説明

吸収性物品

【課題】構造が簡単で製造が容易でありながら、尿等の排泄物を逃さず確実に保持できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】この吸収性物品1は、パッド体11と、端縁接合部12aとを備える。パッド体11は、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、水分を吸収する吸液性を有し、内側シート部材と外側シート部材との間に配置される吸収コア23とを備え、縦方向Yに沿った中心線31に沿って二つ折りにされる。端縁接合部12aは、パッド体11の縦方向Yの両側の端縁における二つ折りにより互いに重ね合わされる中心線31を挟んだ左右両側の部分同士を接合する。パッド体11の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向の両側の側縁の少なくとも一部において、その両側の側縁同士が互いに離反する方向に開放可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部に装着される吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
大人用使い捨ておむつの使用形態として、以前はおむつを単体で使用することが多かったが、最近ではおむつの内側に尿吸収パッド等の吸収性物品が敷き込まれることが増えてきている。おむつと他の吸収性物品とを併用する目的の一つは、おむつの交換頻度及びコストの抑制である。例えば、尿等の排泄物が比較的少量の場合には、内側の吸収性物品のみを交換すれば、外側のおむつは継続して使用が可能となる。なお、本願においておむつという場合には、テープタイプのおむつとパンツタイプのおむつの両方を含むものとする。
【0003】
おむつの内側に装着される従来の吸収性物品としては、例えば特許文献1に記載のものがある。しかし、特許文献1に記載のものように単純な平面状の形態ものものでは、尿等の排泄物が内側の吸収性物品の外部に容易に拡散し、外側のおむつ(例えば、おむつの立体ギャザー等)を汚してしまい、外側のおむつも交換しなければならなくなる場合が多い。
【0004】
また、排泄物を外側のおむつ等に漏らさないために、立体的な複雑な構造を有する吸収性物品が提案されている。しかし、構造が複雑であるため、吸収性物品の製造工程が複雑になり、製造コストが嵩むという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−237231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の解決すべき課題は、構造が簡単で製造が容易でありながら、尿等の排泄物を逃さず確実に保持できる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部に装着される吸収性物品であって、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、水分を吸収する吸液性を有し、前記内側シート部材と前記外側シート部材との間に配置される吸収コアとを備え、縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされたパッド体と、前記パッド体の前記縦方向の両側の端縁における二つ折りにより互いに重ね合わされる前記中心線を挟んだ左右両側の部分同士を接合する端縁接合部とを備え、前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向の両側の側縁の少なくとも一部において、その両側の側縁同士が互いに離反する方向に開放可能である。
【0008】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士を、開口形成のための一部の区間を除いて接合する側縁接合部をさらに備える。
【0009】
また、請求項3の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士の略全体が、互いに離反する方向に開放可能である。
【0010】
また、請求項4の発明では、着用者の股部に装着される吸収性物品であって、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、水分を吸収する吸液性を有し、前記内側シート部材と前記外側シート部材との間に配置される吸収コアとを備え、縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされたパッド体と、前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた周縁同士を接合する周縁接合部と、前記パッド体の一部が弱化されることにより設けられ、破断により前記パッド体から切り離される切離し部を規定する弱化部とを備え、前記弱化部は、前記周縁接合部のうちの前記縦方向に沿って延びる側縁接合部の少なくとも一部を前記切離し部に含むように設けられている。
【0011】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明に係る吸収性物品において、前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁接合部の前側寄りの部分を含むように設けられている。
【0012】
また、請求項6の発明では、請求項4の発明に係る吸収性物品において、前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁接合部の後側寄りの部分を含むように設けられている。
【0013】
また、請求項7の発明では、請求項4の発明に係る吸収性物品において、前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁側縁部分の略全体を含むように設けられている。
【0014】
また、請求項8の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記パッド体の前記外側シート部材は、全周において前記内側シート部材よりも大きな外形を有している。
【0015】
また、請求項9の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記パッド体の前記外側シート部材の外側の面は、不織布によって形成されている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明に係る吸収性物品では、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、それらの間に配置された吸収コアとを備えたパッド体が縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされる。さらに、そのパッド体における縦方向の両側の端縁における二つ折りにより互いに重ね合わされる中心線を挟んだ左右両側の部分同士が端縁接合部により接合されている。しかも、パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向の両側の側縁の少なくとも一部において、その両側の側縁同士が互いに離反する方向に開放可能となっている。それ故、二つ折りにされたパッド体の中心線を挟んだ左右両側の部分を互いに離反する方向に引き離すようにして、パッド体を変形させることにより、パッド体、すなわち吸収性物品の形態が略舟形になる。この変形に伴い、パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向の両側の側縁の少なくとも一部において開口部が形成される。この開口部は、略舟形の形態になった吸収性物品の上面側に形成される。このような形態に変形された吸収性物品は、開口部が形成された上面を着用者の肌面側に向けて股部に装着される。そして、この吸収性物品の上から使い捨ておむつ等が装着される。
【0017】
上記の如く、本発明に係る吸収性物品の装着時の形態を上面側に開口部が形成された略舟形に変形できるため、排泄される尿、便又はその両方を逃さずに確実に保持でき、排泄物により吸収性物品の上から装着されているおむつ等が汚れるのを防止できる。その結果、外側のおむつ等の交換頻度を抑制できる。例えば、開口部が吸収性物品の上面における前側寄りの部分に設けられている場合は、その開口部を介して男性着用者の陰茎(又は性器全体)を吸収性物品内に挿入することができるため、男性着用者の排尿を逃さず確実に保持できる。あるいは、開口部が吸収性物品の上面における後側寄りの部分に設けられている場合は、開口部が着用者の肛門に対向するように吸収性物品を装着することにより、排便を逃さずに確実に保持できる。あるいは、開口部が吸収性物品の上面における前側から後側までの広範囲を網羅するように設けられている場合は、開口部が着用者(例えば、女性着用者)の排尿部位から肛門にかけた部位に対向するように吸収性物品を装着することにより、排尿及び排便を逃さずに確実に保持できる。
【0018】
また、上記の如く、本発明に係る吸収性物品は簡単な構造を有しているため、容易に製造できる。
【0019】
請求項2に記載の発明に係る吸収性物品によれば、パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士が、開口形成のための一部の区間を除いて側縁接合部により接合されている。それ故、例えば、側縁接合部の非接合区間が吸収性物品の前側寄りの部分に設けられている場合は、その非接合区間により形成される開口部を介して男性着用者の陰茎(又は性器全体)を吸収性物品内に挿入することができ、男性着用者の排尿を逃さず確実に保持できる。あるいは、側縁接合部の非接合区間が吸収性物品の後側寄りの部分に設けられている場合は、その非接合区間により形成される開口部が着用者の肛門に対向するように吸収性物品を装着することにより、排便を逃さずに確実に保持できる。
【0020】
請求項3に記載の発明に係る吸収性物品によれば、パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士の略全体が、互いに離反する方向に開放可能となっている。それ故、上記の吸収性物品の略舟形の形態への変形に伴って、吸収性物品の上面に前側から後側にかけた広範囲の領域で開口する開口部が形成される。このため、例えば、その開口部が着用者(例えば、女性着用者)の排尿部位から肛門にかけた部位に対向するように吸収性物品を装着することにより、排尿及び排便を逃さずに確実に保持できる。
【0021】
請求項4に記載の発明に係る吸収性物品によれば、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、それらの間に配置された吸収コアとを備えたパッド体が縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされる。さらに、そのパッド体における二つ折りにより互いに重ね合わされた周縁同士が周縁接合部により接合され、これにより略袋状の形態が得られる。さらに、二つ折りにされ周縁が接合されたパッド体の一部が弱化されることにより弱化部が設けられている。そして、この弱化部を破断し切離し部を切り離すことにより、周縁接合部のうちの縦方向に沿って延びる側縁接合部の少なくとも一部が切離し部と共に切り離し可能となっている。
【0022】
この吸収性物品の使用時には、パッド体に設けられた弱化部が破断され、これにより切離し部が切り離される。続いて、二つ折りにされたパッド体の中心線を挟んだ左右両側の部分を互いに離反する方向に引き離すようにして、パッド体が変形されることにより、パッド体、すなわち吸収性物品の形態が略舟形になる。この変形に伴い、周縁接合部の側縁接合部における切り離された部分によって、開口部が形成される。この開口部は、略舟形の形態になった吸収性物品の上面側に形成される。このような形態に変形された吸収性物品は、開口部が形成された上面を着用者の肌面側に向けて股部に装着される。そして、この吸収性物品の上から使い捨ておむつ等が装着される。
【0023】
上記の如く、装着時に本発明に係る吸収性物品の形態を上面側に開口部が形成された略舟形に変形できるため、排泄される尿、便又はその両方を逃さずに確実に保持でき、排泄物により吸収性物品の上から装着されているおむつ等が汚れるのを防止できる。その結果、外側のおむつ等の交換頻度を抑制できる。例えば、開口部が吸収性物品の上面における前側寄りの部分に設けられている場合は、その開口部を介して男性着用者の陰茎(又は性器全体)を吸収性物品内に挿入することができるため、男性着用者の排尿を逃さず確実に保持できる。あるいは、開口部が吸収性物品の上面における後側寄りの部分に設けられている場合は、開口部が着用者の肛門に対向するように吸収性物品を装着することにより、排便を逃さずに確実に保持できる。あるいは、開口部が吸収性物品の上面における前側から後側までの広範囲を網羅するように設けられている場合は、開口部が着用者(例えば、女性着用者)の排尿部位から肛門にかけた部位に対向するように吸収性物品を装着することにより、排尿及び排便を逃さずに確実に保持できる。
【0024】
また、上記の如く、本発明に係る吸収性物品は簡単な構造を有しているため、容易に製造できる。
【0025】
また、使用時に弱化部を破断して開口部を形成する構成であるため、吸収性物品が保存されている際等に、二つ折りされ略袋状の形態を有するパッド体の内部に埃又は異物等が浸入するのを防止できる。例えば、パッド体の外側シート部材に気密性を持たせるとともに、弱化部として破断される前の状態は外側シート部材の気密性を維持可能な構成を採用した場合には、弱化部が破断されるまで、吸収性物品におけるパッド体の外側シート部材の内側を気密な状態に維持できる。これによって、例えば保存時等に吸収コアに含まれる吸収性ポリマー等が湿気により劣化するのを防止できる。
【0026】
請求項5に記載の発明に係る吸収性物品によれば、弱化部が、切離し部に、周縁接合部の側縁接合部の前側寄りの部分を含むように設けられている。それ故、弱化部の破断及び吸収性物品の形態の略舟形への変形に伴って形成される開口部が吸収性物品の上面における前側寄りに形成される。このため、その開口部を介して男性着用者の陰茎(又は性器全体)を吸収性物品内に挿入することにより、男性着用者の排尿を逃さず確実に保持できる。
【0027】
請求項6に記載の発明に係る吸収性物品によれば、弱化部が、切離し部に、周縁接合部の側縁接合部の後側寄りの部分を含むように設けられている。それ故、弱化部の破断及び吸収性物品の形態の略舟形への変形に伴って形成される開口部が吸収性物品の上面における後側寄りに形成される。このため、その開口部が着用者の肛門に対向するように吸収性物品を装着することにより、排便を逃さずに確実に保持できる。
【0028】
請求項7に記載の発明に係る吸収性物品によれば、弱化部が、切離し部に、周縁接合部の側縁側縁部分の略全体を含むように設けられている。それ故、弱化部の破断及び吸収性物品の形態の略舟形への変形に伴って形成される開口部が吸収性物品の上面における前側端部から後側端部の略全域に形成される。このため、その開口部が着用者(例えば、女性着用者)の排尿部位から肛門にかけた部位に対向するように吸収性物品を装着することにより、排尿及び排便を逃さずに確実に保持できる。
【0029】
請求項8に記載の発明に係る吸収性物品によれば、パッド体の外側シート部材が、全周において内側シート部材よりも大きな外形を有しているため、外側シート部材の内側シート部材からはみ出した周縁部に、パッド体を二つ折りした際の端縁接合部又は周縁接合部等を設けることができる。外側シート部材は透液性を要求されないため、外側シート部材又は外側シート部材の内面側を、融着(例えば、加熱融着)に適した樹脂フィルム等で形成できる。その結果、二つ折りにされたパッド体の端縁接合部又は周縁接合部等での接合に簡単な接合手法である融着を適用できる。
【0030】
請求項9に記載の発明に係る吸収性物品によれば、パッド体の外側シート部材の外側の面が不織布によって形成されているため、略舟形の形態に変形された吸収性物品の外面(特に、上面側の外面)の肌触りが向上し、吸収性物品の装着による違和感又は肌への影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(a)は本発明の一実施形態に係る吸収性物品の出荷時の形態を示す図であり、図1(b)は(a)の吸収性物品における弱化部が破断された状態を示す図である。
【図2】図2(a)は図1(b)の吸収性物品のA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図であり、図2(b)は図1(b)の吸収性物品のA2−A2線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】図1(a)の吸収性物品を構成するパッド体の二つ折りにされる前の状態を示す図である。
【図4】図3のパッド体のA3−A3線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図3のパッド体の外側シート部材の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】図1(b)の吸収性物品を略舟形の形態に変形した状態を示す図である。
【図7】図6の吸収性物品のA4−A4線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図6の吸収性物品が着用者の股部に装着された状態を模式的に示す断面図である。
【図9】図9(a)は図1(a)の吸収性物品の変形例を示す図であり、図9(b)は(a)の吸収性物品における弱化部が破断された状態を示す図である。
【図10】図9(b)の吸収性物品を略舟形の形態に変形した状態を示す図である。
【図11】図10の吸収性物品が着用者の股部に装着された状態を模式的に示す断面図である。
【図12】図12(a)は図1(a)の吸収性物品の他の変形例を示す図であり、図12(b)は(a)の吸収性物品における弱化部が破断された状態を示す図である。
【図13】図12(b)の吸収性物品を略舟形の形態に変形した状態を示す図である。
【図14】図13の吸収性物品のA5−A5線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図15】図13の吸収性物品が着用者の股部に装着された状態を模式的に示す断面図である。
【図16】図1(a)の吸収性物品のさらに他の変形例を構成するパッド体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一実施形態に係る吸収性物品について、図1(a)、図1(b)、図2(a)、図2(b)、及び図3ないし図8を参照して説明する。なお、本明細書において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後又は上下方向に対応している。また、本明細書における前側とは、図1(a)、図1(b)、図6上では上側に対応している。
【0033】
本実施形態に係る吸収性物品1は、図1(a)、図1(b)、図2(a)及び図2(b)に示すように、二つ折りにされたパッド体11と、周縁接合部12と、弱化部13とを備えて構成され、着用者の股部に装着される。
【0034】
パッド体11は、図3及び図4に示すように、少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材21と、防水性を有する外側シート部材22と、水分を吸収する吸液性を有し、内側シート部材21と外側シート部材22との間に配置される吸収コア23とを備えている。
【0035】
本実施形態では、内側シート部材21は、例えば親水性の不織布等により形成され、その全域が透液性を有している。また、外側シート部材22は、例えば図5に示すように、防水性を有する樹脂フィルム221と、その樹脂フィルム221の外側に貼り合わされた不織布222とを備えている。樹脂フィルム221と不織布222との接合は、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)又は融着(例えば、加熱融着)によって行われる。なお、樹脂フィルム221として、防水性に加えて通気性を有する多孔性樹脂フィルムを用いてもよい。
【0036】
吸収コア23は、例えば、パルプ、綿等の繊維が集合されてなる繊維集合体、又は吸収性ポリマーを透液性シートの間に挟み込んで形成された吸収パッド、又はこれらの組み合わせによって構成される。なお、繊維集合体には吸収性ポリマーが添加又は混入される場合がある。また、吸収コア23に繊維集合体が用いられる場合、繊維集合体をティッシュペーパー等の透液性を有する包装シートにより包んでもよい。
【0037】
また本実施形態では、内側シート部材21は全周において吸収コア23よりも大きな外形を有し、外側シート部材22は全周において吸収コア23及び内側シート部材21よりも大きな外形を有している。また、内側シート部材21及び外側シート部材22は、略矩形の外形形状を有している。図3に示す構成では、吸収コア23も略矩形の外形形状を有している。
【0038】
そして、吸収コア23は、その両面が内側シート部材21及び外側シート部材22によって完全に覆われるようにして、内側シート部材21と外側シート部材22との間に配置される。内側シート部材21の周縁部21aは、その全周において吸収コア23からはみ出しており、外側シート部材22と接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)又は融着(例えば、加熱融着)により接合されている。外側シート部材22の周縁部22aは、その全周において内側シート部材21からはみ出しており、後述する周縁接合部12が設けられる。また、吸収コア23と外側シート部材22とは接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって接合されている。あるいは、吸収コア23と外側シート部材22及び内側シート部材21の両方とは、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって接合されている。
【0039】
このように構成されるパッド体11は、図3に示される縦方向Yに沿った中心線31に沿って、図1(a)及び図2(b)に示すように二つ折りにされる。そして、パッド体11の周縁が周縁接合部12により接合される。これにより、二つ折りにされたパッド体11は略袋状の形態となる。この周縁接合部12は、パッド体11の二つ折りにより互いに重ね合わされた周縁同士を接合するものであり、図3に示すように、パッド体11の外側シート部材22の周縁部22aにおける2つの仮想線によって囲まれた帯状に延びる略四角枠状の領域に設定される。
【0040】
この周縁接合部12は、端縁接合部12aと側縁接合部12bとを有している。端縁接合部12aは、周縁接合部12に含まれる横方向Xに沿って延びる部分であり、パッド体11の縦方向Yの両側の端縁における二つ折りにより互いに重ね合わされる中心線31を挟んだ左右両側の部分同士を接合する。側縁接合部12bは、周縁接合部12に含まれる縦方向Yに沿って延びる部分であり、パッド体11の横方向Xの両側の側縁同士を接合する。周縁接合部12での接合には、本実施形態では融着(例えば、加熱融着)が用いられるが、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を用いてもよい。
【0041】
弱化部13は、図1(a)に示すように、パッド体11(本実施形態では、外側シート部材22)の一部が弱化されることにより設けられ、弱化部13の破断によりパッド体11から切り離される切離し部32を規定する。弱化部13には、外側シート部材22に設けられたミシン目、あるいは、外側シート部材22の肉厚が他の部分よりも薄くされた薄肉部などにより形成され、作業者の手で容易に破断可能となっている。なお、外側シート部材22(特に、樹脂フィルム221)に気密性を有する素材が用いられた場合には、弱化部13として、破断される前は外側シート部材22の気密性を損ねない構成を採用してもよい。これにより、弱化部13が破断されるまで、吸収性物品1におけるパッド体11の外側シート部材22の内側を気密な状態に維持できる。
【0042】
また、弱化部13は、周縁接合部12のうちの縦方向Yに沿って延びる側縁接合部12bの少なくとも一部を切離し部32に含むように設けられている。これにより、図1(b)及び図2(a)に示すように、弱化部13の破断に伴って、側縁接合部12bの少なくとも一部が切り離し部32と共に切除される。これにより、パッド体11の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向Xの両側の側縁の少なくとも一部に開口形成部33が設けられ、その開口形成部33にてパッド体11の側縁同士が互いに離反する方向に開放可能となる。弱化部13は、二つ折りにされたパッド体11の周縁を周縁接合部12により接合した状態で設けてもよいし、パッド体11を二つ折りにする前に設けてもよい。
【0043】
図1(a)に示す構成では、切離し部32に、周縁接合部12の側縁接合部12bのうちの前側寄りの部分を含むように、弱化部13が設けられている。すなわち、図1(b)に示すように弱化部13が破断された際に、開口形成部33が、互いに重ね合わされたパッド体11の横方向Xの両側の側縁の前側寄りの部分に形成される。
【0044】
なお、本実施形態では、二つ折りにされたパッド体11に設けられた弱化部13を破断することにより、開口形成部33を形成する構成としたが、変形例として、弱化部13を設けずに、二つ折りにされたパッド体11に予め開口形成部33を形成してもよい。この場合、周縁接合部12の側縁接合部1bが、二つ折りにより互いに重ね合わされたパッド体11の横方向Xの両側の側縁において、開口形成部33を形成するための非接合区間を除くようして設けられる。なお、この周縁接合部12に非接合区間を設けて予め開口形成部33を設ける構成は、後述する図9(a)に示す構成及び図12(a)に示す構成にも適用できる。
【0045】
このような構成を有する吸収性物品1は、図1(a)に示す形態で工場から出荷される。そして、使用される際に、図1(b)に示すように弱化部13が破断され、これによって切離し部32が切り離され、開口形成部33が形成される。続いて、図6に示すように、二つ折りにされたパッド体11の中心線31を挟んだ左右両側の部分を互いに離反する方向に引き離すようにして、パッド体11を変形させることにより、パッド体11、すなわち吸収性物品1の形態が略舟形になる。この変形に伴い、開口形成部33にて、二つ折りにされたパッド体11の横方向Xの両側の側縁が互いに離反する方向に開放され、開口部34が形成される。この開口部34は、略舟形の形態になった吸収性物品1の上面側に形成される。
【0046】
このような形態に変形された吸収性物品1は、図8に示すように、開口部34が形成された上面を着用者の肌面側に向けて股部に装着される。このとき、図8に示すように、開口部34を介して男性着用者の陰茎36(又は性器全体)を吸収性物品1内に挿入する。そして、この吸収性物品1の上から使い捨ておむつ37等が装着される。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、装着時に吸収性物品1の形態を上面側に開口部34が形成された略舟形に変形できるとともに、その開口部34を介して吸収性物品1の内部に男性着用者の陰茎36(又は男性性器全体)を挿入できる。このため、排泄される尿を逃さずに確実に保持でき、排泄された尿により吸収性物品1の上から装着されているおむつ36等が汚れるのを防止できる。その結果、外側のおむつ37等の交換頻度を抑制できる。
【0048】
また、上記の如く、本実施形態に係る吸収性物品1は簡単な構造を有しているため、容易に製造できる。
【0049】
また、使用時に弱化部13を破断して開口部34を形成する構成であるため、吸収性物品1が保存されている際等に、二つ折りされ略袋状の形態を有するパッド体11の内部に埃又は異物等が浸入するのを防止できる。例えば、パッド体11の外側シート部材22に気密性を持たせるとともに、弱化部13として破断される前の状態は外側シート部材22の気密性を維持可能な構成を採用した場合には、弱化部13が破断されるまで、吸収性物品1におけるパッド体11の外側シート部材22の内側を気密な状態に維持できる。これによって、例えば保存時等に吸収コア23に含まれる吸収性ポリマー等が湿気により劣化するのを防止できる。
【0050】
また、パッド体11の外側シート部材22が、全周において内側シート部材21よりも大きな外形を有しているため、外側シート部材22の内側シート部材21からはみ出した周縁部22aに、パッド体11を二つ折りした際の周縁接合部12を設けることができる。外側シート部材21は透液性を要求されないため、外側シート部材22(特に、内側の樹脂フィルム221)を、融着(例えば、加熱融着)に適した樹脂フィルム等で形成できる。その結果、二つ折りにされたパッド体11の周縁接合部12での接合に簡単な接合手法である融着を適用できる。
【0051】
また、パッド体11の外側シート部材22の外側の面が不織布222によって形成されているため、略舟形の形態に変形された吸収性物品1の外面(特に、上面側の外面)の肌触りが向上し、吸収性物品1の装着による違和感又は肌への影響を低減できる。
【0052】
次に、図9(a)、図9(b)ないし図16を参照し、上述の吸収性物品1の変形例について説明する。吸収性物品1の図9(a)に示す変形例では、切離し部32に、周縁接合部12の側縁接合部12bのうちの後側寄りの部分を含むように、弱化部13が設けられている。すなわち、図9(b)に示すように弱化部13が破断されて切離し部32が切り離された際に、開口形成部33が、互いに重ね合わされたパッド体11の横方向Xの両側の側縁の後側寄りの部分に形成される。それ故、図10に示すように吸収性物品1が略舟形の形態に変形された際に、開口形成部33によって、吸収性物品1の上面における後側寄りに開口部34が形成される。このため、図11に示すように、その開口部34が着用者の肛門38に対向するように吸収性物品1を装着することにより、排便を逃さずに確実に保持できる。
【0053】
図12(a)に示す変形例では、切離し部32に、周縁接合部12の側縁接合部12bの略全体を含むように、弱化部13が設けられている。すなわち、図12(b)に示すように弱化部13が破断されて切離し部32が切り離された際に、開口形成部33が、互いに重ね合わされたパッド体11の横方向Xの両側の側縁の略全域に形成される。それ故、図13及び図14に示すように吸収性物品1が略舟形の形態に変形された際に、開口形成部33によって、吸収性物品1の上面における前側端部から後側端部の略全域に形成される。このため、図15に示すように、その開口部34が着用者(例えば、女性着用者)の排尿部位39から肛門40にかけた部位に対向するように吸収性物品1を装着することにより、排尿及び排便を逃さずに確実に保持できる。なお、図12(a)に示す構成では、切離し部32により側縁接合部12bの全体を切除するように弱化部13を設けたが、側縁接合部12の前側端部、後側端部、又は前側端部と後側端部との両方を切除せずに残すように弱化部13を設けてもよい。
【0054】
図16に示す変形例では、パッド体11の吸収コア23の縦方向Yに沿った全区間のうちの一部の区間において、吸収コア23が横方向Xの内方に張り出す弱化部13と干渉しないように、吸収コア23の横方向Xに沿った幅が小さくされた縮幅部23aが設けられている。これにより、弱化部13が吸収コア23と干渉するとなく、開口部34の位置、形状又はサイズ等に関する選択の自由度を拡大できる。
【符号の説明】
【0055】
1 吸収性物品、11 パッド体、12 周縁接合部、12a 端縁接合部、12b 側縁接合部、13 弱化部、21 内側シート部材、22 外側シート部材、221 樹脂フィルム、222 不織布、23 吸収コア、23a 縮幅部、31 中心線、32 切離し部、33 開口形成部、34 開口部、37 使い捨ておむつ、X 横方向、Y 縦方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股部に装着される吸収性物品であって、
少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、水分を吸収する吸液性を有し、前記内側シート部材と前記外側シート部材との間に配置される吸収コアとを備え、縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされたパッド体と、
前記パッド体の前記縦方向の両側の端縁における二つ折りにより互いに重ね合わされる前記中心線を挟んだ左右両側の部分同士を接合する端縁接合部と、
を備え、
前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた横方向の両側の側縁の少なくとも一部において、その両側の側縁同士が互いに離反する方向に開放可能であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士を、開口形成のための一部の区間を除いて接合する側縁接合部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされる横方向の両側の側縁同士の略全体が、互いに離反する方向に開放可能であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
着用者の股部に装着される吸収性物品であって、
少なくとも一部の領域が透液性を有する内側シート部材と、防水性を有する外側シート部材と、水分を吸収する吸液性を有し、前記内側シート部材と前記外側シート部材との間に配置される吸収コアとを備え、縦方向に沿った中心線に沿って二つ折りにされたパッド体と、
前記パッド体の二つ折りにより互いに重ね合わされた周縁同士を接合する周縁接合部と、
前記パッド体の一部が弱化されることにより設けられ、破断により前記パッド体から切り離される切離し部を規定する弱化部と、
を備え、
前記弱化部は、前記周縁接合部のうちの前記縦方向に沿って延びる側縁接合部の少なくとも一部を前記切離し部に含むように設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品において、
前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁接合部の前側寄りの部分を含むように設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4に記載の吸収性物品において、
前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁接合部の後側寄りの部分を含むように設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項4に記載の吸収性物品において、
前記弱化部は、前記切離し部に、前記周縁接合部の前記側縁側縁部分の略全体を含むように設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記パッド体の前記外側シート部材は、全周において前記内側シート部材よりも大きな外形を有していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記パッド体の前記外側シート部材の外側の面は、不織布によって形成されていることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−206085(P2011−206085A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73929(P2010−73929)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】