説明

吸湿性組成物

【課題】非ハロゲン系無機塩である酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムが用いられ、安価で高い吸湿性を有しながら、金属の錆等の発生の懸念が低く安全性の高い吸湿性組成物を提供する。
【解決手段】酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの少なくとも一方と吸水性バインダーとを含有すると共に、酢酸ナトリウム及び前記酢酸カリウム(Ac)の総量と吸水性バインダー(B)の量との比率(Ac:B)を質量基準で2:3〜4:1の範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、保管や梱包などの際に使用される乾燥材料として、無機塩系の乾燥剤が広く知られている。特に吸湿性を示す素材として、塩化カルシウムなどのハロゲン系無機塩が、その吸湿能に優れる点から広く用いられている。
【0003】
塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどのハロゲン系塩類は、潮解性無機塩類であり、潮解性無機塩類は単位重量あたりの吸湿量が大きいものの、これらの無機塩類は、吸湿すると液状化し(潮解)、その潮解液が分離し、流動化・液漏れを引き起こすという問題がある。特に潮解液が染み出す等して分離されると、塩化物などのハロゲン系塩類が被乾燥物に接触し、金属材料に対して錆などの腐食を生じさせる要因となる懸念がある。そのため、金属加工品などの金属が用いられている製品を保管、梱包等する場面では、一般に高価な吸水性ポリマー系の乾燥剤や、シリカ系乾燥剤が使用されているのが実情である。
【0004】
このような乾燥剤として、塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の塩類とセピオライトとを用いた乾燥剤が開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。塩化カルシウム等の潮解性無機塩類は吸湿時に潮解するが、セピオライト等の保水剤と混合使用することで吸湿水分の保持が可能になる。
【0005】
また、ハロゲン系無機塩を使用した乾燥剤は、廃棄する際、燃焼によりハロゲン系有害物質が発生するおそれもあり、人体への影響や、近年注視されている環境負荷の観点から改善が期待される。
【0006】
他方、シリカゲルなどのシリカ系乾燥剤は、吸湿能の点で、塩化カルシウム等のハロゲン系無機塩類に比べ、著しく乾燥能力に劣る傾向がある。
【0007】
以上のような状況から、安価で優れた吸湿能を有しながらも金属の錆等の発生の懸念が低く、安全性の高い乾燥剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−76132号公報
【特許文献2】特開平11−156143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献に開示されている従来の技術では、塩化カルシウム等の潮解性無機塩類をセピオライト等と混合して用いる場合に、塩化カルシウム等の表面にセピオライトが付着したり、あるいは塩化カルシウム等が包装材で覆われた状態になりやすく、逆に吸湿能力が低くなるとされている。これは、塩化カルシウム等のハロゲン系塩類は、吸湿能力が比較的高いことから、セピオライトなどと共に用いると表面に付着することで、むしろ吸湿能力の低下を来たす傾向が現れるものと推定される。
【0010】
また、セピオライト等の保水剤を用いても、上記のように塩類が金属材料と接触すれば錆などの腐食を引き起こす要因となることに変わりはなく、吸湿能力を保持すると共に、錆などの腐食の懸念が解消される技術の確立が求められていた。
【0011】
上記のセピオライトなどは、保水性の点では優れているが、吸湿能は低いため、このような保水剤のみでは乾燥能力を高く確保することは困難である。
【0012】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、非ハロゲン系無機塩である酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムが用いられ、安価で高い吸湿性を有しながら、金属の錆等の発生の懸念が低く安全性の高い吸湿性組成物を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの少なくとも一方と吸水性バインダーとを含有し、前記酢酸ナトリウム及び前記酢酸カリウム(Ac)の総量と前記吸水性バインダー(B)の量との比率(Ac:B[質量比])が2:3〜4:1の範囲である吸湿性組成物である。
【0014】
<2> 前記吸水性バインダーは、粘土鉱物、吸水性ポリマー、及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種である前記<1>に記載の吸湿性組成物である。
【0015】
<3> 前記比率(Ac:B)が、2:3〜5:2の範囲である前記<1>又は前記<2>に記載の吸湿性組成物である。
【0016】
<4> 前記吸水性バインダーが、セピオライト、カルボキシメチルセルロース、及びアクリル系樹脂の少なくとも一種である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の吸湿性組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、非ハロゲン系無機塩である酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムが用いられ、安価で高い吸湿性を有しながら、金属の錆等の発生の懸念が低く安全性の高い吸湿性組成物を提供することができる。
また、酢酸ナトリウムは食品添加物として用いられるものであり、低有害性であると共に、廃棄時にもハロゲン系有害物質の発生が抑えられ、環境負荷も低い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】酢酸ナトリウムとセピオライトとの混合比率を変化させたときの吸湿性の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の吸湿性組成物について詳細に説明する。
本発明の吸湿性組成物は、少なくとも酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムと吸水性バインダーとを含有すると共に、酢酸ナトリウム及び前記酢酸カリウム(Ac)の総量と吸水性バインダー(B)の量との比率(Ac:B[質量比])を2:3〜4:1の範囲として構成されたものである。
【0020】
本発明においては、ハロゲン系塩類を用いずに酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムを用い、この酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウム(Ac)を吸水性バインダー(B)とともに、2:3≦Ac:B≦4:1[質量比]の関係を満たすように含ませた構成にすることで、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムを単独使用する場合に比べてより優れた吸湿能が得られ、金属材料の腐食(例えば錆)が解消されるのみならず、長期に亘って優れた吸湿効率が発現し、吸湿に伴なって生じやすい湿潤化ないし液状化も招来し難い。これにより、金属材料が用いられた被乾燥物に対する吸湿性組成物(例えば乾燥剤)として好適に用いられる。
【0021】
(吸湿剤)
本発明の吸湿性組成物は、吸湿剤として酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの少なくとも一方を含有する。酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムは、ハロゲン系塩類に属しないものであり、安価で金属の腐食(例えば錆)を招来し難いため、金属の使用の有無に拘わらず使用が可能である。
【0022】
酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムは、吸湿量や吸湿速度が良好で液状化を起こし難い点で有用であり、これを吸水性バインダーと共に用いた場合に、より優れた吸湿能が発揮される。これらの中でも、吸湿量がより多く液状化がより生じ難い点で、酢酸ナトリウムが好ましい。また、酢酸ナトリウムと酢酸カリウムとを併用した組成も好適である。
【0023】
酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの合計の吸湿性組成物中における含有割合としては、吸湿性組成物の全固形分に対して、20〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70質量%の範囲である。酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの合計の含有割合は、20質量%以上であると、良好な吸湿能が得られ、また80質量%以下であると、液状化が抑制される点で有利である。
【0024】
本発明の吸湿性組成物には、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムと共に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の吸湿剤が含有されてもよい。この場合に含有できる他の吸湿剤としては、例えば、シリカゲル(コロイド状ケイ酸)、酸化カルシウム(生石灰)、活性アルミナ(酸化アルミニウム)等を挙げることができる。本発明においては、塩化カルシウム等の塩化物などのハロゲン化塩類は含まないことが望ましい。
【0025】
本発明においては、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウム(Ac)を、後述の吸水性バインダー(B)との比率(Ac:B[質量比])で2:3〜4:1の範囲を満たすように含有する。
前記比率Ac:Bが2:3未満、すなわち酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの総量の割合が少なすぎると、吸水性バインダー量が多いために潮解による液状は生じ難いものの、酢酸ナトリウム単独又は酢酸カリウム単独で含有する場合に比べて吸湿能が低下し、吸湿性材料としての能力に劣る。逆に、前記比率Ac:Bが4:1を超える、すなわち酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの総量の占める割合が高すぎると、経時で次第に湿潤し液状化しやすくなる。
前記比率Ac:Bの好ましい範囲としては、吸湿能に優れ湿潤ないし液状化を起こし難い点で、2:3〜5:2の範囲であり、更に好ましくは、さらに湿潤し難い点で、2:3〜1:1の範囲である。
【0026】
(吸水性バインダー)
本発明の吸湿性組成物は、吸水性バインダーの少なくとも一種を含有する。酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムは、潮解性を有しており、吸水性バインダーを上記の所定比率で存在させることで、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの吸湿能を高められる。
【0027】
ここで、吸水性とは、バインダーが水分を化学的又は物理的に吸収できる性質を有していることをいい、具体的には、バインダー単位質量あたり10質量%以上の水分を吸収し得る性状を有していることをいう。
【0028】
本発明における吸水性バインダーとしては、吸水性を有し、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムを固定化できるバインダーとして機能できれば、無機物又は有機物のいずれを用いてもよい。中でも、吸水性のバインダーの好ましい例として、粘土鉱物、吸水性ポリマー、又はゼオライトが挙げられる。
【0029】
前記粘土鉱物としては、例えば、セピオライト(MgSi1230(OH)・(OH・8HOで表される含水マグネシウム珪酸塩)、アタパルジャイト((Mg・AL)Si10(OH)・4HOで表されるパリゴルスカイト構造を有する含水珪酸マグネシウム)、カオリナイト(Al(Si)(OH)で表されるアルミニウム珪酸塩)、パーライト、ドロマイトなどが挙げられる。
また、粘土鉱物は、上市された市販品を用いてもよく、市販品の例として、楠本化成(株)製のセピオライトや、宇部興産(株)製のパーライトなどを使用できる。
粘土鉱物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
前記吸水性ポリマーとしては、吸水性を有する樹脂の中から適宜選択することができる。吸水性ポリマーの例としては、アクリル系樹脂(例えば、三洋化成工業(株)製のサンフレッシュなど)、セルロース系樹脂(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)等を挙げることができる。
吸水性ポリマーは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
前記ゼオライトは、結晶構造中に比較的大きな空隙を持つアルミノケイ酸塩であり、天然ゼオライトでも合成ゼオライトでもよい。ゼオライトの例としては、β−ゼオライト、ZSM系ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等が含まれる。
また、ゼオライトは、上市された市販品を用いてもよく、市販品の例として、新東北化学工業(株)製のゼオライトなどを使用できる。
ゼオライトは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
上記の粘度鉱物やゼオライトは、臭気ガスを吸着する効果があり、アンモニア等のアミン系ガス、硫化水素等の硫化物系ガス、ホルムアルデヒドガス等の腐食性ガスを効果的に除去できる点で好ましい。
【0033】
吸水性バインダーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、吸水性バインダーの吸湿性組成物中における含有割合は、前記比率Ac:Bを満たす範囲であれば特に制限されるものではないが、下記の範囲が好ましい。
吸水性バインダーの吸湿性組成物中における含有量としては、吸湿性組成物の全固形分に対して、20〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70質量%の範囲である。吸水性バインダーの含有量は、20質量%以上であると、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムが吸収した水分を受容できるだけの量を確保し、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムの吸湿性を長期に亘って維持するのに好ましく、また80質量%以下であると、相対的に酢酸ナトリウムや酢酸カリウムの量が少なくなり過ぎて吸湿能が低下するのを回避することができる。
【0034】
(その他成分)
本発明の吸湿性組成物は、上記した成分のほか、必要に応じて、流動化剤や、防腐剤などの他の成分を含有してもよい。前記他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲で含有すればよい。
【0035】
本発明の吸湿性組成物は、流動化剤の少なくとも一種を含有することができる。流動化剤を含有することにより、吸湿に伴なうクッツキや固化を防ぎ、長期に亘って良好な吸湿能を発揮させることができる。
【0036】
流動化剤としては、例えば、軟質無水珪酸、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0037】
流動化剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
流動化剤の吸湿性組成物中における含有割合としては、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムと吸水性バインダーの合計の全固形分に対して、0.2〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。流動化剤の含有割合は、0.2質量%以上であると、吸湿に伴なうベタツキや固化が防止され、また5質量%以下であると、比較的安価である点で有利である。
【0038】
本発明の吸湿性組成物は、例えば、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムと所望の吸水性バインダーと必要に応じて流動化剤や防腐剤等の他の添加剤などとを混合し、これを所望とする温湿度条件下に放置して水分調節することによって調製することができる。
混合は、攪拌機などの混合機や混練機を用いて行なってもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
−乾燥剤の調製−
以下の手順により、吸湿性組成物として乾燥剤を調製した。
酢酸ナトリウム(吸湿剤)とセピオライト(PANGEL AD、楠本化成(株)製;吸水性バインダー)とを、下記表1の比率にて、酢酸ナトリウム及びセピオライトの全量が10gとなるように混合し、これに更にステアリン酸マグネシウム(流動化剤)0.5gを加えて、乾燥剤サンプルを調製した。その後、得られた乾燥剤サンプルをシャーレに充填し、シャーレ(天部を開放で)を30℃、90%RHの恒温恒湿槽内に設置した。
【0041】
−1.吸水性能試験−
上記で得られた乾燥剤サンプルを、温度30℃、相対湿度90%の保管条件にて2日間、5日間、10日間放置した。そして、保管前の乾燥剤サンプルの質量と、保管状態で各日数経時させた後の該サンプルの質量とを測定した。得られた測定値から、各日数毎に質量の増加量を求め、下記式により吸湿度を算出した。試験結果は、下記表1に示す。
吸湿度[%]=質量増加量[g]/サンプル量[g]×100
【0042】
(実施例2〜11、比較例1〜10)
実施例1において、酢酸ナトリウム等の吸湿剤と吸水性バインダーとの比率、吸湿剤の種類、吸水性バインダーの種類等を、下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、乾燥剤サンプルを調製し、吸水性能試験を行なった。さらに、実施例3及び比較例8の乾燥剤サンプルを用いて、下記の耐腐食性試験を行なった。試験結果は、下記表1〜表2に示す。
【0043】
−2.耐腐食性試験−
金属材料として鉄材、銅材、ステンレス鋼材(SUS材)、アルミニウム材を用意し、それぞれアセトンで脱脂した後に、実施例3及び比較例8で得た乾燥剤サンプルを直接、各金属材料とその表面で接触するように盛り付け、純水を入れたビーカーと共に密閉容器に入れ、蓋をして密閉した。同時に、乾燥剤を盛り付けない金属材も密閉容器に入れ、リファレンスとした。その後、室温(25℃)で2週間静置した後、金属材料の表面状態を目視で観察し、リファレンスとの対比において、錆などの発生に伴なう腐食の程度をA〜Eの5段階で評価した。
このとき、表面状態が最もよい場合を「A」とし、表面の腐食が最も大きい場合を「E」として評価した。ここで、耐腐食性は「A」〜「B」が許容範囲である。評価結果は、下記表2に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
前記表1中に示す成分の詳細は以下の通りである。
・セピオライト:楠本化成(株)製のPANGEL AD
・CMC:ダイセル化学工業(株)製のCMCダイセル#2260(カルボキシメチルセルロース)
・ゼオライト:新東北化学工業(株)製のゼオフィル CP
・パーライト:宇部興産(株)製の宇部パーライト 1型
・シリカゲル:和光純薬工業(株)製のシリカゲル 中粒状
・アクリル樹脂:三洋化成(株)製のサンフレッシュ ST−250
【0046】
前記表1に示すように、所定の比率で酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムと水溶性のバインダー成分を含有する実施例では、吸湿性に優れており、幾らかの湿潤はみられても液状化して被乾燥物に悪影響を来すような変化はみられなかった。また、図1に示されるように、酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムとセピオライトとの混合比率が所定の比率とした場合に、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムによる吸湿度が良好に推移することが分かる。
これに対し、比較例では、吸湿能力が低く、吸湿量が増えるにつれて経時で湿潤ないし液状化する傾向がみられた。
【0047】
【表2】

【0048】
前記表2に示すように、実施例では、塩類の1つである塩化物を用いた比較例に比べ、種々の金属材料に対する腐食は抑えられており、金属表面が良好に保たれた。
【0049】
また、上記実施例では、吸湿剤として酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムをそれぞれ単独で用いた場合を中心に説明したが、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムを併用した場合にもほぼ同等の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る吸湿性組成物は、ハロゲン系成分を含まずに優れた吸湿性を示す一方で潮解に伴なう湿潤状態が現れにくいため、精密機器や部品などの金属材料を含む製品に対する用途(特に乾燥剤の用途)に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムの少なくとも一方と吸水性バインダーとを含有し、前記酢酸ナトリウム及び前記酢酸カリウム(Ac)の総量と前記吸水性バインダー(B)の量との比率(Ac:B[質量比])が2:3〜4:1の範囲である吸湿性組成物。
【請求項2】
前記吸水性バインダーは、粘土鉱物、吸水性ポリマー、及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の吸湿性組成物。
【請求項3】
前記比率(Ac:B)が、2:3〜5:2の範囲である請求項1又は請求項2に記載の吸湿性組成物。
【請求項4】
前記吸水性バインダーが、セピオライト、カルボキシメチルセルロース、及びアクリル系樹脂の少なくとも一種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸湿性組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−245489(P2012−245489A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121016(P2011−121016)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(591169386)大東化学株式会社 (11)
【Fターム(参考)】