説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品の後方部からの漏れを確実に防止しつつ、着用者の装着感も向上させ得る吸収性物品を提供する。
【解決手段】生理用ナプキン1は、吸収体40とは別体であって、親水性または液吸収性を有する縦長の別体シート100を備える。別体シート100の厚さは、吸収体40の厚さよりも薄い。別体シート100の一方の面は、裏面シート30の着衣側の面に剥離可能に粘着し、別体シート100の長手方向は、吸収性本体の長手方向に沿っている。別体シート100は、吸収性本体と接合される別体シート接合部120を有し、別体シート100は、別体シート接合部120を基点として、吸収性本体よりも後方に展開可能に吸収性本体と接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に設けられる吸収体とを含む吸収性本体を備える縦長の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキンなどの吸収性物品では、その後方部に左右一対のウイング部を設ける形状が広く用いられている。特許文献1には、このようなウイング部が設けられた吸収性物品において、当該ウイング部に吸収機能を備えることによって、吸収性物品の後方部からの漏れ防止性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3548027号公報(第2頁、第1,3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された吸収性物品は、ウイング部に吸収機能を付加することによって吸収性物品の後方部からの経血などの体液の漏れ防止性を高めることができるとされているが、当該後方部にウイング部を設けると、そもそも吸収性物品と下着との接着領域も増大する。
【0005】
このため、下着の動き(下着の伸縮性)が吸収性物品に伝達してしまい、吸収性物品のヨレが生じ易い。つまり、このようなウイング部が設けられた吸収性物品は、吸収性物品と着用者の肌面との間に隙間ができ易く、当該ウイング部が吸収機能を備えていても、結果的に体液が漏れ易い問題がある。
【0006】
また、吸収性物品の後方部に吸収機能を有する幅広なウイング部を設けると、着用者にごわついた感触や暑苦しいさも与え、装着感が悪化する問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、吸収性物品の後方部からの漏れを確実に防止しつつ、着用者の装着感も向上させ得る吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、液透過性の表面シート(表面シート20)と、液不透過性の裏面シート(裏面シート30)と、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体(吸収体40)とを含み、長手方向(長手方向L)と前記長手方向に直交する交差方向(交差方向W)を有する吸収性本体(吸収体本体15)を備える縦長の吸収性物品(生理用ナプキン1)であって、
前記裏面シートの着衣側の面に、前記吸収体とは別体であって、親水性を有する縦長の別体シート(別体シート100)が、前記長手方向に沿って剥離可能に配置され、前記別体シートの長手方向における一端部は、前記吸収性本体と接合される別体シート接合部(別体シート接合部120)を有し、前記別体シートの厚さ(厚さT2)は、前記吸収体の厚さ(厚さT1)よりも薄く、前記別体シートは、前記別体シート接合部を基点として、前記吸収性本体よりも後方に展開可能であり、前記裏面シートと対向する前記別体シートの面と反対側の面は、前記別体シートが展開された状態において着用者の肌と当接するように形成されたことを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体とを含み、長手方向と前記長手方向に直交する交差方向を有する吸収性本体を備える縦長の吸収性物品であって、前記裏面シートの着衣側の面に、前記吸収体とは別体であって、親水性を有する縦長の別体シートが、前記長手方向に沿って剥離可能に配置され、前記別体シートの長手方向における一端部は、前記吸収性本体と接合される別体シート接合部を有し、前記別体シートの厚さは、前記吸収体の厚さよりも薄く、前記別体シートは、前記別体シート接合部を基点として、前記吸収性本体よりも前方に展開可能であり、前記裏面シートと対向する前記別体シートの面と反対側の面は、前記別体シートが展開された状態において着用者の肌と当接するように形成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の特徴によれば、吸収性物品の後方部からの漏れを確実に防止しつつ、着用者の装着感も向上させ得る吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る生理用ナプキン1の裏面側(着衣側)の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る生理用ナプキン1の表面側(肌当接面側)の平面図である。
【図3】図2のF3-F3線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。
【図4】図2のF4-F4線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。
【図5】図2のF5-F5線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る別体シート100を展開した場合における生理用ナプキン1の裏面側(着衣側)の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る別体シート100を展開した場合における生理用ナプキン1の表面側(肌当接面側)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る吸収性物品の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0013】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0014】
(1)吸収性物品の構成
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態において吸収性物品を構成する生理用ナプキン1の構成について説明する。
【0015】
図1は、生理用ナプキン1の裏面側(着衣側)の平面図である。図2は、生理用ナプキン1の表面側(肌当接面側)の平面図である。図3〜図5は、生理用ナプキン1の断面図である。具体的には、図3は、図2のF3-F3線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。図4は、図2のF4-F4線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。図5は、図2のF5-F5線に沿った生理用ナプキン1の断面図である。
【0016】
図1〜図5に示すように、生理用ナプキン1は、表面シート20、裏面シート30及び吸収体40を含む吸収体本体15(図3参照)を備える。吸収体本体15は、長手方向Lと、吸収体本体15の平面上において長手方向Lに直交する交差方向Wを有する。
【0017】
表面シート20は、経血などの体液を透過する液透過性のシートである。表面シート20としては、例えば、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスティックシートを用いることができる。
【0018】
裏面シート30は、体液を透過しない液不透過性のシートである。裏面シート30としては、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシートなどを用いることができる。或いは、裏面シート30として、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布を用いてもよい。
【0019】
吸収体40は、表面シート20と裏面シート30との間に設けられ、体液などを吸収する。吸収体40としては、フラッフ状パルプ若しくはエアレイド不織布と、高吸収ポリマーとからなる材料を用いることができる。フラッフ状パルプとしては、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテートなどの人工セルロース繊維が挙げられる。エアレイド不織布としては、パルプと合成繊維とを熱融着或いはバインダーで固着させた不織布が挙げられる。高吸収ポリマーとしては、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーが挙げられる。
【0020】
生理用ナプキン1は、吸収体本体15よりも交差方向W(幅方向)に延出する一対のウイング45を備える。ウイング45は、着衣(下着)側に折り返される。ウイング45の裏面側(着衣側)には、下着と粘着する一対の粘着部50が形成される。また、生理用ナプキン1には、裏面シート30を剥離可能に着衣(下着)のクロッチ部分(所定部位)に粘着させる一対の粘着部60が形成される。粘着部60は、裏面シート30の着衣側の面に形成される。
【0021】
粘着部50及び粘着部60としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−エチレン共重合体(SEBS)などのホットメルト粘着剤を用いることができる。
【0022】
また、吸収体本体15の後端部には、表面シート20の外縁部と、裏面シート30の外縁部とに沿って、表面シート20と裏面シート30とが接合されたラウンドシール部80が形成される。本実施形態において、ラウンドシール部80は、本体接合部を構成する。同様に、吸収体本体15の前端部には、表面シート20と裏面シート30とが接合されたラウンドシール部90が形成される。
【0023】
次に、生理用ナプキン1の特徴的な部分である別体シート100について説明する。別体シート100は、親水性(または液吸収性)を有する縦長のシートである。別体シート100は、吸収体40とは分離した別体として構成されている。別体シート100は、経血などの排泄物(液体)を保持及び吸収でき、嵩高でかつ化学的刺激の少ないシート材料が用いられる。例えば、別体シート100としては、表面シート20と同様の材料を用いることができる。或いは、別体シート100として吸収体40と同様の材料を用いてもよい。
【0024】
別体シート100の一方の面、具体的には、別体シート100が非展開状態において裏面シート30と対向する面は、裏面シート30の着衣側の面に剥離可能に粘着するように形成される。本実施形態では、別体シート100の当該一方の面には、粘着部60に剥離可能に粘着する離型シート部150が形成される。つまり、粘着部60と、別体シート100に形成された離型シート部150とによって、別体シート100は、裏面シート30の着衣側の面に剥離可能に粘着することが可能となる。
【0025】
離型シート部150としては、少なくとも粘着部60との接触面が剥離処理されており、厚さ5μm〜50μmのポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコールまたは不織布、或いはこれらの複合材料などを用いることが好ましい。剥離処理としては、離型シート部150全面に剥離処理剤を塗布する、または剥離テープを貼付することが挙げられる。
【0026】
剥離処理剤や剥離テープの剥離材成分としては、シリコーン樹脂系、フッソ樹脂系またはオクタデシルイソシアネート系などが好ましい。特に、剥離処理では、シリコーン樹脂系の剥離材を用いて塗布して加熱乾燥するか、スプレーで吹きつけ薄い被膜を形成させることが好ましい。なお、離型シート部150が別体シート100の防漏機能を兼ねること、及び装着感(使用感)を考慮すると、紙をベースとした材料は、離型シート部150として好ましくない。
【0027】
別体シート100の長手方向は、吸収体本体15の長手方向Lに沿っている。別体シート100の長手方向における一部は、吸収体本体15と接合される別体シート接合部120(図2及び図5参照)を有する。具体的には、別体シート100は、別体シート接合部120を基点として、吸収体本体15よりも後方に展開可能に吸収体本体15と接合される。つまり、別体シート100は、裏面シート30と対向する別体シート100の面と反対側の面は、別体シート100が展開された状態において着用者の肌と当接する。
【0028】
なお、後方とは、生理用ナプキン1が着用された際に着用者のヒップ側となる方向を意味する。一方、前方とは、生理用ナプキン1が着用された際に着用者の腹側となる方向を意味する。
【0029】
別体シート接合部120は、ラウンドシール部80よりも吸収体本体15の内側、つまり、ラウンドシール部80よりも吸収体本体15の中央寄りに形成される。より具体的には、別体シート接合部120は、吸収体40の後端部40aの内側に形成される。
【0030】
また、別体シート接合部120と基点とした別体シート100の自由端100fe側には、着衣(下着)のクロッチ部分の後部(所定部位)に係止するメカニカルファスナー110のオス部材110aが設けられる。メカニカルファスナー110としては、ポロプロピレンなどの熱可塑性合成樹脂を押出成形したテープ状部と一体に成形したリブ構造部分に切断または切除などの処理を施し、テープ状部の表面上にフック部(オス部材110a)が形成されたものを用いることができる。フック部の断面形状は特に限定されないが、着用者の肌を損傷する危険性を低減するため、頭頂部分に丸味を持たせたり、先細り形状としたりすることが好ましい。
【0031】
別体シート100の厚さT2は、吸収体40の厚さT1よりも薄い(図3参照)。つまり、別体シート100の吸収性能は、吸収体40の吸収性能よりも低い。なお、吸収体40及び別体シート100の厚さは、製品長及び製品幅に伸ばされた状態(つまり、しわの入らないように平坦な状態)で厚さ測定器に測定したい部分を挟み込んで測定する。使用可能な測定装置としては、例えば、PEACOCK製厚み計(J-B)を用いることができる。厚み測定時の荷重は2.8g/cm2(実測データ。バネなしで測定)であり、厚み計の円盤は直径20mmである。
【0032】
また、交差方向Wに沿った別体シート100の幅W2は、交差方向Wに沿った吸収体40の最狭部(図3に示す吸収体40の長手方向Lにおける中央位置)の幅W1よりも狭い。
【0033】
なお、別体シート100の長手方向Lにおける長さは、生理用ナプキン1の長手方向における長さの50%〜100%、より具体的には60%〜90%であることが好ましい。50%よりも小さいと下着のクロッチ部分への接着面積が小さくなるため、生理用ナプキン1を十分に身体側へ密着させることができず、漏れの原因となり得る。つまり、別体シート100の下着への接着面積が小さいため、装着時の動きによって別体シート100のヨレやズレが発生し易い。一方、100%を超えてしまうと生理用ナプキン1よりも長くなってしまうため、生産が非常に困難となる。
【0034】
また、別体シート100の交差方向Wにおける幅は、生理用ナプキン1の交差方向Wにおける幅の30%〜100%、より具体的には50%〜90%であることが好ましい。30%よりも小さいと下着のクロッチ部分への接着面積が小さくなるため、上述したように漏れの原因となり得る。一方、100%を超えてしまうと生理用ナプキン1よりも広くなってしまうため、生産が非常に困難となる。
【0035】
(2)別体シートを展開した場合における吸収性物品の形状
次に、図6及び図7を参照して、別体シート100を展開した場合における生理用ナプキン1(吸収性物品)の形状について説明する。図6は、別体シート100を展開した場合における生理用ナプキン1の裏面側(着衣側)の平面図である。図7は、別体シート100を展開した場合における生理用ナプキン1の表面側(肌当接面側)の平面図である。
【0036】
図6及び図7に示すように、別体シート100は、別体シート接合部120を基点として、吸収体本体15よりも後方に展開できる。具体的には、粘着部60に粘着している別体シート100の離型シート部150を粘着部60から引き剥がし、別体シート接合部120を基点として別体シート100を生理用ナプキン1の後方に展開できる。
【0037】
別体シート100の自由端100fe側には、メカニカルファスナー110のオス部材110aが設けられており、オス部材110aは、着用者の着衣(下着)に係止される。
【0038】
このように、別体シート100が生理用ナプキン1の後方に展開されると、別体シート100は親水性または液吸収性を有するため、生理用ナプキン1による経血などの体液を吸収する面積が増大する。
【0039】
なお、本実施形態に係る生理用ナプキン1は、一対のウイング45を備えているが、別体シート100が展開されていない状態では、一対のウイング45(具体的には粘着部50)と別体シート100との干渉を避けるため、一対のウイング45は、表面シート20側に折り返されて、一対のウイング45に形成された粘着部50は、別体の離型シート(不図示)によって覆われるようにすることが好ましい。
【0040】
以上説明したように、生理用ナプキン1によれば、別体シート100の厚さT2は、吸収体40の厚さT1よりも薄く、別体シート100の幅W2は、交差方向Wに沿った吸収体40の幅W1よりも狭い。また、別体シート100は、吸収体40とは別体として独立している。このため、生理用ナプキン1が体液吸収後などにヨレてしまっても別体シート100は、身体に密着し続け、生理用ナプキン1の後方からのモレを発生させない。また、別体シート100は、身体を被覆する面積が小さいため、装着感も良好であり、ムレなども発生し難い。
【0041】
さらに、別体シート100にはメカニカルファスナー110が設けられているため、着用者の多様な動きに対しても着衣(下着)から剥がれ難く、別体シート100が身体に密着し続ける。吸収体本体15を粘着部60を用いて下着に取り付けた後、別体の別体シート100を引き上げるようにしてメカニカルファスナー110をさらに下着に係止させるため、粘着部60と別体シート100とによる生理用ナプキン1の引き上げ効果によって、十分に生理用ナプキン1が身体に密着するため、経血など体液の漏れをより確実に抑制できる。また、吸収体本体15で処理できなかった体液が身体の溝部を伝達して後方(ヒップ側)に流れてきても、別体シート100が身体の溝部を保護する様に密着しているため、大腿部付近からの漏れを発生することもない。すなわち、生理用ナプキン1によれば、生理用ナプキン1の後方部からの漏れを確実に防止しつつ、着用者の装着感も向上させ得る。
【0042】
なお、排泄される体液の量が多い場合や夜間など、使用時間が長い場合に用いられる着用者の排泄部からヒップ部までに亘って当接する生理用ナプキンなどの吸収性物品では、夜間などの就寝時の使用において、着用者の排泄部から排泄された比較的粘性の高い体液が、着用者の肌を伝ってヒップ部にまで広がり、吸収性物品の後方部おいてモレが発生し易い。このモレの原因としては、着用者の身体の複雑な凹凸形状に吸収性物品が密着できず、吸収性物品と着用者の肌との隙間が形成され、体液がこの隙間を伝いながら移動するためである。本実施形態に係る生理用ナプキン1によれば、別体シート100は、吸収体40よりも薄いシートであるため身体の動きに追従し易く、上述したように、このような従来の吸収性物品が有する課題を解消し得る。
【0043】
また、生理用ナプキン1によれば、別体シート100は、裏面シート30に剥離可能に粘着するとともに、別体シート接合部120を基点として、吸収体本体15よりも後方に展開可能に吸収体本体15と接合されている。このように構成が非常にシンプルなため、生産機での量産化が非常に容易である。さらに、別体シート100を展開しない状態では、生理用ナプキン1のサイズもコンパクトであり、包装や運搬上都合がよい。
【0044】
さらに、生理用ナプキン1によれば、着用者は、別体シート100を裏面シート30から剥がして着衣に固定するだけでよいため、生理用ナプキン1の装着も容易である。また、粘着部60とメカニカルファスナー110とによって着衣に十分強固に固定されるため、生理用ナプキン1を着衣から引き離すような力が作用しても、別体シート100が着衣(下着)から引き剥がされることも抑制される。さらに、粘着剤の場合、下着が湿潤している場合、下着に別体シート100が粘着し難くなる問題があるが、メカニカルファスナー110によれば、このような場合にも別体シート100を確実に下着に固定できる。
【0045】
(3)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、別体シート接合部120は、吸収体40の後端部40aよりも吸収体本体15の内側に形成されていたが、別体シート接合部120は、必ずしも吸収体40の後端部40aよりも吸収体本体15の内側に形成されていなくてもよく、例えば、ラウンドシール部80よりも吸収体本体15の内側に形成されていてもよい。或いは、別体シート接合部120は、吸収体本体15の後端よりも内側であれば、ラウンドシール部80と重なる位置に形成されていても構わない。
【0047】
上述した実施形態では、別体シート100にはメカニカルファスナー110が設けられていたが、メカニカルファスナー110は必ずしも設けられていなくてもよい。また、上述した実施形態では、別体シート100に離型シート部150が形成されていたが、別体の離型シートを別体シート100と粘着部60との間に介在させてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、別体シート100の幅W2は、交差方向Wに沿った吸収体40の幅W1よりも狭くなっていたが、上述したように幅W2は幅W1と同一であってもよい。
【0049】
上述した実施形態では、一対のウイング45が備えられていたが、一対のウイング45は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、別体シート100は、別体シート接合部120を基点として、吸収性本体よりも後方、つまり、生理用ナプキン1が着用された際に着用者のヒップ側となる方向に展開可能となるように構成されていたが、別体シート100は、別体シート接合部120を基点として、吸収性本体よりも前方、つまり、生理用ナプキンが着用された際に着用者の腹側となる方向に展開可能となるように構成されてもよい。このような生理用ナプキン1によれば、着用者がうつ伏せ状態で就寝した場合などにおける経血など体液の漏れを抑制できる。なお、この場合でも、生理用ナプキンの形状は、図1〜図7に示した形状と同様とすることができる。つまり、図1などに示す「前方」と「後方」とを逆にしたような形状とすればよい。
【0051】
上述した実施形態では、生理用ナプキン1を例として説明したが、本発明の適用範囲は、生理用ナプキンに限定されず、例えば、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッドなどであってもよい。
【0052】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0053】
1…生理用ナプキン
15…吸収体本体
20…表面シート
30…裏面シート
40…吸収体
40a…後端部
45…ウイング
50…粘着部
60…粘着部
80, 90…ラウンドシール部
100…別体シート
100fe…自由端
110…メカニカルファスナー
110a…オス部材
120…別体シート接合部
150…離型シート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体とを含み、長手方向と前記長手方向に直交する交差方向を有する吸収性本体を備える縦長の吸収性物品であって、
前記裏面シートの着衣側の面に、前記吸収体とは別体であって、親水性を有する縦長の別体シートが、前記長手方向に沿って剥離可能に配置され、
前記別体シートの長手方向における一端部は、前記吸収性本体と接合される別体シート接合部を有し、
前記別体シートの厚さは、前記吸収体の厚さよりも薄く、
前記別体シートは、前記別体シート接合部を基点として、前記吸収性本体よりも後方に展開可能であり、前記裏面シートと対向する前記別体シートの面と反対側の面は、前記別体シートが展開された状態において着用者の肌と当接するように形成されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体とを含み、長手方向と前記長手方向に直交する交差方向を有する吸収性本体を備える縦長の吸収性物品であって、
前記裏面シートの着衣側の面に、前記吸収体とは別体であって、親水性を有する縦長の別体シートが、前記長手方向に沿って剥離可能に配置され、
前記別体シートの長手方向における一端部は、前記吸収性本体と接合される別体シート接合部を有し、
前記別体シートの厚さは、前記吸収体の厚さよりも薄く、
前記別体シートは、前記別体シート接合部を基点として、前記吸収性本体よりも前方に展開可能であり、前記裏面シートと対向する前記別体シートの面と反対側の面は、前記別体シートが展開された状態において着用者の肌と当接するように形成されたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
前記交差方向に沿った前記別体シートの幅は、前記交差方向に沿った前記吸収体の幅よりも狭い請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記裏面シートの着衣側の面には、前記裏面シートを剥離可能に着衣の所定部位に粘着させる粘着部が形成されており、
前記別体シートの一方の面には、前記粘着部に剥離可能に粘着する離型シート部が形成されている請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記別体シート接合部と基点とした前記別体シートの自由端側には、着衣の所定部位に係止するメカニカルファスナーのオス部材が設けられる請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性本体の後端部には、前記表面シートの外縁部と前記裏面シートの外縁部とに沿って、前記表面シートと前記裏面シートとが接合された本体接合部が形成され、
前記別体シート接合部は、前記本体接合部よりも前記吸収性本体の内側に形成される請求項1または2に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205708(P2012−205708A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73035(P2011−73035)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】