説明

吸水性ポリマーの製造方法

本発明はモノマー溶液を重合させ、こうして得られたヒドロゲルを加熱ガス流により乾燥することによる吸水性ポリマーの製造方法に関し、その際乾燥を少なくとも2個の温度帯域で実施しおよび/またはガス流を、ベルト乾燥機の前方部分で下から、ベルト乾燥機の後方部分で上からヒドロゲルに流し、ヒドロゲルの含水量15〜45質量%で流れの逆転が生じおよび/またはヒドロゲル層にベルト乾燥機中で少なくとも部分的に上から流し、ガス速度がベルトからヒドロゲルを持ち上げるために必要なガス速度の5〜30%である。本発明は更に前記方法を実施する装置および衛生用品の製造への前記方法により製造された吸水性ポリマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー溶液を重合させ、得られたヒドロゲルを暖めたガス流を使用して乾燥することによる、低い乾燥特性係数を有する吸水性ポリマーの製造方法、前記方法を実施する装置および前記方法により製造した吸水性ポリマーの衛生用品の製造のための使用に関する。
【0002】
本発明の他の実施態様は請求の範囲、発明の詳細な説明および実施例に記載されている。すでに記載されたおよび以下に説明する本発明の対象の特徴がそれぞれ示された組み合わせだけでなく、本発明の枠を離れることなく他の組み合わせにも使用できることは理解される。
【0003】
吸水性ポリマーは特に(共)重合された親水性モノマー、適当なグラフト基体上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋したセルロースまたは澱粉エーテル、架橋したカルボキシメチルセルロース、部分架橋したポリアルキレンオキシド、または水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアル誘導体からなるポリマーである。これらのポリマーはオムツ、タンポン、生理用品、および他の衛生用品を製造するための水溶液を吸収する製品として、および農業栽培での保水剤として使用される。
【0004】
吸水性ポリマーの製造は、例えば論文、Modern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.Buchholz und A.T.Graham、Wiley−VCH、1998、およびUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry 第6版、35巻、73−103頁に記載される。
【0005】
一般に重合の後に水性ポリマーが得られ、これを乾燥しなければならない。ポリマーゲルの乾燥は同様に論文、Modern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.Buchholz und A.T.Graham、Wiley−VCH、1998、87−93頁に記載される。
【0006】
乾燥法は、乾燥されるポリマー材料の広いゲル粒度分布によりすべてのヒドロゲル粒子の完全な乾燥を、大部分のヒドロゲル粒子がすでに表面が乾燥している条件下で行うことである。この乾燥条件は乾燥能力の不経済な利用である。乾燥能力を経済的に最適に利用する場合は、乾燥条件はヒドロゲル粒子の大部分がすでに乾燥しているが、ヒドロゲル粒子の小さい部分がなお湿っているようである。湿ったヒドロゲル粒子はゴム弾性であり、粘着傾向を示し、引き続く乾燥材料の粉砕および選別工程において好ましくないかなりの妨害を生じる。従って湿ったゴム弾性ヒドロゲル粒子から脆い部分的に表面が乾燥したヒドロゲル粒子を粉砕の前に分離する必要が存在する。従って実際には乾燥能力の利用と乾燥材料の処理能力の妥協である乾燥条件を選択する。
【0007】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子の改良された製造方法の提供、特に方法の間に生じる水性ポリマーゲルの改良された乾燥であった。
【0008】
前記乾燥法は一方で経済的であり、短時間の滞留時間後にすでに少ない含水量を有する製品を生じるべきであり、他方で前記乾燥法は製品の特性が乾燥によりあまり変化しないようにきわめて穏やかでなければならない。
【0009】
前記課題は、モノマー溶液を重合させ、得られたヒドロゲルを暖めたガス流を使用して乾燥することによる吸水性ポリマーの製造方法により解決され、前記方法は
乾燥を少なくとも2個の温度帯域中で実施し、その際少なくとも2個の温度帯域のガス導入温度は、TがTn+aに等しくない条件を満たし、その際指数nおよびaはそれぞれ0より大きい整数、有利に1〜20の整数、特に1〜10の整数、特に有利に1〜5の整数でありおよび/または
ガス流を、ヒドロゲルに対してベルト乾燥機の前方部分で下からおよびベルト乾燥機の後方部分で上から流し、その際ヒドロゲルの含水量15〜45質量%で流れの逆転を行うおよび/または
ヒドロゲル層に対してベルト乾燥機中で少なくとも部分的に下から流し、その際ガス速度が、ベルトからヒドロゲルが離れるために必要なガス速度の5〜30%である
ことを特徴とする。
【0010】
暖めたガス流の温度は有利に少なくとも50℃、特に少なくとも100℃、特に有利に少なくとも150℃、有利に250℃まで、特に220℃まで、特に有利に200℃までである。
【0011】
前記指数は乾燥される材料が連続的に上昇して通過する温度帯域の時間的連続を示し、その際温度帯域は後でより高い指数を有して通過する。温度帯域はガス導入温度を無関係に調節できる範囲である。
【0012】
前方部分は低い指数を有する温度帯域からなり、後方部分は高い指数を有する温度帯域からなる。従って乾燥される材料はまず前方部分を通過する。
【0013】
含水量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.430−02、Moisture contentにより測定する。
【0014】
ヒドロゲル層がベルトから離れるガスまたは空気速度(渦流点、Wirbelpunkte)は実験により測定するかまたは
【数1】

により計算することができ、式中、Vmaxはヒドロゲルがベルトから離れる最大ガスまたは空気速度であり、ρはヒドロゲルのかさ密度であり、gは重力定数であり、Δhはヒドロゲル層による圧力損失であり、cはガスまたは空気抵抗係数である。渦流点において、ヒドロゲル層に作用する重力およびガスまたは空気抵抗が相殺される。渦流点は固定床と流動床の境界を強調する。ヒドロゲルのかさ密度はベルト上のヒドロゲルの質量とかさ体積からの商である。ヒドロゲルのかさ体積はヒドロゲルのほかになおヒドロゲルに含まれる中空を含む。
【0015】
少なくとも2個のガス導入温度は有利にTがTn+aより大きい条件を満たす。
【0016】
有利に乾燥を少なくとも3個の温度帯域中で実施し、その際ガス導入温度はTがTn+aに等しくなく、有利にTがTn+aより大きく、Tn+aがTn+bより小さい条件を満たし、その際指数bはaより大きい整数、有利に(a+1)〜(a+20)の整数、特に(a+1)〜(a+10)の整数、特に有利に(a+1)〜(a+5)の整数を表し、その際有利にTはTn+bより大きい。
【0017】
本発明の特に有利な実施態様において、少なくとも2個の温度帯域a中のガス導入温度T〜Tn+a−1はTn+rがTn+sより大きい条件を満たし、その際指数aは1より大きい整数であり、指数rは0〜(a−2)の整数であり、指数sは(r+1)〜(a−1)の整数である。
【0018】
本発明の他の特に有利な実施態様において、少なくとも2個の温度帯域(c−b)中のガス導入温度Tn+b〜Tn+c−1はTn+uがTn+vより大きい条件を満たし、その際指数cは(b+1)より大きい整数、有利に(b+1)〜(b+20)の整数、特に(b+1)〜(b+10)の整数、特に有利に(b+1)〜(b+5)の整数であり、指数uはb〜(c−2)の整数であり、指数vは(u+1)〜(c−1)の整数である。
【0019】
本発明の特に有利な実施態様において、少なくとも3個の温度帯域(c−b)中のガス導入温度Tn+b〜Tn+c−1はTn+uがTn+vより大きく、Tn+vがTn+wより大きい条件を満たし、その際指数cは(b+2)より大きい整数、有利に(b+2)〜(b+20)の整数、特に(b+2)〜(b+10)の整数、特に有利に(b+2)〜(b+5)の整数であり、指数uはb〜(c−3)の整数であり、指数vは(u+1)〜(c−2)の整数であり、指数wは(v+1)〜(c−1)である。
【0020】
少なくとも6個の温度帯域中の水性ヒドロゲルの乾燥法が特に有利であり、その際aは少なくとも2であり、bは少なくとも3であり、cは少なくとも6である。有利にガス導入温度はTがTn+bより大きく、Tn+1がTn+b+1より大きく、Tn+1がTn+bより小さくない。
【0021】
最適な、従って有利な温度分布は有利に2個の波の山および1個の波の谷間からなる波として示すことができる。その際第1の波の山T、第2の波の山Tn+bおよびその間の波の谷間Tn+aが存在し、第1の波の山が第2の波の山より高い。
【0022】
ガス導入温度の温度差は、温度の差が必要な場合は、一般に少なくとも0.5℃、有利に少なくとも1℃、特に少なくとも5℃、特に有利に少なくとも10℃であり、一般に50℃まで、有利に40℃まで、特に30℃まで、特に有利に20℃までである。
【0023】
ヒドロゲル層を流れるガス流の速度は有利に少なくとも0.5m/s、特に少なくとも0.8m/s、特に有利に1m/sであり、有利に5m/sまで、特に3m/sまで、特に有利に2m/sである。
【0024】
使用されるガスは制限されない。乾燥のために、空気、窒素または乾燥条件下で不活性の他のガスを使用できる。空気が有利である。
【0025】
ヒドロゲルを流れるガス流は水蒸気を含んでもよい。水蒸気の割合は有利に最高で50℃、特に最高で40℃、特に有利に最高で30℃の露点に相当する値を上回るべきでない。
【0026】
ガス導入温度T〜Tn+a−1は有利に最高で200℃、特に175〜180℃である。
【0027】
ガス導入温度Tn+a〜Tn+b−1は有利に少なくとも150℃、特に少なくとも155℃、特に有利に155〜160℃である。
【0028】
ガス導入温度Tn+b〜Tn+c−1は有利に最高で185℃、特に最高で180℃、特に有利に170〜175℃である。
【0029】
乾燥の際の滞留時間は有利に少なくとも10分、特に少なくとも20分、特に有利に少なくとも30分であり、有利に120分まで、特に90分まで、特に有利に60分までである。
【0030】
相対的滞留時間はガス導入温度T〜Tn+a−1を有する温度帯域の滞留時間の合計に関して、有利に少なくとも10%、特に少なくとも15%、有利に25%まで、特に20%まで、特に有利に18%までであり、ガス導入温度Tn+a〜Tn+b−1を有する温度帯域の滞留時間の合計に関して、有利に少なくとも5%、特に少なくとも10%、有利に20%まで、特に16%まで、特に有利に14%までであり、ガス導入温度Tn+b〜Tn+c−1を有する温度帯域の滞留時間の合計に関して、有利に少なくとも80%、特に少なくとも70%、有利に40%まで、特に60%まで、特に有利に68%までであり、それぞれ乾燥機上の全滞留時間に関する。
【0031】
個々の温度帯域aT〜Tn+a−1中の相対的滞留時間は、相対的滞留時間が同じであるように有利に調節する。
【0032】
個々の温度帯域(b−a)Tn+a〜Tn+b−1中の相対的滞留時間は相対的滞留時間が同じであるように有利に調節する。
【0033】
個々の温度帯域(c−b)Tn+b〜Tn+c−1中の相対的滞留時間は相対的滞留時間が同じであるように有利に調節する。
【0034】
乾燥されるヒドロゲルにベルト乾燥機の前方部分で下からおよびベルト乾燥機の後方部分で上からガス流が流れる場合は、流れが逆転する際のヒドロゲルの含水量は有利に少なくとも20質量%、有利に少なくとも24質量%、特に少なくとも26質量%、特に有利に少なくとも28質量%であり、有利に最高40質量%、有利に最高34質量%、特に最高32質量%、特に有利に最高30質量%である。乾燥は有利に温度帯域Tn+b−1〜n+bで流れの逆転が生じるように運転する。
【0035】
流れの逆転後のガス速度を、有利に少なくとも10%、特に少なくとも30%、特に有利に少なくとも40%、有利に100%まで、特に80%まで、特に有利に60%まで高める。
【0036】
ベルト乾燥機に少なくとも部分的に下から流れる場合は、ガス速度は、有利にベルトからヒドロゲルが離れるために必要なガス速度の少なくとも5%、特に少なくとも8%、特に有利に少なくとも10%、有利に30%まで、特に25%まで、特に有利に20%までである。
【0037】
乾燥されるポリマーゲルの含水量は有利に少なくとも30質量%、特に少なくとも40質量%、特に有利に少なくとも50質量%、有利に70質量%まで、特に65質量%まで、特に有利に60質量%までである。
【0038】
乾燥されたポリマーゲルの含水量は有利に少なくとも2質量%、特に少なくとも3質量%、特に有利に少なくとも5質量%、有利に10質量%まで、特に9質量%まで、特に有利に8質量%までである。
【0039】
乾燥は有利に大気圧に対して有利に少なくとも0.5ミリバール、特に少なくとも2ミリバール、特に有利に少なくとも10ミリバール減少した圧力で行う。
【0040】
乾燥機中の大気圧に対して減少した圧力は乾燥機中の有利なガスの流動および均一な乾燥を生じる。
【0041】
本発明に有利な方法は搬送ベルト法(ベルト乾燥機)である。ベルト乾燥機は空気にさらされる生成物の特に穏やかな処理のための対流乾燥装置である。乾燥される生成物は連続するガス透過性搬送ベルト上に供給され、暖めたガス流、有利に空気を使用して流す。
【0042】
生成物層を多く通過する際にできるだけ高い飽和度を達成するために、乾燥ガスを循環する。所定の割合、有利に通過量当たりのガス量の少なくとも10%、特に少なくとも15%、特に有利に少なくとも20%、有利に50%まで、特に40%まで、特に有利に30%までの乾燥ガスが高く飽和した蒸気として乾燥機を離れ、生成物から蒸発した水の量を排出する。
【0043】
乾燥機の大きさおよび構成は処理される生成物、製造能力および乾燥の課題に従う。
【0044】
ベルト乾燥機は単一ベルト、複数のベルト、多工程または多段階装置として形成されてもよい。本発明にとって少なくとも1つのベルトを有するベルト乾燥機の運転が有利である。単一ベルト乾燥機が特に有利である。ベルト乾燥を方法技術的に最適に実施するために、吸水性ポリマーの乾燥特性を選択される処理パラメーターに依存して個々に測定する。ベルトの孔の数およびメッシュ幅は生成物に適合する。電気研磨またはテフロン処理のような所定の表面処理も可能である。
【0045】
最適な生成物の搬送のために、当業者に知られたすべてのチェーン供給ベルト装置およびチェーンなしベルト装置、例えばプレートベルト、薄板ベルト、またはエンドレスプレートベルト、プラスチックまたは金属ネットベルトを使用できる。
【0046】
水溶性ポリマーの経済的な乾燥のために、乾燥機中のガス供給を一貫してエネルギー的に有効な運転にさらす。乾燥特性およびエネルギー利用に関して利点を有する種々のガス供給構想が可能である。排ガス流からの熱を利用して供給される新鮮なガスを予熱するために、エネルギー回収装置を使用できる。
【0047】
ガス供給は以下の構想により行うことができる。十字流で上から、下から、交互に、十字の向流または十字の順流で。十字の向流でのガス供給が有利である。
【0048】
乾燥機の加熱は直接的または間接的に種々の加熱媒体、例えば蒸気、温水、煙道ガス、サーマルオイルまたはガスにより行うことができる。
【0049】
単一ベルト乾燥機は低い構造高さにより際立っている。前記乾燥機は穏やかな乾燥におよび一方のベルトから他方のベルトへのばら材料の移動ができないかまたは好ましい場合に使用される。
【0050】
空間が緻密であり、乾燥時間がきわめて長い場合は、しばしば複数のベルト乾燥機の構想が勧められる。生成物は最も上のベルトに均一に分配され、順次その下に存在する複数のベルトに更に供給される。これは、次の平面に移送および落下する生成物が繰り返し方向転換し、均一化される利点を有する。一方のベルトから次のベルトに移動する間の生成物の移動は凝集物の分解および熱および物質の移動のための新しい自由表面の形成を生じる。
【0051】
多層乾燥機は複数ベルト乾燥機と類似の特徴を有するが、個々の部分は単一ベルト乾燥機のように独立に調節できる。多工程乾燥機は複数の連続して接続された単一ベルト乾燥機からなる。
【0052】
均一生成物の供給は最適な乾燥の必須の前提である。均一生成物の供給は回転可能な、振動分配ベルト、振動シュートまたはスクリュー、振動シュート、または振動コンベアの使用により達成できる。
【0053】
乾燥されるヒドロゲルは有利に回転ベルトを使用してベルト乾燥機のベルトに導入する。充填高さ、すなわち回転ベルトとベルトの垂直方向の距離は有利に少なくとも10cm、特に少なくとも20cm、特に有利に少なくとも30cm、有利に200cmまで、特に120cmまで、特に有利に40cmまでである。
【0054】
ベルト乾燥機上の乾燥されるヒドロゲルの層厚は有利に少なくとも2cm、特に少なくとも5cm、特に有利に少なくとも8cm、有利に最高20cm、特に最高15cm、特に有利に最高12cmである。
【0055】
ベルト乾燥機のベルト速度は有利に少なくとも0.005m/s、特に少なくとも0.01m/s、特に有利に少なくとも0.015m/s、有利に0.05m/sまで、特に0.03m/sまで、特に有利に0.025m/sである。
【0056】
トンネル中の循環搬送装置の孔を有する棚に前記方法により乾燥材料を充填し、乾燥材料をガス/空気混合物を吹き込むことによる搬送中に前記方法で棚の孔により乾燥する搬送ベルト法による乾燥(ベルト乾燥)が吸水ポリマーにとって経済的な乾燥法であり。従って有利である。乾燥材料の乾燥速度は蒸発効率により決定され、蒸発効率はベルト面積1m当たり1時間当たり乾燥される生成物からどれだけ多くのkgの水が乾燥除去されるかを示す。この蒸発効率は経済的な理由からできるだけ高くなるべきである。
【0057】
場合により付加的な反応物質および/または分級工程でアンダー粒子として分離される吸水性ポリマー粒子を混合する、本発明の方法により乾燥されるヒドロゲル構造体はすでに細分されたゲル成形体のそのゆるんだ配置によりかなり大きいゲル表面積を有し、従ってベルト乾燥に経済的に有利な乾燥速度を有する。特に有利な変法において乾燥速度をヒドロゲル粒子への分離剤の供給により更に高めることができる。この場合に分離剤の被覆はヒドロゲル粒子の機械的負荷なしにこのために適当な装置、例えば回転管、ドライス(Drais)ミキサー、すき刃形ミキサー、例えばレーディゲ(Loedige)ミキサー、パターソン−ケリーミキサー、円錐スクリューミキサー中での噴霧により行う。
【0058】
分離剤として、3以上のHLB値(HLB値の定義はW.C.Griffin、J.Soc Cosmetic Chem.5(1954)249を参照)を有する非イオン性、イオン性または両性界面活性剤が適している。接触乾燥機を使用する乾燥でのヒドロゲル粒子の乾燥特性を改良するための界面活性剤の使用は公知であり、欧州特許第0785224号に詳しく記載される。分離剤として機能する界面活性剤の例は欧州特許第0785223号、3頁27行目から4頁38行目に記載される。更に適当な分離剤はシリコーン、不飽和アルコールまたはポリグリコールおよびその誘導体である。記載された種類の化合物の例はドイツ特許第19846413号6頁21行目から42行目に記載される。
【0059】
乾燥の経過中に生じる比較的大きい断片から引き続く細かい粒子への細分化の際に、ポリマーゲルの温度を進行する乾燥の際にできるだけ低く維持し、効率を高め、断片または細かい粒子が互いに付着することを回避することが有利である。これは例えば流動する冷たい空気または循環空気を使用して形成されるポリマーゲルを十分に冷却することにより達成することができ、その際蒸発冷体によりポリマー材料の自動的冷却が生じる。
【0060】
ポリマーゲルはこうして例えば流動乾燥によりベルト上で乾燥する。
【0061】
本発明の方法により、乾燥特性指数(TQI)が一般に最高8、有利に最高で6、有利に最高で4、特に最高で2、特に有利に最高で1、一般に少なくとも0.01であるように水性ポリマーゲルを乾燥することが可能である。
【0062】
水性ポリマーゲルの製造の際に、少なくとも部分的に、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有し、少なくとも2個のエチレン性不飽和基が少なくとも1個のエステル基を介して互いに結合している架橋剤、たとえば不飽和モノまたはポリカルボン酸とポリオールのエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールまたはエチレングリコールのジアクリレートまたはメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステルおよびポリアリルエステルを使用する場合に本発明の方法が特に有利である。
【0063】
水性ポリマーゲルは、
a)少なくとも1個のエチレン性不飽和、酸基を有するモノマー
b)少なくとも1種の架橋剤
c)場合により1個以上の、モノマーa)と共重合可能なエチレン性および/またはアリル不飽和モノマー、および
d)モノマーa)、b)および場合によりc)が少なくとも部分的にグラフトされていてもよい、場合により1個以上の水溶性ポリマー
を有するモノマー溶液の重合により得られる。
【0064】
適当なモノマーa)は例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸またはその誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、およびメタクリル酸エステルである。アクリル酸が特に有利である。
【0065】
モノマーa)、特にアクリル酸は有利にヒドロキノン半エーテル0.025質量%までを含有する。有利なヒドロキノン半エーテルはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはトコフェロールである。
【0066】
トコフェロールは、以下の式:
【化1】

(式中、Rは水素またはメチルであり、Rは水素またはメチルであり、Rは水素またはメチルであり、Rは水素または1〜20個の炭素原子を有する酸基である)の化合物である。
【0067】
の有利な基はアセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル、および他の生理的に認容されるカルボン酸である。カルボン酸はモノ−、ジ−またはトリカルボン酸であってもよい。
【0068】
、R、Rがメチルであるα−トコフェロール、特にラセミ体α−トコフェロールが有利である。Rは特に有利に水素またはアセチルである。RRR−α−トコフェロールが特に有利である。
【0069】
モノマー溶液は有利にそれぞれアクリル酸に対して有利に最高130質量ppm、特に最高70質量ppm、有利に最低10質量ppm、特に最低30質量ppm、特に50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際アクリル酸としてアクリル酸塩を考慮する。例えばモノマー溶液の製造に相当する含量のヒドロキノン半エーテルを有するアクリル酸を使用できる。
【0070】
架橋剤b)はポリマーネットワークにラジカル共重合できる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適当な架橋剤b)は例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、例えば欧州特許第0530438号に記載されるもの、ジ−およびトリアクリレート、例えば欧州特許第0547847号、欧州特許第059476号、欧州特許第0632068号、WOA93/21237号、WOA03/104299号、WOA03/104300号、WOA03/104301号、およびドイツ特許第10331450号に記載されるもの、アクリレート基のほかに別のエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート、例えばドイツ特許10331456号および先願のドイツ特許出願番号10355401.7号に記載されるもの、または架橋剤混合物、例えばドイツ特許第19543368号、ドイツ特許第19646484号、WOA90/15830号およびWOA02/32962号に記載されるものである。
【0071】
適当な架橋剤b)は特にN,N´−メチレンビスアクリルアミド、およびN,N´−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノまたはポリカルボン酸とポリオールのエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールまたはエチレングリコールのジアクリレートまたはメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート、およびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、燐酸のアリルエステルおよびビニルホスホン酸誘導体、たとえば欧州特許第0343427号に記載されるものである。更に適当な架橋剤b)はペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、およびペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル、およびそのエトキシル化誘導体である。ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが本発明の方法に使用することができ、その際使用されるポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0072】
特に有利な架橋剤b)は3〜15箇所エトキシル化されたグリセリン、3〜15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパン、3〜15箇所エトキシル化されたトリメチロールエタンのジ−およびトリアクリレート、特に2〜6箇所エトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、3箇所プロポキシルされたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、および3箇所混合されたエトキシル化またはプロポキシル化グリセリンまたはトリメチロールプロパン、15箇所エトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパンおよび40箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンのジ−およびトリアクリレートである。
【0073】
特に有利な架橋剤b)はアクリル酸またはメタクリル酸と一緒にジまたはトリアクリレートにエステル化される多くエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリン、例えばWOA03/104301号に記載されるものである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジ−またはトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジ−またはトリアクリレートが特に有利である。3〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。これは吸水性ポリマー中の特に低い残留含量、典型的に10質量ppm未満により特徴付けられ、これとともに製造された吸水性ポリマーの水性抽出物は同じ温度の水に比べてほとんど変化しない表面張力、典型的に少なくとも0.068N/mを有する。
【0074】
モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)は例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート、およびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0075】
水溶性ポリマーd)としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、ポリグリコール、またはポリアクリル酸、有利にポリビニルアルコールおよび澱粉を使用できる。
【0076】
有利な重合抑制剤は溶解した酸素の最適な作用に必要である。従って重合抑制剤は重合の前に不活性化、例えば不活性ガス、有利に窒素の貫流により溶解した酸素から分離できる。有利に重合前のモノマー溶液の酸素含量を1質量ppm未満、特に0.5質量ppm未満に低下する。
【0077】
適当な基礎ポリマーの製造および他の適当な親水性エチレン性不飽和モノマーd)はドイツ特許第19941423号、欧州特許第0686650号、WOA01/45758号およびWOA03/104300号に記載される。
【0078】
吸水性ポリマーは一般に水性モノマー溶液の重合および場合により引き続くヒドロゲルの粉砕により得られる。適当な製造方法は文献に記載されている。吸水性ポリマーは例えば
バッチ法または管状反応器中でゲル重合し、引き続き肉ひき機、押出し機または混練機中で粉砕し(欧州特許0445619号、ドイツ特許第19846413号)、
混練機中で重合し、その際例えば向かい合う攪拌軸により連続的に粉砕し(WOA01/38402号)、
ベルト上で重合し、引き続き肉ひき機、押出し機または混練機中で粉砕し(ドイツ特許第3825366号、米国特許第6241928号)、
乳化重合し、その際すでにビーズ重合体はかなり狭いゲルサイズ分布を生じ(欧州特許第0457660号)、
多くの場合に連続的運転で予め水性モノマー溶液を噴霧した織物層をその場で重合し、引き続き光重合する(WOA02/94328号、WOA02/94329号)
ことにより取得することができる。
【0079】
反応は有利に混練機中で、例えばWOA01/38402号に記載されるように、またはベルト反応器上で、例えば欧州特許第0955086号に記載されるように実施する。
【0080】
得られたヒドロゲルの酸基は一般に部分的に、有利に25〜85モル%、有利に27〜80モル%、特に27〜30モル%、または40〜75モル%中和され、その際一般的な中和剤、有利にアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩およびその混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりにアンモニウム塩を使用できる。アルカリ金属としてナトリウムおよびカリウムが有利であり、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびその混合物が特に有利である。一般に中和は水溶液としてまたは有利に固体として中和剤の混入により達成される。例えば水酸化ナトリムは23℃より高い融点を有するワックス状物質として明らかに50質量%未満の含水量を有して存在する。この場合に高温での断片材料または溶融物としての供給が可能である。
【0081】
中和は重合の後にヒドロゲルの段階で行うことができる。中和剤の一部をすでにモノマー溶液に添加し、重合後にヒドロゲルの段階で所望の最終中和度に調節することにより、重合の前に酸基の40モル%まで、有利に10〜30モル%、特に15〜25モル%を中和することができる。中和剤の混入によりモノマー溶液を中和することができる。例えば肉ひき機を使用してヒドロゲルを機械的に粉砕することができ、その際中和剤を噴霧、散布または注入し、引き続き入念に混合することができる。このために得られたゲル材料を更に数回均一化することができる。最終中和度までのモノマー溶液の中和が有利である。
【0082】
引き続き得られた水性ヒドロゲルを前記の本発明の方法により乾燥する。
【0083】
乾燥したヒドロゲルの引き続く処理は本発明の方法では重要でない。本発明の方法は例えば更に粉砕、分級および/または後架橋を含むことができる。
【0084】
乾燥したヒドロゲルは有利に粉砕し、分級し、その際粉砕のために一般にロールミル、ピンミル、または振動ミルを使用できる。分級し、乾燥したヒドロゲルの粒度は有利に1000μm未満、特に900μm未満、特に有利に800μm未満、有利に100μmより大きく、特に150μmより大きく、特に有利に200μmより大きい。
【0085】
106〜850μmの粒度(シーブ部分)が特に有利である。粒度はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.420.2−02、粒度分布により測定する。
【0086】
基礎ポリマーは有利に引き続き表面後架橋する。このために適当な後架橋剤はヒドロゲルのカルボキシレート基と共有結合を形成できる少なくとも2個の基を有する化合物である。適当な化合物は例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−またはポリグリシジル化合物、例えば欧州特許第0083022号、欧州特許第543303号、および欧州特許第937738号に記載されるもの、二官能性または多官能性アルコール、例えばドイツ特許第3314019号、ドイツ特許第3523617号、および欧州特許第450922号に記載されるもの、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド、例えばドイツ特許第10204938号および米国特許第6239230号に記載されるものである。
【0087】
更にドイツ特許第4020780号に環状炭酸塩、ドイツ特許第19807502号に2−オキサゾリドンおよびその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドン、ドイツ特許第19807992号にビス−およびポリ−2−オキサゾリジノン、ドイツ特許第19854573号に2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体、ドイツ特許第19854574号にN−アシル−2−オキサゾリドン、ドイツ特許第10204937号に環状尿素、ドイツ特許第10334584号に二環式アミドアセテート、欧州特許第1199327号にオキセタンおよび環状尿素およびWOA03/031482号にモルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が適当な表面後架橋剤として記載されている。
【0088】
後架橋は一般に表面後架橋剤の溶液をヒドロゲルまたは乾燥基礎ポリマー粉末に噴霧するように実施する。噴霧に続いてポリマー粉末を熱により乾燥し、その際架橋反応を乾燥の前にまたは間に行うことができる。
【0089】
架橋剤溶液の噴霧は有利に可動性混合工具を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、円板ミキサー、すき刃形ミキサーおよびシャベル形ミキサー中で行う。垂直方向の混合機が有利であり、すき刃形ミキサーおよびシャベル形ミキサーが特に有利である。適当な混合機は例えばレーディゲ(Loedige)ミキサー、ベペクス(Bepex)ミキサー、ナウタ(Nauta)ミキサー、プロセサル(Processall)ミキサーおよびシューギ(Schugi)ミキサーである。
【0090】
熱による乾燥は有利に接触乾燥機、特にシャベル形乾燥機、特に有利に円板乾燥機中で行う。適当な乾燥機は例えばベペクス(Bepex)乾燥機およびナラ(Nara)乾燥機である。更に流動床乾燥機を使用することができる。
【0091】
乾燥は混合機中自体で、外被の加熱によりまたは暖かい空気を吹き込むことにより行うことができる。後方に接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管状炉、または加熱可能なスクリューが同様に適している。しかし乾燥法として例えば共沸蒸留も利用できる。
【0092】
有利な乾燥温度は50〜250℃、有利に50〜200℃、特に50〜150℃の範囲である。反応混合機または乾燥機中のこの温度での有利な滞留時間は30分未満、特に10分未満である。
【0093】
本発明の他の対象は前記方法により得られる吸水性ポリマーである。
【0094】
本発明による吸水性ポリマーは典型的に少なくとも10g/g、有利に少なくとも15g/g、特に少なくとも20g/g、一般に100g/g未満の遠心保留能力(CRC)を有する。遠心保留能力(CRC)はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.441.2−02、遠心保留能力により測定する。
【0095】
本発明による吸水性ポリマーは典型的に0.3psi(2.07kPa)の圧力下で少なくとも10g/g、有利に少なくとも15g/g、特に少なくとも20g/g、一般に60g/g未満の吸収を有する。圧力下の吸収(AUL)はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.422.2−02、圧力下の吸収により測定する。
【0096】
本発明の他の対象は前記方法により製造される吸水性ポリマー粒子を使用することからなる、衛生用品、特にオムツの製造方法である。
【0097】
本発明の他の対象は、吸水性ポリマーを乾燥する装置であり、前記装置は
i)少なくとも1個のガス透過性搬送ベルト
ii)少なくとも1個の搬送ベルトi)は、少なくとも1個の搬送ベルトi)に、温度の異なる少なくとも2個の加熱したガス流を供給できる装置に結合されている
iii)少なくとも1個のガス予熱器
iv)搬送ベルトi)に上から配向される少なくとも1個のガス供給管
v)場合により搬送ベルトi)に下から配向される少なくとも1個のガス供給管、その際搬送ベルトi)はまず下から流すことができる
vi)圧力を低下する少なくとも1個の装置
を有する。
【0098】
装置ii)は例えば少なくとも2個の独立したガス予熱器からまたは1個のガス予熱器からなっていてもよく、その際加熱されたガス流は分かれ、分流の温度は排ガスまたは新鮮なガスの混合により互いに独立に調節できる。
【0099】
装置ii)により供給できる異なる温度のガス流の数は有利に少なくとも6、有利に少なくとも8、特に少なくとも10、特に有利に少なくとも12である。
【0100】
加熱は、ガス流の温度が熱供給の前より高い、有利に少なくとも10℃高い、有利に少なくとも20℃高い、特に有利に少なくとも30℃高い、きわめて有利に少なくとも40℃高くなるようにガス流に熱エネルギーを供給する可能性が存在することを意味する。
【0101】
装置vi)として、例えば乾燥機中の圧力が周囲より低くなるように乾燥機からガスが供給されるように配置される圧縮装置が適している。
【0102】
本発明の他の対象は、吸水性ポリマーを乾燥する装置であり、前記装置は
i)少なくとも1個のガス透過性搬送ベルト
ii)少なくとも1個の搬送ベルトi)は、少なくとも1個の搬送ベルトi)に、温度の異なる少なくとも2個の加熱したガス流を供給できる装置に結合されている
iii)少なくとも1個のガス予熱器
iv)搬送ベルトi)に上から配向される少なくとも1個のガス供給管
v)場合により搬送ベルトi)に下から配向される少なくとも1個のガス供給管、その際搬送ベルトi)はまず下から流すことができる
vi)圧力を低下する少なくとも1個の装置
を有する。
【0103】
装置ii)により供給できる温度の異なるガス流の数は有利に少なくとも11、有利に少なくとも12、特に少なくとも13、特に有利に少なくとも14である。
【0104】
本発明の方法は簡単な方法ですぐれた吸収特性により際立つ吸水性ポリマーの製造を可能にする。本発明の方法により重合の際に生じる水性ポリマーゲルが穏やかにかつ経済的に乾燥する。本発明の乾燥により生成物特性はわずかな影響しか受けない。この方法で得られる吸水性ポリマーは水性液体を吸収し、保留することに関係する分野に、きわめて広い範囲で使用できる。有利な使用分野は衛生用品の分野のほかに特に農業の分野および他の工業的使用分野である。
【0105】
後架橋の特性を評価するために、乾燥した吸水性ポリマー粒子を以下に記載する試験法により試験する。
【0106】
方法
測定は、他に記載されない限り、23±2℃の周囲温度、および50±10%の相対的大気湿度で行うべきである。吸水性ポリマーは測定の前に十分に混合する。
【0107】
遠心保留能力(CRC)
吸水性ポリマー粒子の遠心保留能力はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.441.2−02、遠心保留能力により測定する。
【0108】
抽出可能性
吸水性ポリマー粒子中の抽出可能性の分量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により勧められる試験法No.470.2−02、抽出可能性により測定する。
【0109】
含水量
含水量は、Modern Superabsorbent Polymer Technologyの論文、F.L.Buchholz、A.T.GRaham、Wiley−VCH、1998、143および144頁に記載される方法により測定する。このためにヒドロゲル試料1gをLCカラム中で、ヘリウム雰囲気下、180℃で1時間乾燥し、質量の損失により水分含量を求める。
【0110】
乾燥特性指数(TQI)
乾燥特性指数を測定するために、粉砕した水性ポリマーゲルから重合の後に試料を取り出し、濾過平面を有するプレート上に均一に薄い層に分配し、引き続き100ミリバール未満の圧力で、真空中、80℃で24時間乾燥する。この乾燥は生成物がきわめて損なわれない。引き続き乾燥したヒドロゲルを粉砕し、300〜600μmのシーブフラクションを単離する(ポリマー1)。
【0111】
検査される乾燥法により乾燥したヒドロゲル試料を同様に粉砕する。引き続き300〜600μmのシーブフラクションを単離する(ポリマー2)。
【0112】
乾燥した吸水性ポリマーを遠心保留能力(CRC)および抽出可能性の分量の測定により特性化する。付加的に水分含量を測定し、これらの特性の算定の際に計算により考慮する。典型的に水分含量は約5質量%である。
【0113】
引き続き測定値から乾燥特性指数(TQI)を決定し、特性指数は以下のように計算する。
TQI=0.5×(CRC[g/g]−CRC[g/g])+0.5×(抽出可能性[%]−抽出可能性[%])
ここで桁の低い数字はポリマー1および2を表す。乾燥特性指数が大きいほど、乾燥作業により遠心保留能力が増加し、抽出可能性の分量が増加し、両方の貢献は同じ重みを有する。乾燥特性指数の高さは水性ポリマーゲルの乾燥条件により吸水性ポリマーの特性がどれだけ強く変動するかを示す。この場合に低い乾燥特性指数は穏やかな乾燥を意味する。
【0114】
EDANA試験法は、例えばEuropean Disposables and Nonwovens Association、Avenue Eugene Plasky157,B−1030、Bruessel、Belgieにより入手できる。
【0115】
実施例
ポリマーゲルの製造
水、50質量%苛性ソーダ溶液、およびアクリル酸の連続的混合により、中和度71.3モル%であるように38.8質量%アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造した。モノマー溶液の固形分は38.8質量%であった。モノマー溶液を成分の混合後に熱交換機により連続的に29℃の温度に冷却し、窒素でガス抜きした。
【0116】
多重エチレン性不飽和架橋剤としてポリエチレングリコール−400−ジアクリレート(平均分子量400g/モルを有するポリエチレングリコールのジアクリレート)を使用する。使用量はモノマー溶液1t当たり2kgであった。
【0117】
ラジカル重合を開始するために、以下の成分を使用した。過酸化水素(モノマー溶液1t当たり1.03kg(0.25質量%))、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(モノマー溶液1t当たり3.10kg(15質量%))、アスコルビン酸(モノマー溶液1t当たり1.05kg(1質量%))。
【0118】
モノマー溶液の供給量は18t/hであった。
【0119】
個々の成分を連続的に反応器、体積6.3mを有する接触混合機、Contikneter(List社、Arisdorf、スイス)に以下の量で供給する。
モノマー溶液 18t/h
ポリエチレングリコール−400−ジアクリレート 36kg/h
過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液 74.34kg/h
アスコルビン酸溶液 18.9kg/h。
【0120】
反応器の端部に付加的に150μm未満の粒度を有する分離したアンダー粒子750〜900kg/hを供給した。
【0121】
反応溶液は供給側で23.5℃の温度を有した。反応器を38rpmの軸の回転数で運転した。反応器中の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0122】
得られた生成物ゲル中で0.6質量%(固形分に対して)の残留アクリル酸含量および45.0質量%の固形分を分析により測定した。50mm以上の直径を有する場合により存在するゲル粒子を分離した。
【0123】
例1〜4
重合およびゲル粉砕後に水性ポリマーゲルをベルト乾燥機上に供給した。55質量%の含水量を有する水性ポリマーゲル全部で18.3t/hを乾燥した。ゲルを30cmの高さから回転ベルトを使用して乾燥機の搬送ベルトに導入した。ゲル層の高さは約10cmであった。
【0124】
乾燥機ベルトのベルト速度は0.02m/sであり、乾燥機ベルトの滞留時間は約37分であった。
【0125】
ベルト乾燥機は、ガス導入温度を互いに独立に調節できる全部で6個の温度帯域に分かれた。温度帯域T〜T中の滞留時間は以下のとおりであった(n=1、a=2、b=3、c=6)。
【0126】
【表1】

【0127】
温度帯域T〜Tにおいてベルトを下から空気とともに流した。空気速度は1.2m/sであった。
【0128】
温度帯域T〜Tにおいてベルトを上から空気とともに流した。空気速度は1.8m/sであった。
【0129】
個々の温度帯域のガス導入温度を表1におよび測定結果を表2に記載する。
【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
例5〜7
重合およびゲル粉砕後に水性ポリマーゲルをベルト乾燥機上に供給した。55質量%の含水量を有する水性ポリマーゲル全部で18.3t/hを乾燥した。ゲルを30cmの高さから回転ベルトを使用して乾燥機の搬送ベルトに導入した。ゲル層の高さは約10cmであった。
【0133】
乾燥機ベルトのベルト速度は0.02m/sであり、乾燥機ベルトの滞留時間は約37分であった。
【0134】
ベルト乾燥機は、ガス導入温度を互いに独立に調節できる全部で6個の温度帯域に分かれた。温度帯域T〜T中の滞留時間は以下のとおりであった(n=1、a=2、b=3、c=6)。
【0135】
【表4】

【0136】
搬送ベルトはそれぞれの温度帯域中で互いに独立に選択的に下からまたは上から流すことができた。空気を逆転した場合の含水量は滞留時間により調節した。このために下からまたは上から流した温度帯域の数を相当して変動した。
【0137】
前方の温度帯域中でベルトを下から空気とともに流した。空気速度は1.2m/sであった。
【0138】
後方の温度帯域中でベルトを上から空気とともに流した。空気速度は1.8m/sであった。
【0139】
調節されたパラメーターを表3におよび測定結果を表4に記載する。
【0140】
【表5】

【0141】
【表6】

【0142】
例8〜10
重合およびゲル粉砕後に水性ポリマーゲルをベルト乾燥機上に供給した。55質量%の含水量を有する水性ポリマーゲル全部で18.3t/hを乾燥した。ゲルを30cmの高さから回転ベルトを使用して乾燥機の搬送ベルトに導入した。ゲル層の高さは約10cmであった。
【0143】
乾燥に有効な搬送ベルトの長さは44mであった。
【0144】
ベルト乾燥機は、ガス導入温度を互いに独立に調節できる全部で6個の温度帯域に分かれた。温度帯域T〜T中の滞留時間は以下のとおりであった(n=1、a=2、b=3、c=6)。
【0145】
【表7】

【0146】
ベルト乾燥機中の滞留時間はベルト速度により調節した。ヒドロゲル層がベルトから離れる際のガス速度は11m/sであった。
【0147】
温度帯域T〜Tにおいてベルトを下から空気とともに流した。
【0148】
温度帯域T〜Tにおいてベルトを上から空気とともに流した。空気速度は1.8m/sであった。
【0149】
調節されたパラメーターを表5におよび測定結果を表6に記載する。
【0150】
【表8】

【0151】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー溶液を重合させ、得られたヒドロゲルを暖めたガス流を使用して乾燥することによる低い乾燥特性指数を有する吸水性ポリマーの製造方法において、
乾燥を少なくとも2個の温度帯域中で実施し、その際ガス導入温度は、TがTn+aに等しくない条件を満たし、その際指数nおよびaはそれぞれ0より大きい整数である
および/または
ガス流を、ヒドロゲルに対してベルト乾燥機の前方部分で下からおよびベルト乾燥機の後方部分で上から流し、その際ヒドロゲルの含水量15〜45質量%で流れの逆転を行う
および/または
ヒドロゲル層に対してベルト乾燥機中で少なくとも部分的に下から流し、その際ガス速度が、ベルトからヒドロゲルが離れるために必要なガス速度の5〜30%である
ことを特徴とする、吸水性ポリマーの製造方法。
【請求項2】
ガス導入温度が、TがTn+aより大きい条件を満たす請求項1記載の方法。
【請求項3】
乾燥を少なくとも3個の温度帯域中で実施し、その際ガス導入温度が、Tn+aがTn+bより小さい条件を満たし、指数bがaより大きい整数である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ガス導入温度が、TがTn+bより大きい条件を満たす請求項3記載の方法。
【請求項5】
〜Tn+a−1の温度帯域の少なくとも2個でのガス導入温度がTn+rがTn+sより大きい条件を満たし、その際指数aは1より大きい整数であり、指数rは0〜(a−2)の整数であり、指数sは(r+1)〜(a−1)の整数である請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
温度帯域Tn+b〜Tn+c−1の少なくとも2個でのガス導入温度がTn+uがTn+vより大きい条件を満たし、その際指数cは(b+1)より大きい整数であり、指数uはb〜(c−2)の整数であり、指数vは(u+1)〜(c−1)の整数である請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
温度帯域Tn+b〜Tn+c−1の少なくとも3個でのガス導入温度がTn+uがTn+vより大きく、Tn+vがTn+wより大きい条件を満たし、その際指数cは(b+2)より大きい整数であり、指数uはb〜(c−3)の整数であり、指数vは(u+1)〜(c−2)の整数であり、指数wは(v+1)〜(c−1)の整数である請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ガス導入温度の温度差が少なくとも2℃である請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ガス流を、ヒドロゲルに対してベルト乾燥機の前方部分で下から流し、ベルト乾燥機の後方部分で上から流し、その際20〜40質量%のヒドロゲルの含水量において流れの逆転を行う請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ヒドロゲル層を流れるガス流の速度が流れの逆転の後に高まる請求項9記載の方法。
【請求項11】
ヒドロゲル層に対して少なくとも部分的に下から流し、その際ガス速度がヒドロゲルをベルトから離すために必要であるガス速度の10〜20%である請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ヒドロゲルが乾燥の前に30〜70質量%の含水量を有する請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ヒドロゲルが乾燥の後に1〜10質量%の含水量を有する請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ヒドロゲル層を流れるガス流の速度が0.5〜5m/sである請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ヒドロゲル層を流れるガス流が最高で50℃の露点に相当する水蒸気部分を有する請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
ヒドロゲル層を流れるガス流の温度が50〜250℃である請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
乾燥機中のヒドロゲルの滞留時間が10〜120分である請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
乾燥の際の圧力が大気圧より低い請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ベルト上のヒドロゲルの供給高さが10〜200cmである請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
ベルト速度が0.005〜0.05m/sである請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
ヒドロゲルの乾燥の際の乾燥特性指数が最高8である請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
予熱されたガスが流れることができるガス透過性搬送ベルトおよび少なくとも1個の圧力を低下する装置からなる吸水性ポリマーを乾燥する装置であり、少なくとも2個の温度帯域が形成されるようにガス導入温度を調節することができる吸水性ポリマーを乾燥する装置。
【請求項23】
予熱されたガスが流れることができるガス透過性搬送ベルトからなる吸水性ポリマーを乾燥する装置であり、少なくとも10個の温度帯域が形成されるようにガス導入温度を調節することができる吸水性ポリマーを乾燥する装置。
【請求項24】
搬送ベルトに対して前方部分で下からおよび後方部分で上から流すことができる請求項22または23記載の装置。
【請求項25】
請求項22から24までのいずれか1項記載の装置の吸水性ポリマーを乾燥するための使用。
【請求項26】
請求項1から21までのいずれか1項記載の方法により製造された吸水性ポリマーの使用を含む衛生用品を製造する方法。

【公表番号】特表2008−534707(P2008−534707A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502424(P2008−502424)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061010
【国際公開番号】WO2006/100300
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】