吸取具、吸引装置、および、吸取部材
【課題】花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、湾曲した清掃対象面から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる、吸取具を、提供することを課題とする。
【解決手段】吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具1Aであって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔12・12・・・を有する吸取部材10と、吸取部材10を回転可能に支持する支持部と、吸引装置3に接続可能な接続部22と、吸引装置3に接続された際に吸引装置3と吸取部材10における筒状の内部11とを連通させる連通路23と、を有する支持部材20と、を具備し、吸取部材10は、湾曲した清掃対象面2に押付けられた際に、湾曲した清掃対象面2に合わせて湾曲可能に構成される。
【解決手段】吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具1Aであって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔12・12・・・を有する吸取部材10と、吸取部材10を回転可能に支持する支持部と、吸引装置3に接続可能な接続部22と、吸引装置3に接続された際に吸引装置3と吸取部材10における筒状の内部11とを連通させる連通路23と、を有する支持部材20と、を具備し、吸取部材10は、湾曲した清掃対象面2に押付けられた際に、湾曲した清掃対象面2に合わせて湾曲可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸取具、吸引装置、および、吸取部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の入口近傍に設置されて、建築物内に入ろうとする人の頭部や衣類に付着した花粉や塵芥を吹飛ばして、建築物内に花粉や塵芥が持込まれることを防止する、花粉や塵芥の除去装置の技術は公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具の技術は公知となっている(特許文献2参照)。
当該吸取具は、筒状に形成されるとともに外面から内面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材を備え、吸取部材を清掃対象面に接触させた状態でこれを回転させながら清掃対象面に付着した花粉や塵芥を吸取部材の吸取孔から吸取るように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20131号公報
【特許文献2】特開2008−119266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の花粉や塵芥の除去装置では、花粉や塵芥を吹飛ばすため、建築物の入口近傍で花粉や塵芥を撒散らしてしまう場合がある。そして、このように建築物の入口近傍で撒散らされた花粉や塵芥が浮遊して、建築物内に入込んでしまう場合がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の吸取具は、その吸取部材内に直線状の軸体が嵌挿されて、吸取部材(軸体)を変形させることができないように構成される。このため、清掃対象面が平坦でなく、突出する方向に湾曲するような場合(例えば、人の頭部や胴部のような場合)には、平坦な清掃対象面の場合(例えば、床や壁の場合)と比べて吸取部材との接触面積が小さくなるため、花粉や塵芥を吸取る作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲した清掃対象面から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる技術を、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具であって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材と、前記吸取部材を回転可能に支持する支持部と、前記吸引装置に接続可能な接続部と、前記接続部が吸引装置に接続された際に前記吸引装置と前記吸取部材における筒状の内部とを連通させる連通路と、を有する支持部材と、を具備し、前記吸取部材は、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に、前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記支持部材は、前記湾曲した清掃対象面に合わせて吸取部材が湾曲する際に、前記吸取部材の湾曲に追従して、変形するものである。
【0011】
請求項3においては、前記支持部材の上下方向への移動を案内するとともに、前記支持部材における上方への移動または下方への移動を操作するための操作部材を有するものである。
【0012】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸取具と吸引装置とを備える吸取装置とするものである。
【0013】
請求項5においては、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具に具備される支持部材に回転可能に支持される、吸取部材であって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有し、前記吸引装置に前記支持部材が接続された際に、前記支持部材が有する連通路を介して前記吸引装置と前記筒状の内部とが連通し、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
即ち、本発明によれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、湾曲した清掃対象面から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る吸取具を示した斜視図。
【図2】(a)は同じく平面図、(b)は同じく側面図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る吸取具を清掃対象面に押付けた状態を示した平面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る吸取具が案内装置を具備する状態を示した正面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】同じく側面図。
【図8】(a)は本発明の第二実施形態に係る吸取具を示した平面図、(b)は同じく側面図。
【図9】(a)は本発明の第二施形態に係る吸取具を清掃対象面に押付けた状態を示した平面図、(b)同じく一部拡大平面断面図。
【図10】本発明の第三実施形態に係る吸取具を示した平面図。
【図11】同じく側面図。
【図12】本発明の第三実施形態に係る吸取具が案内装置を具備する状態を示した正面図。
【図13】同じく平面図。
【図14】同じく側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の第一実施形態に係る吸取具1Aを、図1から図7を用いて説明する。
【0018】
吸取具1Aは、図1に示すように、吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取るものである。
ここで、吸引装置3とは、気体を吸引するための装置を示す。以下においては、吸引装置3として電気掃除機を用いた場合について説明する。
また、吸取具1Aは、図1または図2に示す如く、吸取部材10と、支持部材20と、を具備する。吸取具1Aの吸取部材10は、その支持部材20に支持される。吸取具1Aの支持部材20は、吸引装置3のホース3aに接続される(図1参照)。
【0019】
吸取具1Aの吸取部材10は、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る際に、清掃対象面に接触させて、当該清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る部材である。
吸取具1Aの吸取部材10は、可撓性を有した部材にて構成され、円筒状に形成される。吸取具1Aの吸取部材10は、例えば、樹脂素材やスポンジゴム(多孔質のゴム)素材等にて構成される。
吸取具1Aの吸取部材10は可撓性を有しているため、突出する方向に湾曲する清掃対象面2(例えば、人の頭部や胴部のような場合)に押付けられた際に、その接触面が当該湾曲等した清掃対象面2に沿うように変形することが可能である。また、吸取具1Aの吸取部材10は、突出する方向に湾曲する清掃対象面2に押付けられた際に、当該湾曲等した清掃対象面2の形状に合わせて湾曲可能に構成される。
【0020】
吸取具1Aの吸取部材10は、複数個の吸取孔12・12・・・を有する。
吸取具1Aの吸取部材10における吸取孔12・12・・・は、吸取部材10を清掃対象面に接触させた際に、清掃対象面に付着している花粉や塵芥を吸取るための孔である。
吸取具1Aの吸取部材10における吸取孔12・12・・・は、それぞれ、吸取部材10の外周面(筒状の外部)から内周面(筒状の内部11)に貫通して形成される。吸取具1Aの吸取部材10における複数個の吸取孔12・12・・・は、吸取部材10の外周面において均等に配置される。
【0021】
吸取具1Aの支持部材20は、吸取部材10を、軸心を中心として回転可能に支持する部材である。
吸取具1Aの支持部材20は、筒状に形成されるアーム部21と、アーム部21に連続して形成される接続部22と、アーム部21および接続部22の内部に形成される連通路23と、を有する。
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、吸引装置3のホース3aに接続される部分である。
吸取具1Aの支持部材20における連通路23は、支持部材20が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路である。
【0022】
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は筒状部材にて構成された吸取部材10を支持する支持部であり、平面視略C字状(弧状)に形成されるとともに、その両端部が互いに向き合うように内側に突出するように形成される。
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は、その両端部が、吸取部材10における両端の開口部に挿入可能なように、形成される。
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は、その内側に突出した両端間の距離が、吸取部材10の両端間の長さより短くなるように、形成される。
【0023】
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、円筒状に形成されるとともに、吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿可能に構成される。
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、そのアーム部21の左右中央部に、図2に示す上方(弧の外側)に向かって突出するようにして形成される。
つまり、支持部材20のアーム部21は、接続部22の一端部から左右方向へ延出しており、その延出途中で接続部22側とは反対側へ湾曲するとともに、その延出端部が左右内側方向へ突出している。
吸取具1Aの支持部材20は、その接続部22の筒内とそのアーム部21の筒内と、が連通するように、構成される。
当該接続部22の筒内とアーム部21の筒内とが連通する空間は、吸取具1Aの連通路23として構成される。
【0024】
そして、吸取具1Aの支持部材20は、そのアーム部21の両端部を、吸取部材10における両端の開口にそれぞれ挿入することによって、吸取部材10を支持する。この際、吸取具1Aの吸取部材10は、支持部材20によって、周方向に回転可能に支持されるとともに、支持部材20におけるアーム部21の両端部の挿抜方向に移動可能に支持される。
以上のようにして、吸取具1Aは構成される。
また、吸取具1Aの支持部材20は、その接続部22の他端部を吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿することによって、吸引装置3に接続される。
【0025】
このように構成された吸取具1Aでは、その支持部材20の接続部22が吸引装置3のホース3aに接続された際に、その吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aとが、その支持部材20の連通路23を介して連通する。
この際、吸取具1Aは、その支持部材20の接続部22に接続された吸引装置3の吸引力が、支持部材20の連通路23を介して吸取部材10における筒状の内部11に伝わるように、構成される。
そして、吸取具1Aは、その吸取部材10における筒状の内部11に吸引装置3の吸引力が伝わるように構成されることにより、吸取部材10の吸取孔12・12・・・から花粉や塵芥を吸取ることができるように構成される。
【0026】
このように構成された吸取具1Aでは、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取る際に、図3に示すように、その吸取部材10を当該清掃対象面2に押付ける。この際、吸取具1Aの吸取部材10は、その接触面が当該突出する方向に湾曲した清掃対象面2に沿うように変形し、前記湾曲等した清掃対象面2の形状に応じた湾曲形状となる。
また、吸取具1Aでは、その吸取部材10を前記清掃対象面2に押付けて湾曲させた状態で、吸取部材10の軸方向と直交する方向へ吸取具1Aを移動させて、吸取部材10を周方向に回転させることができる。
したがって、吸取具1Aによれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0027】
吸取具1は、吸引装置3である電気掃除機に接続可能に構成されるので、従来の電気掃除機を流用して、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる吸取具を、安価に実現することができる。
【0028】
吸取具1Aは、その吸取部材10を手でつかんで引張ることによって、吸取部材10を支持部材20のアーム部21から取り外すことが可能に構成される。このため、吸取具1では、吸取部材10の交換を容易に行うことができる。
【0029】
なお、吸取具1Aの吸取部材10は、吸引装置3の吸引力がその筒状の内部11に伝わった際においても、吸取部材10が拉げて潰れない程度の(その筒状の内部11が形成された状態が保持されるような)剛性を、有する。
また、吸取具1Aでは、その支持部材20におけるアーム部21は、吸取部材10を清掃対象面2に押付けて湾曲させた際においても、支持部材20のアーム部21から吸取部材10が脱落しないように形成される。つまり、吸取部材10が湾曲した場合でも、アーム部21の両端部が吸取部材10の両端部に挿入された状態が保持されるように構成している。
【0030】
また、吸取具1Aでは、図4に示すように、支持部材20を構成する素材を、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような可撓性を有する素材としてもよい。
このように吸取具1Aの支持部材20を構成することにより、突出する方向に湾曲した清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その両端部同士が近接するように、支持部材20のアーム部21が撓むこととなる。
またこの際、吸取具1Aでは、前記湾曲する吸取部材10における両端の開口部の向きに合わせるようにして、支持部材20における吸取部材10の内部11に挿入される部分(支持部材20のアーム部21の両端部)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Aによれば、支持部材20において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Aによれば、支持部材20において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Aによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0031】
また、吸取具1Aと吸引装置3とが、吸取装置に具備される構成としてもよい。吸取装置とは、吸取具1Aが吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る装置である。
このような吸取装置においても、その吸取具1Aによって、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0032】
吸取具1Aは、図5乃至図7に示すように、案内装置90を具備するものとしてもよい。
吸取具1Aの案内装置90は、吸取具1Aの支持部材の上下方向への移動を案内する装置である。
吸取具1Aの案内装置90は、フレーム91と、移動部材95と、操作部材97と、を備える。
【0033】
吸取具1Aの案内装置90におけるフレーム91は、略門型に形成される。
吸取具1Aの案内装置90におけるフレーム91のうち、上方に横設姿勢で配置される部分を上方フレーム91aと、左方に立設姿勢で配置される部分を左方フレーム91bと、右方に立設姿勢で配置される部分を右方フレーム91cと、それぞれ称する。
【0034】
吸取具1Aの案内装置90における左方フレーム91bと右方フレーム91cの背部には、略コ字状に形成されるガイド部材93・93がそれぞれ設けられる。
吸取具1Aの案内装置90における左方フレーム91bと右方フレーム91cとのガイド部材93・93は、その開放部側を左方フレーム91bと右方フレーム91cとの背部側面に対向させた(開放部側を、案内装置90において吸取具1Aが取付けられる側とは反対側へ向けた)状態で、左方フレーム91bおよび右方フレーム91cの上方部から下方部に亘って設けられる。
つまり、ガイド部材93・93は、上下に立設される柱状部材の上端部および下端部に、左方フレーム91bおよび右方フレーム91c側へ突出する突出部を形成して構成されており、ガイド部材93・93が左方フレーム91bおよび右方フレーム91cに設けられた状態では、ガイド部材93・93の上端部および下端部の先端部が、それぞれ左方フレーム91bおよび右方フレーム91cに接続された状態となっている。
このようにして、吸取具1Aの案内装置90においてガイド部材93・93が設けられることにより、コ字状のガイド部材93・93と直線状の左方フレーム91bおよび右方フレーム91cとで囲まれた空間が形成され、このガイド部材93・93の上端部から下端部までの範囲に形成される空間が、それぞれ案内部94・94として構成される。吸取具1Aの案内装置90における案内部94・94は、移動部材95が上下方向に移動可能な空間である。
吸取具1Aの案内装置90における上方フレーム91aには、滑車92が設けられる。
【0035】
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、前記案内部94・94の範囲内において上下方向に移動可能な部材である。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、平板状の部材であり、その左方フレーム91bと右方フレーム91cとの間に亘るようにして配置される。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、上下方向に移動可能なようにその両端部が案内部94・94にそれぞれ嵌挿されて、フレーム91の背部に配置される。
【0036】
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95の左右中央部には、吸取部材10を前方に配置するようにして(支持部材20の接続部22が後方を向くようにして)吸取具1Aが固定される。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95への吸取具1Aの固定は、例えば、案内装置90における移動部材95の左右中央部に、支持部材20の接続部22を嵌挿可能な孔を形成するとともに、支持部材20における接続部22の外周面にネジを形成する。そして、前記移動部材95における嵌挿可能な孔に吸取具1Aの支持部材20における接続部22を嵌挿して、支持部材20の接続部22にボルトを螺合させることによって、吸取具1Aの案内装置90における移動部材95に吸取具1Aを固定する。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95には、吸取具1Aを下方に移動させるための重り96が設けられる。吸取具1Aの案内装置90における重り96は、その自重により、吸取具1Aを下方に移動させる。
【0037】
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97は、前記吸引具1Aの支持部材の上方への移動または下方への移動を操作するためのものである。
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97は、ワイヤで構成される。
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97の中途部が上方フレーム91aに設けられる滑車92の溝にかけられて、その一端部が移動部材95に接続される。
【0038】
このように構成された案内装置90を吸取具1Aが具備することにより、案内装置90の操作部材97の他端部を下方に引張って、その移動部材95に固定された吸取具1A(支持部材)を上方に移動させることができる。
また、前記案内装置90の操作部材97の他端部の引張りを開放した際には、前記上方に移動した吸取具1Aは、その移動部材95に設けられた重り96により、下方に移動することとなる。
このようにして、案内装置90を具備する吸取具1Aでは、作業者が吸取具1Aを直接把持して操作することなく、案内装置90の操作部材97を操作することにより、その吸取具1Aを上下方向への移動させることができる。
よって、案内装置90を具備する吸取具1Aによれば、人手をかりずに、作業者の背部に付着した花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0039】
なお、吸取具1Aの案内装置90における重り96の重さは、作業者が操作部材97を操作してこれの重さに抗じて操作部材97を引張って持上げることができるような重さであり、且つ、操作部材97を引張らない場合には、吸取具1Aを下方に移動させることができるような重さ、であればよい。
また、吸取具1Aの案内装置90は、吸取具1Aを上下方向に移動させる原動機を備える構成としてもよく、また、吸取具1Aの上下方向の移動をリモートコントロールで操作可能な構成としてもよい。
【0040】
次に、本発明の第二実施形態に係る吸取具1Bを、図8から図9を用いて説明する。
なお、第二実施形態に係る吸取具1Bは、第一実施形態に係る吸取具1Aと同様の構成を有する部分があるため、吸取具1Bの説明は、吸取具1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、吸取具1Aの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
吸取具1Bは、図8または図9に示すように、吸取部材10と、支持部材30とを具備する。
吸取具1Bの支持部材30は、アーム31と、軸受32と、回動部材33と、パイプ36とを有する。
【0042】
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31は、筒状に形成されるとともに、平面視略C字状(弧状)に形成される。
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31は、その両端部が図8に示す下方を向くとともに、吸取部材10の両端の外側に位置するようにして、形成される。吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31の両端部には回動部材33・33が取付けられる。
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31には、接続部22が形成される。吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31の接続部22は、アーム31の左右中央部に、図8に示す上方(弧の外側)に向かって突出するようにして形成される。
【0043】
吸取具1Bの支持部材30における軸受32は、円筒状の部材であり、左右一対で構成される。
吸取具1Bの支持部材30における軸受32・32は、吸取部材10の両端の開口部からそれぞれ挿入されて、吸取部材10の両端部にそれぞれ配置される。
吸取具1Bの支持部材30における軸受32・32には、回動部材33・33の一部がそれぞれ挿入される。
【0044】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、左右一対で構成される。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、吸取部材10を支持する支持部であり、軸受32に挿入される軸部34と、アーム31に取付けられる取付部35と、を有する。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、平面視略L字状に形成される。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33では、平面視略L字状に形成されて二方向に延出する部分のうち一方が軸部34として構成され、その他方が取付部35として構成される。
【0045】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、その取付部35・35がアーム31の両端部にそれぞれ回動可能に取付けられる。吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、平面視で水平方向に回動可能に、アーム31の両端部にそれぞれ取付けられる。吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、アーム31の両端を結ぶ仮想の線L1に対して水平方向に回動可能、且つ、当該両端を結ぶ仮想の線L1とアーム31の左右中途部とを結ぶ仮想の線L2に対して水平方向に回動可能に、それぞれ取付けられる(図9(a)参照)。
【0046】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33の取付部35は、平板状の片体が上下にそれぞれ配置されて構成される。
当該上下の平板状の片対の間にアーム31の端部が配置されるとともに、当該上下の平板上の片体のそれぞれとアーム31の端部とに取付用のピンが嵌挿されて、吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は回動可能に構成される。
【0047】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33の軸部34は、軸受32に挿入可能な円筒状に形成されて、軸受32に摺動可能に挿入される。
このようにして、吸取具1Bの吸取部材10は、その支持部材30によって、周方向に回転可能に支持されるとともに、支持部材30における軸受32の挿抜方向に移動可能に支持される。
【0048】
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、筒状のゴム素材からなる部材である。吸取具1Bの支持部材30のパイプ36内の空間は、吸取具1Bの連通路23(支持部材30が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路)として構成される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、略Y字状(3つ又状)に形成される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、そのアーム31の内部とその回動部材33・33の内部とで形成される空間に配置される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、そのアーム31の接続部22における開口部から、その回動部材33・33を経由して、吸取部材10の筒状の内部11に至るように配置される。
吸取具1Bは、そのアーム31の接続部22における開口部とその支持部材30のパイプ36との間が気密性を有するように、構成される。
【0049】
このように構成された吸取具1Bでは、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取る際に、図9に示すように、その吸取部材10を当該清掃対象面2に押付ける。この際、吸取具1Bでは、その吸取部材10が、突出する方向に湾曲する清掃対象面2の形状に合わせて変形し、突出する方向に湾曲する清掃対象面2の形状に応じた湾曲形状となる。
また、吸取具1Bでは、その吸取部材10を前記清掃対象面2に押付けて湾曲させた状態で、吸取部材10の軸方向と直交する方向へ吸取具1Bを移動させて、吸取部材10を周方向に回転させることができる。
したがって、吸取具1Bによれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0050】
また、吸取具1Bでは、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その支持部材30が、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(その支持部材30における回動部材33・33が回動する)ように、構成される。
つまり、吸取具1Bでは、前記湾曲する吸取部材10における開口部の向きに合わせるようにして、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分(回動部材33・33における軸部34・34)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Bによれば、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Bによれば、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Bによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0051】
次に、本発明の第三実施形態に係る吸取具1Cを、図10から図14を用いて説明する。
なお、第三実施形態に係る吸取具1Cは、第一実施形態に係る吸取具1Aまたは第二実施形態に係る吸取具1Bと同様の構成を有する部分があるため、吸取具1Cの説明は、吸取具1Aまたは吸取具1Bと同様の構成の部分については適宜省略し、吸取具1Aまたは吸取具1Bの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0052】
吸取具1Cは、図10または図11に示すように、吸取部材10と、支持部材40とを具備する。
吸取具1Cの支持部材40は、アーム41と、接続部材45と、パイプ36とを有する。
【0053】
吸取具1Cの支持部材40のパイプ36内の空間は、吸取具1Cの連通路23(支持部材40が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路)として構成される。
吸取具1Cの支持部材40のパイプ36は、筒状のゴム素材からなる部材である。吸取具1Cの支持部材40のパイプ36は、略Y字状(3つ又状)に形成される。
【0054】
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45は、接続部22として構成される。
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45は、円筒状に形成されるとともに、吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿可能に構成される。
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45には、そのパイプ36における三方向に延出する部分の端部のうち、図10に示す上方に延出する部分の端部が挿入されて固定される。
【0055】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41は、吸取部材10を支持する支持部であり、固定部42と、変形部43と、支持部44と、で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の、固定部42と、変形部43と、支持部44と、は、それぞれ左右一対で構成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の、固定部42、変形部43、および、支持部44は、支持部材40の接続部から吸取部材10に向かって(図10に示す上方から下方に向かって)、固定部42、変形部43、支持部44、の順番に配置される。
【0056】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42は、円筒状の部材である。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42・42には、パイプ36における三方向に延出する部分のうち、図10に示すに左右それぞれに延出する部分(接続部材45が固定されていない部分)がそれぞれ挿入される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42・42は、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分の中途部に、それぞれ固定される。
【0057】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような弾性を有する部材で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、コイルバネで構成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43・43には、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分がそれぞれ挿入される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41では、その変形部43・43の一方(図10に示す上方)の端部が、その固定部42・42における吸取部材10側(図10に示す下方)の端部に固定される。
【0058】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、円筒状の部材であり、左右一対で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、平面視略L字状に形成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部材40には、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分がそれぞれ挿入される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、その一方の端部が、吸取部材10における筒状を形成する開口部に挿入可能なように、形成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44・44の一方の端部同士は、吸取部材10における筒状を形成する開口部に挿入された際に、互いに向き合うように配置される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41・41では、その支持部44・44の他方(図10に示す上方)の端部が、その変形部43・43における他方(図10に示す下方)の端部に固定される。
このように構成された吸取具1Cの支持部材40のアーム41には、そのパイプ36が、吸取部材10の筒状の内部11に至るように配置される。
【0059】
以上のように構成された吸取具1Cでは、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その支持部材40が、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(そのアーム41の変形部43・43が変形する)ように、構成される。
つまり、吸取具1Cでは、前記湾曲する吸取部材10における開口部の向きに合わせるようにして、支持部材40における吸取部材10の内部11に挿入される部分(そのアーム41の支持部の吸取部材10側の開口部)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Cによれば、支持部材40において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Cによれば、支持部材40において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Cによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0060】
また、吸取具1Cは、図12乃至図14に示すように、案内装置90を具備する。
吸取具1Cの案内装置90は、フレーム98と、移動部材99と、操作部材97と、を備える。
【0061】
吸取具1Cの案内装置90におけるフレーム98は、上下方向に立設される柱状部材である左方フレーム98bおよび右方フレーム98cを所定の間隔を隔てて配置するとともに、水平方向に横設される柱状部材である上方フレーム98aにより左方フレーム98bの上端部と右方フレーム98cの上端部とを接続して構成されており、略門型に形成される。
吸取具1Cの案内装置90は、その左方フレーム98bと右方フレーム98cとの間の距離がその支持部材40の左右方向の幅よりも小さくなるように、構成される。
吸取具1Cの案内装置90における左方フレーム98bと右方フレーム98cとには、移動部材99が配置される。
吸取具1Cの案内装置90における上方フレーム98aには、図12に示す左方に突出するようにして、滑車92が設けられる。
【0062】
吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、上下方向に貫通する一対の貫通孔99a・99aを有する。
吸取具1Cの案内装置90における移動部材99の貫通孔99a・99aには、吸取具1Cの案内装置90における左方フレーム98bと右方フレーム98cとがそれぞれ摺動可能に嵌挿される。
このようにして、吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、その貫通孔99a・99aに左方フレーム98bと右方フレームが嵌挿された状態で、上下方向に移動可能に構成される。
また、吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、固定部42・42間を亘るようにして吸取具1Cの支持部材40における支持部材40に固定される。
吸取具1Cの案内装置90における操作部材97の中途部が上方フレーム98aに設けられる滑車92の溝にかけられて、その一端部が移動部材99に固定される。
【0063】
このように構成された案内装置90を吸取具1Cが具備することにより、案内装置90の操作部材97の他端部を下方に引張って、その移動部材99に固定された吸取具1C(支持部材)を上方に移動させることができる。
また、前記案内装置90の操作部材97の他端部の引張りを開放した際には、前記上方に移動した吸取具1Cは、その移動部材99に設けられた重り96により、下方に移動することとなる。
このようにして、案内装置90を具備する吸取具1Cでは、作業者が吸取具1Cを直接把持して操作することなく、案内装置90の操作部材97を操作することにより、その吸取具1Cを上下方向への移動させることができる。
よって、案内装置90を具備する吸取具1Cによれば、人手をかりずに、作業者の背部に付着した花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0064】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような弾性を有すればよく、コイルバネで構成されることに限定しない。
【符号の説明】
【0065】
1A 吸取具
2 湾曲した清掃対象面
3 吸引装置
10 吸取部材
12 吸取孔
20 支持部材
22 接続部
23 連通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸取具、吸引装置、および、吸取部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の入口近傍に設置されて、建築物内に入ろうとする人の頭部や衣類に付着した花粉や塵芥を吹飛ばして、建築物内に花粉や塵芥が持込まれることを防止する、花粉や塵芥の除去装置の技術は公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具の技術は公知となっている(特許文献2参照)。
当該吸取具は、筒状に形成されるとともに外面から内面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材を備え、吸取部材を清掃対象面に接触させた状態でこれを回転させながら清掃対象面に付着した花粉や塵芥を吸取部材の吸取孔から吸取るように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20131号公報
【特許文献2】特開2008−119266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の花粉や塵芥の除去装置では、花粉や塵芥を吹飛ばすため、建築物の入口近傍で花粉や塵芥を撒散らしてしまう場合がある。そして、このように建築物の入口近傍で撒散らされた花粉や塵芥が浮遊して、建築物内に入込んでしまう場合がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の吸取具は、その吸取部材内に直線状の軸体が嵌挿されて、吸取部材(軸体)を変形させることができないように構成される。このため、清掃対象面が平坦でなく、突出する方向に湾曲するような場合(例えば、人の頭部や胴部のような場合)には、平坦な清掃対象面の場合(例えば、床や壁の場合)と比べて吸取部材との接触面積が小さくなるため、花粉や塵芥を吸取る作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲した清掃対象面から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる技術を、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具であって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材と、前記吸取部材を回転可能に支持する支持部と、前記吸引装置に接続可能な接続部と、前記接続部が吸引装置に接続された際に前記吸引装置と前記吸取部材における筒状の内部とを連通させる連通路と、を有する支持部材と、を具備し、前記吸取部材は、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に、前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記支持部材は、前記湾曲した清掃対象面に合わせて吸取部材が湾曲する際に、前記吸取部材の湾曲に追従して、変形するものである。
【0011】
請求項3においては、前記支持部材の上下方向への移動を案内するとともに、前記支持部材における上方への移動または下方への移動を操作するための操作部材を有するものである。
【0012】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸取具と吸引装置とを備える吸取装置とするものである。
【0013】
請求項5においては、吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具に具備される支持部材に回転可能に支持される、吸取部材であって、筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有し、前記吸引装置に前記支持部材が接続された際に、前記支持部材が有する連通路を介して前記吸引装置と前記筒状の内部とが連通し、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
即ち、本発明によれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、湾曲した清掃対象面から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る吸取具を示した斜視図。
【図2】(a)は同じく平面図、(b)は同じく側面図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る吸取具を清掃対象面に押付けた状態を示した平面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る吸取具が案内装置を具備する状態を示した正面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】同じく側面図。
【図8】(a)は本発明の第二実施形態に係る吸取具を示した平面図、(b)は同じく側面図。
【図9】(a)は本発明の第二施形態に係る吸取具を清掃対象面に押付けた状態を示した平面図、(b)同じく一部拡大平面断面図。
【図10】本発明の第三実施形態に係る吸取具を示した平面図。
【図11】同じく側面図。
【図12】本発明の第三実施形態に係る吸取具が案内装置を具備する状態を示した正面図。
【図13】同じく平面図。
【図14】同じく側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の第一実施形態に係る吸取具1Aを、図1から図7を用いて説明する。
【0018】
吸取具1Aは、図1に示すように、吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取るものである。
ここで、吸引装置3とは、気体を吸引するための装置を示す。以下においては、吸引装置3として電気掃除機を用いた場合について説明する。
また、吸取具1Aは、図1または図2に示す如く、吸取部材10と、支持部材20と、を具備する。吸取具1Aの吸取部材10は、その支持部材20に支持される。吸取具1Aの支持部材20は、吸引装置3のホース3aに接続される(図1参照)。
【0019】
吸取具1Aの吸取部材10は、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る際に、清掃対象面に接触させて、当該清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る部材である。
吸取具1Aの吸取部材10は、可撓性を有した部材にて構成され、円筒状に形成される。吸取具1Aの吸取部材10は、例えば、樹脂素材やスポンジゴム(多孔質のゴム)素材等にて構成される。
吸取具1Aの吸取部材10は可撓性を有しているため、突出する方向に湾曲する清掃対象面2(例えば、人の頭部や胴部のような場合)に押付けられた際に、その接触面が当該湾曲等した清掃対象面2に沿うように変形することが可能である。また、吸取具1Aの吸取部材10は、突出する方向に湾曲する清掃対象面2に押付けられた際に、当該湾曲等した清掃対象面2の形状に合わせて湾曲可能に構成される。
【0020】
吸取具1Aの吸取部材10は、複数個の吸取孔12・12・・・を有する。
吸取具1Aの吸取部材10における吸取孔12・12・・・は、吸取部材10を清掃対象面に接触させた際に、清掃対象面に付着している花粉や塵芥を吸取るための孔である。
吸取具1Aの吸取部材10における吸取孔12・12・・・は、それぞれ、吸取部材10の外周面(筒状の外部)から内周面(筒状の内部11)に貫通して形成される。吸取具1Aの吸取部材10における複数個の吸取孔12・12・・・は、吸取部材10の外周面において均等に配置される。
【0021】
吸取具1Aの支持部材20は、吸取部材10を、軸心を中心として回転可能に支持する部材である。
吸取具1Aの支持部材20は、筒状に形成されるアーム部21と、アーム部21に連続して形成される接続部22と、アーム部21および接続部22の内部に形成される連通路23と、を有する。
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、吸引装置3のホース3aに接続される部分である。
吸取具1Aの支持部材20における連通路23は、支持部材20が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路である。
【0022】
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は筒状部材にて構成された吸取部材10を支持する支持部であり、平面視略C字状(弧状)に形成されるとともに、その両端部が互いに向き合うように内側に突出するように形成される。
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は、その両端部が、吸取部材10における両端の開口部に挿入可能なように、形成される。
吸取具1Aの支持部材20におけるアーム部21は、その内側に突出した両端間の距離が、吸取部材10の両端間の長さより短くなるように、形成される。
【0023】
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、円筒状に形成されるとともに、吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿可能に構成される。
吸取具1Aの支持部材20における接続部22は、そのアーム部21の左右中央部に、図2に示す上方(弧の外側)に向かって突出するようにして形成される。
つまり、支持部材20のアーム部21は、接続部22の一端部から左右方向へ延出しており、その延出途中で接続部22側とは反対側へ湾曲するとともに、その延出端部が左右内側方向へ突出している。
吸取具1Aの支持部材20は、その接続部22の筒内とそのアーム部21の筒内と、が連通するように、構成される。
当該接続部22の筒内とアーム部21の筒内とが連通する空間は、吸取具1Aの連通路23として構成される。
【0024】
そして、吸取具1Aの支持部材20は、そのアーム部21の両端部を、吸取部材10における両端の開口にそれぞれ挿入することによって、吸取部材10を支持する。この際、吸取具1Aの吸取部材10は、支持部材20によって、周方向に回転可能に支持されるとともに、支持部材20におけるアーム部21の両端部の挿抜方向に移動可能に支持される。
以上のようにして、吸取具1Aは構成される。
また、吸取具1Aの支持部材20は、その接続部22の他端部を吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿することによって、吸引装置3に接続される。
【0025】
このように構成された吸取具1Aでは、その支持部材20の接続部22が吸引装置3のホース3aに接続された際に、その吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aとが、その支持部材20の連通路23を介して連通する。
この際、吸取具1Aは、その支持部材20の接続部22に接続された吸引装置3の吸引力が、支持部材20の連通路23を介して吸取部材10における筒状の内部11に伝わるように、構成される。
そして、吸取具1Aは、その吸取部材10における筒状の内部11に吸引装置3の吸引力が伝わるように構成されることにより、吸取部材10の吸取孔12・12・・・から花粉や塵芥を吸取ることができるように構成される。
【0026】
このように構成された吸取具1Aでは、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取る際に、図3に示すように、その吸取部材10を当該清掃対象面2に押付ける。この際、吸取具1Aの吸取部材10は、その接触面が当該突出する方向に湾曲した清掃対象面2に沿うように変形し、前記湾曲等した清掃対象面2の形状に応じた湾曲形状となる。
また、吸取具1Aでは、その吸取部材10を前記清掃対象面2に押付けて湾曲させた状態で、吸取部材10の軸方向と直交する方向へ吸取具1Aを移動させて、吸取部材10を周方向に回転させることができる。
したがって、吸取具1Aによれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0027】
吸取具1は、吸引装置3である電気掃除機に接続可能に構成されるので、従来の電気掃除機を流用して、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる吸取具を、安価に実現することができる。
【0028】
吸取具1Aは、その吸取部材10を手でつかんで引張ることによって、吸取部材10を支持部材20のアーム部21から取り外すことが可能に構成される。このため、吸取具1では、吸取部材10の交換を容易に行うことができる。
【0029】
なお、吸取具1Aの吸取部材10は、吸引装置3の吸引力がその筒状の内部11に伝わった際においても、吸取部材10が拉げて潰れない程度の(その筒状の内部11が形成された状態が保持されるような)剛性を、有する。
また、吸取具1Aでは、その支持部材20におけるアーム部21は、吸取部材10を清掃対象面2に押付けて湾曲させた際においても、支持部材20のアーム部21から吸取部材10が脱落しないように形成される。つまり、吸取部材10が湾曲した場合でも、アーム部21の両端部が吸取部材10の両端部に挿入された状態が保持されるように構成している。
【0030】
また、吸取具1Aでは、図4に示すように、支持部材20を構成する素材を、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような可撓性を有する素材としてもよい。
このように吸取具1Aの支持部材20を構成することにより、突出する方向に湾曲した清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その両端部同士が近接するように、支持部材20のアーム部21が撓むこととなる。
またこの際、吸取具1Aでは、前記湾曲する吸取部材10における両端の開口部の向きに合わせるようにして、支持部材20における吸取部材10の内部11に挿入される部分(支持部材20のアーム部21の両端部)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Aによれば、支持部材20において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Aによれば、支持部材20において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Aによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0031】
また、吸取具1Aと吸引装置3とが、吸取装置に具備される構成としてもよい。吸取装置とは、吸取具1Aが吸引装置3に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る装置である。
このような吸取装置においても、その吸取具1Aによって、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0032】
吸取具1Aは、図5乃至図7に示すように、案内装置90を具備するものとしてもよい。
吸取具1Aの案内装置90は、吸取具1Aの支持部材の上下方向への移動を案内する装置である。
吸取具1Aの案内装置90は、フレーム91と、移動部材95と、操作部材97と、を備える。
【0033】
吸取具1Aの案内装置90におけるフレーム91は、略門型に形成される。
吸取具1Aの案内装置90におけるフレーム91のうち、上方に横設姿勢で配置される部分を上方フレーム91aと、左方に立設姿勢で配置される部分を左方フレーム91bと、右方に立設姿勢で配置される部分を右方フレーム91cと、それぞれ称する。
【0034】
吸取具1Aの案内装置90における左方フレーム91bと右方フレーム91cの背部には、略コ字状に形成されるガイド部材93・93がそれぞれ設けられる。
吸取具1Aの案内装置90における左方フレーム91bと右方フレーム91cとのガイド部材93・93は、その開放部側を左方フレーム91bと右方フレーム91cとの背部側面に対向させた(開放部側を、案内装置90において吸取具1Aが取付けられる側とは反対側へ向けた)状態で、左方フレーム91bおよび右方フレーム91cの上方部から下方部に亘って設けられる。
つまり、ガイド部材93・93は、上下に立設される柱状部材の上端部および下端部に、左方フレーム91bおよび右方フレーム91c側へ突出する突出部を形成して構成されており、ガイド部材93・93が左方フレーム91bおよび右方フレーム91cに設けられた状態では、ガイド部材93・93の上端部および下端部の先端部が、それぞれ左方フレーム91bおよび右方フレーム91cに接続された状態となっている。
このようにして、吸取具1Aの案内装置90においてガイド部材93・93が設けられることにより、コ字状のガイド部材93・93と直線状の左方フレーム91bおよび右方フレーム91cとで囲まれた空間が形成され、このガイド部材93・93の上端部から下端部までの範囲に形成される空間が、それぞれ案内部94・94として構成される。吸取具1Aの案内装置90における案内部94・94は、移動部材95が上下方向に移動可能な空間である。
吸取具1Aの案内装置90における上方フレーム91aには、滑車92が設けられる。
【0035】
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、前記案内部94・94の範囲内において上下方向に移動可能な部材である。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、平板状の部材であり、その左方フレーム91bと右方フレーム91cとの間に亘るようにして配置される。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95は、上下方向に移動可能なようにその両端部が案内部94・94にそれぞれ嵌挿されて、フレーム91の背部に配置される。
【0036】
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95の左右中央部には、吸取部材10を前方に配置するようにして(支持部材20の接続部22が後方を向くようにして)吸取具1Aが固定される。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95への吸取具1Aの固定は、例えば、案内装置90における移動部材95の左右中央部に、支持部材20の接続部22を嵌挿可能な孔を形成するとともに、支持部材20における接続部22の外周面にネジを形成する。そして、前記移動部材95における嵌挿可能な孔に吸取具1Aの支持部材20における接続部22を嵌挿して、支持部材20の接続部22にボルトを螺合させることによって、吸取具1Aの案内装置90における移動部材95に吸取具1Aを固定する。
吸取具1Aの案内装置90における移動部材95には、吸取具1Aを下方に移動させるための重り96が設けられる。吸取具1Aの案内装置90における重り96は、その自重により、吸取具1Aを下方に移動させる。
【0037】
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97は、前記吸引具1Aの支持部材の上方への移動または下方への移動を操作するためのものである。
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97は、ワイヤで構成される。
吸取具1Aの案内装置90における操作部材97の中途部が上方フレーム91aに設けられる滑車92の溝にかけられて、その一端部が移動部材95に接続される。
【0038】
このように構成された案内装置90を吸取具1Aが具備することにより、案内装置90の操作部材97の他端部を下方に引張って、その移動部材95に固定された吸取具1A(支持部材)を上方に移動させることができる。
また、前記案内装置90の操作部材97の他端部の引張りを開放した際には、前記上方に移動した吸取具1Aは、その移動部材95に設けられた重り96により、下方に移動することとなる。
このようにして、案内装置90を具備する吸取具1Aでは、作業者が吸取具1Aを直接把持して操作することなく、案内装置90の操作部材97を操作することにより、その吸取具1Aを上下方向への移動させることができる。
よって、案内装置90を具備する吸取具1Aによれば、人手をかりずに、作業者の背部に付着した花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0039】
なお、吸取具1Aの案内装置90における重り96の重さは、作業者が操作部材97を操作してこれの重さに抗じて操作部材97を引張って持上げることができるような重さであり、且つ、操作部材97を引張らない場合には、吸取具1Aを下方に移動させることができるような重さ、であればよい。
また、吸取具1Aの案内装置90は、吸取具1Aを上下方向に移動させる原動機を備える構成としてもよく、また、吸取具1Aの上下方向の移動をリモートコントロールで操作可能な構成としてもよい。
【0040】
次に、本発明の第二実施形態に係る吸取具1Bを、図8から図9を用いて説明する。
なお、第二実施形態に係る吸取具1Bは、第一実施形態に係る吸取具1Aと同様の構成を有する部分があるため、吸取具1Bの説明は、吸取具1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、吸取具1Aの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
吸取具1Bは、図8または図9に示すように、吸取部材10と、支持部材30とを具備する。
吸取具1Bの支持部材30は、アーム31と、軸受32と、回動部材33と、パイプ36とを有する。
【0042】
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31は、筒状に形成されるとともに、平面視略C字状(弧状)に形成される。
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31は、その両端部が図8に示す下方を向くとともに、吸取部材10の両端の外側に位置するようにして、形成される。吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31の両端部には回動部材33・33が取付けられる。
吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31には、接続部22が形成される。吸取具1Bの支持部材30におけるアーム31の接続部22は、アーム31の左右中央部に、図8に示す上方(弧の外側)に向かって突出するようにして形成される。
【0043】
吸取具1Bの支持部材30における軸受32は、円筒状の部材であり、左右一対で構成される。
吸取具1Bの支持部材30における軸受32・32は、吸取部材10の両端の開口部からそれぞれ挿入されて、吸取部材10の両端部にそれぞれ配置される。
吸取具1Bの支持部材30における軸受32・32には、回動部材33・33の一部がそれぞれ挿入される。
【0044】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、左右一対で構成される。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、吸取部材10を支持する支持部であり、軸受32に挿入される軸部34と、アーム31に取付けられる取付部35と、を有する。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は、平面視略L字状に形成される。
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33では、平面視略L字状に形成されて二方向に延出する部分のうち一方が軸部34として構成され、その他方が取付部35として構成される。
【0045】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、その取付部35・35がアーム31の両端部にそれぞれ回動可能に取付けられる。吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、平面視で水平方向に回動可能に、アーム31の両端部にそれぞれ取付けられる。吸取具1Bの支持部材30における回動部材33・33は、アーム31の両端を結ぶ仮想の線L1に対して水平方向に回動可能、且つ、当該両端を結ぶ仮想の線L1とアーム31の左右中途部とを結ぶ仮想の線L2に対して水平方向に回動可能に、それぞれ取付けられる(図9(a)参照)。
【0046】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33の取付部35は、平板状の片体が上下にそれぞれ配置されて構成される。
当該上下の平板状の片対の間にアーム31の端部が配置されるとともに、当該上下の平板上の片体のそれぞれとアーム31の端部とに取付用のピンが嵌挿されて、吸取具1Bの支持部材30における回動部材33は回動可能に構成される。
【0047】
吸取具1Bの支持部材30における回動部材33の軸部34は、軸受32に挿入可能な円筒状に形成されて、軸受32に摺動可能に挿入される。
このようにして、吸取具1Bの吸取部材10は、その支持部材30によって、周方向に回転可能に支持されるとともに、支持部材30における軸受32の挿抜方向に移動可能に支持される。
【0048】
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、筒状のゴム素材からなる部材である。吸取具1Bの支持部材30のパイプ36内の空間は、吸取具1Bの連通路23(支持部材30が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路)として構成される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、略Y字状(3つ又状)に形成される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、そのアーム31の内部とその回動部材33・33の内部とで形成される空間に配置される。
吸取具1Bの支持部材30のパイプ36は、そのアーム31の接続部22における開口部から、その回動部材33・33を経由して、吸取部材10の筒状の内部11に至るように配置される。
吸取具1Bは、そのアーム31の接続部22における開口部とその支持部材30のパイプ36との間が気密性を有するように、構成される。
【0049】
このように構成された吸取具1Bでは、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を吸取る際に、図9に示すように、その吸取部材10を当該清掃対象面2に押付ける。この際、吸取具1Bでは、その吸取部材10が、突出する方向に湾曲する清掃対象面2の形状に合わせて変形し、突出する方向に湾曲する清掃対象面2の形状に応じた湾曲形状となる。
また、吸取具1Bでは、その吸取部材10を前記清掃対象面2に押付けて湾曲させた状態で、吸取部材10の軸方向と直交する方向へ吸取具1Bを移動させて、吸取部材10を周方向に回転させることができる。
したがって、吸取具1Bによれば、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面2から花粉や塵芥を容易に吸取ることができる。
【0050】
また、吸取具1Bでは、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その支持部材30が、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(その支持部材30における回動部材33・33が回動する)ように、構成される。
つまり、吸取具1Bでは、前記湾曲する吸取部材10における開口部の向きに合わせるようにして、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分(回動部材33・33における軸部34・34)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Bによれば、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Bによれば、支持部材30において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Bによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0051】
次に、本発明の第三実施形態に係る吸取具1Cを、図10から図14を用いて説明する。
なお、第三実施形態に係る吸取具1Cは、第一実施形態に係る吸取具1Aまたは第二実施形態に係る吸取具1Bと同様の構成を有する部分があるため、吸取具1Cの説明は、吸取具1Aまたは吸取具1Bと同様の構成の部分については適宜省略し、吸取具1Aまたは吸取具1Bの構成と異なる部分を中心に説明する。
【0052】
吸取具1Cは、図10または図11に示すように、吸取部材10と、支持部材40とを具備する。
吸取具1Cの支持部材40は、アーム41と、接続部材45と、パイプ36とを有する。
【0053】
吸取具1Cの支持部材40のパイプ36内の空間は、吸取具1Cの連通路23(支持部材40が吸引装置3のホース3aに接続された際に、支持している吸取部材10における筒状の内部11と、吸引装置3のホース3aと、を連通させる通路)として構成される。
吸取具1Cの支持部材40のパイプ36は、筒状のゴム素材からなる部材である。吸取具1Cの支持部材40のパイプ36は、略Y字状(3つ又状)に形成される。
【0054】
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45は、接続部22として構成される。
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45は、円筒状に形成されるとともに、吸引装置3のホース3aの一端に嵌挿可能に構成される。
吸取具1Cの支持部材40における接続部材45には、そのパイプ36における三方向に延出する部分の端部のうち、図10に示す上方に延出する部分の端部が挿入されて固定される。
【0055】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41は、吸取部材10を支持する支持部であり、固定部42と、変形部43と、支持部44と、で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の、固定部42と、変形部43と、支持部44と、は、それぞれ左右一対で構成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の、固定部42、変形部43、および、支持部44は、支持部材40の接続部から吸取部材10に向かって(図10に示す上方から下方に向かって)、固定部42、変形部43、支持部44、の順番に配置される。
【0056】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42は、円筒状の部材である。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42・42には、パイプ36における三方向に延出する部分のうち、図10に示すに左右それぞれに延出する部分(接続部材45が固定されていない部分)がそれぞれ挿入される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の固定部42・42は、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分の中途部に、それぞれ固定される。
【0057】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような弾性を有する部材で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、コイルバネで構成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43・43には、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分がそれぞれ挿入される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41では、その変形部43・43の一方(図10に示す上方)の端部が、その固定部42・42における吸取部材10側(図10に示す下方)の端部に固定される。
【0058】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、円筒状の部材であり、左右一対で構成される。吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、平面視略L字状に形成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部材40には、前記パイプ36における左右それぞれに延出する部分がそれぞれ挿入される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44は、その一方の端部が、吸取部材10における筒状を形成する開口部に挿入可能なように、形成される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の支持部44・44の一方の端部同士は、吸取部材10における筒状を形成する開口部に挿入された際に、互いに向き合うように配置される。
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41・41では、その支持部44・44の他方(図10に示す上方)の端部が、その変形部43・43における他方(図10に示す下方)の端部に固定される。
このように構成された吸取具1Cの支持部材40のアーム41には、そのパイプ36が、吸取部材10の筒状の内部11に至るように配置される。
【0059】
以上のように構成された吸取具1Cでは、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、その支持部材40が、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(そのアーム41の変形部43・43が変形する)ように、構成される。
つまり、吸取具1Cでは、前記湾曲する吸取部材10における開口部の向きに合わせるようにして、支持部材40における吸取部材10の内部11に挿入される部分(そのアーム41の支持部の吸取部材10側の開口部)が、その向きを変える。
したがって、吸取具1Cによれば、支持部材40において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記吸取部材10の湾曲の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに前記吸取部材10が湾曲することとなる。
また、吸取具1Cによれば、支持部材40において吸取部材10の内部11に挿入される部分が前記湾曲した状態の吸取部材10における周方向への回転の妨げとなることを抑制して、よりスムーズに当該吸取部材10が周方向へ回転することとなる。
よって、吸取具1Cによれば、より容易に、花粉や塵芥を撒散らすことなく吸取ることができるとともに、突出する方向に湾曲する清掃対象面から花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0060】
また、吸取具1Cは、図12乃至図14に示すように、案内装置90を具備する。
吸取具1Cの案内装置90は、フレーム98と、移動部材99と、操作部材97と、を備える。
【0061】
吸取具1Cの案内装置90におけるフレーム98は、上下方向に立設される柱状部材である左方フレーム98bおよび右方フレーム98cを所定の間隔を隔てて配置するとともに、水平方向に横設される柱状部材である上方フレーム98aにより左方フレーム98bの上端部と右方フレーム98cの上端部とを接続して構成されており、略門型に形成される。
吸取具1Cの案内装置90は、その左方フレーム98bと右方フレーム98cとの間の距離がその支持部材40の左右方向の幅よりも小さくなるように、構成される。
吸取具1Cの案内装置90における左方フレーム98bと右方フレーム98cとには、移動部材99が配置される。
吸取具1Cの案内装置90における上方フレーム98aには、図12に示す左方に突出するようにして、滑車92が設けられる。
【0062】
吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、上下方向に貫通する一対の貫通孔99a・99aを有する。
吸取具1Cの案内装置90における移動部材99の貫通孔99a・99aには、吸取具1Cの案内装置90における左方フレーム98bと右方フレーム98cとがそれぞれ摺動可能に嵌挿される。
このようにして、吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、その貫通孔99a・99aに左方フレーム98bと右方フレームが嵌挿された状態で、上下方向に移動可能に構成される。
また、吸取具1Cの案内装置90における移動部材99は、固定部42・42間を亘るようにして吸取具1Cの支持部材40における支持部材40に固定される。
吸取具1Cの案内装置90における操作部材97の中途部が上方フレーム98aに設けられる滑車92の溝にかけられて、その一端部が移動部材99に固定される。
【0063】
このように構成された案内装置90を吸取具1Cが具備することにより、案内装置90の操作部材97の他端部を下方に引張って、その移動部材99に固定された吸取具1C(支持部材)を上方に移動させることができる。
また、前記案内装置90の操作部材97の他端部の引張りを開放した際には、前記上方に移動した吸取具1Cは、その移動部材99に設けられた重り96により、下方に移動することとなる。
このようにして、案内装置90を具備する吸取具1Cでは、作業者が吸取具1Cを直接把持して操作することなく、案内装置90の操作部材97を操作することにより、その吸取具1Cを上下方向への移動させることができる。
よって、案内装置90を具備する吸取具1Cによれば、人手をかりずに、作業者の背部に付着した花粉や塵芥を吸取ることができる。
【0064】
吸取具1Cの支持部材40におけるアーム41の変形部43は、清掃対象面2の形状に合わせて吸取部材10が湾曲する際に、当該吸取部材10の湾曲に追従して変形する(撓む)ような弾性を有すればよく、コイルバネで構成されることに限定しない。
【符号の説明】
【0065】
1A 吸取具
2 湾曲した清掃対象面
3 吸引装置
10 吸取部材
12 吸取孔
20 支持部材
22 接続部
23 連通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具であって、
筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材と、
前記吸取部材を回転可能に支持する支持部と、前記吸引装置に接続可能な接続部と、前記接続部が吸引装置に接続された際に前記吸引装置と前記吸取部材における筒状の内部とを連通させる連通路と、を有する支持部材と、
を具備し、
前記吸取部材は、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に、前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成される、
吸取具。
【請求項2】
前記支持部材は、前記湾曲した清掃対象面に合わせて吸取部材が湾曲する際に、前記吸取部材の湾曲に追従して、変形する、請求項1に記載の吸取具。
【請求項3】
前記支持部材の上下方向への移動を案内するとともに、前記支持部材における上方への移動または下方への移動を操作するための操作部材を有する、案内装置を具備する、請求項1または請求項2に記載の吸取具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸取具と吸引装置とを備える吸取装置。
【請求項5】
吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具に具備される支持部材に回転可能に支持される、吸取部材であって、
筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有し、
前記吸引装置に前記支持部材が接続された際に、前記支持部材が有する連通路を介して前記吸引装置と前記筒状の内部とが連通し、
湾曲した清掃対象面に押付けられた際に前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成される、
吸取部材。
【請求項1】
吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る吸取具であって、
筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有する吸取部材と、
前記吸取部材を回転可能に支持する支持部と、前記吸引装置に接続可能な接続部と、前記接続部が吸引装置に接続された際に前記吸引装置と前記吸取部材における筒状の内部とを連通させる連通路と、を有する支持部材と、
を具備し、
前記吸取部材は、湾曲した清掃対象面に押付けられた際に、前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成される、
吸取具。
【請求項2】
前記支持部材は、前記湾曲した清掃対象面に合わせて吸取部材が湾曲する際に、前記吸取部材の湾曲に追従して、変形する、請求項1に記載の吸取具。
【請求項3】
前記支持部材の上下方向への移動を案内するとともに、前記支持部材における上方への移動または下方への移動を操作するための操作部材を有する、案内装置を具備する、請求項1または請求項2に記載の吸取具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸取具と吸引装置とを備える吸取装置。
【請求項5】
吸引装置に接続されて、清掃対象面から花粉や塵芥を吸取る、吸取具に具備される支持部材に回転可能に支持される、吸取部材であって、
筒状に形成されるとともに、外周面から内周面にかけて貫通する複数個の吸取孔を有し、
前記吸引装置に前記支持部材が接続された際に、前記支持部材が有する連通路を介して前記吸引装置と前記筒状の内部とが連通し、
湾曲した清掃対象面に押付けられた際に前記湾曲した清掃対象面に合わせて湾曲可能に構成される、
吸取部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−20010(P2012−20010A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160967(P2010−160967)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(393013397)
【出願人】(598124766)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(393013397)
【出願人】(598124766)
【Fターム(参考)】
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