説明

吸収性物品

【課題】男性用の吸収性物品において、尿が袋部の底部まで到達する時間を増大させ、吸収部を広範囲に利用して効率良く尿を吸収する。
【解決手段】男性用の吸収性物品1は、上端に開口20を有する袋状の本体部2、および、本体部2の内部に配置される帯状の部材である2枚の親水性の内部シート3を備える。各内部シート3の上端部は本体部2の上部に固定され、上端部を除く部位は本体部2とは非接合とされる。各内部シート3には、上下方向に伸びる複数の内部シート弾性部材が接合されており、これらの内部シート弾性部材が収縮することにより各内部シート3にギャザー31が形成される。吸収性物品1では、尿が内部シート3に形成されたギャザー31を伝わって内部シート3上を比較的ゆっくりと移動するため、尿が袋部23の底部まで到達する時間を増大させることができる。その結果、吸収部22を広範囲に利用して効率良く尿を吸収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの尿を受ける男性用の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品の1つとして、着用者の男性器を内部に収容する袋状の吸収性物品が用いられている。例えば、特許文献1の男性用尿吸収器具は、非透水性フィルムと透水性フィルムとの間に吸収体が設けられた袋状体、および、袋状体の開口周囲に形成される収容口部を備え、収容口部が伸縮自在とされることにより、袋状体の内部に収容された着用者の男性器(ペニスおよび睾丸)の根元部分が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−159724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような男性用尿吸収器具では、排泄された尿が袋状体の底部まですぐに到達するため、袋状体の底部近傍の部位のみが尿の吸収に利用されることとなる。このため、尿の全量を吸収することができず、着用者の姿勢の変化に伴い、吸収体により吸収されなかった尿が逆流して開口と男性器との間の隙間から漏れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収部を広範囲に利用して効率良く尿を吸収することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、着用者からの尿を受ける男性用の吸収性物品であって、撥水性または不透液性のシート部材により形成されるとともに上端に着用者の男性器が挿入される開口を有する袋部と、前記袋部の内部に配置された透液性の内部シートと、前記袋部と前記内部シートとの間に配置されて前記着用者からの尿を吸収する吸収部と、前記内部シートに接合され、収縮することにより前記内部シートの少なくとも一部にギャザーを形成する弾性部材とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記ギャザーが、前記内部シートの前記袋部の下部に位置する部位に形成される。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記ギャザーが、上下方向のおよそ全長に亘って前記内部シートに形成される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記吸収部が、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記吸収部と前記内部シートとの間に配置されるとともに前記袋部の内面のおよそ全体を覆う透液性のトップシートをさらに備え、前記内部シートが、前記袋部の上部に上端部が固定された帯状の部材である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の吸収性物品であって、前記弾性部材が、上下方向を向く糸状または帯状の部材である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の吸収性物品であって、前記内部シートに固定された内部シート吸収部をさらに備える。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の吸収性物品であって、前記内部シート吸収部が、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成される。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の吸収性物品であって、前記内部シート吸収部が、上下方向に伸びるとともに前記上下方向に垂直な方向に配列された複数の吸収要素を備え、前記弾性部材が、前記上下方向を向く糸状または帯状の部材であり、前記複数の吸収要素の間にて前記内部シートに接合される。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記内部シート吸収部を前記上下方向に垂直な方向に横切る吸収体非存在領域が設けられる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項5ないし10のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記袋部の上部に上端部が固定されるとともに前記内部シートに対向するもう1つの内部シートをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、尿が袋部の底部まで到達する時間をギャザーにより増大させ、これにより、吸収部を広範囲に利用して効率良く尿を吸収することができる。また、請求項5ないし11の発明では、吸収性物品が嵩高になることを防止することができる。請求項7ないし10の発明では、さらに、吸収力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】吸収性物品の正面図である。
【図2】吸収性物品の断面図である。
【図3】吸収性物品を展開した図である。
【図4】内部シートの断面図である。
【図5】内部シート吸収部の他の例を示す図である。
【図6】内部シート吸収部の他の例を示す図である。
【図7】内部シート吸収部の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1の正面図であり、図2は、吸収性物品1を図1中のA−Aの位置にて切断した断面図である。吸収性物品1は男性用であり、着用者の男性器に取り付けられて着用者からの尿を受ける。
【0020】
図1および図2に示すように、吸収性物品1は、上下方向(図1および図2中の上下方向に対応する。)の一方の端部である上端に開口20を有する袋状の本体部2、および、本体部2の内部に配置される帯状の部材である2枚の内部シート3を備える。内部シート3は、本体部2の上部に上端部が固定された透液性のシート部材であり、本実施の形態では、親水性のシート部材とされる。図2に示すように、2枚の内部シート3は本体部2の内部において互いに対向しており、各内部シート3の上端部を除く部位は本体部2とは非接合とされる。各内部シート3には、着用者からの尿を吸収する内部シート吸収部4が固定されている。図2では、図の理解を容易にするために、内部シート吸収部4に平行斜線を付す(後述する本体部2の吸収部22についても同様)。また、図の理解を容易にするために、吸収性物品1の各構成を互いに離間させて描いている(図4においても同様)。
【0021】
図3は、吸収性物品1を展開した図である。図3に示すように、各内部シート3には、複数の弾性部材5(以下、「内部シート弾性部材5」という。)が接合されており、これらの内部シート弾性部材5が収縮することにより各内部シート3にギャザー31が形成される。吸収性物品1が製造される際には、本体部2が、上下方向の略中央において上下方向に垂直な左右方向に沿う折り曲げ線91にて2つ折りにされ、折り曲げ線91の両側の部位(すなわち、本体部2の互いに対向する部位)の両側端部が熱融着等により互いに接合される。
【0022】
図2に示すように、本体部2は、上端に着用者の男性器が挿入される上記開口20を有する袋部23、袋部23の内面231上にホットメルト接着剤等により接合される吸収部22、吸収部22上から袋部23の内面231を覆う透液性のトップシート21、吸収部22とトップシート21との間において吸収部22を覆う透液性の中間シート24、および、開口20近傍において袋部23に接合される開口部シート25を備える。
【0023】
袋部23は、撥水性または不透液性のシート部材により形成され、吸収性物品1の最外層に配置されて吸収性物品1内部からの尿の漏出を防止する部材であり、いわゆる、バックシートの役割を果たす。袋部23の上端部は、袋部23の内側へと折り返されて袋部23の他の部位と重なっており、図2および図3に示すように、左右方向に伸びる複数の弾性部材26(以下、「開口部弾性部材26」という。)が、袋部23の上記重ねられた部位の間に接合される。また、図3に示すように、開口部シート25には止着部27が接合されており、止着部27の面ファスナ271が、図1に示すように、袋部23の外面232に止着されることにより開口20の大きさが男性器に合うように調整される。
【0024】
図2に示すように、トップシート21は、袋部23の内面231のうち開口20近傍の一部を除くおよそ全体を覆い、図3中の左右両側にて袋部23に接合される。また、図2に示すように、袋部23の内面のうち開口20近傍の上記一部(すなわち、トップシート21から露出する部位)は開口部シート25により覆われており、開口部シート25は袋部23に接合される。トップシート21の上端部と開口部シート25の下端部とは重なっており、上述の各内部シート3の上端部は、袋部23の上部において、トップシート21の上端部と開口部シート25の下端部との間にてトップシート21および開口部シート25に接合(すなわち、固定)される。吸収性物品1では、袋部23の内部に配置された内部シート3と袋部23の内面231との間に吸収部22が配置されており、吸収部22と内部シート3との間にトップシート21および中間シート24が配置される。
【0025】
トップシート21は、親水性繊維(例えば、セルロースやレーヨン、コットン)により形成された透液性の不織布であり、着用者からの尿を吸収部22へと移動させる。トップシート21としては、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布が利用される。また、トップシート21として、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用されてもよく、開孔を有するプラスチックフィルムが利用されてもよい。
【0026】
吸収部22は、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))が袋部23の内面231にホットメルト接着剤等により接合されることにより形成された吸収層であり、トップシート21を透過した着用者からの尿を吸収して速やかに固定する。吸収部22は、高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が袋部23の内面231にホットメルト接着剤等により接合されることにより形成されてもよい。なお、吸収部22は、例えば、親水性繊維(粉砕されたパルプ繊維やセルロース繊維等)に上述の高吸収性ポリマーや高吸収性ファイバーを混合したものを、ティッシュペーパーや透液性不織布等の被覆シートにより包み込んで形成されてもよい。
【0027】
袋部23は、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)により形成された撥水性または不透液性の不織布であり、トップシート21を透過した尿が本体部2の外部へとしみ出すことを防止する。袋部23としては、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布が利用される。また、袋部23として、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用されてもよく、当該プラスチックフィルムの外側に上述の不織布が積層された積層シートが利用されてもよい。なお、袋部23にプラスチックフィルムが利用される場合、当該プラスチックフィルムは透湿性(すなわち、通気性)を有するものが好ましい。これにより、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上することができる。
【0028】
中間シート24としては、例えば、透液性の不織布やティッシュペーパーが利用され、中間シート24によりトップシート21を透過した尿が拡散される。開口部シート25としては、トップシート21と同様の透液性のシート部材(例えば、親水性繊維により形成された透液性の不織布)が利用される。開口部弾性部材26としては、ポリウレタンや天然ゴムにより形成された糸状または帯状の部材が利用される。本実施の形態では、弾性糸であるポリウレタン糸が開口部弾性部材26として利用される。
【0029】
図4は、内部シート3を図3中のB−Bの位置にて切断した断面図である。図2および図4に示すように、内部シート3は、2枚の親水性シート32(例えば、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された2枚の親水性の不織布)が積層されて接合されることにより形成され、本実施の形態では、内部シート3の2枚の親水性シート32の間に内部シート吸収部4が固定されている。内部シート吸収部4は、内部シート3の2枚の親水性シート32の間にホットメルト接着剤等により接合された粒状の高吸収性ポリマー(または、高吸収性ファイバー)により形成された吸収層であり、着用者からの尿を吸収して速やかに固定する。
【0030】
なお、内部シート吸収部4は、本体部2の吸収部22と同様に、親水性繊維(粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等)に高吸収性ポリマーや高吸収性ファイバーを混合したものを、ティッシュペーパーや透液性不織布等の被覆シートにより包み込んで形成されてもよい。また、内部シート3は、例えば、1枚の親水性シートを2つ折りにして形成されてもよい。
【0031】
図3および図4に示すように、各内部シート3に固定された内部シート吸収部4は、上下方向に伸びるとともに左右方向に配列された複数(本実施の形態では、2つ)の吸収要素41を備え、複数の吸収要素41の間の領域(すなわち、高吸収性ポリマーが設けられない吸収体非存在領域)では、内部シート3の2枚の親水性シート32(図4参照)が直接接合される。
【0032】
内部シート弾性部材5は、上下方向を向く(すなわち、上下方向におよそ平行な)糸状または帯状の部材であり、本実施の形態では、各内部シート3に3本の内部シート弾性部材5が接合される。3本の内部シート弾性部材5のうち1本の内部シート弾性部材5は、複数の吸収要素41の間にて内部シート3の2枚の親水性シート32に接合され、他の2本の内部シート弾性部材5は、内部シート吸収部4(すなわち、2つの吸収要素41)の左右両側において2枚の親水性シート32に接合される。内部シート弾性部材5は、開口部弾性部材26(図3参照)と同様に、ポリウレタンや天然ゴムにより形成され、本実施の形態では、弾性糸であるポリウレタン糸が内部シート弾性部材5として利用される。
【0033】
3本の内部シート弾性部材5はそれぞれ、内部シート3の上下方向の全長におよそ等しい長さまで伸張された状態で2枚の親水性シート32に接合されており、内部シート弾性部材5が収縮することにより、図2および図3に示すように、内部シート3の上下方向のおよそ全長に亘ってギャザー31が形成される。
【0034】
吸収性物品1が装着される際には、図2に示す開口20から男性器が本体部2の内部に挿入され、2枚の内部シート3の間に配置される。そして、止着部27(図1参照)が袋部23の外面232に止着されることにより開口20の大きさが男性器に合うように調整される。吸収性物品1の内部において尿が排泄されると、尿は親水性の内部シート3にて受けられ、内部シート3に浸透しつつ本体部2の底部(すなわち、袋部23の開口20とは反対側の底部)へと導かれる。内部シート3に浸透した尿の一部は、内部シート吸収部4により吸収され、内部シート吸収部4により吸収されずに内部シート3を透過した尿は、内部シート3に当接する本体部2のトップシート21および中間シート24を透過して吸収部22により吸収される。
【0035】
吸収性物品1では、尿が内部シート3に形成されたギャザー31を伝わって内部シート3上を袋部23の底部に向かって比較的ゆっくりと移動するため、尿が袋部23の底部まで到達する時間を増大させることができる。その結果、透液性の内部シート3上の広い範囲において、尿が内部シート3を透過して本体部2へと移動し、吸収部22の広い範囲に吸収される。このように、吸収性物品1では、吸収部22を広範囲に利用して効率良く尿を吸収することができるため、尿が吸収されずに袋部23の内部に留まることが防止される。これにより、吸収されなかった尿が吸収性物品1の内部から逆流して開口20と男性器との間の隙間から漏れてしまうことを防止することができる。
【0036】
また、上述のように、内部シート3が親水性のシート部材とされることにより、尿が内部シート3に染み込み易くなるため、内部シート3にて受けられた尿の袋部23の底部への移動速度はより小さくなる。その結果、尿が袋部23の底部まで到達する時間をより増大させることができ、吸収部22のさらに広い範囲を利用して尿をより効率良く吸収することができる。
【0037】
吸収性物品1では、袋部23の内部に互いに対向する2枚の内部シート3を備えることにより、尿が袋部23の底部まで到達する時間をさらに増大させることができ、吸収部22のより広い範囲を利用して尿をより一層効率良く吸収することができる。また、各内部シート3において、ギャザー31が内部シート3の上下方向のおよそ全長に亘って形成されることにより、内部シート3にて受けられた尿が、袋部23の底部まで到達する時間をより一層長くすることができ、尿をさらに効率良く吸収することができる。
【0038】
上述のように、内部シート3の上端部は本体部2の上部(すなわち、開口20近傍)に固定されており、内部シート3の上端部を除く部位は本体部2(のトップシート21)とは非接合とされる。このため、本体部2には、内部シート弾性部材5の収縮によるギャザーが形成されず、吸収性物品1が嵩高になることを防止することができるとともに吸収性物品1の取り扱いを容易とすることができる。また、内部シート弾性部材5が上下方向を向く糸状または帯状の部材とされることにより、内部シート弾性部材5の収縮によるギャザー31が、およそ左右方向に伸びる複数の皺を有する構造となる。これにより、尿がギャザー31を伝わって袋部23の底部まで到達する時間をより増大させることができ、その結果、吸収部22を広範囲に利用してさらに効率良く尿を吸収することができる。
【0039】
吸収性物品1では、内部シート3に固定された内部シート吸収部4が設けられることにより、吸収性物品1全体としての吸収力を向上することができる。その結果、吸収性物品1からの尿の漏れをより確実に防止することができる。また、内部シート吸収部4が高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成される(すなわち、内部シート吸収部4に粉砕パルプ等の嵩高な部材が含まれず、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーのみにより内部シート吸収部4が形成される)ことにより、内部シート3の薄型化および柔軟性向上を実現し、ギャザー31の形成を容易とすることができるとともに、吸収性物品1が嵩高になることを防止することができる。さらに、本体部2の吸収部22が高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成されることにより、吸収性物品1が嵩高になることをより一層防止することができる。
【0040】
上述のように、内部シート吸収部4は、上下方向に伸びるとともに左右方向に配列された複数の吸収要素41を備え、複数の吸収要素41の間に高吸収性ポリマーが存在しない領域が設けられる。これにより、内部シート吸収部4による尿の吸収の際に、各吸収要素41の膨潤が他の吸収要素41により妨げられることが防止され、内部シート吸収部4の吸収力を向上することができる。また、吸収要素41の膨潤後であっても、尿は複数の吸収要素41の間の領域を伝わって袋部23の底部へと確実に導かれる。
【0041】
内部シート弾性部材5は、複数の吸収要素41の間、および、内部シート吸収部4の左右両側の高吸収性ポリマーが存在しない領域にて内部シート3の2枚の親水性シート32に接合される。このため、内部シート弾性部材5を内部シート3に強固に接合することができ、内部シート吸収部4の膨潤後においても内部シート弾性部材5が内部シート3から脱落してしまうことを防止することができる。また、内部シート3の高吸収性ポリマーが存在しない領域は、高吸収性ポリマーが存在する領域に比べて柔らかいため、このような柔らかい領域に内部シート弾性部材5を配置することにより、内部シート3に容易にギャザー31を形成することができる。
【0042】
図5ないし図7は、内部シート吸収部の他の形状を例示する図である。図5ないし図7では、内部シート3および内部シート弾性部材5を併せて描いており、図の理解を容易にするために、内部シート吸収部4a〜4cの吸収要素41に平行斜線を付す。図5に示す内部シート吸収部4aでは、3つの吸収要素41が上下方向に配列され、内部シート吸収部4aを左右方向に横切る2つの吸収体非存在領域42(すなわち、高吸収性ポリマーが接合されていない領域)が設けられる。これにより、内部シート3の上下方向の剛性が低下し、内部シート3に容易にギャザー31が形成される。
【0043】
図6に示す内部シート吸収部4bでは、4つの吸収要素41が格子状に配列され、内部シート吸収部4bを左右方向に横切る1つの吸収体非存在領域42が設けられる。図7に示す内部シート吸収部4cでは、それぞれが上下方向に並ぶ3つの吸収要素41を備える3つの吸収要素列が左右方向に配列される。内部シート吸収部4cでは、各吸収要素列に2つの吸収体非存在領域42が設けられており、中央の吸収要素列における吸収体非存在領域42の上下方向の位置が、他の2つの吸収要素列における吸収体非存在領域42の位置と異なる。換言すれば、内部シート吸収部4cでは、左右方向にジグザグに伸びる2つの吸収体非存在領域42が、内部シート吸収部4cを左右方向に横切る。内部シート吸収部4b,4cでも、内部シート吸収部4a(図5参照)と同様に、内部シート3に容易にギャザー31が形成される。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0045】
例えば、ギャザー31は必ずしも内部シート3の上下方向のおよそ全長に亘って形成される必要はなく、内部シート3の少なくとも一部に形成されていればよい。例えば、ギャザー31は、内部シート3の袋部23の下部に位置する部位に形成されてもよい。吸収性物品1では、内部シート3の袋部23の下部に位置する部位にギャザー31が形成されることにより、内部シート3にて受けられた尿が、袋部23の底部まで到達する時間を長くすることができ、尿を効率良く吸収することができる。
【0046】
上記実施の形態では、複数の吸収要素41を備える内部シート吸収部について説明したが、内部シート吸収部は1つの吸収要素41のみを備えてもよい。また、本体部2の吸収部22が十分な吸収力を有する場合には、内部シート吸収部は省略されてもよい。
【0047】
上記実施の形態では、図3に示す左右方向に沿う折り曲げ線91にて袋部23を形成するシート部材が2つ折りにされて両側端部が接合されるが、袋部23は、1枚のシート部材が上下方向に沿う折り曲げ線にて2つ折りにされ、折り曲げ線の両側の部位が下端部および一方の側端部にて接合されることにより形成されてもよい。内部シート3も同様に、1枚のシート部材が上下方向に沿う折り曲げ線にて2つ折りにされて形成されてもよく、この場合、折り曲げ線の両側の部位の間に男性器が配置される。
【0048】
吸収性物品1では、本体部2の内部に2枚の内部シート3が設けられるが、尿が袋部23の底部まで到達する時間を十分に長くすることができるのであれば、一方の内部シート3は省略されてもよい。また、内部シート3は本体部2のトップシート21とは別部材とされているが、内部シート3およびトップシート21が連続する1枚の親水性シート部材とされてもよい。この場合、当該親水性シート部材が、袋部23の上部において2つ折りにされ、折り目の一方側の部位がトップシート21として袋部23の内面231に接合され、折り目の他方側の部位が内部シート3として袋部23の内部に配置される。
【0049】
本体部2では、止着部27の面ファスナ271が止着されるループ部材が袋部23の外面232に設けられてもよい。また、止着部27では、面ファスナ271に代えて粘着テープが設けられてもよい。この場合、袋部23の外面232に、粘着テープが止着されるターゲットテープが設けられてもよい。
【0050】
吸収性物品1では、トップシート21が省略され、袋部23の内面231上に配置された吸収部22が、袋部23の内面231に接合された内部シート3、または、袋部23の内面231とは非接合とされた内部シート3により覆われてもよい。この場合、吸収部22を確実に固定するために、内部シート3が袋部23の内面231に接合されることが好ましい。また、トップシート21および吸収部22が省略されてもよく、この場合、尿は内部シート吸収部4により吸収される。
【符号の説明】
【0051】
1 吸収性物品
3 内部シート
4,4a〜4c 内部シート吸収部
5 内部シート弾性部材
20 開口
21 トップシート
22 吸収部
23 袋部
31 ギャザー
41 吸収要素
42 吸収体非存在領域
231 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの尿を受ける男性用の吸収性物品であって、
撥水性または不透液性のシート部材により形成されるとともに上端に着用者の男性器が挿入される開口を有する袋部と、
前記袋部の内部に配置された透液性の内部シートと、
前記袋部と前記内部シートとの間に配置されて前記着用者からの尿を吸収する吸収部と、
前記内部シートに接合され、収縮することにより前記内部シートの少なくとも一部にギャザーを形成する弾性部材と、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記ギャザーが、前記内部シートの前記袋部の下部に位置する部位に形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記ギャザーが、上下方向のおよそ全長に亘って前記内部シートに形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収部が、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収部と前記内部シートとの間に配置されるとともに前記袋部の内面のおよそ全体を覆う透液性のトップシートをさらに備え、
前記内部シートが、前記袋部の上部に上端部が固定された帯状の部材であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記弾性部材が、上下方向を向く糸状または帯状の部材であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記内部シートに固定された内部シート吸収部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性物品であって、
前記内部シート吸収部が、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ファイバーにより形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項7または8に記載の吸収性物品であって、
前記内部シート吸収部が、上下方向に伸びるとともに前記上下方向に垂直な方向に配列された複数の吸収要素を備え、
前記弾性部材が、前記上下方向を向く糸状または帯状の部材であり、前記複数の吸収要素の間にて前記内部シートに接合されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記内部シート吸収部を前記上下方向に垂直な方向に横切る吸収体非存在領域が設けられることを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項5ないし10のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記袋部の上部に上端部が固定されるとともに前記内部シートに対向するもう1つの内部シートをさらに備えることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−268984(P2010−268984A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123783(P2009−123783)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】