説明

吸収性物品

【課題】回収パルプや回収ポリマーを利用した場合であっても、異物混入によって見栄えが劣ることのない吸収性物品を提供する。
【解決手段】透液性の表面シート20と、不透液性の裏面シート30と、表面シート20と裏面シート30との間に介装される吸収体50と、を備える吸収性物品1において、吸収体50は、表面シート20側に配置された上層吸収体511と、裏面シート30側に配置された下層吸収体512と、を備えた積層構造であって、上層吸収体は511、バージンパルプ及びバージンポリマーから形成され、下層吸収体512は、回収された回収パルプ及び回収ポリマーを含有して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつや尿取りパッドなどに代表される吸収性物品が普及している。
こうした吸収性物品は、通常、木材から生成したパルプを主原料として製造され、使用後には大半が焼却処理されている。
しかしながら、近年では、森林伐採や二酸化炭素排出等の環境問題への取り組みから、使用済み製品を再利用するための様々な再生加工技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、使用済みおむつ及び使用済み尿取りパッドから分離回収した再生パルプを使用した再生おむつ及び再生尿取りパッドが提案されている。
また、特許文献2には、バージンパルプと再生古紙パルプとを混合したパルプに吸収性ポリマーを含有して吸収体とした吸収性物品が提案されている。
【0003】
ところで、上記のような使い捨ておむつや吸収パッド等の製造過程では、生産マシンのアイテムチェンジ前後の調整や、資材のスプライス前後等において製品ロスが発生する。また、製品に不具合が生じた場合の出荷停止品も製品ロスとなる。
こうした製品ロスは、一部は高分子吸収体を分離して猫砂などに転用されるが、それ以外は焼却処理されるのが一般的であった。
そこで、近年、製品ロスを有効活用すべく、製品ロスからパルプやポリマーを分離して回収し、再利用する取り組みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3648472号公報
【特許文献2】特開昭64−40047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製品ロスから回収された回収パルプや回収ポリマーは、回収設備の性能の限界から、糸ゴムや不職布、ポリシート等の異物の混入が避けられない。このような異物は着色がなされたものも多く、この異物混入により、回収パルプや回収ポリマーを利用した製品は見栄えが良好でないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、回収パルプや回収ポリマーを利用した場合であっても、異物混入によって見栄えが劣ることのない吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品において、
前記吸収体は、前記表面シート側に配置された上層吸収体と、前記裏面シート側に配置された下層吸収体と、を備えた積層構造であって、
前記上層吸収体は、バージンパルプ及びバージンポリマーから形成され、
前記下層吸収体は、回収された回収パルプ及び回収ポリマーを含有して形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品において、
前記下層吸収体は、バージンパルプ及びバージンポリマーを含有して形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、
前記裏面シートには、所定の色彩または模様が施されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記裏面シートの前記表面シート側の面と反対側の面を覆う第2裏面シートが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記吸収体は、所定の色彩または模様が施されたクレープ紙によって被覆されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記吸収体は、活性炭入りシートによって被覆されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記表面シートの前記裏面シート側の面と反対側の面を覆う透液性のセカンドシートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品において、吸収体は、表面シート側に配置された上層吸収体と、裏面シート側に配置された下層吸収体と、を備えた積層構造であって、上層吸収体は、バージンパルプ及びバージンポリマーから形成され、下層吸収体は、製造工程の製品ロスから回収された回収パルプ及び回収ポリマーを含有して形成される。
よって、下層吸収体にのみ回収パルプ及び回収ポリマーが使用されるため、当該回収パルプや回収ポリマーに異物が混入していた場合でも表面側から確認しにくく、回収パルプや回収ポリマーを利用した場合であっても、異物混入によって見栄えが劣ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の吸収性物品の装着時の状態の一例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の吸収性物品の下側の一例を示す平面展開図である。
【図3】本実施形態の吸収性物品の上側の一例を示す平面展開図である。
【図4】本実施形態の吸収性物品が備える吸収体の上側の一例を示す平面展開図である。
【図5】図3のV−V部の一例を示す断面図である。
【図6】変形例1の吸収性物品を示す平面図である。
【図7】変形例2の吸収性物品を示す断面図である。
【図8】変形例3の吸収性物品を示す断面図である。
【図9】変形例4の吸収体を示す平面図である。
【図10】変形例5の吸収体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
なお、以下の説明では、本実施形態における吸収性物品1を展開した状態において、装着時に人体(着用者)の腹側に位置する側を前側、背側に位置する側を後側、着用者と接触する側を上側、着用者と接触する側の反対側を下側とし、前後方向と上下方向との双方に直交する方向を左右方向とする。
【0018】
吸収性物品1は、例えば夜用又は長時間用の尿取りパッドであり、おむつやおむつカバー、パンツなどの人体に装着される外装体(図示省略)に着脱・交換自在に取り付けられて使用されるようになっている。
【0019】
吸収性物品1は、装着時に着用者の股部を腹側から背側にかけて覆うように形成されている。
具体的には、吸収性物品1の一方の端部(前端部)が装着時に着用者の腹側に位置する腹側部11を形成し、他方の端部(後端部)が装着時に着用者の背側に位置する背側部12を形成し、腹側部11と背側部12との間が着用者の股下に位置する股下部13を形成する。
背側部12は、前後方向の長さが腹側部11よりも長く形成されており、かつ、左右方向の長さが腹側部11や股下部13よりも長く形成されている。これにより、背側部12によって着用者の背側を広く覆うことができるようになっている。
また、股下部13の両縁部は、腹側部11から背側部12に亘って、装着時に着用者の脚周りに位置する二つの脚周り部14を形成する。この脚周り部14,14には、糸ゴム等の平面ギャザー用弾性部材141がそれぞれ設けられ、この平面ギャザー用弾性部材141により平面ギャザーが形成されている。これにより、着用者の脚周りに伸縮自在にフィットするため、横漏れを抑制できるとともに、着用者の身体の動きに追従し易く吸収性物品1がズレ難くなっている。また、当該平面ギャザーによって、吸収性物品1が自然に湾曲するため、立体ギャザー(後述)を着用者の股下により密着させることができるようになっている。
【0020】
吸収性物品1は、装着時に着用者との接触面側(上側)に設けられる透液性の表面シート20と、装着時に着用者との接触面と反対側(下側)に設けられる不透液性の裏面シート30と、表面シート20と裏面シート30との間に介装される吸収体50と、表面シート20側の吸収体50の幅方向両側縁部(左側縁部及び右側縁部)に、吸収性物品1の長手方向(前後方向)に沿って備えられたギャザーシート40,40と、裏面シート30における腹側部11に設けられ、吸収性物品1を外装体に固定するための固定部材60と、により主に構成される。
【0021】
表面シート20は、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面を形成し、吸収体50の上側に設けられ、体液を受けて、吸収体50まで輸送する役割を果たす、透液性のシートである。
透液性シートとしては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平織り等したネット状のシート素材、多数の透孔を形成したフィルムシート材、ポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムシート材、透液性を有する織布、不織布が適し、特に不織布が適する。不織布としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラなどの再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものを用い得る。
【0022】
裏面シート30は、吸収体50の下側に設けられ、体液等の吸収性物品1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ役割を果たす、不透液性のシートである。本実施形態においては、この裏面シート30は、吸収性物品1の最外層となるバックシートを構成している。
不透液性シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。
またその他にも、不透液性を有するフィルム層と、通気性を有する不織布層と、からなるラミ不織布を用いても良い。ラミ不織布とは、例えばポリエチレンシート等に不織布を積層した、ラミネート不織布と呼ばれる不織布のことであり、不透液性と通気性を併せ持つ不織布である。
なお、裏面シート30は、不透液性のシートであれば、不透湿性であっても良い。
【0023】
ギャザーシート40,40は、表面シート20側において、吸収体50の長手方向に沿った両側縁部に、腹側部11から背側部12に亘ってそれぞれ備えられている。
このギャザーシート40,40の幅方向(左右方向)外側の部分は、吸収体50の側方で表面シート20及び裏面シート30の上面に固着されている。また、このギャザーシート40,40の幅方向内側の部分は、表面シート20及び裏面シート30に固定されておらず、その長手方向(前後方向)に沿って糸ゴム等の立体ギャザー用弾性部材401が備えられており、起立して着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な一対の立体ギャザーが形成されている。
【0024】
吸収体50は、腹側部11から股下部13を通り背側部12に亘る位置に配置される。
この吸収体50は、吸収性物品1の使用時に体液としての尿等の水様成分を吸収する役割を果たすものであり、吸収体コア51が、透液性のクレープ紙52により覆われて構成されている。なお、図1〜3においては、吸収体50の外形を破線で表しており、図4においては、吸収体50のクレープ紙52の外形を二点鎖線で表している。
【0025】
吸収体コア51は、図5に示すように、表面シート20側に配置された上層吸収体511と、裏面シート30側に配置された下層吸収体512と、からなる二層構造となっている。
【0026】
上層吸収体511は、前後方向に長尺であって、背側部12の左右方向の長さが、腹側部11や股下部13よりも幅広となるよう形成されている。
また、上層吸収体511は、吸収性素材であるパルプと吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成されている。
ここで、上層吸収体511に使用されるパルプはバージンパルプであって、吸収ポリマーはバージンポリマーである。そして、上層吸収体511は人体との接触面側(表面シート20側)に配置されるものであるため、一定の体液の吸収速度が保たれるように構成されている。なお、吸収速度は、パルプなどの吸収性素材と吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂との比率、高吸水性樹脂の種類等によって適宜調整される。
【0027】
下層吸収体512は、上層吸収体511と同様の形状に形成され、上層吸収体511の下面側(吸収体コア51における裏面シート30側)に配置されている。
下層吸収体512も、吸収性素材であるパルプと吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成されている。
下層吸収体512に使用されるパルプには、回収パルプが含まれる。回収パルプは、例えば、製造工程の製品ロスから回収されたパルプ、使用済みの吸収性物品から回収されたパルプ、或いはこれらの組み合わせからなるパルプ等である。また、下層吸収体512に使用される吸収ポリマーには、回収ポリマーが含まれる。回収ポリマーは、例えば、製造工程の製品ロスから回収されたポリマー等である。
ここで、製造工程の製品ロスから回収された回収パルプ・回収ポリマーは、例えば、ベビー用紙おむつ、ベビー用尿取りパッド、介護用紙おむつ、介護用尿取りパッド、生理用ナプキン等から得ることができる。
また、使用済みの吸収性物品から回収された回収パルプは、例えば、使用済みベビー用紙おむつ、使用済みベビー用尿取りパッド、使用済み介護用紙おむつ、使用済み介護用尿取りパッド、使用済み生理用ナプキン等から得ることができる。
具体的には、上記のような製品ロスとしての吸収性物品は、破砕して、回収パルプ・回収ポリマーとして利用される。
また、使用済みの吸収性物品は、吸収ポリマーの吸収した水分を離水した後、不織布や防水性シート等を除去してパルプ成分が回収される。なお、パルプ成分の具体的な回収方法は、公知の方法を適用可能である。
【0028】
また、上記のように構成された下層吸収体512は、使用される回収パルプ及び回収ポリマーに起因して上層吸収体511と比べて性能にばらつきが生じるため、回収パルプ、回収ポリマーに、バージンパルプ、バージンポリマーを最大で75%配合することが好ましい。このようにすることで、吸収速度のばらつきを低減できるとともに、回収パルプ、回収ポリマーの供給量に増減があったとしても、対応可能となっている。
【0029】
また、吸収性物品1においては、体液を、上層吸収体511で素早く吸収して、下層吸収体512で保持することができるよう、上層吸収体511の体液吸収速度が、下層吸収体512よりも速くなるよう調整することが好ましい。このようにすることで、体液を肌から素早く遠ざけることができるため、着用者の不快感や肌への負担を軽減することができる。
【0030】
クレープ紙52は、公知のものを使用可能であるが、上記した下層吸収体512の回収パルプに、除去しきれない糸ゴムや不職布、ポリシート等の異物の混入があった場合に隠蔽性を高めるため、目付けを15gsm以上にすることが好ましい。
なお、吸収体50において、吸収体コア51を覆うものは、クレープ紙52に限ることはなく、透液性の不織布や孔開きシートなどであっても良い。
【0031】
固定部材60は、吸収性物品1を外装体に接着させて固定する役割を果たす、粘着テープであり、剥離紙を剥がすと粘着部分が露出するようになっている。
固定部材60は、例えば、図2に示すように、略矩形状をなしており、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面と反対側の面(裏面シート30の下面)における腹側部11の中央部に備えられている。
なお、固定部材60の配置位置は、吸収性物品1のめくれを抑制してズレ難くする等の観点から、腹側部11より前側であることが好ましい。また、粘着テープには透湿性(通気性)がないため、特に裏面シート30として透湿性を有する不透液性のシートを採用した場合には、裏面シート30による通気を阻害しない等の観点から、固定部材60の面積は、裏面シート30の面積の20%未満であることが好ましい。
また、固定部材60は、粘着テープに限ることはなく、吸収性物品1を外装体に固定させることができる部材であれば任意であり、例えば、面ファスナであっても良いが、できるだけやわらかい素材のものの方が着用者の身体の動きに追従し易く、好適である。
【0032】
以上説明した本実施形態の吸収性物品1によれば、透液性の表面シート20と、不透液性の裏面シート30と、表面シート20と裏面シート30との間に介装される吸収体50と、を備える吸収性物品1において、吸収体50は、表面シート20側に配置された上層吸収体511と、裏面シート30側に配置された下層吸収体512と、を備えた積層構造であって、上層吸収体511は、バージンパルプ及びバージンポリマーから形成され、下層吸収体512は、製造工程の製品ロスなどから回収された回収パルプ及び回収ポリマーを含有して形成される。
よって、下層吸収体512にのみ回収パルプ及び回収ポリマーが使用されるため、当該回収パルプや回収ポリマーに異物が混入していた場合でも表面側から確認しにくく、回収パルプや回収ポリマーを利用した場合であっても、異物混入によって見栄えが劣ることがない。
【0033】
また、回収パルプはバージンパルプより繊維長が短いため吸収スピードを悪化させてしまう恐れがあるが、回収パルプは下層吸収体512にのみ使用されるため、繊維長の影響を低減することができる。
また、回収ポリマーには、通液性の高いものや低いものなど様々な特性のポリマーが混入するため品質にばらつきが生じ易いが、回収ポリマーは下層吸収体512にのみ使用されるため、通液性の低いポリマーが吸収体表面でゲルブロッキングを起こし、吸収スピードの低下や液の逆戻りの増加などの悪影響を低減することができる。
また、上記したように、回収パルプ及び回収ポリマーを好適に利用できるため、エコロジーである。
【0034】
また、以上説明した本実施形態の吸収性物品1によれば、下層吸収体512は、バージンパルプ及びバージンポリマーを含有して形成される。
したがって、吸収速度を一定に維持することができるとともに、回収パルプ、回収ポリマーの供給量に増減があったとしても、対応することができる。
【0035】
<変形例1>
上記実施形態において、裏面シート30は、例えば、図6に示す吸収性物品1Aの裏面シート30Aのように、所定の色彩または模様が施されているものであっても良い。
具体的に、例えば、色彩として、青、緑、オレンジ、等の濃色、或いはピンク等の淡色を印刷濃度を濃くしたもの等を用いることで、回収パルプに含まれる異物の隠蔽性を高めることができる。
また、模様としては所定の図柄や文字を利用可能であるが、特に、製品ロスの糸ゴムやポリシートに多く用いられるピンク、青、緑、オレンジ、紫、グレー、等の色の入ったデザインを用いることで、回収パルプに含まれる異物をカムフラージュすることができる。
変形例1によれば、裏面シート30の色を白以外にすることで、吸収体50の下層吸収体512に含まれる回収パルプや回収ポリマーに異物の混入があった場合でも、外側から見えにくくすることができる。
【0036】
<変形例2>
上記実施形態において、裏面シート30は、図7に示す吸収性物品1Bのように、裏面シート30の下面を覆う第2裏面シート70を備えることとしても良い。
具体的に、第2裏面シート70は、吸収性物品1Bを装着した際に着用者に接する面と反対側の面を形成し、裏面シート30の表面シート20側の面と反対側の面(下面)を覆うように設けられた不織布であり、この第2裏面シート70がバックシートを構成している。
第2裏面シート70としては、例えば、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ヒートロール不織布、エアスルー不織布、不透液性不織布、或いはこれらの組み合わせからなるシートが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの少なくとも遮水性を有する不透液性シートであっても良い。
変形例2によれば、第2裏面シート70を備えることで、吸収体50の下層吸収体512に含まれる回収パルプや回収ポリマーに異物が混入した場合の隠蔽性を高めることができる。
なお、図示は省略するが、この第2裏面シート70に、変形例1で例示したような所定の色彩または模様を施すこととしても良い。
【0037】
<変形例3>
上記実施形態において、表面シート20は、図8に示す吸収性物品1Cように、表面シート20の上面を覆う透液性のセカンドシート80を備えることとしても良い。
具体的に、セカンドシート80は、吸収性物品1を装着した際に着用者に接する面を形成し、表面シート20の裏面シート30側の面と反対側の面(上面)を覆うように設けられる。
この透液性シートとしては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平織り等したネット状のシート素材、多数の透孔を形成したフィルムシート材、ポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムシート材、透液性を有する織布、不織布が適し、特に不織布が適する。
変形例3によれば、セカンドシート80を備えることで、特に、人体との接触面側からの見栄えを良好にすることが出来ると共に、体液の逆戻りを防止することができる。
なお、図示は省略するが、表面シート20にセカンドシート80を備え、更に、裏面シート30に変形例2で例示したような第2裏面シート70を設けることとしても良い。
更に、このとき、第2裏面シート70に、変形例1で例示したような所定の色彩または模様を施すこととしても良い。
【0038】
<変形例4>
上記実施形態において、吸収体50は、図9に示す吸収体50Aのように、所定の色彩または模様が施されたクレープ紙52Aによって被覆されていることとしても良い。
クレープ紙52Aに施された色彩や模様に特に限定はないが、例えば変形例1で例示したもの等を好適に利用できる。
変形例4によれば、クレープ紙52Aに色彩や模様を施すことで、吸収体50の下層吸収体512に含まれる回収パルプや回収ポリマーに異物が混入した場合の隠蔽性を高めることができる。
【0039】
<変形例5>
上記実施形態において、吸収体50は、図10に示す吸収体50Bのように、活性炭入りシート52Bによって被覆されていることとしても良い。
変形例5によれば、活性炭によりシートが着色されているため隠蔽性が高いと同時に、消臭抗菌効果を付与することができる。
【0040】
また、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例1〜5においては、吸収性物品として尿取りパッドを例示して説明したが吸収性物品はこれに限定されるものではなく、例えば、ベビー用紙おむつ、介護用紙おむつ、生理用ナプキン等にも適用可能である。
【0041】
また、固定部材60は、装着時に着用者との接触面と反対側の面(吸収性物品1の下面)における少なくとも腹側部11に備えられているのであれば、その形状は任意であり、例えば、前後方向に長尺であっても良いし、左右方向に長尺であっても良い。また、T字状のような所定の形状であっても良い。
また、上記のような各種の形状の固定部材60は、その個数も適宜設定可能であり、例えば、左右方向又は前後方向に並ぶ二個の固定部材を備えることとしても良い。
【0042】
また、吸収性物品1は、平面ギャザーが股下部13のみに備えられたものに限ることはなく、例えば、股下部13及び背側部12に平面ギャザーが備えられたものであっても良い。背側部12にも平面ギャザーを備えた場合、吸収性物品1が幅方向に湾曲し易くなるため、より液漏れし難くなる。
また、上記実施形態において、吸収性物品1は、平面ギャザー及び立体ギャザーの何れか一方のみを備えるものであっても良い。
【0043】
また、吸収体コア51は、表面シート20側に配置された上層吸収体511と、裏面シート30側に配置された下層吸収体512と、が少なくとも備えられているのであれば、二層構造に限定されるものではない。
例えば、上層吸収体511と下層吸収体512との間に、所定の機能の付加された中間層(図示省略)を設けた三層構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1、1A、1B、1C 吸収性物品
11 腹側部
12 背側部
13 股下部
14 脚周り部
141 平面ギャザー用弾性部材
20 表面シート
30、30A 裏面シート
40 ギャザーシート
401 立体ギャザー用弾性部材
50、50A、50B 吸収体
51 吸収体コア
511 上層吸収体
512 下層吸収体
52、52A クレープ紙
52B 活性炭入りシート
60 固定部材
70 第2裏面シート
80 セカンドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品において、
前記吸収体は、前記表面シート側に配置された上層吸収体と、前記裏面シート側に配置された下層吸収体と、を備えた積層構造であって、
前記上層吸収体は、バージンパルプ及びバージンポリマーから形成され、
前記下層吸収体は、回収された回収パルプ及び回収ポリマーを含有して形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記下層吸収体は、バージンパルプ及びバージンポリマーを含有して形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記裏面シートには、所定の色彩または模様が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記裏面シートの前記表面シート側の面と反対側の面を覆う第2裏面シートが設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体は、所定の色彩または模様が施されたクレープ紙によって被覆されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収体は、活性炭入りシートによって被覆されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記表面シートの前記裏面シート側の面と反対側の面を覆う透液性のセカンドシートが設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−67261(P2011−67261A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218997(P2009−218997)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】