説明

吸水性ポリマー粒子を被覆する方法

本発明は、吸水性ポリマー粒子の製造方法に関し、その際、ミキサー中で、少なくとも1種の断熱及び/又は随伴加熱されたスプレーノズルを用いて、吸水性ポリマー上に液体を噴霧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子の製造方法に関し、その際、ミキサー中で、少なくとも1種の断熱及び/又は随伴加熱(begleitbeheizten)されたスプレーノズルを用いて、吸水性ポリマー上に液体を噴霧する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、研究論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71〜103頁に記載されている。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するための水溶液を吸収する製品として使用され、また一方で農業園芸における保水剤としても使用される。
【0004】
吸水性ポリマーの特性は、架橋度によって調節されうる。架橋度が高まるにつれて、ゲル強度が高まり、かつ遠心保持容量(CRC)が低下する。
【0005】
適用特性、例えばおむつ中での膨潤したゲル床の浸透性(SFC)及び荷重下吸収量(AUL 0.9psi)を改善するために、吸水性ポリマー粒子は一般に後架橋される。それによって粒子表面の架橋度のみが高まり、そうして圧力下での吸収量(AUL)と遠心保持容量(CRC)との関連性を少なくとも部分的になくすことができる。この後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。好ましくは、乾燥、粉砕及び篩分されたポリマー粒子(ベースポリマー)が表面で後架橋剤により被覆され、熱的に後架橋され、かつ乾燥される。このために適切な架橋剤は、吸水性ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成することができる少なくとも2個の基を有する化合物である。
【0006】
浸透性(SFC)をさらに改善するために、粒子表面を、例えば無機不活性物質、カチオンポリマー及び/又は多価金属カチオン溶液での被覆によってさらに改質化することができる。
【0007】
EP1191051A2には、吸水性ポリマー粒子の後架橋の際に、広範囲の噴霧角を備えたスプレーノズルの使用が記載されている。これに関して噴霧された後架橋溶液は、好ましくは、予め装入された吸水性ポリマー粒子よりも低い温度を示す。
【0008】
US2004/0181031A1では、後架橋のための方法が開示されており、その際、吸水性ポリマー粒子は、熱的後架橋後に、空気流中で冷却される。
【0009】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子の製造のための改善された被覆方法を提供することであった。
【0010】
さらに本発明の課題は、可能な限り均一に被覆された吸水性ポリマー粒子を、高い浸透性(SFC)及び少ないダスト量で製造することが可能な被覆方法を見出すことである。
【0011】
本発明の他の課題は、ほとんど中断のない被覆方法を提供することである。
【0012】
前記課題は、乾燥、粉砕及び分級を含み、その際、ミキサー中で、少なくとも1個のスプレーノズルを用いて、液体を吸水性ポリマー粒子上に噴霧するものであって、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、この場合、このモノマーは少なくとも部分的に中和することができ、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合によっては1種又はそれ以上のa)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー及び
d)場合によっては1種又はそれ以上の水溶性ポリマー、
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合によって、吸水性ポリマー粒子を製造する方法によって解決され、この場合、この方法は、少なくとも1個のスプレーノズルが断熱及び/又は随伴加熱されていることを特徴とする。
【0013】
断熱とは、スプレーノズルの外部表面が、少なくとも部分的に他の材料層を有し、その際、他の材料層の材料は、スプレーノズルの材料よりも少ない熱伝導性を示すことを意味する。該他の材料層の材料の熱伝導性は20℃の場合に、好ましくは2Wm−1−1未満、殊に好ましくは0.5Wm−1−1未満、特に好ましくは0.1Wm−1−1未満である。
【0014】
随伴加熱とは、スプレーノズルに付加的な熱エネルギーを、例えば電気エネルギー又は熱担体を貫流する熱ジャケットを用いて供給することを意味する。適した熱担体は、市販の熱担体油、例えばMarlotherm(R)、蒸気又は熱水である。
【0015】
混合の際に使用される供給材料、すなわち吸水性ポリマー粒子又は噴霧すべき液体を介して可能な熱供給は、本発明の範囲内において随伴加熱ではない。
【0016】
適した液体は23℃で液体の原料の他、溶液、分散液及び溶融液である。本発明による方法は、特に、水性溶液又は分散液を用いての被覆に適している。
【0017】
本発明による方法は、好ましくは少なくとも1つの後架橋を含む。本発明の特に好ましい実施態様において、液体を後架橋されたポリマー粒子上に噴霧する。
【0018】
本発明による方法はほとんど中断されることなく、したがって連続式ミキサーのために特に適している。
【0019】
ミキサーの充填度合いは好ましくは30〜80%、殊に好ましくは40〜75%、特に好ましくは50〜70%である。
【0020】
あまりにも高い含水率は、吸水性ポリマー粒子の凝集化傾向を増加させる。したがって、本発明による方法において使用された吸水性ポリマー粒子の含水率は、好ましくは20質量%未満、殊に好ましくは10質量%未満、特に好ましくは1質量%未満である。
【0021】
吸水性ポリマー粒子の温度は、好ましくは40〜80℃、殊に好ましくは45〜75℃、特に好ましくは50〜70℃である。
【0022】
スプレーノズルの温度は、吸水性ポリマー粒子の温度よりも好ましくは1〜20℃、殊に好ましくは2〜15℃、特に好ましくは5〜10℃高い。
【0023】
断熱されたスプレーノズルの場合には、噴霧すべき液体の温度は、吸水性ポリマー粒子の温度よりも好ましくは1〜20℃、殊に好ましくは2〜15℃、特に好ましくは5〜10℃高い。噴霧すべき液体の温度は、おおよそスプレーノズルの温度に相当する。
【0024】
随伴加熱され、かつ場合によっては断熱されたスプレーノズルの場合には、吸水性ポリマー粒子と噴霧する液体との間の温度差は、好ましくは20℃未満、殊に好ましくは10℃未満、特に好ましくは5℃未満、とりわけ好ましくは2℃未満である。
【0025】
液体は、好ましくは二液ノズルを介して、殊に好ましくは内部混合二液ノズルを介して噴霧する。
【0026】
二液ノズルは、微細な液滴又は霧の形でスプレーすることを可能にする。スプレー形態として、円状又は楕円状の中実又は中空の円錐を形成する。二液ノズルは、外部混合式又は内部混合式であってもよい。外部混合式二液ノズルの場合には、液体及びスプレーガスをノズル頭部から別個の開口部により搬出する。これは、スプレーノズルからの搬出後にのち、スプレージェットの形で混合する。これは、広い範囲で、液滴径分散と流量を無関係に調節することを可能にする。スプレーノズルの噴霧円錐は、エアキャップ調整により、調整することができる。内部混合式二液ノズルの場合には、液体及びスプレーガスは、スプレーノズル内部で混合され、かつ二相混合物がノズル頭部からその孔を介して(又は複数個の並列の孔を介して)搬出される。内部混合式二液ノズルの場合には、外部混合式スプレーノズルの場合よりも、質量比及び圧力条件が強い関連性を有する。したがって、流量のわずかな変更は液滴径分散の変化を招く。好ましい流量への調整は、ノズル孔の選択された断面を介して実施する。
【0027】
スプレーガスとしては、0.5bar又はそれ以上の加圧空気、ガス又は水蒸気である。液滴の大きさは、液体質量流とスプレーガス質量流との比並びにガス及び液体圧により、個々に調整することができる。
【0028】
噴霧する液体とスプレーガスとの間の温度差は、好ましくは20℃未満、殊に好ましくは10℃未満、特に好ましくは5℃未満、とりわけ好ましくは2℃未満である。
【0029】
本発明による方法において、当業者に公知のすべてのミキサーを使用することができる。液体は、高速ミキサー中さらには低い攪拌速度を有するミキサー中であっても噴霧することができる。好ましくは、可動式混合装置を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー、プローシェアミキサー、パドルミキサー、スクリューベルトミキサー、Schugi-ミキサー及びフローミキサーを使用する。
【0030】
回転式混合装置を備えたミキサーは、回転軸の位置にしたがって竪型ミキサーと横型ミキサーとに分類される。好ましい竪型ミキサーは、Schugi−ミキサーである。好ましい横型ミキサーはフローミキサーである。
【0031】
竪型ミキサー中の滞留時間は、好ましくは0.1〜15秒、殊に好ましくは0.25〜10秒、特に好ましくは0.5〜5秒である。
【0032】
竪型ミキサー中の混合装置の周速は、好ましくは2.5〜50m/s、殊に好ましくは5〜40m/s、特に好ましくは10〜30m/sである。
【0033】
横型ミキサー中での滞留時間は、好ましくは1〜180分、殊に好ましくは2〜60分、特に好ましくは5〜20分である。
【0034】
横型ミキサー中の混合装置の周速度は、好ましくは0.1〜10m/s、殊に好ましくは0.5〜5m/s、特に好ましくは0.75〜2.5m/sである。
【0035】
吸水性ポリマー粒子は、横型ミキサー中で、好ましくは0.01〜6、殊に好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜0.7のフルード数に相当する速度で移動する。
【0036】
水平に設置された混合装置を備えたミキサーに関して、該フルード数は以下のようにして定義される:
【数1】

【0037】
特に好ましい実施態様において、液体を、移動するポリマー粒子層の生成物表面下、好ましくは少なくとも10mm、殊に好ましくは少なくとも50mm、特に好ましくは少なくとも100mmに噴霧し、すなわち、スプレーノズルは生成物床中に浸漬されている。
【0038】
この生成物表面とは、ミキサー中で移動する吸水性ポリマー粒子と重層する雰囲気との間に設定される境界面である。
【0039】
横型ミキサー中で、ミキサー軸とスプレーノズルの供給口との間の角度は、好ましくは約90゜である。液体は、上部から垂直に供給される。供給は、同様に側方から斜めにすることも可能であり、その際、垂線に対する角度は好ましくは60〜90゜、殊に好ましくは70〜85゜、特に好ましくは75〜82.5゜である。供給口の斜めの配置は、短い供給管の使用及びそれに伴うミキサー操作中における少ない機械的負荷を可能にする。
【0040】
特に好ましい実施態様において、スプレーノズルは回転軸下に存在し、かつ回転方向に噴霧する。この配置によって被覆された吸水性ポリマー粒子は、スプレーノズルから適した方法で移送される。斜め配置との組合せにおいて、さらにスプレーノズルをミキサーの操作中において、生成物を排出することなしに交換することが可能である。
【0041】
適した液体は、例えば、無機不活性物質の分散液、カチオンポリマーの溶液又は分散液、2価又は多価金属カチオンの溶液並びにポリオール又はその溶液である。
【0042】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃での水中での溶解度は、典型的には、少なくとも1g/100g 水、好ましくは少なくとも5g/100g 水、とりわけ有利には少なくとも25g/100g 水、極めて有利には少なくとも50g/100g 水であり、かつ、それを好ましくは少なくとも1個の酸基につき有する。
【0043】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0044】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、とりわけ有利に少なくとも95モル%である。
【0045】
このモノマーa)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0046】
トコフェロールとは、以下の式の化合物であると理解される:
【化1】

[式中、Rは、水素又はメチルを意味し、Rは、水素又はメチルを意味し、Rは、水素又はメチルを意味し、かつRは、水素、又は1〜20個の炭素原子を有する酸基を意味する]。
【0047】
好ましいRの基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び生理学的に認容性のその他のカルボン酸である。前記カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸であってよい。
【0048】
有利なのは、R=R=R=メチルのα−トコフェロール、殊にラセミ体α−トコフェロールである。Rは、とりわけ有利には、水素又はアセチルである。特に有利に、RRR−アルファ−トコフェロールである。
【0049】
モノマー溶液は、それぞれアクリル酸に対して、有利には高くても130質量ppm、殊に有利には高くても70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、殊に好ましくは少なくとも30質量ppm、特に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩は、アクリル酸としてともに考慮される。例えば、このモノマー溶液の製造のために、アクリル酸を相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に使用することができる。
【0050】
架橋剤b)は、ポリマー網目構造にラジカル的に重合導入されうる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン(例えばEP 530 438 A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP 547 847 A1, EP 559 476 A1, EP 632 068 A1, WO 93/21237 A1, WO 2003/104299 A1, WO 2003/104300 A1, WO 2003/104301 A1及びDE 103 31 450 A1に記載)、混合アクリレート、この場合、このアクリレートはアクリレート基以外に他のエチレン性不飽和基を含有するもの(例えば、DE 103 31 456 A1及びDE 103 55 401 A1に記載)であるか、あるいは、架橋剤混合物(例えばDE 195 43 368 A1, DE 196 46 484 A1, WO 90/15830 A1及びWO 2002/32962 A2 に記載)である。
【0051】
適当な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド及びN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸又はポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリレート又はトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート又はエチレンジアクリレート、又はブタンジオールジメタクリレート又はエチレングリコールジメタクリレートならびにトリメチロールプロパントリアクリレート及びアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルならびに例えば、EP-A 343 427に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に好適な架橋剤b)は、ペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトールトリ−及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル及びグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテルならびにそのエトキシル化された変型である。本発明による方法の場合に、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが使用可能であり、その際、使用されたポリエチレングリコールは100〜1000の分子量を有する。
【0052】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜20箇所でエトキシル化されたグリセリン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールエタンのジアクリレート及びトリアクリレート、特に、2〜6箇所でエトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、3箇所でプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、ならびに混合して3箇所でエトキシル化又はプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、15箇所でエトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、ならびに少なくとも40箇所でエトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンのジアクリレート及びトリアクリレートである。
【0053】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、ジアクリレート又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化された多重エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所でエトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアリレート又はトリアクリレートが特に有利である。3〜5箇所でエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。
【0054】
架橋剤b)の量は、それぞれのモノマー溶液に対して好ましくは0.01〜15質量%、殊に好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
【0055】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0056】
水溶性ポリマーd)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコール及びデンプンを使用することができる。
【0057】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液が重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、有利には窒素を用いた貫流により溶解した酸素が取り除かれてよい。有利には、モノマー溶液の重合前の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に低下される。
【0058】
適したポリマーの製造ならびにさらに別の適した親水性エチレン性不飽和モノマーa)は、DE-A19941423A1、EP686650A1、WO2001/45758A1及びWO2003/104300A1に記載される。
【0059】
適した反応器は、ニーダー反応器又はベルト反応器である。ニーダー中で、水性モノマー溶液の重合に際して生ずるポリマーゲルが、WO2001/38402A1に記載されているように、例えば反転撹拌シャフトによって連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6241928に記載される。重合の際にベルト反応器中で、更なる方法工程、例えば肉挽き機、押出機又はニーダー中で破砕されなくてはならないポリマーゲルが生じる。
【0060】
好ましくは該ヒドロゲルは、重合反応器を去った後になお、より高い温度、好ましくは少なくとも50℃、とりわけ有利には少なくとも70℃、極めて有利には少なくとも80℃であって、かつ好ましくは100℃未満の温度で、例えば隔離された容器中で貯蔵される。この貯蔵により、通常は2〜12時間の貯蔵により、このモノマー反応率は更に高められる。
【0061】
重合反応器中でのモノマー変換率がより高い場合、貯蔵を明らかに短縮することもでき、もしくは貯蔵を省くことができる。
【0062】
得られたヒドロゲルの酸基は、一般的には部分的に、好ましくは25〜95mol%、有利には50〜80mol%、特に好ましくは60〜75mol%中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物である。
【0063】
この中和は、有利には、前記モノマーの工程で実施される。通常、中和は、中和剤を水溶液として、溶融物としてか又は好ましくは固体として混合導入することによって行われる。例えば、50質量%を明らかに下回る含水率を有する水酸化ナトリウムは、23℃より高い融点を有するロウ質材料として存在しうる。この場合には、高めた温度で粒状物(Stueckgut)又は溶融物として計量供給することが可能である。
【0064】
この中和を、重合後にこのヒドロゲルの工程で実施することも可能である。更に、重合前に酸基を40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%、中和剤の一部をモノマー溶液に既に添加することにより中和すること、及び所望の最終中和度を重合の後にすぐにヒドロゲルの段階で調節することも可能である。前記ヒドロゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ヒドロゲルは有利に機械的に、例えば肉挽き機を用いて粉砕し、その際、中和剤を吹き付けるか、降りかけるか又は注ぎ込み、次いで入念に混合することができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。
【0065】
次いで、該ヒドロゲルは、好ましくはベルト型乾燥器を用いて、残留湿分が、好ましくは15質量%を下回り、殊に10質量%を下回るまで乾燥させられ、その際、含水率が、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法番号WSP230.2-05"Moisture content"に従って測定される。しかしながら、選択的に、この乾燥のために、流動床乾燥器又は加熱されたプローシェアミキサーを使用することもできる。特に白色の製品を得るために、このゲルの乾燥の際に蒸発した水の迅速な搬出を保証することが有利である。このために、乾燥器温度を最適化すべく空気供給及び空気排出を制御して実施しなくてはならず、それぞれの場合に十分な通気を留意すべきである。当然の事ながら、乾燥は、ゲルの固体含有率が可能な限り高い場合には、それだけ一層簡単であり、かつ製品はそれだけ一層白い。従って、好ましくは、この乾燥前のゲルの固体含有率は30〜80質量%である。特に、前記乾燥器に窒素又は他の非酸化性の不活性ガスを通気するのが有利である。しかしながら、選択的に、酸化による黄変現象を回避するために、乾燥の間の酸素分圧だけを簡単に下げることもできる。
【0066】
この後で、乾燥させたヒドロゲルを粉砕し、そして篩分し、その際、粉砕のために通常、1段階又は複数段階のロールミル、好ましくは2段階又は3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0067】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは少なくとも200μm、とりわけ有利には250〜600μm、極めて有利には300〜500μmである。生成物画分の平均粒度は、EDANAによって推奨された試験法番号WSP220.2-05"Partikel size distribution"に従って測定され、その際、篩画分の質量割合が累積的にプロットされ、かつ平均粒度がグラフを用いて決定される。この場合、平均粒度は、累積して50質量%となるメッシュサイズの値である。
【0068】
ポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために後架橋してよい。適した後架橋剤は、ヒドロゲルのカルボキシレート基と共有結合を形成しうる少なくとも2個の基を含有する化合物である。適した化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジエポキシド又はポリエポキシド(例えばEO83022A2、EP543303A1及びEP937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP450922A2に記載)又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6239230に記載)である。
【0069】
さらに環状カーボネート(DE4020780C1に記載)、2−オキサゾリン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリン(DE19807502A1に記載)、ビス−及びポリ−2−オキサゾリジノン(DE19807992C1に記載)、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体(DE19854573A1に記載)、N−アシル−2−オキサゾリドン(DE19854574A1に記載)、環状尿素(DE10204937A1に記載)、二環式アミドアセタール(DE10334584A1に記載)、オキセタン及び環状尿素(EP1199327A2に記載)及びモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体(WO2003/31482A1に記載)が、適した後架橋剤として記載されている。
【0070】
さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0071】
後架橋剤の量は、そのつどポリマーに対して、好ましくは0.01〜1質量%、とりわけ有利には0.05〜0.5質量%、極めて有利には0.1〜0.2質量%である。
【0072】
本発明の有利な一実施態様において、後架橋剤に加えて多価カチオンが粒子表面上に塗布される。
【0073】
例えば、本発明による方法において使用可能な多価カチオンは、二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類元素及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0074】
多価カチオンの使用量は、そのつどポリマーに対して、例えば0.001〜0.5質量%、好ましくは0.005〜0.2質量%、とりわけ有利には0.02〜0.1質量%である。
【0075】
この後架橋は、一般的には、後架橋剤の溶液をヒドロゲル又は乾燥させたポリマー粒子上に吹き付けることにより実施される。この噴霧に引続き、架橋剤で被覆されたポリマー粒子について加熱乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0076】
後架橋剤の溶液の噴霧は、好ましくは、可動式混合装置を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー、プローシェアミキサー及びパドルミキサー中で実施される。殊に有利に、横型ミキサー、例えばプローシェアミキサー及びパドルミキサー、特に有利に竪型ミキサーである。適したミキサーは、例えばLoedige−ミキサー、Bepex−ミキサー、Nauta−ミキサー、Processall−ミキサー及びSchugi−ミキサーである。
【0077】
この加熱乾燥は、好ましくは接触型乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適当な乾燥器は、例えばBepex−乾燥器及びNara−乾燥器である。さらに、流動床乾燥器も使用することができる。
【0078】
乾燥は、ミキサーそれ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥器、例えば箱形乾燥器、回転管炉か又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。とりわけ好ましくは、流動層乾燥器中で混合及び乾燥される。
【0079】
有利な乾燥温度は、100〜250℃の範囲内、有利には120〜220℃、及びとりわけ有利には130〜210℃である。反応ミキサー又は乾燥器中におけるこの温度での有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも10分間、とりわけ有利には少なくとも20分間、極めて有利には少なくとも30分間である。
【0080】
引き続き、後架橋されたポリマーを、新たに分級してよい。
【0081】
後架橋されたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために被覆することができる。獲得(Akquisition)挙動及び浸透性(SFC)を改善するための適した被覆は、例えば無機不活性物質、有機ポリマー、カチオンポリマー並びに2価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合(Staubbindung)のための適した被覆は例えばポリオールである。
【0082】
適した無機不活性物質はシリケート、例えばモンモリロナイト、カオリナイト及び滑石、ゼオライト、活性炭、ポリケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン及び鉄−(II)−酸化物である。好ましくは使用に十分なポリケイ酸は、製造法の種類により沈降法ケイ酸と熱分解法ケイ酸とに分類される。双方のバリエーションは、Silica FK、Sipernat(R)、Wessalon(R)(沈降法ケイ酸)又は Aerosil(R)(熱分解法ケイ酸)の名称により商業的に得ることが可能である。無機不活性物質は、水性又は水混和性分散剤中の分散液としてか、あるいは、塊状で使用することができる。
【0083】
吸水性ポリマー粒子が無機不活性材料で被覆される場合には、無機不活性材料の使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して好ましくは0.05〜5質量%、殊に好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.3〜1質量%である。
【0084】
適した有機材料はポリアルキルメタクリレート又は熱可塑性樹脂、例えばポリ塩化ビニルである。
【0085】
適したカチオンポリマーはポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド由来のカチオン誘導体、ポリエチレンイミン及び4級化ポリアミンである。
【0086】
4級化ポリアミンは、例えばヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン及びエピクロロヒドリンからの縮合生成物、ジメチルアミン及びエピクロロヒドリンからの縮合生成物、ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドからのコポリマー、アクリルアミド及びα−メタクリルイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドからのコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、エピクロロヒドリン及びトリメチルアミンからの縮合生成物、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びエピクロロヒドリンのアミドアミンへの付加生成物である。さらに4級化ポリアミンは、ジメチルスルフェートをポリマー、例えばポリチエチレンイミン、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとからのコポリマー又はエチルメタクリレートとジエチルアミノエチルメタクリレートとからのコポリマーと反応させることによって得ることができる。4級化ポリアミンは、広範囲の分子量の幅で提供可能である。
【0087】
しかしながらさらに、粒子表面上にカチオンポリマーを生じさせることが可能であり、この場合、これは、それ自体が架橋構造を形成することができる試薬、例えばエピクロロヒドリンのポリアミドアミンへの付加生成物によってであるか、あるいは、添加された架橋剤と反応しうるカチオンポリマー、例えばポリアミン又はポリイミンとポリエポキシド、多官能性エステル、多官能性酸又は多官能性(メタ)アクリレートとの組み合わせ物の塗布によってである。
【0088】
第1級又は第2級アミノ基を有する全ての多官能性アミン、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリリシンを使用することができる。本発明による方法にしたがって噴霧される液体は、好ましくは少なくとも1種のポリアミン、例えばポリビニルアミンを含有する。
【0089】
カチオンポリマーは、水性又は水混和性の溶剤中の溶液として、水性又は水混和性の分散剤中の分散液として、あるいは塊状で使用することが可能である。
【0090】
吸水性ポリマー粒子をカチオンポリマーで被覆する場合には、カチオンポリマーの使用量は吸水性ポリマー粒子に対して好ましくは0.1〜15質量%、殊に好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
【0091】
カチオンポリマーでの被覆のために連続式横型ミキサーを使用する場合には、吸水性ポリマー粒子の滞留時間は、カチオンポリマーの噴霧前において、ミキサー中の全滞留時間の好ましくは2〜50%、殊に好ましくは5〜30%、特に好ましくは10〜25%である。
【0092】
適した二価又は多価の金属カチオンはMg2+、Ca2+、Al3+、Sc3+、Ti4+、Mn2+、Fe2+/3+、Co2+、Ni2+、Cu+/2+、Zn2+、Y3+、Zr4+、Ag+、La3+、Ce4+、Hf4+及びAu+/3+であり、好ましい金属カチオンはMg2+、Ca2+、Al3+、Ti4+、Zr4+及びLa3+であり、特に好ましい金属カチオンはAl3+、Ti4+及びZr4+である。該金属カチオンは、個々に又は互いの混合物として使用することができる。挙げられた金属カチオンとして、すべての金属塩が適しており、この場合、これは、使用される溶剤に対して十分な溶解性を有するものである。特に適しているのは、弱い錯化能力を有するアニオンを有する金属塩であり、例えば塩化物、硝酸塩及び硫酸塩である。該金属塩は好ましくは溶液として使用する。金属塩のための溶剤として水、アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド並びにこれらの混合物を使用することができる。特に好ましくは水及び水/アルコール混合物、例えば水/メタノール又は水/プロピレングリコールである。
【0093】
本発明による方法にしたがって噴霧された液体は、好ましくは少なくとも1種の多価金属カチオン、例えばAl3+を含有する。
【0094】
吸水性ポリマー粒子を多価金属カチオンで被覆する場合には、多価金属カチオンの使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して好ましくは0.05〜5質量%、殊に好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.3〜1質量%である。
【0095】
カチオンポリマー及び多価金属カチオンでの被覆のために連続式横型ミキサーを使用する場合には、吸水性ポリマー粒子の滞留時間は、多価金属カチオンの噴霧前に、ミキサー中の全滞留時間の好ましくは1〜30%、殊に好ましくは2〜20%、特に好ましくは5〜15%である。有利には、多価金属カチオンをカチオンポリマーの前に計量供給する。
【0096】
特に適したポリオールは、分子量400〜20000g/モルを有するポリエチレングリコール、ポリグリセリン、3〜10箇所エトキシ化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール及びネオペンチルグリコールである。特に好適であるのは、7〜20箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP70(R)(Perstorp AB、Perstorp SE)である。後者は特に、吸水性ポリマー粒子の水性抽出物の表面張力がわずかに減少するにすぎないという利点を有する。該ポリオールは、好ましくは水性又は水混和性の溶剤中で溶液として使用する。
【0097】
本発明による方法にしたがって噴霧された液体は、好ましくは少なくとも1種のポリオール、例えばポリエチレングリコールを含有する。
【0098】
吸水性ポリマー粒子をポリオールで被覆する場合には、ポリオールの使用量は吸水性ポリマー粒子に対して好ましくは0.005〜2質量%、殊に好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0099】
カチオンポリマー及びポリオールでの被覆のために連続式横型ミキサーを使用する場合には、吸水性ポリマー粒子の滞留時間は、ポリオールの噴霧前に、ミキサー中の全滞留時間の好ましくは20〜80%、殊に好ましくは30〜70%、特に好ましくは40〜60%である。有利には、ポリオールをカチオンポリマーの後に計量供給する。
【0100】
しかしながら前記被覆は、後架橋されていないポリマー粒子(ベースポリマー)上に塗布することもできる。
【0101】
本発明による方法は、後架橋溶液の噴霧のみならず、他の前記液体を吸水性ポリマー粒子上に噴霧するのに適している。
【0102】
本発明による方法は、吸水性ポリマー粒子の均一な被覆を可能にすると同時に、高い浸透性(SFC)及び少ないダスト量を有するポリマー粒子の製造を可能にする。
【0103】
さらに、本発明による方法においては、わずかな凝集体しか生じない。さらに、該方法は、本発明により使用されるスプレーノズルの減少した閉塞傾向に基づいて、ほとんど中断されることはない。
【0104】
本発明による方法は、温度敏感性材料での被覆に適している。
【0105】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、殊に有利には少なくとも24g/g、特に有利には少なくとも26g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は、通常は、60g/g未満である。
【0106】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、6.21kPa(AUL 0.9psi)の圧力下で、一般に少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも12g/g、有利には少なくとも14g/g、特に有利には少なくとも16g/g、殊に有利には少なくとも18g/gであり、かつ通常は30g/gを上回ることはない吸収量を示す。
【0107】
本発明による方法によって得られた吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも100×10−7cms/g、たいていは少なくとも200×10−7cms/g、好ましくは少なくとも300×10−7cms/g、殊に好ましくは少なくとも350×10−7cms/g、特に好ましくは少なくとも400×10−7cms/g、とりわけ好ましくは少なくとも450×10−7cms/gであり、かつ通常は700×10−7cms/gを上回ることはない液体通過性(SFC)を示す。
【0108】
吸水性ポリマー粒子は、以下に記載された試験法によって試験される。
【0109】
方法:
測定は、別に記載がない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施される。吸水性ポリマー粒子を、測定前に十分に混合する。
【0110】
粒度分布(PSD粒度分布)
吸水性ポリマーの粒度分布は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)で推奨された試験方法番号WSP 220.2-05 "Particle size distribution"と同様に測定する。
【0111】
遠心保持容量(CRC Centrifuge Retention Capacity)
遠心保持容量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)で推奨された試験方法番号WSP 241.2-05 "Centrifuge retention capacity"と同様に測定し、その際、吸水性ポリマー粒子は、測定の前に、300μmを上回り600μmまでの粒度範囲に篩別する。
【0112】
荷重下吸収量(AUL0.9psi Absorbency Under Load)
吸水性ポリマー粒子の6.21kPa(0.9psi)下での吸収量は、EDANAで推奨された試験方法番号WSP 242.2-05 "Absorption under pressure"と同様に測定するが、その際、300μmを上回り600μmまでの粒度範囲を有する吸水性ポリマー粒子は0.9gの代わりに0.16g、ベースプレートとしてメッシュ幅36μmの代わりに149μmを有する金網及び21g/cm(0.3psi)の代わりに63g/cm(0.9psi)の重りを使用した。
【0113】
抽出可能な成分 16h
吸水性ポリマー粒子の抽出可能な成分量は、EDANAで推奨された試験方法番号WSP 270.2-05 "Extractables"により測定する。
【0114】
液体通過性(SFC食塩水の流れの誘導)
21g/cm(0.3psi)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体通過性は、EP0640330A1に記載のようにして吸収性ポリマー粒子からなる膨潤したゲル層のゲル−相−浸透性として測定し、この場合上記の特許出願明細書第19頁及び図8に記載の装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更した。測定の方法及び評価はEP 0 640 330 A1と変わらない。流量は、自動的に把握される。
【0115】
液体通過性(SFC)は、次のように計算される:
【数2】

[上記式中、Fg(t=0)は、g/sでのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータF(t)の線形の回帰分析に基づいてt=0に対する外挿法によって得られ、Lは、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cmでのNaCl溶液の濃度であり、Aは、cmでのゲル層の面積であり、かつWPは、dyn/cmでのゲル層上の静水圧力である]。
【0116】
ダスト数
吸水性ポリマー粒子のダスト数は、ダスト計測装置 DustView型(Palas GmbH, Karlsruhe, DE)を用いて算出する。
【0117】
計測装置の機械的部分は、たれ蓋を備えた注入漏斗、立下り管及び取り出し可能なダスト箱を有するダスト容器から構成される。
【0118】
ダスト数の測定に際して、材料の定められた応力(自由落下及び衝突)後に生じる固体材料のダスト部分を量的に把握する。
【0119】
評価は光電子的手段で実施する。ダストを含む固体材料の量は光線の減衰を招き、この場合、これは測光的に把握する。測定値の記録及び評価は、制御ユニットで実施する。以下の測定は、制御ユニット上で数値的に示される。
1. 0.5秒後の測定(最大値)
2. 30秒後の測定(ダスト値)
3. ダスト数(最大値とダスト値の合計)
ダスト数は以下のように評価する:
ダスト数 25〜100 ダストあり〜多くのダストあり
ダスト数 12〜25 少ないダストあり〜ダストあり
ダスト数 1〜12 少ないダストあり〜ほぼダストなし
ダスト数 ≦1 ダストなし
該EDANA試験法は、例えばEuropean Diaposables and Nonwovens Association, Avenue Eugene Plasky 157, B-1030 Brussels, Belgiumで入手できる。
【0120】
例:
例は、ナトリウムアクリレートベースの市販の吸水性ナトリウム粒子を用いて実施した。
【0121】
このような吸水性ポリマー粒子は、例えばBASF Aktiengesellschaft(商品名HySorb(R))、Stockhausen GmbH(商品名Favor(R))及びNippon Shokubai Co., Ltd.(商品名Aqualic(R))から商業的に入手可能である。
【0122】
使用された吸水性ポリマー粒子は、以下の性状プロフィールを有していた:
【表1】

【0123】
例1
吸水性ポリマー粒子は、Ruberg-フローミキサー DLM 350-1500型(Gebrueder Ruberg GmbH & Co KG, Nieheim, DE)中で、二液ノズル RZD1-H型(Gebrueder Ruberg GmbH & Co KG, Nieheim, DE)を用いて、Lupamin(R)9095(BASF Aktiengesellschaft, Ludwigshafen, DE) の50質量%濃度の水性溶液を用いて被覆する。Lupamin(R)9095は、高分子量の線状ポリビニルアミンである。
【0124】
フローミキサーは、140lの混合室容量を有していた。フローミキサーの充填度合いは60%に達し、かつ回転数は43回/分であった。移動する吸水性ポリマー粒子のフルード数は0.36であった。
【0125】
二液ノズルは水平に挿入される。フローミキサーの端壁からの距離は375mmであり、かつミキサー壁からのノズル口の水平距離は50mmであった。ノズル頭部は完全に吸水性ポリマー粒子中に浸漬する。スプレーノズルは電気的随伴加熱を有する。随伴加熱は、ノズル温度が65〜70℃になるよう調整する。
【0126】
吸水性ポリマー粒子の流量は180kg/hである。吸水性ポリマー粒子の温度は60℃である。
【0127】
コーティング溶液の流量は7.2kg/hである。コーティング溶液の温度は60℃である。
【0128】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0129】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第1表にまとめられている。
【0130】
例2(比較例)
例1と同様に実施したが、二液ノズルは加熱しなかった。
【0131】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0132】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第1表にまとめられている。
【0133】
【表2】

【0134】
例3
例1と同様に実施したが、さらに第2の二液ノズルを用いて、ポリエチレングリコール−400(平均分子量400g/モルを有するポリエチレングリコール)の20質量%濃度の水性溶液で被覆した。
【0135】
第2の二液ノズルは同様に水平に挿入される。フローミキサーの端壁からの距離は750mmであり、かつミキサー壁からのノズル口の水平距離は50mmであった。ノズル頭部は完全に吸水性ポリマー粒子中に浸漬する。
【0136】
コーティング溶液の流量は1.35kg/hである。コーティング溶液の温度は20℃である。
【0137】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0138】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第2表にまとめられている。
【0139】
例4(比較例)
例3と同様に実施したが、二液ノズルは加熱しなかった。
【0140】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0141】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第2表にまとめられている。
【0142】
【表3】

【0143】
例5
例3と同様に実施したが、さらに第3の二液ノズルを用いて、硫酸アルミニウムの23.9質量%濃度の水性溶液で被覆した。
【0144】
第3の二液ノズルは同様に水平に挿入される。フローミキサーの端壁からの距離は150mmであり、かつミキサー壁からのノズル口の水平距離は50mmであった。ノズル頭部は完全に吸水性ポリマー粒子中に浸漬する。
【0145】
コーティング溶液の流量は7.2kg/hである。コーティング溶液の温度は20℃である。
【0146】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0147】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第3表にまとめられている。
【0148】
例6(比較例)
例5と同様に実施したが、二液ノズルは加熱しなかった。
【0149】
フローミキサーは、数時間に亘って中断することなく運転された。
【0150】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。この結果は第3表にまとめられている。
【0151】
【表4】

【0152】
例7
吸水性ポリマー粒子は、0.8mmの直径を有する二液ノズル970 S4型(Duesen-Schlick GmbH, Untersiemau, DE)を用いて、Lupamin(R)9095(BASF Aktiengesellschaft, Ludwigshafen, DE)の50質量%水性溶液を用いて被覆した。Lupamin(R)9095は、高分子量の線状ポリビニルアミンである。
【0153】
Pflugschar(R)−ミキサー中に、1.890gの吸水性ポリマー粒子を装入した。吸水性ポリマー粒子の温度は60℃であった。Pflugschar(R)−ミキサーの充填度合いは60%であり、かつ回転数は90回/分であった。
【0154】
二液ノズルは垂直に挿入された。吸水性ポリマー粒子との距離は100mmであった。スプレーノズルを65℃に予加熱し、かつ隔離した。スプレーガスの初期圧(Vordruck)は3barであった。スプレーガスの流量は2kg/hであった。
【0155】
4分以内に、76gのコーティング溶液を噴霧し、かつ11分に亘って後混合した。コーティング溶液の初期圧は0.3barであった。コーティング溶液の温度は65℃であった。
【0156】
Pflugschar(R)−ミキサーは、ダストなしで運転された。
【0157】
被覆された吸水性ポリマー粒子を分析した。被覆された吸水性ポリマー粒子は26g/gの遠心保持容量(CRC)、19g/gの荷重下吸収量(AUL0.9psi)、395×10−7cms/gの液体通過性(SFC)及び850μmを上回る粒子0.9質量%を有していた。
【0158】
例8(比較例)
例7と同様に実施したが、二液ノズルは隔離しなかった。
【0159】
ノズル口における堆積は、閉塞に至る噴霧円錐の屈折及び狭小化を招いた。吸水性ポリマー粒子は不均一に被覆された。これは多くの塊を形成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥、粉砕及び分級を含み、その際、ミキサー中で少なくとも1個のスプレーノズルを用いて液体を吸水性ポリマー粒子上に噴霧するものであって、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、この場合、このモノマーは少なくとも部分的に中和されていてもよく、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合によっては1種又はそれ以上のa)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー及び
d)場合によっては1種又はそれ以上の水溶性ポリマー、
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合することによって、吸水性ポリマー粒子を製造する方法において、少なくとも1個のスプレーノズルを断熱及び/又は随伴加熱することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも一つの後架橋を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体を後架橋されたポリマー粒子上に噴霧する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
連続式ミキサーを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ミキサーの充填度合いが30〜80%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ミキサーに供給する吸水性ポリマー粒子が、20質量%未満の含水率を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ミキサー中に供給する吸水性ポリマー粒子が、40〜80℃の温度を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
スプレーノズルの温度が、吸水性ポリマー粒子の温度よりも1〜20℃高い、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
断熱されたスプレーノズルを使用し、かつ噴霧すべき液体の温度が吸水性ポリマー粒子の温度よりも1〜20℃高い、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
随伴加熱され、かつ場合によっては断熱されたスプレーノズルを使用し、かつ吸水性ポリマー粒子と噴霧された液体との間の温度差が20℃未満である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
液体を、二液ノズルを介して噴霧する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
噴霧された液体とスプレーガスとの間の温度差が20℃未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ミキサーが竪型ミキサーである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
竪型ミキサー中の吸水性ポリマー粒子の滞留時間が0.1〜15秒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
竪型ミキサー中の混合装置の周速が2.5〜50m/sである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
ミキサーが横型ミキサーである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
横型ミキサー中の吸水性ポリマー粒子の滞留時間が1〜180分である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
横型ミキサー中の混合装置の周速が0.1〜10m/sである、請求項16又17に記載の方法。
【請求項19】
吸水性ポリマー粒子が、横型ミキサー中でフルード数0.01〜6に相当する速度で移動する、請求項16から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
液体が水性溶液又は分散液である、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
液体が少なくとも1種のポリアミンを含有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
液体が少なくとも1種のポリオールを含有する、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
液体が、少なくとも1種の多価金属カチオンを含有する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持容量を有する、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2010−521578(P2010−521578A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500202(P2010−500202)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053171
【国際公開番号】WO2008/113789
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】