説明

吸収性物品

【課題】装着時の通気性が高く、ムレを生じにくい使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】表面側に配置された透液性トップシート1と裏面側に配置された不透液性バックシート2との間に、多層吸収体が介在されてなる吸収性物品であって、前記多層吸収体は、上部吸収体層3Aと下部吸収体層3Bとを含み、前記上部吸収体層3Aが最上層を構成する。前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層は、それぞれ多数の細長形状の吸収体31,32が併設されてなり、前記下部吸収体層3Bは、前記上部吸収体層の直下に配される。前記上部吸収体層3Aを構成する細長形状の吸収体31と、前記下部吸収体層3Bを構成する細長形状の吸収体32とは、互いに交差するように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経血、おりもの、尿などの排泄物を吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、尿吸収パッド等の使い捨て吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッド等の使い捨て吸収性物品は、表面側に配置された透液性トップシートと裏面側に配置されたバックシートとの間に吸収体が介在された構造が一般的である。通常、このような使い捨て吸収性物品の肌当接面側は平面上であり、肌と密着し、汗や排泄物の水分や蒸気が外界に放出されにくく、ムレやすいという問題がある。また、このムレが原因で肌トラブルなどが発生しやすい、という問題がある。
特許文献1は、長手方向に延びる直線状の溝が多数平行に形成された、吸収性物品のトップシートとして使用される波型シートを開示している。また、特許文献2には、トップシートの長手方向に延びた直線状の多数平行な溝を有する吸収性物品を開示している。トップシートをこのような形態とすることで、肌との接触面を少なくし、さらっとした感触とする、という効果があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−208919号公報
【特許文献2】特開2005−334296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、通常、トップシートの厚みは数百μm程度であり、これに溝を配することによる立体構造の効果は限定的であり、ムレ防止に対する効果は充分ではなかった。本発明の主たる課題は、装着時の通気性が高く、よりムレを生じにくい吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
次に、上記課題を解決するための手段とそれらの作用効果を示す。
〔請求項1に係る発明〕
表面側に配置された透液性トップシートと裏面側に配置された不透液性バックシートとの間に、多層吸収体が介在されてなる吸収性物品であって、
前記多層吸収体は、上部吸収体層と下部吸収体層を含み、前記上部吸収体層が最上層を構成し、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層は、それぞれ多数の細長形状の吸収体が併設されてなり、
前記下部吸収体層は、前記上部吸収体層の直下に配され、
前記上部吸収体層を構成する細長形状の吸収体と、前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体とが、互いに交差するように配された、ことを特徴とする吸収性物品。
【0006】
(作用効果)
吸収体を多層構造とし、そのうち最上層を多数の細長形状の吸収体よりなる上部吸収体層とし、細長形状の吸収体を互いに離間させて配することで、吸収体の肌当接面側に溝状の立体構造が生じ、溝方向の空気の流れにより通気性を持たせることが可能である。
さらに、上部吸収体層の直下に、やはり多数の細長形状の吸収体よりなる下部吸収体層を、上部吸収体層と一定の角度をもたせて配することで、一直線方向のみでなく、二直線方向の通気を確保でき、より高い通気性を奏することができる。
【0007】
〔請求項2に係る発明〕
裏面側に配置された不透液性バックシートに、多層吸収体が積層されてなる吸収性物品において、
前記多層吸収体は、上部吸収体層と下部吸収体層を含み、前記上部吸収体層が最上層を構成し、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層は、それぞれ多数の細長形状の吸収体が併設されてなり、
前記下部吸収体層は、前記上部吸収体層の直下に配され、
前記上部吸収体層を構成する細長形状の吸収体と、前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体とが、互いに交差するように配され、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、それぞれ透液性シートに包まれている、ことを特徴とする吸収性物品。
【0008】
(作用効果)
請求項1に係る発明と同様に、吸収体を多層構造とし、多数の細長形状の吸収体より成る下部吸収体層、上部吸収体層を一定の角度をもたせて積層させる構造である。しかし、本発明においては、各細長形状の吸収体を透液性のシートで包み、透液性トップシートを省略する構成とした。
吸収体を立体構造としても、肌当接面側にトップシートを通常の張力をかけて積層固定すると、トップシート表面は平坦となる。そのため、吸収体内の通気性は保持できても、トップシートの肌への接触面積を減じることはできず、トップシートの肌への貼り付き等を依然として生じ得る。本発明のように、トップシートを省略し、細長形状の吸収体の1本1本を透液性シート、特に通常はトップシートとして使用される素材のシートで包むことにより、トップシートの利点を有しつつ、吸収体の立体構造の効果をより顕著なものとすることができる。また、シートにより、細長形状の吸収体の細長形状が保持されやすくなる、という利点も有する。
【0009】
〔請求項3に係る発明〕
前記細長形状の吸収体の太さが2.0〜10mmであり、前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層のそれぞれにおいて、前記細長形状の吸収体間の距離が、前記太さの20〜120%である、請求項1または2に記載の吸収性物品。
【0010】
(作用効果)
吸収体の太さを2.0〜10mmとすることで、各吸収体群に生じる溝状構造の深さも同様に2.0〜10mmとすることができる。これは、トップシートのみに溝を配した場合の溝の深さ(数百μm程度)と比して顕著に深く、高い通気性を奏し得る。
また、吸収体間の離間距離を20〜120%とすることで、バックシートとトップシートの間に吸収体が配されない部分、若しくは、バックシートが剥き出しになる部分を減じることができる。
【0011】
〔請求項4に係る発明〕
前記上部吸収体層又は前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、その長手方向が吸収性物品の幅方向に垂直になるように配された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0012】
(作用効果)
上部吸収体層、下部吸収体層のいずれかを構成する細長形状の吸収体が、幅方向に延在することで、脚圧による幅方向の潰れ、ヨレが生じにくくなる。
【0013】
〔請求項5に係る発明〕
前記上部吸収体層及び下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、その長手方向の吸収性物品の長手方向に対する鋭角側の角度が20〜70度となるように配された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0014】
(作用効果)
上部吸収体層及び下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、吸収性物品の長手方向に対して斜めに配置された構成とした。細長形状を斜めに配することによって、歩行時の着用者の脚の動きに追従しやすくなり、身体への追従性を増すことができる。
【0015】
〔請求項6記載の発明〕
前記多層吸収体において、前記下部吸収体層の下部にシート状吸収体層を有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0016】
(作用効果)
細長形状の吸収体を所定の太さとし、多層吸収体内に空隙を生じさせることで、吸収性物品が高い通気性を奏することは前述の通りである。しかし、この空隙が大きくなると、排泄物の一部が吸収体群の隙間からバックシート側に漏れる恐れがある。そこで、下部吸収体層のさらに下層にシート状吸収体を配し、バックシート側に漏れ出た排泄物を吸収できる構成とした。
【発明の効果】
【0017】
以上に示したように、本発明によれば、吸収体を細長形状を積層して立体構造とすることで、吸収体層内の隙間空間を確保し、通気性を向上させた吸収性物品を提供することができる。本発明に係る吸収性物品は、その吸収体層内の通気性のよさにより、着用者にムレ、かぶれ等の不快感を生じさせにくいものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る吸収性物品の第1実施形態を示す上面図である。
【図2】図1のI−I矢視図である。
【図3】図1のII−II矢視図である。
【図4】第1実施形態のトップシートを除いた状態を示す上面図である。
【図5】第1実施形態の細長吸収体の配設状態の概略を示す上面拡大図である。
【図6】第2実施形態のトップシートを除いた状態を示す上面図である。
【図7】図6中のIII−III矢視図である。
【図8】第3実施形態を示す上面図である。
【図9】第3実施形態の細長吸収体の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本発明において「上部」「上層」「表面」とは肌当接面側を指し、「下部」「下層」「裏面」とはその反対側を指すものとする。
〔第1実施形態〕
図1は本実施形態に係る吸収性物品として、生理用ナプキンの実施形態の一例を示した展開図である。図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図である。生理用ナプキン10の基本構造は、不織布よりなる透液性のトップシート1、多層吸収体3及びポリエチレンシート等の不透液性シートからなるバックシート2がこの順に積層された構造である。
【0020】
バックシート2としては、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。バックシート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0021】
透液性トップシート3としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。透液性トップシート3に多数の透孔を形成した場合には、排泄物が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0022】
トップシート1と多層吸収体3との間に不繊布等からなるセカンドシートを積層し、体液の拡散性向上を図ることもできる。さらに、両側部上に、体液の横漏れ防止機能を有する起立ギャザーを設けてもよい。
【0023】
また、本形態の生理用ナプキン10の表面側には、排泄口に接する部分を取り囲むように、トップシート1と多層吸収体3とを一体化させるフィットエンボスE1を配することもできる。フィットエンボスE1を配することにより、特に前記フィットエンボスE1付近での吸収を促進させることでフィットエンボスE1外側へ移動する体液量を減らし、前後モレ、横モレを防止することができる。また、着用者の脚部の動きによる、長手方向中央部分の幅方向中央寄りの圧力がかかった場合に、このフィットエンボスE1部分において、折れ曲がりやすく、不測の変形を引き起こさない、という利点がある。
【0024】
トップシート1及びバックシート2は、多層吸収体3の前後方及び両側包まで延出している。この延出部分において、トップシート1及びバックシート2は、ホットメルト等の接着剤やヒートシール等によって接合される。ここで、トップシート1及びバックシート2の延出は、前後方向中央部において幅方向に長くし、この長くなった部分で、肌着の裏側(外面側)に折り返されて止着される、いわゆるウィングを構成することもできる(図示せず)。
【0025】
バックシート2の裏面側には、通常、ショーツ等の肌着に対する止着部が設けられる。この止着部は、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体やスチレン・オレフィン共重合体等からなる粘着剤を、前後方向に帯状に塗布して形成することができる。この止着部は、装着時において生理用ナプキン10を肌着に止着するためのものであるが、本生理用ナプキン10を需要者に提供する段階においては、個別包装のための剥離シートなどを止着しておくこともできる。この剥離シートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレートシート、ラミネート紙、等からなり、止着部に対して剥離可能とされる。
【0026】
多層吸収体3は、少なくとも最上層に相当する上部吸収体層3A、その直下に配される下部吸収体層3Bの2つの層よりなる。多層吸収体の3構造を明らかとするため、図4にトップシート1を除いた状態の生理用ナプキン10の上面展開図を示す。図2〜図4より明らかなように、上部吸収体層3Aは、多数の細長形状の吸収体31よりなる。また、下部吸収体層3Bも多数の細長形状の吸収体32よりなる。各層において、細長形状の吸収体は互いに交差しないように配され、好適には等間隔にほぼ平行に配される。
【0027】
上部吸収体層3Aと下部吸収体層3Bとは、上部吸収体層3Aを構成する細長吸収体31と下部吸収体層3Bを構成する細長吸収体32とが、上方からみて互いに交差するように積層される。図5は、細長吸収体の配列のパターンを拡大して概略的に示したものである。細長吸収体31と細長吸収体32とは、その長手方向のなす鋭角側の角度θ1が45〜90度、特に60〜90度、最も好適には90度となるように配されることが好ましい。図5(A)においては、細長吸収体31が、その長手方向が製品10の長手方向に平行になるように、かつ、細長吸収体32が、その長手方向が製品10の長手方向に垂直になるように配されているが、細長吸収体31の長手方向の向きと細長吸収体32の長手方向の向きを図示例と逆としてもよい(図5(B))。また、細長吸収体31及び細長吸収体32をいずれも製品10の長手方向に対して斜めになるように配してもよい(図5(C))。この場合、細長吸収体31、32のそれぞれの長手方向と製品10の長手方向がなす角θ2,θ3は、20〜70度、より好適には30〜60度であることが望ましい。
【0028】
細長吸収体31、32の形状は、細長形状であれば、円柱、角柱等をいずれも選択できるが、肌触りを良くするために、円柱とすることが好ましい。また、細長吸収体31、32の太さは、2.0〜10mm、特に2.0〜8.0mmとすることが好ましい。図示例においては、細長吸収体31と細長吸収体32は同じ太さであるが、これらを異なる太さとしてもよい。異なる太さとする場合、上層側の細長吸収体31を下層側の細長吸収体32より細くして、下層が上層の吸収体の重みで潰れにくい構成とすることが好ましい。
【0029】
併設する細長吸収体の互いの離間距離は、細長吸収体の太さの20〜120%、特に50〜100%とすることが好ましい。離間距離を細長吸収体の太さの20%未満とすると、多層吸収体3内に充分な空隙を設けることができず、本発明の目的を達成し難くなる。一方、離間距離が細長吸収体の太さの120%を超えると、多層吸収体3内の吸収体密度が粗となり、排泄物の充分な吸収ができなくなってしまう。
【0030】
多層吸収体3を構成する吸収体の素材としては、体液を吸収・保持し得るものであればいずれも使用でき、パルプ等の天然繊維の他、合成繊維を用いることもでき、または体液の吸収量を増やすために、吸水性ポリマーを用いたり、これらを適宜併用できる。合成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができ、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。吸収体中に混合される合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。なお、通常は、フラッフ状パルプ中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能および価格の点から好適に使用される。
【0031】
細長吸収体31と細長吸収体32とは、同一の素材で形成されていてもよく、また異なる素材で形成されていてもよい。異なる素材で形成する場合、上層側の細長吸収体31には吸収性ポリマーを含まない柔軟性の高い素材を使用し、下層側の細長吸収体32には吸収性ポリマーを配合することが好ましい。このような構成とすることで、肌当接面の肌あたりを柔らかくし、かつ、充分な吸収性を確保することが可能である。
【0032】
細長吸収体31及び32は、その細長形状を保持するために、1本ずつ包装シートで筒状に囲繞するのが望ましい。包装シートは、透液性を有していれば、その素材は特に限定されないが、クレープ紙等の水解性シートを好適に使用できる。なお、本実施形態に係る生理用ナプキン1においては、下部吸収体層3Bを構成する細長吸収体32はバックシート2に対して、上部吸収体層3Aを構成する細長吸収体31は下部吸収体層3Bを構成する細長吸収体32に、それぞれホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されており、細長吸収体31、32が包装シートで囲繞される場合は、バックシート2と細長吸収体32、細長吸収体32と細長吸収体31は、それぞれ包装シートを介して間接的に接合される。
なお、図示例においては細長吸収体により構成される吸収体層は2層となっているが、3層以上としてもよい。
【0033】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の吸収性物品の例として、生理用ナプキン20の構造を図6,7に示す。図6は、透液性トップシートの除いた状態の生理用ナプキン20の上面図であり、図7は図6のIII−III矢視図である。
【0034】
第2実施形態において、多層吸収体3は、下部吸収体層3Bよりも下層にシート状吸収体層3Cを有する。シート状吸収体層3Cを形成する素材は、体液を吸収できるものであれば特に限定されないが、フラッフ状パルプ中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能および価格の点から特に好ましい。シート状吸収体層3Cは、吸収性ポリマー保持のため、包装シートで囲繞されることが好ましい。シート状吸収体層3Cの厚みは、0.74〜0.82mm程度とすることが好ましい。
その他の構成については、第1実施形態と同様の構成とする。
【0035】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の吸収性物品の例として、生理用ナプキン30の構造を図8に示す。
第3実施形態において、生理用ナプキン30はトップシート1を有さず、上部吸収体層3Aが肌当接面を形成している。上部吸収体層3Aを構成する細長吸収体31及び下部吸収体層3Bを構成する細長吸収体32は、図9に示すように1本1本が透液性シート4で囲繞されている。透液性シート4の内側に不織布よりなるセカンドシートを配してもよい(図示せず)。
【0036】
透液性シート4としては、通常、吸収性物品のトップシートとして使用される有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。透液性シート4に多数の透孔を形成した場合には、排泄物が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0037】
多層吸収体3は、透液性シート4の効果を高めるため、図示例のように、肌当接面全体に配することが好ましい。また、透液シート4の内側の吸収性ポリマー等を保持するため、多層吸収体3の周縁にエンボスE2を配することが好ましい。
その他の構成については、第1実施形態または、第2実施形態と同様の構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、尿吸収パッド等の使い捨て吸収性物品として利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10,20,30…生理用ナプキン、1…透液性トップシート、2…バックシート、3…多層吸収体、3A…上部吸収体層、3B…下部吸収体層、3C…シート状吸収体層、31,32…細長吸収体、4…透液性シート、E1,E2…エンボス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に配置された透液性トップシートと裏面側に配置された不透液性バックシートとの間に、多層吸収体が介在されてなる吸収性物品であって、
前記多層吸収体は、上部吸収体層と下部吸収体層とを含み、前記上部吸収体層が最上層を構成し、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層は、それぞれ多数の細長形状の吸収体が併設されてなり、
前記下部吸収体層は、前記上部吸収体層の直下に配され、
前記上部吸収体層を構成する細長形状の吸収体と、前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体とが、互いに交差するように配された、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
裏面側に配置された不透液性バックシートに、多層吸収体が積層されてなる吸収性物品において、
前記多層吸収体は、上部吸収体層と下部吸収体層とを含み、前記上部吸収体層が最上層を構成し、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層は、それぞれ多数の細長形状の吸収体が併設されてなり、
前記下部吸収体層は、前記上部吸収体層の直下に配され、
前記上部吸収体層を構成する細長形状の吸収体と、前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体とが、互いに交差するように配され、
前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、それぞれ透液性シートに包まれている、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
前記細長形状の吸収体の太さが2.0〜10mmであり、前記上部吸収体層及び前記下部吸収体層のそれぞれにおいて、前記細長形状の吸収体間の距離が、前記太さの20〜120%である、請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記上部吸収体層又は前記下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、その長手方向が吸収性物品の幅方向に垂直になるように配された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記上部吸収体層及び下部吸収体層を構成する細長形状の吸収体が、その長手方向の吸収性物品の長手方向に対する鋭角側の角度が20〜70度となるように配された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記多層吸収体において、前記下部吸収体層の下部にシート状吸収体層を有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−50499(P2012−50499A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193682(P2010−193682)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】