説明

吸引圧送車

【課題】吸引回収物によって選択された乾式回収物に対応する第1のチャンバゲートあるいは湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートをチャンバに簡単に着脱自在に固定して速やかに吸引回収物を吸引回収する。
【解決手段】車体2に傾倒自在に搭載されたレシーバタンク3と、レシーバタンク3の後端部に回動自在に軸支されてその後端開口を開閉するとともに、下部に筒状のチャンバ41を設けたテールゲート4と、テールゲート4におけるチャンバ41の後端部に着脱自在に固定されてその後端開口部を閉鎖するチャンバゲート5とから構成される。そして、チャンバゲート5としては、キャンバスおよびエア導入配管52を備えてレシーバタンク3に吸引回収した乾式回収物に対応する第1のチャンバゲート5A、もしくは、レシーバタンク3に吸引回収した湿式回収物に対応する第2のチャンバゲート5Bのいずれか一方が吸引回収物に合わせて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体や汚泥などを吸引し、圧送する吸引圧送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、セメント工場、製鉄所、火力発電所などより排出される集塵灰や汚泥などの産業廃棄物は、回収された後、有用成分の抽出、分解などを行う施設に搬入され、含まれている有用成分が抽出された後、有害成分の廃棄処分が行われる。
【0003】
このような産業廃棄物のうち、集塵灰などの乾式の産業廃棄物(以下、乾式回収物という。)のみを吸引回収し、圧送する吸引圧送車や汚泥などの湿式の産業廃棄物(以下、湿式回収物という。)のみを吸引回収し、圧送する吸引圧送車の他、乾式回収物、湿式回収物のいずれも吸引回収し、圧送することができる吸引圧送車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−98989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した吸引圧送車においては、レシーバタンクの大口径排出口を開閉する大口径ハッチを設ける一方、大口径ハッチに小口径部材を設け、小口径部材の小口径排出口を開閉する小口径蓋を設けている。そして、小口径蓋には、乾式回収物を圧送するための粉体フィルターが予め設けられており、湿式回収物を吸引し、圧送する場合には、粉体フィルターの上方に位置して液除けカバーをパッキンとともに多数のボルトを介して小口径蓋に取り付けて液体が粉体フィルターと接触することを防止する必要がある。また、乾式回収物を吸引する場合には、多数のボルトを弛めて離脱させて液除けカバーおよびパッキンを小口径蓋から取り外す必要がある。
【0005】
このように、吸引対象が乾式回収物か湿式回収物かによって、小口径蓋に液除けカバーおよびパッキンを取り付けたり、あるいは、小口径蓋から液除けカバーおよびパッキンを取り外す必要があり、しかも、小口径蓋は、大口径ハッチの小口径部材に回転軸回りに回動自在に設けられており、開放位置に支持した小口径蓋に対して液除けカバーおよびパッキンの着脱作業を行わなければならず、作業が煩雑になるとともに、吸引回収物の吸引回収作業に先立って準備作業に多くの時間を必要とするという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、吸引回収物によって選択された乾式回収物に対応する第1のチャンバゲートあるいは湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートをチャンバに簡単に着脱自在に固定して速やかに吸引回収物を吸引回収することのできる吸引圧送車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体に傾倒自在に搭載されたレシーバタンクと、レシーバタンクの後端部に回動自在に軸支されてその後端開口を開閉するとともに、下部に筒状のチャンバを設けたテールゲートと、テールゲートにおけるチャンバの後端部に着脱自在に固定されてその後端開口部を閉鎖するチャンバゲートと、からなり、キャンバスおよびエア導入配管を備えてレシーバタンクに吸引回収した乾式回収物に対応する第1のチャンバゲート、もしくは、レシーバタンクに吸引回収した湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートのいずれか一方のチャンバゲートが吸引回収物に合わせて固定されることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、レシーバタンクを負圧に維持することにより、レシーバタンクに乾式回収物、あるいは、湿式回収物を吸引回収することができる。
【0009】
ここで、吸引回収物が乾式回収物であるときには、キャンバスおよびエア導入配管を備えた第1のチャンバゲートがテールゲートにおけるチャンバの後端部に着脱自在に固定されてその後端開口を閉鎖している。これにより、レシーバタンクに吸引回収された乾式回収物をレシーバタンクの傾動によってチャンバに流下させるとともに、キャンバスおよびエア導入管から供給される加圧空気によって流動化させ、圧送することができる。また、吸引回収物が湿式回収物であるときには、第2のチャンバゲートがテールゲートにおけるチャンバの後端部に着脱自在に固定されてその後端開口を閉鎖している。これにより、レシーバタンクに吸引回収された湿式回収物を収容するとともに、レシーバタンクを加圧して圧送することができる。
【0010】
この結果、吸引対象によって選択された乾式回収物に対応する第1のチャンバゲート、あるいは、湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートをチャンバに簡単な作業によって着脱自在に固定すればよく、吸引対象物によって液除けカバーを取り付けたり、取り外す作業に比較して、速やかに吸引回収作業を開始することができる。
【0011】
本発明において、前記テールゲートのチャンバに開口端をキャンバスに臨む乾式回収物排出配管が接続され、チャンバゲートとして第2のチャンバゲートが固定された際に、乾式回収物排出配管の開口端が閉鎖されることが好ましい。これにより、湿式回収物を吸引回収する際、湿式回収物が乾式回収物排出配管の開口端を通して内部に浸入するの阻止することができ、乾式回収物の圧送時に浸入した湿式回収物による閉塞現象の発生を防止できる。
【0012】
また、本発明において、前記第1のチャンバゲートの中央部には中央開口が形成されており、当該中央開口には外側から乾式回収物排出配管が接続される構成を採ってもよい。これにより、レシーバタンクに吸引回収された乾式回収物をレシーバタンクの傾動によってチャンバに流下させるとともに、キャンバスおよびエア導入管から供給される加圧空気によって流動化させ、圧送することができるほか、乾式回収物への重力が排出側へ働くので、排出作業が迅速に行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸引回収物によって選択された乾式回収物に対応する第1のチャンバゲートあるいは湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートをチャンバに簡単に着脱自在に固定して速やかに吸引回収物を吸引回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1乃至図4には、本発明の吸引圧送車1の一実施形態が示されている。
【0016】
この吸引圧送車1は、車体2に傾動ピン2aを介して傾倒自在に軸支されたレシーバタンク3と、レシーバタンク3の後端部にヒンジピン3a介して回動自在に軸支されてその後端開口を開閉可能であり、下部にチャンバ41を形成したテールゲート4と、テールゲート4におけるチャンバ41の後端部に着脱自在に固定されてその後端開口を閉鎖する椀状のチャンバゲート5(図1乃至図4においては、第1のチャンバゲート5A)と、レシーバタンク3に湿式又は乾式の吸引回収物を吸引回収し、吸引回収された湿式の吸引回収物をレシーバタンク3から圧送する吸引圧送手段6A(図5参照)と、レシーバタンク3に吸引回収された乾式の吸引回収物をレシーバタンク3から圧送する圧送手段6B(図5参照)と、から構成されている。そして、テールゲート4には、開閉弁71を配設した吸引配管7が連結され、そのチャンバ41には、一端部が内部に導入されるとともに、他端部が周壁を貫通して外部に延出されて開閉弁81を配設した乾式回収物排出配管8が設けられており、この乾式回収物排出配管8の一端側開口端は、後述するキャンバス51に臨んで配置されている。また、チャンバゲート5Aには、略円錐台状のキャンバス51が配設されるとともに、キャンバス51によって区画されたエア室にエア導入配管52が連結されている。また、チャンバーゲート5Aの中央部には中央開口55が形成されており、蓋部材56が中央開口55を閉塞するとともに、図示しないボルトにて着脱可能に固定されている。なお、チャンバゲート5Bにはキャンバス51、中央開口55等は設けられていない。
【0017】
ここで、チャンバ41の開口端縁には、フランジ42(図4および図7参照)が設けられるとともに、フランジ42には、周方向に間隔をおいて複数個の取付ブラケット43(図では5個)が設けられており、各取付ブラケット43には、それぞれピン43aを介して固定ボルト44が回動自在に設けられている。一方、チャンバゲート5、すなわち、図3および図4に示す第1のチャンバゲート5Aおよび図6および図7に示す第2のチャンバゲート5Bには、その開口端縁にフランジ53が設けられるとともに、フランジ53には、各固定ボルト44に対応して、外周側に固定ボルト44の軸部を挿入可能な切欠部54aを形成した複数個の係止ブラケット54が周方向に間隔をおいて固定されている。したがって、互いに固定ボルト44と係止ブラケット54とが対向するように、チャンバ41の後端開口にチャンバゲート5A(5B)をあてがって、各固定ボルト44をピン43a回りに回動させて対応する係止ブラケット54の切欠部54aに挿入し、それぞれ固定ボルト44の軸部にナット45をねじ込むことにより、チャンバゲート5A(5B)をチャンバ41に固定することができる。逆に、固定ボルト44に対してナット45を弛め、固定ボルト44をピン43a回りに回動させて係止ブラケット54の切欠部54aから離脱させることにより、チャンバ41に対してチャンバゲート5A(5B)を取り外すことができる。
【0018】
なお、チャンバゲート5A(5B)のフランジ53には、チャンバ41のフランジ42と対向する前面側にパッキン55が配設されており、チャンバ41とチャンバゲート5A(5B)との接合面を密封している。
【0019】
一方、吸引圧送手段6Aは、図5に示すように、動力取出装置(図示せず)を介してエンジン動力により駆動されるブロア10と、片側上方にサイクロン集塵機11が設けられた集塵タンク13と、他のサイクロン集塵機12と、から主に構成されている。レシーバタンク3およびサイクロン集塵機12間は加減圧配管14を介して接続され、サイクロン集塵機12およびブロア10の吸引口間は吸引配管16を介して接続され、ブロア10の吐出口およびサイクロン集塵機11間は吐出配管17を介して接続されている。
【0020】
加減圧配管14には、後述する加圧配管18との接続部よりもサイクロン集塵機12側に位置して開閉弁142が配設されている。
【0021】
吸引配管16には、開閉弁161が配設されており、この吸引配管16の上下流両側には、フィルタ配管19の両端部が接続されている。このフィルタ配管19には、サイクロン集塵機12側から順に開閉弁191、バグフィルタ15、開閉弁192が配設されている。また、吸引配管16には、フィルタ配管19との接続部(開閉弁192側の接続部)よりブロワ10側で開閉弁163が配設された吸入配管162が接続されている。
【0022】
吐出配管17の途中位置には、タンク式セパレータ20が介設されている。吐出配管17と加減圧配管14は、加減圧配管14側から順に開閉弁182、開閉弁181を配設した加圧配管18がタンク式セパレータ20を介して接続されている。また、吐出配管17には、タンク式セパレータ20より集塵タンク13側に位置して開閉弁171が配設され、吐出配管17のタンク式セパレータ20よりブロワ10側と集塵タンク13とはリリーフ配管21で接続されている。このリリーフ配管21にはリリーフ弁211が設けられている。
【0023】
乾式の吸引回収物を圧送する圧送手段6Bは、動力取出装置(図示せず)を介してエンジン動力により駆動されるコンプレッサ25等で構成されている。このコンプレッサ25の吐出口は、後述するエア導入配管52およびエゼクタ配管82に、圧縮空気供給配管26を介して接続されている。圧縮空気供給配管26はその途中位置より下流側においてエア導入配管52に接続されるエアレーション用配管26aとエゼクタ配管82に接続されるエゼクタ用配管26bとに分岐している。これらの配管26a,26bにはそれぞれ開閉弁261,262が設けられている。
【0024】
なお、本実施の形態においては、開閉バルブ142,171,181,182,261,262等には手動操作にて開閉される手動式バルブが採用されており、開閉バルブ161,163,191,192等にはスイッチ操作に応じて開閉される電磁パイロット式バルブが採用されているが、上記手動式バルブを電磁パイロット式バルブにしたり、上記電磁パイロット式バルブを手動式バルブにすることは可能である。
【0025】
ところで、図1−a〜cに示すように、車体2およびレシーバタンク3間には、傾倒シリンダ22が配設され、また、レシーバタンク3およびテールゲート4間には、開閉シリンダ23が配設されており、動力取出装置(図示せず)を介してエンジン動力により駆動される油圧ポンプ(図示せず)からの圧油をそれぞれ傾倒シリンダ22および開閉シリンダ23のピストンロッド側油室またはピストン側油室に供給することにより、各シリンダ22,23を伸長作動させ、あるいは、縮退作動させることができる。これにより、傾倒シリンダ22の伸縮作動により、レシーバタンク3を傾動ピン2a回りに傾動、あるいは、伏倒させる一方、開閉シリンダ23の伸縮作動により、テールゲート4をヒンジピン3a回りに回動させてレシーバタンク3の後端開口を開放、あるいは、閉鎖することができる。
【0026】
次に、このように構成された吸引圧送車1の作動について説明する。
【0027】
まず、粉体などの乾式回収物を回収し、排出する場合は、吸引配管7に吸引パイプ(図示せず)を接続し、吸引回収物を吸引する位置まで延設する。次いで、開閉弁181,182,161,163,261,262を閉鎖するとともに、開閉弁142,191,192,171を開放してブロア10を駆動すれば、その吸引口が、加減圧配管14、サイクロン集塵機12、バグフィルタ15を通してレシーバタンク3に連通し、吐出口が吐出配管17、サイクロン集塵機11を経て大気に連通する。
【0028】
これにより、ブロア10は、レシーバタンク3内の空気を吸引して大気に排出することから、レシーバタンク3内を負圧化することができる。レシーバタンク3の圧力が一定以下に低下すれば、開閉弁71を開放することにより、乾式回収物が吸入パイプおよび吸引配管7を通してレシーバタンク3に吸引回収される。この際、加減圧配管14を通してレシーバタンク3内に回収した乾式回収物の一部がブロワ10側に吸引されるが、その乾式回収物は、サイクロン式集塵機12およびバグフィルタ15によって捕集される。
【0029】
また、セメント工場のサイロからレシーバタンク3のハッチ27を開放することにより乾式回収物(セメント)を重力で収容することもできる。
【0030】
このようにして、レシーバタンク3に乾式回収物が順次吸引回収され、一定量に達したならば、乾式回収物の吸引回収作業を停止して走行状態に復帰させる。そして、吸引圧送車1を排出地まで移動させ、乾式回収物排出配管8に圧送パイプ(図示せず)を接続し、排出位置まで延設した後、傾動シリンダ22を伸長作動させ、レシーバタンク3を傾動ピン2a回りに傾動させる。
【0031】
次いで、開放した開閉弁142,191,192,171を閉鎖するとともに、開閉弁261,262を開放してコンプレッサ25を駆動すれば、その吐出口は、圧縮空気供給配管26、エアレーション用配管26a、エア導入配管52を通してキャンバス51によって区画されたエア室に連通する。一方、コンプレッサ25の吐出口は、圧縮空気供給配管26、エゼクタ用配管26b、乾式回収物排出配管8に設けられたエゼクタ配管82(図2参照)を通して乾式回収物排出配管8に連通する。
【0032】
これにより、コンプレッサ25は、外気を吸引してキャンバス51によって区画されたエア室に加圧空気を供給することから、キャンバス51上に流下した乾式回収物は、キャンバス51を通して供給される加圧空気によって流動化する。この状態で、乾式回収物排出配管8の開閉弁81を開放すれば、流動化した乾式回収物は、乾式回収物排出配管8および圧送パイプを経てサイロなどの排出位置まで圧送される。
【0033】
この際、乾式回収物排出配管8に設けられたエゼクタ配管82(図2参照)に加圧空気が供給されることによって、エゼクタ効果により乾式回収物排出配管8および圧送パイプ内の乾式回収物の排出が促進される。
【0034】
一方、汚泥などの湿式回収物を回収し、排出する場合は、固定ボルト44に対してナット45を弛め、固定ボルト44をピン43a回りに回動させて係止ブラケット54の切欠部54aから離脱させ、チャンバ41から第1のチャンバゲート5Aを取り外す。次いで、第2のチャンバゲート5Bを把持し、互いに固定ボルト44と係止ブラケット54が対向するように、チャンバ41の後端開口に第2のチャンバゲート5Bを配置した後、各固定ボルト44をピン43a回りに回動させて対応する係止ブラケット54の切欠部54aに挿入し、それぞれ固定ボルト44に対してナット45をねじ込んで第2のチャンバゲート5Bをチャンバ41に固定する。また、吸引配管7に吸引パイプ(図示せず)を接続し、吸引回収物を吸引する位置まで延設する。
【0035】
なお、詳細には図示しないが、第2のチャンバゲート5Bの取り付けに先立って、乾式回収物排出配管8のキャンバス51側に臨む開口端に蓋を装着するか、詰め物を差し込んで、乾式回収物排出配管8の内部に湿式回収物が浸入することを防いでおく。
【0036】
この状態で、開閉弁163,181,182,191,192,261,262を閉鎖するとともに、開閉弁142,161,171を開放してブロア10を駆動すれば、加減圧配管14を通してレシーバタンク3の空気が吸引され、その内部を負圧に維持する。その後、開閉弁71を開放すれば、湿式回収物は、吸引パイプおよび吸引配管7を通してレシーバタンク3に吸引回収される。
【0037】
なお、加減圧配管14を通してレシーバタンク3に回収された湿式回収物の一部がブロワ10側に吸引されるが、その湿式回収物は、サイクロン式集塵機12によって捕集される。
【0038】
このようにして、レシーバタンク3に湿式回収物が吸引回収され、一定量に達したならば、湿式回収物の吸引回収作業を停止して走行状態に復帰させる。そして、吸引圧送車1を排出地まで移動させた後、開閉弁241を配設してテールゲート4に連結された湿式回収物排出配管24(図5参照)に圧送パイプ(図示せず)を接続し、排出位置まで延設する。
【0039】
次いで、開閉弁142,161,171,191,192,241,261,262を閉鎖するとともに、開閉弁162,181,182を開放してブロア10を駆動すれば、ブロア10は、吸入配管162、吸引配管16を通して空気を吸引し、吐出配管17、タンク式セパレータ20、加圧配管18、加減圧配管14を通してレシーバタンク3に加圧空気を供給する。これにより、レシーバタンク3が加圧される。この状態で、湿式回収物排出配管24の開閉弁241を開放すれば、レシーバタンク3に吸引回収された湿式回収物は、湿式回収物排出配管24および圧送パイプを経て排出位置まで圧送される。
【0040】
また、開閉シリンダ23を伸長作動させ、テールゲート4をヒンジピン3a回りに上方に回動させてレシーバタンク3の後端開口を開放させた後、傾動シリンダ22を伸長作動させ、レシーバタンク3を傾動ピン2a回りに後方に傾動させることにより、湿式回収物を重力排出することもできる。
【0041】
このように、レシーバタンク3に吸引回収する乾式回収物に対応して第1のチャンバゲート5Aを第2のチャンバゲート5Bに代えて取り付けるに際して、あるいは、湿式回収物に対応して第2のチャンバゲート5Bを第1のチャンバゲート5Aに代えて取り付けるに際して、少数本の固定ボルト44に対するナット45の回転操作によって簡単に着脱することができ、短時間で吸引対象に対応するチャンバゲート5に変更することができ、速やかに吸引回収作業を実施することができる。
【0042】
他の実施形態として、図8に示すように、第1のチャンバゲート5Aの中央開口55を閉塞している蓋部材56を取り外し、中央開口55に外側から乾式回収物排出配管57が接続される構成を採ってもよい。これにより、レシーバタンク3の傾動によって第1のチャンバゲート5Aを下向きにして、レシーバタンク3に吸引回収された乾式回収物をチャンバ41に流下させるとともに、キャンバス51およびエア導入配管52から供給される加圧空気によって流動化させ、乾式回収物排出配管57側へ圧送することができるほか、乾式回収物への重力が排出側へ働くので、排出作業が迅速に行われる。
【0043】
なお、乾式回収物排出配管57としては、可撓性ホース、金属性配管などを使用することができる。また、図8では中央開口55と乾式回収物排出配管57とのフランジ同士を締結するボルトは図示を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1−a】本発明の吸引圧送車の一実施形態を示す側面図である。
【図1−b】本発明の吸引圧送車の一実施形態を示す平面図である。
【図1−c】本発明の吸引圧送車の一実施形態を示す背面図である。
【図2】図1の吸引圧送車の背面図であって、テールゲートを示した図である。
【図3】第1のチャンバゲートを示す正面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】図1の吸引圧送車の空気配管系統図である。
【図6】第2のチャンバゲートを示す正面図である。
【図7】図6のY−Y線断面図である。
【図8】レシーバタンクを傾動させたダンプ状態でのチャンバゲートを示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 吸引圧送車
3 レシーバタンク
4 テールゲート
41 チャンバ
43 固定ボルト
44 ナット
5 チャンバゲート
5A 第1のチャンバゲート
5B 第2のチャンバゲート
54 係止ブラケット
54a 切欠部
55 中央開口
57 乾式回収物排出配管
6A 吸引圧送手段
6B 圧送手段
7 吸引配管
8 乾式回収物排出配管
10 ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に傾倒自在に搭載されたレシーバタンクと、レシーバタンクの後端部に回動自在に軸支されてその後端開口を開閉するとともに、下部に筒状のチャンバを設けたテールゲートと、テールゲートにおけるチャンバの後端部に着脱自在に固定されてその後端開口を閉鎖するチャンバゲートと、からなり、キャンバスおよびエア導入配管を備えてレシーバタンクに吸引回収した乾式回収物に対応する第1のチャンバゲート、もしくは、レシーバタンクに吸引回収した湿式回収物に対応する第2のチャンバゲートのいずれか一方のチャンバゲートが吸引回収物に合わせて固定されることを特徴とする吸引圧送車。
【請求項2】
請求項1記載の吸引圧送車において、前記テールゲートのチャンバに開口端をキャンバスに臨む乾式回収物排出配管が接続され、チャンバゲートとして第2のチャンバゲートが固定された際に、乾式回収物排出配管の開口端が閉鎖されることを特徴とする吸引圧送車。
【請求項3】
請求項1記載の吸引圧送車において、前記第1のチャンバゲートの中央部には中央開口が形成されており、当該中央開口には外側から乾式回収物排出配管が接続されることを特徴とする吸引圧送車。

【図1−a】
image rotate

【図1−b】
image rotate

【図1−c】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−83653(P2009−83653A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255705(P2007−255705)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】