吸収性物品
【課題】吸収性能の低下を抑制しつつ、装飾性を高めることができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】 吸収性物品1は、表面シート10、裏面シート20、及び表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体30を有する。吸収体は、着色剤を含む着色層31と、着色層よりも表面シート側に配置された吸収層32と、を備える。吸収体には、表面シート、吸収層及び着色層を、表面シート側から裏面シート側に圧縮した圧搾部80が形成されている。着色層は、着色された繊維が積層されている。吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していない。
【解決手段】 吸収性物品1は、表面シート10、裏面シート20、及び表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体30を有する。吸収体は、着色剤を含む着色層31と、着色層よりも表面シート側に配置された吸収層32と、を備える。吸収体には、表面シート、吸収層及び着色層を、表面シート側から裏面シート側に圧縮した圧搾部80が形成されている。着色層は、着色された繊維が積層されている。吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品では、装飾性を向上させるために、表面シート側から着用者が視認可能な着色を施すことが行われている。例えば、特許文献1には、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品としての生理用ナプキンにおいて、表面シートと吸収体との間に着色層を設けることが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の生理用ナプキンにおける表面シート、着色層及び吸収体は、エンボス加工によって圧搾部が形成され、この圧搾部を介して着色層が視認できるように構成されている。また、着色層は、着色剤を有するホットメルト樹脂によって構成されている。圧搾部が形成された部分は、圧着されており、着色層を介して表面シートと吸収体とを接着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−207684号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の生理用ナプキンは、以下の問題があった。
上述の生理用ナプキンの着色層は、着色剤を有するホットメルト樹脂によって構成されている。例えば、着色層の色を濃くするためには、着色剤を有するホットメルト樹脂の量を多くすることが考えられる。しかし、ホットメルト樹脂の量が多くなり過ぎると、体液の透過性が低下するおそれがある。
一方、ホットメルト樹脂の量を少なくすると、表面シートと吸収体との間の接着性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、吸収性能の低下を抑制しつつ、装飾性を高めることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本開示に係る吸収性物品(吸収性物品1)は、液透過性の表面シート(表面シート10)、液不透過性の裏面シート(裏面シート20)、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体(吸収体30)を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、着色剤を含む着色層(着色層31)と、前記着色層よりも前記表面シート側に配置された吸収層(吸収層32)と、を備えており、前記吸収体には、前記表面シート、前記吸収層及び前記着色層を、前記表面シート側から前記裏面シート側に圧縮した圧搾部(圧搾部80)が形成されており、前記着色層は、着色された繊維が積層されており、前記吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していないことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る吸収性物品は、表面シート、吸収層及び着色層に圧搾部が形成されており、圧搾部が形成された部分は、表面シート側から裏面シート側に向かって凹んだ状態となる。圧搾部が形成された部分における表面シート及び吸収層の厚みが薄くなるため、着用者は、表面シート側から圧搾部を介して着色層を視認できる。
【0009】
吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、かつその繊維が接着されていない。よって、吸収層を構成する繊維は、圧搾部が形成される際に圧搾部の周囲に移動可能である。圧搾部が形成された部分の吸収層の繊維が薄くなり、着用者は、表面シート側から着色層を視認し易くなる。
【0010】
また、着色層は、着色された繊維が積層されており、繊維間には空隙が形成される。繊維間に空隙が形成されているため、空隙を介して体液を通過させることができる。例えば、疎水性の顔料による印刷によって着色層を着色すると、体液の吸収性能が低下するおそれがある。しかし、繊維自体が着色されているため、印刷等の着色加工を別途施す必要がなく、体液の吸収性能を維持することができる。したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品の背面図である。
【図3】図1に示すA−A断面の模式断面図である。
【図4】図3に示すB部分の拡大断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図6】図5に示すC−C断面の模式断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図8】第4の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図9】図8に示すD−D断面の模式断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図11】図10に示す圧搾部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。図1は、吸収性物品の平面図である。図2は、図1に示す吸収性物品の背面図である。図3は、図1に示すA−A断面図である。図4は、図3に示すB部分を模式的に示す拡大断面図である。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0013】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0014】
なお、以下の模式断面図においては、説明の便宜上、吸収性物品の厚み寸法を、長手方向及び幅方向の長さ寸法に比べて拡大して示しているが、実際の吸収性物品においては、厚み方向の寸法は、長手方向及び幅方向の長さ寸法に比べて小さい。
【0015】
実施の形態に係る吸収性物品1は、昼用の生理用ナプキンである。吸収性物品1は、長手方向において着用者の前側に位置する前側領域と、着用者の後側に位置する後側領域と、を有しており、前側領域の長手方向における長さは、後側領域の長手方向における長さと同じである。
【0016】
なお、本実施の形態では、昼用の生理用ナプキンを例に挙げて説明しているが、夜用の生理用ナプキンにおいても適用することができる。夜用の生理用ナプキンは、前側領域よりも後側領域の長さが長く構成されている。
【0017】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収体30は、表面シート10と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1及び図2において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向L及び長手方向Lに直交する幅方向Wにおける中央部分に配設される。
【0018】
吸収性物品1は、図1に示す平面視にて、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるウイング部43,44を備える。更に、吸収性物品1は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるサイドシート41,42を備える。
【0019】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0020】
裏面シート20は、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。裏面シート20は、不透液性且つ透湿性であることが望ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練したものを延伸処理した微多孔性シートによって構成することができる。
【0021】
吸収体30は、着色層31と、着色層31よりも表面シート10側に配置された吸収層32と、を有し、着用者から排出された体液を吸収する。吸収体30の構成については、後述にて詳細に説明する。吸収体30は、前後方向に延びる形状であり、裏面シート20よりも略一回り程度小さい。吸収体30の幅方向Wの長さは、成人女性の股間隔に対応している。
【0022】
サイドシート41,42は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41,42は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41,42を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート41,42は、吸収体30の側縁の一部及びウイング部43,44を覆う。
【0023】
また、表面シート10と吸収層32との間には、中間シート35が設けられている。中間シート35を設けることにより、体液の吸収性能を高めることができる。なお、吸収性物品は、中間シート35を有していなくてもよい。なお、裏面シートの非肌当接面には、図示しない粘着剤が付されている。粘着剤を介して吸収性物品を下着に接着することができる。
【0024】
中間シートは、液透過性を有するシートによって構成されていればよく、吸収性を有していてもよいし、吸収性を有していなくてもよい。中間シートの製法は、スルーエアー、スパンレース、スパンボンド、SMS、ティッシュ、エアレイドを例示できる。中間シートの素材としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートの単繊維または複合繊維)、吸収性繊維(綿、レーヨン、パルプ等)を例示できる。
【0025】
吸収性物品1では、表面シート10、中間シート35、サイドシート41,42、及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。
【0026】
吸収性物品1には、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向に圧搾加工(エンボス加工)して形成された圧搾部80が形成されている。圧搾部80は、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口当接領域の中心を含む中央領域CAを囲む第1圧搾溝81と、第1圧搾溝81を囲む第2圧搾溝82と、を有する。
【0027】
圧搾部80は、複数間欠的に形成された点状圧搾部を更に有しており、第1圧搾溝81よりも内側の中央領域CAに形成された第1点状圧搾部83と、第1圧搾溝81よりも外側であって、かつ第2圧搾溝82よりも内側に形成された第2点状圧搾部84と、第2圧搾溝82よりも外側に配置された第3点状圧搾部85と、を有する。
【0028】
点状圧搾部は、所定の間隔を空けて配置されている。なお、点状圧搾部は、間欠的に複数設けられていればよく、その形状は、円形に限られず、楕円形、星形、ハード形、菱形等であってもよく、限定されない。
【0029】
圧搾部80は、表面シート10、中間シート35及び吸収体30が圧搾加工されて形成されている。圧搾部80は、表面シート10側から裏面シート20側に向かって圧縮されて形成されており、表面シート10側から裏面シート20側に向かって凹んでいる。
【0030】
なお、排泄口当接領域の中心とは、着用者の排泄口が当接する領域の長手方向及び幅方向の中心であり、中央領域の中心と一致する。例えば、ウイング部を有する吸収性物品においては、ウイング部の長手方向の中心が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。また、ウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収体の幅方向の長さ寸法が最も短い位置が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。排泄口当接領域は、着用者の股間部と当接する領域に含まれており、着用者の両脚の間に位置する。本実施の形態では、吸収体30の長手方向における中心及び幅方向における中心は、排泄口当接領域の中心及び中央領域の中心と一致する。
【0031】
次いで、吸収体30の構成について詳細に説明する。吸収体30は、着色層31と、着色層31に積層された吸収層32とを有して構成されている。吸収層32は、吸収繊維を含む短繊維をエアレイド法によって積層して形成されている。吸収層32は、短繊維を互いに接合するバインダーを有してなく、吸収層32内の繊維同士は、相対的に移動可能に構成されている。なお、吸収層32は、バインダーによって繊維同士が接着されていないように構成されていればよく、圧搾部80によって繊維同士が接着されていてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態における短繊維とは、切断加工が施された繊維である。短繊維の長さは、例えば、15mm〜100mmであり、35mm〜60mm程度の短繊維を好適に用いることができる。
【0033】
吸収層32は、例えば、レーヨンやエアースルー不織布を含むシートによって構成されていてもよいし、粉砕パルプを含み、体液の吸収性が比較的高いシートによって構成されていてもよい。また、吸収層32は、例えば、合成繊維を含むエアレイドシート、合成繊維を含まないエアレイドシート、粉砕パルプを含むエアレイドシートによって構成することができる。
【0034】
着色層31は、着色された繊維が積層されている。着色層31の繊維は、吸収層32と異なる色で着色されている。着色層31は、繊維をエアレイド法によって積層して形成されている。着色層31は、繊維を互いに接合するバインダーを有しており、着色層31内の繊維は、互いに接合されている。
【0035】
バインダーは、繊維同士を接着できる構成であればよく、種々の構成を採用できる。例えば、バインダーは、加熱して繊維間を接着できる熱可塑性繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン)によって構成されていてもよいし、水に分散させたエマルジョンをスプレー塗工して繊維間を接合できる親水性の樹脂(酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−ブタジエン共重合体等)によって構成されていてもよい。なお、バインダーに着色剤を配する場合は、上述の熱可塑性繊維に顔料を練りこむか、上述の親水性の樹脂と顔料を水に分散または溶かして使用することができる。例えば、親水性の樹脂を分散する水に顔料を溶かして使用する場合は、全体を万遍なく着色できることができる。
【0036】
着色層31は、吸収繊維を含む不織布によって構成されていてもよいし、吸収繊維を含まない不織布によって構成されていてもよい。不織布は、例えば、SMS不織布やスパンボンド不織布を含む。例えば、吸収繊維を含まないSMS不織布によって着色層31を構成することにより、圧搾部80による接着性を高めることができ、粉砕パルプ等の吸収繊維を含む不織布によって着色層31を構成することにより、体液の吸収性能を高めることができる。
【0037】
着色剤は、親水性の染料であって繊維同士を接合するバインダーに含まれていてもよいし、繊維に含まれていてもよい。このように、バインダーや繊維に着色剤を設けることにより、着色層全体を均等に着色することができる。
【0038】
なお、着色層31は、着色層31の吸収体側の面に印刷層を設けることによって着色効果を発揮するように構成されていてもよい。しかし、印刷層を設けた場合、顔料等が疎水性であるため、体液の吸収性能が低下するおそれがある。また、印刷層のバラツキによって着色層31の全体に着色が施されず、圧搾部80が形成された箇所が着色されないおそれがある。
【0039】
一方、着色層31を構成する繊維やバインダーによって着色効果を発揮することにより、容易に着色層31全体を着色することができる。更に、着色剤を印刷でなく繊維やバインダー等の練りこみによって形成する際に、着色剤に加えて、香り・消臭・抗菌等の機能を発揮する材料を容易に混入することができる。
【0040】
更に、親水性の染料を有するバインダーを用いることにより、吸収性能を阻害することがなく着色効果を発揮できる。また、体液によって染料が溶けた場合であっても、着色層31と着用者の肌との間には、表面シート10や吸収層32が配置されているため、染料が肌に付着することを抑制できる。
【0041】
前述のように、圧搾部80は、表面シート10側から裏面シート20側に圧縮されて形成されている。圧搾部80が形成された部分は、表面シート側から凹み、圧搾部を介して着色層を視認できる。圧搾部が形成された部分と、圧搾部80が形成されていない部分とは、異なる色に見えるため、圧搾部の形状によって絵柄や文字等を表示でき、装飾性を向上できる。例えば、吸収性物品1に文字や絵柄を表示することにより、かわいらしい、お洒落等のデザイン的な付加価値や通気性を感じるや吸収性能が高い等の情緒的価値を付加することができる。
【0042】
また、吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、かつその繊維が接着されていないため、吸収層を構成する繊維は、圧縮された際に圧搾部の周囲に移動可能となる。よって、圧搾部が形成された部分の吸収層の繊維が薄くなり、着用者は、表面シート側から着色層を視認し易くなる。
【0043】
また、圧搾部が形成された部分の繊維が薄くなった場合であっても、着色層を構成する繊維はバインダーによって接着されており、圧搾部が形成される際に周囲に移動しないため、体液の吸収性能を維持することができる。
したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【0044】
着色層31は、着色された繊維が積層されており、繊維間には空隙が形成される。繊維間に空隙が形成されているため、空隙を介して体液を通過させることができる。例えば、疎水性の顔料による印刷によって着色層を着色すると、体液の吸収性能が低下するおそれがある。しかし、繊維自体が着色されているため、印刷等の着色加工を別途施す必要がなく、体液の吸収性能を維持することができる。したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【0045】
また、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、肌に着色剤が付くことを防止できる。よって、着色層31の着色剤が肌に触れることによる肌トラブルを抑制できる。また、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、圧搾部を介して視認される表示部分と、圧搾部が形成されてなく着色されていない部分との明暗を強調でき、圧搾部を目立たせることができる。
【0046】
更に、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、着色層31によって裏面シート20のコシを高めることができ、裏面シートを下着に装着し易くなったり、裏面シート20の破れを防止できたりする。また、例えば、着色層31は、エアレイド法によって繊維が積層されており、パルプ層に比べて経血が拡散しにくい。着用者は、裏面シート側から視認した際に、経血が拡散していない状態を視認でき、漏れの不安を払拭して安心感を得ることができる。
【0047】
更に、圧搾部80が形成された部分は、吸収層や着色層を構成する繊維が圧縮されており、比較的繊維の密度が高い部分である。繊維の密度が高い部分は、体液の引き込み性が高くなる。例えば、複数間欠的に配置された第1点状圧搾部83によって中央領域全体の領域の体液を吸収層32に引き込み、かつ中央領域CAを囲む第1圧搾溝81によって中央領域CAに引き込まれた体液を吸収保持することができ、中央領域から周囲領域への体液の広がりを抑制できる。このように、比較的吸収性能が高い圧搾部を着色によって目立たせることにより、着用者は、吸収性能が高い部分を把握して、安心感を得ることができる。
【0048】
圧搾部80によって体液を引き込むため、圧搾部の吸収状態によって交換時期を把握することができる。また、圧搾部80が形成された部分は、繊維同士が融着しているため、体液を吸収した場合であっても膨らみにくい。よって、体液を吸収した湿潤状態であっても、継続して着色層31の色を認識することができる。
【0049】
着色層31は、吸収層32よりも長手方向及び幅方向において長く形成されている。吸収層よりも着色層を大きく設けることで、吸収層32の縁を際立たせることができる。着用者は、吸収層32の大きさが認識し易く、視覚的に防漏効果を把握できる。更に、着用者は、吸収層32の大きさが認識し易いため、装着位置の目安となり、装着位置のずれを抑制できる。更に、着色層31の方が吸収層32よりも拡散性が低いため、吸収層32の縁で経血が止まり、機能的に横漏れ及び縦漏れが発生し難くなる。
【0050】
なお、本実施の形態では、長手方向L及び幅方向Wにおいて、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも長く構成されているが、長手方向Lと幅方向Wとのうち少なくとも一方において、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも長く構成されていればよい。
【0051】
次に、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法の一部について説明する。なお、以下に説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。吸収性物品の製造方法は、吸収体形成工程と、吸収体接合工程と、圧搾加工工程と、を少なくとも備える。
【0052】
吸収体形成工程は、例えば、エアレイド法によって吸収繊維を積層して吸収層32を成型し、かつエアレイド法によって吸収繊維を積層し、着色剤、バインダー樹脂を水に分散させてスプレー噴射することによって、繊維間を接合してシート状の着色層31を成型する。なお、各層の成型は、製品を製造する工程で吸水繊維を積層等して成型してもよいし、あらかじめ吸収繊維を積層等して成型した層を別の製造工程で製造した後、合流させてもよい。なお、エアレイド法は、繊維を空中に分散させて繊維を積層させる方法である。
【0053】
吸収体接合工程は、吸収層32と着色層31とを接合して吸収体30を形成し、吸収体39に対して、表面シート10、中間シート35及び裏面シート20を接合する。
【0054】
圧搾加工工程は、表面シート10、中間シート35及び吸収体30を圧搾加工して圧搾部80を形成する。このとき、表面シート側から裏面シート側に向かって圧搾加工を施して圧搾部80を形成する。具体的には、圧搾溝を形成する凸部と点状圧搾部を形成するピンとが突設された上段ローラと、上段ローラに対向配置された下段ローラとの間に、表面シート10等を被覆した吸収体30を通過させることによって、表面シート10、中間シート35及び吸収体30を厚み方向に圧縮して形成された圧搾部を形成する。
【0055】
このように構成された吸収体等に裏面シートを接合して切断することにより、吸収性物品1を得ることができる。また、表面シート10、吸収層32、及び着色層31を同時にエンボス加工することにより、吸収層32及び表面シート10がフィルム化し、着色層31の色を表面シート側からより明確に認識できるようになる。更に、同時にエンボス加工することにより、着色層31が表面シート10等と一体化しており、部分的に色が薄くなったり濃くなったりする等のバラツキを抑制できる。
【0056】
(第2の実施形態)
次いで、図5及び図6に基づいて第2の実施形態に係る吸収性物品1Aについて説明する。なお、以下の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0057】
第2の実施形態に係る着色層31の平面視における形状は、吸収層32の形状と略同じである。よって、着色層31は、平面視において、吸収層32の周囲に設けられてない。吸収層32の非肌当接面側に配置され着色層31は、圧搾部80を介してのみ視認可能に構成されている。
【0058】
また、第2の実施形態に係る吸収性物品1Aは、表面シート10と吸収体30との間に中間シート35が配置されてなく、吸収層32の肌当接面側の面に表面シート10が接合されている。
【0059】
なお、第2の実施形態における着色層31の平面視における形状は、吸収層32と略同じであるが、着色層31が吸収層よりも小さく構成されていてもよい。
【0060】
吸収層32の平面視における形状が、着色層31の平面視における形状と同じ、又は着色層31の平面視における形状よりも小さくなるように構成することにより、着色層31が配置された部分のみを目立たせることができる。例えば、着色層31を中心に配置することにより、着用者は、着色層31を視認して中心部分を把握することができ、装着時の位置決めの目安になる。また、例えば、排泄口当接領域のみに圧搾部80を設けることにより、排泄口当接領域を強調することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、長手方向L及び幅方向Wにおいて、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも短く構成されているが、長手方向Lと幅方向Wとのうち少なくとも一方において、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも短く構成されていればよい。
【0062】
(第3の実施形態)
次いで、図7に基づいて第3の実施形態に係る吸収性物品1Bについて説明する。第3の実施形態に係る吸収性物品1Bの吸収層32は、着色層31と異なる色の着色剤を有している。よって、着色層31と吸収層32とが異なる色で着色されている。なお、第3の実施形態の着色層31及び吸収層32の形状は、第1の実施形態の着色層31及び吸収層32の形状と同様である。
【0063】
圧搾部80が形成された部分は、着色層31を視認可能に構成されており、圧搾部が形成されていない部分は、吸収層32を視認可能に構成されている。異なる色である着色層31の色と吸収層32の色とによって装飾を施すことができ、装飾効果を更に高めることができる。
【0064】
また、着色層31の色を、吸収層32よりも濃くすることにより、圧搾部80が形成された部分をより目立たせることができる。吸収性能を発揮する圧搾部80を目立たせることにより、着用者に安心感を付与できる。
【0065】
なお、着色層31の色と吸収層32の色との色差を設けることにより、圧搾部を目立たせたり、装飾効果を高めたりできる。例えば、2色の色を補色の関係にすることにより、より圧搾部を目立たせることができる。また、吸収層32は、着色剤によって着色せず、漂白していないケナフ等色つきの吸収層を用いてもよい。
【0066】
(第4の実施形態)
次いで、図8及び図9に基づいて第4の実施形態に係る吸収性物品1Cについて説明する。第4の実施形態に係る吸収性物品1Cは、吸収体30と表面シート10との間に中間シート35が配置され、中間シート35には、着色層31と異なる色で着色された表示部35aが設けられている。表示部35aは、平面視にてハート型の絵柄を示すように構成されている。着用者は、表面シート10を介して表示部35aを視認できるように構成されている。
【0067】
なお、本実施の形態では、表示部35aは、ハートの絵柄を表示するように構成されているが、文字を表示するように構成されていてもよいし、文字や絵柄を示さずに着色された色を表示するように構成されていてもよい。
【0068】
平面視において、中間シート35の表示部の内側には、圧搾部80が形成されている。圧搾部80は、着色層31、吸収層32、表面シート10及び中間シート35が圧縮されている。圧搾部80が形成された部分は、着色層80を視認できるように構成されている。中間シート35による絵柄と圧搾部80の形状とによって、デザイン性を高めることができる。例えば、吸収層32の絵柄を圧搾部80の絵柄とは、厚み方向において異なる位置に配置されているため、奥行きが付与される。更に、吸収層の絵柄と圧搾部の絵柄とを連動させることにより、立体的なデザインにすることができる。
【0069】
更に、中間シート35は、吸収体30よりも表面シート10側に配置されているため、吸収体30に経血等の体液が吸収された場合であっても、中間シート35の印刷部分の視認性が低下せず、継続的に装飾効果を発揮できる。
【0070】
なお、本実施の形態では、中間シート35に印刷を施すことにより、表示部35aを形成しているが、表示部35aの構成は、これに限定されない。例えば、着色剤を含むホットメルト樹脂によって表示部を構成してもよい。
【0071】
(第5の実施形態)
次いで、図10に基づいて第5の実施形態に係る吸収性物品1Dについて説明する。第5の実施形態に係る吸収性物品1Dは、着色層31が吸収層32よりも長手方向及び幅方向において長く構成されている。このように構成された吸収性物品によれば、中間シート35に形成された絵柄と圧搾部80とによる装飾を施すことができ、かつ吸収層32の輪郭を目立たせることができる。
【0072】
また、圧搾部80は、高い圧縮力でエンボス加工を施した高圧搾部と、低い圧縮力でエンボス加工を施した低圧縮部と、によって構成されている。図11は、圧搾部80を拡大した図であり、高圧搾部80Aと低圧搾部80Bとを模式的に示した図である。高圧搾部80Aと低圧搾部70Bとを比較すると、高圧搾部80Aは、低圧搾部80Bよりも密度が高いため、体液の引き込み性が高くなる。しかし、圧搾部全体を高圧搾部80Aによって構成すると、圧搾時に破れが生じたり、硬くなり過ぎたりする等の不具合が発生するおそれがある。一方、低圧搾部80Bは、高圧搾部80Aに比べて、破れが生じ難く、かつ硬くなり過ぎない。よって、高圧搾部80Aと低圧搾部80Bとの2段階の圧搾加工を施すことにより、体液の引き込み性を保持しつつ、耐久性のある圧搾部を形成することができる。
【0073】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0074】
本実施の形態の表示部35aは、中間シート35に設けられているが、表面シート10に設けられていてもよいし、吸収層32に設けられていてもよいし、着色層31よりも肌当接面側に設けられていればよい。
【0075】
圧搾部80は、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧搾されて形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、プレス加工やエンボス加工によって形成することができ、その形状は、格子網やハニカム形状であってもよい。
【0076】
また、圧搾部80が形成されていない部分の表面シートや吸収層32や中間シート35に、印刷や着色剤を有するホットメルト樹脂によって着色を施して、圧搾部80をより際立たせるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B,1C,1D…吸収性物品、 10…表面シート、 20…裏面シート、 30…吸収体、 31…着色層、 32…吸収層、 35…中間シート、 35a…表示部、 41,42…サイドシート、 43,44…ウイング部、 80…圧搾部、81…第1圧搾溝、 82…第2圧搾溝、 83…第1点状圧搾部、 84…第2点状圧搾部、 85…第3点状圧搾部、 CA…中央領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品では、装飾性を向上させるために、表面シート側から着用者が視認可能な着色を施すことが行われている。例えば、特許文献1には、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品としての生理用ナプキンにおいて、表面シートと吸収体との間に着色層を設けることが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の生理用ナプキンにおける表面シート、着色層及び吸収体は、エンボス加工によって圧搾部が形成され、この圧搾部を介して着色層が視認できるように構成されている。また、着色層は、着色剤を有するホットメルト樹脂によって構成されている。圧搾部が形成された部分は、圧着されており、着色層を介して表面シートと吸収体とを接着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−207684号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の生理用ナプキンは、以下の問題があった。
上述の生理用ナプキンの着色層は、着色剤を有するホットメルト樹脂によって構成されている。例えば、着色層の色を濃くするためには、着色剤を有するホットメルト樹脂の量を多くすることが考えられる。しかし、ホットメルト樹脂の量が多くなり過ぎると、体液の透過性が低下するおそれがある。
一方、ホットメルト樹脂の量を少なくすると、表面シートと吸収体との間の接着性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、吸収性能の低下を抑制しつつ、装飾性を高めることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本開示に係る吸収性物品(吸収性物品1)は、液透過性の表面シート(表面シート10)、液不透過性の裏面シート(裏面シート20)、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体(吸収体30)を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、着色剤を含む着色層(着色層31)と、前記着色層よりも前記表面シート側に配置された吸収層(吸収層32)と、を備えており、前記吸収体には、前記表面シート、前記吸収層及び前記着色層を、前記表面シート側から前記裏面シート側に圧縮した圧搾部(圧搾部80)が形成されており、前記着色層は、着色された繊維が積層されており、前記吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していないことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る吸収性物品は、表面シート、吸収層及び着色層に圧搾部が形成されており、圧搾部が形成された部分は、表面シート側から裏面シート側に向かって凹んだ状態となる。圧搾部が形成された部分における表面シート及び吸収層の厚みが薄くなるため、着用者は、表面シート側から圧搾部を介して着色層を視認できる。
【0009】
吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、かつその繊維が接着されていない。よって、吸収層を構成する繊維は、圧搾部が形成される際に圧搾部の周囲に移動可能である。圧搾部が形成された部分の吸収層の繊維が薄くなり、着用者は、表面シート側から着色層を視認し易くなる。
【0010】
また、着色層は、着色された繊維が積層されており、繊維間には空隙が形成される。繊維間に空隙が形成されているため、空隙を介して体液を通過させることができる。例えば、疎水性の顔料による印刷によって着色層を着色すると、体液の吸収性能が低下するおそれがある。しかし、繊維自体が着色されているため、印刷等の着色加工を別途施す必要がなく、体液の吸収性能を維持することができる。したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品の背面図である。
【図3】図1に示すA−A断面の模式断面図である。
【図4】図3に示すB部分の拡大断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図6】図5に示すC−C断面の模式断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図8】第4の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図9】図8に示すD−D断面の模式断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図11】図10に示す圧搾部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。図1は、吸収性物品の平面図である。図2は、図1に示す吸収性物品の背面図である。図3は、図1に示すA−A断面図である。図4は、図3に示すB部分を模式的に示す拡大断面図である。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0013】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0014】
なお、以下の模式断面図においては、説明の便宜上、吸収性物品の厚み寸法を、長手方向及び幅方向の長さ寸法に比べて拡大して示しているが、実際の吸収性物品においては、厚み方向の寸法は、長手方向及び幅方向の長さ寸法に比べて小さい。
【0015】
実施の形態に係る吸収性物品1は、昼用の生理用ナプキンである。吸収性物品1は、長手方向において着用者の前側に位置する前側領域と、着用者の後側に位置する後側領域と、を有しており、前側領域の長手方向における長さは、後側領域の長手方向における長さと同じである。
【0016】
なお、本実施の形態では、昼用の生理用ナプキンを例に挙げて説明しているが、夜用の生理用ナプキンにおいても適用することができる。夜用の生理用ナプキンは、前側領域よりも後側領域の長さが長く構成されている。
【0017】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収体30は、表面シート10と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1及び図2において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向L及び長手方向Lに直交する幅方向Wにおける中央部分に配設される。
【0018】
吸収性物品1は、図1に示す平面視にて、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるウイング部43,44を備える。更に、吸収性物品1は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるサイドシート41,42を備える。
【0019】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0020】
裏面シート20は、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。裏面シート20は、不透液性且つ透湿性であることが望ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練したものを延伸処理した微多孔性シートによって構成することができる。
【0021】
吸収体30は、着色層31と、着色層31よりも表面シート10側に配置された吸収層32と、を有し、着用者から排出された体液を吸収する。吸収体30の構成については、後述にて詳細に説明する。吸収体30は、前後方向に延びる形状であり、裏面シート20よりも略一回り程度小さい。吸収体30の幅方向Wの長さは、成人女性の股間隔に対応している。
【0022】
サイドシート41,42は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41,42は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41,42を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート41,42は、吸収体30の側縁の一部及びウイング部43,44を覆う。
【0023】
また、表面シート10と吸収層32との間には、中間シート35が設けられている。中間シート35を設けることにより、体液の吸収性能を高めることができる。なお、吸収性物品は、中間シート35を有していなくてもよい。なお、裏面シートの非肌当接面には、図示しない粘着剤が付されている。粘着剤を介して吸収性物品を下着に接着することができる。
【0024】
中間シートは、液透過性を有するシートによって構成されていればよく、吸収性を有していてもよいし、吸収性を有していなくてもよい。中間シートの製法は、スルーエアー、スパンレース、スパンボンド、SMS、ティッシュ、エアレイドを例示できる。中間シートの素材としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートの単繊維または複合繊維)、吸収性繊維(綿、レーヨン、パルプ等)を例示できる。
【0025】
吸収性物品1では、表面シート10、中間シート35、サイドシート41,42、及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。
【0026】
吸収性物品1には、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向に圧搾加工(エンボス加工)して形成された圧搾部80が形成されている。圧搾部80は、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口当接領域の中心を含む中央領域CAを囲む第1圧搾溝81と、第1圧搾溝81を囲む第2圧搾溝82と、を有する。
【0027】
圧搾部80は、複数間欠的に形成された点状圧搾部を更に有しており、第1圧搾溝81よりも内側の中央領域CAに形成された第1点状圧搾部83と、第1圧搾溝81よりも外側であって、かつ第2圧搾溝82よりも内側に形成された第2点状圧搾部84と、第2圧搾溝82よりも外側に配置された第3点状圧搾部85と、を有する。
【0028】
点状圧搾部は、所定の間隔を空けて配置されている。なお、点状圧搾部は、間欠的に複数設けられていればよく、その形状は、円形に限られず、楕円形、星形、ハード形、菱形等であってもよく、限定されない。
【0029】
圧搾部80は、表面シート10、中間シート35及び吸収体30が圧搾加工されて形成されている。圧搾部80は、表面シート10側から裏面シート20側に向かって圧縮されて形成されており、表面シート10側から裏面シート20側に向かって凹んでいる。
【0030】
なお、排泄口当接領域の中心とは、着用者の排泄口が当接する領域の長手方向及び幅方向の中心であり、中央領域の中心と一致する。例えば、ウイング部を有する吸収性物品においては、ウイング部の長手方向の中心が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。また、ウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収体の幅方向の長さ寸法が最も短い位置が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。排泄口当接領域は、着用者の股間部と当接する領域に含まれており、着用者の両脚の間に位置する。本実施の形態では、吸収体30の長手方向における中心及び幅方向における中心は、排泄口当接領域の中心及び中央領域の中心と一致する。
【0031】
次いで、吸収体30の構成について詳細に説明する。吸収体30は、着色層31と、着色層31に積層された吸収層32とを有して構成されている。吸収層32は、吸収繊維を含む短繊維をエアレイド法によって積層して形成されている。吸収層32は、短繊維を互いに接合するバインダーを有してなく、吸収層32内の繊維同士は、相対的に移動可能に構成されている。なお、吸収層32は、バインダーによって繊維同士が接着されていないように構成されていればよく、圧搾部80によって繊維同士が接着されていてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態における短繊維とは、切断加工が施された繊維である。短繊維の長さは、例えば、15mm〜100mmであり、35mm〜60mm程度の短繊維を好適に用いることができる。
【0033】
吸収層32は、例えば、レーヨンやエアースルー不織布を含むシートによって構成されていてもよいし、粉砕パルプを含み、体液の吸収性が比較的高いシートによって構成されていてもよい。また、吸収層32は、例えば、合成繊維を含むエアレイドシート、合成繊維を含まないエアレイドシート、粉砕パルプを含むエアレイドシートによって構成することができる。
【0034】
着色層31は、着色された繊維が積層されている。着色層31の繊維は、吸収層32と異なる色で着色されている。着色層31は、繊維をエアレイド法によって積層して形成されている。着色層31は、繊維を互いに接合するバインダーを有しており、着色層31内の繊維は、互いに接合されている。
【0035】
バインダーは、繊維同士を接着できる構成であればよく、種々の構成を採用できる。例えば、バインダーは、加熱して繊維間を接着できる熱可塑性繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン)によって構成されていてもよいし、水に分散させたエマルジョンをスプレー塗工して繊維間を接合できる親水性の樹脂(酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−ブタジエン共重合体等)によって構成されていてもよい。なお、バインダーに着色剤を配する場合は、上述の熱可塑性繊維に顔料を練りこむか、上述の親水性の樹脂と顔料を水に分散または溶かして使用することができる。例えば、親水性の樹脂を分散する水に顔料を溶かして使用する場合は、全体を万遍なく着色できることができる。
【0036】
着色層31は、吸収繊維を含む不織布によって構成されていてもよいし、吸収繊維を含まない不織布によって構成されていてもよい。不織布は、例えば、SMS不織布やスパンボンド不織布を含む。例えば、吸収繊維を含まないSMS不織布によって着色層31を構成することにより、圧搾部80による接着性を高めることができ、粉砕パルプ等の吸収繊維を含む不織布によって着色層31を構成することにより、体液の吸収性能を高めることができる。
【0037】
着色剤は、親水性の染料であって繊維同士を接合するバインダーに含まれていてもよいし、繊維に含まれていてもよい。このように、バインダーや繊維に着色剤を設けることにより、着色層全体を均等に着色することができる。
【0038】
なお、着色層31は、着色層31の吸収体側の面に印刷層を設けることによって着色効果を発揮するように構成されていてもよい。しかし、印刷層を設けた場合、顔料等が疎水性であるため、体液の吸収性能が低下するおそれがある。また、印刷層のバラツキによって着色層31の全体に着色が施されず、圧搾部80が形成された箇所が着色されないおそれがある。
【0039】
一方、着色層31を構成する繊維やバインダーによって着色効果を発揮することにより、容易に着色層31全体を着色することができる。更に、着色剤を印刷でなく繊維やバインダー等の練りこみによって形成する際に、着色剤に加えて、香り・消臭・抗菌等の機能を発揮する材料を容易に混入することができる。
【0040】
更に、親水性の染料を有するバインダーを用いることにより、吸収性能を阻害することがなく着色効果を発揮できる。また、体液によって染料が溶けた場合であっても、着色層31と着用者の肌との間には、表面シート10や吸収層32が配置されているため、染料が肌に付着することを抑制できる。
【0041】
前述のように、圧搾部80は、表面シート10側から裏面シート20側に圧縮されて形成されている。圧搾部80が形成された部分は、表面シート側から凹み、圧搾部を介して着色層を視認できる。圧搾部が形成された部分と、圧搾部80が形成されていない部分とは、異なる色に見えるため、圧搾部の形状によって絵柄や文字等を表示でき、装飾性を向上できる。例えば、吸収性物品1に文字や絵柄を表示することにより、かわいらしい、お洒落等のデザイン的な付加価値や通気性を感じるや吸収性能が高い等の情緒的価値を付加することができる。
【0042】
また、吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、かつその繊維が接着されていないため、吸収層を構成する繊維は、圧縮された際に圧搾部の周囲に移動可能となる。よって、圧搾部が形成された部分の吸収層の繊維が薄くなり、着用者は、表面シート側から着色層を視認し易くなる。
【0043】
また、圧搾部が形成された部分の繊維が薄くなった場合であっても、着色層を構成する繊維はバインダーによって接着されており、圧搾部が形成される際に周囲に移動しないため、体液の吸収性能を維持することができる。
したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【0044】
着色層31は、着色された繊維が積層されており、繊維間には空隙が形成される。繊維間に空隙が形成されているため、空隙を介して体液を通過させることができる。例えば、疎水性の顔料による印刷によって着色層を着色すると、体液の吸収性能が低下するおそれがある。しかし、繊維自体が着色されているため、印刷等の着色加工を別途施す必要がなく、体液の吸収性能を維持することができる。したがって、吸収性能を保持しつつ、装飾性を高めることができる。
【0045】
また、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、肌に着色剤が付くことを防止できる。よって、着色層31の着色剤が肌に触れることによる肌トラブルを抑制できる。また、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、圧搾部を介して視認される表示部分と、圧搾部が形成されてなく着色されていない部分との明暗を強調でき、圧搾部を目立たせることができる。
【0046】
更に、着色層31が吸収層32よりも非肌当接面側に配置されているため、着色層31によって裏面シート20のコシを高めることができ、裏面シートを下着に装着し易くなったり、裏面シート20の破れを防止できたりする。また、例えば、着色層31は、エアレイド法によって繊維が積層されており、パルプ層に比べて経血が拡散しにくい。着用者は、裏面シート側から視認した際に、経血が拡散していない状態を視認でき、漏れの不安を払拭して安心感を得ることができる。
【0047】
更に、圧搾部80が形成された部分は、吸収層や着色層を構成する繊維が圧縮されており、比較的繊維の密度が高い部分である。繊維の密度が高い部分は、体液の引き込み性が高くなる。例えば、複数間欠的に配置された第1点状圧搾部83によって中央領域全体の領域の体液を吸収層32に引き込み、かつ中央領域CAを囲む第1圧搾溝81によって中央領域CAに引き込まれた体液を吸収保持することができ、中央領域から周囲領域への体液の広がりを抑制できる。このように、比較的吸収性能が高い圧搾部を着色によって目立たせることにより、着用者は、吸収性能が高い部分を把握して、安心感を得ることができる。
【0048】
圧搾部80によって体液を引き込むため、圧搾部の吸収状態によって交換時期を把握することができる。また、圧搾部80が形成された部分は、繊維同士が融着しているため、体液を吸収した場合であっても膨らみにくい。よって、体液を吸収した湿潤状態であっても、継続して着色層31の色を認識することができる。
【0049】
着色層31は、吸収層32よりも長手方向及び幅方向において長く形成されている。吸収層よりも着色層を大きく設けることで、吸収層32の縁を際立たせることができる。着用者は、吸収層32の大きさが認識し易く、視覚的に防漏効果を把握できる。更に、着用者は、吸収層32の大きさが認識し易いため、装着位置の目安となり、装着位置のずれを抑制できる。更に、着色層31の方が吸収層32よりも拡散性が低いため、吸収層32の縁で経血が止まり、機能的に横漏れ及び縦漏れが発生し難くなる。
【0050】
なお、本実施の形態では、長手方向L及び幅方向Wにおいて、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも長く構成されているが、長手方向Lと幅方向Wとのうち少なくとも一方において、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも長く構成されていればよい。
【0051】
次に、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法の一部について説明する。なお、以下に説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。吸収性物品の製造方法は、吸収体形成工程と、吸収体接合工程と、圧搾加工工程と、を少なくとも備える。
【0052】
吸収体形成工程は、例えば、エアレイド法によって吸収繊維を積層して吸収層32を成型し、かつエアレイド法によって吸収繊維を積層し、着色剤、バインダー樹脂を水に分散させてスプレー噴射することによって、繊維間を接合してシート状の着色層31を成型する。なお、各層の成型は、製品を製造する工程で吸水繊維を積層等して成型してもよいし、あらかじめ吸収繊維を積層等して成型した層を別の製造工程で製造した後、合流させてもよい。なお、エアレイド法は、繊維を空中に分散させて繊維を積層させる方法である。
【0053】
吸収体接合工程は、吸収層32と着色層31とを接合して吸収体30を形成し、吸収体39に対して、表面シート10、中間シート35及び裏面シート20を接合する。
【0054】
圧搾加工工程は、表面シート10、中間シート35及び吸収体30を圧搾加工して圧搾部80を形成する。このとき、表面シート側から裏面シート側に向かって圧搾加工を施して圧搾部80を形成する。具体的には、圧搾溝を形成する凸部と点状圧搾部を形成するピンとが突設された上段ローラと、上段ローラに対向配置された下段ローラとの間に、表面シート10等を被覆した吸収体30を通過させることによって、表面シート10、中間シート35及び吸収体30を厚み方向に圧縮して形成された圧搾部を形成する。
【0055】
このように構成された吸収体等に裏面シートを接合して切断することにより、吸収性物品1を得ることができる。また、表面シート10、吸収層32、及び着色層31を同時にエンボス加工することにより、吸収層32及び表面シート10がフィルム化し、着色層31の色を表面シート側からより明確に認識できるようになる。更に、同時にエンボス加工することにより、着色層31が表面シート10等と一体化しており、部分的に色が薄くなったり濃くなったりする等のバラツキを抑制できる。
【0056】
(第2の実施形態)
次いで、図5及び図6に基づいて第2の実施形態に係る吸収性物品1Aについて説明する。なお、以下の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0057】
第2の実施形態に係る着色層31の平面視における形状は、吸収層32の形状と略同じである。よって、着色層31は、平面視において、吸収層32の周囲に設けられてない。吸収層32の非肌当接面側に配置され着色層31は、圧搾部80を介してのみ視認可能に構成されている。
【0058】
また、第2の実施形態に係る吸収性物品1Aは、表面シート10と吸収体30との間に中間シート35が配置されてなく、吸収層32の肌当接面側の面に表面シート10が接合されている。
【0059】
なお、第2の実施形態における着色層31の平面視における形状は、吸収層32と略同じであるが、着色層31が吸収層よりも小さく構成されていてもよい。
【0060】
吸収層32の平面視における形状が、着色層31の平面視における形状と同じ、又は着色層31の平面視における形状よりも小さくなるように構成することにより、着色層31が配置された部分のみを目立たせることができる。例えば、着色層31を中心に配置することにより、着用者は、着色層31を視認して中心部分を把握することができ、装着時の位置決めの目安になる。また、例えば、排泄口当接領域のみに圧搾部80を設けることにより、排泄口当接領域を強調することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、長手方向L及び幅方向Wにおいて、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも短く構成されているが、長手方向Lと幅方向Wとのうち少なくとも一方において、着色層31の長さが吸収層32の長さよりも短く構成されていればよい。
【0062】
(第3の実施形態)
次いで、図7に基づいて第3の実施形態に係る吸収性物品1Bについて説明する。第3の実施形態に係る吸収性物品1Bの吸収層32は、着色層31と異なる色の着色剤を有している。よって、着色層31と吸収層32とが異なる色で着色されている。なお、第3の実施形態の着色層31及び吸収層32の形状は、第1の実施形態の着色層31及び吸収層32の形状と同様である。
【0063】
圧搾部80が形成された部分は、着色層31を視認可能に構成されており、圧搾部が形成されていない部分は、吸収層32を視認可能に構成されている。異なる色である着色層31の色と吸収層32の色とによって装飾を施すことができ、装飾効果を更に高めることができる。
【0064】
また、着色層31の色を、吸収層32よりも濃くすることにより、圧搾部80が形成された部分をより目立たせることができる。吸収性能を発揮する圧搾部80を目立たせることにより、着用者に安心感を付与できる。
【0065】
なお、着色層31の色と吸収層32の色との色差を設けることにより、圧搾部を目立たせたり、装飾効果を高めたりできる。例えば、2色の色を補色の関係にすることにより、より圧搾部を目立たせることができる。また、吸収層32は、着色剤によって着色せず、漂白していないケナフ等色つきの吸収層を用いてもよい。
【0066】
(第4の実施形態)
次いで、図8及び図9に基づいて第4の実施形態に係る吸収性物品1Cについて説明する。第4の実施形態に係る吸収性物品1Cは、吸収体30と表面シート10との間に中間シート35が配置され、中間シート35には、着色層31と異なる色で着色された表示部35aが設けられている。表示部35aは、平面視にてハート型の絵柄を示すように構成されている。着用者は、表面シート10を介して表示部35aを視認できるように構成されている。
【0067】
なお、本実施の形態では、表示部35aは、ハートの絵柄を表示するように構成されているが、文字を表示するように構成されていてもよいし、文字や絵柄を示さずに着色された色を表示するように構成されていてもよい。
【0068】
平面視において、中間シート35の表示部の内側には、圧搾部80が形成されている。圧搾部80は、着色層31、吸収層32、表面シート10及び中間シート35が圧縮されている。圧搾部80が形成された部分は、着色層80を視認できるように構成されている。中間シート35による絵柄と圧搾部80の形状とによって、デザイン性を高めることができる。例えば、吸収層32の絵柄を圧搾部80の絵柄とは、厚み方向において異なる位置に配置されているため、奥行きが付与される。更に、吸収層の絵柄と圧搾部の絵柄とを連動させることにより、立体的なデザインにすることができる。
【0069】
更に、中間シート35は、吸収体30よりも表面シート10側に配置されているため、吸収体30に経血等の体液が吸収された場合であっても、中間シート35の印刷部分の視認性が低下せず、継続的に装飾効果を発揮できる。
【0070】
なお、本実施の形態では、中間シート35に印刷を施すことにより、表示部35aを形成しているが、表示部35aの構成は、これに限定されない。例えば、着色剤を含むホットメルト樹脂によって表示部を構成してもよい。
【0071】
(第5の実施形態)
次いで、図10に基づいて第5の実施形態に係る吸収性物品1Dについて説明する。第5の実施形態に係る吸収性物品1Dは、着色層31が吸収層32よりも長手方向及び幅方向において長く構成されている。このように構成された吸収性物品によれば、中間シート35に形成された絵柄と圧搾部80とによる装飾を施すことができ、かつ吸収層32の輪郭を目立たせることができる。
【0072】
また、圧搾部80は、高い圧縮力でエンボス加工を施した高圧搾部と、低い圧縮力でエンボス加工を施した低圧縮部と、によって構成されている。図11は、圧搾部80を拡大した図であり、高圧搾部80Aと低圧搾部80Bとを模式的に示した図である。高圧搾部80Aと低圧搾部70Bとを比較すると、高圧搾部80Aは、低圧搾部80Bよりも密度が高いため、体液の引き込み性が高くなる。しかし、圧搾部全体を高圧搾部80Aによって構成すると、圧搾時に破れが生じたり、硬くなり過ぎたりする等の不具合が発生するおそれがある。一方、低圧搾部80Bは、高圧搾部80Aに比べて、破れが生じ難く、かつ硬くなり過ぎない。よって、高圧搾部80Aと低圧搾部80Bとの2段階の圧搾加工を施すことにより、体液の引き込み性を保持しつつ、耐久性のある圧搾部を形成することができる。
【0073】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0074】
本実施の形態の表示部35aは、中間シート35に設けられているが、表面シート10に設けられていてもよいし、吸収層32に設けられていてもよいし、着色層31よりも肌当接面側に設けられていればよい。
【0075】
圧搾部80は、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧搾されて形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、プレス加工やエンボス加工によって形成することができ、その形状は、格子網やハニカム形状であってもよい。
【0076】
また、圧搾部80が形成されていない部分の表面シートや吸収層32や中間シート35に、印刷や着色剤を有するホットメルト樹脂によって着色を施して、圧搾部80をより際立たせるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B,1C,1D…吸収性物品、 10…表面シート、 20…裏面シート、 30…吸収体、 31…着色層、 32…吸収層、 35…中間シート、 35a…表示部、 41,42…サイドシート、 43,44…ウイング部、 80…圧搾部、81…第1圧搾溝、 82…第2圧搾溝、 83…第1点状圧搾部、 84…第2点状圧搾部、 85…第3点状圧搾部、 CA…中央領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、着色層と、前記着色層よりも前記表面シート側に配置された吸収層と、を備えており、
前記吸収体には、前記表面シート、前記吸収層及び前記着色層を、前記表面シート側から前記裏面シート側に圧縮した圧搾部が形成されており、
前記着色層は、着色された繊維が積層されており、
前記吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していない、吸収性物品。
【請求項2】
前記着色層の繊維は、エアレイド法によって積層されており、当該繊維同士は、バインダーによって互いに接着されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記バインダーは、前記繊維を着色する親水性の染料を有する、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収層は、前記着色層と異なる色で着色された繊維を有する、請求項1から請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記着色層よりも着用者の肌当接面側には、前記着色層と異なる色によって着色された表示部が設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートと前記吸収体との間には、中間シートが配置されており、
前記表示部は、前記中間シートに設けられている、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記着色層の繊維は、吸収繊維を含む短繊維によって構成されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品の長手方向と前記長手方向と直交する幅方向とのうち少なくとも一方において、前記着色層の長さは、前記吸収層の長さよりも長い、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品の長手方向と前記長手方向と直交する幅方向とのうち少なくとも一方において、前記着色層の長さは、前記吸収層の長さよりも短い、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項1】
液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、着色層と、前記着色層よりも前記表面シート側に配置された吸収層と、を備えており、
前記吸収体には、前記表面シート、前記吸収層及び前記着色層を、前記表面シート側から前記裏面シート側に圧縮した圧搾部が形成されており、
前記着色層は、着色された繊維が積層されており、
前記吸収層は、エアレイド法によって繊維が積層され、当該繊維同士を接着するバインダーを有していない、吸収性物品。
【請求項2】
前記着色層の繊維は、エアレイド法によって積層されており、当該繊維同士は、バインダーによって互いに接着されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記バインダーは、前記繊維を着色する親水性の染料を有する、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収層は、前記着色層と異なる色で着色された繊維を有する、請求項1から請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記着色層よりも着用者の肌当接面側には、前記着色層と異なる色によって着色された表示部が設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートと前記吸収体との間には、中間シートが配置されており、
前記表示部は、前記中間シートに設けられている、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記着色層の繊維は、吸収繊維を含む短繊維によって構成されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品の長手方向と前記長手方向と直交する幅方向とのうち少なくとも一方において、前記着色層の長さは、前記吸収層の長さよりも長い、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品の長手方向と前記長手方向と直交する幅方向とのうち少なくとも一方において、前記着色層の長さは、前記吸収層の長さよりも短い、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−75082(P2013−75082A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217605(P2011−217605)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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