説明

吸収性物品

【課題】長手方向の端部側からの体液の漏れをより低減できる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】肌当接面を有する液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3、及び表面シート2と裏面シート3との間に配置される液吸収性の吸収体4を備え、肌当接面に圧縮溝7が形成された縦長状の吸収性物品1であって、肌当接面は、吸収性物品1の長手方向の略中央部に位置し着用者の排泄部近傍に当接される排泄部当接領域Aと、排泄部当接領域Aよりも前方に位置する前方領域Bと、排泄部当接領域Aよりも後方に位置する後方領域Cと、を備え、圧縮溝7は、排泄部当接領域Aにおいて吸収性物品1の長手方向に沿って配置される一対の第1中央溝71と、前方領域B及び後方領域Cの少なくともいずれかに配置される第1環状溝72と、を備え、第1環状溝72は、吸収性物品1の長手方向に延びる縦中心線S1に重なる位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンやパンティライナ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の肌が当接する肌当接面を有する表面シート、着用者の下着側に配置される裏面シート、及びこれら表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体を備えた生理用ナプキンやパンティライナ等の縦長状の吸収性物品が提案されている。このような吸収性物品では、肌当接面に圧縮溝を形成して、経血や尿等の体液が肌当接面から漏れることを低減している。
例えば、特許文献1には、長手方向における一端側である後方部の肌当接面に、幅方向に沿って延びる略くの字状の圧縮溝を複数直列に配置することで、吸収性物品の長手方向の端部(後方部)からの漏れを低減する吸収性物品が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−7456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案された吸収性物品では、肌当接面を後方部に向かって流れる体液は、略くの字状の圧縮溝に沿って幅方向の外側に導かれ、この圧縮溝に沿って導かれた体液は、圧縮溝の両端部から吸収性物品の幅方向の外側に流れやすくなってしまう。その結果、特許文献1で提案された吸収性物品では、長手方向の端部(後方部)における幅方向からの体液の漏れを十分に低減できなかった。
【0005】
従って、本発明は、長手方向の端部側からの体液の漏れをより低減できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の肌側に配置され肌当接面を有する液透過性の表面シート、着用者の下着側に配置される液不透過性の裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される液吸収性の吸収体を備え、前記肌当接面に圧縮溝が形成された縦長状の吸収性物品であって、前記肌当接面は、前記吸収性物品の長手方向の略中央部に位置し着用者の排泄部近傍に当接される排泄部当接領域と、該排泄部当接領域よりも前方に位置する前方領域と、該排泄部当接領域よりも後方に位置する後方領域と、を備え、前記圧縮溝は、前記排泄部当接領域において前記吸収性物品の長手方向に沿って配置される一対の第1中央溝と、前記前方領域及び前記後方領域の少なくともいずれかに形成される第1環状溝と、を備え、前記第1環状溝は、前記吸収性物品の長手方向に延びる縦中心線に重なる位置に配置される吸収性物品に関する。
【0007】
また、前記第1環状溝は、一以上の屈曲点を有して構成され、前記縦中心線と重なる位置に配置される前記屈曲点は一つ以下であることが好ましい。
【0008】
また、前記第1環状溝は、前記吸収性物品の幅方向における一方側に偏って配置され、前記圧縮溝は、前記第1環状溝から、前記吸収性物品の幅方向の他方側に離間して配置される第2環状溝を更に備えることが好ましい。
【0009】
また、前記第1環状溝は、前記一対の第1中央溝から離間して配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記第1環状溝の幅は、前記一対の第1中央溝の幅よりも狭いことが好ましい。
【0011】
また、前記圧縮溝は、前記第1環状溝の外側に配置される外側溝を更に備えることが好ましい。
【0012】
また、前記外側溝は、前記一対の第1中央溝に連続して形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記圧縮溝は、前記吸収体が所定の圧力で圧縮されて形成された低圧縮領域と、該低圧縮領域よりも高い圧力で前記吸収体が圧縮されて形成された高圧縮領域と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性物品によれば、長手方向の端部側からの体液の漏れをより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】図1のY部分の拡大平面図である。
【図4】図1のZ−Z線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図6】図5のYA部分の拡大平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る吸収性物品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の吸収性物品の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品としての生理用ナプキンについて説明する。図1は、第1実施形態の生理用ナプキン1を示す平面図であり、図2は、図1のX−X線断面図である。
第1実施形態の生理用ナプキン1は、図1及び図2に示すように、縦長の形状を有しており、着用者の肌側に配置され着用時に着用者の肌に当接する肌当接面21を有する液透過性の表面シート2と、着用者の下着側に配置される液不透過性の裏面シート3と、これら表面シート2と裏面シート3との間に配置される液吸収性の吸収体4と、表面シート2の一対の側部に接合され一対の側部から外側に延出する一対のサイドシート5と、表面シート2と吸収体4との間に配置されるセカンドシート6(図2参照)と、を備える。
【0017】
生理用ナプキン1は、図1に示すように、着用時に着用者の排泄部近傍に当接される排泄部当接領域Aと、着用時に排泄部当接領域Aよりも着用者の腹側に配される前方領域Bと、着用時に排泄部当接領域Aよりも背側に配される後方領域Cとを有している。
より詳細には、排泄部当接領域Aとは、生理用ナプキン1において着用時に着用者の膣口に当接する領域であり、例えば、着用者の下着に生理用ナプキン1が着用される場合に、下着の2つの脚周り開口の間に配置される領域を示す。
【0018】
第1実施形態では、排泄部当接領域Aは、生理用ナプキン1の長手方向において後述のウイング8が配置された領域に対応する領域である。そして、この生理用ナプキン1は、排泄部当接領域Aと前方領域Bとの境界近傍、及び排泄部当接領域Aと後方領域Cとの境界近傍において幅方向に延びる折線(図示せず)により3つ折に折り畳まれて個別に包装される。つまり、排泄部当接領域Aは、2本の折線の間に位置する領域であるともいえる。
【0019】
表面シート2は、図1に示すように、長手方向の一端側及び他端側が円弧形状を有する縦長状に形成される。この表面シート2は、平面視の大きさが吸収体4よりも大きく構成され、図2に示すように、吸収体4の上面の全域を被覆している。
裏面シート3も吸収体4よりも大きく構成され、吸収体4の下面の全域を被覆している。この裏面シート3は、排泄部当接領域Aの位置において吸収体4の側縁から幅方向外方に延出して一対のウイング8の一部を形成している。
吸収体4は、表面シート2よりも一回り小さい縦長形状に構成される。この吸収体4は、液吸収性を有する吸収体本体43と、この吸収体本体43を被覆するコアラップ材44と、を備える。
セカンドシート6は、液透過性を有しており、平面視において吸収体4と略同形に構成される。
【0020】
一対のサイドシート5は、表面シート2の長手方向に沿う一対の側部に接合されている。一対のサイドシート5は、排泄部当接領域Aの位置において幅方向外方に延出して一対のウイング8の一部を構成している。即ち、一対のウイング8は、サイドシート5と裏面シート3とからなり、両者が接合されて形成されている。
表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ吸収体4の前後端から延出し、その延出部分において互いに接合されている。
【0021】
表面シート2及びセカンドシート6としては、例えば有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスティックシートを用いることができる。裏面シート3としては、例えば、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシートを用いることができる。また、裏面シート3として、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布を用いることもできる。
【0022】
吸収体4としては、例えばフラッフ状パルプやエアレイド不織布と、高吸収ポリマーとからなる吸収体本体43を、ティッシュ等のコアラップ材44により被覆したもの用いることができる。
吸収体本体43に用いられるフラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維が挙げられる。エアレイド不織布としては、パルプと合成繊維とを熱融着させ又はバインダーで固着させたものが挙げられる。高吸収ポリマーしては、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが挙げられる。
【0023】
サイドシート5としては、撥水性又は疎水性を有するものが好ましく用いられ、具体的には、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、エアースルー不織布等の各種不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0024】
以上の生理用ナプキン1の肌当接面21には、図1及び図2に示すように、表面シート2、セカンドシート6及び吸収体4が一体的に圧縮されて形成された圧縮溝7が設けられている。
圧縮溝7は、一対の第1中央溝71と、第1環状溝としての第1デザイン溝72と、外側溝73と、一対の第2中央溝74と、第2環状溝としての第2デザイン溝75と、を備える。
【0025】
一対の第1中央溝71は、排泄部当接領域Aの両側部にそれぞれ配置され生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びる。より具体的には、一対の第1中央溝71は、生理用ナプキン1の幅方向の外方に凸となるように湾曲した湾曲部が2つ長手方向に連続するように延びている。一対の第1中央溝71は、生理用ナプキン1の長手方向に延びる縦中心線S1を対称軸として線対称となるように配置される。
【0026】
第1デザイン溝72は、環状に構成された無端状の溝であり、前方領域B及び後方領域Cにそれぞれ配置される。第1実施形態では、第1デザイン溝72は、内側に凸となった屈曲点72a及び外側に凸となった屈曲点72bの2つ屈曲点を有するハート形状に形成されている。そして、第1デザイン溝72は、2つの屈曲点を除く部分では、曲線により構成されている。
【0027】
第1デザイン溝72は、外側に凸となった屈曲点72b(ハート形状の下端部)が排泄部当接領域A側を向いて配置され、この第1デザイン溝72の一部は、縦中心線S1に重なる位置に配置される。
より具体的には、前方領域Bに配置される第1デザイン溝72は、生理用ナプキン1の幅方向における一方側(図1における右側)に偏って配置される。また、後方領域Cに配置される第1デザイン溝72は、生理用ナプキン1の幅方向における他方側(図2における左側)に配置される。そして、第1デザイン溝72は、外側に凸となった屈曲点72bが縦中心線S1に重なる位置に位置しており、内側に凸となった屈曲点72aが縦中心線S1と重ならない位置に位置している。言い換えれば、第1デザイン溝72において縦中心線S1と重なる位置に配置される屈曲点は一つ以下となっている。
【0028】
外側溝73は、第1デザイン溝72の外側に配置される。第1実施形態では、外側溝73は、前方領域Bに配置される前方外側溝731と、後方領域Cに配置される後方外側溝732と、を備える。
前方外側溝731は、前方に向かって凸に湾曲した形状を有しており、一端側及び他端側がそれぞれ一対の第1中央溝71の前端側に連続している。
後方外側溝732は、後方に向かって凸に湾曲した形状を有しており、一端側及び他端側がそれぞれ一対の第1中央溝71の後端側に連続している。
【0029】
一対の第2中央溝74は、排泄部当接領域Aと前方領域Bとの境界近傍、及び排泄部当接領域Aと後方領域Cとの境界近傍に配置される。一対の第2中央溝74は、生理用ナプキン1の幅方向に延び、かつ、生理用ナプキン1の長手方向外側に向かって凸となるように湾曲している。
【0030】
第2デザイン溝75は、環状に構成された無端状の溝であり、前方領域B及び後方領域Cにそれぞれ配置される。第1実施形態では、第2デザイン溝75は、第1デザイン溝72よりも大きさの小さいハート形状に形成されている。第2デザイン溝75は、生理用ナプキン1の幅方向における第1デザイン溝72と反対側に偏って、第1デザイン溝72から離間して配置される。第2デザイン溝75は、縦中心線S1と重ならない位置に配置される。
【0031】
図3は、第1実施形態の生理用ナプキン1の部分拡大平面図であり、圧縮溝7を拡大して示した図である。図4は、図1のZ−Z線断面図である。
以上の圧縮溝7は、図3及び図4に示すように、吸収体4が所定の圧力で圧縮されて形成された低圧縮領域41と、この低圧縮領域41よりも高い圧力で吸収体4が圧縮されて形成された高圧縮領域42と、を備えて構成される。また、第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75の幅は、図1に示すように、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74の幅よりも狭く構成されている。
【0032】
第1実施形態では、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74は、図1及び図3に示すように、低圧縮領域41の中に平面視において略正方形の複数の高圧縮領域42が所定間隔をあけて設けられて形成されている。より具体的には、高圧縮領域42は、主として溝の外側を構成し溝の延びる方向に所定間隔をあけて配置される複数の外側高圧縮領域42aと、主として溝の内側を構成し溝の延びる方向に所定間隔をあけて配置される複数の内側高圧縮領域42bと、を備える。また、低圧縮領域41は、溝の延びる方向に連続して形成されている。
【0033】
第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75は、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74と同様に、低圧縮領域41の中に複数の高圧縮領域42が所定間隔をあけて設けられて形成されており、低圧縮領域41は、溝の延びる方向に連続して形成されている。これら第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75では、高圧縮領域42は、平面視において略円形であり、かつ、外側高圧縮領域42a及び内側高圧縮領域42bよりも小さな形状となっている。これにより、第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75の幅は、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74の幅よりも狭くなっている。
【0034】
以上の圧縮溝7において、第1デザイン溝72は、一対の第1中央溝71、外側溝73、一対の第2中央溝74及び第2デザイン溝75とは独立して、つまり、一対の第1中央溝71、外側溝73、一対の第2中央溝74及び第2デザイン溝75から離間して配置される。また、一対の第2中央溝74は、一対の第1中央溝71、第2デザイン溝75、外側溝73及び第2デザイン溝75とは独立して配置される。また、排泄部当接領域Aにおける一対の第1中央溝71及び一対の第2中央溝74の内側には、圧縮溝は形成されていない。
【0035】
第1実施形態において、生理用ナプキン1の長手方向の端部側からの体液の漏れを効果的に防ぐ観点から、第1デザイン溝72の幅方向の長さ(溝の外側から外側までの長さ)L1(図1参照)は、外側溝73に囲まれる領域の幅方向の長さ(溝の内側同士の間隔)L2に対して、好ましくは25〜90%、より好ましくは50〜90%である。
また、外側溝73が設けられていない場合には、吸収体4の幅方向の長さL3(図1参照)に対する第1デザイン溝72の幅方向の長さL1の占める割合は、生理用ナプキン1の長手方向の端部側からの体液の漏れを効果的に防ぐ観点から、好ましくは25〜100%、より好ましくは50〜100%である。
【0036】
第1実施形態の生理用ナプキン1は、例えば、以下のように製造される。
まず、フラッフ状パルプと高吸収ポリマーとを積層して吸収体本体43を製造し、この吸収体本体43をコアラップ材44に被覆して吸収体4を製造する。
次いで、連続搬送される表面シート2の連続体の上面にセカンドシート6の連続体を配置し、更にセカンドシート6の連続体の上面に吸収体4を配置し、ホットメルト接着剤により表面シート2の連続体、セカンドシート6の連続体、及び吸収体4を接着する。
【0037】
次いで、吸収体4が接着された表面シート2の連続体を、周面に所定の形状の突出部が形成された一対の加圧ロール(図示せず)の間を通過させることで、表面シート2の連続体側の面が凹状に窪んだ圧縮溝7を形成する。
次いで、圧縮溝7が形成された吸収体4と表面シート2の連続体との接着体の下面に裏面シート3の連続体及びサイドシート5の連続体(いずれも図示せず)を接着して生理用ナプキン1の連続体を形成する。
次いで、生理用ナプキン1の連続体を、製品カッタにより所定の寸法及び形状に切断して生理用ナプキン1を製造する。
【0038】
以上説明した第1実施形態の生理用ナプキン1によれば、以下のような効果を奏する。
【0039】
(1)肌当接面21の排泄部当接領域Aに一対の第1中央溝71を設けると共に、前方領域B及び後方領域Cに、それぞれ、環状の第1デザイン溝72を設けた。これにより、着用者の排泄部から排泄されて肌当接面21を排泄部当接領域Aから前方領域B及び後方領域Cに流れる体液は、圧縮されて高密度となった環状の第1デザイン溝72に引き込まれて素早く吸収体4に移行すると共に、第1デザイン溝72が無端状に構成されているため、引き込まれた体液が第1デザイン溝72の外側に移行しにくい。よって、長手方向の端部側からの体液の漏れをより低減できる。
また、第1デザイン溝72を縦中心線S1に重なる位置に配置したので、着用者の大腿部や臀部により生理用ナプキン1の幅方向からの圧力を受けた場合に、前方領域B及び後方領域Cにおいて、長手方向に延びる折線を折軸とした生理用ナプキン1の幅方向への過度な変形を防止できる。よって、排泄部当接領域Aにおいては着用者の身体の動きに対する柔軟な変形性を維持しつつ、前方領域B及び後方領域Cにおける生理用ナプキン1の幅方向への過度な変形を防止できるので、生理用ナプキン1のよれによる体液の吸収面積の低下を防げる。
【0040】
(2)第1デザイン溝72を、第1中央溝71、外側溝73、第2中央溝74及び第2デザイン溝75から離間させて配置した。これにより、環状の第1デザイン溝72に引き込まれた体液が他の溝に引き込まれない。よって、第1デザイン溝72による体液の漏れの防止効果を向上できる。
【0041】
(3)第1デザイン溝72の外側に配置される前方外側溝731及び後方外側溝732を設けた。よって、肌当接面21からの体液の漏れをより低減できる。
【0042】
(4)前方外側溝731及び後方外側溝732を、それぞれ、一対の第1中央溝71に連続して形成した。よって、肌当接面21からの体液の漏れをより低減できる。
【0043】
(5)排泄部当接領域Aと前方領域Bとの境界近傍、及び排泄部当接領域Aと後方領域Cとの境界近傍に配置される一対の第2中央溝74を設けた。これにより、排泄部当接領域Aから前方領域B及び後方領域Cへの体液の移動を一対の第2中央溝74により低減できるので、生理用ナプキン1の漏れ防止効果をより向上できる。
【0044】
(6)縦中心線S1と重なる位置に配置される第1デザイン溝72の屈曲点の数を一つ以下とした。これにより、縦中心線S1と重なる位置に2以上の屈曲点が存在しないので、着用者の大腿部や臀部により生理用ナプキン1の幅方向からの圧力を受けた場合に、前方領域B及び後方領域Cにおいて、屈曲点を結ぶ線を折れ軸とした生理用ナプキン1の過度な変形を防止できる。よって、生理用ナプキン1のよれをより低減できるので、生理用ナプキン1のよれによる体液の吸収面積の低下をより低減できる。
【0045】
(7)第1デザイン溝72を生理用ナプキン1の幅方向の一方側に偏らせて配置すると共に、生理用ナプキン1の幅方向の他方側に第2デザイン溝75を配置した。これにより、生理用ナプキン1の幅方向の長さに占める第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75が設けられた部分の幅方向の長さの割合を増加させられる。よって、生理用ナプキン1の長手方向の端部側からの体液の漏れの防止効果をより向上できる。
【0046】
(8)第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75における高圧縮領域42の一つの面積を、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74における高圧縮領域42の一つの面積よりも小さく構成すると共に、第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75の幅を、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74の幅よりも狭く構成した。これにより、第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75を、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74よりも柔軟に構成できるので、着用者に与える違和感を低減できる。
【0047】
(9)前方領域Bに配置される第1デザイン溝72を、生理用ナプキン1の幅方向における一方側に偏らせて配置し、後方領域Cに配置される第1デザイン溝72を、生理用ナプキン1の幅方向における他方側に偏らせて配置した。これにより、生理用ナプキン1の幅方向の長さに占める第1デザイン溝72が設けられた領域の幅方向の長さの割合を大きくできるので、幅方向から生理用ナプキン1に加えられる力に対する剛性を高くできる。よって、生理用ナプキン1の幅方向への過度な変形をより防止できる。
【0048】
(10)排泄部当接領域Aにおける一対の第1中央溝71及び一対の第2中央溝74の内側には、圧縮溝を形成することなく生理用ナプキン1を構成した。これにより、排泄部当接領域Aの一対の第1中央溝71及び一対の第2中央溝74の内側における生理用ナプキン1の着用者の身体の動きに対する追従性を低下させないので、生理用ナプキン1による体液の漏れ防止効果をより向上できる。
【0049】
(11)第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75を、ハート形状に構成した。よって、生理用ナプキン1の肌当接面21の外観を向上できると共に、生理用ナプキン1に視覚的なかわいらしさを付与できるので、使用者の生理時の憂鬱な気分を和らげられる。
【0050】
次に、本発明の生理用ナプキンの第2実施形態について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態の生理用ナプキン1Aを示す平面図であり、図6は、図5の部分拡大平面図である。尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0051】
第2実施形態の生理用ナプキン1Aは、主として、第1デザイン溝72Aの形状、第2デザイン溝75Aの形状において第1実施形態と異なる。
より具体的には、第2実施形態では、第1デザイン溝72A及び第2デザイン溝75Aは、花柄に構成されている。即ち、第1デザイン溝72A及び第2デザイン溝75Aは、円形を構成する溝の外周に複数の長円状の溝が放射状に配置されることで花びら様の模様を形成している。
【0052】
また、第2実施形態では、第1デザイン溝72A及び第2デザイン溝75Aは、図6に示すように、高圧縮領域42が溝の延びる方向に沿って一列のみ形成されている。また、高圧縮領域42は、平面視において略円形であり、かつ、外側高圧縮領域42a及び内側高圧縮領域42bよりも小さな形状となっている。これにより、第1デザイン溝72及び第2デザイン溝75Aの幅は、第1中央溝71、外側溝73及び第2中央溝74の幅よりも狭くなっている。
【0053】
第2実施形態によれば、上述の(1)〜(10)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0054】
(12)第1デザイン溝72A及び第2デザイン溝75Aを、花柄に構成した。よって、生理用ナプキン1Aの肌当接面21の外観を向上できると共に、生理用ナプキン1に視覚的なかわいらしさを付与できるので、使用者の生理時の憂鬱な気分を和らげられる。
【0055】
次に、本発明の生理用ナプキンの第3実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態の生理用ナプキン1Bを示す平面図である。
第3実施形態の生理用ナプキン1Bは、主として、第2中央溝及び第2デザイン溝を具備しない点、及び外側溝73Bの配置の点で第1実施形態と異なる。
【0056】
より具体的には、第3実施形態では、一対の第1中央溝71Bは、生理用ナプキン1の幅方向内方に凸に湾曲して延びている。
また、第2実施形態では、図7に示すように、前方外側溝731Bの一端側及び他端側は、それぞれ、一対の第1中央溝71Bの前端側と離間して配置されている。また、後方外側溝732Bの一端側及び他端側は、それぞれ、一対の第1中央溝71Bの後端側と離間して配置されている。
【0057】
第3実施形態によれば、上述の(1)〜(3)、(6)、(8)〜(11)の効果を奏する。
【0058】
以上、本発明の吸収性物品の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態〜第3実施形態では、生理用ナプキン1を、一対の第2中央溝74を含んで構成したがこれに限らない。即ち、生理用ナプキンを、一対の第2中央溝を含まず構成してもよい。
【0059】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1デザイン溝と第2デザイン溝とを同形状に構成したが、これに限らない。即ち、第1デザイン溝の形状と第2デザイン溝の形状とを異ならせて構成してもよい。
【0060】
また、第1実施形態〜第3実施形態では、本発明を生理用ナプキンに適用したが、これに限らない。即ち、本発明を、パンティライナや尿取りパッド等の吸収性物品に適用してもよい。
【0061】
また、第1実施形態〜第3実施形態では、第1デザイン溝の全体を前方領域B又は後方領域Cに位置させたが、これに限らない。即ち、第1デザイン溝の一部(例えば、第1デザイン溝の長手方向の長さの20%程度以下)が排泄部当接領域Aに位置するように第1デザイン溝を配置してもよい。
【0062】
また、例えば、第1実施形態のハート形状の第1デザイン溝72を設けた生理用ナプキン1、及び第2実施形態の花柄の第1デザイン溝72Aを設けた生理用ナプキン1Aの2種類の生理用ナプキンを一つの包装体(パッケージ)に収容してもよい。これにより、包装体に収容された生理用ナプキンの使用者に、使用しようとしている生理用ナプキンにどのような第1デザイン溝が設けられているかを予想させることで、使用者を楽しませることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
4 吸収体
5 サイドシート
6 セカンドシート
7 圧縮溝
8 ウイング
71 第1中央溝
72 第1デザイン溝(第1環状溝)
73 外側溝
74 第2中央溝
75 第2デザイン溝(第2環状溝)
A 排泄部当接領域
B 前方領域
C 後方領域
S1 縦中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌側に配置され肌当接面を有する液透過性の表面シート、着用者の下着側に配置される液不透過性の裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される液吸収性の吸収体を備え、前記肌当接面に圧縮溝が形成された縦長状の吸収性物品であって、
前記肌当接面は、前記吸収性物品の長手方向の略中央部に位置し着用者の排泄部近傍に当接される排泄部当接領域と、該排泄部当接領域よりも前方に位置する前方領域と、該排泄部当接領域よりも後方に位置する後方領域と、を備え、
前記圧縮溝は、
前記排泄部当接領域において前記吸収性物品の長手方向に沿って配置される一対の第1中央溝と、
前記前方領域及び前記後方領域の少なくともいずれかに配置される第1環状溝と、を備え、
前記第1環状溝は、前記吸収性物品の長手方向に延びる縦中心線に重なる位置に配置される吸収性物品。
【請求項2】
前記第1環状溝は、一以上の屈曲点を有して構成され、
前記縦中心線と重なる位置に配置される前記屈曲点は一つ以下である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1環状溝は、前記吸収性物品の幅方向における一方側に偏って配置され、
前記圧縮溝は、前記第1環状溝から、前記吸収性物品の幅方向の他方側に離間して配置される第2環状溝を更に備える請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1環状溝は、前記一対の第1中央溝から離間して配置される請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1環状溝の幅は、前記一対の第1中央溝の幅よりも狭い請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記圧縮溝は、前記第1環状溝の外側に配置される外側溝を更に備える請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記外側溝は、前記一対の第1中央溝に連続して形成される請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記圧縮溝は、前記吸収体が所定の圧力で圧縮されて形成された低圧縮領域と、該低圧縮領域よりも高い圧力で前記吸収体が圧縮されて形成された高圧縮領域と、を備える請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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