吸収性物品
【課題】下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、本体部の側縁が使用者の肌に当たり難く、ウイング部の折り曲げ部分も使用者の肌に当たり難く、使用感が向上する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート間に配された吸収体4を具備する縦長の本体部5、及び該本体部5の両側縁から延出する一対のウイング部6,6を有する。本体部5は、ウイング部6の位置に括れ部7を有する。ウイング部6は、別体のウイング部形成材62を用い、ウイング部形成材62の本体部5に位置する一側縁63側が裏面シート3の非肌対向面に固定され、他側縁64側が括れ部7より外方に延出するように配されて形成される。下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配されている。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート間に配された吸収体4を具備する縦長の本体部5、及び該本体部5の両側縁から延出する一対のウイング部6,6を有する。本体部5は、ウイング部6の位置に括れ部7を有する。ウイング部6は、別体のウイング部形成材62を用い、ウイング部形成材62の本体部5に位置する一側縁63側が裏面シート3の非肌対向面に固定され、他側縁64側が括れ部7より外方に延出するように配されて形成される。下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品に関し、特にウイング部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウイング部を有する吸収性物品は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する本体部及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有しており、その使用時には、一対のウイング部を、裏面シート側に折り曲げ、折り曲げたウイング部を、ショーツのクロッチ部の非肌対向面等に粘着剤等で固定して使用する。
また、ウイング部に用いるシート材の使用量を低減する観点等から、ウイング部を有する吸収性物品として、表面シートや裏面シート等の原反とは異なる原反から、ウイング部に近い形状のウイング片を形成し、そのウイング片を、表面シートや裏面シート等の本体部の構成材料と接合し、本体部の両側部に固定した吸収性物品が提案されている。
【0003】
このような本体部の両側部にウイング片を固定した吸収性物品として、例えば、特許文献1には、吸収コアを有する主本体部分と、該主本体部分の両側縁部それぞれに配された複数の側部被覆要素構成要素とを備え、主本体部分と別体である複数の側部被覆要素構成要素が少なくとも部分的に重複している吸収物品が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の吸収物品は、複数の側部被覆要素構成要素が、主本体部分を構成するトップシートとバックシートとの間に配されているため、特許文献1に記載の吸収物品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、側部被覆構成要素がうまく下着の裏面側に折返し固定ができない等の操作性の問題や、トップシートとバックシートとを固定した主本体部分の側縁が、使用者の肌に当たる場合があった。
【0005】
また、特許文献2には、吸収性コアを有する主本体部分と、主本体部分の両長手方縁に配され主本体部分を構成するバックシートの下面に配された一対のフラップとを備えた吸収性製品が記載されている。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の吸収性製品は、主本体部分が両長手方縁に括れを有する形状でないため、特許文献2に記載の吸収性製品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、主本体部分を構成するトップシートとバックシートとの固定部分である主本体部分の側縁が、やはり使用者の肌に当たる場合があった。また、特許文献2に記載の吸収性製品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、フラップの折り曲げ部分が重ねて形成されているため使用者の肌に当たる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平9−501335号公報
【特許文献2】特開2001−149410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、前記本体部は、前記ウイング部の位置において内方に括れる括れ部を有しており、前記括れ部は、括れた前記表面シートの縁部及び括れた前記裏面シートの縁部が互いにシールされて形成されており、前記吸収体の側縁は、前記括れ部よりも内方に位置しており、前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体の肌当接面側が不織布であるウイング部形成材を用い、該ウイング部形成材の前記本体部に位置する一側縁側が前記裏面シートの非肌対向面に固定され、他側縁側が前記本体部の前記括れ部より外方に延出するように配されて形成されており、前記吸収性物品を下着に装着する際に形成される前記ウイング部の折り曲げ線が、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配される吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性物品によれば、下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、本体部の側縁が使用者の肌に当たり難く、ウイング部の折り曲げ部分も使用者の肌に当たり難く、使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である。
【図2】図2は、図1に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である。
【図3】図3は、図1のY1−Y1線断面図である。
【図4】図4は、図1に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である。
【図5】図5は、図1に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態において、ウイング部の折り曲げ線と本体部の側縁との位置関係を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である(図1相当図)。
【図7】図7は、図6に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図8】図8は、図6のY2−Y2線断面図である(図3相当図)。
【図9】図9は、図6に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である(図4相当図)。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である(図1相当図)。
【図11】図11は、図10に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図12】図12は、図10のY3−Y3線断面図である(図3相当図)。
【図13】図13は、図10に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である(図4相当図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態である生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)は、図1〜図3に示すように、表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配された吸収体4を具備する縦長の本体部5及び該本体部5の両側縁から延出する一対のウイング部6,6を有する。
本明細書において、「肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0013】
本体部5は、図1中X方向に長い形状を有し、その裏面には、該本体部5を、ショーツのクロッチ部10の肌対向面(着用者の肌側に向けられる面)に固定するための本体粘着部(図示せず)が形成されており、ウイング部6の裏面には、図2〜図4に示すように、各ウイング部6を、ショーツのクロッチ部10(図4参照)の非肌対向面(着用者の肌側とは反対側に向けられる面)に固定するためのウイング部粘着部61が形成されている。クロッチ部10の非肌対向面には、上層及び下層を有する二重構造のクロッチ部の下層側の面も含まれる。
【0014】
本体部5は、図1に示すように、ウイング部6の位置において内方に括れる括れ部7を有している。本体部5は、図1に示すように、ウイング部6,6の位置する領域である中央部A、ナプキン1の着用時に中央部Aより着用者の腹側に配される前方部B、及びナプキン1の着用時に中央部Aよりも着用者の背中側に配される後方部Cを有している。ここで、ウイング部6の位置とは、ウイング部6,6の位置する領域である中央部Aを意味しており、本体部5の括れ部7は、中央部Aに形成されている。ナプキン1の着用時には、通常、本体部5の中央部Aが、着用者の液排出部(膣口等)に対向配置される。
【0015】
本体部5は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及びこれら両シート間に配された液保持性の吸収体4を具備する。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、何れも、本体部5の長手方向(X方向)に長い縦長の形状を有しており、ナプキン1においては、表面シート2と裏面シート3とが同形同大に形成されている。尚、各図中のY方向は、長手方向(X方向)に直交する方向であり、本体部5の幅方向でもある。
【0016】
表面シート2は、図1に示すように、本体部5の中央部A、前方部B及び後方部Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。即ち、表面シート2は、中央部Aにおいて内方に括れる括れ部7を有している。
【0017】
裏面シート3も、表面シート2と同様に、図1に示すように、本体部5の中央部A、前方部B及び後方部Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。即ち、裏面シート3も、中央部Aにおいて内方に括れる括れ部7を有している。
【0018】
本体部5の括れ部7は、図1に示すように、括れた表面シート2の縁部及び括れた裏面シート3の縁部が互いにシールされて形成されている。具体的には、本体部5が、本体部5の輪郭と一致する輪郭の表面シート2及び裏面シート3を、それぞれの縁部全周に亘って互いにシールすることにより形成されると同時に、本体部5の括れ部7が、表面シート2の括れ部と裏面シート3の括れ部とのシールにより形成される。
【0019】
ナプキン1においては、図1に示すように、表面シート2と裏面シート3とが、表面シート2の周縁部及び裏面シート3の周縁部それぞれに沿って、熱エンボス加工によって接合されており、ナプキン1の周縁部に周縁シール部11を形成している。
尚、ナプキン1においては、周縁シール部11が熱エンボス加工により形成されているが、超音波シールにより形成されていてもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよい。周縁シール部11の柔軟性、シール強度及び極端に弱い部分が形成されないシール部分の強度の安定性の観点から、接着剤と熱エンボス加工を併用して形成されていることが好ましい。
【0020】
吸収体4の側縁41は、図1に示すように、括れ部7よりも内方に位置している。具体的には、吸収体4は、図1に示すように、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びる両側縁41,41を有し、本体部5の前方部B及び後方部Cそれぞれにおける吸収体4の前後端は、ナプキン1及び本体部5の前後端よりやや内側に位置して湾曲形状を有しており、本体部5の中央部Aにおける吸収体4の側縁41は、本体部5の括れ部7よりもY方向内方に位置している。
【0021】
ナプキン1においては、図1に示すように、ウイング部6の位置する領域(中央部A)に、表面シート2と吸収体4とを熱エンボス加工により一体的に圧縮して形成された2重の防漏溝9を備えている。2重の防漏溝9それぞれは、図1に示すように、幅方向外方に凸状に形成されている。2重の防漏溝9によって、図2に示すように、吸収体4に、左右の防漏溝9間に挟まれた厚みの厚い部分と、その両側に位置する厚みの薄い部分とが形成されている。この厚みの薄い部分は、厚みの厚い部分に比べて、吸収体4の密度が高くなっており、剛性も高くなっている。その為、吸収体4中の液(経血等)が、吸収体4の側縁41から流れ出しにくくなっている。
【0022】
本体部5は、長手方向(X方向)に延びる両側縁51,51を有しており、本体部5の幅が最も広い位置における両側縁511,511どうしの間の距離W1が、70〜120mmであることが好ましく、80〜110mmであることが更に好ましい。
本体部5は、本体部5の幅が最も狭い位置、即ち、括れ部7における両側縁512,512どうしの間の距離W2が、40〜90mmであることが好ましく、50〜80mmであることが更に好ましい。
本体部5の両側縁511,511どうしの間の距離W1に対する括れ部7における両側縁512,512どうしの間の距離W2(W2/W1)は、0.3〜0.9であることが好ましく、装着感の高さ(違和感のなさ)及びナプキン1のヨレの少なさの観点から、0.4〜0.8であることが更に好ましい。
括れ部7の面積(本体部5の前方部Bの側縁51における本体部5の幅が最も広い位置、及び本体部5の後方部Cの側縁51における本体部5の幅が最も広い位置を結ぶ直線と、本体部5の側縁51とで囲まれた部分の面積)は、300〜1500mm2であることが好ましく、上記と同じ観点から、400〜1200mm2であることが更に好ましい。
本体部5の括れ部7における側縁512と本体部5の中央部Aにおける吸収体4の側縁41との間隔W3は、3〜20mmであることが好ましく、ウイング操作性、特に下着への折返し易さの観点から、5〜15mmであることが更に好ましい。
尚、本体部5の長手方向(X方向)の長さは、150〜400mmである。
【0023】
ナプキン1における一対のウイング部6は、図2,図3に示すように、表面シート2及び裏面シート3とは別体の一対のウイング部形成材62を用い、それぞれ、本体部5に位置する一側縁63側が、裏面シート3の非肌対向面に固定され、他側縁64側が、本体部5の括れ部7より外方(X方向の外方)に延出するように配されて形成されている。
より詳細に説明すると、本実施形態のウイング部形成材62は、図2,図3に示すように、一側縁63が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びる直線状をなしており、本体部5の幅方向外方側に配される他側縁(外側縁)64が、ウイング部6の輪郭に一致する形状を有している。ウイング部形成材62の可撓部分の一側縁63は、ナプキン1においては、吸収体4の側縁41よりもY方向内方に位置し、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9よりも、Y方向外方に位置している。このように、一側縁63は、ナプキン1においては、外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されているが、吸収体4の側縁41よりも外方であってもよく、2重の防漏溝9の間に配されていてもよく、ナプキン1の装着時(使用時)における違和感低減と動きへの追従性の観点から、Y方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されていることが好ましい。ウイング部形成材62は、本実施形態においては、図2に示すように、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLに比して短く、ナプキン1の長さLに対して、30〜80%程度であることが好ましい。
【0024】
裏面シート3とウイング部形成材62との固定態様について、以下、説明する。
図2に示すように、ウイング部形成材62の本体部5に位置する一側縁63側が、裏面シート3の非肌対向面に固定されている。ナプキン1においては、本体部5の長手方向(X方向)の側部に、ウイング部形成材62と裏面シート3とがホットメルト型接着剤81を介して連続的に接合された帯状接合部8が、本体部5の長手方向(X方向)に延びて形成されている。
【0025】
ウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8は、吸収体4と重なっている。詳述すると、上述したように、ウイング部形成材62の一側縁63が、吸収体4の側縁41よりもY方向内方に位置し、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9よりも、Y方向外方に位置しており、このように配されたウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8は、図3に示すように、ナプキン1においては、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配され、吸収体4と重なっている。尚、ナプキン1においては、帯状接合部8が、Y方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されて吸収体4と重なっているが、吸収体4の側縁41に跨るように吸収体4と重なっていて(外湾曲溝の効果を高めるよう)二重の防漏溝9よりY方向外方の吸収体4のヨレを抑制されていてもよく、Y方向外方側の防漏溝9よりも内側に配されて吸収体4と重なっていて二重の防漏溝9の平面安定性効果をより高めていてもよく、(外湾曲溝の効果を高める)二重の防漏溝9よりY方向外方の吸収体4のヨレ抑制の観点から、二重の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されて固定されていることが好ましい。なお、実施形態1における固定部分の外側端部が前述したウイング部形成材62の可撓部分の一側縁63である。
【0026】
ナプキン1においては、図2に示すように、ウイング部形成材62と裏面シート3とがホットメルト型接着剤81を介して連続的に接合された帯状接合部8が、本体部5の両側部それぞれに、本体部5の長手方向に沿って連続的に延び、ウイング部6の一側縁63側の全長(X方向の全長)に亘って形成されている。
【0027】
主として装着時の幅方向(Y方向)伸長に対するウイング部6の脱落防止の観点から、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81の幅W4(図2参照)は、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上である。他方、ナプキン1の使用時の追従性の観点から、ホットメルト型接着剤81の前記幅W4は、10mm以下であることが好ましく、より好ましくは7mm以下である。
【0028】
また、装着時及び使用時のウイング部6の脱落防止の観点から、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81の塗工坪量は、15g/m2であることが好ましく、より好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは25g/m2以上である。他方、使用時の違和感(粘着材による硬さ)低減の観点から、ホットメルト型接着剤81の塗工坪量は、150g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは120g/m2以下である。
【0029】
本実施形態のウイング部形成材62は、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、折り曲げ誘導手段を備えている。この折り曲げ誘導手段によりウイング部6に折り曲げ線66が形成される。
ナプキン1の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
ウイング部形成材62は、図1,図2に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、長手方向(X方向)に延びるスリットの形成されたスリット部分65を有する。以下、詳述すると、スリット部分65は、ナプキン1においては、括れ部7での側縁512と本体部5の側縁511との間であって、且つウイング部6の根本付近に一対形成されている。更に詳述すると、括れ部7での側縁512と本体部5の側縁511との間であって、且つ本体部5の側縁51とウイング部形成材62の他側縁64とが交差する位置の近傍に形成されている。このように形成された一対のスリット部分65は、Y方向に延びるウイング部形成材62の中心線CLに対して対称に形成されている。各スリット部分65は、長手方向(X方向)に延びる複数のスリットをウイング部形成材62に設けることにより形成されている。スリットは、1〜10個設けられていることが好ましく、ナプキン1においては、各スリット部分65に、4個形成されている。スリット部分65を形成するスリットは、ナプキン1においては、X方向に水平に形成されているが、長手方向(X方向)に延びていればよく、例えば傾斜を付けて形成されていてもよい。
【0030】
上述のように構成されたナプキン1は、図4のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図5に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1においては、特に、ウイング部6の根本付近に一対のスリット部分65を有している為、スリット部がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。さらに、スリットが開閉し、ショーツ等の下着に装着する際に折り曲げ線66の位置を調整することができる。
【0031】
本発明の第2実施形態である生理用ナプキン1B(以下、「ナプキン1B」ともいう)の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
尚、ナプキン1Bは、特に説明しない点はナプキン1と同様であり、ナプキン1の説明が適宜適用される。図6〜図9には、ナプキン1の構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0032】
ウイング部6の折り曲げ線66を形成する折り曲げ誘導手段として、ナプキン1Bのウイング部形成材62は、図6〜図8に示すように、ウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8と本体部5の括れ部7との間の領域に、ウイング部形成材62と裏面シート3とが固定された中間固定部65−1を備えている。中間固定部65−1は、図6,図7に示すように、平面視して、円形状であるが、特に円形状に限定されず、ウイング部形成材62と裏面シート3とが固定されていれば、平面視して、楕円状、矩形状、多角形状等であってもよい。ナプキン1Bの中間固定部65−1は、ウイング部6の根本付近に一対形成されている。このように形成された一対の中間固定部65−1は、Y方向に延びるウイング部形成材62の中心線CLに対して対称に形成されている。
【0033】
上述のように構成されたナプキン1Bは、図9のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図9に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1Bにおいては、特に、ウイング部6の根本付近に一対の中間固定部65−1を有している為、中間固定部65−1がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。
【0034】
本発明の第3実施形態である生理用ナプキン1C(以下、「ナプキン1C」ともいう)の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
尚、ナプキン1Cは、特に説明しない点はナプキン1と同様であり、ナプキン1の説明が適宜適用される。図10〜図13には、ナプキン1の構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0035】
ウイング部6の折り曲げ線66を形成する折り曲げ誘導手段として、ナプキン1Cのウイング部形成材62は、図10〜図12に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、長手方向(X方向)に延びるエンボスライン65−2を有している。エンボスライン65−2は、図10,図11に示すように、平面視して、長手方向(X方向)に延びる矩形状であるが、特に矩形状に限定されず、長手方向(X方向)に延びていれば、平面視して、楕円状等であってもよい。
【0036】
上述のように構成されたナプキン1Cは、図13のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図13に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1Cにおいては、特に、一本のエンボスライン65−2を有している為、エンボスライン65−2がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。圧縮によりエンボスライン65−2を形成することで、エンボスライン65−2形成位置でのウイング部形成材62の厚みを薄くし、かつエンボスライン65−2が硬いことから、エンボスライン65−2を基点に両脇の柔らかいウイング部形成材62を湾曲させながら折り曲がることができる。
【0037】
これらの折り曲げ誘導手段で折り曲げることで、ウイング部形成材62は、しなやかに折り曲がり、折り曲げ線66が本体部5の括れ部7の側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に存在し、ウイング折れ曲がり端部が本体部5の裏面にうまく隠れるため、肌に直接当接することがなく、ウイング部6の折り曲げ線66の柔らかな部位のみが装着者の脚繰り肌に当接して、従来のちくちくした感触がなく、肌触りの良い装着感が得られる。
【0038】
上述したナプキン1の製造方法は、当業者が考え得る任意の方法により製造することができるが、例えば、表面シート2の帯状原反に吸収体4を乗せ、2重の防漏溝9に対応する形状の凸部を有するエンボスロール間に通して2重の防漏溝9を形成した後、その上に、裏面シート3の帯状原反を積層し、熱エンボス加工を施し周縁シール部11を形成しながらカットすることにより本体部5を形成する。これとは別に、一枚の帯状シートから左右のウイング部形成材62を切り出し、一対のウイング部形成材62を形成する。本体部5の裏面シート3の両側部上それぞれに、ホットメルト型接着剤81を塗工し、ホットメルト型接着剤81を介して一対のウイング部形成材62を固定することにより製造することができる。
【0039】
上述したナプキン1の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来用いられている各種の材料などを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したものや、各種公知のポリマーシート等を用いることができる。
【0040】
ウイング部形成材62としては、肌当接面側が不織布であるもの、例えば、単層又は多層の不織布や、該不織布を肌当接面側に配した樹脂フィルムとの積層体等を用いることができる。単層の不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布等が挙げられ、多層の不織布としては、スパンボンド−メルトブロー複合不織布(SM、SMS)や、エアスルー不織布とスパンボンド不織布の複合シート、エアスルー不織布とスパンボンド−メルトブロー複合不織布の複合シート等が挙げられる。
ウイング部形成材62の柔らかさ及び装着時のウイングの操作性の観点からは、ウイング部形成材62は、非伸縮性の不織布のみで構成されていることが好ましい。尚、非伸縮性であれば、不織布は、単層であっても多層であってもよいが、ウイング部形成材の柔らかさの観点から、単層の方が好ましい。
【0041】
帯状接合部8を形成するためのホットメルト型接着剤としては、弾性を有するポリマー成分であるスチレンーブタジエン系やスチレンーイソプレン系のもの、また常温(体温相当)で粘着性がほとんど無い低タック性のホットメルト等が挙げられるが、動きにおける追従性の点から、弾性のある樹脂組成を有することが好ましく、それらの中でも、接合の維持の点から、タック性を有する接着剤が好ましい。
【0042】
また、本発明の吸収性物品においては、本体部5における吸収体4と裏面シート3との間も接着剤によって接合することが好ましい。但し、この接着剤は、スパイラルパターン等のパターン塗工や、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81よりも低坪量に塗工することが好ましい。
【0043】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態であるナプキン1(以下、「ナプキン1」ともいう。)の装着方法は、ナプキン1のウイング部6の裏面にはショーツに固定するホットメルト接着剤(ウイング部粘着部61)が形成されており、ウイング部6を折り返してショーツの股下部にホットメルト接着剤(ウイング部粘着部61)を介してウイング部6を固定する際に、折り曲げ誘導手段を折り曲げ基点としてウイング部6を折り曲げ、ウイング部6の折り曲げ線66を、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配し、ショーツの股下部にナプキン1を固定して装着する。
【0044】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態であるナプキン1(以下、「ナプキン1」ともいう。)を使用した際の作用効果について説明する。
ナプキン1のウイング部6は、図2,図3に示すように、ウイング部形成材62の一側縁63側が裏面シート3の非肌対向面に固定されているので、図4に示すように、ショーツ等の下着のクロッチ部10に装着する際に、本体部5の側縁51を下方に巻き込むことがない。従って、本体部5の全面を使って体液を有効に吸収することができる。また、図5に示すように、ウイング部6の折り曲げ線66が、括れ部6での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配されるので、下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、本体部5の側縁51、特に、括れ部6での側縁512が使用者の肌に当たり難く、ウイング部6の折り曲げ線66の位置における折り曲げ部分も使用者の肌に当たり難い。従って、ナプキン1の使用感が向上する。
【0045】
また、ナプキン1は、図2に示すように、帯状接合部8が、吸収体4と重なっているため、ナプキン1の使用時に、ウイング部6を引っ張ってもウイング部6が本体部5から取れ難い。また、装着させやすく、使用時の違和感を少ない。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述のナプキン1においては、図2に示すように、ウイング部形成材62が、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLに比して短いものであるが、一側縁63側がナプキン1の全長に亘って形成されており、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLと同じ長さであってもよい。
【0047】
また、上述のナプキン1においては、図2,図3に示すように、帯状接合部8が吸収体4と重なっているが、重なっていなくてもよい。即ち、帯状接合部8が吸収体4の側縁41と本体部5の側縁51との間に設けられていてもよい。
また、上述のナプキン1においては、図1,図2に示すように、ウイング部形成材62がスリット部分65を有しているが、有していなくてもよい。
【0048】
また、ウイング部6は、粘着部61を介してショーツのクロッチ部10に固定するものに限られず、機械的面ファスナーのオス部材からなる係合部を用いてクロッチ部10に固定するものや、粘着部や機械的面ファスナーからなる係合部を介してウイング部同士を連結して固定するもの等であっても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であっても良い。
また、表面シート2として、全域が液透過性のものに代えて、液透過性の中央シートの両側それぞれに、撥水性の不織布からなるサイドシートが連結した構成の複合シートを用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収体の側縁
5 本体部
51 本体部の側縁
511 本体部の幅が最も広い位置における側縁
512 括れ部における側縁
6 ウイング部
61 ウイング部粘着部
62 ウイング部形成材
63 一側部(内側部),64 他側部(外側部)
65 スリット部分、65−1 中間固定部 、65−2 エンボスライン
66 折り曲げ線
7 括れ部
8 帯状接合部
81 ホットメルト型接着剤
9 防漏溝
10 ショーツのクロッチ部
A 中央部(左右にウイング部を有する部分)
B 前方部
C 後方部
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品に関し、特にウイング部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウイング部を有する吸収性物品は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する本体部及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有しており、その使用時には、一対のウイング部を、裏面シート側に折り曲げ、折り曲げたウイング部を、ショーツのクロッチ部の非肌対向面等に粘着剤等で固定して使用する。
また、ウイング部に用いるシート材の使用量を低減する観点等から、ウイング部を有する吸収性物品として、表面シートや裏面シート等の原反とは異なる原反から、ウイング部に近い形状のウイング片を形成し、そのウイング片を、表面シートや裏面シート等の本体部の構成材料と接合し、本体部の両側部に固定した吸収性物品が提案されている。
【0003】
このような本体部の両側部にウイング片を固定した吸収性物品として、例えば、特許文献1には、吸収コアを有する主本体部分と、該主本体部分の両側縁部それぞれに配された複数の側部被覆要素構成要素とを備え、主本体部分と別体である複数の側部被覆要素構成要素が少なくとも部分的に重複している吸収物品が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の吸収物品は、複数の側部被覆要素構成要素が、主本体部分を構成するトップシートとバックシートとの間に配されているため、特許文献1に記載の吸収物品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、側部被覆構成要素がうまく下着の裏面側に折返し固定ができない等の操作性の問題や、トップシートとバックシートとを固定した主本体部分の側縁が、使用者の肌に当たる場合があった。
【0005】
また、特許文献2には、吸収性コアを有する主本体部分と、主本体部分の両長手方縁に配され主本体部分を構成するバックシートの下面に配された一対のフラップとを備えた吸収性製品が記載されている。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の吸収性製品は、主本体部分が両長手方縁に括れを有する形状でないため、特許文献2に記載の吸収性製品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、主本体部分を構成するトップシートとバックシートとの固定部分である主本体部分の側縁が、やはり使用者の肌に当たる場合があった。また、特許文献2に記載の吸収性製品を下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、フラップの折り曲げ部分が重ねて形成されているため使用者の肌に当たる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平9−501335号公報
【特許文献2】特開2001−149410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、前記本体部は、前記ウイング部の位置において内方に括れる括れ部を有しており、前記括れ部は、括れた前記表面シートの縁部及び括れた前記裏面シートの縁部が互いにシールされて形成されており、前記吸収体の側縁は、前記括れ部よりも内方に位置しており、前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体の肌当接面側が不織布であるウイング部形成材を用い、該ウイング部形成材の前記本体部に位置する一側縁側が前記裏面シートの非肌対向面に固定され、他側縁側が前記本体部の前記括れ部より外方に延出するように配されて形成されており、前記吸収性物品を下着に装着する際に形成される前記ウイング部の折り曲げ線が、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配される吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性物品によれば、下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、本体部の側縁が使用者の肌に当たり難く、ウイング部の折り曲げ部分も使用者の肌に当たり難く、使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である。
【図2】図2は、図1に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である。
【図3】図3は、図1のY1−Y1線断面図である。
【図4】図4は、図1に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である。
【図5】図5は、図1に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態において、ウイング部の折り曲げ線と本体部の側縁との位置関係を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である(図1相当図)。
【図7】図7は、図6に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図8】図8は、図6のY2−Y2線断面図である(図3相当図)。
【図9】図9は、図6に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である(図4相当図)。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である(図1相当図)。
【図11】図11は、図10に示す生理用ナプキンを裏面シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図12】図12は、図10のY3−Y3線断面図である(図3相当図)。
【図13】図13は、図10に示す生理用ナプキンを下着のクロッチ部に取り付けた使用状態の断面図である(図4相当図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態である生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)は、図1〜図3に示すように、表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配された吸収体4を具備する縦長の本体部5及び該本体部5の両側縁から延出する一対のウイング部6,6を有する。
本明細書において、「肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0013】
本体部5は、図1中X方向に長い形状を有し、その裏面には、該本体部5を、ショーツのクロッチ部10の肌対向面(着用者の肌側に向けられる面)に固定するための本体粘着部(図示せず)が形成されており、ウイング部6の裏面には、図2〜図4に示すように、各ウイング部6を、ショーツのクロッチ部10(図4参照)の非肌対向面(着用者の肌側とは反対側に向けられる面)に固定するためのウイング部粘着部61が形成されている。クロッチ部10の非肌対向面には、上層及び下層を有する二重構造のクロッチ部の下層側の面も含まれる。
【0014】
本体部5は、図1に示すように、ウイング部6の位置において内方に括れる括れ部7を有している。本体部5は、図1に示すように、ウイング部6,6の位置する領域である中央部A、ナプキン1の着用時に中央部Aより着用者の腹側に配される前方部B、及びナプキン1の着用時に中央部Aよりも着用者の背中側に配される後方部Cを有している。ここで、ウイング部6の位置とは、ウイング部6,6の位置する領域である中央部Aを意味しており、本体部5の括れ部7は、中央部Aに形成されている。ナプキン1の着用時には、通常、本体部5の中央部Aが、着用者の液排出部(膣口等)に対向配置される。
【0015】
本体部5は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及びこれら両シート間に配された液保持性の吸収体4を具備する。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、何れも、本体部5の長手方向(X方向)に長い縦長の形状を有しており、ナプキン1においては、表面シート2と裏面シート3とが同形同大に形成されている。尚、各図中のY方向は、長手方向(X方向)に直交する方向であり、本体部5の幅方向でもある。
【0016】
表面シート2は、図1に示すように、本体部5の中央部A、前方部B及び後方部Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。即ち、表面シート2は、中央部Aにおいて内方に括れる括れ部7を有している。
【0017】
裏面シート3も、表面シート2と同様に、図1に示すように、本体部5の中央部A、前方部B及び後方部Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。即ち、裏面シート3も、中央部Aにおいて内方に括れる括れ部7を有している。
【0018】
本体部5の括れ部7は、図1に示すように、括れた表面シート2の縁部及び括れた裏面シート3の縁部が互いにシールされて形成されている。具体的には、本体部5が、本体部5の輪郭と一致する輪郭の表面シート2及び裏面シート3を、それぞれの縁部全周に亘って互いにシールすることにより形成されると同時に、本体部5の括れ部7が、表面シート2の括れ部と裏面シート3の括れ部とのシールにより形成される。
【0019】
ナプキン1においては、図1に示すように、表面シート2と裏面シート3とが、表面シート2の周縁部及び裏面シート3の周縁部それぞれに沿って、熱エンボス加工によって接合されており、ナプキン1の周縁部に周縁シール部11を形成している。
尚、ナプキン1においては、周縁シール部11が熱エンボス加工により形成されているが、超音波シールにより形成されていてもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよい。周縁シール部11の柔軟性、シール強度及び極端に弱い部分が形成されないシール部分の強度の安定性の観点から、接着剤と熱エンボス加工を併用して形成されていることが好ましい。
【0020】
吸収体4の側縁41は、図1に示すように、括れ部7よりも内方に位置している。具体的には、吸収体4は、図1に示すように、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びる両側縁41,41を有し、本体部5の前方部B及び後方部Cそれぞれにおける吸収体4の前後端は、ナプキン1及び本体部5の前後端よりやや内側に位置して湾曲形状を有しており、本体部5の中央部Aにおける吸収体4の側縁41は、本体部5の括れ部7よりもY方向内方に位置している。
【0021】
ナプキン1においては、図1に示すように、ウイング部6の位置する領域(中央部A)に、表面シート2と吸収体4とを熱エンボス加工により一体的に圧縮して形成された2重の防漏溝9を備えている。2重の防漏溝9それぞれは、図1に示すように、幅方向外方に凸状に形成されている。2重の防漏溝9によって、図2に示すように、吸収体4に、左右の防漏溝9間に挟まれた厚みの厚い部分と、その両側に位置する厚みの薄い部分とが形成されている。この厚みの薄い部分は、厚みの厚い部分に比べて、吸収体4の密度が高くなっており、剛性も高くなっている。その為、吸収体4中の液(経血等)が、吸収体4の側縁41から流れ出しにくくなっている。
【0022】
本体部5は、長手方向(X方向)に延びる両側縁51,51を有しており、本体部5の幅が最も広い位置における両側縁511,511どうしの間の距離W1が、70〜120mmであることが好ましく、80〜110mmであることが更に好ましい。
本体部5は、本体部5の幅が最も狭い位置、即ち、括れ部7における両側縁512,512どうしの間の距離W2が、40〜90mmであることが好ましく、50〜80mmであることが更に好ましい。
本体部5の両側縁511,511どうしの間の距離W1に対する括れ部7における両側縁512,512どうしの間の距離W2(W2/W1)は、0.3〜0.9であることが好ましく、装着感の高さ(違和感のなさ)及びナプキン1のヨレの少なさの観点から、0.4〜0.8であることが更に好ましい。
括れ部7の面積(本体部5の前方部Bの側縁51における本体部5の幅が最も広い位置、及び本体部5の後方部Cの側縁51における本体部5の幅が最も広い位置を結ぶ直線と、本体部5の側縁51とで囲まれた部分の面積)は、300〜1500mm2であることが好ましく、上記と同じ観点から、400〜1200mm2であることが更に好ましい。
本体部5の括れ部7における側縁512と本体部5の中央部Aにおける吸収体4の側縁41との間隔W3は、3〜20mmであることが好ましく、ウイング操作性、特に下着への折返し易さの観点から、5〜15mmであることが更に好ましい。
尚、本体部5の長手方向(X方向)の長さは、150〜400mmである。
【0023】
ナプキン1における一対のウイング部6は、図2,図3に示すように、表面シート2及び裏面シート3とは別体の一対のウイング部形成材62を用い、それぞれ、本体部5に位置する一側縁63側が、裏面シート3の非肌対向面に固定され、他側縁64側が、本体部5の括れ部7より外方(X方向の外方)に延出するように配されて形成されている。
より詳細に説明すると、本実施形態のウイング部形成材62は、図2,図3に示すように、一側縁63が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びる直線状をなしており、本体部5の幅方向外方側に配される他側縁(外側縁)64が、ウイング部6の輪郭に一致する形状を有している。ウイング部形成材62の可撓部分の一側縁63は、ナプキン1においては、吸収体4の側縁41よりもY方向内方に位置し、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9よりも、Y方向外方に位置している。このように、一側縁63は、ナプキン1においては、外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されているが、吸収体4の側縁41よりも外方であってもよく、2重の防漏溝9の間に配されていてもよく、ナプキン1の装着時(使用時)における違和感低減と動きへの追従性の観点から、Y方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されていることが好ましい。ウイング部形成材62は、本実施形態においては、図2に示すように、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLに比して短く、ナプキン1の長さLに対して、30〜80%程度であることが好ましい。
【0024】
裏面シート3とウイング部形成材62との固定態様について、以下、説明する。
図2に示すように、ウイング部形成材62の本体部5に位置する一側縁63側が、裏面シート3の非肌対向面に固定されている。ナプキン1においては、本体部5の長手方向(X方向)の側部に、ウイング部形成材62と裏面シート3とがホットメルト型接着剤81を介して連続的に接合された帯状接合部8が、本体部5の長手方向(X方向)に延びて形成されている。
【0025】
ウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8は、吸収体4と重なっている。詳述すると、上述したように、ウイング部形成材62の一側縁63が、吸収体4の側縁41よりもY方向内方に位置し、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9よりも、Y方向外方に位置しており、このように配されたウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8は、図3に示すように、ナプキン1においては、2重の防漏溝9におけるY方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配され、吸収体4と重なっている。尚、ナプキン1においては、帯状接合部8が、Y方向外方側の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されて吸収体4と重なっているが、吸収体4の側縁41に跨るように吸収体4と重なっていて(外湾曲溝の効果を高めるよう)二重の防漏溝9よりY方向外方の吸収体4のヨレを抑制されていてもよく、Y方向外方側の防漏溝9よりも内側に配されて吸収体4と重なっていて二重の防漏溝9の平面安定性効果をより高めていてもよく、(外湾曲溝の効果を高める)二重の防漏溝9よりY方向外方の吸収体4のヨレ抑制の観点から、二重の防漏溝9と吸収体4の側縁41との間に配されて固定されていることが好ましい。なお、実施形態1における固定部分の外側端部が前述したウイング部形成材62の可撓部分の一側縁63である。
【0026】
ナプキン1においては、図2に示すように、ウイング部形成材62と裏面シート3とがホットメルト型接着剤81を介して連続的に接合された帯状接合部8が、本体部5の両側部それぞれに、本体部5の長手方向に沿って連続的に延び、ウイング部6の一側縁63側の全長(X方向の全長)に亘って形成されている。
【0027】
主として装着時の幅方向(Y方向)伸長に対するウイング部6の脱落防止の観点から、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81の幅W4(図2参照)は、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上である。他方、ナプキン1の使用時の追従性の観点から、ホットメルト型接着剤81の前記幅W4は、10mm以下であることが好ましく、より好ましくは7mm以下である。
【0028】
また、装着時及び使用時のウイング部6の脱落防止の観点から、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81の塗工坪量は、15g/m2であることが好ましく、より好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは25g/m2以上である。他方、使用時の違和感(粘着材による硬さ)低減の観点から、ホットメルト型接着剤81の塗工坪量は、150g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは120g/m2以下である。
【0029】
本実施形態のウイング部形成材62は、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、折り曲げ誘導手段を備えている。この折り曲げ誘導手段によりウイング部6に折り曲げ線66が形成される。
ナプキン1の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
ウイング部形成材62は、図1,図2に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、長手方向(X方向)に延びるスリットの形成されたスリット部分65を有する。以下、詳述すると、スリット部分65は、ナプキン1においては、括れ部7での側縁512と本体部5の側縁511との間であって、且つウイング部6の根本付近に一対形成されている。更に詳述すると、括れ部7での側縁512と本体部5の側縁511との間であって、且つ本体部5の側縁51とウイング部形成材62の他側縁64とが交差する位置の近傍に形成されている。このように形成された一対のスリット部分65は、Y方向に延びるウイング部形成材62の中心線CLに対して対称に形成されている。各スリット部分65は、長手方向(X方向)に延びる複数のスリットをウイング部形成材62に設けることにより形成されている。スリットは、1〜10個設けられていることが好ましく、ナプキン1においては、各スリット部分65に、4個形成されている。スリット部分65を形成するスリットは、ナプキン1においては、X方向に水平に形成されているが、長手方向(X方向)に延びていればよく、例えば傾斜を付けて形成されていてもよい。
【0030】
上述のように構成されたナプキン1は、図4のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図5に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1においては、特に、ウイング部6の根本付近に一対のスリット部分65を有している為、スリット部がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。さらに、スリットが開閉し、ショーツ等の下着に装着する際に折り曲げ線66の位置を調整することができる。
【0031】
本発明の第2実施形態である生理用ナプキン1B(以下、「ナプキン1B」ともいう)の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
尚、ナプキン1Bは、特に説明しない点はナプキン1と同様であり、ナプキン1の説明が適宜適用される。図6〜図9には、ナプキン1の構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0032】
ウイング部6の折り曲げ線66を形成する折り曲げ誘導手段として、ナプキン1Bのウイング部形成材62は、図6〜図8に示すように、ウイング部形成材62と裏面シート3との固定により形成される帯状接合部8と本体部5の括れ部7との間の領域に、ウイング部形成材62と裏面シート3とが固定された中間固定部65−1を備えている。中間固定部65−1は、図6,図7に示すように、平面視して、円形状であるが、特に円形状に限定されず、ウイング部形成材62と裏面シート3とが固定されていれば、平面視して、楕円状、矩形状、多角形状等であってもよい。ナプキン1Bの中間固定部65−1は、ウイング部6の根本付近に一対形成されている。このように形成された一対の中間固定部65−1は、Y方向に延びるウイング部形成材62の中心線CLに対して対称に形成されている。
【0033】
上述のように構成されたナプキン1Bは、図9のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図9に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1Bにおいては、特に、ウイング部6の根本付近に一対の中間固定部65−1を有している為、中間固定部65−1がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。
【0034】
本発明の第3実施形態である生理用ナプキン1C(以下、「ナプキン1C」ともいう)の折り曲げ誘導手段について、以下に記載する。
尚、ナプキン1Cは、特に説明しない点はナプキン1と同様であり、ナプキン1の説明が適宜適用される。図10〜図13には、ナプキン1の構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0035】
ウイング部6の折り曲げ線66を形成する折り曲げ誘導手段として、ナプキン1Cのウイング部形成材62は、図10〜図12に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に、長手方向(X方向)に延びるエンボスライン65−2を有している。エンボスライン65−2は、図10,図11に示すように、平面視して、長手方向(X方向)に延びる矩形状であるが、特に矩形状に限定されず、長手方向(X方向)に延びていれば、平面視して、楕円状等であってもよい。
【0036】
上述のように構成されたナプキン1Cは、図13のようにショーツ等の下着に装着する際に形成されるウイング部6の折り曲げ線66が、図13に示すように、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配される。ナプキン1Cにおいては、特に、一本のエンボスライン65−2を有している為、エンボスライン65−2がウイング折り曲げ起点となり、折り曲げ線66が形成される。圧縮によりエンボスライン65−2を形成することで、エンボスライン65−2形成位置でのウイング部形成材62の厚みを薄くし、かつエンボスライン65−2が硬いことから、エンボスライン65−2を基点に両脇の柔らかいウイング部形成材62を湾曲させながら折り曲がることができる。
【0037】
これらの折り曲げ誘導手段で折り曲げることで、ウイング部形成材62は、しなやかに折り曲がり、折り曲げ線66が本体部5の括れ部7の側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に存在し、ウイング折れ曲がり端部が本体部5の裏面にうまく隠れるため、肌に直接当接することがなく、ウイング部6の折り曲げ線66の柔らかな部位のみが装着者の脚繰り肌に当接して、従来のちくちくした感触がなく、肌触りの良い装着感が得られる。
【0038】
上述したナプキン1の製造方法は、当業者が考え得る任意の方法により製造することができるが、例えば、表面シート2の帯状原反に吸収体4を乗せ、2重の防漏溝9に対応する形状の凸部を有するエンボスロール間に通して2重の防漏溝9を形成した後、その上に、裏面シート3の帯状原反を積層し、熱エンボス加工を施し周縁シール部11を形成しながらカットすることにより本体部5を形成する。これとは別に、一枚の帯状シートから左右のウイング部形成材62を切り出し、一対のウイング部形成材62を形成する。本体部5の裏面シート3の両側部上それぞれに、ホットメルト型接着剤81を塗工し、ホットメルト型接着剤81を介して一対のウイング部形成材62を固定することにより製造することができる。
【0039】
上述したナプキン1の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来用いられている各種の材料などを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したものや、各種公知のポリマーシート等を用いることができる。
【0040】
ウイング部形成材62としては、肌当接面側が不織布であるもの、例えば、単層又は多層の不織布や、該不織布を肌当接面側に配した樹脂フィルムとの積層体等を用いることができる。単層の不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布等が挙げられ、多層の不織布としては、スパンボンド−メルトブロー複合不織布(SM、SMS)や、エアスルー不織布とスパンボンド不織布の複合シート、エアスルー不織布とスパンボンド−メルトブロー複合不織布の複合シート等が挙げられる。
ウイング部形成材62の柔らかさ及び装着時のウイングの操作性の観点からは、ウイング部形成材62は、非伸縮性の不織布のみで構成されていることが好ましい。尚、非伸縮性であれば、不織布は、単層であっても多層であってもよいが、ウイング部形成材の柔らかさの観点から、単層の方が好ましい。
【0041】
帯状接合部8を形成するためのホットメルト型接着剤としては、弾性を有するポリマー成分であるスチレンーブタジエン系やスチレンーイソプレン系のもの、また常温(体温相当)で粘着性がほとんど無い低タック性のホットメルト等が挙げられるが、動きにおける追従性の点から、弾性のある樹脂組成を有することが好ましく、それらの中でも、接合の維持の点から、タック性を有する接着剤が好ましい。
【0042】
また、本発明の吸収性物品においては、本体部5における吸収体4と裏面シート3との間も接着剤によって接合することが好ましい。但し、この接着剤は、スパイラルパターン等のパターン塗工や、帯状接合部8を形成するホットメルト型接着剤81よりも低坪量に塗工することが好ましい。
【0043】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態であるナプキン1(以下、「ナプキン1」ともいう。)の装着方法は、ナプキン1のウイング部6の裏面にはショーツに固定するホットメルト接着剤(ウイング部粘着部61)が形成されており、ウイング部6を折り返してショーツの股下部にホットメルト接着剤(ウイング部粘着部61)を介してウイング部6を固定する際に、折り曲げ誘導手段を折り曲げ基点としてウイング部6を折り曲げ、ウイング部6の折り曲げ線66を、括れ部7での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配し、ショーツの股下部にナプキン1を固定して装着する。
【0044】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態であるナプキン1(以下、「ナプキン1」ともいう。)を使用した際の作用効果について説明する。
ナプキン1のウイング部6は、図2,図3に示すように、ウイング部形成材62の一側縁63側が裏面シート3の非肌対向面に固定されているので、図4に示すように、ショーツ等の下着のクロッチ部10に装着する際に、本体部5の側縁51を下方に巻き込むことがない。従って、本体部5の全面を使って体液を有効に吸収することができる。また、図5に示すように、ウイング部6の折り曲げ線66が、括れ部6での側縁512と本体部5の幅が最も広い位置での側縁511との間に配されるので、下着のクロッチ部に取り付けて使用する際に、本体部5の側縁51、特に、括れ部6での側縁512が使用者の肌に当たり難く、ウイング部6の折り曲げ線66の位置における折り曲げ部分も使用者の肌に当たり難い。従って、ナプキン1の使用感が向上する。
【0045】
また、ナプキン1は、図2に示すように、帯状接合部8が、吸収体4と重なっているため、ナプキン1の使用時に、ウイング部6を引っ張ってもウイング部6が本体部5から取れ難い。また、装着させやすく、使用時の違和感を少ない。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述のナプキン1においては、図2に示すように、ウイング部形成材62が、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLに比して短いものであるが、一側縁63側がナプキン1の全長に亘って形成されており、一側縁63側のX方向の長さL1が、ナプキン1のX方向の長さLと同じ長さであってもよい。
【0047】
また、上述のナプキン1においては、図2,図3に示すように、帯状接合部8が吸収体4と重なっているが、重なっていなくてもよい。即ち、帯状接合部8が吸収体4の側縁41と本体部5の側縁51との間に設けられていてもよい。
また、上述のナプキン1においては、図1,図2に示すように、ウイング部形成材62がスリット部分65を有しているが、有していなくてもよい。
【0048】
また、ウイング部6は、粘着部61を介してショーツのクロッチ部10に固定するものに限られず、機械的面ファスナーのオス部材からなる係合部を用いてクロッチ部10に固定するものや、粘着部や機械的面ファスナーからなる係合部を介してウイング部同士を連結して固定するもの等であっても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であっても良い。
また、表面シート2として、全域が液透過性のものに代えて、液透過性の中央シートの両側それぞれに、撥水性の不織布からなるサイドシートが連結した構成の複合シートを用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収体の側縁
5 本体部
51 本体部の側縁
511 本体部の幅が最も広い位置における側縁
512 括れ部における側縁
6 ウイング部
61 ウイング部粘着部
62 ウイング部形成材
63 一側部(内側部),64 他側部(外側部)
65 スリット部分、65−1 中間固定部 、65−2 エンボスライン
66 折り曲げ線
7 括れ部
8 帯状接合部
81 ホットメルト型接着剤
9 防漏溝
10 ショーツのクロッチ部
A 中央部(左右にウイング部を有する部分)
B 前方部
C 後方部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、
前記本体部は、前記ウイング部の位置において内方に括れる括れ部を有しており、
前記括れ部は、括れた前記表面シートの縁部及び括れた前記裏面シートの縁部が互いにシールされて形成されており、前記吸収体の側縁は、前記括れ部よりも内方に位置しており、
前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体の肌当接面側が不織布であるウイング部形成材を用い、該ウイング部形成材の前記本体部に位置する一側縁側が前記裏面シートの非肌対向面に固定され、他側縁側が前記本体部の前記括れ部より外方に延出するように配されて形成されており、
前記吸収性物品を下着に装着する際に形成される前記ウイング部の折り曲げ線が、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配される吸収性物品。
【請求項2】
前記ウイング部形成材は、該ウイング部形成材と前記裏面シートとの固定により形成される帯状接合部と前記本体部の前記括れ部との間の領域に、該ウイング部形成材と該裏面シートとが固定された中間固定部を折り曲げ誘導手段として備えている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウイング部形成材は、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に、折り曲げ誘導手段を備えた請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ウイング部形成材の前記折り曲げ誘導手段は、該ウイング部形成材に長手方向に延びるエンボスライン及び/又はスリットである請求項3記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ウイング部形成材と前記裏面シートとの固定により形成される帯状接合部は、前記吸収体と重なっている請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ウイング部形成材は、非伸縮性の不織布のみで構成されている請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか1項に記載の吸収性物品の装着方法であって、該吸収性物品の前記ウイング部の裏面にはショーツに固定するホットメルト接着剤が形成されており、該ウイング部を折り返してショーツの股下部に該ホットメルト接着剤を介して該ウイング部を固定する際に、前記折り曲げ誘導手段を折り曲げ基点として該ウイング部を折り曲げ、前記ウイング部の前記折り曲げ線を、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配し、前記ショーツの股下部に前記吸収性物品を固定して装着する吸収性物品の装着方法。
【請求項1】
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、
前記本体部は、前記ウイング部の位置において内方に括れる括れ部を有しており、
前記括れ部は、括れた前記表面シートの縁部及び括れた前記裏面シートの縁部が互いにシールされて形成されており、前記吸収体の側縁は、前記括れ部よりも内方に位置しており、
前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体の肌当接面側が不織布であるウイング部形成材を用い、該ウイング部形成材の前記本体部に位置する一側縁側が前記裏面シートの非肌対向面に固定され、他側縁側が前記本体部の前記括れ部より外方に延出するように配されて形成されており、
前記吸収性物品を下着に装着する際に形成される前記ウイング部の折り曲げ線が、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配される吸収性物品。
【請求項2】
前記ウイング部形成材は、該ウイング部形成材と前記裏面シートとの固定により形成される帯状接合部と前記本体部の前記括れ部との間の領域に、該ウイング部形成材と該裏面シートとが固定された中間固定部を折り曲げ誘導手段として備えている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウイング部形成材は、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に、折り曲げ誘導手段を備えた請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ウイング部形成材の前記折り曲げ誘導手段は、該ウイング部形成材に長手方向に延びるエンボスライン及び/又はスリットである請求項3記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ウイング部形成材と前記裏面シートとの固定により形成される帯状接合部は、前記吸収体と重なっている請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ウイング部形成材は、非伸縮性の不織布のみで構成されている請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか1項に記載の吸収性物品の装着方法であって、該吸収性物品の前記ウイング部の裏面にはショーツに固定するホットメルト接着剤が形成されており、該ウイング部を折り返してショーツの股下部に該ホットメルト接着剤を介して該ウイング部を固定する際に、前記折り曲げ誘導手段を折り曲げ基点として該ウイング部を折り曲げ、前記ウイング部の前記折り曲げ線を、前記括れ部での側縁と前記本体部の幅が最も広い位置での側縁との間に配し、前記ショーツの股下部に前記吸収性物品を固定して装着する吸収性物品の装着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−105908(P2012−105908A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258584(P2010−258584)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]