説明

吸水性貯蔵層

本発明は、衛生用品に使用するための改善された吸水性貯蔵層に関し、この場合この吸水性貯蔵層は、本質的にセルロース不含である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用品に使用するための改善された吸水性貯蔵層に関し、この場合この吸水性貯蔵層は、本質的にセルロース不含である。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造および衛生用品を製造するための当該吸水性ポリマー粒子の使用は、例えば単行本の"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.BuchholzおよびAT.Graham,Wiley−VCH,1998中、殊に第252〜258頁に記載されている。吸水性ポリマー粒子は、超吸収体とも呼称される。
【0003】
現在商業的に使用可能な使い捨ておむつは、通常、液体浸透性表面シート(A)と、液体不浸透性裏面シート(B)と、層(A)と(B)との間の吸水性貯蔵層(C)と、層(A)と(C)との間の吸収−および分配層(D)とから構成されている。
【0004】
吸水性貯蔵層は、通常、吸水性ポリマー粒子とセルロース繊維との混合物から構成され、この場合この吸水性ポリマー粒子は、セルロースマトリックスによって固着されている。
【0005】
近年においては、絶えずよりいっそう薄手の使い捨ておむつを求める傾向にあった。絶えずよりいっそう薄手の使い捨ておむつを製造するために、吸水性貯蔵層中のセルロース繊維の割合は、絶えずますます減少された。この場合には、それによってセルロースマトリックスが絶えずさらに薄手にされ、吸水性貯蔵層中での吸水性ポリマー粒子の移動度が増大することは、不利である。
【0006】
殊に、本質的にセルロース繊維不含である、即ち殆ど専ら吸水性ポリマー粒子からなる吸水性貯蔵層が望ましい場合には、吸水性ポリマー粒子が使い捨ておむつの内部で摺動するか、またはむしろ全体的に使い捨ておむつから転がり落ちるという危険がある。
【0007】
この問題を解決するために、新しい種類の吸水性貯蔵層が製造された。例えば、WO 97/17397A1には、吸水性フォームを製造するための方法が記載されている。この種のフォームを使用する場合には、セルロース繊維の使用を完全に省略することができる。
【0008】
セルロース不含の衛生用品は、熱可塑性ポリマーを微細な繊維に紡糸する限り、吸水性ポリマー粒子を熱可塑性ポリマー、殊に溶融接着剤により適当な不織布裏面シート上に固着することによって固定されてもよい。このような製品は、例えば米国特許第2003/0181115号明細書、米国特許第2004/0167486号明細書、米国特許第2004/071363号明細書、米国特許第2005/097025号明細書、米国特許第2007/156108号明細書、米国特許第2008/0125735号明細書、欧州特許出願公開第1917940号明細書A1、欧州特許出願公開第1913912号明細書A1、欧州特許出願公開第1913913号明細書A2、欧州特許出願公開第1913913号明細書A2、欧州特許出願公開第1911452号明細書A2、欧州特許出願公開第1911426号明細書A2、欧州特許出願公開第1447067号明細書A1、欧州特許出願公開第1813237号明細書A2、欧州特許出願公開第1813236号明細書A2、欧州特許出願公開第1808152号明細書、欧州特許出願公開第1447066号明細書A1中に記載されている。製造方法は、WO 2008/155722A2、WO 2008/155702A1、WO 2008/155711A1、WO 2008/155710A1、WO 2008/155701A1、WO 2008/155699A1中に開示されている。相対的に複雑な製造方法は、不利である。それというのも、接着剤繊維を吸水性ポリマー粒子の存在で紡糸することは、困難であり、かつ間違いを被りやすいからである。
【0009】
更に、伸張性のセルロース不含の衛生用品は、公知であり、米国特許第2006/0004336号明細書、米国特許第2007/0135785号明細書、米国特許第2005/0137085号明細書には、同時に適当な熱可塑性ポリマーから繊維を紡糸しかつ吸水性ポリマー粒子を混入することによって、この衛生用品を製造することが開示されている。この方法も複雑であり、間違いを被りやすい。
【0010】
本発明の課題は、衛生用品、殊に使い捨ておむつのための改善された吸水性貯蔵層を準備することであった。改善された吸水性貯蔵層には、通常の吸水性ポリマー粒子が使用可能であるべきであった。更に、改善された吸水性貯蔵層は、本質的にセルロース繊維不含であるべきであり、吸水性貯蔵層中の吸水性ポリマー粒子は、乾燥状態ならびに湿潤状態で摺動しないし転がり落ちもしないはずであった。セルロース繊維不含とは、本発明の範囲内で、本発明による貯蔵層中のセルロースの割合が特に30質量%未満、有利に20質量%未満、特に有利に10質量%未満、殊に有利に5質量%未満であることを意味する。理想的な場合には、セルロースは、全く含有されていない。
【0011】
この課題は、吸水性ポリマー粒子が不織布裏面シート上に固着されていることによって特徴付けられる、不織布裏面シートと吸水性ポリマー粒子と液体浸透性表面シートとからなる吸水性貯蔵層によって解決された。
【0012】
本発明の1つの実施態様において、液体浸透性表面シートは、不織布裏面シートと接着され、ポケットが形成される。このためには、通常の接着剤が使用されてよい。しかし、液体浸透性表面シートおよび/または不織布裏面シートが全体的または部分的に熱可塑性ポリマーから形成され、液体浸透性表面シートが部分的な溶融によって不織布裏面シートと接着されることも可能である。適当な不織布裏面シートは、熱可塑性繊維(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド)と非熱可塑性繊維(例えば、セルロース)との混合物から構成されていてもよい。
【0013】
吸水性ポリマー粒子で充填されたポケットを形成することによって、吸水性貯蔵層は、キルティングの縫い物の形を得る。吸水性ポリマー粒子は、このポケットによって吸水性貯蔵層の内部での摺動が回避される。
【0014】
この実施態様のもう1つの好ましい変法において、凹所は、液体伝導性の充填材料で部分的に充填され、それによって場合によりポケットは、付加的に覆われる。このために、充填材料としては、単独での親水性繊維(例えば、セルロース、ビスコースまたはレーヨン)、または別の繊維(例えば、プロピレンまたは酢酸セルロース)との混合物での親水性繊維がこれに該当する。これは、1つより多い成分からなりかつ複層状または多層状断面、または中空断面を有する繊維であってよい。このような繊維は、典型的には単純な平滑な繊維よりも良好に液体を導く。
【0015】
好ましくは、液体浸透性表面シートを不織布裏面シートと接着することによって生じた、吸水性貯蔵層の凹所は、さらなる吸水性ポリマー粒子で充填され、かつさらなる液体浸透性表面シートと固着される。
【0016】
本発明の第2の実施態様において、上向きに突出する、有利に親水性の繊維を有する不織布裏面シートが使用される。吸水性ポリマー粒子は、繊維によって不織布裏面シートと液体浸透性表面シートとの間に固着される。液体浸透性表面シートは、特に不織布裏面シートの繊維と接着される。上向きに突出する繊維は、公知の全てのポリマーおよびこれらの混合物から構成されていてよいが、しかし、好ましいのは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、セルロースおよびその誘導体、ポリアミドである。これは、1つより多い成分からなりかつ複層状または多層状断面、または中空断面を有する繊維であってよい。
【0017】
本発明の第3の実施態様において、液体浸透性材料から構成された軟質マトリックスは、不織布裏面シート上に施され、吸水性ポリマー粒子は、マトリックスのチャンバー中に導入される。このマトリックスのチャンバーは、液体浸透性表面シートで閉鎖される。軟質マトリックスは、特に不織布裏面シートおよび液体浸透性表面シートと接着される。
【0018】
この実施態様の1つの利点は、付加的に吸水性貯蔵層内で液体分配が促進されるようにマトリックス材料を選択することができることである。この目的のために適しているのは、プレスされた親水性繊維(例えば、セルロース、化学的に沈殿されたセルロースまたは架橋されたセルロース)または貫通気孔の軟質スポンジである。スポンジの場合には、親水性のタイプが好ましい。マトリックス材料は、発泡された状態(プレスされていない状態)で特に0.001〜2.0mm、有利に0.01〜1.0mm、特に有利に0.03〜0.5mm、殊に有利に0.06〜0.3mmの直径を有する連続気孔を有する。
【0019】
全ての実施態様において、もう1つの特に好ましい変法で付加的に吸水性ポリマー粒子を乾式固着するために水溶性接着剤を使用することができる。接着剤は、例えば吸水性ポリマー粒子の施与前に不織布裏面シート上に施される。こん施与は、例えば点状、平面状または有利にストリップ中で機械走行方向に、または機械走行方向に対して横方向または対角線方向に行なうことができる。水溶性接着剤は、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、澱粉および澱粉誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体またはポリアクリル酸から構成されていてよい。特に有利には、水溶性の接着剤は、少なくとも1つのポリアミンを含有するかまたは当該アミンからなる。適当なポリアミンは、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンである。特に好ましいのは、ポリビニルアミンである。湿分と接触した場合、アミンは、接着剤から溶解し、膨潤するヒドロゲルに結合するようになり、それによって付加的に膨潤した状態で特殊なゲル層安定性を生じる。
【0020】
好ましい実施態様において、不織布裏面シートのウェブは、機械走行方向に移動し、その上に吸水性ポリマー粒子を有するストリップまたは幾何学的パターンが施される。この場合、本発明の第2の実施態様において、閉鎖された面を得ることができる。しかし、全部で3つの実施態様において、任意の幾何学的形状およびパターン、例えば前記面内に吸水性ポリマー粒子を有するクッションが配置されているようなものが考えられる。この場合には、施された吸水性ポリマー粒子のクッションまたは堆積物は、全ての任意の形、例えば円形、楕円形、矩形、正方形、三角形(上方から見て)を面内に取ることができる。特に好ましいのは、二次元の面が間隙なしに覆われうるような任意の多角形または多角形の混合物である。特に有利には、1つ以上の連続的ストリップが機械的走行方向に施され、この場合このストリップは、互いに平行に走行する。
【0021】
ポケットの場合には、吸水性ポリマー粒子ができるだけ支障がないように膨潤しうるようにするために、ポケットをルーズに充填することは、好ましい。しかし、選択的に表面シートとして、または裏面シートとして弾性不織布を使用することもできる。このような不織布は、商業的に入手可能である。
【0022】
全ての実施態様において、不織布裏面シートは、減圧により適当な機械上で、載置すべき吸水性ポリマー粒子がその際にマスクまたは類似の手段によりそこに載置されうるように固着され、したがってこの吸水性ポリマー粒子が、存在する吸引作用によって処理中に下方から固着して維持されるように固着される。同様にこうして別の成分も一時的に固着されうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】第1の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層の1つの横断面を示す略図。
【図1b】第1の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層の他の横断面を示す略図。
【図1c】第1の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層の長手方向を示す断面図。
【図2】第2の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層を示す横断面図。
【図3a】第3の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層の1つの横断面を示す略図。
【図3b】第3の実施態様の本発明による吸水性貯蔵層の他の横断面を示す略図。
【0024】
A.吸水性ポリマー粒子
水吸収性ポリマー粒子は、モノマー溶液またはモノマー懸濁液の重合によって製造され、通常、水不溶性である。
【0025】
モノマーa)は、特に水溶性であり、即ち23℃で水中での溶解性は、典型的には少なくとも水1g/100g、有利に少なくとも水5g/100g、特に有利に少なくとも水25g/100g、殊に有利に少なくとも水35g/100gである。
【0026】
適当なモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。殊に有利なのは、アクリル酸である。
【0027】
更に、適当なモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0028】
不純物は、重合に対して重大な影響を及ぼしうる。従って、使用される原料は、できるだけ高純度を有するべきである。従って、モノマーa)を特に精製することは、しばしば好ましい。適当な精製法は、例えばWO 2002/055469A1、WO 2003/078378A1およびWO 2004/035514A1中に記載されている。適当なモノマーa)は、例えばWO 2004/035514A1の記載により精製された、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%およびヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有するアクリル酸である。
【0029】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸および/またはその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、殊に有利に少なくとも95モル%である。
【0030】
モノマーa)は、通常、重合抑制剤、特にヒドロキノン半エーテルを貯蔵安定剤として含有する。
【0031】
モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して特に250質量ppmまで、有利に最大130質量ppm、特に有利に最大70質量ppm、有利に少なくとも10質量ppm、特に有利に少なくとも30質量ppm、殊に50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有する。例えば、このモノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルを相応する量で含有するエチレン系不飽和の酸基含有モノマーを使用することができる。
【0032】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0033】
適当な架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2個の基を有する化合物である。この種の基は、例えば重合体鎖中にラジカル的に重合導入することができるエチレン系不飽和基、およびモノマーa)の酸基との共有結合を形成することができる官能基である。更に、また、モノマーa)の少なくとも2個の酸基との配位結合を形成することができる多価金属塩は、架橋剤b)として適している。
【0034】
架橋剤b)は、特にポリマー網状組織中にラジカル的に重合導入することができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適当な架橋剤b)は、例えば欧州特許出願公開第0530438号明細書A1にエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタンが、例えば欧州特許出願公開第0547847号明細書A1、欧州特許出願公開第0559476号明細書A1、欧州特許出願公開第0632068号明細書A1、WO 93/21237A1、WO 2003/104299A1、WO 2003/104300A1、WO 2003/104301A1およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10331450号明細書A1にジアクリレートおよびトリアクリレートが、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10331456号明細書A1およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10355401号明細書A1にアクリレート基と共にさらにエチレン系不飽和基を含有する混合アクリレートが、または例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19543368号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19646484号明細書A1、WO 90/15830A1およびWO 2002/032962A2に架橋剤混合物が記載されている。
【0035】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリアリルアミンである。
【0036】
殊に有利な架橋剤b)は、例えばWO 2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸またはメタクリル酸でジアクリレートまたはトリアクリレートにエステル化された、複数箇所エトキシル化されたおよび/またはプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。1〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートが特に有利である。3〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に3箇所エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。
【0037】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)に対して特に0.05〜1.5質量%、特に有利に0.1〜1質量%、殊に有利に0.3〜0.6質量%である。架橋剤の含有量が上昇すると、遠心分離保持能(CRC)は低下し、21.0g/cm2の圧力下での吸収量は、最大を突破する。
【0038】
開始剤c)として、重合条件下でラジカル的に製造された全ての化合物、例えば熱開始剤、酸化還元開始剤、光開始剤が使用されてよい。適当な酸化還元開始剤は、ナトリウムペルオキソジスルフェート/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ナトリウムペルオキソジスルフェート/亜硫酸水素ナトリウムおよび過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。特に、熱開始剤と酸化還元開始剤との混合物、例えばナトリウムペルオキシジスルフェート/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元性成分として、特に2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と亜硫酸水素ナトリウムとからなる混合物が使用される。この種の混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6およびBrueggolite(登録商標)FF7(Brueggemann Chemicals社; Heilbronn在;DE)として入手可能である。
【0039】
エチレン系不飽和酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0040】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、特に澱粉、澱粉誘導体および変性セルロースを使用することができる。
【0041】
通常、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の含水量は、特に40〜75質量%、特に有利に45〜70質量%、殊に有利に50〜65質量%である。また、モノマー懸濁液、即ち過剰量のモノマーa)を有するモノマー溶液、例えばナトリウムアクリレートを使用することが可能である。含水量が上昇すると、エネルギー費用は、引続く乾燥の際に上昇し、含水量が減少すると、重合熱は、なお不十分にのみ導出されることができる。
【0042】
有利な重合抑制剤は、最適な作用のために溶解した酸素を必要とする。従って、前記モノマー溶液からは重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、有利には窒素または二酸化炭素を用いた貫流により溶解した酸素が取り除かれてよい。有利には、前記モノマー溶液の酸素含量は、重合前に、1質量ppmより少なく、特に有利に0.5質量ppmより少なく、殊に有利に0.1質量ppmより少なく低下される。
【0043】
適した反応器は、ニーダー反応器またはベルト反応器(Bandreaktor)である。ニーダー中で、モノマー水溶液またはモノマー懸濁液の重合の際に生じるポリマーゲルは、例えばWO 2001/038402A1に記載されているように、反転撹拌軸により連続的に微粉砕される。ベルト上でのこの重合は、例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3825366号明細書A1および米国特許第6241928号明細書中に記載されている。重合の際にベルト反応器中でポリマーゲルが生じ、これは、更なる処理工程、例えば押出機またはニーダー中で破砕されなくてはならない。
【0044】
乾燥特性を改善するために、混練機により得られた微粉砕されたポリマーゲルは、付加的に押出されてよい。
【0045】
しかし、モノマー水溶液を滴加し、形成された液滴を加熱されたキャリヤーガス流中で重合させることも可能である。この場合、処理工程は、WO 2008/040715 A2およびWO 2008/052971 A1の記載と同様に重合および乾燥を併用することができる。
【0046】
得られたポリマーゲルの酸基は、通常、部分的に中和されている。この中和は、有利には、前記モノマーの工程で実施される。通常、中和は、中和剤を水溶液としてかまたは好ましくは固体として混入することによって行われる。中和度は、特に25〜95モル%、特に有利に30〜80モル%、殊に有利に40〜75モル%であり、この場合には、通常の中和剤、特にアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩ならびにこれらの混合物が使用されてよい。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩が使用されてもよい。ナトリウムおよびカリウムは、アルカリ金属として特に有利であるが、しかしながら水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物が殊に有利である。
【0047】
しかし、中和を重合後に、重合で生じるポリマーゲルの段階で実施することも可能である。更に、中和剤の一部をモノマー溶液に既にモノマー溶液に添加することにより、重合前に酸基を40モル%まで、好ましくは10〜30モル%、特に好ましくは15〜25モル%中和することが可能であり、望ましい最終中和度は、重合の後に初めてポリマーゲルの段階で調節される。前記ポリマーゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ポリマーゲルは、有利に機械的に、例えば押出機を用いて微粉砕され、この場合、中和剤は、吹き付けられるか、散布されるか、または注入され、次に入念に混合されることができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために押出されうる。
【0048】
更に、ポリマーゲルは、特にベルト乾燥機を用いて、残留湿分が特に0.5〜15質量%、特に有利に1〜10質量%、殊に有利に2〜8質量%になるまで乾燥され、この場合には、残留湿分は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法No.WSP230.2−05"湿分含量 Moisture Content"により測定される。残留湿分が高すぎる場合には、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、後加工が困難になる。残留湿分が低すぎる場合には、乾燥されたポリマーゲルは、脆すぎ、引続く粉砕工程において、低すぎる粒度("微細")を有する望ましくない大量のポリマー粒子が生じる。前記ゲルの固体含量は、乾燥前に特に25〜90質量%、特に有利に35〜70質量%、殊に有利に40〜60質量%である。しかし選択的に、この乾燥のために、渦動床乾燥機またはパドル乾燥機が使用されてもよい。
【0049】
乾燥したポリマーゲルは、この後で微粉砕されかつ分級され、この場合、微粉砕のために通常では1段階または多段階のロールミル、有利に2段階または3段階のロールミル、ピン付きミル、ハンマーミルまたはスイングミルを使用することができる。
【0050】
製品画分として分離されるポリマー粒子の平均粒度は、特に少なくとも200μm、特に有利に250〜600μm、殊に有利に300〜500μmである。製品画分の平均粒度は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法No.WSP220.2−05"粒径分布 Partikel Size Distribution"により算出されることができ、この場合篩画分の質量分は、累積されてプロットされ、平均粒度は、グラフにより測定される。この場合、平均粒度は、目開きの値であり、この値は、累積された50質量%をもたらす。
【0051】
少なくとも150μmの粒度を有する粒子の割合は、特に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%、殊に有利に少なくとも98質量%である。
【0052】
低すぎる粒度を有するポリマー粒子は、生理食塩水流れ誘導性または透過率(SFCまたはGBP)を低下させる。従って、小さすぎるポリマー粒子("微細")の割合は、僅かであるべきである。
【0053】
従って、小さすぎるポリマー粒子は、通常、分離され、および方法に返送される。これは、特に重合前、重合中または重合直後に、即ちポリマーゲルの乾燥前に行なわれる。小さすぎるポリマー粒子は、返送前または返送中に水および/または水性界面活性剤で湿潤されうる。
【0054】
その後の処理工程において、例えば表面後架橋または別の被覆工程により小さすぎるポリマー粒子を分離することも可能である。この場合、返送された小さすぎるポリマー粒子は、表面後架橋されるかまたは別の方法で、例えば熱分解法珪酸で被覆される。
【0055】
重合のためにニーダー反応器を使用する場合には、小さすぎるポリマー粒子は、特に重合の最後の三分の一の間に添加される。
【0056】
小さすぎるポリマー粒子が極めて早期に、例えば既にモノマー溶液に添加された場合には、それによって得られた水吸収性ポリマー粒子の遠心分離保持能(CRC)は、低下される。しかし、これは、例えば使用量を架橋剤b)に適合させることによって補償されることができる。
【0057】
小さすぎるポリマー粒子が極めて後期に、例えば重合反応器に後接続された装置中、例えば押出機中で初めて添加された場合には、小さすぎるポリマー粒子は、得られたポリマーゲル中に混入させることが困難である。しかし、不十分に混入された、小さすぎるポリマー粒子は、微粉砕中に再び乾燥されたポリマーゲルによって溶解し、したがって、分級の際に改めて分離され、返送すべき、小さすぎるポリマー粒子の量は、上昇する。
【0058】
最大850μmの粒度を有する粒子の割合は、特に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%、殊に有利に少なくとも98質量%である。
【0059】
最大600μmの粒度を有する粒子の割合は、特に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%、殊に有利に少なくとも98質量%である。
【0060】
大きすぎる粒度を有するポリマー粒子は、膨潤速度を低下させる。従って、大きすぎるポリマー粒子の割合は、同様に僅かであるべきである。
【0061】
従って、大きすぎるポリマー粒子は、通常分離され、乾燥されたポリマーゲルの微粉砕に返送される。
【0062】
ポリマー粒子は、前記性質をさらに改善するために表面後架橋されてよい。適当な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成することができる基を含有する化合物である。適当な化合物は、例えば欧州特許出願公開第0083022号明細書A2、欧州特許出願公開第0543303号明細書A1および欧州特許出願公開第0937736号明細書A2に記載されているような多価アミン、多価アミドアミン、多価エポキシド、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3314019号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3523617号明細書A1および欧州特許出願公開第0450922号明細書A2に記載されているような二価アルコールまたは多価アルコール、またはドイツ連邦共和国特許出願公開第10204938号明細書A1および米国特許第6239230号明細書に記載されているようなβ−ヒドロキシアルキルアミドである。
【0063】
更に、ドイツ連邦共和国特許第4020780号明細書C1中には環式カーボネートが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19807502号明細書A1中には2−オキサゾリドンおよびその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、ドイツ連邦共和国特許第19807992号明細書C1中にはビス−2−オキサゾリジノンおよびポリ−2−オキサゾリジノンが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19854573号明細書A1中には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19854574号明細書A1中にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10204937号明細書A1中には環式尿素が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10334584号明細書A1中には二環式アミドアセタールが、欧州特許出願公開第1199327号明細書A2中にはオキセタンおよび環式尿素が、およびWO 2003/031482A1中にはモルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が適当な表面後架橋剤として記載されている。
【0064】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物およびプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからなる混合物である。
【0065】
殊に好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オンおよび1,3−プロパンジオールである。
【0066】
更に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3713601号明細書A1中に記載されているような、付加重合可能なエチレン系不飽和基を含有する表面後架橋剤が使用されてもよい。
【0067】
表面後架橋剤の量は、それぞれポリマー粒子に対して特に0.001〜2質量%、特に有利に0.02〜1質量%、殊に有利に0.05〜0.2質量%である。
【0068】
本発明の1つの好ましい実施態様において、表面後架橋前、表面後架橋中または表面後架橋後に表面後架橋に加えて多価陽イオンは、粒子表面上に施こされる。
【0069】
本発明による方法において使用することができる多価陽イオンは、例えば二価の陽イオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄およびストロンチウムの陽イオン、三価の陽イオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンの陽イオン、四価の陽イオン、例えばチタンおよびジルコニウムの陽イオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、燐酸水素イオン、燐酸二水素イオンおよびカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオンおよび乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウムは、好ましい。金属塩以外に、ポリアミンも多価陽イオンとして使用されることができる。
【0070】
多価陽イオンの使用量は、それぞれポリマー粒子に対して例えば0.001〜1.5質量%、特に0.005〜1質量%、特に有利に0.02〜0.8質量%である。
【0071】
表面後架橋は、通常、表面後架橋剤の溶液が乾燥したポリマー粒子上に吹き付けられることによって実施される。この噴霧に引続き、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子は、熱乾燥され、この場合表面後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも行なわれうる。
【0072】
表面後架橋剤の溶液の吹き付けは、有利に可動式混合工具を備えたミキサー中で、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサーおよび櫂形攪拌機中で実施される。特に好ましいのは、水平方向ミキサー、例えば櫂形攪拌機であり、殊に好ましいのは、垂直方向ミキサーである。水平方向ミキサーと垂直方向ミキサーとは、混合軸の軸受けにより区別され、即ち水平方向ミキサーは、水平方向に支承された混合軸を有し、垂直方向ミキサーは、垂直方向に支承された混合軸を有する。適当なミキサーは、例えば水平方向Pflugschar(登録商標)ミキサー(Gebr.Loedige Machinenbau GmbH,Paderborn;DE)、Vrieco−Nauta Continuous Mixer(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;NL)、Processall Mixmill Mixer(Processall Incorporated;Cincinnati;US)およびSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;NL)である。しかし、表面後架橋剤溶液を渦動床中で吹き付けることも可能である。
【0073】
表面後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。ポリマー粒子中への表面後架橋剤の侵入深さは、非水溶性溶剤の含量または全溶剤量により調節されることができる。
【0074】
専ら水を溶剤として使用する場合には、有利に界面活性剤が添加される。それによって、湿潤挙動は、改善され、団塊化傾向は、減少される。しかし、特に溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水およびプロピレングリコール/水が使用され、この場合混合物の質量比は、特に20:80〜40:60である。
【0075】
この加熱乾燥は、特に接触乾燥機、特に好ましくはパドル型乾燥機、殊に好ましくはディスク型乾燥機中で実施される。適当な乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(登録商標)水平方向のパドル型乾燥機(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;DE)、Hosokawa Bepex(登録商標)ディスク型乾燥機(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;DE)およびNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe;Frechen;DE)である。さらに、流動床乾燥機を使用することもできる。
【0076】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉かまたは加熱可能なスクリューは、同様に好適である。特に有利には、渦動床乾燥機中で混合され、および乾燥される。
【0077】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、有利に120〜220℃、特に有利に130〜210℃、殊に有利に150〜200℃の範囲内にある。反応ミキサーまたは乾燥器中での前記温度での好ましい滞留時間は、有利に少なくとも10分間、特に有利に少なくとも20分間、殊に有利に少なくとも30分間、通常最大60分間である。
【0078】
引続き、表面後架橋されたポリマー粒子は、再び分級され、その際に小さすぎるポリマー粒子および/または大きすぎるポリマー粒子は、分離され、方法に返送される。
【0079】
表面後架橋されたポリマー粒子は、前記性質をさらに改善するために被覆されてもよいし、後湿潤されてもよい。
【0080】
場合による後湿潤は、特に30〜80℃、特に有利に35〜70℃、殊に有利に40〜60℃で実施される。低すぎる温度の場合には、吸水性ポリマー粒子は、団塊化の傾向を有し、比較的高い温度の場合には、既に著しく水が蒸発する。後湿潤に使用される水量は、特に1〜10質量%、特に有利に2〜8質量%、殊に有利に3〜5質量%である。ポリマー粒子の機械的安定性は、後湿潤によって上昇され、このポリマー粒子の静電帯電の傾向は、減少される。
【0081】
膨潤速度ならびに生理食塩水流れ誘導性または透過率(SFCまたはGBP)を改善するのに適した被覆は、例えば無機の不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、陽イオン性ポリマーならびに二価または多価金属陽イオンである。ダスト結合に適した被覆は、例えばポリオールである。ポリマー粒子の望ましくない焼き付き傾向に抗して適した被覆は、例えば熱分解法珪酸、例えばAerosil(登録商標)200、および界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20である。
【0082】
本発明による方法により製造された水吸収性ポリマー粒子は、特に0〜15質量%、特に有利に0.2〜10質量%、殊に有利に0.5〜8質量%の湿分含量を有し、この場合、この湿分含量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法No.WSP230.2−05"湿分含量Moisture Content"により測定される。
【0083】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、特に少なくとも20g/g、有利に少なくとも22g/g、特に有利に少なくとも24g/g、殊に有利に少なくとも26g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有する。水吸収性ポリマー粒子の遠心分離保持能(CRC)は、通常、60g/g未満である。この遠心分離保持能(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法No.WSP241.2−05"遠心分離保持能Centrifuge Retention Capacity"により測定される。
【0084】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、49.2g/cm2の圧力下で、典型的には少なくとも15g/g、特に少なくとも20g/g、有利に少なくとも22g/g、特に有利に少なくとも24g/g、殊に有利に少なくとも26g/gの吸収量を有する。水吸収性ポリマー粒子の49.2g/cm2の圧力下での吸収量は、通常、35g/gである。49.2g/cm2の圧力下での吸収量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法No.WSP242.2−05"圧力下での吸収量Absorption under Pressure"と同様に測定され、この場合には、21.0g/cm2の圧力の代わりに、圧力は、49.2g/cm2に調節される。
【0085】
B.衛生用品
衛生用品、殊に使い捨ておむつは、
(A)液体浸透性表面層(upper liquid−pervious layer)、
(B)液体不浸透性裏面層(lower liquid−impervious layer)、
(C)層(A)と層(B)との間の吸水性貯蔵層(水吸収剤のコアwater−absorbent core)および
(D)場合により層(A)と層(C)との間の吸収−および分配層(捕捉分配層acquisition distribution layer)から構成されている。
【0086】
液体浸透性表面層(A)は、直接皮膚に接触する層である。このための材料は、この場合、通常、合成または半合成の繊維、例えばポリエステル、ポリオレフィン、レイヨン、または普通の天然繊維、例えば綿からなる。不織材料の場合に、前記繊維は一般に結合剤、例えばポリアクリレートにより結合することができる。好ましい材料は、ポリエステル、レーヨン、ポリエチレンおよびポリプロピレンである。液体浸透性層の例は、例えばWO 99/57355および欧州特許出願公開第1023883号明細書A2に記載されている。
【0087】
液体不浸透性裏面層(B)は、通常、ポリエチレンまたはポリプロピレンからのシートからなる。しかし、この液体不浸透性裏面層(B)は、別の全てのシート形成性ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、殊に生分解性ポリエステルから構成されていてもよい。
【0088】
本発明による吸水性貯蔵層は、本質的にセルロース繊維不含であるか、または特に30質量%未満、有利に20質量%未満、特に有利に10質量%未満、殊に有利に5質量%未満のセルロース繊維の割合を有する。使用可能な吸水性ポリマー粒子は、全く制限を受けない。しかし、特に50〜150×10-7cm3s/gの生理食塩水流れ誘導性(SFC)を有する吸水性ポリマー粒子が使用され、この場合この生理食塩水流れ誘導性(SFC)は、WO 2008/092843A1(第30頁、第16〜36行)に記載の方法により測定することができる。
【0089】
同様に、透過率(GBP)10〜100ダルシーズを有する吸水性ポリマー粒子が使用されてよい。1つの特別な実施態様において、透過率(GBP)100〜1000ダルシーズを有する吸水性ポリマー粒子が使用される。透過率(GBP)は、米国特許第2005/0256757号明細書の記載により測定される。
【0090】
更に、遠心分離保持能(CRC)少なくとも33g/gおよび49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量少なくとも12g/gを有する吸水性ポリマー粒子を使用することは、好ましい。
【0091】
更に、水性体液に対する吸水性ポリマー粒子の吸収速度が、吸水性貯蔵層中のそれぞれの要件に最適に適合されることは、好ましい。この吸収速度を測定するために、有利に刊行物、例えば単行本の"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.BuchholzおよびAT.Graham,Wiley−VCH,1998中、第156〜157頁に記載された渦流試験が使用される。吸水性ポリマー粒子の渦流時間は、120秒未満、特に80秒未満、有利に50秒未満、特に有利に40秒未満、殊に有利に20秒未満である。
【0092】
吸収−および分配層(D)は、通常、セルロース繊維、変性セルロースまたは合成繊維からなり、そして水性液体、例えば尿を急速に吸収しかつ吸水性層(C)にさらに導くという課題を有する。
【0093】
吸収−および分配層(D)には、特に変性セルロース繊維、特に有利に化学的に変性されたセルロース繊維、殊に有利に化学的に補強されたセルロース繊維が使用される。化学的に補強するのに適した手段は、陽イオン変性された澱粉、ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびポリエチレンイミン樹脂である。
【0094】
この補強は、化学構造を変えることによって、例えば架橋によって行なわれてもよい。架橋剤は、ポリマー鎖を共有結合の構成によって架橋しうる。適当な架橋剤は、例えばC2〜C8ジアルデヒド、1個のカルボン酸基を有するC2〜C8モノアルデヒドおよびC2〜C8ジカルボン酸である。
【0095】
本発明によれば、改善された吸水性貯蔵層、ならびにこの吸水性貯蔵層を含む衛生用品が得られる。この場合には、液体貯蔵と液体伝導を分けることによって、一面で殊に繊維の材料消費量は、前記の貯蔵層の形成のために明らかに減少させることができ、他面、乾式で使用する際に優れた完全性を有する薄手の軟質衛生用品が得られ、それというのも、吸水性ポリマー粒子は、本質的に効果的に固着されうるからである。
【符号の説明】
【0096】
1 不織布裏面シート、 2 液体浸透性表面シート、 3 吸水性ポリマー粒子、 4 接着層、 5 第2の液体浸透性表面シート、 6 付加的な接着層、 7 機械走行方向、 8 不織布裏面シート、 9 液体浸透性表面シート、 10 吸水性ポリマー粒子、 11 上向きに方向付けられた繊維、 12 不織布裏面シート、 13 液体浸透性表面シート、 14 吸水性ポリマー粒子、 15 液体浸透性マトリックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布裏面シートと吸水性ポリマー粒子と液体浸透性表面シートから構成されている吸水性貯蔵層であって、この吸水性ポリマー粒子が不織布裏面シート上に固着されていることを特徴とする、上記の吸水性貯蔵層。
【請求項2】
液体浸透性表面シートが不織布裏面シートと接着され、ポケットが形成された、請求項1記載の貯蔵層。
【請求項3】
ポケット間のブリッジが他の吸水性ポリマー粒子で充填され、さらなる吸水性ポリマー粒子が第1の液体浸透性表面シートとの接着によって第2の液体浸透性表面シートと固着している、請求項2記載の貯蔵層。
【請求項4】
不織布裏面シートが上向きに方向付けられた繊維を有し、吸水性ポリマー粒子が繊維の範囲内に存在する、請求項1記載の貯蔵層。
【請求項5】
液体浸透性表面シートが繊維と接着された、請求項4記載の貯蔵層。
【請求項6】
不織布裏面シートと液体浸透性表面シートとの間に液体浸透性マトリックスが存在する、請求項1記載の貯蔵層。
【請求項7】
液体浸透性マトリックスが不織布裏面シートおよび液体浸透性表面シートと接着された、請求項6記載の貯蔵層。
【請求項8】
吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心分離保持能を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の貯蔵層。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の吸水性貯蔵層を含む衛生用品。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2012−527267(P2012−527267A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511244(P2012−511244)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056688
【国際公開番号】WO2010/133529
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】