きに柔軟に対応することができる起立壁を形成することができる。つまり、ゴムのような弾性部材を防漏シート90に配置することで、起立壁を形成することができる。また、上述の通り、防漏シート90が吸収性物品1の幅方向における端部側に延びて表面シート部2の一部であるサイドシート12を構成する場合がある。
【0036】
防漏シート90は、例えば、スパンボンド不織布や、ポイントボンド不織布、スルーエアー不織布等が挙げられ、これらに撥水処理が施されてあってもよい。なかでも極細繊維で構成され、繊維間距離が非常に小さいメルトブローンを含むSMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であることが好ましい。
【0037】
また、図2(b)及び(c)に示すように、吸収性物品1における幅方向の端部側における防漏シート90が吸収性物品1の幅方向に延びて形成されるサイドシート12と、裏面シート部3との間には防水シート95が積層配置される。防水シート95は、ヒップフラップ部Hのヨレやシワ防止を目的として配置され、例えば、撥水性の防水紙等で構成される。
【0038】
ここで、表面シート部2と中間シート部5は、ホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート部2、中間シート部5と吸収体部4は、ホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート部2と裏面シート部3は、ホットメルト接着剤及び加熱圧着等により形成される接合部6により貼り合わされるようにして接合される。また、防漏シート90と表面シート部2は、例えば、ホットメルト接着剤又は加熱圧着処理等により形成される所定の接合部6により接合される。また、防漏シート90と裏面シート部3は、ホットメルト接着剤又は加熱圧着処理等により形成される所定の接合部6により接合される。全体的には、ホットメルト接着剤により各シート部における面と面とを接着し、各シート部における端部を加熱圧着処理により形成される接合部6により接合している。
【0039】
図2(b)及び(c)で示すように、表面シート部2と裏面シート部3との間に防水シート95が配置されている部分、例えば、サイドフラップ部W1、W2やヒップフラップ部Hにおいては、防漏シート90と防水シート95はホットメルト接着剤により接合される。また、防水シート95と裏面シート部3はホットメルト接着剤により接合される。
【0040】
ここで、ホットメルト接着の塗工パターンは、例えば、スパイラル塗工、コントロールシーム塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。ホットメルト接着における接着剤の目付量は、1g/m2から30g/m2が好ましく、更には3g/m2から10g/m2であることが好ましい。また、接着剤が線状に塗工されているパターンの場合には、その線径は30μmから300μmであることが好ましい。
【0041】
[1.2]接合部
図1、3及び4に示すように、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うように形成される。本実施形態において、接合部6は、ヒップフラップ部Hの側方に形成される接合部6A、6Bと、サイドフラップ部W1、W2に形成される接合部6C、6Dと、ヒップフラップ部Hの長手方向端部に形成される接合部6Eと、前方Mの長手方向端部に形成される接合部6Fとを備える。
【0042】
本実施形態において、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fには、それぞれ複数の略半円状のシール部610が連続的に形成され、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fの形状は、吸収性物品1における内側が略波状になるように形成されている。
【0043】
接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fは、それぞれ第1シール部61と、第1シール部61に連続して形成される第2シール部63を備える。第2シール部63における接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりも狭くなるように形成されている。
【0044】
本実施形態において、第1シール部61は略半円状のシール部610の略中央に形成されており、これに隣接する第1シール部61との間隔pは、例えば、5mmから50mmが好ましく、特に10mmから30mmが好ましい。この間隔pが5mm以下の場合には、本発明における折り返し抑制効果が低減し、間隔pが50mm以上の場合には、この間隔pにおける第2シール部63を含むシール部分が大きく折り返る場合があるので好ましくない。ここで、間隔pは、他の実施形態においては、第1シール部61とこれに隣接する第1シール部61との間隔ではなく、第1シール部61と同じ接合幅hである所定のシール部との間隔を示す場合もある。
【0045】
第1シール部61を含む略半円状のシール部の接合長さWは特に制限されないが、例えば、間隔p同様に設定することができる。
【0046】
本実施形態において、第1シール部61及び第2シール部63は、所定の加熱圧着処理(加熱シール)により形成される。第1シール部61及び第2シール部63には、不図示の細かな加熱圧着部が連続的に形成されており、この不図示の加熱圧着部の集合が本実施形態における第1シール部61及び第2シール部63である。
【0047】
上述のように、第1シール部61及び第2シール部63は加熱圧着処理(加熱シール)されることで形成されるので、表面シート部2、防漏シート90が吸収性物品1の幅方向に延びて形成されるサイドシート12や裏面シート部3における第1シール部61及び第2シール部63は、他の部分に比べて硬化している。
【0048】
ここで、図3に示すように、第2シール部63の接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりも狭くなるように形成されている。具体的には、第1シール部61の接合幅hは、20mm以下、好ましくは10mm以下にすることができる。第1シール部61は、上述のように硬化しているので、接合幅hが20mm以上であると装着性が悪化する場合がある。特に、第1シール部61が折り返った場合には、この接合幅hが大きいほど、使用者は不快感を感じるので好ましくない。また、第2シール部63の接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりもできるだけ狭いほど好ましいが、実際の製造を考慮すると、2mmから5mmが好ましい。
【0049】
上述のように、第1シール部61及び第2シール部63を形成することで、第2シール部63を第1シール部61よりも低剛性にすることができる。このように、第2シール部63を第1シール部61よりも低剛性にすることで、接合部6おいて、例えば、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fのいずれかにおいて、接合部分全体が折り返ることを抑制することができる。
【0050】
具体的には、例えば、吸収性物品1が変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性の第2シール部63において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fが一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63とこれに隣接する第2シール部63とを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。
【0051】
つまり、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)や所定の接着剤等による接合より接合部6は硬化するが、変形しやすいように低剛性化された第2シール部63を所定間隔で形成することで、上述のように、接合部6において大きな折り返しが生じることを抑制できる。
【0052】
更に、本実施形態の吸収性物品1における接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fは、第1シール部61と第2シール部63とが連続して形成されているので、外縁における所定領域をしっかりとシールされており、外縁における口開き等を好適に抑制することができる。
【0053】
ここで、接合部6において、第1シール部61と第2シール部63とが連続していることから、本実施形態における吸収性物品1は、例えば、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うよう連続して形成される連続シール部と、連続シール部の側面に連続すると共に連続シール部に沿うようにして形成される間欠シール部と、を備える吸収性物品1であるといえる。そして、間欠シール部は、複数の加熱シール等がされたシール部と、複数の加熱シール等がされていない非シール部とを備え、シール部と非シール部とは、吸収性物品1における外縁方向において互いに交互に形成される。
【0054】
上記より、本実施形態における吸収性物品1は、使用時等における外縁に形成された接合部6が大きく折り返ることを抑制するので、かゆみや擦れといった装着感の悪化を抑制すると共に、外縁における口開き等を抑制することができる。
【0055】
また、接合部6は、表面に突状部が所定形状に形成されたパターンロールと、表面が略平らである平滑ロールとの間を、所定の圧力及び熱を加えた状態で通過させることで、例えば、本実施形態における接合部6を形成することができる。この接合部6の形成については、後述する第4実施形態の説明において再度説明する。
【0056】
[1.3]使用態様
図1及び図4により、第1実施形態における吸収性物品1により、本発明の吸収性物品における使用態様の一例について説明する。
【0057】
図1及び図4により、吸収性物品1の使用態様例として、就寝時における寝姿勢における使用態様を説明する。図4に示すように、寝姿勢における使用状態においては、吸収性物品1における後方側860が床面と略平行に配置され、前方側840が該吸収性物品1における後方側860に対して所定角度をなすように、言い換えると、床面に対して所定の角度をなすようにして配置される。通常の吸収性物品と同様に、ウィング状のサイドフラップW1、W2を折り返すと共に、粘着部7、粘着部8、粘着部71及び粘着部72により下着等に固定する。
【0058】
ウィング状のサイドフラップW1、W2は、表面シート部2を構成するサイドシート12の一部が側方に延在されると共に、裏面シート部3の一部が幅方向外側に延在され、これら延在されたサイドシート12の延在部分と、裏面シート部3の延在部分との間に不図示の防水シート95を配置し、それぞれをホットメルト接着剤により接合して形成される。更に、ウィング状のサイドフラップW1、W2の外縁を、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)することで接合部6C、6Dを形成して接合する。
【0059】
ここで、就寝時等における寝姿勢において吸収性物品1を使用した場合には、例えば、後方側860は床面に強く当接された状態であり、この状態で身体の位置をずらすと接合部6A、6Bや6Eが折り返されるような力が働くことになる。このような場合において、本実施形態における吸収性物品1は、上述のように、第1シール部61と、第1シール部61よりも接合幅が狭い第2シール部63とを備えるので、このような身体の動きによる吸収性物品1の変形にも、接合部6が好適に追従して緩やかに変形し、接合部6が大きく折り返ることを抑制することができる。
【0060】
また、就寝時等のような長時間使用する場合においては、特に、加熱シール部等の接合部6の面積が小さいほど不快感が少なく、更には、接合部6が大きく折り返ることを抑制することで、不快感をより少なくすることができる。
【0061】
更には、就寝時等における寝姿勢では、前方側840で吸収された経血等の排泄物が、折り曲げ部850に対して後方である後方側860まで流れる場合がある。そして、この状態で長時間経過すると、経血等の排泄物が裏面シート部3上を流れて、吸収性物品1における外縁まで達する場合がある。このような場合においても、接合部6A、6Bや6Eは連続的に接合されているので、経血等の排泄物の漏れを抑制することができる。
【0062】
ここで、本実施形態において、吸収性物品1の長手方向における端部側に形成される接合部6E、6Fには目印T、Tが形成され、吸収性物品1の側部に形成されるサイドフラップ部W1、W2の幅方向におけるに端部側に形成される接合部6C、6Dには目印S、Sが形成されている。この目印T、Tは、吸収性物品1の幅方向における中央部を示すものである。目印S、Sは、サイドフラップ部W1、W2の長手方向における中央を示すものである。目印T、T、S、Sは、いずれも接合部6において接合部分に切れ込みがなされたような形状である。この目印T、Tは、例えば、ショーツのクロッチ部の長手方向中心線との位置合わせのために利用される。また、目印S、Sは、ショーツのクロッチ部の最小幅部との位置合わせのために利用される。このため、使用者は、本実施形態に係る吸収性物品1をショーツに固定する際に、ショーツと吸収性物品1との位置関係を一見して容易に把握できる。従って、前後左右に装着位置のズレが生じることも殆どなく、安定した装着状態を確保できる。ここで、本実施形態においては、目印T、T、S、Sの位置に第2シール部63を形成することで、目印としての機能と折り返り抑制機能の双方を発揮させることができる。
【0063】
[2]第2実施形態及び第3実施形態
図5から図7により第2実施形態及び第3実施形態における吸収性物品を説明する。図5から図7においては、本発明の特徴を理解しやすくするため吸収性物品の外形と接合部のみを図示する。図5及び図6に示すように、第2実施形態の吸収性物品1Aには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、略正方形状に形成された第1シール部61Aと、接合されていない非シール部である第2シール部63Aとを備える。第1シール部61Aと非シール部である第2シール部63Aとは、吸収性物品1Aにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0064】
本実施形態における接合部6の第1シール部61Aは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、非シール部である第2シール部63Aが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0065】
具体的には、例えば、吸収性物品1Aが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Aにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。
【0066】
図6に示すように、例えば、所定の第2シール部63Aとこれに隣接する不図示の第2シール部63Aとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。
【0067】
ここで、接合幅h及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0068】
図7に示すように、第3実施形態における吸収性物品1Bには、第2実施形態における吸収性物品1Aと同様に、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における吸収性物品1Bは、両側部にサイドフラップ部WBを備え、接合部6はこのサイドフラップ部WBにも形成されている。
【0069】
本実施形態における接合部6は、第2実施形態と同様に、略正方形状に形成された第1シール部61Bと、接合されていない非シール部である第2シール部63Bとを備える。第1シール部61Bと非シール部である第2シール部63Bとは、吸収性物品1Bにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0070】
本実施形態における接合部6の第1シール部61Bは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、非シール部である第2シール部63Bが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0071】
具体的には、例えば、吸収性物品1Bが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Bにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63Bとこれに隣接する第2シール部63Bとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。ここで、接合幅h及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0072】
[3]第4実施形態から第8実施形態
図8から図13により第4実施形態から第8実施形態における吸収性物品を説明する。図8から図12においては、本発明の特徴を理解しやすくするため吸収性物品の外形と接合部のみを図示する。図8に示すように、第4実施形態の吸収性物品1Cには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、接合幅hの第1シール部61Cと、第1シール部61よりも狭い接合幅h1である第2シール部63Cとを備える。第1シール部61Cと、第2シール部63Cとは連続して形成されると共に、吸収性物品1Cにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。接合部6の吸収性物品1Cにおける内側の形状が略蛇行状になるように形成されている。
【0073】
本実施形態における接合部6の第1シール部61C及び第2シール部63Cは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Cが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0074】
具体的には、例えば、吸収性物品1Cが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Cにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63Cとこれに隣接する第2シール部63Cとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。ここで、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0075】
本実施形態における吸収性物品1Cにおける接合部6は、図13に示すように、表面45に突状部451が所定形状に形成されたパターンロール310と、表面47が略平滑な平滑ロール320との間に、吸収性物品1Cを所定の圧力及び熱を加えた状態で通過させることで、本実施形態における接合部6を形成することができる。ここで、通常は、肌触りのことを考慮して、表面シート部2側から突状部451を有するパターンロール310を押圧し、裏面シート部3側から平滑ロール320を押圧して接合部6を形成するようにする。
【0076】
図9に示すように、第5実施形態の吸収性物品1Dには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、複数の略半円状のシール部610Dが連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Dにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61Dは略半円状のシール部610Dの略中央に形成されており、第2シール部63Dは、所定の略半円上のシール部610Dと、これに隣接する略半円上のシール部610Dとの間に形成される。つまり、吸収性物品1Dは、接合幅hの第1シール部61Dと、第1シール部61Dよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Dとを備えると共に、第1シール部61Dと、第2シール部63Dとは、吸収性物品1Dにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0077】
本実施形態における接合部6の第1シール部61D及び第2シール部63Dは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Dが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0078】
図10に示すように、第6実施形態の吸収性物品1Eには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、接合幅hの第1シール部61Eと、第1シール部61Eよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Eとを備える。第1シール部61Eと、第2シール部63Eとは連続して形成されると共に、吸収性物品1Eにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。接合部6の吸収性物品1Eにおける内側の形状が略蛇行状になるように形成されている。
【0079】
本実施形態における接合部6の第1シール部61E及び第2シール部63Eは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Eが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0080】
図11に示すように、第7実施形態の吸収性物品1Fには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、複数の略半円状のシール部610Fが連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Fにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61Fは略半円状のシール部610Fの略中央に形成されており、第2シール部63Fは、所定の略半円状のシール部610Fと、これに隣接する略半円上のシール部610Fとの間に形成される。つまり、吸収性物品1Fは、接合幅hの第1シール部61Fと、第1シール部61Fよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Fとを備えると共に、第1シール部61Fと、第2シール部63Fとは、吸収性物品1Fにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0081】
本実施形態における接合部6の第1シール部61F及び第2シール部63Fは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Fが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0082】
図12に示すように、第8実施形態の吸収性物品1Gには、ヒップフラップ部HGの側部における外縁に沿うように接合部6A、6Bが形成されている。本実施形態における吸収性物品1Gは、第1実施形態における吸収性物品1の変形例であり、ヒップフラップ部HGの側部のみにおいて、第1シール部61と第2シール部63とを備える接合部6A、6Bが形成されている。
【0083】
本実施形態における接合部6A、6Bは、複数の略半円上のシール部610が連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Gにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61は略半円状のシール部610の略中央に形成されており、第2シール部63は、所定の略半円上のシール部610と、これに隣接する略半円状のシール部610との間に形成される。第1シール部61と、第2シール部63とは連続して形成されると共に、吸収性物品1Gにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0084】
本実施形態における接合部6の第1シール部61及び第2シール部63は、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63が所定間隔で形成されているので、接合部6A、6Bにおける大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。
【0085】
[4]各構成物
以下に、各構成物について詳述する。
表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、または織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布などを用いることができる。また、素材として、ポリ乳酸、キトサン、ポリアルギン酸などの生分解性が可能な天然物を用いることもできる。また、多数の液透過孔を形成すると共に、シリコーン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、その外面に体液が付着しにくいものとしてもよい。
【0086】
また、目付は15から100g/m2が好ましく、20から50g/m2がより好ましく、10から40g/m2が特に好ましい。目付が15g/m2以下だと表面強度が十分に得られず、使用中に破ける恐れがある。また100g/m2以上の場合、過度のごわつきが発現し、使用中に違和感を生じる。更には、長時間使用の場合には、40g/m2を超えてしまうと、液体を表面シート部2で保持してしまいベタベタした状態で維持され続け、不快に感じるようになってしまう。また、密度は0.12g/cm3以下で液透過性であれば特には限定されない。密度がこれ以上の場合、表面シート部の繊維間をスムーズに透過することが難しい。経血の場合、尿などにくらべ粘性が高いので密度が低いものが好ましい。
【0087】
また、表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域が、上述した多数の液透過性開孔が形成されたフィルム等である開孔フィルムである場合、開孔径は0.05mm以上3mm以下の範囲内、ピッチは、0.2mm以上10mm以下の範囲内、開孔面積率は、3%以上30%以下の範囲内であることが好ましい。製法としては、予め開孔条件を変化させたパターンドラムにフィルムを通紙し、サクション吸引することで開孔するいわゆるPFW法や、均一な開孔条件を有するPFW法で得られた表面シート部2の折り目線を跨ぐ領域に、ピンエンボス加工によって開孔をさらに付加する方法などが挙げられる。開孔の配列は千鳥状、格子状、波状など特に限定されない。また、開孔の形状としては、丸型、楕円型、四角型などが挙げられる。また、開孔部の周縁に弁が備えられていても良い。表面シート部2として、好ましくは有孔または無孔の不織布や多孔性プラスティックシート部を用いることができる。
【0088】
裏面シート部3は、吸収体部4に吸収された排泄物が外へ漏れ出すのを防止できる材料が使用される。また、透湿性素材とすることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とした液不透過性フィルム、通気性フィルム、スパンボンドなどの不織布の片面に液不透過性フィルムをラミネートした複合シート部などが挙げられる。好ましくは、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート部等を用いることができる。また、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でも良い。
【0089】
中間シート部5は、表面シート部2と吸収体部4との間に配置される液透過性シートである。中間シート部5に使用される材料としては、表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域と同様に多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、または織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布などを用いることができる。また、この中間シート部5は、吸収体部4の支持体としての役割を果たし、吸収体部4に柔軟性と形態安定性の付与をすることができる。
【0090】
吸収体部4は、表面シート部2側に配置されるクッションと、吸収体材料とで構成される。吸収体材料は、経血等の液体を吸収して保持する機能を有するもので、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。例えば、フラッフ状パルプもしくはエアレイド不織布と高吸収ポリマーとからなる吸収体材料を例示できる。フラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維を例示できる。エアレイド不織布としては、例えば、パルプと合成繊維とを熱融着させまたはバインダーで固着させた不織布を例示できる。高吸収ポリマー(SAP)としては、例えば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーを例示できる。また、不織布としては、例えば、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、メルトブローン、ニードルパンチ、エアスルー等の不織布が用いられる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を例示できる。クッションとしては、例えば、液透過性の紙やセルロースシート部が使用される。クッションと吸収体材料とが組み合わされた吸収体部4の一例として、パルプは目付900g/m2、ポリマーは目付20g/m2(ポリマーは全体に分散している)で、パルプとポリマーが全体に均一に分布した混合体を、目付け15g/m2のティッシュで包んだものが挙げられる。
【0091】
吸収体部4の形状および構造は必要に応じて変えることができるが、吸収体部4の全吸収量は、吸収性物品としての設計挿入量および所望の用途に対応させる必要がある。また、吸収体部4のサイズや吸収能力等は、幼児から大人までの着用者に対応して変動される。
【0092】
第1の防液溝10は、長手方向における前方側に突出する略U字状に形成される前方側U字部と、前方側U字部の両端から連続するようにそれぞれ長手方向に延びる内側方部と、内側方部における後方側端部を繋ぐと共に長手方向における後方側に突出する略U字状に形成される後方側U字部と、を備える。
【0093】
第1の防液溝10は、全体として縦長の略楕円状であって、吸収体部4を囲むように形成される。
【0094】
第2の防液溝11は、第1の防液溝10における内側方部の外側に略等間隔で長手方向に延びるように形成される外側方部と、外側方部の後方側端部を繋ぐと共に長手方向における後方側に突出する略U字状に形成される外側U字部と、を備える。
【0095】
第1の防液溝10及び第2の防液溝11は、所定の圧着処理により連続して形成される圧着部9により形成される。圧着部9は、加熱ローラを用いた所定の圧着処理により形成される。例えば、吸収体部4の裏面シート部3側に表面がフラットなロールが当てられ、表面シート部2の表面側に所定パターンの凸部を有する加熱ロールが当てられて、加圧され且つ加熱される。その結果、圧着部9では、吸収体部4及び表面シート部2がほぼフィルム状に圧着された複数の高密度圧着部と、高密度圧着部と隣接する高密度圧着部との間に位置して、フィルム状にはなっていないが圧着部9以外の領域よりも高密度となった複数の中密度圧着部が形成される。圧着部9のパターンの全ての部分において、この高密度圧着部と中密度圧着部が交互に形成されて、吸収性物品1の表面(身体側)から裏面シート部3側へ窪む線状の第1の防液溝10及び第2の防液溝11が形成される。
【0096】
第1の防液溝10及び第2の防液溝11における幅寸法は、例えば、第1実施形態の吸収性物品1において、0.5mmから10mm、好ましくは1mmから5mmとするのが望ましい。幅寸法が0.5mm以下の場合には、表面シート部2と吸収体部4を切ってしまうだけになる。幅寸法が10mm以上の場合には、フィット性、使用感、吸収性等が低下してしまう。
【0097】
また、第1の防液溝10及び第2の防液溝11の配置間距離は、1mmから10mm、好ましくは5mmから8mmとするのが望ましい。距離が1mm以下の場合には、フィット性、使用感等が低下してしまう。配置間距離が10mm以上の場合には、フィット性の低下、吸収体部4のヨレが発生し易くなる。
【0098】
また、第1の防液溝10における両側部の間隔は、20mmから60mm好ましくは30mmから40mmが望ましい。間隔が20mm以下の場合には、吸収体部4が排泄部(膣口部)に当接し続けることができず、身体と吸収性物品1との隙間が発生し漏れ易くなってしまう。間隔が60mm以上の場合には、吸収体部4における中心部が凹状に変形して、身体と吸収性物品1との隙間が発生し漏れ易くなってしまう。
【0099】
粘着部7、粘着部8、粘着部71及び粘着部72における粘着体は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の他、肌に密着して接着力を発揮するセルロース系、ポリビニルアルコール系、ゼラチン、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸ゲルを用いることもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 吸収性物品
2 表面シート部
3 裏面シート部
4 吸収体部
5 中間シート部
6 接合部
61 第1シール部
63 第2シール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肌当接面を形成する表面シートと、非肌当接面を形成する裏面シートと、液保持性の吸収層とを備る生理用ナプキン等の吸収性物品において、該表面シートと裏面シートを接合するためのシール部が形成されたものが広く知られている。このシール部は、例えば、細かな加熱圧着部を連続的に形成することで、全体として吸収性物品の外縁に沿うように略等幅の帯状に形成される。ここで、シール部における加熱圧着部は、この加熱圧着処理により硬化し、装着時における不快感の原因になる場合があった。この加熱圧着部により生じる装着時の不快感を抑制することが課題の一つであった。
【0003】
これに対し、シール部における加熱圧着部を、このシール部を形成する部分の厚さが厚い領域では加熱圧着部の幅や面積を大きくし、厚さが薄い領域では加熱圧着部の幅や面積を小さくすることで、シール部における接合性を確保すると共に、装着感の悪化を防止する吸収性物品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、加熱圧着等により接合され形成されたシール部は硬化しているので、シール部が一体的に肌側に折り返る場合があり、この折り返りにより装着感は更に悪化する。例えば、図14から図17に示すように、外縁における全体又は所定領域に接合部6が略等幅で連続的に形成されている従来の吸収性物品1H、1I、1J、1Kにおいて、接合部6における所定領域が一体的に肌側に折り返る場合がある。具体的には、図18及び図19に示すように、吸収性物品1Hにおける長手方向の端部側が一体的に折り返ることや、長手方向における側面側が一体的に折り返ることで折り返り部65が形成される場合がある。そして、この折り返り部65が肌に当たることで使用者に不快感を与える場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3611761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1における吸収性物品は、シール部における加熱圧着部を、シール部を形成する部分における厚さが厚い領域では加熱圧着部の幅や面積を大きくし、厚さが薄い領域では加熱圧着部の幅や面積を小さくすることで、シール部における接合性を確保すると共に、装着感の悪化を防止している。
【0007】
しかし、特許文献1における吸収性物品においても、シール部が折り返ることを防止する手段は講じられていない。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、シール部の折り返りによる装着感の悪化を抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、シール部の形状を工夫することで、シール部の一体的な折り返りを抑制できることを見出し、以下のような吸収性物品を発明した。
【0010】
(1) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、前記第1シール部よりも低剛性である吸収性物品。
【0011】
(1)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部と、を備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようにして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、第2シール部は、第1シール部よりも低剛性である。
【0012】
接合部は、複数の第1シール部と、第1シール部よりも剛性が低い1又は複数の第2シール部とを備える。例えば、剛性が低い第2シート部を、所定の第1シート部とこれに隣接する第1シール部との間に形成することで、接合部が大きく一体的に折り返ることを防止することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性の第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0013】
(2) 前記第2シール部は、非シール部又は前記第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である(1)に記載の吸収性物品。
【0014】
(2)の発明によれば、吸収性物品における第2シール部は、非シール部又は第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である。非シール部は、表面シート部と裏面シート部とを接合しない領域であり、例えば、加熱圧着処理等がされていない領域である。また、接合幅とは、第1シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離であり、第1シール部よりも接合幅が狭いシール部とは、第2シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離が、前記第1シール部における外縁方向に略垂直な方向における距離が短いことをいう。第2シート部を、非シール部又は第1シール部よりも接合幅が狭いシール部とすることで、第2シート部を第1シート部よりも低剛性にすることができる。これにより、接合部における材質や接合方法を変えることなく第2シール部を低剛性化することができる。
【0015】
(3) 前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される(1)又は(2)に記載の吸収性物品。
【0016】
(3)の発明によれば、吸収性物品において、第1シール部と第2シール部とは、外縁方向において互いに交互に形成される。第1シール部と第2シール部とが、外縁方向において交互に形成されることで、接合部において、低剛性である第2シール部が所定間隔で形成される。これにより、吸収性物品が変形した際における軽い折れ曲がりや、軽いねじれが所定間隔で形成されるので、接合部は、吸収性物品の変形に追従した変形をすることができ、接合部が一体的に折り返ることを好適に抑制することができる。
【0017】
(4) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、非シール部であり、前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される吸収性物品。
【0018】
(4)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部とを備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、この第2シール部は非シール部であり、第1シール部と前記第2シール部とは、外縁方向において互いに交互に形成されることを特徴とする。このように、接合部が複数の第1シール部と、非シール部である1又は複数の第2シール部とを備え、第1シール部と非シール部である第2シール部を外縁方向において交互に形成することで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、所定間隔で形成される非シール部である第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0019】
(5) 少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、前記第2シール部は、前記第1シール部と連続して形成され前記第1シール部よりも接合幅が狭い吸収性物品。
【0020】
(5)の発明によれば、吸収性物品は、少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、表面シート部と裏面シート部との間に配置される吸収体部と、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合部とを備える。そして、接合部は、吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、複数の第1シール部と、1又は複数の第2シール部と、を備え、第2シール部は、第1シール部と連続して形成され第1シール部よりも接合幅が狭いことを特徴とする。
【0021】
このように、接合部が、複数の第1シール部と、第1シール部に連続して形成され第1シール部よりも接合幅が狭い1又は複数の第2シール部を備えることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。具体的には、吸収性物品が変形した場合において、第1シール部よりも接合幅が狭い第2シール部において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部が大きく一体的に折り返ることを抑制することができる。また、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合でも、折り返り領域は、従来に比べて小さな領域となる。言い換えると、折り返りを最小限に抑制することができる。
【0022】
更に、接合部において、第1シール部と第2シール部とは連続して形成されるので、接合部が形成される外縁領域は連続的に接合されている。これにより、例えば、吸収性物品における防液性を向上させると共に、口開き等を好適に抑制することができる。
【0023】
(6) 前記接合部における少なくとも一方の側部は、略蛇行状又は略波状に形成される(5)に記載の吸収性物品。
【0024】
(6)の発明によれば、接合部における少なくとも一方の側部は、略蛇行状又は略波状に形成される。これにより、第2シール部の接合幅を、第1シール部における接合幅よりも狭くすることができると共に、吸収性物品が変形した場合において、軽く屈曲したり、軽くねじれる低剛性である変形部を形成することができる。
【0025】
(7) 前記第1シール部の接合幅は、20mm以下である(5)又は(6)に記載の吸収性物品。
【0026】
(7)の発明によれば、第1シール部の接合幅は、20mm以下であることを特徴とする。これにより、通常の装着時における装着感を好適に保つことができると共に、例えば、所定の第2シール部とこれに隣接する第2シール部とを起点として折り返された場合に感じる不快感も抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シール部の折り返りによる装着感の悪化を抑制する吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態における吸収性物品の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における吸収性物品の構成を説明するために簡略化した断面図である。
【図3】図1における領域Aの拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態における吸収性物品の使用状態における斜視図である。
【図5】第2実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Bの拡大図である。
【図6】第2実施形態における吸収性物品のシール部が折り返った状態を示す図である。
【図7】第3実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Cの拡大図である。
【図8】第4実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Dの拡大図である。
【図9】第5実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Eの拡大図である。
【図10】第6実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Fの拡大図である。
【図11】第7実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Gの拡大図である。
【図12】第8実施形態における吸収性物品の平面図である。
【図13】第4実施形態における吸収性物品のシール工程を説明する図である。
【図14】従来例1における吸収性物品の平面図である。
【図15】従来例2における吸収性物品の平面図である。
【図16】従来例3における吸収性物品の平面図である。
【図17】従来例4における吸収性物品の平面図である。
【図18】従来例1の吸収性物品におけるシール部の長手方向端部が折り返った状態を示す図である。
【図19】従来例1の吸収性物品におけるシール部の長手方向側部が折り返った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の平面図である。図2は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の構成を説明するために簡略化した断面図であり、(a)Y‐Y´断面図、(b)X‐X´断面図、(c)Z‐Z´断面図である。図3は、図1における領域Aの拡大図である。図4は、本発明の第1実施形態における吸収性物品の使用状態における斜視図である。図5は、第2実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Bの拡大図である。図6は、第2実施形態における吸収性物品のシール部が折り返った状態を示す図である。図7は、第3実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Cの拡大図である。図8は、第4実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Dの拡大図である。図9は、第5実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Eの拡大図である。図10は、第6実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Fの拡大図である。図11は、第7実施形態における吸収性物品の(a)平面図であり、(b)領域Gの拡大図である。図12は、第8実施形態における吸収性物品の平面図である。図13は、第4実施形態における吸収性物品の(a)シール工程を説明する図であり、(b)及び(c)シール部のパターンが形成されたロール部を展開した図である。
【0030】
[1]吸収性物品の全体構造
本発明の第1実施形態における吸収性物品1により、本発明の吸収性物品における全体構造について説明する。
【0031】
[1.1]全般
図1から図4に示すように、吸収性物品1は略縦長状であって、少なくとも一部が液透過性の表面シート部2と、液不透過性の裏面シート部3と、表面シート部2と裏面シート部3との間に配置される吸収体部4と、表面シート部2と裏面シート部3とを接合する接合部6と、を備える。本実施形態においては、更に、表面シート部2と吸収体部4との間に配置される液透過性の中間シート部5と、防液溝10、11と、防漏シート90と、を備える。防漏シート90は、吸収性物品1における幅方向に延びて表面シート部2の一部であるサイドシート12を構成することができる。
【0032】
吸収性物品1は、長手方向における後方側に長い吸収性物品であり、具体的には尾てい骨まで覆うような後方側に長い吸収性物品である。この吸収性物品1の長手方向における長さは、例えば、290mmから420mm、好ましくは330mmから400mmを例示できる。この例示した長さの吸収性物品1は、例えば、就寝時における寝姿勢時(例えば、夜用として)において好適に使用することができる。ここで、本実施形態においては、例えば、夜用として用いられる吸収性物品について説明するが、本発明における吸収性物品はこれに限定されない。例えば、本発明の吸収性物品は、本実施形態における吸収性物品1よりも短い、いわゆる昼用の吸収性物品を含むものである。
【0033】
少なくとも一部が表面シート部2は、使用時には身体側に配置されると共に排泄部に当接される。表面シート部2は、全面が液透過性であっても、一部が液透過性であっても良く、また、一枚のシート状部材で構成されていても、複数のシート状部材が接着されて構成されていても良い。本実施形態においては、表面シート部2は、吸収性物品1の幅方向における中央部に液透過域を備え、幅方向における端部側に液不透過性のサイドシート12を備える。このサイドシート12は、防漏シート90が吸収性物品1における幅方向に延びて形成される。そして、排泄部から排泄される経血等の排泄物は、表面シート部2における液透過域及び中間シート部5を透過して、吸収体部4に吸収される。下着側に配置される裏面シート部3は液不透過性であるので、排泄物は下着側には透過せず、吸収体部4に吸収された状態で保持される。
【0034】
経血等の排泄物の漏れを防ぐため、防液溝10、11及び防漏シート90が配置されている。防液溝10、11は、圧着部9が吸収体部4を囲むように連続的に形成されてなり、主に、吸収体部4に吸収された経血等の排泄物の漏れを防止する。
【0035】
防漏シート90は、表面シート部2の上面側であって、吸収体部4の幅方向における側端部近傍に形成され、身体に装着した状態において起立壁を形成するように配置される。防漏シート90は、主に、排泄部から排泄された経血等の排泄物であって、表面シート部2の上面を流れる排泄物の漏れを防止する。ここで、防漏シート90は、例えば、高分子弾性樹脂等の伸縮可能な材質を含むことで、装着時において身体の動きに柔軟に対応することができる起立壁を形成することができる。つまり、ゴムのような弾性部材を防漏シート90に配置することで、起立壁を形成することができる。また、上述の通り、防漏シート90が吸収性物品1の幅方向における端部側に延びて表面シート部2の一部であるサイドシート12を構成する場合がある。
【0036】
防漏シート90は、例えば、スパンボンド不織布や、ポイントボンド不織布、スルーエアー不織布等が挙げられ、これらに撥水処理が施されてあってもよい。なかでも極細繊維で構成され、繊維間距離が非常に小さいメルトブローンを含むSMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であることが好ましい。
【0037】
また、図2(b)及び(c)に示すように、吸収性物品1における幅方向の端部側における防漏シート90が吸収性物品1の幅方向に延びて形成されるサイドシート12と、裏面シート部3との間には防水シート95が積層配置される。防水シート95は、ヒップフラップ部Hのヨレやシワ防止を目的として配置され、例えば、撥水性の防水紙等で構成される。
【0038】
ここで、表面シート部2と中間シート部5は、ホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート部2、中間シート部5と吸収体部4は、ホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート部2と裏面シート部3は、ホットメルト接着剤及び加熱圧着等により形成される接合部6により貼り合わされるようにして接合される。また、防漏シート90と表面シート部2は、例えば、ホットメルト接着剤又は加熱圧着処理等により形成される所定の接合部6により接合される。また、防漏シート90と裏面シート部3は、ホットメルト接着剤又は加熱圧着処理等により形成される所定の接合部6により接合される。全体的には、ホットメルト接着剤により各シート部における面と面とを接着し、各シート部における端部を加熱圧着処理により形成される接合部6により接合している。
【0039】
図2(b)及び(c)で示すように、表面シート部2と裏面シート部3との間に防水シート95が配置されている部分、例えば、サイドフラップ部W1、W2やヒップフラップ部Hにおいては、防漏シート90と防水シート95はホットメルト接着剤により接合される。また、防水シート95と裏面シート部3はホットメルト接着剤により接合される。
【0040】
ここで、ホットメルト接着の塗工パターンは、例えば、スパイラル塗工、コントロールシーム塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。ホットメルト接着における接着剤の目付量は、1g/m2から30g/m2が好ましく、更には3g/m2から10g/m2であることが好ましい。また、接着剤が線状に塗工されているパターンの場合には、その線径は30μmから300μmであることが好ましい。
【0041】
[1.2]接合部
図1、3及び4に示すように、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うように形成される。本実施形態において、接合部6は、ヒップフラップ部Hの側方に形成される接合部6A、6Bと、サイドフラップ部W1、W2に形成される接合部6C、6Dと、ヒップフラップ部Hの長手方向端部に形成される接合部6Eと、前方Mの長手方向端部に形成される接合部6Fとを備える。
【0042】
本実施形態において、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fには、それぞれ複数の略半円状のシール部610が連続的に形成され、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fの形状は、吸収性物品1における内側が略波状になるように形成されている。
【0043】
接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fは、それぞれ第1シール部61と、第1シール部61に連続して形成される第2シール部63を備える。第2シール部63における接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりも狭くなるように形成されている。
【0044】
本実施形態において、第1シール部61は略半円状のシール部610の略中央に形成されており、これに隣接する第1シール部61との間隔pは、例えば、5mmから50mmが好ましく、特に10mmから30mmが好ましい。この間隔pが5mm以下の場合には、本発明における折り返し抑制効果が低減し、間隔pが50mm以上の場合には、この間隔pにおける第2シール部63を含むシール部分が大きく折り返る場合があるので好ましくない。ここで、間隔pは、他の実施形態においては、第1シール部61とこれに隣接する第1シール部61との間隔ではなく、第1シール部61と同じ接合幅hである所定のシール部との間隔を示す場合もある。
【0045】
第1シール部61を含む略半円状のシール部の接合長さWは特に制限されないが、例えば、間隔p同様に設定することができる。
【0046】
本実施形態において、第1シール部61及び第2シール部63は、所定の加熱圧着処理(加熱シール)により形成される。第1シール部61及び第2シール部63には、不図示の細かな加熱圧着部が連続的に形成されており、この不図示の加熱圧着部の集合が本実施形態における第1シール部61及び第2シール部63である。
【0047】
上述のように、第1シール部61及び第2シール部63は加熱圧着処理(加熱シール)されることで形成されるので、表面シート部2、防漏シート90が吸収性物品1の幅方向に延びて形成されるサイドシート12や裏面シート部3における第1シール部61及び第2シール部63は、他の部分に比べて硬化している。
【0048】
ここで、図3に示すように、第2シール部63の接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりも狭くなるように形成されている。具体的には、第1シール部61の接合幅hは、20mm以下、好ましくは10mm以下にすることができる。第1シール部61は、上述のように硬化しているので、接合幅hが20mm以上であると装着性が悪化する場合がある。特に、第1シール部61が折り返った場合には、この接合幅hが大きいほど、使用者は不快感を感じるので好ましくない。また、第2シール部63の接合幅h1は、第1シール部61の接合幅hよりもできるだけ狭いほど好ましいが、実際の製造を考慮すると、2mmから5mmが好ましい。
【0049】
上述のように、第1シール部61及び第2シール部63を形成することで、第2シール部63を第1シール部61よりも低剛性にすることができる。このように、第2シール部63を第1シール部61よりも低剛性にすることで、接合部6おいて、例えば、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fのいずれかにおいて、接合部分全体が折り返ることを抑制することができる。
【0050】
具体的には、例えば、吸収性物品1が変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性の第2シール部63において軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fが一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63とこれに隣接する第2シール部63とを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。
【0051】
つまり、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)や所定の接着剤等による接合より接合部6は硬化するが、変形しやすいように低剛性化された第2シール部63を所定間隔で形成することで、上述のように、接合部6において大きな折り返しが生じることを抑制できる。
【0052】
更に、本実施形態の吸収性物品1における接合部6A、6B、6C、6D、6E、6Fは、第1シール部61と第2シール部63とが連続して形成されているので、外縁における所定領域をしっかりとシールされており、外縁における口開き等を好適に抑制することができる。
【0053】
ここで、接合部6において、第1シール部61と第2シール部63とが連続していることから、本実施形態における吸収性物品1は、例えば、接合部6は、吸収性物品1における外縁に沿うよう連続して形成される連続シール部と、連続シール部の側面に連続すると共に連続シール部に沿うようにして形成される間欠シール部と、を備える吸収性物品1であるといえる。そして、間欠シール部は、複数の加熱シール等がされたシール部と、複数の加熱シール等がされていない非シール部とを備え、シール部と非シール部とは、吸収性物品1における外縁方向において互いに交互に形成される。
【0054】
上記より、本実施形態における吸収性物品1は、使用時等における外縁に形成された接合部6が大きく折り返ることを抑制するので、かゆみや擦れといった装着感の悪化を抑制すると共に、外縁における口開き等を抑制することができる。
【0055】
また、接合部6は、表面に突状部が所定形状に形成されたパターンロールと、表面が略平らである平滑ロールとの間を、所定の圧力及び熱を加えた状態で通過させることで、例えば、本実施形態における接合部6を形成することができる。この接合部6の形成については、後述する第4実施形態の説明において再度説明する。
【0056】
[1.3]使用態様
図1及び図4により、第1実施形態における吸収性物品1により、本発明の吸収性物品における使用態様の一例について説明する。
【0057】
図1及び図4により、吸収性物品1の使用態様例として、就寝時における寝姿勢における使用態様を説明する。図4に示すように、寝姿勢における使用状態においては、吸収性物品1における後方側860が床面と略平行に配置され、前方側840が該吸収性物品1における後方側860に対して所定角度をなすように、言い換えると、床面に対して所定の角度をなすようにして配置される。通常の吸収性物品と同様に、ウィング状のサイドフラップW1、W2を折り返すと共に、粘着部7、粘着部8、粘着部71及び粘着部72により下着等に固定する。
【0058】
ウィング状のサイドフラップW1、W2は、表面シート部2を構成するサイドシート12の一部が側方に延在されると共に、裏面シート部3の一部が幅方向外側に延在され、これら延在されたサイドシート12の延在部分と、裏面シート部3の延在部分との間に不図示の防水シート95を配置し、それぞれをホットメルト接着剤により接合して形成される。更に、ウィング状のサイドフラップW1、W2の外縁を、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)することで接合部6C、6Dを形成して接合する。
【0059】
ここで、就寝時等における寝姿勢において吸収性物品1を使用した場合には、例えば、後方側860は床面に強く当接された状態であり、この状態で身体の位置をずらすと接合部6A、6Bや6Eが折り返されるような力が働くことになる。このような場合において、本実施形態における吸収性物品1は、上述のように、第1シール部61と、第1シール部61よりも接合幅が狭い第2シール部63とを備えるので、このような身体の動きによる吸収性物品1の変形にも、接合部6が好適に追従して緩やかに変形し、接合部6が大きく折り返ることを抑制することができる。
【0060】
また、就寝時等のような長時間使用する場合においては、特に、加熱シール部等の接合部6の面積が小さいほど不快感が少なく、更には、接合部6が大きく折り返ることを抑制することで、不快感をより少なくすることができる。
【0061】
更には、就寝時等における寝姿勢では、前方側840で吸収された経血等の排泄物が、折り曲げ部850に対して後方である後方側860まで流れる場合がある。そして、この状態で長時間経過すると、経血等の排泄物が裏面シート部3上を流れて、吸収性物品1における外縁まで達する場合がある。このような場合においても、接合部6A、6Bや6Eは連続的に接合されているので、経血等の排泄物の漏れを抑制することができる。
【0062】
ここで、本実施形態において、吸収性物品1の長手方向における端部側に形成される接合部6E、6Fには目印T、Tが形成され、吸収性物品1の側部に形成されるサイドフラップ部W1、W2の幅方向におけるに端部側に形成される接合部6C、6Dには目印S、Sが形成されている。この目印T、Tは、吸収性物品1の幅方向における中央部を示すものである。目印S、Sは、サイドフラップ部W1、W2の長手方向における中央を示すものである。目印T、T、S、Sは、いずれも接合部6において接合部分に切れ込みがなされたような形状である。この目印T、Tは、例えば、ショーツのクロッチ部の長手方向中心線との位置合わせのために利用される。また、目印S、Sは、ショーツのクロッチ部の最小幅部との位置合わせのために利用される。このため、使用者は、本実施形態に係る吸収性物品1をショーツに固定する際に、ショーツと吸収性物品1との位置関係を一見して容易に把握できる。従って、前後左右に装着位置のズレが生じることも殆どなく、安定した装着状態を確保できる。ここで、本実施形態においては、目印T、T、S、Sの位置に第2シール部63を形成することで、目印としての機能と折り返り抑制機能の双方を発揮させることができる。
【0063】
[2]第2実施形態及び第3実施形態
図5から図7により第2実施形態及び第3実施形態における吸収性物品を説明する。図5から図7においては、本発明の特徴を理解しやすくするため吸収性物品の外形と接合部のみを図示する。図5及び図6に示すように、第2実施形態の吸収性物品1Aには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、略正方形状に形成された第1シール部61Aと、接合されていない非シール部である第2シール部63Aとを備える。第1シール部61Aと非シール部である第2シール部63Aとは、吸収性物品1Aにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0064】
本実施形態における接合部6の第1シール部61Aは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、非シール部である第2シール部63Aが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0065】
具体的には、例えば、吸収性物品1Aが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Aにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。
【0066】
図6に示すように、例えば、所定の第2シール部63Aとこれに隣接する不図示の第2シール部63Aとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。
【0067】
ここで、接合幅h及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0068】
図7に示すように、第3実施形態における吸収性物品1Bには、第2実施形態における吸収性物品1Aと同様に、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における吸収性物品1Bは、両側部にサイドフラップ部WBを備え、接合部6はこのサイドフラップ部WBにも形成されている。
【0069】
本実施形態における接合部6は、第2実施形態と同様に、略正方形状に形成された第1シール部61Bと、接合されていない非シール部である第2シール部63Bとを備える。第1シール部61Bと非シール部である第2シール部63Bとは、吸収性物品1Bにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0070】
本実施形態における接合部6の第1シール部61Bは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、非シール部である第2シール部63Bが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0071】
具体的には、例えば、吸収性物品1Bが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Bにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63Bとこれに隣接する第2シール部63Bとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。ここで、接合幅h及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0072】
[3]第4実施形態から第8実施形態
図8から図13により第4実施形態から第8実施形態における吸収性物品を説明する。図8から図12においては、本発明の特徴を理解しやすくするため吸収性物品の外形と接合部のみを図示する。図8に示すように、第4実施形態の吸収性物品1Cには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、接合幅hの第1シール部61Cと、第1シール部61よりも狭い接合幅h1である第2シール部63Cとを備える。第1シール部61Cと、第2シール部63Cとは連続して形成されると共に、吸収性物品1Cにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。接合部6の吸収性物品1Cにおける内側の形状が略蛇行状になるように形成されている。
【0073】
本実施形態における接合部6の第1シール部61C及び第2シール部63Cは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Cが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。
【0074】
具体的には、例えば、吸収性物品1Cが変形した場合において、所定間隔で形成される低剛性に形成された第2シール部63Cにおいて軽く屈曲したり、軽くねじれることで、接合部6が一体的に折り返ることを抑制することができる。また、例えば、所定の第2シール部63Cとこれに隣接する第2シール部63Cとを起点として折り返された場合でも、その折り返り領域は、従来の大きな折り返りに比べて小さな領域となる。言い換えると、連鎖的な折り返し等を抑制し、折り返りを最小限にすることができる。ここで、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0075】
本実施形態における吸収性物品1Cにおける接合部6は、図13に示すように、表面45に突状部451が所定形状に形成されたパターンロール310と、表面47が略平滑な平滑ロール320との間に、吸収性物品1Cを所定の圧力及び熱を加えた状態で通過させることで、本実施形態における接合部6を形成することができる。ここで、通常は、肌触りのことを考慮して、表面シート部2側から突状部451を有するパターンロール310を押圧し、裏面シート部3側から平滑ロール320を押圧して接合部6を形成するようにする。
【0076】
図9に示すように、第5実施形態の吸収性物品1Dには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、複数の略半円状のシール部610Dが連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Dにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61Dは略半円状のシール部610Dの略中央に形成されており、第2シール部63Dは、所定の略半円上のシール部610Dと、これに隣接する略半円上のシール部610Dとの間に形成される。つまり、吸収性物品1Dは、接合幅hの第1シール部61Dと、第1シール部61Dよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Dとを備えると共に、第1シール部61Dと、第2シール部63Dとは、吸収性物品1Dにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0077】
本実施形態における接合部6の第1シール部61D及び第2シール部63Dは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Dが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0078】
図10に示すように、第6実施形態の吸収性物品1Eには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、接合幅hの第1シール部61Eと、第1シール部61Eよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Eとを備える。第1シール部61Eと、第2シール部63Eとは連続して形成されると共に、吸収性物品1Eにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。接合部6の吸収性物品1Eにおける内側の形状が略蛇行状になるように形成されている。
【0079】
本実施形態における接合部6の第1シール部61E及び第2シール部63Eは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Eが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0080】
図11に示すように、第7実施形態の吸収性物品1Fには、外縁全周に沿うように接合部6が形成されている。本実施形態における接合部6は、複数の略半円状のシール部610Fが連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Fにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61Fは略半円状のシール部610Fの略中央に形成されており、第2シール部63Fは、所定の略半円状のシール部610Fと、これに隣接する略半円上のシール部610Fとの間に形成される。つまり、吸収性物品1Fは、接合幅hの第1シール部61Fと、第1シール部61Fよりも狭い接合幅h1である第2シール部63Fとを備えると共に、第1シール部61Fと、第2シール部63Fとは、吸収性物品1Fにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0081】
本実施形態における接合部6の第1シール部61F及び第2シール部63Fは、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63Fが所定間隔で形成されているので、接合部6における大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。また、接合幅h、h1及び間隔pにおいては、第1実施形態で規定し説明した通りである。
【0082】
図12に示すように、第8実施形態の吸収性物品1Gには、ヒップフラップ部HGの側部における外縁に沿うように接合部6A、6Bが形成されている。本実施形態における吸収性物品1Gは、第1実施形態における吸収性物品1の変形例であり、ヒップフラップ部HGの側部のみにおいて、第1シール部61と第2シール部63とを備える接合部6A、6Bが形成されている。
【0083】
本実施形態における接合部6A、6Bは、複数の略半円上のシール部610が連続的に形成され、該接合部6の吸収性物品1Gにおける内側の形状が略波状になるように形成されている。第1シール部61は略半円状のシール部610の略中央に形成されており、第2シール部63は、所定の略半円上のシール部610と、これに隣接する略半円状のシール部610との間に形成される。第1シール部61と、第2シール部63とは連続して形成されると共に、吸収性物品1Gにおける外縁方向において互いに交互に形成されている。
【0084】
本実施形態における接合部6の第1シール部61及び第2シール部63は、例えば、加熱圧着処理(加熱シール)されているため硬化しているが、接合幅が狭い第2シール部63が所定間隔で形成されているので、接合部6A、6Bにおける大きな折り返りの発生を抑制することができる。この折り返りの抑制についての説明は、第4実施形態における説明と同様である。
【0085】
[4]各構成物
以下に、各構成物について詳述する。
表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、または織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布などを用いることができる。また、素材として、ポリ乳酸、キトサン、ポリアルギン酸などの生分解性が可能な天然物を用いることもできる。また、多数の液透過孔を形成すると共に、シリコーン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、その外面に体液が付着しにくいものとしてもよい。
【0086】
また、目付は15から100g/m2が好ましく、20から50g/m2がより好ましく、10から40g/m2が特に好ましい。目付が15g/m2以下だと表面強度が十分に得られず、使用中に破ける恐れがある。また100g/m2以上の場合、過度のごわつきが発現し、使用中に違和感を生じる。更には、長時間使用の場合には、40g/m2を超えてしまうと、液体を表面シート部2で保持してしまいベタベタした状態で維持され続け、不快に感じるようになってしまう。また、密度は0.12g/cm3以下で液透過性であれば特には限定されない。密度がこれ以上の場合、表面シート部の繊維間をスムーズに透過することが難しい。経血の場合、尿などにくらべ粘性が高いので密度が低いものが好ましい。
【0087】
また、表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域が、上述した多数の液透過性開孔が形成されたフィルム等である開孔フィルムである場合、開孔径は0.05mm以上3mm以下の範囲内、ピッチは、0.2mm以上10mm以下の範囲内、開孔面積率は、3%以上30%以下の範囲内であることが好ましい。製法としては、予め開孔条件を変化させたパターンドラムにフィルムを通紙し、サクション吸引することで開孔するいわゆるPFW法や、均一な開孔条件を有するPFW法で得られた表面シート部2の折り目線を跨ぐ領域に、ピンエンボス加工によって開孔をさらに付加する方法などが挙げられる。開孔の配列は千鳥状、格子状、波状など特に限定されない。また、開孔の形状としては、丸型、楕円型、四角型などが挙げられる。また、開孔部の周縁に弁が備えられていても良い。表面シート部2として、好ましくは有孔または無孔の不織布や多孔性プラスティックシート部を用いることができる。
【0088】
裏面シート部3は、吸収体部4に吸収された排泄物が外へ漏れ出すのを防止できる材料が使用される。また、透湿性素材とすることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とした液不透過性フィルム、通気性フィルム、スパンボンドなどの不織布の片面に液不透過性フィルムをラミネートした複合シート部などが挙げられる。好ましくは、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート部等を用いることができる。また、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でも良い。
【0089】
中間シート部5は、表面シート部2と吸収体部4との間に配置される液透過性シートである。中間シート部5に使用される材料としては、表面シート部2の全部又は一部を構成する液透過性域と同様に多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、または織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布などを用いることができる。また、この中間シート部5は、吸収体部4の支持体としての役割を果たし、吸収体部4に柔軟性と形態安定性の付与をすることができる。
【0090】
吸収体部4は、表面シート部2側に配置されるクッションと、吸収体材料とで構成される。吸収体材料は、経血等の液体を吸収して保持する機能を有するもので、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。例えば、フラッフ状パルプもしくはエアレイド不織布と高吸収ポリマーとからなる吸収体材料を例示できる。フラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維を例示できる。エアレイド不織布としては、例えば、パルプと合成繊維とを熱融着させまたはバインダーで固着させた不織布を例示できる。高吸収ポリマー(SAP)としては、例えば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーを例示できる。また、不織布としては、例えば、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、メルトブローン、ニードルパンチ、エアスルー等の不織布が用いられる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を例示できる。クッションとしては、例えば、液透過性の紙やセルロースシート部が使用される。クッションと吸収体材料とが組み合わされた吸収体部4の一例として、パルプは目付900g/m2、ポリマーは目付20g/m2(ポリマーは全体に分散している)で、パルプとポリマーが全体に均一に分布した混合体を、目付け15g/m2のティッシュで包んだものが挙げられる。
【0091】
吸収体部4の形状および構造は必要に応じて変えることができるが、吸収体部4の全吸収量は、吸収性物品としての設計挿入量および所望の用途に対応させる必要がある。また、吸収体部4のサイズや吸収能力等は、幼児から大人までの着用者に対応して変動される。
【0092】
第1の防液溝10は、長手方向における前方側に突出する略U字状に形成される前方側U字部と、前方側U字部の両端から連続するようにそれぞれ長手方向に延びる内側方部と、内側方部における後方側端部を繋ぐと共に長手方向における後方側に突出する略U字状に形成される後方側U字部と、を備える。
【0093】
第1の防液溝10は、全体として縦長の略楕円状であって、吸収体部4を囲むように形成される。
【0094】
第2の防液溝11は、第1の防液溝10における内側方部の外側に略等間隔で長手方向に延びるように形成される外側方部と、外側方部の後方側端部を繋ぐと共に長手方向における後方側に突出する略U字状に形成される外側U字部と、を備える。
【0095】
第1の防液溝10及び第2の防液溝11は、所定の圧着処理により連続して形成される圧着部9により形成される。圧着部9は、加熱ローラを用いた所定の圧着処理により形成される。例えば、吸収体部4の裏面シート部3側に表面がフラットなロールが当てられ、表面シート部2の表面側に所定パターンの凸部を有する加熱ロールが当てられて、加圧され且つ加熱される。その結果、圧着部9では、吸収体部4及び表面シート部2がほぼフィルム状に圧着された複数の高密度圧着部と、高密度圧着部と隣接する高密度圧着部との間に位置して、フィルム状にはなっていないが圧着部9以外の領域よりも高密度となった複数の中密度圧着部が形成される。圧着部9のパターンの全ての部分において、この高密度圧着部と中密度圧着部が交互に形成されて、吸収性物品1の表面(身体側)から裏面シート部3側へ窪む線状の第1の防液溝10及び第2の防液溝11が形成される。
【0096】
第1の防液溝10及び第2の防液溝11における幅寸法は、例えば、第1実施形態の吸収性物品1において、0.5mmから10mm、好ましくは1mmから5mmとするのが望ましい。幅寸法が0.5mm以下の場合には、表面シート部2と吸収体部4を切ってしまうだけになる。幅寸法が10mm以上の場合には、フィット性、使用感、吸収性等が低下してしまう。
【0097】
また、第1の防液溝10及び第2の防液溝11の配置間距離は、1mmから10mm、好ましくは5mmから8mmとするのが望ましい。距離が1mm以下の場合には、フィット性、使用感等が低下してしまう。配置間距離が10mm以上の場合には、フィット性の低下、吸収体部4のヨレが発生し易くなる。
【0098】
また、第1の防液溝10における両側部の間隔は、20mmから60mm好ましくは30mmから40mmが望ましい。間隔が20mm以下の場合には、吸収体部4が排泄部(膣口部)に当接し続けることができず、身体と吸収性物品1との隙間が発生し漏れ易くなってしまう。間隔が60mm以上の場合には、吸収体部4における中心部が凹状に変形して、身体と吸収性物品1との隙間が発生し漏れ易くなってしまう。
【0099】
粘着部7、粘着部8、粘着部71及び粘着部72における粘着体は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の他、肌に密着して接着力を発揮するセルロース系、ポリビニルアルコール系、ゼラチン、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸ゲルを用いることもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 吸収性物品
2 表面シート部
3 裏面シート部
4 吸収体部
5 中間シート部
6 接合部
61 第1シール部
63 第2シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、
前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、前記表面シート部と前記裏面シート部が前記外縁から所定の幅で接合されて形成される複数の第1シール部と、該2つの第1シール部の間に該第1シール部の前記外縁に沿う方向の長さよりも短い長さで形成される第2シール部と、を備え、
前記第2シール部は、前記第1シール部よりも低剛性である吸収性物品。
【請求項2】
前記第2シール部は、非シール部又は前記第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項1】
少なくとも一部が液透過性の表面シート部と、液不透過性の裏面シート部と、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に配置される吸収体部と、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合部と、を備える吸収性物品であって、
前記接合部は、該吸収性物品における外縁に沿うようして形成されると共に、前記表面シート部と前記裏面シート部が前記外縁から所定の幅で接合されて形成される複数の第1シール部と、該2つの第1シール部の間に該第1シール部の前記外縁に沿う方向の長さよりも短い長さで形成される第2シール部と、を備え、
前記第2シール部は、前記第1シール部よりも低剛性である吸収性物品。
【請求項2】
前記第2シール部は、非シール部又は前記第1シール部よりも接合幅が狭いシール部である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1シール部と前記第2シール部とは、前記外縁方向において互いに交互に形成される請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−221067(P2010−221067A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156567(P2010−156567)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2005−335028(P2005−335028)の分割
【原出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2005−335028(P2005−335028)の分割
【原出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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