説明

吸水性紙及びその原紙

【課題】紙厚を薄くしても、水分を表面から十分に吸水すると共に、かつ裏面から水分を滲み出さない吸水性紙及びその原紙を提供する。
【解決手段】2層以上の多層抄き紙から構成される吸水性紙原紙であって、JIS P 8140に基づく吸水度が、両面のうち、一方の面では200g/m2(120秒)以上、他方の面では15〜100g/m2(120秒)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性紙及びその原紙に関し、特にコースター紙等の吸水性紙及びその原紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コースターは、ビヤーホール、喫茶店、レストラン、家庭などでビール、ジュース、ワインなどを入れたグラスの台紙として使用されている。これらの飲料は低温で保存されているため、グラス外壁面に結露した水滴が流下してテーブルを汚すのを防止するため、容易に吸水するように無サイズ(ノーサイズ)で抄造された板紙が使用されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許3275059号公報(1頁乃至3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このように抄造された板紙であっても、結露した水の量が多い場合、紙厚が薄いとコースターの裏面まで水が滲み出し、テーブルを汚してしまうため、コースターには適度な紙厚(例えば、500〜1,000μm)を持たせなければならならず、製造コスト低減の経済的要請に対応できるものではなかった。
【0004】
そこで、本発明の主たる課題は、紙厚を薄くしても、水分を表面から十分に吸水すると共に、かつ裏面から水分を滲み出さない吸水性紙及びその原紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、2層以上の多層抄き紙から構成される吸水性紙原紙であって、JIS P 8140に基づく吸水度が、両面のうち、一方の面では200g/m2(120秒)以上、他方の面では15〜100g/m2(120秒)とされた、ことを特徴とする吸水性紙原紙である。
【0006】
(作用効果)
上記構成をとることにより、グラスに当接する表面層を上記の一方の面(吸水度200g/m2以上)とし、テーブルに当接する裏面層を他方の面(吸水度15〜100g/m2)とすれば、全体の紙厚が200μm程度の薄さでも、グラス外壁面に結露し流下した水滴を表面層で吸水し、この吸収した水分を裏面層により下方に浸透させることなく、テーブルを汚すことを十分に防ぐことができる。
【0007】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、3層以上の多層抄き紙から構成される吸水性紙原紙であって、 JIS P 8140に基づく吸水度が両面で200g/m2(120秒)以上とされ、JIS P 8122に基づく吸水度が600秒以上とされた、ことを特徴とする吸水性紙原紙である。
【0008】
(作用効果)
吸収した水分を下方に浸透させることを防ぐために、中間層をサイズ性を有するサイズ層で形成し、表面層と裏面層と共にサイズ性を有しないノーサイズ層(吸水度200g/cm2以上)で形成する構成とすることにより、表面層と裏面層の区別なくグラスとの接触面として使用することができる。また、表面層と裏面層とを共に、同じ吸水度になるように坪量(g/m2)等を調整したノーサイズ層で形成すれば、吸水性紙原紙としての保管時に、カールの発生を防ぐことができる。また、全体の紙厚を350μm程度の薄さにすることができる。
【0009】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、湿潤紙力増強剤がパルプの絶乾重量に対し0.1〜1.0重量%(固形分換算)配合された、請求項1又は2記載の吸水性紙原紙である。
【0010】
(作用効果)
湿潤紙力増強剤をパルプの絶乾重量に対し0.1〜1.0重量%(固形分換算)配合すると、水に濡れた時の紙力を維持できるため、紙厚をより薄くすることができる。
【0011】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の吸水性紙原紙からなる吸水性紙である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紙厚を薄くしても、水分を表面から十分に吸水すると共に、かつ裏面から水分を滲み出さない等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<構造>
本発明の吸水性紙原紙は、2層以上の多層抄きからなる板紙として形成されるものである。多層抄きにすることにより、地合がよくなると共に、層別に原料の構成やサイズ度等を変えることができ、また、生産性が上がる等の利点を有している。
【0014】
吸水性紙原紙の層の構成については、サイズ性を有しないノーサイズ層とサイズ性を有するサイズ層とで構成される。ノーサイズ層は、主に吸水性紙原紙の表面層若しくは裏面層、又は表面層及び裏面層を構成するものであり、サイズ性を有しないことにより水を吸水し易くするものである。それに対し、サイズ層は、主に吸水性紙原紙の裏面層、又は中間層を構成するものであり、サイズを効かせて吸収した水分を裏面から滲み出さないようにするものである。
【0015】
サイズ性を有しないノーサイズ層1は、図1に示すように、吸水性紙原紙の表面層と裏面層のうち、少なくともグラスに当接する表面層に設けられていればよい。すなわち、本発明の、吸水性紙(吸水性紙原紙)は、図1に示すように、ノーサイズ層1が表面層にのみ設けられていても、図2に示すように、ノーサイズ層1,1が表面層及び裏面層の両方に設けられていてもよい。
【0016】
一方、サイズ性を有するサイズ層2は、図1では、裏面層に設けられ、図2では、中間層に設けられている。
【0017】
ここで、図1に基づき詳述すれば、吸水性紙(吸水性紙原紙)においては、グラスに当接する表面層をサイズ性を有しないノーサイズ層1で形成することにより、グラス外壁面に結露し流下した水滴を表面層で吸水し、表面層の下方に位置すると共に、テーブルに当接する裏面層をサイズ性を有するサイズ層2で形成することにより、表面層で吸収した水分を下方に浸透させることなく、テーブルを汚すことを防いでいる。
【0018】
図2に基づく、中間層を有する3層以上から構成される吸水性紙(吸水性紙原紙)においては、吸収した水分を下方に浸透させることを防ぐために、中間層をサイズ性を有するサイズ層2で形成し、表面層と裏面層と共にサイズ性を有しないノーサイズ層1で形成する構成とすることにより、表面層と裏面層の区別なくグラスとの接触面として使用することができる。また、表面層と裏面層とを共に、同じ吸水度になるように坪量(g/m2)等を調整したノーサイズ層1で形成すれば、吸水性紙(吸水性紙原紙)としての保管時に、カールの発生を防ぐことができる。
【0019】
上記のような構成で、吸収性を落すことなく、吸水性紙(吸水性紙原紙)の紙厚を抑えることができる。一般的なコースターは、500〜1,000μm程度の紙厚(360〜660g/m2程度の坪量)を有しており、図1に示される2層構造の場合では、紙厚を200μm程度(120g/m2程度の坪量)までに抑えることができることから、従来品に比べて約60〜80%紙厚を減じることができる。また、図2に示される3層構造の場合では、紙厚を350μm程度(210g/m2程度の坪量)までに抑えることができることから、従来品に比べて約30〜65%厚みを減じることができる。
【0020】
また、図1及び図2に基づく吸水性紙(吸水性紙原紙)において、表面層をサイズ性を有しないノーサイズ層で形成することの付随的な効果としては、グラス外壁面に結露し流下した水滴によりグラスとコースターがくっついてしまう現象を抑える効果もある。
【0021】
なお、図1は、ノーサイズ層2とサイズ層3との2層構造になっており、図2は、上から、ノーサイズ層1、サイズ層2及びノーサイズ層1の3層構造になっているが、本発明はこれらに限定されない。4層、5層又はそれ以上の層とすることもでき、例えば、図2に示される3層構造の中間層を多層化し、4層以上の多層構造としてもよい。
【0022】
かかるノーサイズ層とサイズ層は、いかなる方法によって形成されていてもよい。例えば、貼合により設けられていても、抄き合わせにより設けられていてもよいが、製造の簡易化という観点からは、抄き合わせによって設けられている方が好ましい。
【0023】
<サイズ剤>
サイズ性を有するサイズ層に含有されるサイズ剤は、その種類が特に限定されない。例えば、松ヤニを主成分としたロジンサイズ、ロジンサイズに無水マレイン酸を添加した強化ロジンサイズ、脂肪酸を原料としたアルキルケテンダイマー、石油樹脂にカルボキシル基を導入してアルカリ鹸化した石油樹脂サイズを例示することができる。
【0024】
<吸水度>
以上のような構造を有する吸水性紙(吸水性紙原紙)は、図1に示される少なくとも2層以上の形態のものでは、好適な吸水度として、グラスに当接する表面層(ノーサイズ層)の表面からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)が200g/m2(120秒)以上とされ、テーブルに当接する裏面層(サイズ層)の表面からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)が15〜100g/m2(120秒)とされる。この場合、グラスに当接する表面層(ノーサイズ層)の表面からの吸水度が200g/m2(120秒)未満とされていると、吸水性が悪く、コースター紙などの吸水性紙として使用するに不十分なものとなる。また、テーブルに当接する裏面層(サイズ層)が15g/m2(120秒)未満であると、実用上では過剰な性能であり、100g/m2(120秒)超であると、長時間の使用では水が吸水性紙を貫通するため好ましくない。
【0025】
図1に示される形態では、表面層(ノーサイズ層)の坪量は90〜270g/m2であり、裏面層(サイズ層)の坪量は30〜130g/m2である。そして、吸水性紙(吸水性紙原紙)全体の坪量は120〜400g/m2とすることができる。
【0026】
一方、図2に示される中間層を有する3層以上の態様のものでは、好適な吸水度として、表面層及び裏面層(共にサイズ層)の表面からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)がそれぞれ200g/m2(120秒)以上とされ、JIS P 8122に基づく吸水度(ステキヒトサイズ度)が、600秒以上とされる。この場合、表面層及び裏面層(共にサイズ層)の表面からの吸水度がそれぞれ200g/m2(120秒)未満とされていると、吸水性が悪く、コースター紙などの吸水性紙として使用するに不十分なものとなる。また、JIS P 8122に基づく吸水度(ステキヒトサイズ度)が、600秒未満であると、水が吸水性紙を貫通するため好ましくない。
【0027】
図2に示される形態では、表面層(ノーサイズ層)の坪量は90〜270g/m2であり、中間層(サイズ層)の坪量は30〜130g/m2であり、裏面層(ノーサイズ層)の坪量は90〜270g/m2である。吸水性紙(吸水性紙原紙)全体の坪量は210〜670g/m2とすることができる。
【0028】
なお、吸水度の調節は、サイズ剤の添加量のほか、サイズ性を有するサイズ層や他の層の坪量調節、pH調節などにより行うことができる。また、PVA(ポリビニルアルコール)、PAM(ポリアクリルアミド)、澱粉等の表面サイズ剤によって表層のサイズ度を調整することができる。
【0029】
<その他>
(1)サイズ性を有するサイズ層や、サイズ性を有しないノーサイズ層の原料となるパルプ繊維の種類は、特に限定されない。例えば、ダグラスファー、ラジアータパイン、杉、松等の針葉樹、ユーカリ、オーク等の広葉樹を主原料としたクラフトパルプ(KP)、セミケミカルパルプ(SCP)、砕木パルプ(GP)、ケミグランドパルプ(CGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ディインキングパルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)などを例示することができる。
(2)サイズ性を有するサイズ層や、サイズ性を有しないノーサイズ層の原料となるパルプ繊維には、適宜、公知の吸水性紙原紙と同様、各種の添加剤、例えば、pH調整剤、紙力増強剤、各種歩留り向上剤、地合調整剤、サイズ消去剤、発泡剤、填料、消泡剤、着色剤などを添加することができる。
ここで、湿潤紙力増強剤を上記吸水性紙原紙に配合すると、水に濡れた時の紙力を維持できるため、紙厚を薄くすることができる。湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂などがあげられる。湿潤紙力剤の配合量としては、パルプの絶乾重量に対し、0.1〜1.0重量%(固形分換算)とする。0.1重量%(固形分換算)未満では、水に濡れた時の紙力を維持できず、1.0重量%(固形分換算)超では、湿潤紙力が過剰となり、コースター加工時の抜き損や使用済みのコースターを古紙として利用するのが難しくなる。
(3)サイズ性を有しないノーサイズ層を多層とする場合、全ての層が同じ原料からなる必要はない。適宜、構成材料を変えることができる。
(4)本発明の吸水性紙は、以上のようにしてなる吸水性紙原紙に、適宜成形加工するなどして製造されたものである。この際、印刷、記録の方法(例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、活版印刷、手書きによる記録など)や、印刷、記録の内容、成形加工の方法などは特に限定されない。公知の吸水性紙と同様とすることができる。
【実施例】
【0030】
<実施例1>
ノーサイズ層(表面層として形成(図1の形態))として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を50質量%、広葉樹晒クラフトパルプ50質量%からなるパルプスラリーをカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)450ccに調整したものを使用した。表面層原料に硫酸バンド1部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂)0.5部を添加し、pH5.0に調整した。サイズ層(裏面層として形成)としてNBKP25質量%、LBKP25質量%、上物古紙パルプ50質量%からなるパルプスラリーをCSF400ccに調整したものを使用した。裏面層原料にロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を0.5部、硫酸バンド1部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂)0.5部を添加し、pH5.0に調整した。
【0031】
上記原料を円網多層抄紙機にて抄き合わせ、2層構造の吸水性紙原紙を作製した。この吸水性紙原紙の表面層の坪量は90g/m2、裏層の坪量は30g/m2であり、全体の坪量は120g/m2、紙厚は200μmであった。そして、表面層からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)は201g/m2(120秒)、裏面層からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)は98g/m2(120秒)であった。
【0032】
<実施例2〜11、比較例1,2>
表面層、裏面層の坪量、全体の坪量を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
<比較例3>
裏面層原料に添加したロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を0.2部とし、表面層、裏面層の坪量、全体の坪量を表1のとおりとした以外は実施例1と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
<比較例4>
裏面層原料に添加したロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を1.5部とし、表面層、裏面層の坪量、全体の坪量を表1のとおりとした以外は実施例1と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
<比較例5>
ロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
<実施例12>
ノーサイズ層(表面層及び裏面層として形成(図2の形態))として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を50質量%、広葉樹晒クラフトパルプ50質量%からなるパルプスラリーをカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)450ccに調整したものを使用した。この原料に硫酸バンド1部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂)0.5部を添加し、pH5.0に調整した。他の層(中間層として形成)としてNBKP25質量%、LBKP25質量%、上物古紙パルプ50質量%からなるパルプスラリーをCSF400ccに調整したものを使用した。中間層原料にロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を0.5部、硫酸バンド1部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂)0.5部を添加し、pH5.0に調整して円網多層抄紙機にて抄き合わせ、3層構造の吸水性紙原紙を作製した。この吸水性紙原紙の表面層の坪量は90g/m2裏面層の坪量は90g/m2であり、中間層の坪量は30g/m2で、全体の坪量は210g/m2、紙厚は350μmであった。そして、表面層からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)は202g/m2(120秒)、裏面層からのJIS P 8140に基づく吸水度(コッブ値)は205g/m2(120秒)、JIS P 8122に基づく吸水度(ステキヒトサイズ度)は658秒であった。
【0037】
<実施例13〜16、比較例6〜8>
表面層、中間層、裏面層の坪量、全体の坪量を表2のとおりとした以外は、実施例12と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
<比較例9>
ロジンサイズ剤(AL−1344、星光PMC(株)製)を添加しなかったこと以外は実施例12と同様に吸水性紙原紙を作製し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0039】
<試験方法>
坪量:JIS P 8124に基づき測定した。各層の坪量は、吸水性原紙を水に浸漬したのち、表面層、中間層、裏面層を剥がし、ドラム式シートドライヤーで乾燥後、JIS P 8111に規定された標準状態で各層の坪量を測定した。
紙厚:JIS P 8118に基づき測定した。
コッブ値:JIS P 8140に基づき測定した。
ステキヒトサイズ:JIS P 8122に基づき測定した。
【0040】
<評価項目・方法>
吸水性試験:吸水性紙原紙を直径10cmの円形に打ち抜き、コースター紙とした。氷水の入ったグラスをコースター紙の上に置き、恒室(温度25±2℃、湿度80±5%RH)にて20分間放置後、グラスを持ち上げた。グラス底面に付着した水滴を全て吸収し、持ち上げたグラスにくっつくことがなかった場合を◎、コースター紙表面にわすかに水滴が残るものの、持ち上げたグラスにくっつくことがなかった場合を○、ほとんど水滴を吸収せず、持ち上げたグラスにくっつき、コースター紙としての役割を果たさなかった場合を×とした。
貫通評価:吸水性紙原紙を直径10cmの円形に打ち抜き、コースター紙とした。氷水の入ったグラスをコースター紙の上に置き、恒室(温度25±2℃、湿度80±5%RH)にて20分間放置後、コースター裏面を観察した。水が裏面まで貫通せずコースター紙を置いていた机をぬらしていなかった場合を◎、貫通はしているが机などを濡らすに至っていない場合を○、机などを明らかに濡らしている場合を×とした。
経済性評価:坪量とサイズ剤の添加量から、経済性に優れる(ローコスト)場合を◎、経済性が良い(ややローコスト)場合を〇、経済性に劣る(ハイコスト)場合を×で相対評価した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
<結果>
表1及び表2によると、本発明の実施例では、吸水性評価、貫通評価、経済性ともに良好な結果であり、コースターとして、好適であることがわかる。それに対し、比較例では、少なくともいずれかの評価が悪い結果(×評価)となった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態に係る吸水性紙(吸水性紙原紙)の構造例である。
【図2】本実施の形態に係る吸水性紙(吸水性紙原紙)の他の構造例である。
【符号の説明】
【0045】
1…ノーサイズ層、2…サイズ層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層以上の多層抄き紙から構成される吸水性紙原紙であって、
JIS P 8140に基づく吸水度が、両面のうち、一方の面では200g/m2(120秒)以上、他方の面では15〜100g/m2(120秒)とされた、
ことを特徴とする吸水性紙原紙。
【請求項2】
3層以上の多層抄き紙から構成される吸水性紙原紙であって、
JIS P 8140に基づく吸水度が両面で200g/m2(120秒)以上とされ、JIS P 8122に基づく吸水度が600秒以上とされた、
ことを特徴とする吸水性紙原紙。
【請求項3】
湿潤紙力増強剤がパルプの絶乾重量に対し0.1〜1.0重量%(固形分換算)配合された、請求項1又は2記載の吸水性紙原紙。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の吸水性紙原紙からなる吸水性紙。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−144175(P2006−144175A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336895(P2004−336895)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】