説明

吸音性シート

【課題】高い吸音率を有する吸音性シートを提供する。
【解決手段】連通気孔を有するシート(a)と、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有するシート(b)とが積層されており、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有し、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下である吸音性シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車、事務機器、音響機器、家庭用電気製品をはじめとして、各種機器から発生する音を抑制するための吸音シートが検討されている。
【0003】
例えば、不織布とポリオレフィンとからなるラミネート層を積層した防音シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この防音シートを構成するポリオレフィンとしてはスチレン系熱可塑性エラストマーやポリウレタン系熱可塑性エラストマーが例示されている。
また、織編布とポリオレフィンとの積層シートが提案されており(例えば、特許文献2参照。)、前記ポリオレフィンとして、スチレン系熱可塑性エラストマーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−260290号公報
【特許文献2】特開2004−58367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている防音シートや積層シートは、いずれも吸音率については、未だ改良の余地がある。
【0006】
そこで本発明においては、優れた吸音率を有する吸音性シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、少なくとも、連通気孔を有するシート(a)と、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有するシート(b)とが積層されたシートであって、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、少なくとも、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有し、かつ前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下の範囲である吸音性シートが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0008】
〔1〕
連通気孔を有するシート(a)と、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有するシート(b)とが積層されており、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有し、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下である吸音性シート。
【0009】
〔2〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、水素添加物である前記〔1〕に記載の吸音性シート。
【0010】
〔3〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを主体とする共重合体である前記〔1〕又は〔2〕に記載の吸音性シート。
【0011】
〔4〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を、1つ以上を含有する前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【0012】
〔5〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)のSP値と、前記(c1)以外のブロックのSP値との差の少なくとも一つが、2.5以下である前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【0013】
〔6〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を1つ以上と、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)を1つ以上、含有する前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【0014】
〔7〕
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は水素添加物であり、水素添加前におけるビニル芳香族ブロック共重合体中の総共役ジエンの不飽和基のうち、5mol%以上85mol%以下の範囲が水素添加されている前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【0015】
〔8〕
前記シート(b)が熱可塑性樹脂及び/又はゴムを、さらに含有する前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【0016】
〔9〕
前記熱可塑性樹脂又はゴムのSP値((J/cm31/2)と、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)との差が、0.5((J/cm31/2)以上である前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の吸音性シート。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吸音率が高い吸音性シートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0019】
〔吸音性シート〕
本実施形態の吸音性シートは、連通気孔を有するシート(a)と、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有するシート(b)とが積層された構成を有している。
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有している。
前記ビニル芳香族ブロック共重合体(c)の後述するSP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下である。
【0020】
(連通気孔を有するシート(a))
連通気孔を有するシート(a)は、特に限定されないが、織布あるいは不織布が好ましい。
シート(a)が不織布よりなるとき、単一の不織布であってもよく、複数の不織布層を有する積層体であってもよい。
不織布(層)は、任意の適切な短繊維から形成される。短繊維としては、例えば、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアリレート系繊維が挙げられる。繊維の内部損失が大きくかつ強度に優れているという観点から、パラ型アラミド繊維が好ましい。
短繊維の繊維長は目的に応じて任意に選択できるが、30〜60mmが好ましい。不織布(層)は、単一の短繊維から形成してもよく、2種以上の短繊維を組み合わせて形成してもよい。
なお、連通気孔とは、気孔同士が連通状態になっており、少なくとも一箇所は開気孔となっている気孔を意味する。
【0021】
上記短繊維の具体例の中でも、ポリオレフィン繊維が好ましい。
ポリオレフィンとしては、延伸効果により高強力が得られるものが好ましく、具体的にはポリプロピレン、高密度ポリエチレンなどが好ましい。
上記延伸糸の繊度としては、300〜3000デシテクス(以下、dtと記載)が好ましく、500〜2000dtがより好ましい。
繊度が300dt未満であると、連通気孔を有するシート(a)として織布を用いる場合、織編布としての機械的特性が不充分となり、3000dtを超えると柔軟性が劣り好ましくない。
上記延伸糸を経緯糸に用いて、織編成し織編布を形成する。打込密度は10〜30本/2.54cmが好ましく、15〜20本/2.54cmがより好ましい。
織布の織組織としては、平織、綾織、絡み織、模紗織など種々の形状が使用され、編布としては、横編み、縦編みいずれでもよく、具体的にはトリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編等が挙げられる。
【0022】
(シート(b))
シート(b)は、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有している。
ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)とは、ビニル芳香族単量体単位を有する共重合体を指す。
なお、本明細書において、共重合体を構成する各単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の命名に従う。
例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、本明細書で用いる「主体とする」とは、含有量が60質量%以上であることを意味し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は、吸音性シートの高い耐熱老化性や機械強度の観点から、水素添加物であることが好ましい。
【0023】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は、本実施形態の吸音性シートにおいて高い吸音率を得る観点から、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有するものとする。前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のtanδピーク温度は、−10℃以上40℃以下の範囲が好ましく、0℃以上30℃以下の範囲がより好ましく、10℃以上30℃未満がさらに好ましい。
tanδピーク温度は、後述する実施例に示す粘弾性測定より得られる。
【0024】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は、本実施形態の吸音性シートにおいて高い吸音率を得る観点から、SP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下の範囲である。SP値((J/cm31/2)は18.0以上19.3以下が好ましく、18.2以上19.0以下がより好ましく、18.5以上18.8以下がさらに好ましい。
【0025】
前記SP値は、ビニルポリマーのモル体積、凝集エネルギーを、Bicerano(文献:J.Bicerano,Prediction of Polymer Properties,3rd,Marcel Dekker,2002)の方法で計算し、Van Krevelen法に準拠し求めることができる。
結晶性の有無は無視する。また、ブロック共重合体が、ミクロ相分離していても無視する。
計算方法は、Jozef.Bicerano:PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES, Marcel Dekker,AMERICA(2002)のp.615の17.8から17.10式に示される方法を使用できる。
【0026】
具体的に、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体のSP値の計算方法は、まず、構成する各々のビニルポリマーのモル体積、凝集エネルギーを、Bicerano(文献:J.Bicerano,Prediction of Polymer Properties,3rd,MarcelDekker,2002)の方法で計算する。
凝集エネルギーに関してはVan Krevelen法に準拠し計算した値を用いる。
次に、Jozef.Bicerano:PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES, Marcel Dekker,AMERICA(2002)の、p.615の17.8から17.10式に示される方法で、任意の組成の共重合体のSP値を求めることができる。
なお、結晶性やブロック共重合体等のミクロ相分離構造は無視する。
【0027】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を構成する各ビニルポリマーの凝集エネルギーE(J/mol)/モル体積V(10-63/mol)例示する。
ポリスチレン:36932/97.0、1,2−ポリブタジエン:16450/58.3、1,4−ポリブタジエン:18579/59.1、1,2−ポリブチレン:17527/65.6、水素添加1,4−ポリブタジエン:18146/64.4、1,4−ポリイソプレン:22644/76.6、1,2−ポリイソプレン:19407/75.3、3,4−ポリイソプレン:20908/82.2、ポリエチレン:9073/32.2である。
例えば、スチレン/1,4−ブタジエンの等モルの共重合体の場合のSP値の計算方法を以下に示す。
E=36932×0.5+18579×0.5=27755(J/mol)
V=97.0×0.5+59.1×0.5=78.1(m3/mol)
SP値=(27755/78.1)1/2755/=18.6((J/cm31/2
【0028】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は、経済性や、本実施形態の吸音性シートにおいて、より高い吸音率を得る観点から、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを主体とする共重合体であることが好ましい。
ビニル芳香族単量体とは、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
上記ビニル芳香族単量体の中では、経済性の観点からスチレンが好ましい。
【0029】
上記共役ジエン単量体を構成する「共役ジエン」は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
これらの共役ジエンは、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の吸音性シートにおいて、優れた機械強度を得る観点から、1,3−ブタジエンを主体とするものであることがより好ましい。
さらに、共役ジエン中の1,3−ブタジエン含有量が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0030】
本実施形態の吸音性シートにおいてより優れた機械強度を得、また前記ビニル芳香族系共重合体(c)の製造性の観点から、前記ビニル芳香族系共重合体(c)は、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を1つ以上含有することが好ましく、(c1)を分子の両末端部に2つ有することがより好ましい。
【0031】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)の量は、本実施形態の吸音性シートの機械強度の観点や、前記共重合体(c)の製造性の観点から、5質量%以上が好ましく、本実施形態の吸音性シートにおいて高い吸音率を得る観点から、50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲がより好ましく、13質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。
なお、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)の量は、後述する実施例に示す方法で求めることができる。
【0032】
また、本実施形態の吸音性シートにおいて高い吸音率を得る観点から、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)と、(c1)以外のブロックのSP値との差の少なくとも一つが、0.2以上2.5以下の範囲であることが好ましく、0.4以上2.0以下の範囲であることがより好ましく、0.6以上1.5以下の範囲であることがさらに好ましい。
前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)以外のブロックの分子量は、少なくとも3000以上である。
【0033】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の製造性の観点から、当該ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を1つ以上と、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)を1つ以上含有することが好ましい。
なお、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)は、水素添加しても、しなくてもよい。
【0034】
ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)中の、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、本実施形態の吸音性シートにおいて高い吸音性を得る観点から、35質量%以上85質量%以下の範囲が好ましく、40質量%以上80質量%の範囲がより好ましく、50質量%以上75質量%以下の範囲がさらに好ましく、55質量%以上70質量%以下の範囲がさらにより好ましい。
【0035】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中に、前記ブロック(c1)、(c2)が、それぞれ2つ以上あるときは、各ブロックは同一であっても異なっていてもよい。
また、必要に応じて、共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックを含有してもよい。
前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、上述したビニル芳香族化合物含有量の範囲であれば限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
各共重合体ブロック中には、ビニル芳香族化合物含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
各共重合体ブロック中のビニル結合量に分布があってもよい。
【0036】
前記ビニル芳香族ブロック共重合体(c)のブロック構造としては、例えば、((c1)−(c2))n、(c1)−((c2)−(c1))n、(c1)−(c3)−(c2)−(c1)、(c1)−(c3)−(c2)−(c3)−(c1)の構造(カップリング重合や逐次重合のどちらでもよい。)が挙げられる。
ここで、nは、1〜3の整数、c3は、共役ジエンを主体とする重合体ブロック(水素添加してもよい。)である。
特に、(c1)−(c2)−(c1)、(c1)−(c3)−(c2)−(c1)の構造がより好ましい。
【0037】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、水素添加前に含まれる総共役ジエン単量体単位中のビニル結合量は、当該ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の製造性の観点から、5mol%以上50mol%以下の範囲が好ましく、10mol%以上40mol%以下の範囲がより好ましく、15mol%以上35mol%以下の範囲がさらに好ましい。
ビニル結合量とは、水素添加前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうち、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合とする。
【0038】
本実施形態の吸音性シートの高い耐熱老化性や機械強度の観点から、水素添加前のビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、総共役ジエンの不飽和基のうち、5mol%以上を水素添加することが好ましく、10mol%以上を水素添加することがより好ましく、20mol%以上を水素添加することがさらに好ましい。
また、高い耐光性や機械物性を得る観点から、水素添加前における前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、総共役ジエンの不飽和基のうち、100mol%を水素添加してもよいが、吸音性シートにおいて、より高い吸音性を得る観点や、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の低溶融粘度化のため、85mol%以下を水素添加することが好ましく、75mol%以下がより好ましく、60mol%以下がさらに好ましい。
【0039】
(ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の製造方法)
ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の重合方法としては、特に限定されないが、配位重合、アニオン重合またはカチオン重合などの重合方法が挙げられる。構造の制御の容易さの点で、アニオン重合が好ましい。
アニオン重合のビニル芳香族系ブロック共重合体の製造方法としては、公知の方法を適用でき、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
また、ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は、アニオン重合系で、逐次重合や、カップリング重合等を行うことにより製造できる。
カップリング重合を行うときのカップリング剤としては、四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等が挙げられる。
【0040】
ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加し、水素添加されたビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を得る際の、水素添加を行う方法としては、水素添加触媒の存在下で、水素を供給し、不飽和部を水素添加する方法が挙げられる。
水素添加触媒としては、特に限定はされるものではなく、従来公知の(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水素添加触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩またはアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水素添加触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水素添加触媒が挙げられる。
水素添加されたビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の重量平均分子量は、機械強度の観点から、5万以上が好ましく、吸音性シートの加工性の観点から、40万以下の範囲が好ましく、6万以上30万以下の範囲がより好ましく、8万以上20万以下の範囲がさらに好ましく、10万以上15万以下の範囲がさらにより好ましい。
【0041】
(シート(b)のその他の成分)
前記シート(b)は、経済性や成形性の観点から、熱可塑性樹脂及び/又はゴムを、さらに含有するものとしてもよい。
熱可塑性樹脂とは、特に限定はされないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の芳香族系樹脂、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を使用してもよい。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のホモ重合体、エチレンまたはプロピレンとブテン、ヘキセンまたはオクテン等とのブロック共重合体またはランダム共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ1−ブテン、プロピレン・1−ブテン共重合体、塩素化ポリオレフィン、エチレン・メタクリル酸およびそのエステル共重合体、スチレン・アクリル酸およびそのエステル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)等を挙げることができる。
高い耐薬品性や耐熱性の観点から、結晶性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、経済性の点で、ポリプロピレン、プロピレンを含むブロック共重合体またはランダム共重合体などのプロピレン系樹脂や、高圧法低密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合されたポリエチレン系樹脂あるいはエチレン酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0042】
ゴムとは、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(Q)、ブロックを有さないスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)等を挙げることができる。
経済性の観点から、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、ブロックを有さないスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)が好ましい。
【0043】
上述した熱可塑性樹脂やゴムの中では、経済性及びシート(b)の成形性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
【0044】
本実施形態の吸音性シートにおいて、より高い吸音率を得る観点から、前記熱可塑性樹脂又はゴムのSP値((J/cm31/2)と、前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)との差が、0.5((J/cm31/2)以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。
【0045】
シート(b)中の前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の含有量は、高い吸音性を得る観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、シート(b)中の前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の含有量は100質量%でもよいが、経済性の観点から、90質量%以下であることが好ましく75質量%以下であることがより好ましい。
【0046】
シート(b)は、非架橋発泡体、架橋体、発泡体あるいは架橋発泡体のいずれであってもよく、非架橋発泡体であることが好ましい。
シート(b)は、上記形態や要求性能に応じて、その他の添加剤を併用してもよい。
例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、流れ増強剤、ステアリン酸金属塩といった離型剤、シリコーンオイル、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、銅害防止剤、架橋剤、核剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
(シート(b)の製造方法)
上述したシート(b)を製造する方法については、特に限定されない。例えば、押出成形法やインフレーション法が好ましく用いられる。
なお、シート(b)の厚みは、高い吸音率を得る観点から、30μm以上が好ましく、経済性の観点から2000μm以下が好ましい。シート(b)の厚みは50μm以上1000μm以下がより好ましく、80μm以上500μm以下がさらに好ましい。
【0048】
本実施形態の吸音性シートは、上述したシート(a)とシート(b)とが積層された構成を有していればよく、シート(a)とシート(b)との層間に異種層が存在してもよい。
異種層としては、接着剤層、他の樹脂層あるいは金属層であってもよい。
また、上述したシート(a)やシート(b)が、複数積層された構成となっていてもよい。
具体的な構成としては、シート(a)/接着剤層/シート(b)、又は、シート(a)/接着剤層/シート(b)/接着剤層/シート(a)が好ましい。
なお、シート(a)とシート(b)とを熱融着させて積層させる場合は、接着層を除いてもよい。
【0049】
〔用途〕
本実施形態の吸音性シートは、事務機器、音響機器、家庭用電気製品をはじめとして、各種機器の内外装材、自動車用の内外装材、あるいは住居の床や内装材等に利用できる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた評価法、及び測定方法を下記に示す。
【0051】
〔I.ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)の組成、及び構造評価〕
(I−1)スチレン含有量、共役ジエンのビニル結合量、共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率
ポリマー中のスチレン単位、ブタジエンの1,4−結合単位、及び1,2−結合単位、エチレン単位、あるいはブチレン単位量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により下記の条件で測定した。
測定機器:JNM−LA400(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度:50mg/ml
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
【0052】
(I−2)ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)の含有量
I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸法で測定した。
測定サンプル:下記〔III.〕で作製するビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、水素添加される前段階における抜き取り品。
ポリマー分解用溶液:オスミウム酸0.1gを第3級ブタノール125mLに溶解した溶液。
【0053】
(I−3)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)
下記の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
ポリスチレン(PS)換算分子量で求めた。
測定装置:HLC−8220(TOSOH社製、商品名)
カラム:TSKgelGMHXL SuperH5000:1本、SuperH4000:2本(TOSOH社製、商品名)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
検量線用サンプル:市販(TOSOH社製)の標準ポリスチレン、10点測定
【0054】
(I−4)tanδピーク温度
tanδピーク温度は、動的粘弾性測定(1Hz)により得た。
具体的には、動的粘弾性データは、試料を、幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、−60℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件で測定した。
ピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の自動測定より求めた。
【0055】
〔II.水素添加触媒の調製〕
下記IIIの、水素添加がなされたビニル芳香族系ブロック共重合体(c−1)を製造する際に行う水素添加反応に用いた水素添加触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
【0056】
〔III.ビニル芳香族系ブロック共重合体:(c−1)、(c−2)の調製〕
(c−1)
攪拌装置及びジャケットを備えた槽型反応器(内容積:10リットル)に、シクロヘキサン200質量部を仕込み、温度70℃に調整した。
その後、n−ブチルリチウムを0.07質量部、反応器の底部から添加した。
次に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを0.10質量部、添加した。
その後、スチレンを7.5質量部、約10分間で供給した。
供給停止後、15分間、反応器内温度を70℃に維持し、反応させた。
次に、シクロヘキサンで24質量%に希釈したブタジエン34質量部と、スチレン51質量部とを、60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。
供給停止後、15分間反応器内温度を70℃に維持し、その後に、シクロヘキサンで24質量%に希釈したスチレンを7.5質量部、約10分で供給した。
その間の反応器内温度を70〜80℃になるように調整した。
供給停止後、10分間反応器内温度を70℃に調整しながら反応させた。
その後、メタノールを0.03質量部添加した。
次に、上記〔II〕で調製した水素添加触媒を添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を1時間行った。
反応終了後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加し、水素添加がなされたビニル芳香族ブロック共重合体(c−1)を得た。
この水素添加されたビニル芳香族ブロック共重合体(c−1)は、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックの含有量が15質量%、1,4−ブタジエン単位が16質量%、水素添加1,4−ブタジエン単位が7質量%、水素添加1,2−ブタジエン単位が11質量%であった。
また、共役ジエン中の不飽和基の水素添加率は50mol%、重量平均分子量は13万であった。
さらに、tanδピーク温度は20℃であった。
またさらに、この水素添加されたビニル芳香族ブロック共重合体(c−1)のSP値は、18.61((J/cm31/2)、c1(ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック)のSP値は、19.51((J/cm31/2)、c2(ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック)のSP値は、18.45((J/cm31/2)であった。
【0057】
(c−2)
攪拌装置及びジャケットを備えた槽型反応器(内容積:10リットル)に、シクロヘキサン200質量部を仕込み、温度50℃に調整した。
その後、n−ブチルリチウムを0.09質量部、反応器の底部から添加した。
次に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを0.26質量部、添加した。
その後、スチレンを10質量部、約10分間で供給した。
供給停止後、15分間反応器内温度を50℃に維持し、反応させた。
次に、シクロヘキサンで24質量%に希釈したイソプレン80質量部を、70分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。
供給停止後、15分間反応器内温度を50℃に維持した後に、シクロヘキサンで24質量%に希釈したスチレンを10質量部、約10分で供給した。なお、その間の反応器内温度を50℃になるように調整した。
供給停止後、15分間反応器内温度を50℃に調整しながら反応させた。
その後、メタノールを0.04質量部添加した。
その後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加し、ビニル芳香族ブロック共重合体(c−2)を得た。
このビニル芳香族系ブロック共重合体(c−2)は、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックの含有量が20質量%、1,4−イソプレン単位が24質量%、3,4−イソプレン単位が48質量%、1,2−イソプレン単位が8質量%、重量平均分子量は10万であった。
tanδピーク温度は17℃であった。
またさらに、このビニル芳香族ブロック共重合体(c−2)のSP値は17.09((J/cm31/2)であった。
c1のSP値は、19.51((J/cm31/2)、イソプレンブロックのSP値は、16.59((J/cm31/2)であった。
【0058】
〔実施例1、2〕、〔比較例1〕
〔IV.吸音性シートの製造〕
下記表1に示す、第1工程の配合成分を、二軸押出機(L/D=42、30mmΦ)で、200℃、300rpm、押出量5kg/hで混練し、ペレットを作製した。
このペレットを用いて、第2工程として、インフレーション成形機で成形した。
インフレーション成形(ダイの大きさ:50mmφ)を行った。
そのときの加熱温度は185℃、ダイの温度は175℃、引取速度は2.5〜8.5m/分、折幅で250〜300mmで押出成形を行った。
得られた成形フィルムの厚みを下記表1に示した。
下記表1中に示すr−PPとLDPEは、それぞれ以下の材料を用いた。
r−PP:プライムポリプロF227D(プライムポリマー製、商品名、MFR(JIS K7210):7.0g/10分、密度:910kg/m3
LDPE:ノバテックLL UF420(日本ポリエチレン製、商品名、MFR(JIS K6922):0.9g/10分、924kg/m3
また、表1中、安定剤としては、IRGANOX 1010(Ciba製、商品名)を用いた。
【0059】
〔V.吸音率の測定方法〕
上記〔VI.〕で作製した吸音性シートに、厚さ10mm、目付け233mg/m2のポリプロピレン製不織布を、スプレーのりを用いて接着し、トムソン刃でA管用の形に打ち抜き、自動垂直入射吸音管(TYPE10041A)で測定を行った。
測定方法は、JIS A1405「管内法による建築材料の垂直入射吸音率測定法」に従って行った。
A管法は、100〜1000Hzの範囲で測定を行い、得られた結果より、周波数400Hzと600Hzの吸音率を読みとった。
吸音率は大きい方が好ましいものとして判断した。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例1、2においては、いずれも優れた吸音率を有する吸音性シートが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の吸音性シートは、事務機器、音響機器、家庭用電気製品をはじめとして、各種機器の内外装材、自動車用の内外装材、住居の床や内装材等として、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通気孔を有するシート(a)と、
ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)を含有するシート(b)と、
が、積層されており、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、−20℃以上50℃以下の範囲にtanδピーク温度を有し、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)が、17.3以上20.0以下である吸音性シート。
【請求項2】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、水素添加物である請求項1に記載の吸音性シート。
【請求項3】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、
ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを主体とする共重合体である請求項1又は2に記載の吸音性シート。
【請求項4】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、
ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を、1つ以上を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸音性シート。
【請求項5】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)中の、
前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)のSP値と、
前記(c1)以外のブロックのSP値との差の少なくとも一つが、2.5以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸音性シート。
【請求項6】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)が、
前記ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(c1)を1つ以上と、
ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を主体とする共重合体ブロック(c2)を1つ以上、含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸音性シート。
【請求項7】
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)は水素添加物であり、水素添加前におけるビニル芳香族ブロック共重合体中の総共役ジエンの不飽和基のうち、5mol%以上85mol%以下の範囲が水素添加されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸音性シート。
【請求項8】
前記シート(b)が、熱可塑性樹脂及び/又はゴムを、さらに含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸音性シート。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂又はゴムのSP値((J/cm31/2)と、
前記ビニル芳香族系ブロック共重合体(c)のSP値((J/cm31/2)との差が、0.5((J/cm31/2)以上である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吸音性シート。

【公開番号】特開2011−121316(P2011−121316A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281986(P2009−281986)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】