説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品の中間部近傍の部位を自然に、または、容易に凹状に変形させ、中間部における排泄物の収容力を増大する。
【解決手段】補助吸収具1の吸収コア22は、着用者の股間部に対向する中間部202において、中心線222に向かって両側部から形成される二対の弱化領域221を有する。補助吸収具1は、二対の弱化領域221に重なりつつ長手方向に伸びるとともに吸収コア22に長手方向の収縮力を作用させる一対のコア部弾性部材26を備える。補助吸収具1では、中間部202の両側端部、前方部201および後方部203が、コア部弾性部材26の収縮により、弱化領域221により規定される領域(すなわち、4つの弱化領域221の内端部を通る略矩形の環状領域)から上方へと立ち上がる。これにより、補助吸収具1の中間部202近傍の部位が自然に、または、容易に凹状に変形し、中間部202における大便等の排泄物の収容力が増大される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品では、着用者の股間部に対向する中間部において、吸収コアの左右方向の幅を小さくして着用感を向上することが行われている。
【0003】
特許文献1のパンツタイプの使い捨ておむつでは、股部被覆域の中央の1点から左右両側の側縁部へと至る6本の直線状の溝が体液吸収部に放射状に設けられ、左右それぞれの3本の溝のうち中央の溝は左右方向に平行であり、残りの2本の溝は中央の溝の前後両側にてV字状に配置される。当該使い捨ておむつでは、体液吸収部の両側部はそれぞれ、左右方向の内側に向かって突出するように3本の溝に沿って折り曲げられるため、股部被覆域における体液吸収部の幅が狭くなる。
【0004】
特許文献2の吸収用品では、股部領域に放射状に配置された4本の直線状の溝が吸収コアに設けられ、各溝の端部は、吸収コアの左右両側縁、前縁および後縁よりも内側に位置する。当該吸収用品では、吸収コアの両側部がこれらの溝に沿って左右方向の内側に折り曲げられることにより、吸収コアの股部領域における形状がたらい(盆)状となるように形が整えられる。また、特許文献2の吸収用品では、吸収コアの左右両側縁から内側に向かう短い(10mm以下)の付加的な切り欠きを吸収コアに設けることにより、吸収コアの股下領域における変形が容易とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−265511号公報
【特許文献2】特開2008−521481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の使い捨ておむつでは、股部被覆域において体液吸収部の左右両側部が内側に向けて大きく突出しているため、股部被覆域における使い捨ておむつと着用者との間の空間が小さくなる。このため、股部被覆域における大便等の排泄物の収容力が不足してしまい、排泄物が外部へと漏出してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1および特許文献2の吸収性物品では、吸収性物品の着用者自身、または、吸収性物品を着用者に装着する看護士や介護士等が、吸収性物品を装着する際に吸収コアの左右両側部を溝に沿って折り曲げる必要があるため、吸収性物品の装着作業が煩雑なものとなってしまう。また、パンツタイプの使い捨ておむつの場合は、使い捨ておむつの製造時に吸収コアの折り曲げを行うこともできるが、使い捨ておむつの製造工程が複雑化してしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収性物品の中間部近傍の部位を自然に、または、容易に凹状に変形させ、中間部における排泄物の収容力を増大することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥水性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収コアと、前記吸収コアの長手方向に伸びるとともに前記吸収コアに前記長手方向の収縮力を作用させる一対の弾性部材とを備え、前記吸収コアが、着用者の股間部に対向する中間部において、前記長手方向を向く中心線に向かって両側部から形成される一対の弱化領域を有し、前記一対の弾性部材が前記一対の弱化領域に重なる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記一対の弾性部材が、前記吸収コアの外側に配置される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品であって、前記バックシートが、複数のシート部材が積層された積層構造を有し、前記一対の弾性部材が、前記複数のシート部材の間に配置される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記一対の弱化領域のそれぞれの幅が、前記中心線に向かうに従って小さくなる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記一対の弱化領域において、前記トップシートと前記バックシートとの間に前記吸収コアを形成する吸収性材料が存在しない。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記吸収コアが、前記中間部において、前記吸収コアの前記両側部から前記中心線に向かう他の一対の弱化領域をさらに有する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の吸収性物品であって、前記一対の弱化領域、および、前記他の一対の弱化領域が、前記中心線に向かうに従って前記長手方向において互いに近づく。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、着用者が着用する外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、吸収性物品の中間部近傍の部位を自然に、または、容易に凹状に変形させ、中間部における排泄物の収容力を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係る補助吸収具の平面図である。
【図2】補助吸収具の断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る補助吸収具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る補助吸収具1を広げた状態にて示す平面図である。補助吸収具1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける吸収性物品である。図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして補助吸収具1を描いている。
【0020】
図2は、補助吸収具1を図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、補助吸収具1は、略シート状の吸収具本体部2、および、吸収具本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な左右方向の両側)上に配置されて吸収具本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0021】
吸収具本体部2の図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「中間部202」と呼ぶ。補助吸収具1では、吸収具本体部2が前方部201、中間部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の左右方向の幅が、中間部202の幅よりも大きい。換言すれば、吸収具本体部2は、平面視においていわゆる砂時計型である。
【0022】
図1および図2に示すように、吸収具本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図2に示すように、バックシート23は、複数のシート部材(本実施の形態では、第1シート231および第2シート232の2枚のシート部材)が積層された積層構造を有する。第1シート231は、トップシート21および吸収コア22に対向し、第2シート232は、第1シート231と同形状であり、第1シート231の外面(すなわち、着用者やトップシート21および吸収コア22とは反対側の面)に接合される。図2では、図示の都合上、補助吸収具1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。図1に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、中間部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。
【0023】
吸収コア22は、中間部202において、左右の両側部から左右方向の内側に向かう(すなわち、長手方向を向く吸収コア22の中心線222に向かって両側部から形成される)二対の弱化領域221を有する。弱化領域221は吸収コア22に設けられたスリットであり、弱化領域221では、トップシート21とバックシート23との間に吸収コア22を形成する吸収性材料は存在しない。長手方向の前側に位置する一対の弱化領域221、および、後側に位置する他の一対の弱化領域221は、中心線222に向かうに従って補助吸収具1の長手方向において互いに近づく。
【0024】
4つの弱化領域221のそれぞれの幅(すなわち、弱化領域221の前後のエッジ間の長手方向の距離)は、中心線222に向かうに従って小さくなる。換言すれば、4つの弱化領域221は、当該4つの弱化領域221の左右方向の外端部を頂点とする略矩形状の領域のおよそ中央(すなわち、中間部202のおよそ中央)から放射状に広がるように配置される。また、各弱化領域221の左右方向の長さは、好ましくは、中間部202のおよそ中央における左右両側縁間の距離の1/4以上1/2未満である。なお、弱化領域221の左右方向の長さとは、中間部202のおよそ中央における側縁と弱化領域221の内端との間の左右方向の距離である。
【0025】
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。また、サイドシート3の左右方向の外側の部位313(以下、「固定部313」という。)は、長手方向の全長に亘ってトップシート21の側端部およびバックシート23の側端部にホットメルト接着剤を介して接合される。図1および図2に示すように、サイドシート3は、サイドシート本体31、および、サイドシート本体31の左右方向の内縁部である自由端にホットメルト接着剤により接合されて長手方向に伸びる側壁部弾性部材32を備える。各側壁部弾性部材32は2本の弾性要素を有する。上記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合やサイドシート3とトップシート21およびバックシート23との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0026】
図2に示すように、各サイドシート3の左右方向の内側の部位311(すなわち、固定部313よりも内側にて固定部313に連続する部位であり、以下、「側壁部311」という。)は、長手方向の両端部を除いてトップシート21(および他の構成)と非接合とされる。補助吸収具1では、自由端に接合された側壁部弾性部材32が収縮することにより、長手方向に沿って設けられた一対の側壁部311が、吸収具本体部2の両側部上において吸収具本体部2から着用者に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザーとなる。これにより、補助吸収具1では、脚周りからの尿等の漏出防止が図られている。
【0027】
図1に示すように、吸収具本体部2は、吸収コア22の二対の弱化領域221に重なりつつ長手方向に伸びる一対のコア部弾性部材26を備え、各コア部弾性部材26は、それぞれが長手方向に伸びるとともに互いに平行に左右方向に配列された3本の弾性要素を有する。換言すれば、各コア部弾性部材26の3本の弾性要素は、弱化領域221の左右方向の内側の端部と外側の縁部との間に配置される。一対のコア部弾性部材26は、前側の一対の弱化領域221よりも前方へと伸びており、また、後側の一対の弱化領域221よりも後方へと伸びている。コア部弾性部材26は、図2に示すように、吸収コア22の厚さ方向の外側(すなわち、着用者やトップシート21とは反対側の外面側)において、バックシート23の第1シート231と第2シート232との間に配置され、吸収コア22の外面に沿って長手方向に伸びる。一対のコア部弾性部材26は、ホットメルト接着剤により第1シート231および第2シート232に伸張状態にて接合され(すなわち、吸収コア22の外面に間接的に接合され)、吸収コア22に長手方向の収縮力を作用させる。
【0028】
トップシート21は透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0029】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合した吸収性材料をティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収性材料を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および高吸収性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、高吸収性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0030】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、吸収具本体部2の外側にしみ出すことが防止される。本実施の形態では、バックシート23の第1シート231としてプラスチックフィルムが利用され、第2シート232として不織布が利用される。補助吸収具1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、第1シート231として透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0031】
サイドシート本体31としては、例えば、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32およびコア部弾性部材26(の弾性要素)としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が各弾性部材として利用される。
【0032】
補助吸収具1では、側壁部弾性部材32およびコア部弾性部材26が収縮することにより、図1に示す吸収具本体部2の前方部201および後方部203が、互いに近づくように着用者側へと湾曲する。より具体的には、吸収具本体部2が、前側の一対の弱化領域221の内端部を含むとともに左右方向に略平行に伸びる帯状の領域、および、後側の一対の弱化領域221の内端部を含むとともに左右方向に略平行に伸びる帯状の領域にて折れ曲がり、前方部201および後方部203が上方へと立ち上がる。また、中間部202が、右側の2つの弱化領域221の内端部を含むとともに長手方向に略平行に伸びる帯状の領域、および、左側の2つの弱化領域221の内端部を含むとともに長手方向に略平行に伸びる帯状の領域にて折れ曲がり、中間部202の右側および左側の側端部が上方へと立ち上がる。
【0033】
このように、補助吸収具1では、コア部弾性部材26の収縮により、吸収具本体部2が弱化領域221により規定される領域(すなわち、4つの弱化領域221の内端部を通る略矩形の環状領域)にて折れ曲がり、中間部202の両側端部、前方部201および後方部203が上方へと立ち上がる。これにより、補助吸収具1の中間部202近傍の部位が、自然に、または、容易に凹状(いわゆる、カップ状)に変形する。その結果、中間部202における補助吸収具1と着用者との間の空間が大きく維持され、中間部202における大便等の排泄物の収容力を増大することができる。
【0034】
上述のように、補助吸収具1では、各弱化領域221の幅が吸収コア22の中心線222に向かうに従って小さくなるため、中間部202近傍の部位が凹状に変形する際に、前方部201および後方部203における吸収コア22の側端部(すなわち、左右方向の外側の部位)が、着用者側かつ左右方向の内側に向かって容易に変形する。これにより、中間部202近傍の部位がさらに容易に凹状に変形する。また、各弱化領域221が、吸収コア22を形成する吸収性材料が存在しないスリットであるため、弱化領域221の剛性が、吸収コア22の弱化領域221以外の部位の剛性に比べて非常に低くなる。その結果、中間部202近傍の部位の凹状の変形をより容易とすることができる。
【0035】
補助吸収具1では、中間部202に吸収コア22の両側部から形成される少なくとも一対の弱化領域221が設けられていれば、一対のコア部弾性部材26の収縮により中間部202近傍の部位が自然に、または、容易に凹状に変形するが、中間部202近傍の部位の凹状への変形をより容易とするためには、本実施の形態のように、長手方向に配列される二対以上の弱化領域221が吸収コア22に設けられることが好ましい。また、中間部202近傍の部位の変形をさらに容易とするためには、一対の弱化領域221、および、他の一対の弱化領域221が、吸収コア22の中心線222に向かうに従って長手方向において互いに近づくことがさらに好ましい。
【0036】
補助吸収具1では、一対のコア部弾性部材26が吸収コア22の外面側に配置されるため、コア部弾性部材26の収縮による中間部202近傍の部位の凹状への変形がより一層容易となる。また、バックシート23が複数のシート部材(本実施の形態では、第1シート231および第2シート232)が積層された積層構造を有し、一対のコア部弾性部材26が、当該複数のシート部材の間に配置されることにより、一対のコア部弾性部材26を吸収コア22の外面側に配置しつつ補助吸収具1の製造を容易とすることができる。
【0037】
補助吸収具1では、各弱化領域221の左右方向の長さが中間部202のおよそ中央における左右両側縁間の距離の1/4以上であることにより、中間部202において吸収コア22の左右両側部が着用者側に大きく立ち上がる。これにより、補助吸収具1の中間部202近傍の部位が比較的大きく凹状に変形するため、中間部202における排泄物の収容力をより増大することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る補助吸収具について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る補助吸収具1aを示す平面図である。補助吸収具1aは、弱化領域の形状が異なる点を除き、図1および図2に示す補助吸収具1と同様の構造を有する。以下の説明では、補助吸収具1の各構成に対応する補助吸収具1aの構成に同符号を付す。
【0039】
図3に示すように、補助吸収具1aでは、吸収具本体部2の吸収コア22が2つの弱化領域221aを有する。各弱化領域221aは、左右方向に平行な直線状であり、吸収コア22の左右の側縁の一方から他方に至る。各弱化領域221aは、左右方向の長さが中間部202の左右両側縁間の距離の1/2に等しい一対の弱化領域と捉えることができ、当該一対の弱化領域は吸収コア22の中心線222に向かって両側部から形成される。弱化領域221aは、弱化領域221と同様に、吸収コア22に設けられたスリットであり、弱化領域221aでは、トップシート21とバックシート23との間に吸収コア22を形成する吸収性材料は存在しない。したがって、吸収コア22は2つの弱化領域221aにより、長手方向に配列される3つのコア要素に分割される。
【0040】
補助吸収具1aにおいても、第1の実施の形態と同様に、弱化領域221aに重なるコア部弾性部材26の収縮により、吸収具本体部2が弱化領域221aに沿って折れ曲がり、中間部202の両側端部、前方部201および後方部203が上方へと立ち上がる。これにより、補助吸収具1aの中間部202近傍の部位が、自然に、または、容易に凹状(いわゆる、カップ状)に変形する。その結果、中間部202における補助吸収具1aと着用者との間の空間が大きく維持され、中間部202における大便等の排泄物の収容力を増大することができる。
【0041】
また、各弱化領域221aが、吸収コア22を形成する吸収性材料が存在しないスリットであるため、弱化領域221aの剛性が、吸収コア22の弱化領域221a以外の部位の剛性に比べて非常に低くなる。その結果、中間部202近傍の部位の凹状の変形をより容易とすることができる。
【0042】
補助吸収具1aでは、中間部202に1つの弱化領域221aが設けられていれば、一対のコア部弾性部材26の収縮により中間部202近傍の部位が自然に、または、容易に凹状に変形するが、中間部202近傍の部位の凹状への変形をより容易とするためには、本実施の形態のように、長手方向に配列される2つ以上の弱化領域221aが吸収コア22に設けられることが好ましい。
【0043】
補助吸収具1aでは、第1の実施の形態と同様に、一対のコア部弾性部材26が吸収コア22の外面側に配置されるため、コア部弾性部材26の収縮による中間部202近傍の部位の凹状への変形がより一層容易となる。また、バックシート23が複数のシート部材が積層された積層構造を有し、一対のコア部弾性部材26が、当該複数のシート部材の間に配置されることにより、一対のコア部弾性部材26を吸収コア22の外面側に配置しつつ補助吸収具1aの製造を容易とすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0045】
上記実施の形態に係る補助吸収具1,1aでは、バックシート23は、単層のシート部材や3層以上のシート部材の積層体であってもよい。例えば、上述の第1シート231および第2シート232上にもう1枚の不織布が積層され、当該不織布と第1シート231との間にコア部弾性部材26が接合されてもよい。この場合、当該不織布は、一対のコア部弾性部材26を覆う程度の大きさを有していれば、第1シート231よりも小さくてもよい。一対のコア部弾性部材26は、例えば、吸収コア22の外面とバックシート23との間に配置され、吸収コア22の外面およびバックシート23に直接的に接合されてもよい。また、一対のコア部弾性部材26は、吸収コア22の厚さ方向の内側(すなわち、着用者やトップシート21側である内面側)において、吸収コア22の内面とトップシート21との間に配置され、吸収コア22の内面およびトップシート21に直接的に接合されてもよい。あるいは、トップシート21が複数のシートの積層体とされる場合、一対のコア部弾性部材26は、当該複数のシートの間に配置されて接合されることにより、吸収コア22の内面に間接的に接合されてもよい。さらには、吸収コア22が複数のコア部材の積層体である場合には、一対のコア部弾性部材26は、当該複数のコア部材の間に配置されて吸収コア22に直接的に接合されてもよい。上記実施の形態では、コア部弾性部材26は、それぞれが長手方向に伸びるとともに互いに平行に左右方向に配列された3本の弾性要素を有しているが、弾性要素の本数は4本以上あるいは2本以下であってもよい。
【0046】
弱化領域221,221aの形状および配置は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々に変更されてよい。また、弱化領域221,221aは、必ずしも吸収コア22に設けられたスリットである必要はなく、吸収コア22において、周囲の部位よりも剛性が低い領域であればよい。例えば、吸収コア22を形成する吸収性材料が弱化領域221,221aにも配置され、弱化領域221,221aにおける吸収性材料の厚さや密度が、周囲の部位における吸収性材料の厚さや密度よりも小さくされてもよい。あるいは、弱化領域221,221aに配置された吸収性材料がローラ等により押しつぶされて薄くされてもよい。
【0047】
補助吸収具1,1aでは、吸収コア22において弱化領域221,221aと周囲の部位との剛性の差が大きい方が、吸収具本体部2が弱化領域221,221aにより規定される領域以外の部位にて折れ曲がることが防止され、中間部202近傍の部位が所望の凹状に変形しやすくなる。したがって、補助吸収具1,1aの構造は、ある程度以上の剛性を有している吸収コアを有する補助吸収具に特に適している。具体的には、補助吸収具1,1aの構造は、吸収コアの主な吸収性材料として粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維が利用される補助吸収具に特に適している。なお、中間部近傍の部位が所望の凹状に自然に、または、容易に変形するのであれば、不織布上に粒状のSAPを散布して接合したもの(いわゆる、ポリマーシート)が吸収コアとして利用されてもよい。
【0048】
上記実施の形態に係る補助吸収具1,1aの構造は、例えば、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつや、上端に胴部開口を有するとともに下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつに適用されてもよい。このように、補助吸収具1,1aの構造は使い捨ておむつ等の他の吸収性物品に適用されてもよいが、上述のように、当該構造では、中間部202における排泄物の収容力を増大することができるため、当該構造は、使い捨ておむつ等の外装物品の内側に取り付けられて直接的に排泄物を受ける補助吸収具に特に適している。
【符号の説明】
【0049】
1,1a 補助吸収具
21 トップシート
22 吸収コア
23 バックシート
26 コア部弾性部材
202 中間部
221,221a 弱化領域
222 中心線
231 第1シート
232 第2シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥水性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収コアと、
前記吸収コアの長手方向に伸びるとともに前記吸収コアに前記長手方向の収縮力を作用させる一対の弾性部材と、
を備え、
前記吸収コアが、着用者の股間部に対向する中間部において、前記長手方向を向く中心線に向かって両側部から形成される一対の弱化領域を有し、前記一対の弾性部材が前記一対の弱化領域に重なることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記一対の弾性部材が、前記吸収コアの外側に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記バックシートが、複数のシート部材が積層された積層構造を有し、
前記一対の弾性部材が、前記複数のシート部材の間に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記一対の弱化領域のそれぞれの幅が、前記中心線に向かうに従って小さくなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記一対の弱化領域において、前記トップシートと前記バックシートとの間に前記吸収コアを形成する吸収性材料が存在しないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収コアが、前記中間部において、前記吸収コアの前記両側部から前記中心線に向かう他の一対の弱化領域をさらに有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品であって、
前記一対の弱化領域、および、前記他の一対の弱化領域が、前記中心線に向かうに従って前記長手方向において互いに近づくことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、
着用者が着用する外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具であることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−244864(P2011−244864A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118032(P2010−118032)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】