説明

吸収性物品

【課題】側部における体液の漏れを防止し、高い防漏性を発現する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】表面シート2の両側縁2s,2sは、吸収体4の両側縁4s,4sと同位置にあるか、又は該両側縁4s,4sよりも幅方向外方に位置している。一対のサイド防漏部材5,5は、それぞれ、表面シート2の側部を被覆するサイドシート6を含んで構成されている。サイドシート6は、少なくともその一部が、その内側縁部61よりも幅方向外方において表面シート2の側部に接合されており、その接合部8と内側縁部61との間に、装着時に開口する開口部71が形成されている。表面シート2におけるサイドシート6に被覆された両側部21,21、及び/又はサイドシート6における表面シート2との対向面に、撥水処理が施されている。その撥水処理が施された部分は、インクが付与されていて、吸収性物品1を肌当接面側から目視したときに視認可能になされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品においては、物品の側部における体液の漏れが問題となることが多く、斯かる問題を解決するための技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、親水性不織布と疎水性不織布とを特定の配列で交互に重ね合わせた不織布が記載されており、該不織布の幅方向中央に親水性熱可塑性繊維を、また該親水性熱可塑性繊維の両側縁部に疎水性熱可塑性繊維を位置させて一体化させた不織布が、吸収性物品の表面シート等として有効であることが記載されている。また、特許文献2には、吸収層及び防漏層を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の肌当接面側における両側部それぞれに部分的に接合された一対のサイドシートとを具備し、該サイドシートの接合部と内側縁部との間に、装着時に開口するポケットが形成された吸収性物品が記載されている。
【0003】
また、吸収性物品の所定部位に、印刷等により外部から視認可能な色彩や図柄を施すことが知られている。例えば特許文献3には、吸収性本体の肌当接面側に設けられた一対のサイド防漏部材に、図柄が印刷により形成された吸収性物品が記載されている。特許文献3に記載の吸収性物品において、図柄は、装着者の肌に実質的に接触しないようになされており、具体的には、サイド防漏部材の肌当接面側に設けられた凹部の底部にインクが転写されて形成された、図柄が挙げられている。また特許文献4には、吸収性本体の肌当接面側で且つ吸収体よりも外方の領域に凹部を設け、該凹部の底部にインクが転写された印刷部を設けて、図柄が形成されている吸収性物品が記載されている。
【0004】
また特許文献5には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された吸収体を具備する吸収性物品において、吸収体よりも上方に位置する部材(例えば、表面シートと吸収体との間に介在配置された第2表面シート)に、疎水性が増大され且つ完成物品において少なくとも部分的に目視できる、インクの付与領域を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−229254号公報
【特許文献2】特開2006−280765号公報
【特許文献3】特開2006−181192号公報
【特許文献4】特開2006−181193号公報
【特許文献5】特表2009−512489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜4に記載の技術は、吸収性物品の側部における体液の漏れを防止するための工夫が施されており、そのような工夫が施されていない特許文献5に記載の技術に比して、高い防漏性を奏し得るものである。しかしながら、更に高い防漏性が求められているのが現状であり、これに応える吸収性物品は未だ提供されていない。また、例えば生理用ナプキンの使用者は、使用後のナプキンの側部に経血等の体液が付着しているのを見た場合、実際には漏れが生じていなくても、漏れが生じた場合に感じるのと同様の不快感や防漏性に対する不安感を覚えることが多く、斯かる問題の解決が望まれている。
【0007】
従って本発明の課題は、側部における体液の漏れを防止し、高い防漏性を発現する吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液保持性の吸収体及び該吸収体の肌当接面側に配置された表面シートを具備する実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれに配置された一対のサイド防漏部材とを備えた吸収性物品であって、前記表面シートの長手方向に沿う両側縁は、前記吸収体の長手方向に沿う両側縁と同位置にあるか、又は前記吸収体の長手方向に沿う両側縁よりも幅方向外方に位置しており、一対の前記サイド防漏部材は、それぞれ、前記表面シートの長手方向に沿う側部を被覆するサイドシートを含んで構成されており、前記サイドシートは、少なくともその一部が、その長手方向に沿う内側縁部よりも幅方向外方において前記表面シートの側部に接合されており、その接合部と該内側縁部との間に、装着時に該内側縁部が起立して内方側に開口する開口部が形成されており、前記表面シートにおける前記サイドシートに被覆された両側部、及び/又は前記サイドシートにおける前記表面シートとの対向面に、撥水処理が施され、その撥水処理が施された部分は、インクが付与されていて、前記吸収性物品を肌当接面側から目視したときに視認可能になされている吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品によれば、サイド防漏部材と、該サイド防漏部材及び/又はその近傍の表面シートに施された撥水処理とにより、側部における体液の漏れが効果的に防止される。
【0010】
また、前記撥水処理が施された部分が、インクが付与されていて、前記吸収性物品の肌当接面を目視したときに視認可能になされているため、使用者に防漏性に対する安心感を与えることができ、更には、該撥水処理された部分に付着した経血等の体液を隠蔽し、体液の付着に起因する使用者の不快感や防漏性に対する不安感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の第1実施形態である生理用ナプキンの肌当接面側(表面シート側)を模式的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示すナプキンにおけるサイドシートの一部を拡大して模式的に示す部分拡大平面図である。
【図4】図4は、本発明の吸収性物品の第2実施形態である生理用ナプキンの肌当接面側(表面シート側)を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、図4のII−II線断面を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、図4のIII−III線断面を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の吸収性物品の第3実施形態である生理用ナプキンの図5相当図である。
【図8】図8は、本発明の吸収性物品の第4実施形態である生理用ナプキンの図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。第1実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、液保持性の吸収体4及び該吸収体4の肌当接面側に配置された表面シート2を具備する実質的に縦長の吸収性本体10と、該吸収性本体10の長手方向に沿う両側部それぞれに配置された一対のサイド防漏部材5,5とを備えている。
【0013】
更に説明すると、吸収性本体10は、ナプキン1の肌当接面を形成する表面シート2、ナプキン1の非肌当接面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備し、図1に示す如き平面視において一方向に長い形状(略矩形形状)をしている。吸収性本体10(ナプキン1)は、前方部A、中央部B、後方部Cを長手方向に有している。第1実施形態のナプキン1における前方部A、中央部B、後方部Cは、吸収性本体10を長手方向に3分割した場合の各領域に略相当する。
【0014】
尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の装着時に装着者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品又はその部材における、吸収性物品の装着時に肌側とは反対側(衣類側)に向けられる面である。また、長手方向は、吸収性物品又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。図中、符号Xで示す方向は、物品長手方向(ナプキン長手方向)であり、符号Yで示す方向は、物品幅方向(ナプキン幅方向)である。
【0015】
図2に示すように、表面シート2の長手方向Xに沿う両側縁2s,2sは、吸収体4の長手方向Xに沿う両側縁4s,4sよりも幅方向Yの外方に位置している。より具体的には、表面シート2は、吸収体4の肌当接面の全域を被覆し、更に吸収体4の左右両側縁4s,4sから幅方向外方に延出している。このように、表面シート2の長手方向に沿う両側部(両側縁2s,2s及びそれらの近傍)が吸収体4の幅方向外方に延出していると、例えば、該両側部が吸収体4の下方に巻き込まれて該吸収体4と裏面シート3との間に介在配置されている場合に比して、表面シート2の幅方向Yの寸法が短くなるため、ナプキンの構成部材の使用量が低減し、製造コストの低下が図られる。
【0016】
裏面シート3は、図2に示すように、吸収体4の非肌当接面の全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁4s,4sから幅方向外方に延出しており、その延出部と前述した表面シート2の延出部とが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向Xの前後端から長手方向外方に延出し、それらの延出部において、公知の接合手段によって互いに接合されている。吸収体4は、図1に示すように、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状をしている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていても良い。
【0017】
吸収性本体10の肌当接面(表面シート2の肌当接面2a)側における長手方向Xの左右両側部には、平面視において吸収体4の両側部(両側縁4s,4s及びそれらの近傍)にそれぞれ重なるように、長手方向Xに沿って一対のサイド防漏部材5,5が、ナプキン1の長手方向Xの略全長に亘って配置されている。一対のサイド防漏部材5,5は、それぞれ、表面シート2の長手方向Xに沿う側部を被覆するサイドシート6を含んで構成されている。
【0018】
サイドシート6は、図2に示すように、ナプキン1の幅方向Yの中央寄りに位置する部分6Aが、シートの折り返しにより2層とされており、その折り返し部が、サイドシート6の内側縁部61となっている。内側縁部61は、図1に示すように、ナプキン1の幅方向Yの中央部側に、長手方向Xに延びる直線状に形成されている。サイドシート6は、このように、折り返し部がナプキン1の幅方向Yの中央側に位置するように、2層に折り返されていると、装着時に、後述する開口部71が開口し易くなるので好ましい。サイドシート6における前記部分6Aは、ナプキン1の長手方向Xの前後端部において、公知の接合手段によって表面シート2と共に裏面シート3に固定されている。また、サイドシート6における、ナプキン1の幅方向Yの外方側に位置する部分6Bは、公知の接合手段によって裏面シート3に接合されている。裏面シート3及びサイドシート6は、中央部Bにおいて、吸収体4の側縁4sからの幅方向Yの外方への延出長さが最大となっており、それらの最大延出部によって一対のウイング部7,7が形成されている。
【0019】
サイドシート6は、図2に示すように、その長手方向Xに沿う内側縁部61よりも幅方向Yの外方において、吸収体4上にて表面シート2の側部の肌当接面2aに接合されており、その接合部(第1接合線8)と内側縁部61との間に、装着時に内側縁部61が起立してナプキン幅方向Yの内方側に開口する、開口部71が形成されている。より具体的には、一対のサイドシート6、6は、それぞれ、吸収性本体10の幅方向Yの中央側に向って凹状をなす第1接合線8と、該第1接合線8の長手方向Xの前後に位置し且つ吸収性本体10の長手方向に交差するように延びる第2接合線9とで吸収性本体10に接合されており、一対のサイドシート6、6それぞれにおける第1接合線8と内側縁部61との間62と、表面シート2との間に、装着時に開口する開口部71が形成されている。
【0020】
一対の第1接合線8,8は、図1に示すように、一対のウイング部7,7を有する中央部Bに設けられている。中央部Bの幅方向Yの中央領域は、ナプキン1の装着者の排泄部と対向する排泄部対向部(図示せず)となっており、一対の第1接合線8,8は、該排泄部対向部を挟んでナプキン1の長手方向Xの左右両側に存している。
【0021】
第1接合線8は、図3に示すように、弧状に長手方向Xに延びており、内側縁部61に近い部分81、81と内側縁部61から遠い部分82とを有している。第1接合線8の長手方向の長さL1と、第1接合線8の内側縁部61に近い部分81と内側縁部61から遠い部分82との離間距離W1(揺動幅)とは、L1>W1の関係を満たしていることが好ましい。L1は、ナプキン1の長手方向Xの全長(製品長)に対し10〜50%の長さを有していることが好ましい。第1実施形態においては、第1接合線8の長さL1は、ウイング部7の基部の長さと略同じである。また、W1は、製品幅に対し3〜30%の幅を有することが好ましい。ここでいう製品幅とは、ナプキン1における一対のウイング部7,7それぞれの前後端部間の幅方向の長さをいう。また、ここでいう「近い」及び「遠い」は、遠い部分に比べて近く、近い部分に比べて遠いという相対的な意味である。
【0022】
第1及び第2接合線8,9は、全体として実質的に連続する一本の接合線であることが好ましい。即ち、第1接合線8と第2接合線9とは、それぞれ、実質的に連続する接合線であり、且つ第1接合線8と第2接合線9との間も、実質的に連続していることが好ましい。実質的に連続するとは、第1実施形態のような連続する接合線の他に、1)複数の接合部を、ナプキン1の幅方向Yと平行な任意の直線を想定した場合に該直線と重ならない部分がないように連続的に配置したものや、2)微視的にみると非連続の多数の接合部からなるが、全体として見れば線状の接合部を形成しているようなものを含む趣旨であり、接合部の互いの一部を重複させるようにして、ナプキン1の長手方向Xに多数配置してなる接合ラインも含む。
【0023】
第1接合線8は、ヒートエンボス加工等の公知の接合手段により、図2に示すように、ナプキン1の幅方向中央寄りに位置する部分6Aの一部を、表面シート2と接合して形成されている。尚、第1接合線8は、サイドシート6を、表面シート2及び吸収体4と共に一体的に圧搾して形成されたものであっても良い。この場合、第1接合線8部分に生じた溝により、液の滲みや拡散が抑制される利点がある。
【0024】
一対のサイドシート6、6それぞれにおける内側縁部61と第1接合線8との間の部分62(図3参照)は表面シート2に接合されておらず、該部分62と表面シート2との間に開口部71(図1参照)が形成されている。開口部71は、ナプキン1の装着時に開口し、その開口してできた空間内に、ナプキン1の幅方向Yへ移動した体液が捕らえられるため、ナプキンの防漏性を向上させることができる。また、見た目にも、幅方向の防漏性が高いことが容易に理解できるため、装着者に安心感を与える点でも好ましい。
【0025】
更に、第1接合線8は、少なくとも一部が、平面視において吸収体4と重なっていることが、開口部71で捕らえた液がスムーズに吸収体4に吸収され、防漏性が一層向上するので好ましい。開口部71で捕らえた液は、該開口部71の手前から奥へ移動する間に吸収体4に吸収されるか、あるいは開口部71の奥にたどり着いた後、吸収体4側に戻って吸収される。ここで、平面視において吸収体4と重なっているとは、第1接合線8の全体又は一部が、吸収体4が配されている領域(図1においては、吸収体4の輪郭を示す点線で囲まれた領域)内に存することを意味する。第1接合線8は、揺動幅W1(図3参照)の一部が、吸収体4と重なっていることが好ましく、揺動幅W1の全体が、吸収体4と重なっていることが更に好ましい。第1実施形態においては、第1接合線8は、図1に示すように、その全長に亘って揺動幅W1の全体が吸収体4と重なっている。
【0026】
第1接合線8の長手方向Xの前後に位置する第2接合線9は、図3に示すように、内側縁部61に近い部分91と内側縁部61から遠い部分92とを交互に有するように蛇行しており、長手方向Xに沿ってジグザグ形状を有している。内側縁部61に近い部分91と内側縁部61から遠い部分92との間は、第2接合線9を形成している接合線が長手方向Xに交差するように延びて繋がっている。更に説明すると、第2接合線9は、ナプキン1の幅方向Yの中央側に向けて凸の円弧状部分と、該中央側に向けて凹の円弧状部分とが交互に連なった形状であり、ナプキン1の長手方向Xと平行な部分を有していない。
【0027】
第2接合線9において、隣り合う内側縁部61に近い部分91,91間の距離L2が、図3に示すように、第1接合線8の長手方向Xの長さL1よりも短くなっている。前記距離L2は、隣り合う内側縁部61に近い部分91,91どうしにおいて、それぞれの内側縁部61に最も近い点どうし間の距離を長手方向Xに沿って測った長さである。また、第2接合線9の内側縁部61に近い部分91と内側縁部61から遠い部分92との離間距離W3(揺動幅)は、前述した第1接合線8のシール幅W2よりも長いことが好ましい。第1接合線8は所定の幅を有しており、第1接合線8の両側縁は微視的には平行な2本の直線とみなせるので、シール幅W2は、平行な前記2直線間の距離をいう。
【0028】
一対のサイドシート6、6それぞれにおける第2接合線9と内側縁部61との間の部分63(図3参照)は接合されておらず、該部分63と表面シート2との間には開口部72が形成されている。開口部72は、前述した、排泄部対向部を挟んで長手方向Xの左右両側に位置する開口部71と同様に、ナプキン1の装着時に開口することが好ましい。
【0029】
第2接合線9は、第1接合線8と同様に、ヒートエンボス加工等の公知の接合手段により、ナプキン1の幅方向Yの中央寄りに位置する部分6Aの一部を、表面シート2と接合して形成されている。その他、第2接合線9と吸収性本体10との接合については、前述した第1接合線8における説明が適宜適用される。また、第2接合線9は、図1に示すように、少なくとも一部が、平面視において吸収体4と重なっていることが、開口部72で捕らえた液がスムーズに吸収体4に吸収され、防漏性が一層向上するので好ましい。
【0030】
第1実施形態のナプキン1における第1接合線8の長手方向Xの長さL1は、40〜100mmであることが好ましく、第2接合線9の長手方向Xの長さ(蛇行が繰り返される領域)は、4〜50mmであることが好ましく、L1の方が長い方が好ましい。また、第2接合線9における前記距離L2は、4〜30mmであることが好ましい。L2/L1は、4〜75%であることが好ましい。また、第1接合線8の揺動幅W1は、2〜15mmであることが好ましく、第2接合線9の揺動幅W3は、2〜15mmであることが好ましい。W1は、W3と同じであるか、W3よりも大きいことが好ましい。
【0031】
第1実施形態においては、表面シート2におけるサイドシート6に被覆された両側部に、撥水処理が施されている。即ち、図2に示すように、表面シート2における、一対のサイドシート6,6それぞれの内側縁部6の下方に位置する部分から側縁2sに亘る、両側部は、その全域がサイドシート6に被覆されていてサイドシート被覆部21となっており、該サイドシート被覆部21の全域又は一部に、撥水処理が施されて撥水性を有している。
【0032】
このように、吸収体4の左右両側部を覆うように配置され且つサイドシート6に被覆されている、表面シート2の両側部(サイドシート被覆部21)に、撥水処理が施されていることにより、ナプキン1の側部における体液の滲みが効果的に防止され、サイド防漏部材5(サイドシート6)による、ナプキン1の幅方向Yへ移動した体液の捕捉効果と相俟って、ナプキン1の両側部における体液の漏れが効果的に防止される。このような撥水処理は、表面シート2が親水処理されたシートである場合に特に有効である。
【0033】
前記撥水処理は、表面シート2の所定部位に撥水剤を付与することにより実施できる。撥水剤としては、従来公知の撥水剤を用いることができ、例えば、各種サイズ剤、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。撥水剤の付与は、撥水剤又は撥水剤を溶媒に溶解又は分散させて得られた撥水剤含有液を、公知の塗工手段等を用いて、塗工、含浸、噴霧等することにより実施できる。
【0034】
前記撥水処理は、サイドシート被覆部21の全域に施しても良く、一部に施しても良いが、撥水処理による防漏性の向上効果をより確実に奏させる観点から、少なくとも、前記排泄部対向部を挟んでナプキン1の長手方向Xの左右両側に施すことが好ましい。第1実施形態においては、前方部A、中央部B及び後方部Cに亘って延びる、表面シート2のサイドシート被覆部21のうち、中央部Bに位置している部分の全域に、撥水処理が施されている。即ち、表面シート2における、開口部71を形成している部分(開口部71の底部。表面シート2における、平面視において、サイドシート6における第1接合線8と内側縁部61との間62と重なる部分。)及び該部分よりも幅方向Yの外方に延出している部分に、撥水処理が施されている。
【0035】
前記撥水処理は、A)表面シート2の肌当接面(サイドシート6との対向面)に施しても良く、B)表面シート2の非肌当接面(吸収体4との対向面)に施しても良く、あるいはこれら両面に施しても良い。前記A)の撥水処理法は、体液の滲み防止の点で、前記B)の撥水処理法よりも有効であり、また、後述するようにインクの付与等によって、撥水処理された部分が目視により視認可能となっている場合には、その視認性の向上の点でも有効であるが、サイドシート6との接合面である肌当接面を撥水処理するため、表面シート2とサイドシート6との間の接合強度の低下が懸念される。また、後述するように、撥水処理が、印刷インクの付与による着色処理を伴う場合、前記A)の撥水処理法では、表面シート2の肌当接面に付与されたインクがサイドシート6等の他の部材に移行する、いわゆる色移りが懸念される。これに対し、前記B)の撥水処理法は、サイドシート6とは対向せず且つナプキン1の肌当接面側に露出しない、表面シート2の非肌当接面を撥水処理するため、前記A)の撥水処理法で懸念される不都合を解消することができる。概ね、撥水処理が施された部分の防漏性及び視認性の点では、前記A)の撥水処理法が好ましく、ナプキン製造時の加工性の点では、前記B)の撥水処理法が好ましいと言える。
【0036】
第1実施形態においては、前記撥水処理が施された部分は、インクが付与されていて、ナプキン1をその肌当接面(表面シート2の肌当接面2a)側から目視したときに視認可能になされている。即ち、前記撥水処理が施された部分である、中央部Bのサイドシート被覆部21は、印刷により、撥水剤と共に、該部分の地色(通常は白色)以外の色彩のインクが付与されており、これにより、該部分を被覆するサイドシート6を介して、肌当接面2a側から目視により視認可能になっている。つまり、第1実施形態における撥水処理は、撥水剤を含むインク(撥水性インク)を印刷により所定部位に施すことによってなされており、印刷インクの付与による着色処理を伴ったものである。
【0037】
このように、前記撥水処理が施された部分がインクによって着色されて目視により視認可能になされていることにより、該部分の存在を使用者に強くアピールすることができ、使用者に防漏性に対する安心感を与えることができる。また、撥水処理が施された部分がインクによって着色されていることにより、該部分の汚れが目立ちにくくなると共に、該部分に付着した体液を隠蔽し、体液の付着に起因する使用者の不快感や防漏性に対する不安感を低減することができる。
【0038】
前記撥水処理が施された部分を一層確実に視認可能とする観点から、サイドシート6が不織布である場合、該サイドシート6は、1層の不織布層から構成されることが好ましく、2層以上の不織布層からサイドシート6を構成する場合には、該サイドシート6を構成する全不織布層の坪量の合計を150g/m2以下とすることが好ましい。また、同様の観点から、サイドシート6が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムの光透過率は40%以上であることが好ましい。また、同様の観点から、サイドシート6を構成する不織布や樹脂フィルムに、該不織布や該樹脂フィルムを厚み方向に貫通する開孔を多数形成し、該開孔によって、前記撥水処理が施された部分を視認可能にすることもできる。該開孔としては、1個の直径が0.3〜2mmの範囲にあるものが好ましい。
【0039】
このようなインクの付与による体液の隠蔽効果は、特に、前記撥水処理が施された部分の着色後の色彩(インクの色彩)を、排泄される体液の色彩(あるいは該体液が撥水処理された部分に染み込んだときの該部分の色彩)と同系色にすることによって、一層高めることができる。例えば、第1実施形態の如き生理用ナプキンにおいては、撥水処理が施された部分の色彩は、排泄される体液である経血の色彩(赤色)に合わせて、赤色から橙色(Lab表色系においてa*≧−15、b*≧−15の範囲)にするか、又は、寒色系(濃色)(Lab表色系においてa*≦15、b*≦15の範囲)にすることが好ましい。
【0040】
前記撥水処理が施された部分におけるインクの付与パターンは、該部分の略全域にインクを付与する(該部分の略全域をインクで塗り潰す)、いわゆるベタ塗りパターンでも良く、あるいは、インクにより形成された図形や文字等からなる所定の図柄が所定のパターンで配置されたものでも良い。防漏性の向上の観点からは、前者のベタ塗りパターンが好ましい。
【0041】
本発明で用いるインクは、この種の吸収性物品の印刷に適用可能なものであれば特に制限されない。インクには、前述した撥水剤に加えて、着色成分として、通常の印刷インクに用いられる染料や顔料等が含有され、更に、通常各種溶剤や界面活性剤等が含有される。また、インクの付与方法(撥水処理法)としては、通常の印刷法を適宜利用することができ、例えば、インクジェット印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。インクの付与は、吸収性物品の製造装置にインクジェット印刷機等の印刷装置を組み込んだものを用いて、インライン加工で行っても良く、あるいは吸収性物品の構成部材(第1実施形態では表面シート2)に印刷により予めインクを付与しておき、この印刷済みの構成部材を使って吸収性物品を作製しても良い。
【0042】
表面シート2としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、親水処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができ、特に不織布が好ましい。親水処理された不織布等を表面シートとして用いると体液の滲みが懸念されるが、本発明においては前述した撥水処理により、斯かる体液の滲みを防止できる。表面シート2に使用可能な不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド−メルトブロー不織布等が挙げられる。
【0043】
また、表面シート2には、前述したように、インクの付与による着色処理を伴った撥水処理が施されるため、インクの発色性を高める観点から、表面シート2としては、特に、インクの塗工性が良好な不織布、即ち、構成繊維が密に充填され(繊維間の空隙が比較的小さく)、表面が平滑な不織布が好ましい。そのような不織布としては、例えば、エンボス処理されたエアスルー不織布;インク塗工面が2.2dtex以下の繊維でより密な構造で構成されているような不織布等が挙げられる。従って、表面シート2としては、これらの不織布を含んで構成されているものが特に好ましい。
【0044】
また、サイドシート6としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、例えば、撥水性の不織布や樹脂フィルム製のシートを用いることができる。特に撥水性のエアスルー不織布を用いることが、肌触りのよさと横モレ防止の点から好ましい。サイドシート6としては不織布と樹脂フィルムとのラミネート体を用いることもできる。また、サイドシート6に、表面シート2と同様に、インクの付与による着色処理を伴った撥水処理を施す場合には、少なくともインクが付与される部分は(撥水処理が施される部分)、前述した表面シート2の素材と同様のものを用いることが好ましい。
【0045】
第1実施形態のナプキン1について更に説明すると、図1に示すように、ナプキン1の肌当接面(表面シート2の肌当接面2a)における、該ナプキン1の平面視において吸収体4と重なる領域には、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3に向かって一体的に凹陥した、線状の溝部11が形成されている。溝部11は、平面視において、前記排泄部対向部を包囲する閉じた環を形成している。溝部11においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。このように、ナプキン1の肌当接面側に、表面シート2と吸収体4とが一体化された溝部11が形成されていることにより、吸収体4の平面方向の液の拡散が効果的に抑制されるようになり、また吸収体4のヨレを防止できる。溝部11の形成は、経血等の排泄液の拡散防止、装着時の身体に対する密着性の向上等に特に有効である。溝部11は、熱を伴うか又は伴わないエンボス、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
【0046】
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。裏面シート3は、液不透過性でも液透過性でも良く、例えば透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。
【0047】
吸収体4を構成する材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、合繊繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の高吸水性樹脂を保持させたもの等を用いることができる。また吸収体4は、該繊維集合体等からなる液保持性の吸収性コア(図示せず)と、該吸収性コアを被覆する液透過性のコアラップシート(図示せず)とを含んで構成されていても良く、その場合、吸収性コアとコアラップシートとの間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、例えば、ティッシュペーパー等の紙や各種不織布、開孔フィルム等を用いることができる。吸収体4の中高部位を除く坪量は、好ましくは100〜500g/m2、更に好ましくは150〜300g/m2である。
【0048】
第1実施形態のナプキン1は、公知のウイング部を有する生理用ナプキンと同様に下着に装着して使用する。第1実施形態のナプキン1によれば、装着時に、前記排泄部対向部を挟んでナプキン1の長手方向Xの左右両側に配置された一対の第1接合線8が、中央部Bに開口部71を形成すると共に、その前後に位置する二対の第2接合線9が、前方部A及び後方部Cそれぞれに開口部72を形成するため、幅方向Yの外方に移動した体液をこれらの開口部71,72で捕らえることができる。また、開口部71が形成されている中央部Bのサイドシート被覆部21には、撥水処理が施されているため、該部分における体液の滲みを抑えることができる。このような、サイド防漏部材5(サイドシート6)による体液捕捉効果と、撥水処理による体液の滲み防止効果とにより、第1実施形態のナプキン1は、側部における体液の漏れを起こし難い。
【0049】
また、第1実施形態のナプキン1は、撥水処理が施された部分(中央部Bのサイドシート被覆部21)が、印刷インクの付与によって、該部分を被覆するサイドシート6を介して肌当接面2a側から目視によって視認可能になっているため、該部分の存在を使用者に強く意識させ、使用者に防漏性に対する安心感を与えることができる。また、撥水処理が施された部分が印刷インクによって着色されているため、該部分の汚れが目立ちにくくなると共に、該部分に付着した体液を隠蔽し、体液の付着に起因する使用者の不快感や防漏性に対する不安感を低減することができる。
【0050】
また、第1実施形態のナプキン1は、サイドシート6の表面シート2との接合部(第1接合線8、第2接合線9)が、図1に示す如き平面視において弧状となっているため、例えば該接合部が長手方向Xに直線状になっている場合に比して、装着時に、サイドシート6と表面シート2との接合部のヨレを防止でき、良好な装着感が得られ、前述した開口部71,72の形成が容易であり、印刷インクの付与に起因する作用効果に優れている。
【0051】
以下に、本発明の吸収性物品の他の実施形態について図4〜図8を参照して説明する。後述する他の実施形態については、前述した第1実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
【0052】
図4〜図6には、本発明の吸収性物品の第2実施形態である生理用ナプキンが示されている。尚、以下では、図5及び図6に基づいて、主としてナプキンの右側について説明するが、特に断らない限り、左側についても右側と同様に構成されている。第2実施形態のナプキン1は、図4に示すように、吸収性本体10の長手方向Xに沿う両側部それぞれに配置された一対のサイド防漏部材12,12を備えている。
【0053】
図5及び図6に示すように、表面シート2の長手方向Xに沿う両側縁2s,2sは、吸収体4の長手方向Xに沿う両側縁4s,4sと同位置にあり、吸収体4と裏面シート3との間には存していない。ここで、「表面シートの長手方向に沿う両側縁が、吸収体の長手方向に沿う両側縁と同位置にある」とは、表面シート2の両側縁2s,2sが、それぞれ、吸収体4を厚み方向に二分して上層と下層とに分けた場合の上層(肌側の層)の表面上に存し、且つ吸収体4の側縁4s(吸収体4において最も幅方向Yに突出している縁)から吸収体4の表面に沿って5mm以内に位置している場合を意味する。このように、表面シート2の長手方向に沿う両側部(両側縁2s,2s及びそれらの近傍)が吸収体4の両側部と同位置にあると、第1実施形態の如き、表面シート2の長手方向に沿う両側部が吸収体4の幅方向外方に延出している場合と同様に、ナプキンの構成部材の使用量の低減、製造コストの低下が図られる。
【0054】
第2実施形態における一対のサイド防漏部材12,12は、それぞれ、図4及び図5に示すように、表面シート2の長手方向Xに沿う側部を被覆するサイドシート13と、該サイドシート13に伸長状態で固定された弾性部材14とを含んで構成されており、いわゆる立体ギャザーである。各サイド防漏部材12は、図4に示すように、吸収性本体10の長手方向Xの全長に亘って設けられており、図5に示すように、吸収性本体10の肌当接面側に該吸収性本体10の長手方向に沿って起立する基壁部15と、該基壁部15の上端部15aに連接され、装着時に装着者の肌に当接する弾性伸縮部16とを含んで構成されている。
【0055】
弾性伸縮部16は、上端部15aの長手方向の全長に亘って連接されている。弾性伸縮部16には、吸収性本体10の長手方向に沿って弾性部材14が配されて弾性伸縮性が付与されている。サイド防漏部材12(弾性伸縮部16)の伸縮方向は吸収性本体10の長手方向に一致している。弾性部材14は、少なくとも中央部Bに配されており、更に前方部A及び/又は後方部C側にも延びて配されていることが好ましい。
【0056】
サイド防漏部材12を構成するサイドシート13は、長手方向Xに亘って一定の幅を有するシートで、基壁部15及びその上端部15aに弾性伸縮部16が連設された形状を有するように折り返されている。従って、サイドシート13を折り返して形成されたサイド防漏部材12は、図5に示すように、基壁部15及び弾性伸縮部16において2層構造となっている。サイドシート13は、図5及び図6に示すように、表面シート2の肌当接面2aに接合されている。基壁部15の下端部15bは、吸収体4と裏面シート3との間に介在配置されており、当該部位において接着剤等の公知の接合手段により固定されている。
【0057】
第2実施形態においては、弾性伸縮部16は、図5に示すように、基壁部15の上端部15aから水平方向に張り出しており、これにより、面状(ナプキン1の平面視において面状)に形成されている。即ち、弾性伸縮部16は、上端部15aから吸収性本体10の幅方向Yの内方に略水平に張り出す内方弾性伸縮部16Aと、上端部15aから吸収性本体10の幅方向Yの外方に略水平に張り出す外方弾性伸縮部16Bとから構成されており、少なくとも中央部Bにおいて装着者の肌に面状に当接するようになっている。内方弾性伸縮部16Aの長手方向Xに沿う側縁は、サイドシート13の内側縁部となっており、図4に示すように、ナプキン1の幅方向Yの中央部側に、長手方向Xに延びる直線状に形成されている。
【0058】
内方弾性伸縮部16A及び外方弾性伸縮部16Bそれぞれには、弾性部材14が1本以上配されて弾性伸縮性が付与されている。弾性部材14は、内方弾性伸縮部16A及び外方弾性伸縮部16Bを構成する2層のサイドシート13,13の間に伸長状態で配されており、接着剤等の公知の接合手段によって両シート13,13に接合されている。このように、第2実施形態においては、内方弾性伸縮部16A及び外方弾性伸縮部16Bは、両者が一体となって平面状に形成され、弾性伸縮部16と基壁部15とは、図5に示す如きサイド防漏部材(立体ギャザー)12の幅方向Yの断面視において、T字状を形成している。
【0059】
第2実施形態においては、図5に示すように、内方弾性伸縮部16A及び外方弾性伸縮部16Bの張り出し幅は異なっているが、同じであっても良い。内方弾性伸縮部16Aの張り出し幅と外方弾性伸縮部16Bの張り出し幅との比(前者:後者)は、立体ギャザーの平面部の体へのフィット性と使用時にギャザーが吸収面内側への倒れによる体液の付着防止の観点から、好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは2:1〜1:2である。また、内方弾性伸縮部16Aの長手方向に沿った自由端から外方弾性伸縮部16Bの長手方向に沿った自由端までの長さ、即ち、面状の弾性伸縮部16の幅は、フィット性及びサイド防漏部材12を汚しにくくする観点から、10〜20mmが好ましい。
【0060】
サイド防漏部材12は、図4及び図6に示すように、弾性伸縮部16が吸収性本体10に接合されている弾性伸縮部固定部17を有している。弾性伸縮部固定部17においては、弾性伸縮部16が吸収性本体10に接合されていることで基壁部15の起立が阻害されているため、サイド防漏部材(立体ギャザー)12は起立していない。弾性伸縮部固定部17は、図6に示すように、弾性伸縮部16の少なくとも内方弾性伸縮部16Aが、折り重ねられた基壁部15を介して、吸収性本体10を構成する表面シート2に固定されることで形成されている。
【0061】
弾性伸縮部固定部17は、図4に示すように、サイド防漏部材12(弾性伸縮部16)の長手方向Xの両端部に形成されており、前記排泄部対向部が存している中央部Bを含む、これら両端部に挟まれたサイド防漏部材12の長手方向内方部には形成されていない。従って、サイド防漏部材(立体ギャザー)12は、弾性伸縮部固定部17が形成されている長手方向両端部においては起立しておらず、弾性伸縮部固定部17が形成されていない前記長手方向内方部においては、弾性部材14による収縮力によって起立している。また、弾性伸縮部16の収縮によって、吸収性本体10は、その長手方向の全体形状が、肌当接面側(表面シート2側)に凹状に湾曲している。
【0062】
また、起立したサイド防漏部材12と表面シート2との間には、装着時に開口する開口部73が形成されている。より具体的には、起立したサイド防漏部材12を構成するサイドシート13は、図5に示すように、その長手方向Xに沿う内側縁部(内方弾性伸縮部16Aの長手方向Xに沿う側縁)よりも幅方向Yの外方において、吸収体4上にて表面シート2の側部の肌当接面2aに接合されており、その接合部18と該内側縁部との間に、装着時に開口する開口部73が形成されている。
【0063】
サイド防漏部材12を構成するサイドシート13としては、第1実施形態におけるサイドシート6と同様のものを用いることができる。また、サイド防漏部材12を構成する弾性部材14としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、糸状でも帯状でも良い。
【0064】
第2実施形態においては、表面シート2におけるサイドシート13に被覆された両側部に、前述した撥水処理が施されている。即ち、図5及び図6に示すように、表面シート2における、内方弾性伸縮部16A(サイドシート13の内側縁部及びその近傍)の下方に位置する部分を含んで該部分よりも幅方向Yの外方に位置する、側部は、その全域がサイドシート13に被覆されていてサイドシート被覆部21となっており、該サイドシート被覆部21の全域又は一部に、撥水処理が施されて撥水性を有している。より具体的には、前方部A、中央部B及び後方部Cに亘って延びる、表面シート2のサイドシート被覆部21のうち、装着時にサイド防漏部材12が起立して開口部73を形成する部分(中央部B及び後方部Cの該中央部B寄りの部分)に、前述した、印刷インクの付与による着色処理を伴った撥水処理が施されている。弾性伸縮部固定部17が形成されている部分には、該撥水処理は施されていない。
【0065】
第2実施形態のナプキンによっても第1実施形態と同様の効果が奏される。即ち、第2実施形態のナプキンによれば、いわゆる立体ギャザーとして機能するサイド防漏部材12(サイドシート13)による体液捕捉効果(体液の堰き止め効果)と、撥水処理による体液の滲み防止効果とにより、側部における体液の漏れを起こし難い。更に、使用時にサイド防漏部材12(立体ギャザー)が吸収面内側へ倒れることによる、体液の付着を防止でき、見た目が与える安心感の効果も高い。また、撥水処理が施された部分(装着時に開口部73が形成されている部分)が、印刷インクの付与によって、ナプキンを肌当接面(表面シート2の肌当接面2a)側から目視しときに視認可能になっているため、該部分の存在を使用者に強く意識させ、使用者に防漏性に対する安心感を与えることができる。また、撥水処理が施された部分が印刷インクによって着色されているため、該部分の汚れが目立ちにくくなると共に、該部分に付着した体液を隠蔽し、体液の付着に起因する使用者の不快感や防漏性に対する不安感を低減することができる。
【0066】
図7には、本発明の吸収性物品の第3実施形態である生理用ナプキンの図5相当図が示されている。第3実施形態のナプキンは、弾性伸縮部26が、基壁部15の上端部15aから吸収性本体10の幅方向Yの外方に略水平に張り出す外方弾性伸縮部のみから構成されている点で、第2実施形態と異なる。但し、第3実施形態における弾性伸縮部26も、面状に形成されているという点では第2実施形態における弾性伸縮部16と同じである。第3実施形態のナプキンによっても第2実施形態と同様の効果が奏される。
【0067】
図8には、本発明の吸収性物品の第4実施形態である生理用ナプキンの図5相当図が示されている。第4実施形態のナプキンは、弾性伸縮部36が面状に形成されていない点で、第2実施形態と異なる。即ち、弾性伸縮部36は、基壁部15の上端部15aから水平方向への張り出し幅が実質的に無いに等しく(張り出し幅2mm以下)、ナプキンの平面視において面状に形成されていない。第4実施形態のナプキンによっても第2実施形態と同様の効果が奏される。
【0068】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、撥水処理は、表面シート2の肌当接面及び/又は非肌当接面のみに施されていたが、これに加えて、サイドシート6,13における表面シート2との対向面(図1及び図4に示す如き平面視において、表面シート2と重なる面)に施されていても良く、あるいはサイドシート6,13の該対向面のみに施されていても良い。また、撥水処理は、前記排泄部対向部を含む中央部Bに加えて、その前後に位置する前方部A及び/又は後方部Cに施されていても良い。
【0069】
また、第2及び第3実施形態において、サイド防漏部材12(立体ギャザー)は、基壁部15と弾性伸縮部16,26とが一体的に形成されていたが、互いに別体の基壁部15と弾性伸縮部16,26とが接合されて形成されていても良い。
【0070】
また、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとして生理用ナプキンを挙げたが、例えば、使い捨ておむつ、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
2a 表面シートの肌当接面
3 裏面シート
4 吸収体
5,12 サイド防漏部材
6,13 サイドシート
7 ウイング部
8 第1接合線
9 第2接合線
10 吸収性本体
14 弾性部材
15 基壁部
16,26,36 弾性伸縮部
16A 内方弾性伸縮部(サイドシートの内側縁部)
16B 外方弾性伸縮部
17 弾性伸縮部固定部
21 表面シートのサイドシート被覆部
61 サイドシートの内側縁部
71,72,73 開口部
A 前方部
B 中央部
C 後方部
X ナプキン長手方向
Y ナプキン幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液保持性の吸収体及び該吸収体の肌当接面側に配置された表面シートを具備する実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれに配置された一対のサイド防漏部材とを備えた吸収性物品であって、
前記表面シートの長手方向に沿う両側縁は、前記吸収体の長手方向に沿う両側縁と同位置にあるか、又は前記吸収体の長手方向に沿う両側縁よりも幅方向外方に位置しており、
一対の前記サイド防漏部材は、それぞれ、前記表面シートの長手方向に沿う側部を被覆するサイドシートを含んで構成されており、
前記サイドシートは、少なくともその一部が、その長手方向に沿う内側縁部よりも幅方向外方において前記表面シートの側部に接合されており、その接合部と該内側縁部との間に、装着時に該内側縁部が起立して内方側に開口する開口部が形成されており、
前記表面シートにおける前記サイドシートに被覆された両側部、及び/又は前記サイドシートにおける前記表面シートとの対向面に、撥水処理が施され、その撥水処理が施された部分は、インクが付与されていて、前記吸収性物品を肌当接面側から目視したときに視認可能になされている吸収性物品。
【請求項2】
前記撥水処理が施された部分は、前記吸収性物品の装着者の排泄部と対向する排泄部対向部を挟んで、該吸収性物品の長手方向左右両側に存している請求項1記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104014(P2011−104014A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260349(P2009−260349)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】