吸脱着エレメント、およびそれを用いた二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法。
【課題】 簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、調整システム、及び調整方法を提供する。
【解決手段】 二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメントであり、前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメント。当該吸脱着エレメントを用いた二酸化炭素濃度調整装置、調整システム、及び調整方法。
【解決手段】 二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメントであり、前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメント。当該吸脱着エレメントを用いた二酸化炭素濃度調整装置、調整システム、及び調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気中の二酸化炭素濃度を調整するのに適した、吸脱着エレメント、およびそれを用いた二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや住居などの室内では、室内で発生する高濃度の二酸化炭素を低い濃度に抑える必要があり、このため外気を取り入れ二酸化炭素の濃度を薄めて、所定レベル以下(例えばビル管理法規定の1000ppm以下)に抑えることが行なわれている。
【0003】
ところが、この室内で発生する二酸化炭素の発生源は人間の呼気によるものが最大の原因となっており、このため、急激に人の出入りが生じた場合など、一時的に二酸化炭素の濃度が増加した場合でも必要以上に換気が行なわれたり、換気量を増加することがあった。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出することとなり、熱エネルギーの損失につながり、ひいては地球温暖化を加速する原因にもなっていた。
【0004】
そこで、上述の問題を解決する方法として、室内の二酸化炭素の濃度を低下させる技術が検討されている。このような技術として、特許文献1の実施形態1に、図10に示すように、二酸化炭素を含む気体が室内(102)から流入して流れる気体通路(111)と、該気体通路(111)の二酸化炭素を吸着除去する吸着構造体(123)とを備え、該吸着構造体(123)により二酸化炭素が吸着除去された気体を室内(102)に流出させる気体処理装置において、上記吸着構造体(123)から脱離した二酸化炭素を含む気体を室外(103)に導く排出通路(130)を備える一方、上記吸着構造体(123)は、少なくともシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム及び酸化鉄を含有して成る二酸化炭素吸着剤によって形成されると共に、上記気体通路(111)の吸着部(142)と排出通路(130)の脱離部(143)との間を回転する吸着ロータに構成され、上記脱離部(143)の吸着構造体(123)を加熱する加熱手段(145)が設けられている二酸化炭素除去装置が示されている。
【0005】
しかし、この実施形態1の二酸化炭素除去装置にあっては、吸着ロータを備えた複雑な構造を必要とすること、及び100〜200℃の加熱により二酸化炭素を脱着させる構造を必要としており、その結果、装置が高価になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の実施形態2に、図11に示すように、二酸化炭素を含む気体が室内(102)から流入して流れる気体通路(111)と、該気体通路(111)の二酸化炭素を吸着除去する吸着構造体(123)とを備え、該吸着構造体(123)により二酸化炭素が吸着除去された気体を室内(102)に流出させる気体処理装置において、上記吸着構造体(123)は、少なくともシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム及び酸化鉄を含有して成る二酸化炭素吸着剤によって形成される一方、上記吸着構造体(123)を加熱して該吸着構造体(123)を再生するための加熱手段(145)と、上記気体通路(111)における吸着構造体(123)の流出側に連通し、上記加熱手段(145)により加熱されて吸着構造体(123)から脱離した二酸化炭素を含む気体を室外(103)に導く排出通路(130)と、上記気体通路(111)における吸着構造体(123)の流出側において、気体通路(111)及び排出通路(130)の何れか一方のみを遮断するように切換を行う切換手段(154)とを備えていることを特徴とする二酸化炭素除去装置が示されている。
【0007】
しかし、この実施形態2の二酸化炭素除去装置にあっては、100〜200℃の加熱により二酸化炭素を脱着させる構造を必要としており、その結果、装置が高価となり、また吸着構造体再生のために一定時間は装置を止める必要があることや再生のため暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出するため熱エネルギーの損失につながるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−19435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決し、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、図1に例示するように、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメント(31)であって、前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することを特徴とする吸脱着エレメント(31)であり、この吸脱着エレメントによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0011】
請求項2に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)であって、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する請求項1に記載の吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整装置(30)であり、この二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0012】
請求項3に係る発明は、有害ガス除去フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素濃度調整装置であり、この二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整すると共に室内空気中の有害ガスを除去することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる請求項2または3に記載の二酸化炭素濃度調整装置(30)と、前記室に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システムであり、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0014】
請求項5に係る発明は、図1〜3に例示するように、前記換気装置(50)に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気OAの量を増減する外気制御手段(53)を更に備えた請求項4に記載の二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段によって前記室(40)に外部からの外気OAの量が増加するように制御可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システムであり、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を更に少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0015】
請求項6に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメント(31)とを備えており、且つ前記室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメントであり、
前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0016】
請求項7に係る発明は、図1〜3に例示するように、前記二酸化炭素濃度調整装置(30)に加え、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)を更に用いる請求項6に記載の室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の吸脱着エレメントは、図1に例示するように、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメント(31)であり、前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質(以下、吸脱着物質ということがある。)を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する。
【0019】
前記吸脱着エレメントが含んでいる前記吸脱着物質は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質であり、通風された空気に接触することにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有している。ここで、「空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度」とは、例えば−10〜50℃の範囲の何れかの温度として25℃を選択した場合は、この25℃において、前記特性を有していることが必要条件であることを意味しており、この場合25℃以外の温度である例えば−5〜40℃や10〜100℃で、前記特性を有していることも可能である。すなわち、少なくとも25℃において前記特性を有していればよいことを意味している。また、−10〜50℃の範囲の温度は、人が居住する室において特に温湿度調整をしていない場合に生じる室内温度であり、この範囲で前記特性を有していることにより、特に加熱操作などを必要としないという利点がある。
【0020】
前記吸脱着物質に関する前述の特性を、実施例を用いて説明すると、実施例1及び2を説明する図9に例示するように、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内に高濃度の二酸化炭素ガスを入れることにより、1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、前記吸脱着物質としてモレキュラーシーブスを含む吸脱着エレメントを用いた実施例1では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内に高濃度の二酸化炭素ガスを入れることにより、1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で1000ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で460ppmに上昇する。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有している。
【0021】
このように、前記吸脱着物質を有する前記吸脱着エレメントは、チャンバー内に通風状態で配置された場合、チャンバー内の二酸化炭素濃度の増減の変化に対して、二酸化炭素濃度の上限又は下限のピークをカットして増減前の濃度に戻そうとする効果を有しており、言い換えると二酸化炭素濃度の上限ピーク時の濃度に対しては、この濃度を低下させる効果を有している。その結果、前記吸脱着エレメントは、特別な加熱機構や脱着再生機構を必要とせずに、チャンバー内の二酸化濃度の上昇を抑制することができるという利点を有している。
【0022】
前記吸脱着エレメントの形態としては、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着することができること、及び吸脱着物質を含んでいる限り、特に限定されることはなく、例えば、液体の吸脱着物質または固体粒子状の吸脱着物質が容器に収納されており、少なくとも容器の一部が外気に導通する構造となっており、必要に応じて通気性のカバー部材で覆われて、前記吸脱着物質の液体表面、または前記吸脱着物質の集合体の表面に通風された空気が接触するようになった容器構造であることができる。
【0023】
また、前記吸脱着エレメントの形態としては、例えば図4〜6に例示するように、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する固体粒子状の物質(以下、吸脱着粒子ということがある。)が通気性のシート状物に担持されてなる吸脱着シート(13)の形態や、吸脱着粒子間が熱可塑性樹脂の接着によって固定されてなる吸脱着シートの形態などを挙げることができる。また、図7に例示するように、これらの吸脱着シート(23)がプリーツ加工されたプリーツ形状の形態や、図8に例示するように、これらの吸脱着シート(11)、(12)の表面が通風方向と平行になるように組み合わされてなるコルゲートタイプの形状や、ハニカム形状の形態などを挙げることができる。
【0024】
前記吸脱着粒子としては、少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する固体粒子状の物質である限り特に限定されず、例えば物理吸着能や化学吸着能を有する有機質または無機質の固体粒子を挙げることができ、物理吸着能を有するものとしては、例えばモレキュラーシーブス、およびゼオライトなどを挙げることができる。また、有機質または無機質の固体粒子に二酸化炭素を吸脱着する機能を有する液体を担持させてなる吸脱着粒子を挙げることができる。また、これらの吸脱着粒子を一種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
次に、吸脱着エレメントが吸脱着シートから形成される場合の好ましい形態についてさらに詳細に説明する。
【0026】
前記吸脱着シートは、吸脱着粒子がホットメルト樹脂によって連結されてなる吸脱着粒子層を有する吸脱着シートであることが好ましい。厚さはプリーツ加工が容易となるように、厚さが0.2〜4mmのシート状物であることが好ましい。また、前記吸脱着粒子層の片面または両面に通気性のカバー材を有するようにして、吸脱着粒子が通気性のカバー材に担持されてなる吸脱着シートの形態や、吸脱着粒子間が熱可塑性樹脂の接着によって固定されてなる吸脱着シートの形態などであることが好ましい。また前記吸脱着粒子層の片面または両面に塵埃を除去する塵埃除去濾材を有した形態とすることも可能である。
【0027】
前記吸脱着シートの形態の場合、前記吸脱着粒子の平均粒径としては、空気との接触を効率的にして二酸化炭素の吸脱着効率を高くする要求と、通気による圧力損失を低くする要求とを考慮して、平均粒径を0.147mm(100メッシュ)〜1.65mm(10メッシュ)とすることが好ましい。また、平均粒径を0.212mm(70メッシュ)〜1.0mm(16メッシュ)とすることがより好ましい。平均粒径が0.147mm(100メッシュ)未満の細かい平均粒径の吸脱着粒子を用いると、空気との接触効率が高くなり、二酸化炭素の吸脱着効率が高くなる反面、圧力損失が大きくなってしまうという問題が生じる場合がある。また、平均粒径が1.65mm(10メッシュ)を超える粗い平均粒径の吸脱着粒子を用いると、二酸化炭素の吸脱着効率が不十分になる場合がある。
【0028】
前記吸脱着シートの形態としては、例えば図4に示すように、吸脱着粒子(3)と、吸脱着粒子(3)を連結するホットメルト樹脂(10)、(10’)とからなる吸脱着粒子層(8)の両面に、通気性のカバー材(5)が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)が熱接着性の繊維からなるホットメルト樹脂(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層(8)の片面または両面にホットメルト樹脂(10)によって通気性のカバー材(5)が貼り合されている。
【0029】
このような構造の吸脱着粒子層(8)を得るには、例えば、通気性を有し且つホットメルト樹脂成分からなるマット状物の空隙に、吸脱着粒子(3)を保持しておき、その後、加熱処理によって、吸脱着粒子(3)をマット状物に接着させて得ることができる。また例えば、通気性を有し且つホットメルト樹脂成分からなるマット状物の空隙に、吸脱着粒子(3)を保持しておき、その後、加熱処理によって、マット状物を溶融させ、吸脱着粒子(3)を連結させて得ることができる。このような通気性を有するマット状物としては、不織布、織物、膜、ろ紙、スポンジなどの多孔質体などが挙げられ、なかでも不織布は通気性が高いので好ましい。なお、本発明では上記マット状物を、吸脱着粒子を連結するホットメルト樹脂としている。
【0030】
前記構造の吸脱着粒子層(8)を得る別の方法としては、例えば、短い繊維長を有するホットメルト樹脂からなる繊維と吸脱着粒子(3)とを混合させた混合物を通気性のカバー材(5)の上に堆積させてシート状物を形成し、次いでこのシート状物を加熱処理によって、前記繊維に接着性を発現させるかまたは前記繊維を溶融させてホットメルト樹脂となし、このホットメルト樹脂によって、吸脱着粒子(3)を連結させて得ることができる。なお、この方法による場合は、前記繊維長は1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。
【0031】
吸脱着シートの別の形態としては、例えば図5に例示するように、吸脱着粒子(3)と、前記吸脱着粒子(3)を連結するホットメルト樹脂(以下、連結部と称する)(1)、(1’)、(10)、及び(10’)と凝集したホットメルト樹脂(以下、樹脂凝集部と称する)(2)及び(2’)とからなる吸脱着粒子層(8)の両面に、通気性のカバー材(5)及び(5’)が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(10)、又は(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層(8)に、通気性のカバー材(5)及び(5’)が積層一体化されている。より具体的には、ホットメルト樹脂からなる連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)が固着されている。
【0032】
吸脱着シートのさらに別の形態としては、例えば図6に例示するように、吸脱着粒子(3)及び(3’)と、前記吸脱着粒子(3)及び(3’)を連結するホットメルト樹脂(1)、(1’)、(1”)、(10)、(10’)及び(10”)と凝集したホットメルト樹脂(2)、(2’)及び(2”)とからなる吸脱着粒子層8の両面に、通気性のカバー材(5)及び5’が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)及び(3’)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(1”)、(10)及び(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層の積層単位(4)と(4’)とが積層されており、さらにこの積層物に、通気性のカバー材(5)及び(5’)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(10)、及び(10’)と凝集したホットメルト樹脂(2)及び(2’)によって積層一体化されている。より具体的には、複数の積層単位(4)で構成され、積層単位(4)がホットメルト樹脂から成る連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)を固着してなり、該ウエブの他方の表面と、他の積層単位(4’)を構成する吸脱着粒子(3’)とが樹脂凝集部(2”)を介して固着している。
【0033】
また、このような構造の吸脱着シート(13)を得る方法としては、例えば、図6に示すように積層単位(4)が2層以上である場合は、ホットメルト不織布(10)の表面に吸脱着粒子(3)を配した後、加熱処理によって該ホットメルト不織布と該吸脱着粒子とが接する部分に樹脂凝集部(2)を形成し、かつ樹脂凝集部(2)と連結部(1)とからなるウエブを形成する第一の工程と、該吸脱着粒子のうち、該ウエブに固着された吸脱着粒子のみを残存せしめて積層単位(4)を形成する第二の工程と、積層単位(4)の吸脱着粒子(3)に接してホットメルト不織布(10”)を積層し、続いて、ホットメルト不織布(10”)の表面に吸脱着粒子(3’)を配した後、前記第一の工程と前記第二の工程とを順次行う方法がある。なお、吸脱着粒子層8の両表面となるホットメルト不織布(10)及び(10’)のかわりに、カバー材(5)及び(5’)にホットメルト不織布を付着させたシートを用いることにより、通気性のカバー材(5)及び(5’)を積層一体化した吸脱着シート(13)とすることができる。
【0034】
吸脱着シートのさらに別の形態としては、例えば吸脱着粒子がホットメルト樹脂で互いに接合されてシート状となった吸脱着粒子層の両面に、通気性のカバー材が積層一体化されている吸脱着シートがある。このような構造の吸脱着粒子層を得るには、例えば、吸脱着粒子とホットメルト樹脂粉末とを混合した後、カバー材に挟持して、加熱処理によって吸脱着シートとする方法がある。
【0035】
上述の、図4〜図6の形態であれば、特に低圧力損失でしかも吸脱着粒子の表面が有効に利用されるので、空気との接触が効率的となり、通風される二酸化炭素を含む空気に対して、優れた二酸化炭素の吸脱着効率を呈することができる。また、このような構造を有する吸脱着シートは、吸脱着粒子が高密度で存在しながら、柔軟性に優れるので、プリーツ加工がし易いという利点がある。
【0036】
ここで、プリーツ加工が施された吸脱着エレメントの具体的例を説明すると、本発明の吸脱着エレメントは、図7に例示するように、前記吸脱着シート(21)がプリーツ加工されており、枠材(22a)によってプリーツ形状が保持されてなる吸脱着エレメント(20)であることが可能である。なお、図7では、プリーツ加工された吸脱着シート(21)の、プリーツの峰線方向と交叉する端面に、枠材(22b)が矢印Aの方向に装着する態様も例示している。吸脱着シートのプリーツ加工は、ジグザグ形状に折られているが、この折り加工方法としてはレシプロ式やロータリー式などのプリーツ加工機による方法や、ジグザグ形状に成形された押型でプレスする方法などがある。
【0037】
また、枠材としては、プリーツ形状を保持することができる限り、特に限定されず、例えば織編物、不織布、合成樹脂シート、発泡シート、紙、金属材料またはこれらの複合物などのシート状物を適用することができる。このうち特に不織布であれば、強度に優れると共に、フィルタエレメントを剛性枠に装着する際にクッション性に優れ、剛性枠との間のシール性に優れるので好ましい。具体的には、これらのシート状物を、熱融着させたり、接着剤や接着性シートを介して接着することにより、プリーツの峰線方向と交叉する端面に、装着することができる。なお、保形部材としては、シート状物に限らず、発泡性樹脂等を付着させて発泡して形成することなども可能である。また、保形部材は、プリーツの峰線方向と交叉する端面以外にも、峰線方向と平行な端面にも装着することが可能である。
【0038】
前記プリーツ加工前に、或いはプリーツ加工後に、図7に例示するように、吸脱着シート(21)に、プリーツの峰線方向と交叉する方向に、間隔をおいて平行に、線状のホットメルト樹脂を付着させたセパレータ(24)を設けて、プリーツの山の斜面が接触してデッドスペースとなることを防ぐことも好ましい。線状のホットメルト樹脂の付着は、これらの図のように、断続的としてプリーツの山の峰に設けて、プリーツの谷部には設けないようにすることも好ましく、また吸脱着シートの上流側にのみ設けることも好ましい態様である。
【0039】
前記吸脱着エレメントを通風された空気と接触可能に配置するには、吸脱着エレメントを剛性枠に装着して用いることも好ましい形態である。この剛性枠は剛性のある材質である限り特に限定されることはなく、木材、金属、プラスチック等が適用され、焼却、廃棄される場合は、木材またはプラスチックが好ましい。
【0040】
以上説明したように、本発明の吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することが可能であり、この吸脱着エレメントによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0041】
次に、吸脱着エレメントを用いた本発明の二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、及び二酸化炭素濃度調整方法について説明する。なお、二酸化炭素濃度調整方法の説明は、「二酸化炭素濃度調整装置及び二酸化炭素濃度調整システムについての説明」の中で説明する。
【0042】
本発明の二酸化炭素濃度調整装置は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)であって、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としている。
【0043】
前記外部と隔離された室(40)とは、オフィス、住居など人が居住する建物の中に仕切られた部屋を含んでいる。またそれ以外にも、工場や実験室などにおいて、二酸化炭素濃度を低下させる必要がある、または二酸化炭素濃度を一定の範囲に制御する必要のある仕切られた空間も含んでいる。
【0044】
前記二酸化炭素濃度調整装置(30)は、図1に示すように、室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることが可能な構造となっている。前記通風手段(32)は通風可能である限り限定されることはなく、例えば回転翼を有する軸流ファン、遠心型のファン、シロッコファン、またはブロアなどの送風機であることも可能である。
【0045】
前記二酸化炭素濃度調整装置(30)は、図1では室(40)の内部に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を前記室内に供給可能としている。また、図2では室(40)の外部に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を、ダクトなどを介して、通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を、ダクトなどを介して前記室内に供給可能としている。図1または図2の二酸化炭素濃度調整装置(30)の場合、冷暖房装置を備えた空調機の中にフィルタと共に吸脱着エレメントを配置した構造の装置を適用することも可能である。また、図3では室(40)の外部の循環空気の風路の途中に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を、ダクトなどを介して、ブロアタイプの通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を、ダクトなどを介して前記室内に供給可能としている。なお、図3の二酸化炭素濃度調整装置(30)は、吸脱着エレメント(31)の場所とは別の場所に設置された通風手段(32)と当該吸脱着エレメント(31)とを含むシステム装置としてみなすことができる。
【0046】
また、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記吸脱着エレメントに対して加熱が可能な加熱手段を有していることも好ましく、吸脱着エレメントを加熱することにより、吸脱着エレメントを構成する吸脱着物質の吸脱着能を高めることができる。なお、この加熱は100℃未満で実施されることが好ましく、80℃以下で実施されることがより好ましいが、−10〜50℃の範囲の何れかの温度になるように実施されることが更に好ましく、10〜50℃の範囲であれば、例えば冷暖房装置が備わった空調装置を利用して行なうことも可能である。
【0047】
また、前記二酸化炭素濃度調整装置は、有害ガス除去フィルタを更に備えていることも好ましく、当該二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整すると共に室内空気中の有害ガスを除去することができる。前記有害ガス除去フィルタとしては、例えば前述の吸脱着シートから形成される吸脱着エレメントにおいて、吸脱着シートを構成する吸脱着粒子の替わりに有害ガス除去粒子を用いることで形成することが可能である。当該有害ガス除去粒子としては、生活環境での不快な臭気物質の除去などに用いる、或いは半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質を除去するために用いる、ガス状物質を吸着したり、ガス状物質を吸着しやすい物質に変化させたりすることのできる固体粒子を適用することが可能である。このような固体粒子としては、例えば活性炭や、ゼオライト、種々の化学吸着剤、イオン交換樹脂、光触媒などの触媒などがあり、これらの中から一種又は二種以上を適宜選択することができる。これらの中でも、多様なガス状物質を吸着する能力に優れる活性炭を選択することが可能であり、活性炭を選択した場合は比表面積が200m2/g以上の多孔質のものが好ましく、500m2/g以上のものがより好ましく、800m2/g以上のものが更に好ましい。
【0048】
以上説明したように、本発明の二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としているので、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0049】
本発明の二酸化炭素濃度調整システムは、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる前記二酸化炭素濃度調整装置(30)と、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としており、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0050】
前記換気装置(50)は、室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給するための供給路が設けられており、供給路の途中に空調設備(51)が配置されており、この空調設備(51)に内蔵されたブロアによって、外気OAと室内からの循環空気RAの混合空気が二酸化炭素の濃度が調整された空気として供給されるようになっている。また、室内からの空気RoAを外部に排気するため排気路が設けられており、排気路の途中にブロア(52)が配置されており、またこの排気路の途中には前記供給路に連結される循環路が設けられており、さらに供給路、排気路および循環路には、それぞれダンパー(53)、(54)および(55)が設けられており、これらのダンパーの開度を調整することで、前記ブロア(52)によって、室内からの空気RoAを所定量だけ外部に排気すると共に循環路に所定量の循環空気RAを、前記供給路または前記空調設備(51)に供給するようになっている。なお、前記空調設備(51)はフィルタ、暖房用コイルユニット、冷房用コイルユニット及びシャワー装置などを備えることが可能となっている。
【0051】
次に、当該二酸化炭素濃度調整システム(以下、第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムという場合がある。)を適用した場合の効果について更に説明する。室内で発生する高濃度の二酸化炭素を、例えばビル管理法規定の1000ppm以下に抑えようとした場合、定期的に実施される二酸化濃度の室内濃度の測定値に基づき、一定時間当りの換気量を定めるという方法(以下、第1の換気方法という場合がある。)が従来から行なわれている。この第1の換気方法において、この第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムを採用した場合、二酸化濃度の室内濃度の測定値が低くなるため、換気量を減少させることができる。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出する量を減少することとなり、熱エネルギーの損失を防ぐことができるという効果を奏する。
【0052】
また、本発明の二酸化炭素濃度調整システムは、図1〜3に例示するように、前記換気装置(50)に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気OAの量を増減する外気制御手段(53)を更に備えることも可能であり、この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムの場合、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段(53)によって前記室(40)に外部からの外気OAの量が増加するように制御可能となり、この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を更に少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。なお、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置が、前記換気装置(50)の排気路または循環路の途中に設けられていることが好ましく、この二酸化炭素濃度検出装置によって、検出した室内の空気中の二酸化炭素の濃度の測定値に基づいて前記外気制御手段(53)によって前記室(40)に外部からの外気OAの量を容易に制御することができる。
【0053】
この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムを適用した場合の効果について更に説明する。室内で発生する高濃度の二酸化炭素を、例えばビル管理法規定の1000ppm以下に抑えようとした場合、二酸化炭素の室内濃度の測定値をフィードバックして、自動的にダンパー調整などにより外気の量を増減させるという方法(以下、第2の換気方法という場合がある。)が比較的最近になってから行なわれている。この第2の換気方法において、当該第2形態の二酸化炭素濃度調整システムを採用した場合、低下した二酸化炭素の室内濃度の測定値がフィードバックされて、自動的にダンパー調整により外気の量を増減させることが可能となるので、きめ細やかに換気量を減少させることができる。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出する量を、前述の第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムよりも更に減少することが可能となり、熱エネルギーの損失を防ぐことができるという効果を奏する。
【0054】
本発明の二酸化炭素濃度調整方法は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメント(31)とを備えており、且つ前記室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、
前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメント(31)であり、
前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0055】
また、二酸化炭素濃度調整方法は、図1〜3に例示するように、前記二酸化炭素濃度調整装置(30)に加え、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)を更に用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整する、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0056】
以上説明したように、本発明によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することが可能となった。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本願発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0058】
(吸脱着エレメントの性能試験方法)
密閉型の1m3のチャンバーを用いて試験を行う。チャンバー内を二酸化炭素濃度400ppmに調整した状態で、試験体の吸脱着エレメントを載置して、試験風量1m3/minでチャンバー内の空気をエレメントに通過させ循環させておく。5分後にチャンバー内の空気のうち0.8リットルを99.95%に調整された二酸化炭素ガスと入れ替え(試験体の吸脱着エレメントが無い場合に、約1200ppmとなるようにする。)、その後の二酸化炭素濃度の変化を測定する。次にこの操作から200分後に、今度はチャンバー内の空気を入れ替えて再度400ppmになるようにし、再度密閉した後、その後の二酸化炭素濃度の変化を測定する。
【0059】
(実施例1)
縦20cm、横4cm、高さ20cmの金網ケースに、モレキュラーシーブス4A 1/8(和光純薬製、ペレット状)を充填させて、吸脱着エレメントAを得た。
この吸脱着エレメントAを吸脱着エレメントの性能試験方法によって評価した結果を図9のグラフに示す。このグラフにより、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、吸脱着エレメントAを用いた実施例1では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で1000ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で460ppmに上昇した。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有していることが分かった。
【0060】
(実施例2)
面密度30g/m2のポリエステルスパンボンドに熱可塑性ポリアミド系樹脂から成る面密度20g/m2のホットメルト不織布(融点:95〜100℃)を積層して面密度50g/m2のカバー材Aを得た。
次いで、図6に示すようにカバー材Aのホットメルト不織布(10)の表面に、粒径が0.50〜1.18mm(平均粒径約0.8mm)の合成ゼオライトA−4粒状(和光純薬製)からなる吸脱着粒子(3)を散布する。続いて、約5Kg/cm2の水蒸気処理をカバー材(5)側(ホットメルト不織布(10)側)から約7秒間行い、ホットメルト不織布(10)を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブに、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)を固着させた。続いて、固着した吸脱着粒子以外の吸脱着粒子を除去することにより、面密度200g/m2の吸脱着粒子(3)が固着され、しかもカバー材(5)と接着された1層目の積層単位(4)を得た。さらに、この状態の積層単位(4)に面密度20g/m2のホットメルト不織布A(10”)を積層し、吸脱着粒子(3’)散布、水蒸気処理、並びに固着されていない吸脱着粒子の除去を経て、面密度220g/m2の吸脱着粒子(3’)を有する2層目の積層単位(4’)を形成した。
次に面密度50g/m2のカバー材Aである(5’)を、ホットメルト不織布(10’)側が積層単位(4’)に接するようにして積層単位(4’)の上に積層した。次いで、一対の加熱ロールに、この積層物を通して、ホットメルト不織布(10’)を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部(1’)と樹脂凝集部(2’)とで構成されたウエブに、樹脂凝集部(2’)を介して吸脱着粒子(3’)を固着させて面密度540g/m2、厚さ1.4mmの吸脱着シート(13)を得た。
次いで、得られた吸脱着シートを用いて、図7に示すように、全体の大きさが枠材側300mm×枠材と垂直な側300mmの寸法となるように、またプリーツの山高さHが約29mm、プリーツの山の間隔が約6mm、山数50個となるように、プリーツを形成した後、不織布からなる枠材(24)の片面にホットメルト樹脂シートを貼りあわせた枠材(24)を準備して、図7に示す矢印Aの方向に枠材(24)を固着して、吸脱着エレメントB(20)を得た。
この吸脱着エレメントBを吸脱着エレメントの性能試験方法によって評価した結果を図9のグラフに示す。このグラフにより、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、吸脱着エレメントBを用いた実施例2では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で960ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で500ppmに上昇した。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有していることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの別の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの別の一例を示す模式図である。
【図4】本発明における吸脱着シートの一例を示す断面模式図である。
【図5】本発明における吸脱着シートの別の一例を示す断面模式図である。
【図6】本発明における吸脱着シートの別の一例を示す断面模式図である。
【図7】本発明の吸脱着エレメントの一例を示す斜視図である。また、枠材を矢印Aの方向に装着する態様を例示する図である。
【図8】本発明の吸脱着エレメントの別の一例を示す斜視図である。
【図9】実施例1及び2の吸脱着エレメントの性能試験結果を示す図である。
【図10】従来の二酸化炭素除去装置を示す図である。
【図11】従来の二酸化炭素除去装置を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1,1’,1” 連結部(ホットメルト樹脂)
2,2’,2” 樹脂凝集部(ホットメルト樹脂)
3,3’ 吸脱着粒子
4,4’ 積層単位
5,5’ カバー材
8 吸脱着粒子層
10,10’,10” ホットメルト樹脂(ホットメルト不織布)
11 吸脱着シート
12 吸脱着シート
13 吸脱着シート
20 吸脱着エレメント
21 吸脱着シート
22a 枠材
22b 枠材
23 ひだ
24 セパレータ
30 二酸化炭素濃度調整装置
31 吸脱着エレメント
32 通風手段
40 室
50 換気装置
51 空調設備
52 ブロア
53 外気制御手段、ダンパー
54 ダンパー
55 ダンパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気中の二酸化炭素濃度を調整するのに適した、吸脱着エレメント、およびそれを用いた二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや住居などの室内では、室内で発生する高濃度の二酸化炭素を低い濃度に抑える必要があり、このため外気を取り入れ二酸化炭素の濃度を薄めて、所定レベル以下(例えばビル管理法規定の1000ppm以下)に抑えることが行なわれている。
【0003】
ところが、この室内で発生する二酸化炭素の発生源は人間の呼気によるものが最大の原因となっており、このため、急激に人の出入りが生じた場合など、一時的に二酸化炭素の濃度が増加した場合でも必要以上に換気が行なわれたり、換気量を増加することがあった。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出することとなり、熱エネルギーの損失につながり、ひいては地球温暖化を加速する原因にもなっていた。
【0004】
そこで、上述の問題を解決する方法として、室内の二酸化炭素の濃度を低下させる技術が検討されている。このような技術として、特許文献1の実施形態1に、図10に示すように、二酸化炭素を含む気体が室内(102)から流入して流れる気体通路(111)と、該気体通路(111)の二酸化炭素を吸着除去する吸着構造体(123)とを備え、該吸着構造体(123)により二酸化炭素が吸着除去された気体を室内(102)に流出させる気体処理装置において、上記吸着構造体(123)から脱離した二酸化炭素を含む気体を室外(103)に導く排出通路(130)を備える一方、上記吸着構造体(123)は、少なくともシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム及び酸化鉄を含有して成る二酸化炭素吸着剤によって形成されると共に、上記気体通路(111)の吸着部(142)と排出通路(130)の脱離部(143)との間を回転する吸着ロータに構成され、上記脱離部(143)の吸着構造体(123)を加熱する加熱手段(145)が設けられている二酸化炭素除去装置が示されている。
【0005】
しかし、この実施形態1の二酸化炭素除去装置にあっては、吸着ロータを備えた複雑な構造を必要とすること、及び100〜200℃の加熱により二酸化炭素を脱着させる構造を必要としており、その結果、装置が高価になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の実施形態2に、図11に示すように、二酸化炭素を含む気体が室内(102)から流入して流れる気体通路(111)と、該気体通路(111)の二酸化炭素を吸着除去する吸着構造体(123)とを備え、該吸着構造体(123)により二酸化炭素が吸着除去された気体を室内(102)に流出させる気体処理装置において、上記吸着構造体(123)は、少なくともシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム及び酸化鉄を含有して成る二酸化炭素吸着剤によって形成される一方、上記吸着構造体(123)を加熱して該吸着構造体(123)を再生するための加熱手段(145)と、上記気体通路(111)における吸着構造体(123)の流出側に連通し、上記加熱手段(145)により加熱されて吸着構造体(123)から脱離した二酸化炭素を含む気体を室外(103)に導く排出通路(130)と、上記気体通路(111)における吸着構造体(123)の流出側において、気体通路(111)及び排出通路(130)の何れか一方のみを遮断するように切換を行う切換手段(154)とを備えていることを特徴とする二酸化炭素除去装置が示されている。
【0007】
しかし、この実施形態2の二酸化炭素除去装置にあっては、100〜200℃の加熱により二酸化炭素を脱着させる構造を必要としており、その結果、装置が高価となり、また吸着構造体再生のために一定時間は装置を止める必要があることや再生のため暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出するため熱エネルギーの損失につながるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−19435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決し、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、図1に例示するように、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメント(31)であって、前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することを特徴とする吸脱着エレメント(31)であり、この吸脱着エレメントによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0011】
請求項2に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)であって、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する請求項1に記載の吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整装置(30)であり、この二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0012】
請求項3に係る発明は、有害ガス除去フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素濃度調整装置であり、この二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整すると共に室内空気中の有害ガスを除去することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる請求項2または3に記載の二酸化炭素濃度調整装置(30)と、前記室に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システムであり、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0014】
請求項5に係る発明は、図1〜3に例示するように、前記換気装置(50)に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気OAの量を増減する外気制御手段(53)を更に備えた請求項4に記載の二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段によって前記室(40)に外部からの外気OAの量が増加するように制御可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システムであり、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を更に少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0015】
請求項6に係る発明は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメント(31)とを備えており、且つ前記室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメントであり、
前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0016】
請求項7に係る発明は、図1〜3に例示するように、前記二酸化炭素濃度調整装置(30)に加え、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)を更に用いる請求項6に記載の室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の吸脱着エレメントは、図1に例示するように、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメント(31)であり、前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質(以下、吸脱着物質ということがある。)を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する。
【0019】
前記吸脱着エレメントが含んでいる前記吸脱着物質は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質であり、通風された空気に接触することにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有している。ここで、「空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度」とは、例えば−10〜50℃の範囲の何れかの温度として25℃を選択した場合は、この25℃において、前記特性を有していることが必要条件であることを意味しており、この場合25℃以外の温度である例えば−5〜40℃や10〜100℃で、前記特性を有していることも可能である。すなわち、少なくとも25℃において前記特性を有していればよいことを意味している。また、−10〜50℃の範囲の温度は、人が居住する室において特に温湿度調整をしていない場合に生じる室内温度であり、この範囲で前記特性を有していることにより、特に加熱操作などを必要としないという利点がある。
【0020】
前記吸脱着物質に関する前述の特性を、実施例を用いて説明すると、実施例1及び2を説明する図9に例示するように、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内に高濃度の二酸化炭素ガスを入れることにより、1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、前記吸脱着物質としてモレキュラーシーブスを含む吸脱着エレメントを用いた実施例1では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内に高濃度の二酸化炭素ガスを入れることにより、1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で1000ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で460ppmに上昇する。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有している。
【0021】
このように、前記吸脱着物質を有する前記吸脱着エレメントは、チャンバー内に通風状態で配置された場合、チャンバー内の二酸化炭素濃度の増減の変化に対して、二酸化炭素濃度の上限又は下限のピークをカットして増減前の濃度に戻そうとする効果を有しており、言い換えると二酸化炭素濃度の上限ピーク時の濃度に対しては、この濃度を低下させる効果を有している。その結果、前記吸脱着エレメントは、特別な加熱機構や脱着再生機構を必要とせずに、チャンバー内の二酸化濃度の上昇を抑制することができるという利点を有している。
【0022】
前記吸脱着エレメントの形態としては、二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着することができること、及び吸脱着物質を含んでいる限り、特に限定されることはなく、例えば、液体の吸脱着物質または固体粒子状の吸脱着物質が容器に収納されており、少なくとも容器の一部が外気に導通する構造となっており、必要に応じて通気性のカバー部材で覆われて、前記吸脱着物質の液体表面、または前記吸脱着物質の集合体の表面に通風された空気が接触するようになった容器構造であることができる。
【0023】
また、前記吸脱着エレメントの形態としては、例えば図4〜6に例示するように、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する固体粒子状の物質(以下、吸脱着粒子ということがある。)が通気性のシート状物に担持されてなる吸脱着シート(13)の形態や、吸脱着粒子間が熱可塑性樹脂の接着によって固定されてなる吸脱着シートの形態などを挙げることができる。また、図7に例示するように、これらの吸脱着シート(23)がプリーツ加工されたプリーツ形状の形態や、図8に例示するように、これらの吸脱着シート(11)、(12)の表面が通風方向と平行になるように組み合わされてなるコルゲートタイプの形状や、ハニカム形状の形態などを挙げることができる。
【0024】
前記吸脱着粒子としては、少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する固体粒子状の物質である限り特に限定されず、例えば物理吸着能や化学吸着能を有する有機質または無機質の固体粒子を挙げることができ、物理吸着能を有するものとしては、例えばモレキュラーシーブス、およびゼオライトなどを挙げることができる。また、有機質または無機質の固体粒子に二酸化炭素を吸脱着する機能を有する液体を担持させてなる吸脱着粒子を挙げることができる。また、これらの吸脱着粒子を一種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
次に、吸脱着エレメントが吸脱着シートから形成される場合の好ましい形態についてさらに詳細に説明する。
【0026】
前記吸脱着シートは、吸脱着粒子がホットメルト樹脂によって連結されてなる吸脱着粒子層を有する吸脱着シートであることが好ましい。厚さはプリーツ加工が容易となるように、厚さが0.2〜4mmのシート状物であることが好ましい。また、前記吸脱着粒子層の片面または両面に通気性のカバー材を有するようにして、吸脱着粒子が通気性のカバー材に担持されてなる吸脱着シートの形態や、吸脱着粒子間が熱可塑性樹脂の接着によって固定されてなる吸脱着シートの形態などであることが好ましい。また前記吸脱着粒子層の片面または両面に塵埃を除去する塵埃除去濾材を有した形態とすることも可能である。
【0027】
前記吸脱着シートの形態の場合、前記吸脱着粒子の平均粒径としては、空気との接触を効率的にして二酸化炭素の吸脱着効率を高くする要求と、通気による圧力損失を低くする要求とを考慮して、平均粒径を0.147mm(100メッシュ)〜1.65mm(10メッシュ)とすることが好ましい。また、平均粒径を0.212mm(70メッシュ)〜1.0mm(16メッシュ)とすることがより好ましい。平均粒径が0.147mm(100メッシュ)未満の細かい平均粒径の吸脱着粒子を用いると、空気との接触効率が高くなり、二酸化炭素の吸脱着効率が高くなる反面、圧力損失が大きくなってしまうという問題が生じる場合がある。また、平均粒径が1.65mm(10メッシュ)を超える粗い平均粒径の吸脱着粒子を用いると、二酸化炭素の吸脱着効率が不十分になる場合がある。
【0028】
前記吸脱着シートの形態としては、例えば図4に示すように、吸脱着粒子(3)と、吸脱着粒子(3)を連結するホットメルト樹脂(10)、(10’)とからなる吸脱着粒子層(8)の両面に、通気性のカバー材(5)が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)が熱接着性の繊維からなるホットメルト樹脂(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層(8)の片面または両面にホットメルト樹脂(10)によって通気性のカバー材(5)が貼り合されている。
【0029】
このような構造の吸脱着粒子層(8)を得るには、例えば、通気性を有し且つホットメルト樹脂成分からなるマット状物の空隙に、吸脱着粒子(3)を保持しておき、その後、加熱処理によって、吸脱着粒子(3)をマット状物に接着させて得ることができる。また例えば、通気性を有し且つホットメルト樹脂成分からなるマット状物の空隙に、吸脱着粒子(3)を保持しておき、その後、加熱処理によって、マット状物を溶融させ、吸脱着粒子(3)を連結させて得ることができる。このような通気性を有するマット状物としては、不織布、織物、膜、ろ紙、スポンジなどの多孔質体などが挙げられ、なかでも不織布は通気性が高いので好ましい。なお、本発明では上記マット状物を、吸脱着粒子を連結するホットメルト樹脂としている。
【0030】
前記構造の吸脱着粒子層(8)を得る別の方法としては、例えば、短い繊維長を有するホットメルト樹脂からなる繊維と吸脱着粒子(3)とを混合させた混合物を通気性のカバー材(5)の上に堆積させてシート状物を形成し、次いでこのシート状物を加熱処理によって、前記繊維に接着性を発現させるかまたは前記繊維を溶融させてホットメルト樹脂となし、このホットメルト樹脂によって、吸脱着粒子(3)を連結させて得ることができる。なお、この方法による場合は、前記繊維長は1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。
【0031】
吸脱着シートの別の形態としては、例えば図5に例示するように、吸脱着粒子(3)と、前記吸脱着粒子(3)を連結するホットメルト樹脂(以下、連結部と称する)(1)、(1’)、(10)、及び(10’)と凝集したホットメルト樹脂(以下、樹脂凝集部と称する)(2)及び(2’)とからなる吸脱着粒子層(8)の両面に、通気性のカバー材(5)及び(5’)が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(10)、又は(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層(8)に、通気性のカバー材(5)及び(5’)が積層一体化されている。より具体的には、ホットメルト樹脂からなる連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)が固着されている。
【0032】
吸脱着シートのさらに別の形態としては、例えば図6に例示するように、吸脱着粒子(3)及び(3’)と、前記吸脱着粒子(3)及び(3’)を連結するホットメルト樹脂(1)、(1’)、(1”)、(10)、(10’)及び(10”)と凝集したホットメルト樹脂(2)、(2’)及び(2”)とからなる吸脱着粒子層8の両面に、通気性のカバー材(5)及び5’が積層一体化されている吸脱着シート(13)がある。この例では、吸脱着粒子(3)及び(3’)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(1”)、(10)及び(10’)によって連結してシート状になった吸脱着粒子層の積層単位(4)と(4’)とが積層されており、さらにこの積層物に、通気性のカバー材(5)及び(5’)がホットメルト樹脂(1)、(1’)、(10)、及び(10’)と凝集したホットメルト樹脂(2)及び(2’)によって積層一体化されている。より具体的には、複数の積層単位(4)で構成され、積層単位(4)がホットメルト樹脂から成る連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)を固着してなり、該ウエブの他方の表面と、他の積層単位(4’)を構成する吸脱着粒子(3’)とが樹脂凝集部(2”)を介して固着している。
【0033】
また、このような構造の吸脱着シート(13)を得る方法としては、例えば、図6に示すように積層単位(4)が2層以上である場合は、ホットメルト不織布(10)の表面に吸脱着粒子(3)を配した後、加熱処理によって該ホットメルト不織布と該吸脱着粒子とが接する部分に樹脂凝集部(2)を形成し、かつ樹脂凝集部(2)と連結部(1)とからなるウエブを形成する第一の工程と、該吸脱着粒子のうち、該ウエブに固着された吸脱着粒子のみを残存せしめて積層単位(4)を形成する第二の工程と、積層単位(4)の吸脱着粒子(3)に接してホットメルト不織布(10”)を積層し、続いて、ホットメルト不織布(10”)の表面に吸脱着粒子(3’)を配した後、前記第一の工程と前記第二の工程とを順次行う方法がある。なお、吸脱着粒子層8の両表面となるホットメルト不織布(10)及び(10’)のかわりに、カバー材(5)及び(5’)にホットメルト不織布を付着させたシートを用いることにより、通気性のカバー材(5)及び(5’)を積層一体化した吸脱着シート(13)とすることができる。
【0034】
吸脱着シートのさらに別の形態としては、例えば吸脱着粒子がホットメルト樹脂で互いに接合されてシート状となった吸脱着粒子層の両面に、通気性のカバー材が積層一体化されている吸脱着シートがある。このような構造の吸脱着粒子層を得るには、例えば、吸脱着粒子とホットメルト樹脂粉末とを混合した後、カバー材に挟持して、加熱処理によって吸脱着シートとする方法がある。
【0035】
上述の、図4〜図6の形態であれば、特に低圧力損失でしかも吸脱着粒子の表面が有効に利用されるので、空気との接触が効率的となり、通風される二酸化炭素を含む空気に対して、優れた二酸化炭素の吸脱着効率を呈することができる。また、このような構造を有する吸脱着シートは、吸脱着粒子が高密度で存在しながら、柔軟性に優れるので、プリーツ加工がし易いという利点がある。
【0036】
ここで、プリーツ加工が施された吸脱着エレメントの具体的例を説明すると、本発明の吸脱着エレメントは、図7に例示するように、前記吸脱着シート(21)がプリーツ加工されており、枠材(22a)によってプリーツ形状が保持されてなる吸脱着エレメント(20)であることが可能である。なお、図7では、プリーツ加工された吸脱着シート(21)の、プリーツの峰線方向と交叉する端面に、枠材(22b)が矢印Aの方向に装着する態様も例示している。吸脱着シートのプリーツ加工は、ジグザグ形状に折られているが、この折り加工方法としてはレシプロ式やロータリー式などのプリーツ加工機による方法や、ジグザグ形状に成形された押型でプレスする方法などがある。
【0037】
また、枠材としては、プリーツ形状を保持することができる限り、特に限定されず、例えば織編物、不織布、合成樹脂シート、発泡シート、紙、金属材料またはこれらの複合物などのシート状物を適用することができる。このうち特に不織布であれば、強度に優れると共に、フィルタエレメントを剛性枠に装着する際にクッション性に優れ、剛性枠との間のシール性に優れるので好ましい。具体的には、これらのシート状物を、熱融着させたり、接着剤や接着性シートを介して接着することにより、プリーツの峰線方向と交叉する端面に、装着することができる。なお、保形部材としては、シート状物に限らず、発泡性樹脂等を付着させて発泡して形成することなども可能である。また、保形部材は、プリーツの峰線方向と交叉する端面以外にも、峰線方向と平行な端面にも装着することが可能である。
【0038】
前記プリーツ加工前に、或いはプリーツ加工後に、図7に例示するように、吸脱着シート(21)に、プリーツの峰線方向と交叉する方向に、間隔をおいて平行に、線状のホットメルト樹脂を付着させたセパレータ(24)を設けて、プリーツの山の斜面が接触してデッドスペースとなることを防ぐことも好ましい。線状のホットメルト樹脂の付着は、これらの図のように、断続的としてプリーツの山の峰に設けて、プリーツの谷部には設けないようにすることも好ましく、また吸脱着シートの上流側にのみ設けることも好ましい態様である。
【0039】
前記吸脱着エレメントを通風された空気と接触可能に配置するには、吸脱着エレメントを剛性枠に装着して用いることも好ましい形態である。この剛性枠は剛性のある材質である限り特に限定されることはなく、木材、金属、プラスチック等が適用され、焼却、廃棄される場合は、木材またはプラスチックが好ましい。
【0040】
以上説明したように、本発明の吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することが可能であり、この吸脱着エレメントによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0041】
次に、吸脱着エレメントを用いた本発明の二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、及び二酸化炭素濃度調整方法について説明する。なお、二酸化炭素濃度調整方法の説明は、「二酸化炭素濃度調整装置及び二酸化炭素濃度調整システムについての説明」の中で説明する。
【0042】
本発明の二酸化炭素濃度調整装置は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)であって、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としている。
【0043】
前記外部と隔離された室(40)とは、オフィス、住居など人が居住する建物の中に仕切られた部屋を含んでいる。またそれ以外にも、工場や実験室などにおいて、二酸化炭素濃度を低下させる必要がある、または二酸化炭素濃度を一定の範囲に制御する必要のある仕切られた空間も含んでいる。
【0044】
前記二酸化炭素濃度調整装置(30)は、図1に示すように、室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることが可能な構造となっている。前記通風手段(32)は通風可能である限り限定されることはなく、例えば回転翼を有する軸流ファン、遠心型のファン、シロッコファン、またはブロアなどの送風機であることも可能である。
【0045】
前記二酸化炭素濃度調整装置(30)は、図1では室(40)の内部に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を前記室内に供給可能としている。また、図2では室(40)の外部に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を、ダクトなどを介して、通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を、ダクトなどを介して前記室内に供給可能としている。図1または図2の二酸化炭素濃度調整装置(30)の場合、冷暖房装置を備えた空調機の中にフィルタと共に吸脱着エレメントを配置した構造の装置を適用することも可能である。また、図3では室(40)の外部の循環空気の風路の途中に設けられており、室内の二酸化炭素を含む空気を、ダクトなどを介して、ブロアタイプの通風手段(32)によって通風して、吸脱着エレメント(31)に接触させた後、接触後の二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を、ダクトなどを介して前記室内に供給可能としている。なお、図3の二酸化炭素濃度調整装置(30)は、吸脱着エレメント(31)の場所とは別の場所に設置された通風手段(32)と当該吸脱着エレメント(31)とを含むシステム装置としてみなすことができる。
【0046】
また、前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記吸脱着エレメントに対して加熱が可能な加熱手段を有していることも好ましく、吸脱着エレメントを加熱することにより、吸脱着エレメントを構成する吸脱着物質の吸脱着能を高めることができる。なお、この加熱は100℃未満で実施されることが好ましく、80℃以下で実施されることがより好ましいが、−10〜50℃の範囲の何れかの温度になるように実施されることが更に好ましく、10〜50℃の範囲であれば、例えば冷暖房装置が備わった空調装置を利用して行なうことも可能である。
【0047】
また、前記二酸化炭素濃度調整装置は、有害ガス除去フィルタを更に備えていることも好ましく、当該二酸化炭素濃度調整装置によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整すると共に室内空気中の有害ガスを除去することができる。前記有害ガス除去フィルタとしては、例えば前述の吸脱着シートから形成される吸脱着エレメントにおいて、吸脱着シートを構成する吸脱着粒子の替わりに有害ガス除去粒子を用いることで形成することが可能である。当該有害ガス除去粒子としては、生活環境での不快な臭気物質の除去などに用いる、或いは半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質を除去するために用いる、ガス状物質を吸着したり、ガス状物質を吸着しやすい物質に変化させたりすることのできる固体粒子を適用することが可能である。このような固体粒子としては、例えば活性炭や、ゼオライト、種々の化学吸着剤、イオン交換樹脂、光触媒などの触媒などがあり、これらの中から一種又は二種以上を適宜選択することができる。これらの中でも、多様なガス状物質を吸着する能力に優れる活性炭を選択することが可能であり、活性炭を選択した場合は比表面積が200m2/g以上の多孔質のものが好ましく、500m2/g以上のものがより好ましく、800m2/g以上のものが更に好ましい。
【0048】
以上説明したように、本発明の二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する前記吸脱着エレメント(31)とを備え、前記通風手段(32)によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としているので、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0049】
本発明の二酸化炭素濃度調整システムは、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の内部及び/又は外部に設けられる前記二酸化炭素濃度調整装置(30)と、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としており、この二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0050】
前記換気装置(50)は、室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給するための供給路が設けられており、供給路の途中に空調設備(51)が配置されており、この空調設備(51)に内蔵されたブロアによって、外気OAと室内からの循環空気RAの混合空気が二酸化炭素の濃度が調整された空気として供給されるようになっている。また、室内からの空気RoAを外部に排気するため排気路が設けられており、排気路の途中にブロア(52)が配置されており、またこの排気路の途中には前記供給路に連結される循環路が設けられており、さらに供給路、排気路および循環路には、それぞれダンパー(53)、(54)および(55)が設けられており、これらのダンパーの開度を調整することで、前記ブロア(52)によって、室内からの空気RoAを所定量だけ外部に排気すると共に循環路に所定量の循環空気RAを、前記供給路または前記空調設備(51)に供給するようになっている。なお、前記空調設備(51)はフィルタ、暖房用コイルユニット、冷房用コイルユニット及びシャワー装置などを備えることが可能となっている。
【0051】
次に、当該二酸化炭素濃度調整システム(以下、第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムという場合がある。)を適用した場合の効果について更に説明する。室内で発生する高濃度の二酸化炭素を、例えばビル管理法規定の1000ppm以下に抑えようとした場合、定期的に実施される二酸化濃度の室内濃度の測定値に基づき、一定時間当りの換気量を定めるという方法(以下、第1の換気方法という場合がある。)が従来から行なわれている。この第1の換気方法において、この第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムを採用した場合、二酸化濃度の室内濃度の測定値が低くなるため、換気量を減少させることができる。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出する量を減少することとなり、熱エネルギーの損失を防ぐことができるという効果を奏する。
【0052】
また、本発明の二酸化炭素濃度調整システムは、図1〜3に例示するように、前記換気装置(50)に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気OAの量を増減する外気制御手段(53)を更に備えることも可能であり、この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムの場合、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置(30)によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段(53)によって前記室(40)に外部からの外気OAの量が増加するように制御可能となり、この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムによって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を更に少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。なお、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置が、前記換気装置(50)の排気路または循環路の途中に設けられていることが好ましく、この二酸化炭素濃度検出装置によって、検出した室内の空気中の二酸化炭素の濃度の測定値に基づいて前記外気制御手段(53)によって前記室(40)に外部からの外気OAの量を容易に制御することができる。
【0053】
この第2形態の二酸化炭素濃度調整システムを適用した場合の効果について更に説明する。室内で発生する高濃度の二酸化炭素を、例えばビル管理法規定の1000ppm以下に抑えようとした場合、二酸化炭素の室内濃度の測定値をフィードバックして、自動的にダンパー調整などにより外気の量を増減させるという方法(以下、第2の換気方法という場合がある。)が比較的最近になってから行なわれている。この第2の換気方法において、当該第2形態の二酸化炭素濃度調整システムを採用した場合、低下した二酸化炭素の室内濃度の測定値がフィードバックされて、自動的にダンパー調整により外気の量を増減させることが可能となるので、きめ細やかに換気量を減少させることができる。その結果、暖房や冷房が行なわれた室内空気を外部に排出する量を、前述の第1の形態の二酸化炭素濃度調整システムよりも更に減少することが可能となり、熱エネルギーの損失を防ぐことができるという効果を奏する。
【0054】
本発明の二酸化炭素濃度調整方法は、図1〜3に例示するように、外部と隔離された室(40)の空気を通風する通風手段(32)と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメント(31)とを備えており、且つ前記室(40)の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置(30)を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、
前記吸脱着エレメント(31)は、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメント(31)に二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメント(31)であり、
前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0055】
また、二酸化炭素濃度調整方法は、図1〜3に例示するように、前記二酸化炭素濃度調整装置(30)に加え、前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気する換気装置(50)を更に用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、前記換気装置(50)によって前記室(40)に外部からの外気OAと室内からの循環空気RAとを室内に供給し、且つ室内からの空気RoAを外部に排気すること、並びに前記通風手段(32)によって前記室(40)の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメント(31)に接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整する、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であり、この二酸化炭素濃度調整方法によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能である。
【0056】
以上説明したように、本発明によって、簡単な構造で必ずしも加熱を必要とせずに、熱エネルギーの損失を少なくしつつ、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することが可能な吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置および二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法を提供することが可能となった。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本願発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0058】
(吸脱着エレメントの性能試験方法)
密閉型の1m3のチャンバーを用いて試験を行う。チャンバー内を二酸化炭素濃度400ppmに調整した状態で、試験体の吸脱着エレメントを載置して、試験風量1m3/minでチャンバー内の空気をエレメントに通過させ循環させておく。5分後にチャンバー内の空気のうち0.8リットルを99.95%に調整された二酸化炭素ガスと入れ替え(試験体の吸脱着エレメントが無い場合に、約1200ppmとなるようにする。)、その後の二酸化炭素濃度の変化を測定する。次にこの操作から200分後に、今度はチャンバー内の空気を入れ替えて再度400ppmになるようにし、再度密閉した後、その後の二酸化炭素濃度の変化を測定する。
【0059】
(実施例1)
縦20cm、横4cm、高さ20cmの金網ケースに、モレキュラーシーブス4A 1/8(和光純薬製、ペレット状)を充填させて、吸脱着エレメントAを得た。
この吸脱着エレメントAを吸脱着エレメントの性能試験方法によって評価した結果を図9のグラフに示す。このグラフにより、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、吸脱着エレメントAを用いた実施例1では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で1000ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で460ppmに上昇した。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有していることが分かった。
【0060】
(実施例2)
面密度30g/m2のポリエステルスパンボンドに熱可塑性ポリアミド系樹脂から成る面密度20g/m2のホットメルト不織布(融点:95〜100℃)を積層して面密度50g/m2のカバー材Aを得た。
次いで、図6に示すようにカバー材Aのホットメルト不織布(10)の表面に、粒径が0.50〜1.18mm(平均粒径約0.8mm)の合成ゼオライトA−4粒状(和光純薬製)からなる吸脱着粒子(3)を散布する。続いて、約5Kg/cm2の水蒸気処理をカバー材(5)側(ホットメルト不織布(10)側)から約7秒間行い、ホットメルト不織布(10)を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部(1)と樹脂凝集部(2)とで構成されたウエブに、樹脂凝集部(2)を介して吸脱着粒子(3)を固着させた。続いて、固着した吸脱着粒子以外の吸脱着粒子を除去することにより、面密度200g/m2の吸脱着粒子(3)が固着され、しかもカバー材(5)と接着された1層目の積層単位(4)を得た。さらに、この状態の積層単位(4)に面密度20g/m2のホットメルト不織布A(10”)を積層し、吸脱着粒子(3’)散布、水蒸気処理、並びに固着されていない吸脱着粒子の除去を経て、面密度220g/m2の吸脱着粒子(3’)を有する2層目の積層単位(4’)を形成した。
次に面密度50g/m2のカバー材Aである(5’)を、ホットメルト不織布(10’)側が積層単位(4’)に接するようにして積層単位(4’)の上に積層した。次いで、一対の加熱ロールに、この積層物を通して、ホットメルト不織布(10’)を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部(1’)と樹脂凝集部(2’)とで構成されたウエブに、樹脂凝集部(2’)を介して吸脱着粒子(3’)を固着させて面密度540g/m2、厚さ1.4mmの吸脱着シート(13)を得た。
次いで、得られた吸脱着シートを用いて、図7に示すように、全体の大きさが枠材側300mm×枠材と垂直な側300mmの寸法となるように、またプリーツの山高さHが約29mm、プリーツの山の間隔が約6mm、山数50個となるように、プリーツを形成した後、不織布からなる枠材(24)の片面にホットメルト樹脂シートを貼りあわせた枠材(24)を準備して、図7に示す矢印Aの方向に枠材(24)を固着して、吸脱着エレメントB(20)を得た。
この吸脱着エレメントBを吸脱着エレメントの性能試験方法によって評価した結果を図9のグラフに示す。このグラフにより、チャンバー内の空気の温度が23℃において、吸脱着エレメントがない場合は、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに濃度が増加して200分経過時まで1200ppmを持続し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少して450分経過時まで400ppmを持続する。これに対して、吸脱着エレメントBを用いた実施例2では、チャンバー内の空気に含まれる二酸化炭素の濃度は0分時に400ppmであるが、5分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため1200ppmに増加した濃度が当該吸脱着物質の吸着によって200分経過時点で960ppmに降下し、その200分経過時にチャンバー内の空気の入れ替えのため400ppmに減少した濃度が当該吸脱着物質の脱着によって450分経過時点で500ppmに上昇した。このように、前記吸脱着物質は通風された空気に接触することにより、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する特性を有していることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの別の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の吸脱着エレメント、二酸化炭素濃度調整装置、および二酸化炭素濃度調整システムの別の一例を示す模式図である。
【図4】本発明における吸脱着シートの一例を示す断面模式図である。
【図5】本発明における吸脱着シートの別の一例を示す断面模式図である。
【図6】本発明における吸脱着シートの別の一例を示す断面模式図である。
【図7】本発明の吸脱着エレメントの一例を示す斜視図である。また、枠材を矢印Aの方向に装着する態様を例示する図である。
【図8】本発明の吸脱着エレメントの別の一例を示す斜視図である。
【図9】実施例1及び2の吸脱着エレメントの性能試験結果を示す図である。
【図10】従来の二酸化炭素除去装置を示す図である。
【図11】従来の二酸化炭素除去装置を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1,1’,1” 連結部(ホットメルト樹脂)
2,2’,2” 樹脂凝集部(ホットメルト樹脂)
3,3’ 吸脱着粒子
4,4’ 積層単位
5,5’ カバー材
8 吸脱着粒子層
10,10’,10” ホットメルト樹脂(ホットメルト不織布)
11 吸脱着シート
12 吸脱着シート
13 吸脱着シート
20 吸脱着エレメント
21 吸脱着シート
22a 枠材
22b 枠材
23 ひだ
24 セパレータ
30 二酸化炭素濃度調整装置
31 吸脱着エレメント
32 通風手段
40 室
50 換気装置
51 空調設備
52 ブロア
53 外気制御手段、ダンパー
54 ダンパー
55 ダンパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメントであって、
前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することを特徴とする吸脱着エレメント。
【請求項2】
外部と隔離された室の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置であって、
前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する請求項1に記載の吸脱着エレメントとを備え、前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整装置。
【請求項3】
有害ガス除去フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素濃度調整装置。
【請求項4】
外部と隔離された室の内部及び/又は外部に設けられる請求項2または3に記載の二酸化炭素濃度調整装置と、前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気する換気装置とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システム。
【請求項5】
前記換気装置に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気の量を増減する外気制御手段を更に備えた請求項4に記載の二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段によって前記室に外部からの外気の量が増加するように制御可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システム。
【請求項6】
外部と隔離された室の空気を通風する通風手段と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメントとを備えており、且つ前記室の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメントであり、
前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法。
【請求項7】
前記二酸化炭素濃度調整装置に加え、前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気する換気装置を更に用いる請求項6に記載の室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法。
【請求項1】
二酸化炭素を含む空気を通風させることにより空気中の二酸化炭素を吸脱着するために使用する吸脱着エレメントであって、
前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着することを特徴とする吸脱着エレメント。
【請求項2】
外部と隔離された室の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置であって、
前記二酸化炭素濃度調整装置は、前記室の空気を通風する通風手段と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する請求項1に記載の吸脱着エレメントとを備え、前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整装置。
【請求項3】
有害ガス除去フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素濃度調整装置。
【請求項4】
外部と隔離された室の内部及び/又は外部に設けられる請求項2または3に記載の二酸化炭素濃度調整装置と、前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気する換気装置とを備えた二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システム。
【請求項5】
前記換気装置に室内の二酸化炭素濃度の値に応じて外気の量を増減する外気制御手段を更に備えた請求項4に記載の二酸化炭素濃度調整システムであって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記二酸化炭素濃度調整装置によって前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された空気を供給することで、前記室内の空気中の二酸化炭素の濃度を調整すると共に二酸化炭素の濃度が一定濃度を超えたときに、前記外気制御手段によって前記室に外部からの外気の量が増加するように制御可能としたことを特徴とする二酸化炭素濃度調整システム。
【請求項6】
外部と隔離された室の空気を通風する通風手段と通風された空気中の二酸化炭素を吸脱着する吸脱着エレメントとを備えており、且つ前記室の内部及び/又は外部に設けられる二酸化炭素濃度調整装置を用いる室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記吸脱着エレメントは、二酸化炭素を吸脱着する機能を有する物質を含んでおり、前記吸脱着エレメントに二酸化炭素を含む空気を通風させた場合に、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着する吸脱着エレメントであり、
前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする、室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法。
【請求項7】
前記二酸化炭素濃度調整装置に加え、前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気する換気装置を更に用いる請求項6に記載の室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法であって、
前記換気装置によって前記室に外部からの外気と室内からの循環空気とを室内に供給し、且つ室内からの空気を外部に排気すること、並びに前記通風手段によって前記室の二酸化炭素を含む空気を通風して、前記吸脱着エレメントに接触させることにより、空気の温度が少なくとも−10〜50℃の範囲の何れかの温度において、通風された空気中の二酸化炭素の濃度が増加する場合は二酸化炭素を吸着し、減少する場合は二酸化炭素を脱着するようにして、前記室内に二酸化炭素の濃度が調整された処理空気を供給して、室内空気中の二酸化炭素濃度を調整することを特徴とする室内空気中の二酸化炭素濃度調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−106849(P2009−106849A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281537(P2007−281537)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】
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